説明

水素化精製触媒及び水素化精製方法

【課題】脱硫特性及び脱メタル特性のいずれにおいても優れ、且つその性能を長期間に渡って維持することができる触媒を提供する。
【解決手段】重質油の水素化精製触媒は細孔直径60nm以下の細孔の細孔容量の合計が0.5ml/g以上であり、細孔直径8〜30nmに渡ってブロードなバンドを有する細孔径分布を示す。水素化精製触媒は脱硫特性及び脱メタル特性のいずれにおいても優れ、且つその性能を長期間に渡って維持することができる。この触媒を複数の触媒層を備える水素化精製装置に用いることで、脱硫性能を低下させることなく従来よりも高温で安定して運転することができ、それにより脱メタル特性も向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油残渣油のような重質油を水素化精製するのに好適な触媒並びにこの触媒を用いた水素化精製方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石油残渣油のような重質油の硫黄分、メタル分などの不純物を低減するために、水素化精製が行われている。水素化精製は、水素の存在下の高温・高圧条件で重質油と触媒を接触させることで行われる。重質油は、メタル分などを多く含むため、水素化精製を継続して行うと、触媒上にメタル分、コーク分が堆積して、触媒の活性を次第に低下させ、触媒活性が実質的になくなり、触媒寿命が尽きることとなる。重質油の水素化精製では、不純物を除去する除去性能をより向上し、かつ、用いる触媒の寿命をさら延長することが望まれている。このため、水素化精製触媒自体の性能の向上がはかられると同時に、複数の触媒を組み合わせて用いる方法も検討されている。
【0003】
特に、脱硫特性と脱メタル特性の両方を十分に満足させる触媒は、従来存在していなかった。このため、水素化精製反応装置では、脱メタル特性に優れた触媒が充填された前段触媒層と、脱硫特性に優れた触媒が充填された後段触媒層とからなる二つの触媒層を組み合わせて用いていた。しかしながら、前段及び後段の触媒層に充填する触媒量を調整しても、脱メタル特性と脱硫特性の両方をバランスよくしかも長期間に渡って維持することは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、不純物の除去性能が十分に高く、かつ、長い触媒寿命が達成されるような水素化精製方法は提供されていなかった。たとえば、反応温度を上げることで、不純物の除去性能を向上できるが、そのような運転はコーク分などの堆積を促進し、触媒の活性が急速に低下するため、長期間安定して運転することはできなかった。さらに、水素化精製触媒の改良により個々の触媒性能は向上しているものの、それを組み合わせた際に触媒の性能は十分に発揮されない場合もあった。また、石油需要は重質油よりも軽質な灯油・軽油などの中間留分の需要が多いため、重質油の水素化精製時に同時に起こる分解反応により、より多くの軽質な留分を得ることが望まれている。
【0005】
本発明は、前記従来技術の問題点を解消するために達成されたものであり、その第1の目的は、脱メタル特性と脱硫特性の両方に優れた触媒を提供することにある。本発明の第2の目的は、金属及び硫黄分などの不純物の除去性能が高くかつ長期間に渡ってその性能を維持することができ、さらには、軽質留分が多く得られる水素化精製方法及び水素化精製装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、細孔直径60nm以下の細孔の細孔容量の合計が0.5ml/g以上であり;(i)細孔直径8nm以下の細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の8%以下であり;(ii)細孔直径8〜13nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の15%以上であり;(iii)細孔直径13〜18nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の30%以下であり;(iv)細孔直径18〜30nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の35%以上であり;(v)細孔直径30〜60nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の10%以下である多孔性担体と、多孔性担体に担持された水素化活性金属とを備える水素化精製触媒が提供される。
【0007】
本発明の触媒は、図1の触媒#011の特性に示したように、細孔直径8〜30nmに渡って比較的ブロードなバンドを有する特徴的な細孔分布を有する。この特徴的な細孔分布により、この水素化精製触媒は脱硫特性及び脱メタル特性のいずれにおいても優れ、且つその性能を長期間に渡って維持することができることがわかっている。この触媒を、複数の触媒層を備える水素化精製装置に用いることで、脱硫性能を低下させることなく従来よりも高温で安定して運転することができ、それにより脱メタル性能も向上する。また、重質油の分解率も高くなるため、軽質な留分が多く得られる。また、上記のような細孔径分布を有する担体は、優れた機械的強度を有することがわかった。
【0008】
本発明の第2の態様に従えば、重質油の水素化精製装置であって:
第1触媒層と;
第1触媒層の下流に位置する第2触媒層と;
第2触媒層の下流に位置する第3触媒層と;を備え、
第1触媒層中の触媒の脱メタル反応の有効メタル堆積量が70以上であり、第2触媒層中の触媒の脱メタル反応の有効メタル堆積量が50以上であり且つ脱硫反応の有効メタル堆積量が50以上であり、第1触媒層と第2触媒層の触媒の合計容積が第1〜第3触媒層中の触媒の合計容積の45%以上であり、第2触媒層中の触媒の容積が第1〜第3触媒層中の触媒の合計容積の10%以上である水素化精製装置が提供される。
【0009】
本発明の水素化精製装置は、第1触媒層(上段触媒層)に脱メタル特性に優れた触媒を備えると共に、第2触媒層(中段触媒層)に脱メタル特性と脱硫特性の両方に優れた触媒を備えるために長期間に渡って優れた脱メタル特性と脱硫特性を維持することができる。また、この水素化精製装置から軽質な留分が多く得られる。
【0010】
本発明の水素化精製装置において、第1触媒層中の触媒は、耐火性多孔質担体と該担体に担持された水素化活性金属を有し且つ(a)窒素吸着法により求めた、細孔直径50nm以下の細孔の細孔容量が0.4ml/g以上であり;(b)水銀圧入法により求めた、細孔直径50nm以上の細孔の細孔容量が0.2ml/g以上であり;(c)水銀圧入法により求めた、細孔直径2000nm以上の細孔の細孔容量が0.1ml/g以下である細孔特性を有する触媒を用い得る。第2触媒層中の触媒としては、前述の本発明の触媒を用い得る。
【0011】
本発明の第3の態様に従えば、重質油を水素化精製する方法であって:第1触媒層とその下流に位置する第2触媒層とその下流に位置する第3触媒層とを用意し;重質油を水素の存在下で第1触媒層と第2触媒層と第3触媒層とに接触させることを含み;ここで、第1触媒層中の触媒の脱メタル反応の有効メタル堆積量が70以上であり、第2触媒層中の触媒の脱メタル反応の有効メタル堆積量が50以上であり且つ脱硫反応の有効メタル堆積量が50以上である水素化精製方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[上段触媒]
上段触媒層に充填される触媒(以下、上段触媒ともいう)は、脱メタル反応の有効メタル堆積量が70以上であり、好ましくは75以上、特に好ましくは80〜200である。脱メタル反応の有効メタル堆積量が70未満では、メタル分の堆積による触媒劣化が著しいため、長寿命とすることはできない。
【0013】
窒素吸着法により測定される上段触媒の好ましい細孔構造としては、細孔直径50nm以下の細孔容量が0.4cm/g以上、特には0.6〜1.1cm/gであり、細孔直径2〜60nmの細孔分布における中央細孔直径が6〜20nm、特には8〜15nmであり、比表面積が100〜350m/gであることが好ましい。この細孔直径50nm以下の細孔容量が0.4cm/g以上とすることで、メタル堆積による脱メタル活性の低下を少なくすることができる。
【0014】
なお、中央細孔直径は、窒素ガスの脱離過程における相対圧0.967の条件で得られる窒素ガスの吸着量を液体として換算した体積の値を細孔容積(V)として、BJH法によって算出された細孔容積と細孔直径との関係から、細孔直径の大きい側からの累積細孔容積が細孔容積の半分(V/2)となる細孔直径として測定することができる。窒素吸着法により細孔直径約2〜60nmの細孔分布を測定することができる。なお、BJH法は、Journal of the American Chemical Society, vol. 73, p.373- (1951)に開示されている。
【0015】
水銀圧入法により測定される上段触媒の好ましい細孔構造としては、細孔直径50nm以上の細孔容量が0.2cm/g以上、特には0.25〜0.40cm/gであり、細孔直径2000nm以上の細孔容量が0.1cm/g以下、特には0.05cm/g以下、さらには0.01cm/g以下である。細孔直径50nm以上の細孔容量が0.2cm/g以上とすることで、脱メタル活性を向上することができ、細孔直径2000nm以上の細孔容量が0.1cm/g以下とすることで、上段触媒の機械的強度を向上することができる。
【0016】
水銀圧入法による測定は、水銀の接触角度140°、表面張力480dyne/cmとし、2〜4225kg/cm(30.4〜60000psia)の範囲で行った。
【0017】
上段触媒を構成する多孔質無機酸化物担体としては、周期律表第2、第4、第13、及び第14族の元素の酸化物を用いることができる(周期律表はIUPAC1990年勧告による)。このうちでも、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、ボリア、カルシアなどが好ましい、これらは単独または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。特には、アルミナ(γ、δ、η、χなどの結晶構造を有するもの)、シリカ-アルミナ、シリカ、アルミナ-マグネシア、シリカ-マグネシア、アルミナ-シリカ-マグネシアが、特には、γ−アルミナが好ましい。触媒中にしめるアルミナがAl重量に換算して50重量%以上、特には70重量%以上である担体が好ましい。
【0018】
多孔質無機酸化物担体に担持される水素化活性金属成分としては、周期律表第6族、第8族、第9族及び第10族元素を用いることができ、特に、モリブデン、タングステンを用いることが好ましく、加えて、ニッケル、コバルトを用いることもできる。これらの元素は、金属、酸化物状態、あるいは硫化物状態で担体に担持させるとよい。水素化活性金属成分の含有量は、金属元素として、触媒重量に対して0.1〜25重量%の範囲が好ましく、特には0.5〜15重量%の範囲が、さらには、1重量%〜15重量%の範囲が好ましい。さらに、リンおよび/またはホウ素の化合物(通常は、酸化物の形態)を触媒中に元素重量として0.1〜20重量%、特には、0.2〜5重量%加えることが好ましく、これにより、脱メタル活性が向上する。
【0019】
上段触媒は、γ-アルミナを主成分した原料粉体を混合・成形し、焼成することで好ましく製造される。原料粉体中のγ-アルミナが触媒重量に対し60%以上、特には75%以上含有されていることが好ましい。
【0020】
用いられる原料粉体は、窒素吸着法による細孔直径60nm以下の細孔容量が0.4cm/g以上(好ましくは0.6〜1.0cm/g)かつ平均粒子直径1μm以上の粉体を用いることが好ましい。原料粉体の細孔容量が0.4cm/gに満たない場合には、上段触媒の細孔直径50nm以下の細孔容量が少なくなるため、有効メタル堆積量が少なくなる。平均粒子直径が1μmに満たない場合には、上段触媒の細孔直径50nm以上の細孔容量が少なくなるため、脱メタル活性が低下する。平均粒子直径が300μmを超える場合には、上段触媒の細孔直径2000nm以上の細孔容量が大きくなるため、上段触媒の機械的強度が低下する。本明細書中での平均粒子直径とは、一般の湿式のレーザー光散乱法で測定される、メジアン直径として測定できる。
【0021】
この原料粉体としては、平均粒子直径は300μm以下、特には1〜100μm、さらには10〜100μmのγ-アルミナが好ましく用いられる。γ-アルミナとしては、擬ベーマイトを450〜850℃で焼成したものが好ましく、このような原料として、使用済みの触媒、特にはγ-アルミナに水素化活性金属成分担持した水素化精製触媒の使用済みのものを用いることができる。原料粉体は、必要な平均粒子径を得るためにボールミル、ローラミル、ジェットミル、パルべライザーなどを用いて粉砕することもある。
【0022】
原料粉体の成形は、特に限定されるものではなく、例えば、原料粉体に水、有機溶媒などを加えてペースト状または粘土状として成形することができる。この成形は、押し出し成形、加圧成形、加工シートへの塗布などで行うことができる。成形後に、乾燥および必要に応じて焼成することで成形された担体を得ることができる。ゲル状またはスラリー状とした原料粉体をスプレードライなどで乾燥気体中に分散させて乾燥させることで、球状に成形することもできる。さらに、ゾル状またはスラリー状とした原料粉体を液中で球状に成形することもできる。また、原料粉体をそのまま成形する成形方法としては、原料粉体に必要に応じて成形助剤を加えて、錠剤機により加圧成形する方法や、転動造粒により成形する方法がある。
【0023】
原料粉体と液体との混合は、一般に触媒調製に用いられている混合機、混練機などにより行うことができる。上述の原料粉体に水を加えて投入し、攪拌羽根で混合する方法が好ましく用いられる。通常、この際には液体として水を加えるが、加える液体としては、アルコールやケトンなどの有機化合物でもよい。また、硝酸、酢酸、蟻酸などの酸やアンモニアなどの塩基、有機化合物、界面活性剤、活性成分等を加えて混合してもよく、特には水溶性セルロースエーテルなどの有機化合物からなる成形助剤を原料粉体に対して0.2〜5重量%、特には0.5〜3重量%加えることが好ましい。
【0024】
成形は、プランジャー型押出機、スクリュー式押出機などの装置を用いて、容易にペレット状、ハニカム状などの形状とすることができる。通常、直径0.5〜6mmの球状、円柱状、円筒状、もしくは、断面が三葉または四葉の柱状などの形状が用いられる。成形した後、常温〜150℃で、特には100〜140℃で乾燥した後、350〜900℃で0.5時間以上、特には500〜850℃で0.5〜5時間焼成することが好ましい。
【0025】
上段触媒に水素化活性金属成分を担持させる方法としては、担持法、練り込み法などを用いることができ、担持させる段階としては、γ-アルミナ原料、原料粉体、および、原料粉体の成形・焼成後の少なくとも一つの段階で行うことができる。例えば、使用済みの水素化精製触媒をγ-アルミナ原料として用いる場合には、γ-アルミナ原料にすでに水素化活性金属成分が担持されている。水素化活性金属成分を担持する方法としては、通常用いられる含浸法、例えば、ポアフィリング(pore-filling)法、加熱含浸法、真空含浸法、浸漬法などの公知の手法を用いることができる。金属成分を含浸した後、80〜200℃の温度で10分〜24時間乾燥し、400〜600℃、特には、450〜550℃の温度で15分〜10時間焼成することが好ましい。練り込み法としては、水素化活性金属成分をあらかじめ原料に含ませておいてもよいし、原料とともに混練して練り込んでもよい。
【0026】
上段触媒には、本出願人によるWO00/33957(PCT/JP99/06760)で開示している水素化精製用触媒を好ましく用いることができる。
【0027】
[中段触媒]
中段触媒層に充填される触媒(以下、中段触媒ともいう)は、脱メタル反応の有効メタル堆積量が50以上かつ脱硫反応の有効メタル堆積量が50以上である。脱メタル反応の有効メタル堆積量は、55以上、特には60〜100が好ましい。脱硫反応の有効メタル堆積量は、55以上、特には60〜100が好ましい。脱メタル反応の有効メタル堆積量および脱硫反応の有効メタル堆積量が50未満では、メタル分の堆積による触媒劣化が著しいため、長寿命とすることはできない。中段触媒の難脱硫化合物についての反応速度定数kh2と、下段触媒の難脱硫化合物についての反応速度定数kh3の比(kh2/kh3、以下、難脱硫速度定数比ともいう)が0.5以上、好ましくは0.5〜0.9、特に好ましくは0.6〜0.8、さらに好ましくは0.6〜0.7である。難脱硫速度定数比が0.5未満では、脱硫特性が不十分となる。
【0028】
窒素吸着法により測定される中段触媒の好ましい細孔構造を表1にまとめる。このような細孔分布を持つことにより、脱メタル特性、脱硫特性に優れ、長い寿命の水素化精製触媒となる。また、細孔直径2〜60nmの細孔分布における中央細孔直径が10〜25nm、特には15〜20nmであり、比表面積が100〜350m/gであることが好ましい。
【0029】
【表1】

【0030】
水銀圧入法により測定される中段触媒の好ましい細孔構造は、細孔直径50nm以上の細孔容量が0.2cm/g以下、特には0.1cm/g以下である。細孔直径50nm以上細孔容量が0.2cm/g以下とすることで、中段触媒の機械的強度を向上することができる。
【0031】
中段触媒を構成する多孔質無機酸化物担体および水素化活性金属成分は、上段触媒と同様であるが、水素化活性金属成分の含有量は、金属元素として、触媒重量に対して0.1〜25重量%の範囲が好ましく、特には0.5〜15重量%の範囲が、さらには、2.5重量%〜15重量%の範囲が好ましい。
【0032】
中段触媒は、擬ベーマイトなどのアルミナ(含水アルミナを含む)を主成分した原料を混合・成形し、焼成することで好ましく製造される。原料としては、擬ベーマイト粉体が好ましく用いられるが、γ−アルミナ粉体を加えることもできる。このようなγ−アルミナ粉体として、使用済みの触媒、特にはγ-アルミナに水素化活性金属成分を担持した水素化精製触媒の使用済みのものであって平均粒子直径は200μm以下、好ましくは1〜100μmに粉砕したものを用いることもできる。
【0033】
本発明者は、触媒の最終的な細孔分布は、原料である擬ベーマイト粉末及び混練成形物の細孔分布によって決定されるため、所望とする触媒の特定細孔分布を得るためには、原料である擬ベーマイト粉末の1次粒子(結晶子)の大きさを示す結晶子径や、混練時におけるほぐれ易さを示す解膠性指数が重要な因子となることに着目して、検討を進めた。その結果、中段触媒に必要な細孔分布を得るため、原料となる擬ベーマイト粉体は、解膠性指数が、0.05〜0.8の範囲、特には0.1〜0.5の範囲にあり、(020)方向の結晶子径が2.5〜6.0nm、特には2.5〜4.0nmの範囲にあり、かつ、(120)方向の結晶子径が4.0〜10nm、特には4.0〜6.0nmの範囲にあることが好ましいことを見出した。
【0034】
解膠性指数は、評価する擬ベーマイト粉体6g、水30cmと0.1規定硝酸60cmを容器に入れた後ブレンダーで解砕し、擬ベーマイトのスラリーとし、このスラリーを遠心管に移して3000rpmで3分間の遠心分離を行ない、懸濁部と沈降部をデカンテーションにより分離して別の容器に移し、乾燥後に固形分重量を測定した。懸濁部固形分重量と沈降部固形分重量の和である全固形分重量で懸濁部固形分重量を割った値を解膠性指数とした。結晶子径は、擬ベーマイト粉体のX線回折パターンから、擬ベーマイトの(020)、(120)方向のみかけの結晶子の大きさをシェラー法によって求めた。内部標準サンプルには、高純度な擬ベーマイトを1600℃で36時間焼成したα-アルミナを用いた。
【0035】
擬ベーマイト粉体は成形前に混練されることが好ましく、この混練は、一般に触媒調製に用いられている混合機、混練機などにより行うことができる。上述の原料粉体に水を加えて投入し、攪拌羽根で混合する方法が好ましく用いられる。通常、この際には液体として水を加えるが、加える液体としては、アルコールやケトンなどの有機化合物でもよい。また、硝酸、酢酸、蟻酸などの酸やアンモニアなどの塩基、有機化合物、界面活性剤、活性成分等を加えて混合してもよく、特にはアンモニア水、イオン交換水などのアルカリ性または中性の水溶液または水を加えて混練することが好ましい。原料の成形とその後の焼成および水素化活性金属成分の担持は、上段触媒と同様に行うことができる。
【0036】
[下段触媒]
下段触媒層に充填される触媒(以下、下段触媒ともいう)は、いわゆる脱硫触媒を用いることができる。窒素吸着法により測定される下段触媒の好ましい細孔構造としては、細孔直径60nm以下の細孔容量が0.5cm/g以上、特には0.6〜1.0cm/gであり、細孔直径2〜60nmの細孔分布における中央細孔直径が5〜15nm、特には7〜13nmであり、比表面積が150〜350m/gであることが好ましい。水銀圧入法により測定される下段触媒の好ましい細孔構造は、細孔直径50nm以上の細孔容量が0.2cm/g以下、特には0.1cm/g以下である。細孔直径50nm以上の細孔容量を0.2cm/g以下とすることで、下段触媒の機械的強度を向上することができる。
【0037】
下段触媒を構成する多孔質無機酸化物担体および水素化活性金属成分は、上段触媒と同様である。水素化活性金属成分の含有量は、金属元素として、触媒重量に対して0.1〜25重量%の範囲が好ましく、特には0.5〜15重量%の範囲が、さらには、2.5重量%〜15重量%の範囲が好ましい。
【0038】
下段触媒は、擬ベーマイトを主成分した原料を混合・成形し、焼成することで好ましく製造される。原料は成形前に混練されることが好ましく、この混練は、一般に触媒調製に用いられている混合機、混練機などにより行うことができる。上述の原料粉体に水を加えて投入し、攪拌羽根で混合する方法が好ましく用いられる。通常、この際には液体として水を加えるが、加える液体としては、アルコールやケトンなどの有機化合物でもよい。また、硝酸、酢酸、蟻酸などの酸やアンモニアなどの塩基、有機化合物、界面活性剤、水素化活性金属成分などを加えて混合してもよい。原料の成形とその後の焼成および水素化活性金属成分の担持は、上段触媒と同様に行うことができる。
【0039】
[水素化精製条件]
本発明は、処理対象の重質油を水素と共に上段触媒層、中段触媒層、下段触媒層の各触媒層に順次接触させることで水素化精製を行うものである。これらの触媒層は、同一の反応器に収納されていてもよいし、複数の反応器に分割して収納されていてもよい。各触媒層内へ水素を注入してもよい。この前段、後段でさらに他の水素化精製などの工程と組み合わされていてもよい。
【0040】
上段触媒層と中段触媒層の合計容積が全触媒層の45%以上であり、中段触媒層の容積を10%以上とすることが必要である。全触媒層の体積は、上段触媒層、中段触媒層および下段触媒層の合計の体積であり、いわゆるガード触媒、支持触媒などのような水素化精製触媒として十分な機能を持たない触媒、具体的には、上段触媒、中段触媒または下段触媒に必要な特性を満足しない触媒の容積は含まない。全触媒容量に対する各触媒層の好ましい容量%を表2に示す。なお、各触媒層は、同一種類の触媒のみが充填されていてもよいし、必要な特性を満足する複数の触媒を組み合わせて充填してもよい。また、好ましい反応条件を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
[重質油]
水素化精製の対象となる重質油は、沸点が360℃以上の留分を主成分とする、好ましくは沸点360℃以上の留分を50%以上、特には70%以上含む留分である。このような重質油としては、原油、タールサンド、シェールオイルあるいは石炭液化油等を常圧蒸留または減圧蒸留することにより得られる各種の重質留分や残渣油、あるいはこれらに分解、異性化、改質、溶剤抽出等の処理を行った留分を例示することができる。メタル分として、バナジウム、ニッケルを金属元素重量として、45重量ppm以上、特には60重量ppm以上含有する重質油を処理対象とすることができる。
【0043】
本発明は、長期間にわたり、高い分解率を得ることが可能となり、具体的には、250日以上、特には300日以上の運転期間において、平均分解率が14%以上となる。平均分解率は、運転期間を平均しての分解率であり、分解率は、次の式(1)で定義される。
【数1】

【0044】
[有効メタル堆積量]
脱メタル反応の有効メタル堆積量は、水素化精製により触媒にメタル分が堆積し、活性が低下して脱メタル率が50%となった時点のニッケルおよびバナジウムの堆積量であり、初期触媒100gあたりのニッケルおよびバナジウムの堆積量をg単位で表した値として定義される。脱硫反応の有効メタル堆積量は、水素化精製により触媒にメタル分が堆積し、活性が低下して脱硫率が40%となった時点のニッケルおよびバナジウムの堆積量であり、初期触媒100gあたりのニッケルおよびバナジウム堆積量をg単位で表した値として定義される。触媒評価の水素化精製は、反応温度390℃、水素分圧13.7MPa、液空間速度1.0hr−1、水素油比670L/Lの反応条件で行う。原料油としてボスカン原油を用いることが好ましい。
【0045】
[難脱硫化合物の反応速度定数]
含硫黄化合物を難脱硫化合物と易脱硫化合物の2種類に分割して、反応温度380℃における難脱硫化合物に対する反応速度定数k0を難脱硫化合物の反応速度定数とする。難脱硫化合物に対する反応速度定数k0および易脱硫化合物の反応速度定数k0は、含硫黄化合物による硫黄分濃度Cとその濃度変化ΔCの一次式反応として次の式(2)、(3)により示すことができる。
【数2】

【数3】

(ここで、ΔC、ΔCは、難脱硫化合物、易脱硫化合物の濃度変化;C0h、C0eは、原料油中の難脱硫化合物、易脱硫化合物の濃度;LHSVは液空間速度である。)
【0046】
少なくとも4つの異なったLHSVで硫黄分濃度変化ΔCを測定して、難脱硫化合物に対する反応速度定数k0を算出することができる。好ましいLHSVの範囲は、0.3〜2hr−1である。具体的には、次の式(4)に示すように、異なったLHSVでの生成油の硫黄分濃度を測定し、測定された転化率Xobsを求める。この値と式(5)で計算される転化率Xcalcとの差が最小になるように、最小自乗法により、難脱硫化合物に対する反応速度定数k0および易脱硫化合物の反応速度定数k0を算出することができる。
【数4】

【数5】

(ここで、ΔC、ΔCは、難脱硫化合物、易脱硫化合物の濃度変化;C0h、C0eは、原料油中の難脱硫化合物、易脱硫化合物の濃度;LHSVは液空間速度、aは原料油中の全硫黄化合物に占める易脱硫化合物の割合であり、(C0e/(C0e+C0h))である。)
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこの実施例により限定して解釈されるものではない。
【0048】
[触媒#100の調製]
市販の擬ベーマイト粉体Xを600℃で焼成し、γ−アルミナからなる原料粉体を作製した。この擬ベーマイト粉体Xの(020)結晶子径は2.70nmであり、また、(120)結晶子径は4.50nmである。γ−アルミナからなる原料粉体の細孔直径60nm以下の細孔容量が0.82cm/g、平均粒子直径12μmである。このγ−アルミナからなる原料粉体1.5kgにイオン交換水2120cm、水溶性セルロースエーテル52gを加えて混練した混練物を押し出し双腕式成形機を用い、最大外径1.9mmの四つ葉状開口から押し出し、成形物とした。この成形物を、乾燥機を用いて130℃で15時間乾燥させた後、空気の気流下で800℃で1時間焼成を行い、担体とした。この担体に、モリブデン、ニッケルおよびリンを含む酸性水溶液をスプレー法で含浸し、130℃で20時間乾燥した。ついで、空気の気流下で450℃で25分焼成を行い、元素重量としてモリブデンを3.0重量%、ニッケルを1.0重量%、リンを0.6重量%含有する触媒#100を調製した。
【0049】
[触媒#011、#013の調製]
解膠性指数は0.20であり、(020)結晶子径は2.70nmであり、また、(120)結晶子径は4.50nmである市販の擬ベーマイト粉体Yを用いた。この擬ベーマイト粉体2kgに1重量%アンモニア水1Lと水0.9Lを加えて1時間混練して混練物を得た。これを双腕式押し出し成形機を用い、最大外径1.9mmの四つ葉状成形物とした。これを130℃で10時間乾燥した後、800℃で1時間焼成し、γ-アルミナからなる担体を得た。この担体に、触媒中の元素重量としてモリブデンが6重量%となるモリブデン酸アンモニウム水溶液をスプレー法で含浸し、130℃で15時間乾燥した後、さらに触媒中の元素重量としてニッケルが1.5重量%となる硝酸ニッケル水溶液をスプレー法で含浸し、130℃で15時間乾燥した。ついで、空気の気流下で450℃で25分焼成を行い、元素重量としてモリブデンを6重量%、ニッケルを1.5重量%含有する触媒#011を調製した。
【0050】
800℃での焼成時間を1.5時間とした以外は、触媒#011と同様の条件にて触媒#013を調製した。
【0051】
[他の触媒調製]
触媒#011と類似する触媒を以下のように調製した。
【0052】
[擬ベーマイト粉体の合成]
中和沈殿槽内の300Lの水を65℃となるように加熱し、その中和沈殿槽に60℃に加熱した1M濃度のアルミン酸ナトリウム水溶液125Lと0.5M濃度の硫酸アルミニウム水溶液127Lを同時に送液した。硫酸アルミニウムの送液速度は、中和沈殿槽内の混合溶液のpHが9.0で一定となるように微調整した。両溶液の送液の間、沈殿反応が起こり、沈殿生成時の溶液の温度を65℃に維持した。アルミン酸ナトリウム水溶液及び硫酸アルミニウム水溶液の送液を送液開始から22分で終了し、溶液の温度を60℃に下げた後、その温度で維持したまま溶液を攪拌して30分間熟成させた。熟成後、得られたスラリーを濾過し、洗浄して固形分を得た。固形分をスプレードライヤーにて乾燥して擬ベーマイト粉体Aを得た。
【0053】
擬ベーマイト粉体Aの解膠性指数は0.46、(020)方向の結晶子径は2.41nm、(120)方向の結晶子径は3.81nmであった。
【0054】
なお、原料であるアルミン酸ナトリウム水溶液及び硫酸アルミニウム水溶液は、アルミ合金(H4100で規定された化学成分を有するJIS6063合金)を水酸化ナトリウム及び硫酸にそれぞれ溶解した水溶液を使用した。
【0055】
沈殿生成時の溶液の温度を70℃に調節した以外は、擬ベーマイト粉体Aと同様の条件にて擬ベーマイト粉体Bを合成した。擬ベーマイト粉体Bの解膠性指数は0.22、(020)方向の結晶子径は2.83nm、(120)方向の結晶子径は4.57nmであった。
【0056】
沈殿生成時の溶液の温度を70℃に調節し、原料として市販のアルミン酸ナトリウム(昭和電工製)及び硫酸アルミニウム(日本軽金属製)を用いた以外は、擬ベーマイト粉体Aと同様の条件にて擬ベーマイト粉体Cを合成した。擬ベーマイト粉体Cの解膠性指数は0.41、(020)方向の結晶子径は3.32nm、(120)方向の結晶子径は4.94nmであった。
【0057】
擬ベーマイト粉体A、擬ベーマイト粉体Bおよび擬ベーマイト粉体Cを用い、この擬ベーマイト粉体1.5kgに水1.5Lを加えて混練した以外は、触媒#011と同様の条件にて触媒#5521、触媒#5523および触媒#5534をそれぞれ調製した。擬ベーマイト紛体Cを用い、この擬ベーマイト紛体1.5kgに水0.8Lと1%濃度の硝酸0.8Lを加えて混練した以外は、触媒#011と同様の条件にて、触媒#5535を調製した。
【0058】
[他の触媒の入手]
触媒#606はオリエントキャタリスト製HOP606(金属担持量:Moを3wt%、Niを1wt%)を、触媒#611はオリエントキャタリスト製HOP611(金属担持量:Moを6wt%、Niを1.5wt%、Pを1wt%)を、また、触媒#802はオリエントキャタリスト製HOP802(金属担持量:Moを8wt%、Niを2.2wt%)を用いた。なお、以下の触媒評価においては、二硫化炭素1重量%を溶解した軽油に触媒を事前に接触させることで、硫化処理を行った。
【0059】
[反応速度定数の評価]
100cmの触媒を内直径25mm、長さ1000mmのリアクターに充填し、表3の常圧残渣油を原料油とし、反応温度380℃、水素分圧14.0MPa、水素油比1000L/Lの反応条件で、平均液空間速度を0.33、0.66、1.0、2.0に変えて反応を行い、原料油硫黄濃度Cと硫黄濃度変化ΔCをそれぞれ測定し、転化率ΔC/Cを得た。この4点と原点の値である1/LHSV=0の時、ΔC/C=0の値を、式2〜5に代入して最小自乗法によりに難脱硫化合物に対する反応速度定数k0と易脱硫化合物の反応速度定数k0を求めた。
【0060】
【表3】

【0061】
[有効メタル堆積量の評価]
200cmの触媒を内直径25mm、長さ1000mmのリアクター2本に等量ずつ充填し、反応温度390℃、水素分圧13.7MPa、液空間速度1.0hr−1、水素油比670L/Lの反応条件で、原料油として表3に示すボスカン原油を用い、ニッケルおよびバナジウムの堆積量に対する脱メタル率および脱硫率の関係をそれぞれ測定した。図2に各触媒(#011、#013、#5521、#5523、#5534のみ)のニッケルおよびバナジウムの堆積量に対する脱メタル率の変化を示す。また、図3に各触媒(#011、#013、#5521、#5523、#5534のみ)のニッケルおよびバナジウムの堆積量に対する脱硫率の変化を示す。
【0062】
[触媒の評価結果]
用いた触媒の評価結果を表4、表5にまとめる。60nm以下の細孔容量は窒素吸着法により、50nm以上、2000nm以上の細孔容量は水銀圧入法により測定した。窒素吸着法により測定した50nm以下の細孔容量は、触媒#100が0.70cm/g、触媒#606が0.76cm/gであった。各触媒(#011、#013、#5521、#5523、#5534及び#5535)の60nmまでの細孔径分布を図1に示す。本発明に従う触媒#011、#013、#5523、#5534及び#5535はいずれも、8〜60nmの範囲において極めてブロードなバンドを示していることがわかる。
【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
[触媒寿命の評価]
表6に示す3組の触媒組み合わせを、表3に示す混合残渣油を原料油として水素化精製を行うことで、触媒寿命を評価した。触媒の組み合わせを、図4に示すような水素化精製装置10に充填した。水素化精製装置10は、内直径25mm、長さ1000mmの第1リアクター2及び第2リアクター4を備える。第1リアクター2の上流側に位置する触媒層2aに上段触媒を、下流側に位置する触媒層2bに中段触媒をそれぞれ充填した。下段触媒を第2リアクター4の触媒層に充填した。各触媒層への触媒の充填量を表6に示す。各リアクターは温度調節器(不図示)をその周囲に備える。反応条件は、水素分圧14MPa、水素油比800L/Lとし、液空間速度は、加速試験モードでは0.36hr−1、実運転条件に近い評価条件モードでは0.27hr−1とした。評価は、加速試験モードの運転条件で、7300時間運転を行い、その間に、評価条件モードの運転を行い、触媒活性を評価した。反応生成油の360℃以上の留分に含まれる硫黄分を0.5%となるように触媒層の反応温度を調整し、下段触媒層は上段および中段触媒層よりも10℃高い温度に設定した。
【0066】
【表6】

【0067】
評価条件モードでの触媒重量平均温度の推移を図5、図6に示す。組み合わせ1、2(実施例)は、組み合わせ3(比較例)と比べて、運転開始当初は温度が高いが、長期間運転しても温度の上昇は小さい。組み合わせ1、2(実施例)は、高温で長期間運転しても触媒劣化が少なく、長寿命であることがわかる。触媒重量平均温度が405℃に達するまでの運転日数を触媒寿命とすると、実施例では300日以上であるが、比較例では242日の触媒寿命であった。それまでの期間の平均脱メタル率および平均分解率でも、実施例は比較例よりも優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、脱メタル特性と脱硫特性の両方に優れた触媒並びに、金属及び硫黄分などの不純物の除去性能が高くかつ長期間に渡ってその性能を維持することができさらには軽質留分が多く得られる水素化精製方法及び水素化精製装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、本発明の実施例に従う触媒担体の細孔径分布を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例で製造した触媒のニッケル及びバナジウムの堆積量に対する脱メタル率を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例で製造したニッケル及びバナジウムの堆積量に対する脱硫率を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明に従う水素化精製装置の具体例を示す概念図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1と比較例による反応温度の経時変化を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例2と比較例による反応温度の経時変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔直径60nm以下の細孔の細孔容量の合計が0.5ml/g以上であり、
(i)細孔直径8nm以下の細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の8%以下であり、
(ii)細孔直径8〜13nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の15%以上であり、
(iii)細孔直径13〜18nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の30%以下であり、
(iv)細孔直径18〜30nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の35%以上であり、かつ、
(v)細孔直径30〜60nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の10%以下である多孔性担体と;
上記多孔性担体に担持された水素化活性金属とを備える水素化精製触媒。
【請求項2】
細孔直径13〜18nmの細孔の細孔容量が前記細孔容量の合計の15%〜30%である請求項1に記載の水素化精製触媒。
【請求項3】
脱メタル反応の有効メタル堆積量が50以上であり且つ脱硫反応の有効メタル堆積量が50以上である請求項1に記載の水素化精製触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−289954(P2007−289954A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134730(P2007−134730)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【分割の表示】特願2002−501577(P2002−501577)の分割
【原出願日】平成13年6月7日(2001.6.7)
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)
【Fターム(参考)】