説明

水相中にエステル化されていないフィトステロールを含むエマルジョン

【課題】 水相中にエステル化されていないフィトステロールを含むエマルジョンの提供。
【解決手段】本発明は、安定なエマルジョンであって、
a)水相が、遊離(エステル化されていない)形態にある1種又はそれ以上のフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含み;及び
b)油又は脂肪相が、エステル化された形態にあるフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含むところの安定なエマルジョンを提供する。本発明は更に、血管疾患及びその潜在原因である病気の治療又は予防に有用である、本発明の独自のエマルジョンが全部又は部分を形成する食品、飲料、栄養補助食品及び医薬品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂質疾患の分野において有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
科学技術における近年の進歩はヒトの生活の質を改善し寿命を延ばすことに役立っているが、アテローム性動脈硬化症、すなわち心血管疾患(“CVD”)の潜在原因の予防は十分に対処されていない。実際、心血管疾患は、あらゆる形態のガンを全て含めたその他の疾患よりも、年間に多くの死者を計上する(非特許文献1)。米国に限っても、毎年100万件以上の心臓発作が起こっており、そしてそれが原因で50万人以上が亡くなっている。この甚大な犠牲者は、CVDの原因とそれを予防及び治療する手段を決定するための継続的な研究を必要としている。
【0003】
CVDの主たる原因はアテローム性動脈硬化症、すなわち、血管路の狭窄及び最終的には脈管系の硬化をもたらす動脈血管壁へのコレステロールなどの脂質の沈殿を特徴とする疾患である。アテローム性動脈硬化症は遺伝(遺伝子)因子及び食生活や生活習慣などの環境因子の相互作用に起因する変性プロセスである。今日までの研究は、コレステロールが、血管に動脈硬化性プラークを形成し、動脈系図のプラークの位置に応じて心筋又は脳又は四肢への血液供給を最終的には絶つことによって、アテローム性動脈硬化症の一因となり得ることを示唆している(非特許文献1、2)。225−250mg/dL以上の総コレステロール量は、血管疾患などのCVDの有意に高いリスクと関連する。概観は、ヒトの総血清コレステロールにおける1%の減少が、冠動脈事象のリスクにおける2%の減少をもたらすことを示している(非特許文献4)。統計的には、平均血清コレステロールにおける10%の減少(たとえば6.0mmol/Lから5.3mmol/L)が米国内において年間100,000人の死亡を防ぐ結果になり得る(非特許文献5)。
【0004】
コレステリルエステルはアテローム性病変の主要成因であり、動脈壁細胞のコレステロールの主要な貯蔵形態である。コレステリルエステル形成はまた、恒常性のコントロールメカニズムを介して、食事性コレステロールの腸内吸収における一段階である。これらコントロールメカニズムは、食事性コレステロール、コレステロール生合成及びコレステロール含有血漿リポタンパク質の代謝反応の相互関連の制御が関与している。コレステロール生合成及び代謝反応は主に肝臓で起こり、それゆえ、血漿コレステロール値の主要な決定要因である。
【0005】
リポタンパク質は非共有結合で結合された脂肪とタンパク質の複合体である。各種のリポタンパク質類は、特有の質量、化学組成、密度及び生理学的役割を有する。密度又は粒子サイズに関係なく、循環脂質はコレステリルエステルとトリグリセリドの核、及びリン脂質の膜、遊離コレステロール及びアポリポタンパク質の膜で構成される。アポリポタンパク質はリポタンパク質の集合及び分泌に関与し、構造的完全性を与え、リポタンパク質変性酵素を活性化し、そして多くの種類のレセプターや膜タンパク質に対するリガンドである。血漿中に見られるリポタンパク質類はHDL、LDL、中間密度リポタンパク質(IDL)及び極低密度リポタンパク質(VLDL)を含む。
【0006】
各種のリポタンパク質は、特有のアポリポタンパク質組成又は比率を有する。HDL中で最も顕著なアポリポタンパク質はアポリポタンパク質−AI(アポ−AI)であり、それはタンパク質質量の約70%を占め、それ以外の20%をアポ−AIIが占める。アポA−IのアポA−IIに対する比率は、HDL機能特性及び抗動脈硬化特性を決定し得る
。循環しているHDL粒子は、質量200乃至400キロダルトン、及び直径7乃至10nmの円板状並びに球状粒子の異質混合物からなる。
【0007】
HDLは血漿中で脂質の輸送において機能するリポタンパク質の主要な種類の一つであり、また、コレステロール逆輸送、胆汁酸合成のためのコレステロール分子基質の供給、クラステリン輸送、パラオキサネーゼ輸送、リポタンパク質酸化防止、及び、副腎細胞によるコレステロールの選択的摂取などの、体内における多様な機能を有する。HDLに関連する主要な脂質はコレステロール、コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質及び脂肪酸が挙げられる。HDLは抗動脈硬化性である。
【0008】
動脈硬化プロセスは、LDLが血管壁内部に捕捉されることから始まる。このLDLの酸化は、単核細胞の血管壁の内側を覆う内皮細胞への結合を生じさせる。これら単核細胞は活性化され、そして内皮空間へ入り込み、そこでマクロファージへと形質転換を起させ、LDLのさらなる酸化を導く。酸化されたLDLは、スカベンジャーレセプターを通してマクロファージに取りこまれ、泡沫細胞の形成を導く。線維性被膜が、動脈平滑筋細胞の増殖と移動によって発生し、これにより動脈硬化性プラークが形成される。
【0009】
HDLは、肝臓外の組織から肝臓へコレステロールを輸送するのに必須なものであり、肝臓において遊離コレステロールとして又はコレステロールから形成される胆汁酸として胆汁中に排出される。該プロセスは幾つかの段階を必要とする。第一プロセスは肝臓及び腸内における新生又はプレ−βHDL粒子の形成である。過剰コレステロールがABCAトランポーターの働きによって細胞膜を通って新生HDL中に移動する。レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)がコレステロールをコレステリルエステルに変換し、続いて新生HDLを成熟HDLへの変換する。エステル化されたコレステロールは続いて、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)によってHDLからアポリポタンパク質−Bを含むリポタンパク質へ転送され、該リポタンパク質は肝臓内の多数の受容体によって取りこまれる。新生HDLは肝臓トリグリセリドリパーゼ及びリン脂質転送タンパク質によって再生され、そしてこのサイクルが繰り返される。抹消細胞から除去されたコレステロールに加え、HDLはLDL及び赤血球膜からコレステロールを受け取る。逆コレステロール輸送の別のメカニズムは、コレステロールに乏しい膜とHDL又は他の受容体分子の間のコレステロールの受動的拡散に関与する。
【0010】
HDLは逆コレステロール輸送におけるその役割を通して、あるいは恐らくLDL酸化を妨げることの双方によってアテローム性動脈硬化症の発生を防ぐ。幾つかのHDL関連酵素が該プロセスに関与している。パーオキソナーゼ(PON1)、LCAT、及び血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAFAH)は全て、LDL酸化の間に生成したリン脂質ヒドロペルオキシドを加水分解することによって関与し、そしてLDL中の酸化脂質の蓄積を協力して防止する働きをする。これら酵素はHDLの抗酸化及び抗炎症特性の原因である。研究論文は、HDLコレステロールの低血漿濃度がアテローム性動脈硬化症の発生の重要なリスク因子であり、そしてその高レベル値が防止することを示している。
【0011】
肝臓はVLDL類の合成及び分泌に関する主要な臓器であり、VLDL類は上述の通り循環中に代謝されてLDLとなる。LDL類は血漿中でコレステロールを輸送する主要なリポタンパク質であり、それゆえ、その濃度上昇がアテローム性動脈硬化症に直接的に関連する。簡潔に言えば、腸内のコレステロール吸収が減少すると、どうしても、より少ないコレステロールが肝臓へ配送されることになる。結果として、VLDL産生が減少し、同時に大部分はLDL形態にある血漿コレステロールの肝クリアランスが増加する。
【0012】
その結果、コレステロールはそれ自体の合成を調整するために3つの異なる段階で作用する。第一に、HMG CoAレダクターゼ酵素を抑制することによって、内因性コレス
テロール合成を抑える。第二に、コレステロールはLCATを活性化する。第三に、コレステロールはLDL−レセプターの合成を調整して、十分量のコレステロールを既に有する細胞がさらなるコレステロールを取りこまないことを確実にする。
【0013】
ステロールは多くの重要な細胞機能を果たす、天然由来の化合物である。植物中のカンペステロール、スチグマステロール及びβ−シトステロール、真菌類中のエルゴステロール、並びに動物中のコレステロールなどのステロール類はそれぞれ、各々の細胞タイプにおいて細胞膜及び細胞内膜の各主要成分である。ヒトの食事由来のフィトステロールは野菜や植物油などの植物性物質に由来する。標準的な西洋食中の一日あたりの推定フィトステロール含有量は、一日あたり約500ミリグラムを供給する菜食餌とは対照的に、約60−80ミリグラムである。
【0014】
フィトステロールは、ヒトなどの多くの哺乳類に供給した場合に血清コレステロール値を下げる能力によって、多くの注目を集めている。正確な作用メカニズムの多くは解明されていないものの、コレステロールとフィトステロールとの関係は、一部分にはそれぞれの化学構造間の類似性(分子の側鎖に起因する相違)によるらしい。コレステロール吸収プロセスにおいて、フィトステロールはミセル相のコレステロールと置き換わり、それにより、その吸収を減少させるか、受容体及び/又は担体サイトと競合することが推測される。
【0015】
40年以上前、イーライリリー社は、ある論文によると約9%まで血清コレステロールを下げることが見出されたシテリン(登録商標:Cytellin)と呼ばれるトール油由来、そして後には大豆油由来、のステロール製剤を市販した(非特許文献6)。その後の様々な研究者らが、血漿脂質及びリポタンパク質濃度へのコレステロール製剤の効果(非特許文献7)、並びに、血清コレステロールへの大豆油及びトール油源由来のシトステロール及びカンペステロールの効果の調査(非特許文献8)を行ってきた。血清コレステロールを下げることに非常に有効であることが発見されているフィトステロールの組成物は、米国特許第5,770,749号明細書においてカトニー等により開示され、そしてそれは70質量%以下のβ−シトステロール、少なくとも10質量%のカンペステロール及びスチグマスタノール(β−シトスタノール)を含有する。構成要素のフィトステロールの間に何らかの相乗効果が存在し、以前に得られたものよりさらに優れたコレステロール低下結果が得られることが、この特許において注目されている。
【0016】
CVD及びその潜在原因である、高コレステロール血症、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、血栓症のような病気の治療においてだけでなく、II型糖尿病、認知症、癌及び老化のような他の疾患の治療において、過去及び現在に、フィトステロールの利点が充分に認識され、記録されたにも拘らず、フィトステロールの投与及びそれらの食品、医薬及び他の送達ビヒクル中への配合は、それらが高度に疎水性(即ち、それらは水溶性に乏しい)であるという事実により困難である。フィトステロールのこの高度に疎水性である性質は、水性媒体においてそれらを不溶性で殆ど分散できない状態にする。そのため、フィトステロールは、脂肪をベースとする食品の脂肪相に添加される傾向がある。フィトステロールのコレステロール低下効果の利益を享受することを望む健康に関心の高い消費者は、従って、高脂肪食の健康リスクにも拘らず、高脂肪食品を消費せざるを得ない。
【0017】
これらの問題を解決するために、例えば、フィトステロールの化学修飾を使用する試みがなされてきた。例えば、上述のように、フィトステロールのエステル化は、一般に、その結果として低い融解温度を生じる。そのため、そのようなフィトステロールエステルは一般に、低い融点により、より容易に食品中に配合され得、顕著にザラザラした質感を有さない食品を提供し得る。フィトステロールの脂質溶解性の問題はエステル化により改善
され得るものの、これは以下の2つの理由により上記問題に対する充分満足できる解決法ではない:1)フィトステロールエステルはエステル化されていないフィトステロールよりも生物学的に効果が低い;及び2)フィトステロール又はフィトステロールエステルが低脂肪乳化製品の少量の脂肪相中に分配された場合、脂肪中の高濃度のフィトステロールが口の中及び舌の上でワックス様の感覚を導くため、該製品の味に悪影響を及ぼす。
当初、研究者等は、均一化、カプセル化及び/又は安定剤、ガム等の添加を含む幾つかの方法を用いることによる、フィトステロールに関する配合の制限を克服するための試みを行った。しかし、これらの方法は製品のコストを増加させ、また、場合により、かんきつ類のジュースのような特定の規格製品においては違法である。
【0018】
バルソン(Vulfson)等、国際公開第00/41491号パンフレットは、オレオマーガリン製品、飲料、スープ、ソース、ディップ、サラダドレッシング、マヨネーズ、菓子製品、パン、ケーキ、ビスケット、朝食用シリアル及びヨーグルトタイプの製品のような食品及び飲料への補助として、植物ステロール及びリコピンのような疎水性化合物を開示している。植物ステロール及びリコピンと食品との組合せにおいて、バルソン(Vulson)等は、ヒドロキシル基とカルボキシル基の両方を有する食品は、該ステロール又はリコピンの表面と相互作用すると理論付けている。
【0019】
ハーラシルタ(Haarasilta)等、国際公開第98/58554号パンフレットは、粉砕された植物ステロールと、果物、野菜又はベリータイプの材料のような慣用の食品成分を含む食品産業で使用される、特に粉末形態のプレミックス及び該プレミックスの製造方法を記載する。
【0020】
ザウィストウスキー(Zawistowski)、国際公開第00/45648号パンフレットは、半流動体、流動体又は粘性ビヒクル中で、植物ステロール及び植物スタノールを分散及び懸濁し、その様に形成された該ビヒクルを衝撃力に曝露することによる植物ステロール及び植物スタノール又は両方の混合物の微粒子の製造方法を記載する。該方法は、微粒子を製造するために、好適な半流動体、流動体又は粘性ビヒクル中で、植物ステロール及び/又は植物スタノールを分散させるか、さもなくば懸濁し、続いてビヒクルに衝撃力を適用することが関与する。ザウィストウスキーは、空気噴霧ノズル、圧縮空気ノズル、高せん断ミキサー又はコロイドミルにより高せん断を作る事によるが、しかし、好ましくは、マサチューセッツ州ニュートンのマイクロフルイディックス インコーポレーション(Microfluidics Incorporation)から市販で入手可能なマイクロ流動化装置によりこれらの衝撃力を発生させる。ザウィストウスキーは、この方法で製造された植物ステロール及び/又は植物スタノールが、油ベースのデリバリーシステムだけでなく、他の媒体にもより大きな“溶解性”を有すること及びコーラ、ジュース又はダイエット用補助食品及び/又はミルク代替飲料のような飲料中に混和され得ることを見出した。
【0021】
植物ステロールの溶解性を向上させるために、幾人かの研究者は植物ステロールの種々の誘導体を合成した。例えば、米国特許第3,881,005号明細書に記載されるように、均一化、脱気、殺菌及びエバポレーション工程を介して、シトステロールを、デンプン水解物、二酸化珪素及びポリオキシレンソルビタンモノステアレートと特定比で混合し、経口用途の為の医薬粉末を形成した。
【0022】
米国特許第5,932,562号明細書は、植物ステロール、レシチン及びリゾレシチンの水性の均一ミセル混合物を開示するが、それは乾燥されて微粉化された水溶性粉末となる。他の水溶性植物ステロールは米国特許第6,054,144号明細書及び米国特許第6,110,502号明細書中で見られ得る。これらの特許によれば、水−分散性植物ステロールは、水中で、固定の比率のオリザノール又は植物ステロール、単官能性界面活
性剤及び多官能性界面活性剤を混合し、そして該混合物を乾燥することにより製造される。この製造方法は、単官能性界面活性剤と多官能性界面活性剤として、それぞれ、ポリオキシレンソルビタンモノパルミテートとソルビタンモノパルミテートを採用し、均一化工程及び脱気工程が無いことを特徴とする。
【0023】
米国特許第6,190,720号明細書は、コレステロール低下剤として使用され得る食品成分を開示し、該食品成分は、1種又はそれ以上の溶融した植物ステロールと1種又はそれ以上の脂肪及び1種又はそれ以上の乳化剤を組合せて均一とし、攪拌下で該均一混合物を約60℃に冷却してペーストとすることにより製造され得ることを教示する。この食品成分は、サラダドレッシング、マーガリン等の油ベースの食品に適用され得る。
【0024】
国際公開第00/33669号パンフレットは、植物ステロールが、食品乳化剤の溶解物中に溶解又は混合し得、ミルク又はヨーグルトのようなタンパク質−含有食品と混合し得、均一化し得、及び食品に添加し得ることを教示する。コレステロールを低下する食用製品の分散安定性は、タンパク質−含有物質の存在下においてのみ維持される。
【非特許文献1】レヴィ RI、“Declining Mortality in Coronary Heart Diseases”「Atherosclerosis」 1981年;1巻:312−325頁
【非特許文献2】ロー M.R.、ワルド N.J.、ウー.、ハックソー ZA.、ベイリー A.;“Systemic Understimation of association between serum cholesterol concentration and ischemic heart disease in observational studies”:BUPA研究からのデータS;「Br.Med.J.」1994年;308巻:363−366頁
【非特許文献3】ロー M.R.、ワルド N.J.、トンプソン S.G.;“By how much and how quickly does reduction in serum cholesterol concentration lower risk of ischemic heart disease?”;「Br.Med.J.」1994年;308巻:367−373頁
【非特許文献4】ラ ローサ J.C.、ハニングヘイク D.、ブッシュ D.等;“The cholesterol facts:A summary of the evidence relating to dietary fats,serum cholesterol and coronary heart disease”:A joint statement by the American Heart Association and the National Heart,Lung and Blood Institute.「Circulation」 1990年;81巻:1721−1733頁
【非特許文献5】ハベル R.J.、ラパポート E.;“Drug Therapy:Management of Primary Hyperlipidemia.”、「New England Journal of Medicine」,1995年;332巻:1491−1498頁
【非特許文献6】リーズ A.M.、モク H.Y.I.、リーズ R.S.、マックラスキー M.A.、グルンディ S.M.;“Plant sterols as cholesterol−lowering agents:clinical trials in patients with hypercholesterolemia and studies of sterol balance.”、「Atherosclerosis」 1977年;28巻:325−338頁
【非特許文献7】「New Eng.J.Med.」,336巻,973−9頁(1999年)
【非特許文献8】「J.Path.」181巻,93−9頁(1997年)
【特許文献1】米国特許第5,770,749号明細書
【特許文献2】国際公開第00/41491号パンフレット
【特許文献3】国際公開第98/58554号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/45648号パンフレット
【特許文献5】米国特許第3,881,005号明細書
【特許文献6】米国特許第5,932,562号明細書
【特許文献7】米国特許第6,054,144号明細書
【特許文献8】米国特許第6,110,502号明細書
【特許文献9】米国特許第6,190,720号明細書
【特許文献10】国際公開第00/33669号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、上記及び更に本明細書中に記載される欠点を除去するか又は軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の概要
本発明は、安定なエマルジョンであって、
a)水相が、遊離(エステル化されていない)形態にある1種又はそれ以上のフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含み;及び
b)油又は脂肪相が、エステル化された形態にあるフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含むところのエマルジョンを提供する。
【0027】
本発明は、更に、低脂肪エマルジョンであって、
a)水相が、遊離(エステル化されていない)形態にある1種又はそれ以上のフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含み;及び
b)油又は脂肪相が、エステル化された形態にあるフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含み、前記油又は脂肪相が、前記水相中の遊離フィトステロール又はフィトスタノール或いはそれらの混合物のテクスチャ特性(texturizing character)に起因して、減少した量の脂肪を含むところのエマルジョンを提供する。
【0028】
本発明は、更に、脂肪ベースの食品中の脂肪を減少する方法であって、該食品が、エマルジョンの水相中に1種又はそれ以上のフィトステロール又はフィトスタノール或いはそれらの混合物のテクスチャ化に十分な量を提供する事を含むところのエマルジョンを含む方法を提供する。
【0029】
本発明は、更に、動物における心血管疾患及びその潜在原因である、アテローム性動脈硬化症、高脂血症状態、脂質異常症、低αリポタンパク血症、高血圧症及び高コレステロール血症を含む病気の治療又は予防方法であって、
ここに記載されるエマルジョンの治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0030】
本発明は、更に、本発明の特異なエマルジョンが全て又は部分を形成する、食品、飲料、栄養補助食品及び医薬を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下の詳細な説明は、本発明実施において当業者を助けるために提供される。しかしながら、この詳細な説明は、本発明の範囲を必要以上に制限するために解釈されるべきではない。ここで議論される態様への改良及び変化は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなしに当業者によりなされ得る。
【0032】
ここで使用される、"動物"は、動物界の任意の構成員、好ましくはヒトを意味する。
ここで使用される"食品"は、ヒトの使用を含む動物の使用のための任意の安全な摂取可能な製品を意味し、"機能性食品"、“設計食品”及び“医薬食品”を含む。
ここで使用する、"機能性食品"は、通常の食餌療法の一部として消費される従来の食物と外見が似ているが、証明された生理学的な利益を有し及び/又は基本的な栄養補助機能を超えて病気の危険を減らす製品を意味する。
ここで使用される、"機能補助食品"は、丸剤、粉末、頓服水剤の形態及び一般的に食品とは関係ない他の医療用形態で調製されるが、生物学的な利益を有し又は病気に対する保護を提供する非医薬品製品を意味する。
【0033】
世界中のどこでも、機能補助食品、機能性食品、設計食品及び医薬食品は、病気の予防及び治療を含む医療又は健康の利益を提供すると考えられる食物又は食品成分と同義語である。
【0034】
本発明に従って、食品、飲料、栄養又はビタミン補給剤及び栄養補助食品中へ混和するための、1種又はそれ以上のフィトステロール及び/又はフィトスタノールを含む組成物が提供される。
以下に、組成物の成分をより詳細に記載する。
【0035】
フィトステロール/フィトスタノール
ここで使用される、用語"フィトステロール"は、制限無しで全てのステロール、例えば:シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール、ポリナスタステロール及び異性体を含むその全ての天然又は合成形態及び誘導体を含む。用語"フィトスタノ
ール"は、全ての天然又は合成形態及びそれらの誘導体、並びに異性体を含む飽和又は水
素化ステロールを指す。フィトステロール及びフィトスタノールへの改良、すなわち、側鎖を含むことも本発明の範囲内に収まると理解される。例えば、本発明の範囲は、明らかに24β−エチルシトスタノール、24−αエチル−22−デヒドロシトスタノールを含む。明細書を通して判別がつかない場合、及び他に指定がない限り、用語"フィトステロ
ール"は、ステロール及びスタノールの両方を包含するとまた理解される。最も好ましい
形態において、ステロールは、その飽和した形態であり及びシトスタノール、好ましくはβ−シトスタノールである。
【0036】
本発明に従って使用するためのそれらのステロール及びスタノールは、様々な自然源からもたらされ得る。例えば、それらはコーン油及び他の植物性油、小麦の胚種油、大豆抽出物、米抽出物、米ぬか、菜種油、ヒマワリ油、ゴマ油のような植物油(水性植物を含む)及び魚(及び他の海産源)油の加工から得られ得る。それらはまた菌類から誘導され得る、例えば、エルゴステロールである。従って、本発明はどれか1種類のステロールの源に限定されるものではない。米国特許第4,420,427号明細書は、メタノールのような溶媒を使用する植物性油スラッジからのステロール調製を教示する。もう一つの方法として、フィトステロール及びフィトスタノールは、例えば、参照によりここで盛り込まれる米国特許第5,770,749号明細書に記載されるように林業の副産物であるトール油ピッチ又は石けんから得られ得る。
【0037】
本発明の範囲内において、フィトステロール及びフィトスタノールの“エステル”は、
ここに記載されるエマルジョンを形成する前に、遊離のフィトステロール又はフィトスタノールがエステル化されるところの形態を呼ぶ。
【0038】
フィトステロール及び/又はフィトスタノールエステルを形成するために、多くの方法が技術的に知られている。例えば、一つ又はそれ以上の適する脂肪酸又はそれらの低沸点アルコールとのエステルは、選ばれたフィトステロール及び/又はフィトスタノールと共に縮合され得る。多種多様な脂肪酸又はそれらのエステルは、成功裏に使用され及び一つ又はそれ以上のカルボキシル末端基を有する一つ又はそれ以上のアルキル鎖から成る全ての脂肪酸を含み得る。それらの脂肪酸は、天然あるいは合成のものであり及び次の化学式により表される:
a)R1−COOH(モノカルボン酸)、式中:
R1は、CH3−、CH3CH2−又はCH3(CH2nCH2−(式中、n=3ないし25
)により表される枝分かれしてない飽和アルキル基を表し;もしくは
R1は、Cn2n+1(式中、n=1ないし25は、基R1において含有する炭素原子の数
を表す。)により表される枝分かれした飽和アルキル基を表し;枝分かれは典型的には限定はされないが一つ又はそれ以上のメチル基側鎖(枝分かれ)を指し;もしくは
R1は、式Cn2n-2m+1(式中、n=1ないし25はR1における炭素原子の数を表し、及びm=不飽和度である。)により表される枝分かれしてない又は枝分かれした不飽和アルキル基を表し、;又は
b)HOOC−R2−COOHは、ジカルボン酸を表わし、式中:
R2は、CH2−、又は−CH2CH2−、又は−CH2(CH2nCH2(式中、n=3な
いし25)により表される枝分かれしてない飽和アルキル基を表し、;もしくは
R2は、−Cn2n−(式中、n=1ないし25は基R2において含有する炭素原子の数
を表す。)により表される枝分かれした飽和アルキル基を表し;枝分かれは典型的には限定はされないが一つ又はそれ以上のメチル基側鎖(枝分かれ)を指し;もしくは
R2は、式Cn2n-2m(式中、n=1ないし25はR2における炭素原子の数を表し、及びm=不飽和度である。)枝分かれしてない又は枝分かれした不飽和アルキル基を表し;又は
c)式
【化1】

[この式において:
R3は、−Cn2n-1−(式中、n=1ないし25は基R3において含有する炭素原子の
数を表す。)により表される枝分かれした飽和アルキル基を表し;枝分かれは典型的に限定はされないが一つ又はそれ以上のメチル基側鎖(枝分かれ)を指し;もしくは
R3は、Cn2n-2m-1−(式中、n=1ないし25はR3における炭素原子の数を表し、及びm=不飽和度である。)により表される枝分かれした不飽和アルキル基を表す。]に
より表されるトリカルボン酸;又は
d)上記で定義されるような、分子中に1、2又は3個のヒドロキシル基を含有し得るモノ−、ジ−、又はトリカルボン酸。
【0039】
好ましい形態において、酸は直鎖の又は枝分かれした不飽和の又は飽和の、脂肪族又は芳香族酸である。より好ましくは酸は、とりわけ、次のリストから選ばれる:
バレリアン酸、イソバレリアン酸、ソルビン酸、イソカプロン酸、ラウリン酸、ミレスチン酸(myrestic acid)、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、アス
コルビン酸、アラキン酸、ベヘン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、ペンタデカン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、パルミトレイン酸及びオレイン酸。本発明の範囲内で最も好ましい脂肪酸は、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油及びコーン油(リノール酸)、紅花油、ヒマワリ油、オリーブ油及びホホバ油(リノレン酸及びアラキドン酸)及び菜種油(エルカ酸)のような自然源から得られ得るリノール酸、リノレン酸及びアラキドン酸である。
他の芳香族酸は、明らかに本発明の範囲内と考えられる。
【0040】
本発明に従ってフィトステロールエステルを形成するために、選ばれたフィトステロール及び酸又はその揮発性アルコールとのエステルは、フィトステロールの縮合を可能にする反応条件下で、エステルを製造するために酸と一緒に混合され得る。食用油脂産業において幅広く使用されるそれらのエステルを調製する最も好ましい方法は、米国特許第5,502,045号明細書(参照することにより本明細書に含まれる)に記載される。遊離フィトステロール、脂肪酸エステル又はその混合物及びナトリウムエチラートのようなエステル交換触媒以外の物質が使用されないので、その技術は最終的にヒトによる消費のための製品を調製するために極めて適する。要するに、本発明の範囲内での使用に適応されたこの好ましい方法は、温度90ないし120℃で植物性油脂肪酸エステル(好ましくはメチルエステル)とともにフィトステロール(類)を加熱すること、そして次にナトリウムエチラートのような適する触媒を添加することを含む。前記触媒は、次に専門分野で知られている技術の一つ、例えば水を加えること及び/又はろ過/遠心分離によって除去/破壊される。
【0041】
本発明に従い使用され得る別の方法は、参照することにより本書にまた含まれる米国特許第4,588,717号明細書に記載される。好ましい方法は、フィトステロールを脂肪酸とを一緒に混合し、混合物をおよそ1ないし3時間、約大気圧で約15℃から約45℃の温度に至らせることである。
【0042】
従って、ここで使用される用語"フィトステロールエステル"及び"フィトスタノールエ
ステル"に従う、可能な最も広範な定義は、脂肪族又は芳香族酸とのエステル化フィトス
テロール及びフィトスタノール(それによってそれぞれ脂肪族又は芳香族エステルを形成する)、フェノール酸エステル、桂皮酸エステル、フェルラ酸エステル、フィトステロール及びフィトスタノールグリコシド並びにアシル化グリコシド又はアシルグリコシドを含むが、これに限定されない。
【0043】
本発明のエマルジョンが、“健康に良い”脂肪ベースの食品又はエマルジョンベースの食品に関連する種々の工業的な問題を克服することが見出された。食品又は他の消費者提供品中に遊離のフィトステロール及びフィトスタノールを含むことは、それらのエステル化された対象物とは対照的に、以下の事実により望ましいと考えられる:1)フィトステロールエステルは、エステル化されていないフィトステロールよりも生物学的な効果が低い;2)フィトステロール又はフィトステロールエステルが低脂肪乳化製品の少量の脂肪相中に分配された場合、脂肪における高濃度のフィトステロールが口の中及び舌の上でワックス様の感覚を導くため、該製品の味に悪影響を及ぼす;及び3)フィトステロール/フィトスタノールの脂肪酸エステル化形態を合成及び送達するために、付加的な脂肪が製品中に供給される。
【0044】
これらの問題にも拘らず、上述のように、慣用的には、エステル化形態のフィトステロール及びフィトスタノールが脂肪ベースの食品へ及びエマルジョンの脂肪又は油相へ、しばしば好ましいものにおいて、遊離形態のフィトステロール及びフィトスタノールが殆ど完全に除外されたものへ添加される。更に、フィトステロール又はフィトスタノールが添加される場合、それらは脂肪部分又は油相中のフィトステロールエステル又はフィトスタ
ノールエステルと混合される。本発明は、このことが該ケースにおいて必要でないことを教示する。
【0045】
黄色脂質スプレッド(yellow fat spreads)のようなエマルジョンに関する慣用の実施の例は以下を含む:
欧州特許第0898896号明細書(ユニレバー)は、血中コレステロール低下効果を有する天然脂肪成分を含む脂肪ベースの食品(ここで、該脂肪は、少なくとも40%が脂肪酸エステルでエステル化されたステロールを含むステロール組成物を少なくとも1%含む。)を記載する。これらのステロールはヒマワリ種子油からの脂肪酸と65%のエステル化度でエステル化される。該ステロールエステル濃縮物は、他の食用油及び脂肪と共にスプレッド製造において使用される。最終的なステロール等価物濃度(遊離ステロール及びエステル化ステロールとして)は製品の11.0%であった。
【0046】
マーガリン、スプレッド及び塗るチーズ(spreadable cheeses)のような脂肪含有製品の製造において使用される脂肪ブレンドは、液体油画分及びいわゆるハードストックからなる。液体油画分は、典型的には、大豆油、ヒマワリ油、低エルカ酸菜種油(キャノーラ)、コーン油及び野菜油のブレンドのような液体の未変性野菜油を含む。ハードストックは、典型的には、室温で固体である脂肪のブレンドを含む。ハードストックは、結晶化して、テクスチャ、クリーム状であること及び口の中で溶けることのような特定の望ましい物性を最終製品に付与するトリグリセリドを高い割合で含む。テクスチャは、典型的には、粘度、可塑性、温度に対する固体脂肪含量及び融点のような多くの望ましい性質を包含する。
【0047】
ハードストックの少なくとも一部を、飽和脂肪酸及びトランス脂肪酸の望ましくない副作用無しに、食品に同様の感覚的利点を与えることができる他の成分に置き換えようとする多くの試みがなされてきた。米国特許第5,354,573号明細書は食品のテクスチャ化剤(texturizers)として脂溶性ポリマーの使用を教示する。
【0048】
脂肪含有製品に使用される脂肪ブレンドの、より健康的な脂肪酸プロファイルを得るための別のアプローチは、ハードストックの組成を変えて、ラウリン酸及びミリスチン酸のような脂肪酸のレベルを最小まで減少させることである。このタイプの脂肪酸は、血中のコレステロールレベルを増加するそれらの可能性が既知である。典型的には、該ハードストックは、完全に水素化された野菜油と液体不飽和野菜油との共−エステル交換により製造される。この製法は、「The Journal of the American Oil Chemists´ Society」(AOCS)72巻、(1995年)、379−382頁中で議論されている。
【0049】
その他は、ゼラチン、ペクチン、オリゴフルクトースのような安定剤及びキサンタンガム、グァーガム、アルギネート、カラギーナン及びセルロース誘導体のような異なるゲルによりマーガリン又はスプレッドの脂肪含有量を減少する試みを行ってきた。他の脂肪代替物も、飽和及びトランス不飽和脂肪の総含有量を減らしながら、最終製品の食感を模倣することを意図して使用されてきた。米国特許第5,502,045号明細書はコレステロールの吸収を減少させるためのシトスタノール脂肪酸エステルの使用を開示する。該特許の実施例5は、菜種油60%、部分硬化大豆油35%及びココナツ油5%から構成される脂肪を80%含むマーガリンを記載する。脂肪の10質量%ないし20質量%の量のβ−シトスタノール脂肪酸エステルが希釈剤として脂肪ブレンドに添加され、脂肪ブレンドの液体部並びにハードストックの双方を希釈する。
【0050】
国際公開第98/19556号パンフレット(Raisio)において、スタノール及びステロール脂肪酸エステル又はそれらのブレンドは、慣用のハードストックトリグリセ
リドの結晶ネットワークと類似の性質を有する結晶ネットワークを形成するのでテクスチャ化剤とみなされることが見出された。それらは、これらのテクスチャ化剤が、脂肪含有製品中に使用される脂肪ブレンド中の慣用のハードストックの代替物として、全部又は部分的に使用され得ることを示唆する。この役割において、遊離のフィトステロール又はフィトスタノールの使用は言及されていない。この技術に対する顕著な欠点は、エステルが代替物中で使用されるので、より少ないハードストックを必要とし得るが、該エステルがそれ自体脂肪成分を有するという事実が残ることである。本質的に、それは、1つの脂肪を別の脂肪に置き換えるだけである。
【0051】
驚くべきことに、本発明の範囲内において、遊離のエステル化されていないフィトステロール、フィトスタノール又は両方の混合物をエマルジョンの水相中に混和した場合、顕著なテクスチャ化特性を提供し(即ち、ハードストック又は脂肪の減少された量がそれ故必要とされるであろうことを意味する。)、且つ脂肪又は油相中のフィトステロールエステル又はフィトスタノールエステルの量を減少することを見出した。この手段により、エマルジョン中の実際の総脂肪は減少され得る。
【0052】
好ましい態様において、エマルジョンである脂肪ベースの食品において、遊離のフィトステロール/スタノール部分が、製造中に該エマルジョンの脂肪又は油相に添加されるフィトステロール/スタノールエステルの質量よりも多い質量において、製造中に該エマルジョンの水相へ添加される。
【0053】
更に好ましい態様において、エマルジョンである脂肪ベースの食品において、遊離のフィトステロール/スタノール部分が、製造中に該エマルジョンの脂肪又は油相に添加されるフィトステロール/スタノールエステルの質量よりも5ないし95%多い質量において、製造中に水相へ添加される。
【0054】
エマルジョンの形成
エマルジョンとは、2種の不混和相を含む細かく分配された又はコロイド分散液であり、例えば、油及び水の一方(内相又は不連続相)が他方(外相又は不連続相)中に液滴として分散される。そのため、水−中−油エマルジョンは、内相としての油、外相としての分散水からなり、油−中−水エマルジョンはその反対である。
【0055】
全てのタイプの標準的エマルジョン及びマイクロエマルジョンを含む多種類の乳化系が、本発明に従って形成され得る(即ち、水相中に遊離のフィトステロール/スタノールを有し、そして脂肪相中にエステル化されたフィトステロール/スタノールを有する。)。
【0056】
一般的に、エマルジョンは油及び水相、乳化剤、エマルジョン安定剤及び所望による防腐剤、香料、pH調整剤及び緩衝剤、キレート化剤、脱泡剤、張度組織調整剤及び酸化防止剤を含み得る。適した乳化剤(ここで括弧内の数字は好ましいHLB値を示す)は、アルコールエーテルサルフェート、アルキルサルフェート(30〜40)、石鹸(12〜20)及びスルホスクシネートのようなアニオン性界面活性剤、四級アンモニウム化合物のようなカチオン性界面活性剤、アルキルベタイン誘導体のような両性イオン界面活性剤、脂肪族アミンサルフェート、ジ脂肪族アルキルトリエタノールアミン誘導体(16〜17)のような両性界面活性剤、並びに脂肪族又は環式脂肪族アルコール、飽和脂肪酸及びアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体、ポリプロピレングリコール及びアルキルプロピレングリコールへの水溶性ポリエチレンオキシ付加物、ノニルフェノールポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシ−ポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコール、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ラノリンアルコール、ポリオキシエチル化(POE)アルキルフェノール、POE脂肪酸アミド、POE脂肪族アルコールエ
ーテル、POE脂肪族アミン、POE脂肪族エステル、ポロキサマー(7〜19)、POEグリコールモノエーテル(13〜16)、ポリソルベート及びソルビタンエステルのような非イオン性界面活性剤を含む。他の乳化剤も等しく適しているので、この列挙は余すところのないものであることを意図しない。
【0057】
適当なエマルジョン安定剤は、限定されることなく、ポリサッカリド(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラギーナン、グアーガム、カラヤガム、トラガカント、キサンタンガム)のような親液性コロイド、両性物質(例えば、ゼラチン)及び合成又は半合成ポリマー(例えば、カルボマー樹脂、セルロースエーテル、カルボキシメチルキチン、ポリエチレングリコール−n(エチレンオキシドポリマー(H(OCH2CH2nOH);
粘土(例えば、アタプルガイト、ベントナイト、ヘクトライト、カオリン、マグネシウムアルミニウムシリケート及びモンモリロナイト)、微結晶性セルロースオキシド及びヒドロキシド(例えば、アルミニウムヒドロキシド、マグネシウムヒドロキシド及びシリカ)を含む細かく分割された固形物;並びにアミノ酸、ペプチド、タンパク質レシチン及び他のリン脂質及びポロキサマーを含むサイボタクチック(cybotactic)促進剤/ゲル化剤を含む。エマルジョンの形成において使用される適した酸化防止剤は、クエン酸、EDTA、フェニルアラニン、リン酸、酒石酸及びトリプトファンのようなキレート化剤;アスコルビン酸、ナトリウムビスルフィット及びナトリウムスルフィットのような選択的に酸化された化合物;チオールのような水溶性連鎖停止剤及びアルキルガレート、アスコルビルパルミテート、第三ブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、ノルジヒドログアイアレチン酸及びα−トコフェロールのような脂溶性連鎖停止剤を含む。適した防腐剤、pH調節剤、及び緩衝剤、キレート化剤、浸透調節剤、着色剤及び香料が添加され得る。
【0058】
最も好ましい形態において、高HLB値を有する乳化剤が水相中で使用するために選択される。HLB系は界面活性剤の特性を記述するために使用されるスケールである。HLB系における詳細な情報及びHLB値の決定は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(3版)8:910−918頁中で見られ得るが、参照としてここに組み込まれる。7ないし18、特に8ないし18の範囲のHLB値を有する乳化剤は、しばしば水中油(O/W)エマルジョンと呼ばれる。W/O乳化剤は、1ないし9、特に1ないし6の範囲のHLB値を有する。HLB数は加法的であるため、HLBが既知の乳化剤のブレンドの総合的なHLB値は容易に計算することができる。
【0059】
本発明の1つの好ましい形態において、水相中に使用される何れの非ステロール乳化剤も17又はそれ以上のHLB値を有する。
一般に、そのような乳化剤は、平均、約10ないし約100のアルキレンオキシド、特に、エチレンオキシド残基を有するアルコキシレート乳化剤;糖モノ−エステル及びポリグリセロールモノ−エステル、ヒドロカルビル、特に、アルキル、ポリサッカライドを含む非−アルコキシレート乳化剤、グリセロールモノ−ラウレートのような、脂肪酸が8ないし12個の炭素原子を有する脂肪酸グリセロールエステル及びグルカミドのような脂肪酸N−糖アミドを含む。しかしながら、HLB要件を満たす液体乳化剤の何れのタイプも使用し得る。このタイプの他の乳化剤の例は、McCutcheon´s,1巻:Emulsifiers & Detergents,2000中に見出され得るが、これは参照としてここに組み込まれる。
【0060】
本発明の一つの好ましい観点に従って、水相中に使用するために選択され得る乳化剤特定の例は、限定されるものではないが:ナトリウムステアロイルラクチレート(“SSL”HLB 21)、スクロースモノステアレート、HLB 16;スクロースモノラウレート、ナトリウムオレアート HLB 18、カルシウムステアロイルラクチレート;ナ
トリウムオレアート(HLB 18);ポリオキシエチレン−20−ソルビタンモノパルミテート(HLB 15.6);ポリオキシエチレン−40−ステアレート(HLB 16.9);ツイーン20(POE(20)ソルビタンモノラウレート)(約16.7のHLB)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、及びポリオキシエチレンステアリン酸モノエステルを含む。加えて、エマルトップ(登録商標:Emultop)が使用され得る。
【0061】
本発明の範囲内で使用するための最も好ましい非−ステロール乳化剤は、乳酸及びステアリン酸を混合し、その後、成果物を水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムと反応させてナトリウム塩又はカルシウム塩を製造することにより製造され得るSSLである。
【0062】
エマルジョンの一般的な調製は以下の通りである:二相(油及び水)は個々に適当な温度まで加熱される(双方の場合で同じく、固形又は半固形の場合、最も高い融解成分の最高融点よりも一般に5ないし10℃高い、又は油相が液体であるとき、通常の実験により決定された好適な温度)。水溶性成分は水相(水)中に溶解され、そして油溶性成分は油相中に溶解される。水中−油エマルジョンを生成するためには、油相を水相中に激しく撹拌して好適な分散物を生成し、そして該生成物を攪拌しながら制御された速度で冷却させる。
【0063】
油−中−水エマルジョンは反対様式で形成され、即ち、水相が油相に添加される。親水コロイドが乳化安定剤として系の一部である場合、水相への添加の前に、コロイドが水相よりむしろ油相中に混合されることにより、相反転技術が用いられ得る。半固体である、本発明の油ベースの組成物の使用において、加熱する前に組成物を油相に添加するのが好ましい。
【0064】
標準エマルジョンより少なくとも1桁小さい粒度(10〜100nm)により特徴付けられ、また"単光学的に等方で熱力学的に安定な液体である水、油及び両親媒性物質から
なる系"として定義される(14)マイクロエマルジョンもまた本発明の組成物を含んで
形成され得る。好ましい形態において、マイクロエマルジョンは界面活性剤又は界面活性剤混合物、補助界面活性剤、(通常は短鎖アルコール)、本発明の油ベースの組成物、水及び所望による他の添加剤を含む。
【0065】
マイクロエマルジョンの形成における使用のために好適な界面活性剤又は界面活性剤混合物は、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性であり得、かつ1〜20の範囲内、より好ましくは2〜6及び8〜17の範囲内のHLB(親水−親油バランス)値を示す。特に好ましい薬剤は、脂肪族又は環式脂肪族アルコール、飽和脂肪酸及びアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体、ポリプロピレングリコール及びアルキルプロピレングリコールへの水溶性ポリエチレンオキシ付加物、ノニルフェノールポリエトキシエタノール、ヒマシ油ポリグリコールエーテル、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシ−ポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコール、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、ラノリンアルコール、ポリオキシエチル化(POE)アルキルフェノール、POE脂肪アミド、POE脂肪アルコールエーテル、POE脂肪アミン、POE脂肪エステル、ポロキサマー(7〜19)、POEグリコールモノエーテル(13〜16)、ポリソルベート及びソルビタンエステルからなる群より選択される非イオン性界面活性剤である。
【0066】
マイクロエマルジョンを作製するために、多くの既知で当業者により使用されている方法が存在する。本発明のマイクロエマルジョンの好ましい形成方法において、界面活性剤、補助界面活性剤、及びフィトステロール、フィトスタノール又はそれらの混合物(適当な油の好適な割合で予備溶解される)を混合し、そしてその後所望の透明度の系が得られ
るまで水を滴下する。
【0067】
本発明の範囲と供に、広範な定義が用語“エマルジョン”に許容されるべきと理解される。一般に、エマルジョンは、少なくとも2種の不混和液の混合物として定義され――それは食品においては通常油と水を意味する。少なくともこれらの一つは、その中に分散された(不連続、内)相が観られる、連続(又は外)相である。しかし食品産業はまた、その定義中に非−液体も含む――パン、肉エマルジョン及びアイスクリームのような製品。肉エマルジョンは、実際には、ゲル化タンパク質、ひき肉の水−中−油(O/W)マトリックス、乳化剤及び安定剤である。ベーカリー製品は、一般的には(幾つかのフィリング及びクリームを除く)気泡を支える澱粉及びタンパク質ネットワークのO/Wマトリックスである。バター及びマーガリンは油−中−水(W/O)脂肪−結晶ネットワークで構成される製品である。
【0068】
重要な水−中−油食品エマルジョン、その中で、油又は脂肪が分散相で、水が連続相であるものは、ミルク、クリーム、アイスクリーム、サラダドレッシング、ケーキバター、香料エマルジョン、肉エマルジョン及びクリームリカーを含む。油−中−水エマルジョン食品の例は、バター及びマーガリンである。
【0069】
本発明に従って創造される、乳化された脂肪ベースの製品は、特定の乳化剤がエマルジョンの調製の使用のために選択され得る、水−中−油(O/W、又は水連続)エマルジョン又は油−中−水(W/O、又は油連続)エマルジョンであり得る。スプレッド、マーガリン、アイシング、フロスティング等の製造中に形成される油中水(W/O又は油連続エマルジョン)は、水相中に遊離のフィトステロール/スタノールを添加することにより、それらの対応するエステルに比して増大した治療効果のためだけでなく、必要とされる固体脂肪又はハードストックの量の減少を可能とする予測できないが高度に有利なテクスチャ化効果により顕著に有利である。
【0070】
使用方法
本発明は、動物における心血管疾患及びその潜在原因である、アテローム性動脈硬化症、高脂血症状態、脂質異常症、低αリポタンパク血症、高血圧症、高コレステロール血症及び内臓型肥満を含む病気の治療又は予防方法であって、ここに記載されたエマルジョンの治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0071】
本発明は更に、動物における以下の予防及び治療目的;
血清LDLコレステロールを低下すること、血清HDLコレステロールを増加すること、及び血清トリグリセリド値を減少すること、の少なくとも1つを達成する方法であって、ここに記載されたエマルジョンの治療有効量を該動物に投与することを含む方法を提供する。
【0072】
本発明は更に、特に、食品、飲料、機能補助食品及び医薬品の部分を形成するが限定されるものでないこれらの適応症のために開示されたエマルジョンの使用を含む。
【0073】
特に、本発明のエマルジョンは、心血管疾患の多要因提示に寄与する少なくとも2つの明白な要因:高LDLレベル及び高い総コレステロールレベルに対処することにおいて特に有用であることが見出された。
【0074】
ここに記載された望ましい効果は、多くの異なった手段において達成しうる。上記のように、本発明のエマルジョンは、食品、飲料、機能補助食品、機能性食品を含む食品等の全部又は部分を形成することにより投与され得る。
【0075】
“治療的に有効”という用語は、以下に示す予防及び/又は治療ゴールの一種又はそれ以上を達成するために、動物、特にヒトにより服用されるか又は投与されるフィトステロール及び/又はフィトスタノール(遊離及びエステル化形態において)の組合せ量を限定することを意図する:
a)血清LDLコレステロールの低下;
b)血清HDLコレステロールの増加;
c)血清トリグリセリドレベルの減少;
d)CVDに一般的に関連する病気の治療;
e)アテローム性動脈硬化症の治療;
f)高コレステロール血症の治療;
g)高脂血症状態の治療;
h)高脂血症状態又は疾患の予防、減少、除去又は改善;
i)高コレステロール血症及び低αリポタンパク血症の予防、減少、除去又は改善;
j)アテローム性動脈硬化症の進展の予防、減少、除去又は改善;及び
k)血漿HDLの不足又はLDL、VLDL、Lp(a)、β−VLDL、IDL又は残留リポタンパク質の何れかの過剰により、それを原因として有するか又は悪化させられる全ての病気、疾病又は疾患の予防、減少、除去又は改善。
【0076】
本発明のエマルジョンは、それ自身既知のやり方、例えば、混合、溶解、粉末化、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥法のような、慣用のエマルジョン形成の手段で製造され得る。
【0077】
本発明の別の形態において、本発明のエマルジョンは、限定なしに、以下のものを含む食品、飲料、栄養補給剤及び機能補助食品の全部又は部分を形成し得る。
1)乳製品−例えば、チーズ、バター、ミルク及び他の乳飲料、スプレッド及び乳混合物、アイスクリーム及びヨーグルト;
2)脂肪をベースとする製品−例えば、マーガリン、スプレッド、マヨネーズ、ショートニング、料理及び揚げ油、及びドレッシング;
3)シリアルをベースとする製品−穀類を含む(例えば、パン及びパスタ)もの、これらの物品は、調理、焼き、又は他の加工がされているにかかわらない;
4)菓子類−例えば、チョコレート、キャンディ、チューインガム、デザート、非乳トッピング(例えば、クール・フィップ,登録商標:Cool Whip)、シャーベット、アイシング及び他のフィリング;
5)飲料−アルコール又は非アルコール飲料であり、そしてコーラ及び他のソフト飲料、ジュース、ダイエット補助食品並びに商標名ブースト(Boost)及び商標名エンシュア(Ensure)の下で販売されるもののような食事代替飲料を含む;及び
6)種々雑多な製品−卵及び卵製品、加工食品、例えば、スープ、調理済パスタソース、調理済食事等を含む。
【実施例】
【0078】
以下に示す実施例は、本発明の一つの観点を説明する方法で提供されるが、開示された発明の範囲を制限することを意図しない。
実施例1:スプレッド
Reducol 6%を含むライトマーガリン(60%脂肪)を5ないし10kgのバッチで製造した。カンペステロール、カンペスタノール、β−シトステロール及びシトスタノールを含むReducolを水相(水性)に添加した。透明な脂肪溶液(カンペステロールエステル、カンペスタノールエステル、β−シトステロールエステル及びシトスタノールエステルが溶解したエステル混合物中へ)を供給タンク(20L)中に置き、40ないし45℃に冷却し、(分散エレメントS50Nを備えたウルトラ−ツラックス T50、IKA Works Inc.,米国北カロライナ州ウイルミントン)を用いて攪拌
した。次に、水画分(40%)を添加し、温度を60℃に調節した。該ブレンドをvotator中に出し、8ないし10℃で加工した。マーガリンの組成物を以下に記載した。
【表1】

【0079】
参照:
1.レヴィ RI、“Declining Mortality in Coronary
Heart Diseases”「Atherosclerosis」 1981年;1巻:312−325頁
2.ロー M.R.、ワルド N.J.、ウー.、ハックソー ZA.、ベイリー A.;“Systemic Understimation of association between serum cholesterol concentration and i
schemic heart disease in observational stu
dies”:BUPA研究からのデータS;「Br.Med.J.」1994年;308
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3.ロー M.R.、ワルド N.J.、トンプソン S.G.;“By how muc
h and how quickly does reduction in serum cholesterol concentration lower risk of ischemic heart disease?”;「Br.Med.J.」1994年;308巻:367−373頁
4.ラ ローサ J.C.、ハニングヘイク D.、ブッシュ D.等;“The chol
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7.「New Eng.J.Med.」,336巻,973−9頁(1999年)
8.「J.Path.」181巻,93−9頁(1997年)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定なエマルジョンであって、
a)水相が、遊離(エステル化されていない)形態にある1種又はそれ以上のフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含み;及び
b)油又は脂肪相が、エステル化された形態にあるフィトステロール又はフィトスタノールを含むか或いはそれらの混合物を含むところのエマルジョン。
【請求項2】
前記フィトステロールが、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール、ポリナスタステロール及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体からなる群より選択される、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項3】
前記フィトスタノールが、全ての飽和されるか又は水素化されたフィトステロール及び異性体を含むそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体からなる群より選択される、請求項1記載のエマルジョン。
【請求項4】
前記油又は脂肪相中の前記フィトステロール及び/又はフィトスタノールが、脂肪酸エステル、芳香族酸エステル、フェノール酸エステル、シンナメートエステル、フェルレート(ferulate)エステル、フィトステロール/フィトスタノール配糖体及びフィトステロール/フィトスタノールアシル配糖体からなる群より選択される形態にあるところの請求項1記載のエマルジョン。
【請求項5】
イエロースプレッド(マーガリン)、バター、ドレッシング、マヨネーズ、ショートニング、フィリング、トッピング、クリーム、スープ、粉末クリーム又はソースである請求項1記載のエマルジョン。
【請求項6】
動物における心血管疾患及びその潜在原因である、アテローム性動脈硬化症、高脂血症状態、脂質異常症、低αリポタンパク血症、高血圧症、高コレステロール血症及び内臓型肥満を含む疾患の治療又は予防方法であって、
請求項1に記載のエマルジョンの治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項7】
前記動物がヒトである請求項6記載の方法。
【請求項8】
動物における以下の治療目的;
血清LDLコレステロールを低下すること、
血清HDLコレステロールを増加すること、及び
血清トリグリセリド値を減少すること、
の少なくとも1つを達成する方法であって、
請求項1に記載のエマルジョンの治療有効量を該動物に投与することを含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載のエマルジョンがその中に混和された食品。
【請求項10】
請求項1に記載のエマルジョンがその中に混和された飲料。
【請求項11】
請求項1に記載のエマルジョンがその中に混和された機能補助食品又は機能性食品。

【公表番号】特表2009−521416(P2009−521416A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546052(P2008−546052)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/CA2006/002075
【国際公開番号】WO2007/071036
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(501309163)フォーブス メディ−テック インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】