説明

水系2液型塗料組成物及び塗膜の形成方法

【課題】主剤と硬化剤の混和性に優れ且つ混合後時間が経過しても形成される塗膜の光沢低下が少ない水系2液型塗料組成物及び光沢の低下が少ない塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有する主剤と、
水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する硬化剤とからなる水系2液型塗料組成物とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水系2液型塗料組成物及び塗膜の形成方法に関し、より詳しくは、経時での光沢低下が少なく、主剤と硬化剤との混和性に優れた水系2液型塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
環境規制が厳しくなってきたことや省資源の観点から、塗料業界では有機溶剤を使用した溶剤型塗料から水を使用した水系塗料への転換がなされつつある。このような水系の塗料組成物としては、例えば、水酸基を有する含フッ素共重合体と、水分散性ポリイソシアネート及び増粘剤を含有してなり、25℃における粘度が5000〜15000mPa・sである水性塗料がある(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、硬化剤である水分散性ポリイソシアネートと主剤である水酸基を有する含フッ素共重合体とは、混和性が悪いという問題があった。そこで、混和性を良好にするために、例えば硬化剤の水分散性ポリイソシアネートを水溶性の溶剤で希釈して用いることが考えられる。しかしながら、溶剤で水分散性ポリイソシアネートを希釈した場合、硬化剤と主剤とを混合してから時間が経過した塗料組成物を塗布すると、形成される塗膜の光沢が著しく低下するという問題が生じる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−36024号公報(請求項1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した事情に鑑み、主剤と硬化剤の混和性に優れ且つ混合後時間が経過しても形成される塗膜の光沢低下が少ない水系2液型塗料組成物及び光沢の低下の少ない塗膜の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する硬化剤と、水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有する主剤から構成される水系2液型塗料組成物とすることにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明の水系2液型塗料組成物は、水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有する主剤と、水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する硬化剤とからなるものである。
【0008】
本発明の水系2液型塗料組成物においては、前記水分散性ポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートであることが好ましい。
【0009】
また、本発明の水系2液型塗料組成物においては、前記水分散性ポリイソシアネートと前記ジエチレングリコールジブチルエーテルとの配合割合が、水分散性ポリイソシアネート:ジエチレングリコールジブチルエーテル=9.5:0.5〜7:3(質量比)であることが好ましい。
【0010】
本発明の塗膜の形成方法は、水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する硬化剤と、水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有する主剤とを混合し、この主剤と硬化剤とを混合したものを被塗物上に塗装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水系2液型塗料組成物は、主剤と硬化剤の混和性に優れたものであり、また、主剤と硬化剤を混合した後の水と水分散性ポリイソシアネートとの反応を促進させないため、塗料組成物の経時変化が小さく、得られる塗膜の光沢が低下しない、すなわち、混合後ある程度時間が経過してから被塗物上に塗布しても良好な光沢を有する塗膜を得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0013】
本発明の水系2液型塗料組成物は、主剤と硬化剤からなる組成物であり、主剤は水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有し、硬化剤は水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する。
【0014】
硬化剤に含有される水分散性ポリイソシアネートとは、水に分散可能なポリイソシアネートを意味する。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられるが、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いることが好ましい。このように水に分散可能なポリイソシアネートを用いるため、後述する水を含有する主剤と混合すると、ポリイソシアネートが主剤中に均一に分散するため、均一な塗膜を形成することができる。
【0015】
硬化剤にジエチレングリコールジブチルエーテルを含有させると、硬化剤と後述する主剤とを混合した際に、硬化剤中の水分散性ポリイソシアネートと主剤中の水との反応が促進されないためか、主剤と硬化剤を混合してから時間が経過した後、例えば、混合後7時間程度経過してから被塗物上に主剤と硬化剤からなる本発明の塗料組成物を塗布しても、形成される塗膜の光沢は混合直後に塗布した場合の塗膜と比較してほとんど低下しない。また、水分散性ポリイソシアネートをジエチレングリコールジブチルエーテルで希釈しているため、硬化剤の粘度を下げることができるので、主剤との混和性が良好になる。
【0016】
一方、ジエチレングリコールジブチルエーテル以外の溶剤、例えば、プロピレンカーボネートを硬化剤に含有させると、硬化剤の粘度が低下するため主剤との混和性は良好になるが、プロピレンカーボネートが主剤中の水と水分散性ポリイソシアネートとの反応の媒体となるためか、主剤中の水と硬化剤中の水分散性ポリイソシアネートとの反応が顕著に起こり尿素化合物が生成し、また、主剤と反応することのできるポリイソシアネートが減少してしまうため、形成される塗膜の光沢は低下する傾向がある。なお、後者のプロピレンカーボネート等を硬化剤に含有させる場合であっても、本発明の塗料組成物と同様に主剤の溶剤が水の場合は、主剤と硬化剤を混合後、塗布しない状態、即ち容器に保存されている状態等では主剤の溶剤が揮発しないため、塗料組成物の粘度が上昇して塗布できなくなることはないが、光沢という塗膜の特性が著しく低下する傾向がある。
【0017】
水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルとの配合割合は、例えば、水分散性ポリイソシアネート:ジエチレングリコールジブチルエーテル=9.5:0.5〜7:3(質量比)とすることが好ましい。溶剤の割合が30wt%を超えると形成される塗膜に溶剤が残存してしまうため好ましくなく、また、溶剤が5wt%より少ないと硬化剤の粘度を十分に低下させることができないため好ましくない。
【0018】
本発明の水系2液型塗料組成物の主剤は水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有しており、当該水酸基を有する含フッ素共重合体は、微粒子として水中に分散しエマルションを形成している。この水酸基を有する含フッ素共重合体は、例えばフルオロオレフィン、水酸基を有するビニルモノマー及びその他のビニルモノマーを使用して製造することができる。
【0019】
フルオロオレフィンとして、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン、1−クロロ−1,2−ジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリフルオロプロピレン等を挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。本発明ではこれらを1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
水酸基を有するビニルモノマーとして、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシブチルアリルエーテル等のアリルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル類、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド等のアクリルアミド及びメタクリルアミド類等を挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。本発明ではこれらを1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
その他のビニルモノマーとして、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、β−カルボキシエチルメタクリレート、CF2=CFO(CF2)nCOOH(nは0〜8の整数)、CF2=CF(CF2)nCOOH(nは0〜8の整数)等のカルボキシル基含有ビニルモノマー、シクロヘキシルビニルエーテル、あるいはエチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等の炭素数2〜8の側鎖を有するビニルエーテル類、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、イソボルニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミド及びメタクリルアミド類、アリルグリシジルエーテル等のアリルエーテル類、CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2NCONH、CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2OCH2CH2NCONH等のアリルウレイドモノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー、一般式:CH2=C(R)COOXで表わされる化合物、例えばCH2=CHCOOCH2CF3、CH2=CHCOOCH2CF2CF2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF2)2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF2)3H、CH2=CHCOOCH2715、CH2=CHCOOCH2CH2817等のフッ素含有モノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の含珪素ビニルモノマー、2−アクリルアミノメチルプロパンスルホン酸、t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ、CH2=CHCH2OOCCH(SO3Na)CH2COOR、CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2OOCCH(SO3M)CH2COOR(M=Na、NH4)、アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート等のスルホン及びリン酸基含有モノマー等を挙げることができるが、これらに限定される訳ではない。本発明ではこれらを1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
水酸基を有する含フッ素共重合体は、フルオロオレフィン10〜60モル%、水酸基を有するビニルモノマー0.1〜50モル%及びその他のビニルモノマー1〜70モル%の割合で共重合させたものが適当である。
【0023】
水酸基を有する含フッ素共重合体は、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の重合溶媒の共存下に所定割合の上記の単量体混合物に重合開始剤を作用させて常法により共重合反応を行わせることによって製造することができる。
【0024】
また、該水酸基を有する含フッ素共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜50,000である。数平均分子量が5,000未満の場合には加工性が不良であるので好ましくない。逆に数平均分子量が100,000を越える場合には塗料化の段階での相溶性に難があり、塗膜の光沢が出にくく、耐汚染性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0025】
また、該水酸基を有する含フッ素共重合体のガラス転移温度は、好ましくは30〜60℃、より好ましくは35〜55℃である。ガラス転移温度が30℃未満の場合には、塗膜硬度が不足し、耐汚染性が低下する傾向があるので好ましくない。逆にガラス転移温度が60℃を越える場合には加工性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0026】
また、該水酸基を有する含フッ素共重合体の水酸基価は好ましくは30〜120mgKOH/gである。水酸基価が30mgKOH/g未満の場合には塗膜硬度が不足し、耐汚染性が低下する傾向があるので好ましくない。逆に水酸基価が120mgKOH/gを越える場合には加工性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0027】
市販の水酸基を有する含フッ素共重合体としては、例えばルミフロンFE4200、ルミフロンFE4400(旭硝子株式会社製)等がある。
【0028】
なお、水酸基を有する含フッ素共重合体の含有割合は、主剤中に30〜90wt%程度であることが好ましい。
【0029】
その他、必要に応じて、酸化チタン等の顔料、分散剤、消泡剤、造膜助剤、増粘剤、防腐剤等の水溶性塗料に使用できる各種の添加剤を含むことができる。
【0030】
なお、主剤と硬化剤の比率は、硬化剤中のイソシアネート基と主剤中の水酸基を有する含フッ素共重合体の水酸基との比率NCO/OH(モル比)が2/1〜1/2程度であることが好ましい。
【0031】
このような本発明の水系2液型塗料組成物は、各種の無機質素材、金属素材、木材素材、プラスチック素材等の様々な被塗物に適応でき、例えば、刷毛、スプレー、ローラーなどの塗装手段により塗装し、自然乾燥させるか、若しくは、50℃以上の温度で強制乾燥させることにより、光沢の優れた塗膜を形成することが可能である。
【実施例】
【0032】
本発明の水系2液型塗料組成物を以下に示す実施例等に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
(主剤の作製)
水性フッ素樹脂エマルジョン(商品名:ルミフロンFE4200、固形分:50wt%、粒子径:0.1〜0.2μm、OH価:54mgKOH/gポリマー、旭硝子株式会社製)、酸化チタン、分散剤(商品名:SNディスパーサント5027、サンノプコ株式会社製)、造膜助剤(ジエチレングリコールジブチルエーテル)、増粘剤(商品名:プライマルRM−8W、ローム・アンド・ハース社製)、消泡剤(商品名:FSアンチフォーム90、ダウコーニングアジア株式会社製)と脱イオン水を混合して、水酸基を有する含フッ素共重合体が主剤中に60wt%となるようにして、主剤を作製した。
【0034】
(硬化剤Aの作製)
水分散性ポリイソシアネート(商品名:バイヒジュール3100、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)のポリイソシアネート体、固形分:100wt%、粘度:3300mPa・s、NCO含有率:17.4%、住化バイエルウレタン株式会社製)を、硬化剤中にジエチレングリコールジブチルエーテルが20wt%となるように希釈したものを、硬化剤Aとした。
【0035】
(硬化剤Bの作製)
硬化剤Aの作製で用いたものと同様の水分散性ポリイソシアネートを、硬化剤中にプロピレンカーボネートが20wt%となるように希釈したものを、硬化剤Bとした。
【0036】
(実施例1)
主剤と硬化剤Aを、イソシアネート基と、水酸基を有する含フッ素共重合体の水酸基とが、NCO/OH=1.2/1(モル比)となるように配合し、十分に撹拌混合して、実施例1の塗料組成物を作製した。
【0037】
(比較例1)
硬化剤Aの代わりに硬化剤Bを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の塗料組成物を作製した。
【0038】
(比較例2)
硬化剤Aの代わりに、硬化剤Aの作製で用いたものと同様の水分散性ポリイソシアネートを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の塗料組成物を作製した。
【0039】
(試験例)
実施例1、比較例1及び比較例2の塗料組成物について、主剤と硬化剤との混合直後及び混合してから1〜7時間後に、それぞれ152μmのアプリケーターを用いてブリキ板に塗装し、14日間自然乾燥させた。この乾燥後の塗膜について、それぞれJIS K 5600−4−7に準拠し測定角を60°として、鏡面光沢度を測定した。なお、23℃、50%RHの環境下で行った。測定した各塗膜の60°鏡面光沢値、及び、混合直後の鏡面光沢値を基準として求めた光沢保持率を、表1〜2及び図1〜2に示す。また、硬化剤A及び硬化剤Bの希釈溶剤の物性を表3に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
表1及び2、図1及び2に示すように、ジエチレングリコールジブチルエーテルを用いて水分散性ポリイソシアネートを希釈した硬化剤Aを用いた実施例1は、主剤と硬化剤を混合してから7時間経過した後に塗膜を形成しても、光沢の低下はほとんど無かった。一方、プロピレンカーボネートを用いて希釈した硬化剤Bを用いた比較例1では、主剤と硬化剤を混合してから時間が経過した塗料組成物を用いて形成した塗膜は光沢が低下し、3時間以上経過したものについては、特に光沢の低下が著しかった。
【0044】
また、実施例1は、水分散性ポリイソシアネートを溶剤で希釈せず主剤と硬化剤の混和性が悪かった比較例2と同程度の光沢特性を示しており、水への溶解性が低い溶剤で硬化剤を希釈しても塗膜の特性に悪影響を与えず、主剤と硬化剤との混和性のみが向上することが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施例1及び比較例1〜2の塗膜の60°鏡面光沢値と経過時間との相関関係を示すグラフである。
【図2】実施例1及び比較例1〜2の塗膜の60°鏡面光沢保持率と経過時間との相関関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有する主剤と、
水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する硬化剤と、
からなることを特徴とする水系2液型塗料組成物。
【請求項2】
前記水分散性ポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の水系2液型塗料組成物。
【請求項3】
前記水分散性ポリイソシアネートと前記ジエチレングリコールジブチルエーテルとの配合割合が、水分散性ポリイソシアネート:ジエチレングリコールジブチルエーテル=9.5:0.5〜7:3(質量比)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系2液型塗料組成物。
【請求項4】
水分散性ポリイソシアネートとジエチレングリコールジブチルエーテルを含有する硬化剤と、水酸基を有する含フッ素共重合体と水を含有する主剤とを混合し、この主剤と硬化剤とを混合したものを被塗物上に塗装することを特徴とする塗膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−284624(P2007−284624A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116089(P2006−116089)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000003322)大日本塗料株式会社 (275)
【Fターム(参考)】