説明

水素結合水の製造方法及び水素結合水の製造装置

【課題】 電解還元法以外の方法で、pHが水道水基準の範囲内で、通常の水道水のように、多量に飲用しても問題がなく、多量の水素ガスを含有し、酸化還元電位が−400mV〜−550mVの還元水を得る方法及び装置の提供。
【解決手段】 耐圧タンクの内部上部に、上向きに開口した容器を配置し、該耐圧タンクに水素ガスを充満させて耐圧をかけ、前記容器の上部から、開口部中央に向けて水を噴射し、この噴射水に水素ガスを巻き込ませ、多量の水素ガスを含んだ気泡を発生させ、耐圧タンクの水素ガスの耐圧により、気泡状の水素を水に溶解させ、この水中に多量の水素を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人、動物、植物の健康増進・維持に役立つ水素結合水の簡易な製造方法及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アルカリイオン水が健康に良いこと、病気等に優れた効果があること、更には癌細胞の転移を抑制する効果があることなどが知られており、このアルカリイオン水を製造する装置が広く普及している。これらのアルカリイオン水は、陽極及び陰極を用いて水道水や食塩水を電気分解し陽極側に酸性の水、陰極側にアルカリ性の水を生成させ、この内の陰極側のアルカリ性の水を利用するものである。このアルカリ性の水は水酸化物イオン(OH−)を多く含み、更には水の電気分解によって発生した水素ガスが溶解しているために、還元性を示し、そのためアルカリ還元水又はアルカリイオン水とも称される。
【0003】
このアルカリイオン水は、酸化還元電位が低くて還元力を示すと共に、通常pH9を超えるアルカリ性を呈している。しかし、酸化還元電位が低く、高い還元力を有する水を得ようとすると、その分だけヒドロキシルイオン濃度が高くなり、飲用が不適であるとされるpH10以上のアルカリ性水となってしまう。加えて、アルカリイオン水は健康に良いということが知られているとはいえ、胃液は酸性であるから、pH9程度のアルカリイオン水でも、多量に飲用するにはpHが高すぎるので、逆に不健康になる要因となり、不適当であると言う問題点が存在していた。
【0004】
そこで、pHが中性近くで還元力の大きい、即ち、酸化還元電位の低い水の提供が求められているが、従来のアルカリイオン水(アルカリ還元水)の製造装置では飲用に適しているpH9以下の水では十分な還元力がえられなかった。例えば、下記の特許文献1の実施例に開示されている電解還元水では、NaOHを含有する水溶液を水素ガスが発生しないように、電気分解することにより、pH10.7で−729mVの水がえられているが、pH9.6〜9.9では−70mV〜−211mVの水がえられると開示されている。このpH9以上の水は通常飲用に適さないことは、水道水基準のpHが5.8〜8.6に規定されていることから明らかである。
【0004】
【特許文献1】 特開2001−137852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、電解還元法以外の方法で、pHが水道水基準の範囲内で、通常の水道水のように、多量に飲用しても問題がなく、多量の水素ガスを含有し、酸化還元電位が−400mV〜−550mVの還元水を得る方法について種々研究を重ね、本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の請求項1の発明は、耐圧タンクの内部上部に、上向きに開口した容器を配置し、該耐圧タンクに水素ガスを充満させて圧力をかけ、前記容器の上部から、開口部中央に向けて水を噴射し、この噴射水に水素ガスを巻き込ませ、多量の水素ガスを含んだ気泡を発生させ、耐圧タンクの水素ガスの圧力により、気泡状の水素を水に溶解させ、この水中に多量の水素を含有させることを特徴とする水素結合水の製造方法である。
【0007】
本発明の請求項2の発明は、耐圧タンクに水道水を満たした後に、水素ガスを該耐圧タンクに圧入し、この水素ガスの圧力で、タンク内の水を排出して、脱氣及び水素ガスの充填を行う、請求項1の水素結合水の製造方法である。また、請求項3の発明は、耐圧タンク内の圧力を、水道水の水圧によって耐圧タンクに圧入した水素ガスの圧力を高め、この水素ガスを水に溶解させることを特徴とする請求項1の水素結合水の製造方法である。こうすることで、圧入された水素ガスはより高効率に水に溶解する。
【0008】
本発明の請求項4の発明は、耐圧タンク内の上部に、上向きに開口した容器が配置され、この耐圧タンクに水素ボンベと水道水の導管が接続され、耐圧タンクの下部に水素溶解水の排出口が設けられたことを特徴とする水素結合水の製造装置である。
【0009】
本発明の請求項5の発明は、耐圧タンクの内部に導入された水道水導管が、上向きに開口した内部容器の中央付近において容器底部に向かって直角に屈曲された噴出口をもつことを特徴とする請求項4の水素結合水製造装置である。
【0010】
本発明の請求項6の発明は、請求項1〜5において、水素結合水として取り出された水素溶解水が旋回流方式のマイクロバブル発生装置に導入されてより安定な水素結合水が生成されることを特徴とする水素結合水製造方法又は製造装置である。
【0011】
上記した本発明の基本原理は、水素ガスを充満して加圧した耐圧タンク内に配置された容器の中に、水を噴射させて水素の気泡の集合体を形成させ、気液接触面積を増大することにより、水素を高効率に溶解するものである。
即ち、この原理は、圧力効果と気泡発生による気液接触面の面積増大の効果を組み合せ、液体、すなわち水中に、水素を効率的に溶存させるものである。
【0012】
更に詳細に、本発明を説明すると、水素ガスを充填して水素ガスにより加圧状態の耐圧タンク内の上部に上向きに開口をもつ容器を配置し、この容器の上方から開口部中央部に向けて充満している水素ガスを多量に巻き込むように水(水道水)を噴射して、容器内部に多量の水素の気泡を発生させる。
【0013】
タンク内(上部開口容器も含めて)に充満している水素ガスを多量に巻き込むためには、耐圧タンクに導入される導管がほぼ直角に曲げられて、上向きに開口をもつ容器の底部に向かってほぼ直角に位置している。このため噴射口から噴出する水は、勢い良く上向きに開口をもつ容器の底部に衝突し、その結果、噴出水は、乱流を起こし、ノズルから飛沫状に噴射されることにより、水素ガスを多量に巻き込むことができる。この場合、更に水の噴出力を益すためと、乱流(撹乱)を増すためには、ノズルの口径を導管の1/2〜1/4程度に絞ることも有効である。
【0014】
容器内に充満している水素ガスを巻き込んだ水が容器内に突入すると多量の気泡が発生し、容器の底に衝突した後、容器の内周壁に沿って上昇する流れを形成する。容器内に発生した大量の気泡はこの流れに乗って上昇し、重力の作用により気泡と液体が上下に分離し、容器の上部には水が突入する中央部以外は気泡が幾重にも折り重なった状態が形成される。そして気泡群を構成する個々の気泡は順次容器の縁から落下するが、このときに破裂して液体(水素ガスを多量に溶解した水)となって耐圧タンク内の下部に溜り、タンク外に排出される。
【0015】
更に詳細に、上記の状況を説明すると、気泡が容器内の上部に集積した状態では、水は液薄膜として存在し、周囲の気体(水素)と同じ耐圧状態で気体(水素)と接している。即ち、容器内に導入された水の全てが、一旦は気泡表面の液薄膜の構成要素となり、同一の体積の水に対して気液接触面積を最大限に増加させ、その後に気泡が破裂することにより、従来では実現しなかった、大量の水素を含有(結合)した水、即ち水素結合水(水素水とも言う)を製造することができるのである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上の構成をとったために、以下の効果を有する。即ち、従来の電氣分解による所謂電解水由来の水素を含有する水に比較して多量の水素を含有し、その酸化還元電位はマイナス400〜マイナス500mVを示す水素結合水(水素水)を簡易に製造することができる。しかも、従来の電解水では酸化還元電位を下げようとすると水のpHが9以下と、飲用に不適な水となっていたが、本発明では、pH7〜7.5とほぼ中性の水とすることができた。
その結果、動植物、特に人の体中の活性酸素を中和し、加齢や生活習慣によるあらゆる障害の基を消化し、健康な身体とする基礎を提供することが出来る。
【実施例】
【0017】
本発明を更に詳細に、実施例をあげて説明する。
即ち、本発明に使用する水素結合水(水素水)の製造装置を模式的に図1に示す。
製造装置は、バッチ式で示すが、主要部は水素溶解タンク1、水素ボンベ2、水道3の主要構成からなり、この水素溶解タンク1の内部の図示は省略するが、タンクは耐圧タンクで、2Mpa程度の耐圧性で良く、タンク1の内部上部に上向きに開放した容器が取り付けられており、この容器の底に向かって水道水が勢い良く噴射される。
【0018】
この装置を使用して水素結合水(水素水)の製造する操作手順は、
▲1▼ まず、弁a、dを開け、水道3から水道水を水素溶解タンク1に大気圧下で入れ、溶解タンク1に水道水を充満する。
▲2▼ 弁a、を閉じ弁cを開いて水素ボンベ2より水素ガスをいれ、この後、弁dから水道水がでなくなるまで水素ガスを充満した後、弁d、cを閉じる。
▲3▼ 弁aを開き、水道水を水素溶解タンク1に加圧(通常の水道水耐圧:0.25Mpa程度以上)して噴射させて、上記したように水素ガスを溶解させる。
▲4▼ 弁bを開き、水素の溶解した水、即ち水素結合水(水素水)を生成タンク4に貯める。生成タンク4より、水素結合水(水素水)を弁eを開いて、適宜取り出す。
【0019】
上記の装置を用いて、水素結合水(水素水)を製造する場合、水道水の水圧は上記のように0.25Mpa、水素ボンベからの水素ガス耐圧0.9Mpaとし、水素溶解タンク容量2.0リットルとすると、上記の▲2▼で約1380ccの水素ガスを充填し、水道水は弁を開放して常に水道水が流れ込むようにして、この装置から排出される水素結合水の酸化還元電位は以下の表−1の通りとなった。尚、元の水道水の酸化還元電位は+430〜+450mVの水を使用した。
上記のように、水道水の水圧0.25Mpaの場合、水素ガス溶解タンク及び生成タンクの圧力は0.15〜0.2Mpaとなり、弁eの2次側(生成タンクの出口)は大気圧となっている。
【表−1】

上記の水素結合水(水素水)のpHは7.37〜7.56のほぼ中性を示していた。
【0020】
上記の実験を、水素結合水の製造する際の水素ガスの使用量から定量的に計算し、水素ガスの効率使用を考慮したバッチ方式の操作を挙げると、水素ガスが1リットルの水(水温20℃の場合)への溶解度は18ccのために、水素溶解タンク容量2.0リットルを使用して、2.0リットルの水素結合水を得るには、1バッチに投入する水素ガス(0.9Mpaの耐圧)を50cc(計算上は36ccであるが、安全側を考慮して50ccとする。)溶解タンクに投入し、上記の操作を行えば、2.0リットルの水素結合水(水素水)を得ることができる。
【0021】
上記の装置には、水素溶解タンクに水位計を取りつけて、タンク内の水位を計量し、水素ガスの追加量・時期の把握をしたり、又、上記の各弁の開閉を電気的等の信号化して自動的に、水素ガス、水道水の溶解タンクへの導入をコントロールして自動化された水素結合水製造装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水素結合水(水素水)の製造装置のフローを示す模式図である。
【符号の説明】
1‥‥水素ガス溶解タンク(耐圧タンク)、2…・水素ボンベ、3‥‥水道、
4‥‥生成タンク(水素結合水貯留タンク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧タンクの内部上部に、上向きに開口した容器を配置し、該耐圧タンクに水素ガスを充満させて圧力をかけ、前記容器の上部から、開口部中央に向けて水を噴射し、この噴射水に水素ガスを巻き込ませ、多量の水素ガスを含んだ気泡を発生させ、耐圧タンクの水素ガスの圧力により、気泡状の水素を水に溶解させ、この水中に多量の水素を含有させることを特徴とする水素結合水の製造方法。
【請求項2】
耐圧タンクに水道水を満たした後に、水素ガスを該耐圧タンクに圧入し、この水素ガスの圧力で、タンク内の水を排出して、脱氣及び水素ガスの充填を行う、請求項1の水素結合水の製造方法。
【請求項3】
耐圧タンク内の圧力を、水道水の水圧によって耐圧タンクに圧入した水素ガスの圧力を高め、この水素ガスを水に溶解させることを特徴とする請求項1の水素結合水の製造方法。
【請求項4】
耐圧タンク内の上部に、上向きに開口した容器が配置され、この耐圧タンクに水素ボンベと水道水の導管が接続され、耐圧タンクの下部に水素溶解水の排出口が設けられたことを特徴とする水素結合水の製造装置。
【請求項5】
耐圧タンクの内部に導入された水道水導管が、上向きに開口した内部容器の中央付近において容器底部に向かって直角に屈曲された噴出口をもつことを特徴とする請求項3の水素結合水製造装置。
【請求項6】
請求項1〜4において、水素結合水として取り出された水素溶解水が旋回流方式のマイクロバブル発生装置に導入されてより安定な水素結合水が生成されることを特徴とする水素結合水製造方法又は製造装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−229695(P2007−229695A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89336(P2006−89336)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(393015139)株式会社テクノ21 (5)
【Fターム(参考)】