説明

水素製造装置及び燃料電池システム

【課題】原燃料及び水蒸気を充分に混合させる。
【解決手段】水素製造装置1は、改質ガスを生成する筒状の改質部6と、改質部6の下部に同軸に設けられ改質部6に混合ガスを供給する筒状のフィード部5と、フィード部5に同軸に設けられ水蒸気を生成して該フィード部5に供給する筒状の蒸発部9と、を備えている。フィード部5は、円筒状に形成され混合ガスを流通させる混合ガス流路5yを有し、混合ガス流路5y内には、環状の仕切り板62が軸方向に沿って隙間を有して並設されている。隣接する仕切り板62a,62bのうち一方の仕切り板62aにおける径方向内側、及び他方の仕切り板62bにおける径方向外側には、混合ガスの流通口として貫通孔63a,63bがそれぞれ形成されている。よって、混合ガスが径方向に繰り返し折り返されながら軸G方向に流通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素製造装置及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水素製造装置としては、バーナを用いて灯油や液化石油ガス等の原燃料を水蒸気改質することにより、水素を含有する改質ガスを生成する筒状の改質部と、改質部に原燃料及び水蒸気の混合流体を供給するフィード部と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような水素製造装置は、例えば燃料電池システムに用いられ、生成した改質ガスを燃料電池スタックに供給して発電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−280408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したような水素製造装置では、混合流体中の原燃料及び水蒸気の混合が不充分となり易く、場合によっては、改質部の改質触媒においてコーキング(触媒表面に炭素が析出すること)が発生してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、原燃料及び水蒸気を充分に混合させることができる水素製造装置及び燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る水素製造装置は、バーナを用いて原燃料及び水蒸気を改質することにより、水素を含有する改質ガスを生成する筒状の改質部と、改質部における軸方向の一方側に該軸に沿って設けられ、原燃料及び水蒸気を混合させて混合流体を生成すると共に該混合流体を改質部に供給する筒状のフィード部と、混合部における軸方向の一方側に該軸に沿って設けられ、水蒸気を生成すると共に該水蒸気をフィード部に供給する筒状の蒸発部と、を備え、フィード部は、生成された混合流体を流通させる混合流体流路を有し、混合流体流路内には、環状の仕切り板が軸方向に沿って隙間を有して並設され、隣接する一対の仕切り板のうち一方の仕切り板における径方向内側、及び他方の仕切り板における径方向外側には、混合流体の流通口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この水素製造装置では、蒸発部により生成された水蒸気がフィード部に供給されて混合流体が形成され、そして、混合流体流路内において、混合流体が径方向に繰り返し折り返されながら軸方向に流通される。すなわち、混合流体が、一方の仕切り板の径方向内側の流通口を通った後に径方向外側に流れ、他方の仕切り板の径方向外側の流通口を通った後に径方向内側に流れ、そして、これらが繰り返される。よって、混合流体における原燃料及び水蒸気を充分に混合させることが可能となる。
【0008】
また、混合流体流路は、バーナの排ガスが流通する排ガス流路に隣接するように設けられていることが好ましい。この場合、バーナの排ガスの熱を利用して原燃料及び水蒸気を充分に気化させることができ、その結果、原燃料及び水蒸気を一層充分に混合させることが可能となる。
【0009】
また、仕切り板の内周縁及び外周縁の少なくとも一方には、該仕切り板を折れ曲げるようにして形成されたフランジ部が設けられていることが好ましい。この場合、仕切り板において内周縁側及び外周縁側の少なくとも一方の強度(剛性)を高めることができる。かかる効果は、例えば穴あけ加工によって仕切り板の内周縁側又は外周縁側に流通口を形成する場合、特に有効である。また、仕切り板を積み重なるよう並設するだけで、フランジ部の高さに応じた隙間が隣接する仕切り板間に形成されることになり、よって、混合流体流路を簡易に設けることができる。
【0010】
また、本発明に係る燃料電池システムは、上記水素製造装置と、水素製造装置によって生成した改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
この燃料電池システムにおいても、上記水素製造装置を備えているため、原燃料及び水蒸気を充分に混合させるという上記効果が奏される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原燃料及び水蒸気を充分に混合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの一部を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の水素製造装置を示す概略正面端面図である。
【図3】図1の水素製造装置のフィード部周辺を示す拡大正面端面図である。
【図4】図1の水素製造装置の仕切り板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、「上」「下」の語は、図面の上下方向に対応するものであり便宜的なものである。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの一部を示す概略ブロック図である。図1に示すように、水素製造装置(FPS:Fuel Processing System)1は、例えば家庭用の燃料電池システム100において水素供給源として利用されるものである。ここでの水素製造装置1は、原燃料として石油系炭化水素が用いられ、水素を含有する改質ガスをセルスタック(燃料電池スタック)20に供給する。
【0016】
なお、原燃料としては、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料、天然ガス、都市ガスを用いてもよい。また、石油系炭化水素としては、灯油、LPガスのほか、ナフサ、軽油などを原燃料として使用することができる。また、セルスタック20としては、固体高分子形、アルカリ電解質形、リン酸形、溶融炭酸塩形或いは固体酸化物形等の種々のものを用いてもよい。
【0017】
図2は、図1の水素製造装置を示す概略正面端面図である。図1,2に示すように、水素製造装置1は、中心軸を軸Gとする円筒状外形の脱硫部2と、中心軸を軸Gとする円柱状外形の本体部3と、を備え、これらが筐体4に収容されている。また、筐体4内において脱硫部2及び本体部3の周囲には、粉状の断熱材(不図示)が充填されて断熱されている。
【0018】
脱硫部2は、外部から導入された原燃料を脱硫触媒によって脱硫して硫黄分を除去し、この原燃料を後述のフィード部5へ供給する。脱硫部2は、筐体4の側板4xにパイプ21で固定され、本体部3の上部を所定の隙間を有して囲繞するよう保持されている。本体部3は、フィード部5、改質部6、シフト反応部7、選択酸化反応部8及び蒸発部9を備え、これらが一体で構成されている。この本体部3は、筐体4の床板4yに筒状のステー22により固定され保持されている。
【0019】
フィード部5は、脱硫部2で脱硫した原燃料及び水蒸気(スチーム)を混合し、これらを改質部6に供給する。具体的には、フィード部5は、燃料配管31からの原燃料と蒸発部9からの水蒸気とを合流・混合させて混合ガス(混合流体)を生成する混合部5xと、生成した混合ガスを改質部6へ流通させる混合ガス流路5yと、を含んでいる。
【0020】
改質部(SR:Steam Reforming)6は、フィード部5により供給された混合ガスを改質触媒(改質触媒部)6xによって水蒸気改質して改質ガスを生成し、この改質ガスをシフト反応部7へ供給する。改質部6は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈し、脱硫部2の筒内に位置するよう本体部3の上端側に設けられている。この改質部6にあっては、水蒸気改質反応が吸熱反応であるため、改質部6の改質触媒6xを加熱するための熱源としてバーナ10を利用している。
【0021】
バーナ10では、外部から原燃料がバーナ燃料として供給されて燃焼される。このバーナ10は、本体部3の上端部に設けられ軸Gを中心軸とする燃焼筒11に、バーナ10による火炎が取り囲まれるよう取り付けられている。なお、バーナ10においては、脱硫部2で脱硫した原燃料の一部が、バーナ燃料として供給されて燃焼される場合もある。
【0022】
シフト反応部7は、改質部6から供給された改質ガスの一酸化炭素濃度(CO濃度)を低下させるためのものであり、改質ガス中の一酸化炭素をシフト反応させて水素及び二酸化炭素に転換する。ここでのシフト反応部7は、シフト反応を2段階に分けて行っており、高温(例えば400°C〜600°C)でのシフト反応である高温シフト反応を行う高温シフト反応部(HTS:High Temperature Shift)12と、高温シフト反応の温度よりも低温(例えば150°C〜350°C)でのシフト反応である低温シフト反応を行う低温シフト反応部(LTS:Low Temperature Shift)13と、を有している。
【0023】
高温シフト反応部12は、改質部6から供給された改質ガス中の一酸化炭素を高温シフト触媒12xによって高温シフト反応させ、改質ガスのCO濃度を低下させる。高温シフト反応部12は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈しており、高温シフト触媒12xが改質触媒6xを囲繞するよう改質部6の径方向外側に隣接配置されている。この高温シフト反応部12は、CO濃度を低下させた改質ガスを低温シフト反応部13へ供給する。
【0024】
低温シフト反応部13は、高温シフト反応部12で高温シフト反応させた改質ガス中の一酸化炭素を低温シフト触媒13xによって低温シフト反応させ、改質ガスのCO濃度を低下させる。低温シフト反応部13は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈しており、高温シフト反応部12の下方側に配設されている。この低温シフト反応部13は、CO濃度を低下させた改質ガスを選択酸化反応部8へ供給する。
【0025】
選択酸化反応部(PROX:Preferential Oxidation)8は、低温シフト反応部13で低温シフト反応させた改質ガス中のCO濃度をさらに低下させる。これは、セルスタック20に高濃度の一酸化炭素を供給すると、セルスタック20の触媒が被毒して大きく性能低下するためである。この選択酸化反応部8は、具体的には、改質ガス中の一酸化炭素と空気配管15を介して導入される空気とを選択酸化触媒8xで反応させて選択的に酸化し、二酸化炭素に転換する。選択酸化反応部8は、中心軸を軸Gとする円筒状外形を呈しており、低温シフト反応部13の下方側に配設されている。
【0026】
この選択酸化反応部8は、CO濃度をさらに低下させた改質ガスを、熱交換部16が設けられた改質ガス配管14を介して外部へ導出する。熱交換部16は、改質ガス配管14内を流通する改質ガスと、外部から水配管17xを介して導入された水との間で熱交換を行うと共に、この水を蒸発部9に水配管17yを介して供給する。
【0027】
蒸発部9は、熱交換部16から供給された水を気化させて水蒸気を生成する。蒸発部9は、ジャケット型のものであり、中心軸を軸Gとする円筒状を呈している。この蒸発部9は、低温シフト反応部13及び選択酸化反応部8の径方向内側に隣接するように配設されている。蒸発部9は、生成した水蒸気をフィード部5に供給する。
【0028】
このような水素製造装置1では、まず、バーナ燃料及びセルスタック20からのオフガス(セルスタック20で反応に使用されない残ガス)の少なくとも一方と空気とがバーナ10に供給されて燃焼され、かかる燃焼によって改質触媒6xが加熱される。そして、バーナ10の排ガスが排ガス流路L1及びガス配管18を流通して外部へ排気される。
【0029】
これと共に、脱硫部2で脱硫された原燃料と蒸発部9からの水蒸気とが混合部5xで合流・混合され、混合ガスが生成される。この混合ガスは、混合ガス流路5yを介して改質部6に供給されて改質触媒6xで水蒸気改質され、これにより、改質ガスが生成される。そして、生成された改質ガスは、シフト反応部7によってその一酸化炭素濃度が例えば1%以下程度まで低下され、選択酸化反応部8によってその一酸化炭素濃度が10ppm以下まで低下された後、熱交換部16で冷却され、後段のセルスタック20へ導出される。
【0030】
なお、本実施形態においては、例えば各触媒6x,12x,13x,8xにて触媒反応を好適に行うため、次のように各部位の温度が設定されている。すなわち、改質部6に流入する混合ガスの温度が約300〜550℃とされ、改質部6から流出する改質ガスの温度が550℃〜800℃とされ、高温シフト反応部12に流入する改質ガスの温度が400℃〜600℃とされ、高温シフト反応部12から流出する改質ガスの温度が300℃〜500℃とされている。また、低温シフト反応部13に流入する改質ガスの温度が150℃〜350℃とされ、低温シフト反応部13から流出する改質ガスの温度が150℃〜250℃とされ、選択酸化反応部8に流入する改質ガスの温度が90℃〜210℃(120℃〜190℃)とされている。
【0031】
次に、本実施形態の蒸発部9及びフィード部5について、より詳細に説明する。
【0032】
図3は、図1の水素製造装置のフィード部周辺を示す拡大正面端面図である。図3に示すように、水素製造装置1では、ジャケット型の蒸発部9の上部に水蒸気と原燃料を混合させて流通させる筒状のフィード部5が配設され、そして、このフィード部5の上部に筒状の改質部6が配設されている。
【0033】
フィード部5は、下端部の径方向外側が蒸発部9と連通しており、下端部の径方向外側から水蒸気が流入されるようになっている。また、このフィード部5の径方向内側には、上下方向に延在する燃料配管31がフィード部5内に突き出るよう挿設され、これにより、混合部5xが構成されている。
【0034】
フォード部5の混合ガス流路5yは、混合ガスを混合・拡散させながら改質部6へ流通させる。具体的には、混合ガス流路5yは、中心軸を軸Gとし、改質部6と等しい外径及び内径を有する筒状に形成され、軸G方向における改質部6と蒸発部9との間に配置されている。そして、混合ガス流路5yは、下端側から上端側へと混合ガスを流通させて該混合ガスを改質部6の下端側へと供給する。
【0035】
また、混合ガス流路5yは、その内側に排ガス流路L1が隣接されている。また、混合ガス流路5y内には、円環状の仕切り板62が軸G方向に沿って隙間を有して並設され、混合ガス流路5yの内部が複数の円筒状区画Aに仕切られている。
【0036】
図4は、図1の水素製造装置の仕切り板を示す平面図である。図3,4(a)に示すように、隣接する仕切り板62のうち一方の仕切り板62aにおいて径方向内側には、混合ガスの流通口として、複数の貫通孔63aが周方向に等間隔で形成されている。この仕切り板62aの上面における内周縁には、該仕切り板62aを直角に屈曲させるようにして形成されたフランジ部64aが設けられている。
【0037】
一方、図3,4(b)に示すように、隣接する仕切り板62のうち他方の仕切り板62bにおいて径方向外側には、混合ガスの流通口として、複数の貫通孔63bが周方向に等間隔で形成されている。この仕切り板62bの上面における外周縁には、該仕切り板62bを直角に屈曲させるようにして形成されたフランジ部64bが設けられている。
【0038】
これら仕切り板62a,62bは、その板面が軸Gに直交(交差)する状態で、互い違いになるよう軸G方向に複数積み重ねられている。このとき、仕切り板62aのフランジ部64aの先端部は仕切り板62bに当接されると共に、仕切り板62bのフランジ部64bの先端部は仕切り板62aに当接されている。
【0039】
以上のように構成された本実施形態では、蒸発部9において、熱交換部16から供給された水が内部に貯留されると共に、この水が低温シフト反応部13、選択酸化反応部8及び排ガス流路L1から移動させた(低温シフト反応部13、選択酸化反応部8及び排ガスを冷却して得た)熱で気化されて水蒸気が生成される。そして、この水蒸気がフィード部5に供給される。
【0040】
続いて、フィード部5の混合部5xにおいて、供給された水蒸気に燃料配管31から導入された原燃料が合流されて混合され、混合ガスが生成される。このとき、燃料配管31から流出する原燃料は、水蒸気の潜熱を利用して確実に気化される。
【0041】
そして、フィード部5の混合ガス流路5yにおいて、混合ガスが径方向に沿って繰り返し折り返されながら軸方向に沿って流通される。すなわち、混合部5xで生成された混合ガスは、仕切り板62aの貫通孔63aを上方向に通過した後、径方向外側に向けて放射状に流れ、仕切り板62bの貫通孔63bを上方向に通過した後、径方向内側に向けて放射状に流れ、そして、これらが繰り返されることとなる。その後、混合ガスが改質部6に供給される。
【0042】
以上、本実施形態では、ジャケット型(筒状)の蒸発部9の上部に、混合部5xを有する筒状のフィード部5が配設される場合でも、混合ガスの流れを好適に乱して攪拌し、混合ガスにおける原燃料及び水蒸気を充分に混合させることが可能となる。
【0043】
なお、このように、ジャケット型(筒状)の蒸発部9の上部に筒状のフィード部5が配設され、この筒状のフィード部5にて原燃料と水蒸気とが合流され混合される場合、原燃料と水蒸気とが軸G位置で合流されて混合される場合に対し、混合ガスが均一且つ充分に混合されないことが懸念される。この点、本実施形態では、上述したように、混合ガスの流れを好適に乱して攪拌できることから、かかる場合でも、混合ガスにおける原燃料及び水蒸気を充分に混合させることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態では、上述したように、混合ガス流路5yが排ガス流路L1に隣接しているため、バーナ10の排ガスの熱を利用して原燃料及び水蒸気を充分に気化させることができる。その結果、原燃料及び水蒸気を一層充分に混合させることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、上述したように、仕切り板62aの内周縁及び仕切り板62bの外周縁に、フランジ部64a,64bがそれぞれ設けられている。そのため、仕切り板62aの内周縁側、及び仕切り板62bの外周縁側で強度(剛性)を高めることができる。かかる効果は、例えば穴あけ加工によって貫通孔63a,63bを形成する場合に、特に有効なものとなる。
【0046】
また、上述したように、仕切り板62a,62bにフランジ部64a,64bがそれぞれ形成されていることから、次の効果を奏する。つまり、仕切り板62a,62bを積み重なるよう並設するだけで、フランジ部64a,64bの高さに応じた隙間が仕切り板62a,62bの間に形成されることになり、よって、混合ガス流路5yを簡易に設けることができる。さらに、フランジ部64a,64bの高さを適宜設定するだけで、仕切り板62a,62b間の隙間を所望に設定することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る水素製造装置及び燃料電池システムは、実施形態に係る上記水素製造装置1及び上記燃料電池システム100に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0048】
例えば、水素製造装置の配置構成については、上記水素製造装置1を上下反転したような配置構成(例えば、バーナ10が下部に設置されて構成された水素製造装置)としてもよく、限定されるものではない。また、上記実施形態の水素製造装置1は、脱硫部2を備えない場合もある。また、改質部6は、原燃料及び水蒸気を改質するものであればよい。
【0049】
また、上記実施形態は、改質ガス中の一酸化炭素をシフト反応させるものとして高温シフト反応部12及び低温シフト反応部13を備えているが、低温シフト反応部13のみ備えていてもよい。
【0050】
ちなみに、上記の「筒状」とは、略円筒状だけでなく、略多角筒状を含むものである。また、略円筒状及び略多角筒状とは、円筒状及び多角筒状に概略等しいものや、円筒状及び多角筒状の部分を少なくとも含むもの等の広義の円筒状及び多角筒状を意味している。また、上記実施形態は、好ましいとして、中心軸を軸Gとする同軸構成とされているが、本発明は、略同軸構成又は軸Gに沿った構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…水素製造装置、5…フィード部、5y…混合ガス流路(混合流体流路)、6…改質部、9…蒸発部、10…バーナ、20…セルスタック(燃料電池スタック)、62…仕切り板、62a…仕切り板(一方の仕切り板)、62b…仕切り板(他方の仕切り板)、63a,63b…貫通孔(流通口)、64a,64b…フランジ部、100…燃料電池システム、G…軸、L1…排ガス流路。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナを用いて原燃料及び水蒸気を改質することにより、水素を含有する改質ガスを生成する筒状の改質部と、
前記改質部における軸方向の一方側に該軸に沿って設けられ、前記原燃料及び前記水蒸気を混合させて混合流体を生成すると共に該混合流体を前記改質部に供給する筒状のフィード部と、
前記混合部における軸方向の一方側に該軸に沿って設けられ、前記水蒸気を生成すると共に該水蒸気を前記フィード部に供給する筒状の蒸発部と、を備え、
前記フィード部は、生成された前記混合流体を流通させる混合流体流路を有し、
前記混合流体流路内には、環状の仕切り板が軸方向に沿って隙間を有して並設され、
隣接する一対の前記仕切り板のうち一方の仕切り板における径方向内側、及び他方の仕切り板における径方向外側には、前記混合流体の流通口が形成されていることを特徴とする水素製造装置。
【請求項2】
前記混合流体流路は、前記バーナの排ガスが流通する排ガス流路に隣接するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の水素製造装置。
【請求項3】
前記仕切り板の内周縁及び外周縁の少なくとも一方には、該仕切り板を折れ曲げるようにして形成されたフランジ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の水素製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項記載の水素製造装置と、
前記水素製造装置によって生成した前記改質ガスを用いて発電を行う燃料電池スタックと、を備えたことを特徴とする燃料電池システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−207713(P2011−207713A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78839(P2010−78839)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】