水質浄化及びバイオソリッド収集システム並びに関連方法
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するためのシステム及び方法を提供する。前記システムは水域又はその付近の凹地に配置可能な不透水性ライニングを含む。ライニングと凹地は処理部分と、処理水を収容するための出口部分と、処理部分と出口部分の間の流出堰を含む処理容器を規定する。被処理水を水域から処理部分に輸送する。輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を実施するための捕捉成分を輸送した水中に添加混合する。捕捉した固形物を処理槽から除去することができ、浄化水は流出堰のチャネルを通って出口部分に流入することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は仮出願シリアル番号第60/952,965号(出願日2007年7月31日)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は水質浄化及びバイオソリッド収集システム及び方法、特に固形物捕捉を使用して水質浄化し、水中の固形物を収集するための前記システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
溶存空気浮上分離法(DAF)は超微細気泡空気浮上を使用して工業工程用水、都市下水、及び/又は湖沼水等の水溶液中の懸濁固形物を浮上させて除去する液体処理技術である。
【0004】
当分野で公知のDAFシステムは鋼又はコンクリートタンクから構成されている。大型の液体地上容器は全負荷レベルから動作レベル時の静水圧負荷中にタンク壁の変形を防ぐために構造鋼板とバッキング補強材が必要である。鋼容器は更に適切な支圧強度で荷重を土壌に伝達するためにフーチングが必要である。一般に腐食を遅らせるために314及び316ステンレス鋼又は特殊エポキシコーティングシステム等の不活性材料が使用されている。
【0005】
浅い湖沼が風で混合されると、固着していない非光合成堆積物は一時的に有光層に上昇する。養分を含むこの反応性の堆積物は汚染した(過栄養型)湖沼の有光層で藻類の養分となり、持続的な藻類開花を生じることが多く、場合によっては宇宙からも認めることができる(例えば軌道スペースシャトルはフロリダ州の過栄養型アポプカ湖を他の湖沼から区別することができる)。水質浄化手段の1例は懸濁固形物(SS)とこれに取込まれた養分を除去又は回収する方法である。
【0006】
従来のSS除去アプローチは広大(5,000〜45,000エーカー)な冠水湿原フィルターを使用しており、休止状態でSSは沈降し、土壌を形成する。土壌が崩壊するにつれ、沈殿した養分の多くは溶液中に戻り、非効率の原因となる。毒性のシアノバクテリア藻類が湿原に沈殿すると、土壌中と水中の両者で長期にわたって野生生物が毒素に暴露される可能性がある。しかし、広大な土地を利用できる場合には、この方法が好ましい浄化方法であった。
【0007】
水域浄化において知られている1つの問題は、例えば湖岸又はその付近で土壌が柔らかく、湿っている場所でシステムを作動させなければならないことが多いという点である。掘削、埋立及び土壌安定化に伴う費用は法外になる可能性があり、改良予定区域の景観が悪化する。従って、DAFシステムは現場水域浄化には不適切であるとみなされていた。更に、同じ理由を少なくとも一因として、水域でDAF技術を使用するのは実際的でないとみなされていた。
【0008】
従来の公知DAFシステムは有効に機能するために、流入速度、凝固剤添加パラメータ、及び汚泥と浮遊物の除去等の基準の厳密なバランスが必要である。大型のDAFシステムは法外に高価であることが知られているため、濾過を最適化するために特定形状をもつ小型容器に向かう傾向がある。
【0009】
現時点で直面している他の問題は燃料の費用増大及び供給低下と、藻類フロウェイや他の水生植物系等の生物浄化系により生産されたバイオマスの処分である。
【0010】
従って、経済的で有効であり、水域及び周囲区域の美観を損なわない水域浄化システム及び方法を提供することが望ましい。収集したバイオソリッドを処分し、燃料を生産するためのシステム及び方法を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
1側面において本発明は公知水質浄化及びバイオソリッド収集構造に対して革新的であり且つ著しく廉価な容器構造に関する。本発明のシステムは土壌又は水域又はその組合せ等の既存支持構造により曲げ引張及び圧縮強度が提供されるという点で従来公知のシステムと構造的に相違する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は限定されないが、DAF等の固形物捕捉法の革新的大規模化によりSS及び溶存固形物除去を達成する。DAFシステムはSSの100%を沈殿させるものではないが、全回収分を分離処理し、表面水に戻らないようにする。この結果、公知湿原技術に比較して単位面積当たりの養分除去が著しく増加する。更に、毒性藻類等の成分が生態系から安全に除去され、野生生物に暴露されなくなる。
【0013】
セント・ジョン川水質管理区域(SJRWMD)のチーム等の多数の科学者がフロリダ州アポプカ湖等の汚染湖沼や他の地表水に利用するためにDAF等の固形物除去システムを検討しているが、従来製造されているプロセスコンポーネントは規模が著しく小型であり、湖沼規模用途に必要な膨大な流量では経済的に実現できないことが分かっている。本発明は土台や高価な鋼又はコンクリート容器を必要としない槽を建造するために精密掘削、土壌のジオメンブレン技術及び廉価なライナー膜を利用した容器構造及び使用を教示する。液圧からの風力、重力、引張、曲げ及び圧縮荷重を容器の防湿コンポーネントにより防ぐ必要がないので、非常に大型の容器を建設するための費用が著しく低減する。
【0014】
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するためのシステムを提供する。前記システムは処理したい水域又はその付近の凹地に配置可能な不透水性ライニングを含む。ライニングと凹地は処理容器の外側境界を規定し、前記容器は被処理水の流入用入口をもつ処理部分と、処理水を収容するための出口部分と、処理部分と出口部分の間の流出堰を含む。流出堰は上端が水面よりも高い位置まで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されている。
【0015】
被処理水を水域から処理部分に輸送し、輸送した水に捕捉成分を添加し、輸送した水と捕捉成分を混合するための手段を提供する。捕捉成分は輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を行うための成分である。捕捉した固形物を処理槽から除去するための手段も提供する。浄化水は流出堰内のチャネルを通って出口部分に移動可能である。
【0016】
捕捉成分は限定されないが、溶存気泡、凝固剤及び凝集剤等の多数の成分の1種以上から構成することができる。
【0017】
1態様において、容器は容器の入口端付近に配置された流入バッフルを含む。流入バッフルは下端が容器の底に位置し、上端が容器の上縁から間隔を空けて水面の下まで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されている。従って、流入バッフルと入口端を含む容器側面の入口部分は流入槽を規定する。所定態様では、流入バッフルを使用しない。
【0018】
容器は更に、容器の出口端付近で容器底付近に容器上縁から間隔を空けて配置された流出チャネルを含む。前記チャネルは除去に備えて浮遊物を容器内に保持しながら浄化水を容器から排出する経路を一般に容器底及びその付近に提供する。
【0019】
1特定態様において、チャネルは下端が容器底から間隔を空けて配置され、上端が少なくとも容器上縁と同等の高さまで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着された流出堰により形成することができる。従って、流出堰と出口端を含む容器側面の出口部分は流出槽を規定する。流入バッフルが存在する場合には、流出堰との間に処理槽を規定し、流入バッフルが存在しない場合には、入口と流出堰が処理槽を規定する。
【0020】
別の態様において、チャネルは容器出口端を貫通するアパーチャにより形成することができ、アパーチャは容器底付近に水面から間隔を空けて配置される。
【0021】
別の態様において、チャネルは出口端付近で容器底付近に水面から間隔を空けて配置された導管を含むことができる。その場合には、導管を通して浄化水をポンプにより除去することができる。
【0022】
処理槽内の水面から気泡と捕捉した懸濁固形物を除去するための手段も提供する。懸濁固形物を除去した水は流出チャネルを通って所望目的地点まで移動することができ、例えば水域に戻ることができる。
【0023】
浮遊容器で使用するための別の態様では、DAFシステムを利用しなくてもよく、凝固剤及び/又は凝集剤等の固形物捕捉手段を単独又は組合せて利用することができる。浮遊容器の入口から被処理水を処理ゾーンに導入し、固形物捕捉手段を水に加えて混合する。捕捉した固形物は使用する捕捉手段の種類に応じて浮沈する。固形物を除去した水は容器から排出され、捕捉した固形物は収集され、最終的に容器から除去される。
【0024】
機構と操作方法の双方に関する本発明の特徴とその他の目的及び利点は添付図面を参照した以下の記載から更によく理解されよう。当然のことながら、図面は例証と説明を目的とし、本発明を限定するものではない。本発明により達成されるこれら及び他の目的と提供される利点は添付図面を参考に以下の記載からより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】排水中の懸濁固形物の除去用の典型的な溶存空気浮上分離装置の平面図である。
【0026】
【図2】図1の態様の側断面図である。
【0027】
【図3】水域水浸態様の側断面図である。
【0028】
【図4】別個の流入槽をもたず、処理槽から浄化水を排出するための導管を含む態様の側断面図である。
【0029】
【図5】吊下型の堰を使用して容器の出口部分の周囲にチャネルを形成し、浮遊物をガターから除去する態様の平面図である。
【0030】
【図6】図5の側断面図である。
【0031】
【図7】流動水で使用するための態様の平面図である。
【0032】
【図8】傾斜型土壌壁の側断面図である。
【0033】
【図9】勾配型土壌壁の側断面図である。
【0034】
【図10】収集した浮遊物の脱水装置の側断面図である。
【0035】
【図11】水質を浄化し、捕捉した固形物を収集するための浮遊式プラットフォーム又はバージの平面図である。
【0036】
【図12】図11の側断面図である。
【0037】
【図13】浮遊式モジュラー水質浄化及び捕捉固形物収集システムの平面図である。
【0038】
【図14】図13の側断面図である。
【0039】
【図15】沈殿し、捕捉した固形物を収集するための図13及び14のシステムの代替態様の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図1〜15を参考に本発明の好ましい態様について記載する。
【0041】
本発明のDAF容器10は以下のコンポーネント、即ち流入ゾーンと、浮遊セルゾーンと、浮遊収集ゾーンと、流出ゾーンを有する。沈殿性固形物は底まで落下し、収集システム又は暗渠導管により周期的に除去される。好ましい1態様10において、固形物は水面まで浮上し、チェーンフライトスクレーパ又は他の方法により除去され、ランプ(別称ビーチ16)に集められる。一般に、多数の変数に依存して浮遊ゾーン1平方フィート当たり0.5〜7gpmの流量をフィルターのサイズ決定に使用することができる。好ましい最小深さは12インチであり、深さは12フィートを超えることができる。
【0042】
この浮上分離法の重要な要素は溶液中に精密に形成された空気超微細気泡である。超微細気泡の生成は空気飽和タンク、液体高圧ポンプ及び空気圧縮機をシステムで使用することにより実施することができ、超微細気泡水の清浄側の流れ17を所定時間加圧下に維持することができ、圧力が解放されると、給水管18中に超微細気泡が形成され、最終的にDAF槽内に放出され、SSを水面まで浮上させて収集する。特定用途に応じて、各種特徴をもつ多数の超微細気泡発生器20がある。
【0043】
DAFシステム10内の超微細気泡の上昇は気泡の寸法に相関する。気泡が小さいほど、浮上する粒状物は小さく、上昇速度は遅い。典型的な望ましい上昇速度は1ft/minであり、直径10〜20マイクロメーターの気泡で達成することができる。
【0044】
低濃度のオゾン又は他の凝固手段もしくは薬品はその表面電荷を変えることにより小粒子を凝集させ、より大きな粒子ないし「フロック」を形成し、より大きな気泡により早い上昇速度で浮上することができる。水、凝固剤及びSSの温和な混合中に凝集が生じる。これらの変数により、体積流量比のバランスとれた効率的なDAF濾過システムが得られる。
【0045】
DAFシステムは1〜5%という非常に高い固形分濃度の排水流を生成できることが知られている。大型湖沼又は地表水系では、物質を脱水及び処分する技術の進歩により、この点は非常に有利である。
【0046】
藻類は表面電荷により細胞が相互に反発するので特に脱水しにくい。進化選択の結果、プランクトン藻類は水和の利点に適応している。その表面電荷密度により、乾燥条件に耐えられるように水分を保持することができる間隙空間が細胞間に残されているが、空間が埋まると、細胞は密集し、水分を失って死滅する。
【0047】
凝固化学反応により藻類細胞及び他のSSは表面のイオン電荷が変化し、凝集して薄片を形成する。この凝集した薄片は十分な寸法であるため、DAF流入水に導入された超微細気泡と共に浮上することができる。望ましい超微細気泡の寸法範囲は5〜50マイクロメーターであり、最適寸法は10〜20マイクロメーターの範囲である。
【0048】
オゾン前処理は凝固化学反応効率を著しく増加し、90%も増加することが知られている。オゾンは小粒子が静電荷により相互に結合するようなイオン電荷と電荷密度を生じる。オゾンはSSを脱水しにくい状態から転換し、SSが凝集し易くし、除水及び脱水を増すことができる。
【0049】
ゼータ電位は微細粒子の距離と電荷密度の関係の電位として定義することができる。ゼータ電位は粒子の表面に近づくと急速に増加し、距離が増加するにつれて加速的割合で低下する。細胞から遠ざかるにつれて電荷が中性となり、細胞が隣接細胞に吸引されるという条件を満足し、そのように変化させるように凝固化学反応を最終的に適用する。この方法では、蒸発単独よりも迅速に凝集と脱水を達成することができる。季節変動とそれに伴う植物プランクトン/SS種分化変化に応じて異なる水系又は同一水系で最適結果が得られるように1種以上の凝固薬品又は方法を使用することができる。
【0050】
所定の一般的な凝固薬品としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC、凝集剤として利用することもでき、出願時点で好ましい態様に相当すると考えられる)、クロルヒドロキシアルミニウム、カチオンポリマー、アニオンポリマー、塩化第2鉄及び硫酸アルミニウムが挙げられる。ポリマー薬品と共に、アルギン酸塩や他の天然物質等の多数の他の物質もオゾン凝固を助長するために使用することができる。所定の一般的な天然物質としては、アルギン酸ナトリウム、クレー、他の物質との錯体としてのナトリウム、浸軟藻類細胞、粉末炭素、キチン及び澱粉が挙げられる。
【0051】
DAFはオゾン/DAF/ペリフィトンシーケンスで構成した場合に相乗効果を提供する。オゾン/酸素ガスは迅速なオゾン介在反応で酸化を開始する。酸素は後続反応を媒介し、反応は著しく長時間になる。湖沼水のオゾン化/酸化で酸化−還元反応が生じるには80分までを要する。DAFの本体はペリフィトンフィルターに入る前に反応を完了できるように十分な容積に寸法決定することができる。
【0052】
最適凝固にはオゾン及び/又は天然もしくは化学物質と共に電気凝固法を使用することができる。電気凝固法は粒子表面電荷を改変するためにアノードと電流を利用する。1種以上の凝固法の組合せにより非常に費用効果的な凝固システムが得られる。
【0053】
DAFシステム10は更に窒素やリン等の養分を除去するために培養されているペリフィトン培養物等の水生植物を損傷しないようにしながら、流入水中の微小無脊椎動物を除去する。
【0054】
上記のように、DAF技術は高固形分を除去できることが知られている。これは、固形分除去率が一般に1%未満であるサンドフィルター等の他の技術よりも著しく高い。高固形分排水流の操作には特殊なポンプシステムと操作上の注意が必要である。DAFの近くの固形分採取システムの付近で乾燥ベッド又は増粘工程に隣接するようにDAFを物理的に配置すると、高固形分ポンプ又は機械化装置による物理的分配を介さずに更に増粘することができる。
【0055】
DAFシステム10(図1及び2)の1態様は空気供給源119から空気を導入される特別に改造された汚水超微細気泡発生ポンプ20に超微細気泡を誘導する。超微細気泡発生ポンプ20は圧縮空気をポンプ20の圧力部に強制流入させ、水域65からの導管17に流体を強制流通させる。形成された超微細気泡は水と混合し、導管17よりも断面の大きい飽和管120に進む。飽和管120は水中に分散するための滞留時間を気泡に提供する。飽和管120に続いてクラッキング弁100が配置され、流量を制限し、気泡混合を助長するように飽和管120内に圧力を生じる。その後、超微細気泡溶液は主流18と合流する。
【0056】
主流18はこの特定態様10では2個の注入口が配置された蛇行管を通って進行する。第1の注入口103を通してタンク104から凝固剤が挿入される。第1の注入口103の下流の第2の注入口106を通してタンク105から凝集剤が挿入される。代替態様では、凝集剤を流入槽29に直接挿入することができる。表面電荷が変化するので、凝固剤は藻類等のバイオマスにフロックを形成させると考えられる。これらのフロックは超微細気泡間に形成される。その後、凝集剤は気泡の周囲でフロックを凝集させる。
【0057】
DAFフィルターシステム10のこの態様は流入コンパートメントないし槽29をもち、超微細気泡/流入水混合物はほぼ「U」字形の端部40をもつ導管を通り、好ましくは上向きの複数のアパーチャ41をもつマニフォールド15に流入するようにポンプ39により導入される。流入槽29内の水はエネルギーを消散するように分散させずに実質的にゼロ速度に維持するが、これは、軽いSSを分離し、超微細気泡と共に上昇させるために好ましい。水は側面42を封着した流入バッフル28を越えて通過する。流入バッフル28は下端281が容器底43に位置し、上端282が容器10の上縁44の下まで延びている。従って、SSと気泡23は水面36に配置され、浮遊固形物/バイオマスの凝集を助長する。流入バッフル28は気泡相互作用により影響されない重い任意固形物も含む。流入槽29の下流の浮遊チャンバー19は浮遊SS23の層を受取り、収集点に送り、コンベヤ24又は他の手段により除去する。場合により、流入バッフル28を省略し、水面から1〜2ft下に蛇行排出マニフォールドを配置することができる。
【0058】
浮遊SS23をビーチ16に収集するためにはチェーン、パドル(フライト式)及びスプロケットを備える固形分採取システムを使用することができ、SSを水面36から引き上げ、乾燥ベッド、ジオチューブ(図10)又は他の脱水装置に導入し、更に脱水する。DAF処理槽19が広過ぎて採取システムを長距離にする必要がある場合には、長さの要件を緩和するために半浮遊パドルを使用することができる。あるいは、浮遊SS23をコンベヤ24まで推進するために走行レーキを使用することができる。
【0059】
浮遊しているスカム23をコンベヤ24とビーチ16に移動させ、収集容器22に送るように空気流を発生させるために1個以上の静電又は空気圧送風機21を使用することもできる。図例の態様において、コンベヤ24は採取したスカム23をビーチ16、又は他の方向の別のビーチ16’もしくは収集容器に向けて輸送するための移動ベルトをもつ可逆装置からなる。ここでは、コンベヤ24は処理槽19を横断して第1の側面25から反対側の第2の側面26まで延びている。
【0060】
地下水及びガスを排出させ、ライナー27が土壌表面のその所望位置から移動しないようにするために、DAFライナー27の下の排水システムを使用することができる。保守中にDAFの全部又は一部を抽出するためにDAFチャンバー19内に媒体で覆った暗渠11を使用することができる。
【0061】
処分又は使用の目的で浮遊固形物を処理するためには多数の方法を使用することができる。1態様は固形物をポンプで収集容器から移動させ、付近に配置することができる脱水施設にスカム濾液を輸送する。所定態様では、一般に固形分範囲20〜30%の湿潤ケーキとなるまで浮遊スカムを脱水するために遠心を使用することができる。
【0062】
あるいは、導管201からスカム23を受取るジオチューブ200(図10)を利用して脱水を行うことができる。ジオチューブ200は水面202に配置され、例えば不透水性の透明プラスチックシート203で覆われている。ジオチューブ200とシート203の間にファン205から空気を吹込み、スペース204を形成する。日光はスペース204を加熱し、脱水工程を助長する。ジオチューブ200から排出された水は暗渠206を通って排出される。
【0063】
単独の封じ込め手段としてライナー27を使用すると、フーチングと土台を備える従来の鋼及びコンクリート製縦型構造に比較して低費用で非常に大型のDAFフィルター処理施設10を建設するために経済的な設計方法が得られる。この態様10は建設コストによる制約のある従来の金属及びコンクリート容器設計の規模を遥かに越えてDAF技術の使用可能性を拡大する。DAFライナー27の製造にはジオテキスタイルを使用することができる。
【0064】
DAFシステム10からの流出液は側面42を封着され、下端381が容器底43から間隔を空けて配置され、上端382が容器の上縁44以上の高さまで延びている流出堰38の下を流れる。流出堰38は水面の流れを阻止し、浮遊している固形物23を浮遊チャンバー19内に捕捉する。その後、清澄化された流出液は流出槽30から導管31により移送される。流出液を湖沼あるいはオゾン及び/又はペリフィトンフィルター及び/又は他の処理システム等の後続処理システムにポンプ輸送するためには、フロートスイッチ34をもつ流出ポンプ32を使用することができる。図1及び2に示す態様において、槽19は槽19の上流端33に向かって傾斜しているため、底面のピット35とその付近に固形物を収集することができる。
【0065】
更に別のDAF態様140(図5及び6)は代替型の浮遊物収集システムと流出堰から構成される。ここでは、DAF槽141はその上縁144に固定された浮遊エレメント143により吊り下げられた弾性シート142をもつ。槽141の入口部分145に沿ってシート142は重り又は他の何らかの方法で下縁146を槽141の底147に固定される。出口部分148に沿って、下縁146は槽底147から間隔を空けて配置されている。従って、マニフォールド15に流入する水は槽141の内側処理部分149内に排出され、浮遊物150は水面151まで上昇する。その後、浄化水はシート142の下縁146の下を通り、槽141の周辺部152に排出され、そこからポンプ排出することができる。1サブ態様では、シートの下縁146が入口部分142に沿って槽底147に達するが、その上で出口部分148に沿って吊り下げられるように槽底147を傾斜させる。
【0066】
この態様140では、水面151からすくい取って浮遊物150をガター154に導入する可動レーキ153を利用して浮遊物150を収集する。収集された浮遊物150はその後、ポンプ155によりガター154から排出することができる。
【0067】
槽と同一膜からバッフルを形成することができる。HDPE埋立ライナー、ポリエチレン及び多様な合成ゴムライナー等の膜材料を使用することができるが、これに限定するものではない。DAFライナー27の下から水を除去できるようにジオテキスタイル排水システム11も利用する。こうすると、地下水及びガス排出に対するライニング陶製槽19の予測可能な性能が得られ、ライナー27に代用することができる。
【0068】
DAFシステム130の1代替態様(図4)は流入槽を含まず、図1及び2のように流出堰の下にスペースをあけず、建設した流出堰132内を延びるパイプ131から流出チャネルを構成する。流出堰132は例えばDAF槽134の底133から少なくとも水面136と同等高さの頂部135まで延びるコンクリート又は他の構造から構成することができる。パイプの入口端137は槽底133付近から浄化水を受取り、出口138から流出槽139内に排出する。上記のように、流出槽139内の浄化水はその後、元の水域65等の所望地点に輸送することができる。
【0069】
用途によっては、部分的に水没した船体と同様に、DAFシステム50を水域65の水面66に浮遊させることができる(図3)。この場合には、建造物は膜の代わりに軽量鋼、アルミニウム又はガラス繊維材料を壁51に利用することができ、構造を軽量にし、費用を抑え、陸上風力荷重を防ぐ必要がなくなる。浮上分離法に悪影響を与える可能性のある風と跳ね上がる波からDAF表面53を保護するためにカバー52を使用することができる。浮遊カラー59はシステム50を浮遊状態に維持し易くする。サービスバージはモーター駆動式超微細気泡ポンプ54、薬品貯蔵槽及び濾液貯蔵槽に補給することができる。水は逆止弁105から流出し、水域65に戻ることができるが、波が槽50に向かって流れると、逆止弁105は流入を阻止する。この設計は土地を利用せず、土地を利用した容器に比較して相対的に容易にDAF50の移転が可能である。この船型DAF50は浚渫計画に非常に好適である。
【0070】
図例の態様において、主流流入水55は超微細気泡側流56と合流し、凝固剤注入点を通り、同様に流入バッフル58の上流の流入マニフォールド57に至る。この場合も固形物60は水面53に集まり、スカムレーキ62により収集され、テンダーバージを浮遊DAF50に近づけて掻き取るか、又は地上収集システムに直接ポンプ輸送する。浄化水は流出堰63の下を通って流出槽64に流入し、そこからシステム50を出て主水域65に流入する。
【0071】
容器が水域中を移動可能なものや、受動浮遊型等の他の浮遊態様も考えられる(図11〜15)。これらの態様はDAFシステムと併用してもよいし、併用しなくてもよく、水を処理施設に輸送するために、主に三角波、水流もしくは波動作用等の自然水移動、又は移動容器に対する水の移動に依存する。収集した固形物はバイオディーゼル等の燃料に最終的に加工することが可能なプランクトン種、微小無脊椎動物及び小型魚類等の成分を含有していると考えられる。
【0072】
水質を浄化し、捕捉した固形物を収集するための容器181として機能する浮遊式プラットフォーム又はバージを含むシステム180を図11及び12に示す。容器181が浮遊式プラットフォームから構成される場合には、容器181を実質的に一定の位置に保持するために錨とロープ182(破線で示す)を使用し、水を引き込むためにポンプを使用することができる。容器181がバージから構成される場合には、動作中にバージは移動し、水域に対して相対運動を生じる。
【0073】
容器181は入口端184(バージの場合には前端)に水流入口ないしアパーチャ183をもつ。水流入口183は水域186と流体連通する開口185をもち、所定態様では複数の開口185をもつ。限定するものではないが、フラッパー逆止弁等の逆止弁187を入口チャネル183に配置する。逆止弁187は水を流入させるが、流出させないように機能すると共に、逆止弁187の下流の処理槽188が溢れないようにする。
【0074】
逆止弁187の下流には、凝固剤又は凝集剤又はその組合せ等の捕捉成分190の導入用の少なくとも1個のポート189が配置されている。少なくとも1個のポート189に続いて混合路191が配置され、1態様では、内端が重なり合うような配置でカバー198から吊り下げることができる複数の互い違いに配置したカーテン192により形成される蛇行流路から構成することができる。混合路191は乱流により捕捉成分190を流入水に混合させる。
【0075】
捕捉成分190は懸濁溶存固形物を凝集させ、システム条件に応じて浮遊塊又は沈降塊を形成させる。図11及び12に示す態様では、移動式レーキ199を使用して浮遊固形物193を容器181の出口端194に向かって移動させ、ガター195又はランプ195’又は他の手段により収集した後、容器181内外の別の場所に抽出する。浮遊固形物193の下の浄化水は出口端194で出口196から流出する。
【0076】
水質を浄化し、捕捉した固形物を収集するための容器211として機能する浮遊式プラットフォーム又はバージを含む別のシステム210,210’を図13〜15に示す。容器211が浮遊式プラットフォームから構成される場合には、容器211を実質的に一定の位置に保持するために錨とロープ212(破線で示す)を使用し、水を引き込むためにポンプを使用することができる。容器211がバージから構成される場合には、動作中にバージは移動し、水域に対して相対運動を生じる。
【0077】
容器211は各々水域218と流体連通する水流入口213を入口端214にもつ複数の実質的に平行なチャネル231に分割される。チャネル231は例えばカバー216又は浮遊部材から吊り下げられたカーテン215により形成することができる。
【0078】
システム210,210’は凝固剤又は凝集剤又はその組合せ等の捕捉成分220の導入用の少なくとも1個のポート219を含む。少なくとも1個のポート219に続いて混合路221が配置され、1態様では、カバー216から吊り下げることができる複数の互い違いに配置したカーテン222により形成される蛇行流路から構成することができる。混合路221は乱流により捕捉成分220を流入水に混合させる。
【0079】
捕捉成分220は懸濁溶存固形物を凝集させ、システム条件に応じて浮遊塊又は沈降塊を形成させる。図14に示す態様210では、浮遊固形物223は容器211の出口端224に向かって移動し、ランプ226又は他の手段により収集した後、容器211内外の別の場所に抽出する。浮遊固形物223の下の浄化水は出口端224で出口227から流出する。
【0080】
図15に示す態様210’では、沈降した固形物223’は容器211の底229の沈降ゾーン228に向かって移動し、そこから抽出される。この態様210’はカバーとして浮遊式カーテン230を含むことができる。当業者に自明の通り、これらの態様210,210’の組合せも想定できる。
【0081】
更に当業者に自明の通り、固形物捕捉を助長するために混合路191,221の後にDAF等の付加施設をこれらのシステム180,210に追加してもよい。
【0082】
例えば河川161からの流入水を浄化するためにDAFシステム160(図7)の別の態様を使用することができる。このシステム160において、「槽」162は入口164の仕切弁163の制御下に河川161から引込んだ側流から構成される。凝固剤165と凝集剤166を上記のような仕切弁163の下流167,168で注入する。上記のようなコンベヤ/レーキ170及びビーチ収集領域171又は他の手段で浮遊物169を収集することができ、浄化水は同様に上記のような流出堰172の下を流れ、その後、システム160の出口173で河川161に合流する。
【0083】
DAF法から除去された固形物は多数の用途が考えられる。このような用途の1例は低養分土壌に適用される土壌改良であり、耕地と多量養分及び微量養分を改良する。別の用途はメンブレン上での芝培養等における液体土壌培養システムである。別の用途は紙及び紙製品製造法における繊維又は填料である。更に別の用途はメタン及びエタノール又は他のアルコール(例えばブタノール)生産用原料である。藻類油を抽出し、バイオディーゼルに加工することもできる。別の用途は動物用飼料である。
【0084】
DAF容器10は浮遊用途用に建造することができ、槽内の水が容器壁を支持し、容器壁、支持構造及び土台の厚みを著しく減らすことができ、浚渫用又は地表水からのSS除去用の可動浮遊DAFを可能にする。
【0085】
高固形分の浮遊物を輸送せずに乾燥できるようにDAFのすぐ隣りの流出システムにDAF固形物を送ることができる。空気圧コンベヤ送風機で固形物を収集することができる。レーキシステムでは半浮揚型パドルを使用することができる。容器内のその望ましい平面形状と位置を維持し易くするために補強スパー又は部材と共にメンブレンバッフルを使用することができる。
【0086】
システム10,50のライナーの形成では、ジオテキスタイル又は苗床用グランドシートを使用することができ、掘削は土壌12の安息角よりも急な傾きとすることができる。壁を過剰掘削し、高さ6〜12インチに建設し、繊維性ライナー27を三方管上に形成する場合には、ライナーは土壌12を抑え、土壌のみの場合よりも水平剪断力を増す。この方法を使用して高さと垂直度の高い土壌保持壁構造を建設することができる。
【0087】
上記のようなジオテキスタイルライナー73で水槽74を支持し、基礎地盤面及び周囲の土盛り72よりも下の地中71に土壌メンブレンDAF70(図9)を建設することができる。この態様70は更に、任意DAF態様で機能できる原理を示し、即ち上端に浮き77を取付け、下端に錨78を取付けることができる「カーテン」76を使用して個々のセクター75に細分できる。
【0088】
同様のシステム80を既存の基礎地盤面よりも上に配置してもよいし、及び/又は槽壁を補強するため、もしくは現在では角度が急なほうが好ましいと考えられているのでその角度を変えるために人工構造を使用するが、それよりも上に配置してもよい。例えば、図8に示すシステム80では、地表83にジオテキスタイルライナー82を敷き、ライナー82の一部を残し、ライナー82で槽85を規定しようとする位置までライナー82の一部の上に土壌84又は他の材料を配置することにより、複数の「フィルセル」81を形成することができる。次に、この覆っていない部分86を圧縮土壌84の上に折返し、所望の高さに達するまでセル81を追加してこの工程を繰返すことができる。所望により、安定性を改善するために隣接セル81間に補強部材87を挿入することができる。完了したら、上記のような槽85をライニングするように別のライナー88を配置し、水89を引込む。地下水面が地表に近い場合には、ウェルポイント脱水技術により地中建設が可能である。
【0089】
別の態様において、掘削は単に土壌の天然安息角に依存し、ライナー式溝型DAFの垂直壁を形成するためにケーブル又は浮きで支持したメンブレンカーテンを組込むことができる。
【0090】
藻類及び細菌に結合した微小無脊椎動物及び粒状養分と溶存養分を除去するために、オゾン、DAF及びペリフィトンシステムをモジュラーシステムで使用することができる。
【0091】
収集した物質は土壌改良用種子吹付キャリヤー及び土壌安定剤として使用することができる。収集した物質と他の水生バイオマスは濾水度を増加するため、繊維との接着を増すため、及び排水を助長するために凝固薬品及び他の物質との併用下又は非併用下に紙又は紙製品で使用することもできる。SS及び他の水生バイオマスは凝固薬品及び他の物質との併用下又は非併用下に液体土壌培養システムで使用することができる。収集したバイオマスは水素/バイオディーゼル/アルコール燃料を生産するために使用することもできる。
【0092】
本発明のシステムの別の利点は海水から真水を作るために極めて有益であると思われる約50〜60%という所定程度の脱塩が行われることが判明した点である。
【0093】
他の凝固手段との併用下又は非併用下に土壌メンブレンDAFの性能を強化するために電気凝固法を利用することができる。電気凝固法及びオゾンとの併用下又は非併用下にDAFの浮遊特性を強化するために天然及び人工化学凝固剤をライナーDAFと併用することができる。土壌メンブレンDAFから藻類固形物の固形物脱水を行うためにジオテキスタイルを使用することができる。
【0094】
土壌メンブレンDAF及びペリフィトン培養システムからの藻類固形物を使用して天日乾燥及び堆肥化を実施することができる。DAF容積及びそれに伴う滞留時間の操作と使用により、ペリフィトン濾過の前にオゾンと酸素の反応及び酸化−還元反応を完了することができる。
【0095】
周期的に沈降性粒子を除去するために排水だめと手動真空システムを使用することができる。
【0096】
本発明の別の側面は水生植物培養システムにより取込むためにCO2を安定化するにつれて再生水中に藻類養分を生成する凝固及び酸性化法により水生植物及びプランクトン又は他の藻類を回収するための手段に関し、前記手段はバイオ燃料生産及び他の用途で使用することができる。
【0097】
好ましい1態様では、工程培養水から回収した藻類を凝固させるか、又は石灰水を利用してフロックとして収集する。酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム(未加工及び加工形態の石灰石)を単独又は併用して水に加えると、pH上昇を生じると共に小粒子の反発性表面電荷を妨害し、小粒子を結合して薄片を形成する。これらの薄片はポリマーと凝集して大きな薄片となり、水面に容易に浮遊し、採取又は送風して収集される。
【0098】
一般にはpH補正が必要であると思われ、二酸化炭素を利用するなど液体酸等の各種手段により実施することができる。pHを調節するためにCO2を使用する場合には、CO2は残留酸化カルシウムを植物に好ましい炭素形態である重炭酸塩に変換する。水が培養系に戻るときには、既に炭素で改善されている。更に、この炭素は安定しており、溶存CO2等のガスを発生しない。
【0099】
この培養水は畜産事業と排水施設からの他の栄養源で改善することができ、このバランスのとれた栄養培地は藻類の生育を促進し、エネルギーを生産するように更に生物学的に改良することができる。
【0100】
二酸化炭素は約0.033%ないし330ppmの濃度の大気ガスである。室温で二酸化炭素の溶解度は水100mL当たりCO2約90cm3である。水溶液中に二酸化炭素は水性形態で存在し、H2CO3即ち炭酸と平衡する。炭酸は弱酸であり、H++HCO3−(重炭酸)に解離する。
【0101】
この段階で藻類培養物は生体結合した炭素源として重炭酸を取込むことができる。炭素を分離するための処置を取ることもできるし、エネルギーを生産するように藻類を消化、発酵又はガス化することもできる。
【0102】
炭酸イオンはCa2+の沈殿を生じる。CaCO3の場合、反応定数Kspは5×10−9である。その後、炭酸カルシウムは水からのHと結合し、炭酸を形成する。液体から炭酸塩が沈殿し、これを取出し、多くの目的に使用することができる。この時点で炭素は安定な形態で分離される。
【0103】
第2の態様は単に藻類培養の養分としての重炭酸の添加に依存する。先ず、CO2を原水に加え、pHを下げることにより酸性化する。その後、酸化カルシウム、水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムを加え、pHを中性付近にする。二酸化炭素が水に溶解するにつれて炭酸イオンと平衡に達する。酸性水は酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムを溶解し、Ca2+(水溶液)+2HCO3−(水溶液)となる。
【0104】
以上の記載では、簡潔、明瞭及び理解し易くするために所定の用語を使用したが、このような用語は本明細書では説明の目的で使用しており、広義に解釈すべきものであるため、従来技術の要件を越えて不必要な制限を意味するものではない。更に、本明細書に例証及び記載したシステム及び方法の態様は例示に過ぎず、本発明の範囲は構成及び使用の厳密な詳細に限定されない。更に、当業者に自明の通り、本明細書に記載及び例証した態様の構成要素は態様間で交換可能であり、提示する個々の構成要素に各態様を限定するものではない。
【0105】
以上、本発明について記載したが、その好ましい態様の構成、作用及び使用と、それにより得られる有利で新規な有用な結果、新規で有利な構成、及び当業者に自明の妥当なその等価物は以下の特許請求の範囲に記載する通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】仮出願シリアル番号第60/952,965号
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は仮出願シリアル番号第60/952,965号(出願日2007年7月31日)の優先権を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は水質浄化及びバイオソリッド収集システム及び方法、特に固形物捕捉を使用して水質浄化し、水中の固形物を収集するための前記システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
溶存空気浮上分離法(DAF)は超微細気泡空気浮上を使用して工業工程用水、都市下水、及び/又は湖沼水等の水溶液中の懸濁固形物を浮上させて除去する液体処理技術である。
【0004】
当分野で公知のDAFシステムは鋼又はコンクリートタンクから構成されている。大型の液体地上容器は全負荷レベルから動作レベル時の静水圧負荷中にタンク壁の変形を防ぐために構造鋼板とバッキング補強材が必要である。鋼容器は更に適切な支圧強度で荷重を土壌に伝達するためにフーチングが必要である。一般に腐食を遅らせるために314及び316ステンレス鋼又は特殊エポキシコーティングシステム等の不活性材料が使用されている。
【0005】
浅い湖沼が風で混合されると、固着していない非光合成堆積物は一時的に有光層に上昇する。養分を含むこの反応性の堆積物は汚染した(過栄養型)湖沼の有光層で藻類の養分となり、持続的な藻類開花を生じることが多く、場合によっては宇宙からも認めることができる(例えば軌道スペースシャトルはフロリダ州の過栄養型アポプカ湖を他の湖沼から区別することができる)。水質浄化手段の1例は懸濁固形物(SS)とこれに取込まれた養分を除去又は回収する方法である。
【0006】
従来のSS除去アプローチは広大(5,000〜45,000エーカー)な冠水湿原フィルターを使用しており、休止状態でSSは沈降し、土壌を形成する。土壌が崩壊するにつれ、沈殿した養分の多くは溶液中に戻り、非効率の原因となる。毒性のシアノバクテリア藻類が湿原に沈殿すると、土壌中と水中の両者で長期にわたって野生生物が毒素に暴露される可能性がある。しかし、広大な土地を利用できる場合には、この方法が好ましい浄化方法であった。
【0007】
水域浄化において知られている1つの問題は、例えば湖岸又はその付近で土壌が柔らかく、湿っている場所でシステムを作動させなければならないことが多いという点である。掘削、埋立及び土壌安定化に伴う費用は法外になる可能性があり、改良予定区域の景観が悪化する。従って、DAFシステムは現場水域浄化には不適切であるとみなされていた。更に、同じ理由を少なくとも一因として、水域でDAF技術を使用するのは実際的でないとみなされていた。
【0008】
従来の公知DAFシステムは有効に機能するために、流入速度、凝固剤添加パラメータ、及び汚泥と浮遊物の除去等の基準の厳密なバランスが必要である。大型のDAFシステムは法外に高価であることが知られているため、濾過を最適化するために特定形状をもつ小型容器に向かう傾向がある。
【0009】
現時点で直面している他の問題は燃料の費用増大及び供給低下と、藻類フロウェイや他の水生植物系等の生物浄化系により生産されたバイオマスの処分である。
【0010】
従って、経済的で有効であり、水域及び周囲区域の美観を損なわない水域浄化システム及び方法を提供することが望ましい。収集したバイオソリッドを処分し、燃料を生産するためのシステム及び方法を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
1側面において本発明は公知水質浄化及びバイオソリッド収集構造に対して革新的であり且つ著しく廉価な容器構造に関する。本発明のシステムは土壌又は水域又はその組合せ等の既存支持構造により曲げ引張及び圧縮強度が提供されるという点で従来公知のシステムと構造的に相違する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は限定されないが、DAF等の固形物捕捉法の革新的大規模化によりSS及び溶存固形物除去を達成する。DAFシステムはSSの100%を沈殿させるものではないが、全回収分を分離処理し、表面水に戻らないようにする。この結果、公知湿原技術に比較して単位面積当たりの養分除去が著しく増加する。更に、毒性藻類等の成分が生態系から安全に除去され、野生生物に暴露されなくなる。
【0013】
セント・ジョン川水質管理区域(SJRWMD)のチーム等の多数の科学者がフロリダ州アポプカ湖等の汚染湖沼や他の地表水に利用するためにDAF等の固形物除去システムを検討しているが、従来製造されているプロセスコンポーネントは規模が著しく小型であり、湖沼規模用途に必要な膨大な流量では経済的に実現できないことが分かっている。本発明は土台や高価な鋼又はコンクリート容器を必要としない槽を建造するために精密掘削、土壌のジオメンブレン技術及び廉価なライナー膜を利用した容器構造及び使用を教示する。液圧からの風力、重力、引張、曲げ及び圧縮荷重を容器の防湿コンポーネントにより防ぐ必要がないので、非常に大型の容器を建設するための費用が著しく低減する。
【0014】
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するためのシステムを提供する。前記システムは処理したい水域又はその付近の凹地に配置可能な不透水性ライニングを含む。ライニングと凹地は処理容器の外側境界を規定し、前記容器は被処理水の流入用入口をもつ処理部分と、処理水を収容するための出口部分と、処理部分と出口部分の間の流出堰を含む。流出堰は上端が水面よりも高い位置まで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されている。
【0015】
被処理水を水域から処理部分に輸送し、輸送した水に捕捉成分を添加し、輸送した水と捕捉成分を混合するための手段を提供する。捕捉成分は輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を行うための成分である。捕捉した固形物を処理槽から除去するための手段も提供する。浄化水は流出堰内のチャネルを通って出口部分に移動可能である。
【0016】
捕捉成分は限定されないが、溶存気泡、凝固剤及び凝集剤等の多数の成分の1種以上から構成することができる。
【0017】
1態様において、容器は容器の入口端付近に配置された流入バッフルを含む。流入バッフルは下端が容器の底に位置し、上端が容器の上縁から間隔を空けて水面の下まで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されている。従って、流入バッフルと入口端を含む容器側面の入口部分は流入槽を規定する。所定態様では、流入バッフルを使用しない。
【0018】
容器は更に、容器の出口端付近で容器底付近に容器上縁から間隔を空けて配置された流出チャネルを含む。前記チャネルは除去に備えて浮遊物を容器内に保持しながら浄化水を容器から排出する経路を一般に容器底及びその付近に提供する。
【0019】
1特定態様において、チャネルは下端が容器底から間隔を空けて配置され、上端が少なくとも容器上縁と同等の高さまで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着された流出堰により形成することができる。従って、流出堰と出口端を含む容器側面の出口部分は流出槽を規定する。流入バッフルが存在する場合には、流出堰との間に処理槽を規定し、流入バッフルが存在しない場合には、入口と流出堰が処理槽を規定する。
【0020】
別の態様において、チャネルは容器出口端を貫通するアパーチャにより形成することができ、アパーチャは容器底付近に水面から間隔を空けて配置される。
【0021】
別の態様において、チャネルは出口端付近で容器底付近に水面から間隔を空けて配置された導管を含むことができる。その場合には、導管を通して浄化水をポンプにより除去することができる。
【0022】
処理槽内の水面から気泡と捕捉した懸濁固形物を除去するための手段も提供する。懸濁固形物を除去した水は流出チャネルを通って所望目的地点まで移動することができ、例えば水域に戻ることができる。
【0023】
浮遊容器で使用するための別の態様では、DAFシステムを利用しなくてもよく、凝固剤及び/又は凝集剤等の固形物捕捉手段を単独又は組合せて利用することができる。浮遊容器の入口から被処理水を処理ゾーンに導入し、固形物捕捉手段を水に加えて混合する。捕捉した固形物は使用する捕捉手段の種類に応じて浮沈する。固形物を除去した水は容器から排出され、捕捉した固形物は収集され、最終的に容器から除去される。
【0024】
機構と操作方法の双方に関する本発明の特徴とその他の目的及び利点は添付図面を参照した以下の記載から更によく理解されよう。当然のことながら、図面は例証と説明を目的とし、本発明を限定するものではない。本発明により達成されるこれら及び他の目的と提供される利点は添付図面を参考に以下の記載からより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】排水中の懸濁固形物の除去用の典型的な溶存空気浮上分離装置の平面図である。
【0026】
【図2】図1の態様の側断面図である。
【0027】
【図3】水域水浸態様の側断面図である。
【0028】
【図4】別個の流入槽をもたず、処理槽から浄化水を排出するための導管を含む態様の側断面図である。
【0029】
【図5】吊下型の堰を使用して容器の出口部分の周囲にチャネルを形成し、浮遊物をガターから除去する態様の平面図である。
【0030】
【図6】図5の側断面図である。
【0031】
【図7】流動水で使用するための態様の平面図である。
【0032】
【図8】傾斜型土壌壁の側断面図である。
【0033】
【図9】勾配型土壌壁の側断面図である。
【0034】
【図10】収集した浮遊物の脱水装置の側断面図である。
【0035】
【図11】水質を浄化し、捕捉した固形物を収集するための浮遊式プラットフォーム又はバージの平面図である。
【0036】
【図12】図11の側断面図である。
【0037】
【図13】浮遊式モジュラー水質浄化及び捕捉固形物収集システムの平面図である。
【0038】
【図14】図13の側断面図である。
【0039】
【図15】沈殿し、捕捉した固形物を収集するための図13及び14のシステムの代替態様の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図1〜15を参考に本発明の好ましい態様について記載する。
【0041】
本発明のDAF容器10は以下のコンポーネント、即ち流入ゾーンと、浮遊セルゾーンと、浮遊収集ゾーンと、流出ゾーンを有する。沈殿性固形物は底まで落下し、収集システム又は暗渠導管により周期的に除去される。好ましい1態様10において、固形物は水面まで浮上し、チェーンフライトスクレーパ又は他の方法により除去され、ランプ(別称ビーチ16)に集められる。一般に、多数の変数に依存して浮遊ゾーン1平方フィート当たり0.5〜7gpmの流量をフィルターのサイズ決定に使用することができる。好ましい最小深さは12インチであり、深さは12フィートを超えることができる。
【0042】
この浮上分離法の重要な要素は溶液中に精密に形成された空気超微細気泡である。超微細気泡の生成は空気飽和タンク、液体高圧ポンプ及び空気圧縮機をシステムで使用することにより実施することができ、超微細気泡水の清浄側の流れ17を所定時間加圧下に維持することができ、圧力が解放されると、給水管18中に超微細気泡が形成され、最終的にDAF槽内に放出され、SSを水面まで浮上させて収集する。特定用途に応じて、各種特徴をもつ多数の超微細気泡発生器20がある。
【0043】
DAFシステム10内の超微細気泡の上昇は気泡の寸法に相関する。気泡が小さいほど、浮上する粒状物は小さく、上昇速度は遅い。典型的な望ましい上昇速度は1ft/minであり、直径10〜20マイクロメーターの気泡で達成することができる。
【0044】
低濃度のオゾン又は他の凝固手段もしくは薬品はその表面電荷を変えることにより小粒子を凝集させ、より大きな粒子ないし「フロック」を形成し、より大きな気泡により早い上昇速度で浮上することができる。水、凝固剤及びSSの温和な混合中に凝集が生じる。これらの変数により、体積流量比のバランスとれた効率的なDAF濾過システムが得られる。
【0045】
DAFシステムは1〜5%という非常に高い固形分濃度の排水流を生成できることが知られている。大型湖沼又は地表水系では、物質を脱水及び処分する技術の進歩により、この点は非常に有利である。
【0046】
藻類は表面電荷により細胞が相互に反発するので特に脱水しにくい。進化選択の結果、プランクトン藻類は水和の利点に適応している。その表面電荷密度により、乾燥条件に耐えられるように水分を保持することができる間隙空間が細胞間に残されているが、空間が埋まると、細胞は密集し、水分を失って死滅する。
【0047】
凝固化学反応により藻類細胞及び他のSSは表面のイオン電荷が変化し、凝集して薄片を形成する。この凝集した薄片は十分な寸法であるため、DAF流入水に導入された超微細気泡と共に浮上することができる。望ましい超微細気泡の寸法範囲は5〜50マイクロメーターであり、最適寸法は10〜20マイクロメーターの範囲である。
【0048】
オゾン前処理は凝固化学反応効率を著しく増加し、90%も増加することが知られている。オゾンは小粒子が静電荷により相互に結合するようなイオン電荷と電荷密度を生じる。オゾンはSSを脱水しにくい状態から転換し、SSが凝集し易くし、除水及び脱水を増すことができる。
【0049】
ゼータ電位は微細粒子の距離と電荷密度の関係の電位として定義することができる。ゼータ電位は粒子の表面に近づくと急速に増加し、距離が増加するにつれて加速的割合で低下する。細胞から遠ざかるにつれて電荷が中性となり、細胞が隣接細胞に吸引されるという条件を満足し、そのように変化させるように凝固化学反応を最終的に適用する。この方法では、蒸発単独よりも迅速に凝集と脱水を達成することができる。季節変動とそれに伴う植物プランクトン/SS種分化変化に応じて異なる水系又は同一水系で最適結果が得られるように1種以上の凝固薬品又は方法を使用することができる。
【0050】
所定の一般的な凝固薬品としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC、凝集剤として利用することもでき、出願時点で好ましい態様に相当すると考えられる)、クロルヒドロキシアルミニウム、カチオンポリマー、アニオンポリマー、塩化第2鉄及び硫酸アルミニウムが挙げられる。ポリマー薬品と共に、アルギン酸塩や他の天然物質等の多数の他の物質もオゾン凝固を助長するために使用することができる。所定の一般的な天然物質としては、アルギン酸ナトリウム、クレー、他の物質との錯体としてのナトリウム、浸軟藻類細胞、粉末炭素、キチン及び澱粉が挙げられる。
【0051】
DAFはオゾン/DAF/ペリフィトンシーケンスで構成した場合に相乗効果を提供する。オゾン/酸素ガスは迅速なオゾン介在反応で酸化を開始する。酸素は後続反応を媒介し、反応は著しく長時間になる。湖沼水のオゾン化/酸化で酸化−還元反応が生じるには80分までを要する。DAFの本体はペリフィトンフィルターに入る前に反応を完了できるように十分な容積に寸法決定することができる。
【0052】
最適凝固にはオゾン及び/又は天然もしくは化学物質と共に電気凝固法を使用することができる。電気凝固法は粒子表面電荷を改変するためにアノードと電流を利用する。1種以上の凝固法の組合せにより非常に費用効果的な凝固システムが得られる。
【0053】
DAFシステム10は更に窒素やリン等の養分を除去するために培養されているペリフィトン培養物等の水生植物を損傷しないようにしながら、流入水中の微小無脊椎動物を除去する。
【0054】
上記のように、DAF技術は高固形分を除去できることが知られている。これは、固形分除去率が一般に1%未満であるサンドフィルター等の他の技術よりも著しく高い。高固形分排水流の操作には特殊なポンプシステムと操作上の注意が必要である。DAFの近くの固形分採取システムの付近で乾燥ベッド又は増粘工程に隣接するようにDAFを物理的に配置すると、高固形分ポンプ又は機械化装置による物理的分配を介さずに更に増粘することができる。
【0055】
DAFシステム10(図1及び2)の1態様は空気供給源119から空気を導入される特別に改造された汚水超微細気泡発生ポンプ20に超微細気泡を誘導する。超微細気泡発生ポンプ20は圧縮空気をポンプ20の圧力部に強制流入させ、水域65からの導管17に流体を強制流通させる。形成された超微細気泡は水と混合し、導管17よりも断面の大きい飽和管120に進む。飽和管120は水中に分散するための滞留時間を気泡に提供する。飽和管120に続いてクラッキング弁100が配置され、流量を制限し、気泡混合を助長するように飽和管120内に圧力を生じる。その後、超微細気泡溶液は主流18と合流する。
【0056】
主流18はこの特定態様10では2個の注入口が配置された蛇行管を通って進行する。第1の注入口103を通してタンク104から凝固剤が挿入される。第1の注入口103の下流の第2の注入口106を通してタンク105から凝集剤が挿入される。代替態様では、凝集剤を流入槽29に直接挿入することができる。表面電荷が変化するので、凝固剤は藻類等のバイオマスにフロックを形成させると考えられる。これらのフロックは超微細気泡間に形成される。その後、凝集剤は気泡の周囲でフロックを凝集させる。
【0057】
DAFフィルターシステム10のこの態様は流入コンパートメントないし槽29をもち、超微細気泡/流入水混合物はほぼ「U」字形の端部40をもつ導管を通り、好ましくは上向きの複数のアパーチャ41をもつマニフォールド15に流入するようにポンプ39により導入される。流入槽29内の水はエネルギーを消散するように分散させずに実質的にゼロ速度に維持するが、これは、軽いSSを分離し、超微細気泡と共に上昇させるために好ましい。水は側面42を封着した流入バッフル28を越えて通過する。流入バッフル28は下端281が容器底43に位置し、上端282が容器10の上縁44の下まで延びている。従って、SSと気泡23は水面36に配置され、浮遊固形物/バイオマスの凝集を助長する。流入バッフル28は気泡相互作用により影響されない重い任意固形物も含む。流入槽29の下流の浮遊チャンバー19は浮遊SS23の層を受取り、収集点に送り、コンベヤ24又は他の手段により除去する。場合により、流入バッフル28を省略し、水面から1〜2ft下に蛇行排出マニフォールドを配置することができる。
【0058】
浮遊SS23をビーチ16に収集するためにはチェーン、パドル(フライト式)及びスプロケットを備える固形分採取システムを使用することができ、SSを水面36から引き上げ、乾燥ベッド、ジオチューブ(図10)又は他の脱水装置に導入し、更に脱水する。DAF処理槽19が広過ぎて採取システムを長距離にする必要がある場合には、長さの要件を緩和するために半浮遊パドルを使用することができる。あるいは、浮遊SS23をコンベヤ24まで推進するために走行レーキを使用することができる。
【0059】
浮遊しているスカム23をコンベヤ24とビーチ16に移動させ、収集容器22に送るように空気流を発生させるために1個以上の静電又は空気圧送風機21を使用することもできる。図例の態様において、コンベヤ24は採取したスカム23をビーチ16、又は他の方向の別のビーチ16’もしくは収集容器に向けて輸送するための移動ベルトをもつ可逆装置からなる。ここでは、コンベヤ24は処理槽19を横断して第1の側面25から反対側の第2の側面26まで延びている。
【0060】
地下水及びガスを排出させ、ライナー27が土壌表面のその所望位置から移動しないようにするために、DAFライナー27の下の排水システムを使用することができる。保守中にDAFの全部又は一部を抽出するためにDAFチャンバー19内に媒体で覆った暗渠11を使用することができる。
【0061】
処分又は使用の目的で浮遊固形物を処理するためには多数の方法を使用することができる。1態様は固形物をポンプで収集容器から移動させ、付近に配置することができる脱水施設にスカム濾液を輸送する。所定態様では、一般に固形分範囲20〜30%の湿潤ケーキとなるまで浮遊スカムを脱水するために遠心を使用することができる。
【0062】
あるいは、導管201からスカム23を受取るジオチューブ200(図10)を利用して脱水を行うことができる。ジオチューブ200は水面202に配置され、例えば不透水性の透明プラスチックシート203で覆われている。ジオチューブ200とシート203の間にファン205から空気を吹込み、スペース204を形成する。日光はスペース204を加熱し、脱水工程を助長する。ジオチューブ200から排出された水は暗渠206を通って排出される。
【0063】
単独の封じ込め手段としてライナー27を使用すると、フーチングと土台を備える従来の鋼及びコンクリート製縦型構造に比較して低費用で非常に大型のDAFフィルター処理施設10を建設するために経済的な設計方法が得られる。この態様10は建設コストによる制約のある従来の金属及びコンクリート容器設計の規模を遥かに越えてDAF技術の使用可能性を拡大する。DAFライナー27の製造にはジオテキスタイルを使用することができる。
【0064】
DAFシステム10からの流出液は側面42を封着され、下端381が容器底43から間隔を空けて配置され、上端382が容器の上縁44以上の高さまで延びている流出堰38の下を流れる。流出堰38は水面の流れを阻止し、浮遊している固形物23を浮遊チャンバー19内に捕捉する。その後、清澄化された流出液は流出槽30から導管31により移送される。流出液を湖沼あるいはオゾン及び/又はペリフィトンフィルター及び/又は他の処理システム等の後続処理システムにポンプ輸送するためには、フロートスイッチ34をもつ流出ポンプ32を使用することができる。図1及び2に示す態様において、槽19は槽19の上流端33に向かって傾斜しているため、底面のピット35とその付近に固形物を収集することができる。
【0065】
更に別のDAF態様140(図5及び6)は代替型の浮遊物収集システムと流出堰から構成される。ここでは、DAF槽141はその上縁144に固定された浮遊エレメント143により吊り下げられた弾性シート142をもつ。槽141の入口部分145に沿ってシート142は重り又は他の何らかの方法で下縁146を槽141の底147に固定される。出口部分148に沿って、下縁146は槽底147から間隔を空けて配置されている。従って、マニフォールド15に流入する水は槽141の内側処理部分149内に排出され、浮遊物150は水面151まで上昇する。その後、浄化水はシート142の下縁146の下を通り、槽141の周辺部152に排出され、そこからポンプ排出することができる。1サブ態様では、シートの下縁146が入口部分142に沿って槽底147に達するが、その上で出口部分148に沿って吊り下げられるように槽底147を傾斜させる。
【0066】
この態様140では、水面151からすくい取って浮遊物150をガター154に導入する可動レーキ153を利用して浮遊物150を収集する。収集された浮遊物150はその後、ポンプ155によりガター154から排出することができる。
【0067】
槽と同一膜からバッフルを形成することができる。HDPE埋立ライナー、ポリエチレン及び多様な合成ゴムライナー等の膜材料を使用することができるが、これに限定するものではない。DAFライナー27の下から水を除去できるようにジオテキスタイル排水システム11も利用する。こうすると、地下水及びガス排出に対するライニング陶製槽19の予測可能な性能が得られ、ライナー27に代用することができる。
【0068】
DAFシステム130の1代替態様(図4)は流入槽を含まず、図1及び2のように流出堰の下にスペースをあけず、建設した流出堰132内を延びるパイプ131から流出チャネルを構成する。流出堰132は例えばDAF槽134の底133から少なくとも水面136と同等高さの頂部135まで延びるコンクリート又は他の構造から構成することができる。パイプの入口端137は槽底133付近から浄化水を受取り、出口138から流出槽139内に排出する。上記のように、流出槽139内の浄化水はその後、元の水域65等の所望地点に輸送することができる。
【0069】
用途によっては、部分的に水没した船体と同様に、DAFシステム50を水域65の水面66に浮遊させることができる(図3)。この場合には、建造物は膜の代わりに軽量鋼、アルミニウム又はガラス繊維材料を壁51に利用することができ、構造を軽量にし、費用を抑え、陸上風力荷重を防ぐ必要がなくなる。浮上分離法に悪影響を与える可能性のある風と跳ね上がる波からDAF表面53を保護するためにカバー52を使用することができる。浮遊カラー59はシステム50を浮遊状態に維持し易くする。サービスバージはモーター駆動式超微細気泡ポンプ54、薬品貯蔵槽及び濾液貯蔵槽に補給することができる。水は逆止弁105から流出し、水域65に戻ることができるが、波が槽50に向かって流れると、逆止弁105は流入を阻止する。この設計は土地を利用せず、土地を利用した容器に比較して相対的に容易にDAF50の移転が可能である。この船型DAF50は浚渫計画に非常に好適である。
【0070】
図例の態様において、主流流入水55は超微細気泡側流56と合流し、凝固剤注入点を通り、同様に流入バッフル58の上流の流入マニフォールド57に至る。この場合も固形物60は水面53に集まり、スカムレーキ62により収集され、テンダーバージを浮遊DAF50に近づけて掻き取るか、又は地上収集システムに直接ポンプ輸送する。浄化水は流出堰63の下を通って流出槽64に流入し、そこからシステム50を出て主水域65に流入する。
【0071】
容器が水域中を移動可能なものや、受動浮遊型等の他の浮遊態様も考えられる(図11〜15)。これらの態様はDAFシステムと併用してもよいし、併用しなくてもよく、水を処理施設に輸送するために、主に三角波、水流もしくは波動作用等の自然水移動、又は移動容器に対する水の移動に依存する。収集した固形物はバイオディーゼル等の燃料に最終的に加工することが可能なプランクトン種、微小無脊椎動物及び小型魚類等の成分を含有していると考えられる。
【0072】
水質を浄化し、捕捉した固形物を収集するための容器181として機能する浮遊式プラットフォーム又はバージを含むシステム180を図11及び12に示す。容器181が浮遊式プラットフォームから構成される場合には、容器181を実質的に一定の位置に保持するために錨とロープ182(破線で示す)を使用し、水を引き込むためにポンプを使用することができる。容器181がバージから構成される場合には、動作中にバージは移動し、水域に対して相対運動を生じる。
【0073】
容器181は入口端184(バージの場合には前端)に水流入口ないしアパーチャ183をもつ。水流入口183は水域186と流体連通する開口185をもち、所定態様では複数の開口185をもつ。限定するものではないが、フラッパー逆止弁等の逆止弁187を入口チャネル183に配置する。逆止弁187は水を流入させるが、流出させないように機能すると共に、逆止弁187の下流の処理槽188が溢れないようにする。
【0074】
逆止弁187の下流には、凝固剤又は凝集剤又はその組合せ等の捕捉成分190の導入用の少なくとも1個のポート189が配置されている。少なくとも1個のポート189に続いて混合路191が配置され、1態様では、内端が重なり合うような配置でカバー198から吊り下げることができる複数の互い違いに配置したカーテン192により形成される蛇行流路から構成することができる。混合路191は乱流により捕捉成分190を流入水に混合させる。
【0075】
捕捉成分190は懸濁溶存固形物を凝集させ、システム条件に応じて浮遊塊又は沈降塊を形成させる。図11及び12に示す態様では、移動式レーキ199を使用して浮遊固形物193を容器181の出口端194に向かって移動させ、ガター195又はランプ195’又は他の手段により収集した後、容器181内外の別の場所に抽出する。浮遊固形物193の下の浄化水は出口端194で出口196から流出する。
【0076】
水質を浄化し、捕捉した固形物を収集するための容器211として機能する浮遊式プラットフォーム又はバージを含む別のシステム210,210’を図13〜15に示す。容器211が浮遊式プラットフォームから構成される場合には、容器211を実質的に一定の位置に保持するために錨とロープ212(破線で示す)を使用し、水を引き込むためにポンプを使用することができる。容器211がバージから構成される場合には、動作中にバージは移動し、水域に対して相対運動を生じる。
【0077】
容器211は各々水域218と流体連通する水流入口213を入口端214にもつ複数の実質的に平行なチャネル231に分割される。チャネル231は例えばカバー216又は浮遊部材から吊り下げられたカーテン215により形成することができる。
【0078】
システム210,210’は凝固剤又は凝集剤又はその組合せ等の捕捉成分220の導入用の少なくとも1個のポート219を含む。少なくとも1個のポート219に続いて混合路221が配置され、1態様では、カバー216から吊り下げることができる複数の互い違いに配置したカーテン222により形成される蛇行流路から構成することができる。混合路221は乱流により捕捉成分220を流入水に混合させる。
【0079】
捕捉成分220は懸濁溶存固形物を凝集させ、システム条件に応じて浮遊塊又は沈降塊を形成させる。図14に示す態様210では、浮遊固形物223は容器211の出口端224に向かって移動し、ランプ226又は他の手段により収集した後、容器211内外の別の場所に抽出する。浮遊固形物223の下の浄化水は出口端224で出口227から流出する。
【0080】
図15に示す態様210’では、沈降した固形物223’は容器211の底229の沈降ゾーン228に向かって移動し、そこから抽出される。この態様210’はカバーとして浮遊式カーテン230を含むことができる。当業者に自明の通り、これらの態様210,210’の組合せも想定できる。
【0081】
更に当業者に自明の通り、固形物捕捉を助長するために混合路191,221の後にDAF等の付加施設をこれらのシステム180,210に追加してもよい。
【0082】
例えば河川161からの流入水を浄化するためにDAFシステム160(図7)の別の態様を使用することができる。このシステム160において、「槽」162は入口164の仕切弁163の制御下に河川161から引込んだ側流から構成される。凝固剤165と凝集剤166を上記のような仕切弁163の下流167,168で注入する。上記のようなコンベヤ/レーキ170及びビーチ収集領域171又は他の手段で浮遊物169を収集することができ、浄化水は同様に上記のような流出堰172の下を流れ、その後、システム160の出口173で河川161に合流する。
【0083】
DAF法から除去された固形物は多数の用途が考えられる。このような用途の1例は低養分土壌に適用される土壌改良であり、耕地と多量養分及び微量養分を改良する。別の用途はメンブレン上での芝培養等における液体土壌培養システムである。別の用途は紙及び紙製品製造法における繊維又は填料である。更に別の用途はメタン及びエタノール又は他のアルコール(例えばブタノール)生産用原料である。藻類油を抽出し、バイオディーゼルに加工することもできる。別の用途は動物用飼料である。
【0084】
DAF容器10は浮遊用途用に建造することができ、槽内の水が容器壁を支持し、容器壁、支持構造及び土台の厚みを著しく減らすことができ、浚渫用又は地表水からのSS除去用の可動浮遊DAFを可能にする。
【0085】
高固形分の浮遊物を輸送せずに乾燥できるようにDAFのすぐ隣りの流出システムにDAF固形物を送ることができる。空気圧コンベヤ送風機で固形物を収集することができる。レーキシステムでは半浮揚型パドルを使用することができる。容器内のその望ましい平面形状と位置を維持し易くするために補強スパー又は部材と共にメンブレンバッフルを使用することができる。
【0086】
システム10,50のライナーの形成では、ジオテキスタイル又は苗床用グランドシートを使用することができ、掘削は土壌12の安息角よりも急な傾きとすることができる。壁を過剰掘削し、高さ6〜12インチに建設し、繊維性ライナー27を三方管上に形成する場合には、ライナーは土壌12を抑え、土壌のみの場合よりも水平剪断力を増す。この方法を使用して高さと垂直度の高い土壌保持壁構造を建設することができる。
【0087】
上記のようなジオテキスタイルライナー73で水槽74を支持し、基礎地盤面及び周囲の土盛り72よりも下の地中71に土壌メンブレンDAF70(図9)を建設することができる。この態様70は更に、任意DAF態様で機能できる原理を示し、即ち上端に浮き77を取付け、下端に錨78を取付けることができる「カーテン」76を使用して個々のセクター75に細分できる。
【0088】
同様のシステム80を既存の基礎地盤面よりも上に配置してもよいし、及び/又は槽壁を補強するため、もしくは現在では角度が急なほうが好ましいと考えられているのでその角度を変えるために人工構造を使用するが、それよりも上に配置してもよい。例えば、図8に示すシステム80では、地表83にジオテキスタイルライナー82を敷き、ライナー82の一部を残し、ライナー82で槽85を規定しようとする位置までライナー82の一部の上に土壌84又は他の材料を配置することにより、複数の「フィルセル」81を形成することができる。次に、この覆っていない部分86を圧縮土壌84の上に折返し、所望の高さに達するまでセル81を追加してこの工程を繰返すことができる。所望により、安定性を改善するために隣接セル81間に補強部材87を挿入することができる。完了したら、上記のような槽85をライニングするように別のライナー88を配置し、水89を引込む。地下水面が地表に近い場合には、ウェルポイント脱水技術により地中建設が可能である。
【0089】
別の態様において、掘削は単に土壌の天然安息角に依存し、ライナー式溝型DAFの垂直壁を形成するためにケーブル又は浮きで支持したメンブレンカーテンを組込むことができる。
【0090】
藻類及び細菌に結合した微小無脊椎動物及び粒状養分と溶存養分を除去するために、オゾン、DAF及びペリフィトンシステムをモジュラーシステムで使用することができる。
【0091】
収集した物質は土壌改良用種子吹付キャリヤー及び土壌安定剤として使用することができる。収集した物質と他の水生バイオマスは濾水度を増加するため、繊維との接着を増すため、及び排水を助長するために凝固薬品及び他の物質との併用下又は非併用下に紙又は紙製品で使用することもできる。SS及び他の水生バイオマスは凝固薬品及び他の物質との併用下又は非併用下に液体土壌培養システムで使用することができる。収集したバイオマスは水素/バイオディーゼル/アルコール燃料を生産するために使用することもできる。
【0092】
本発明のシステムの別の利点は海水から真水を作るために極めて有益であると思われる約50〜60%という所定程度の脱塩が行われることが判明した点である。
【0093】
他の凝固手段との併用下又は非併用下に土壌メンブレンDAFの性能を強化するために電気凝固法を利用することができる。電気凝固法及びオゾンとの併用下又は非併用下にDAFの浮遊特性を強化するために天然及び人工化学凝固剤をライナーDAFと併用することができる。土壌メンブレンDAFから藻類固形物の固形物脱水を行うためにジオテキスタイルを使用することができる。
【0094】
土壌メンブレンDAF及びペリフィトン培養システムからの藻類固形物を使用して天日乾燥及び堆肥化を実施することができる。DAF容積及びそれに伴う滞留時間の操作と使用により、ペリフィトン濾過の前にオゾンと酸素の反応及び酸化−還元反応を完了することができる。
【0095】
周期的に沈降性粒子を除去するために排水だめと手動真空システムを使用することができる。
【0096】
本発明の別の側面は水生植物培養システムにより取込むためにCO2を安定化するにつれて再生水中に藻類養分を生成する凝固及び酸性化法により水生植物及びプランクトン又は他の藻類を回収するための手段に関し、前記手段はバイオ燃料生産及び他の用途で使用することができる。
【0097】
好ましい1態様では、工程培養水から回収した藻類を凝固させるか、又は石灰水を利用してフロックとして収集する。酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び炭酸カルシウム(未加工及び加工形態の石灰石)を単独又は併用して水に加えると、pH上昇を生じると共に小粒子の反発性表面電荷を妨害し、小粒子を結合して薄片を形成する。これらの薄片はポリマーと凝集して大きな薄片となり、水面に容易に浮遊し、採取又は送風して収集される。
【0098】
一般にはpH補正が必要であると思われ、二酸化炭素を利用するなど液体酸等の各種手段により実施することができる。pHを調節するためにCO2を使用する場合には、CO2は残留酸化カルシウムを植物に好ましい炭素形態である重炭酸塩に変換する。水が培養系に戻るときには、既に炭素で改善されている。更に、この炭素は安定しており、溶存CO2等のガスを発生しない。
【0099】
この培養水は畜産事業と排水施設からの他の栄養源で改善することができ、このバランスのとれた栄養培地は藻類の生育を促進し、エネルギーを生産するように更に生物学的に改良することができる。
【0100】
二酸化炭素は約0.033%ないし330ppmの濃度の大気ガスである。室温で二酸化炭素の溶解度は水100mL当たりCO2約90cm3である。水溶液中に二酸化炭素は水性形態で存在し、H2CO3即ち炭酸と平衡する。炭酸は弱酸であり、H++HCO3−(重炭酸)に解離する。
【0101】
この段階で藻類培養物は生体結合した炭素源として重炭酸を取込むことができる。炭素を分離するための処置を取ることもできるし、エネルギーを生産するように藻類を消化、発酵又はガス化することもできる。
【0102】
炭酸イオンはCa2+の沈殿を生じる。CaCO3の場合、反応定数Kspは5×10−9である。その後、炭酸カルシウムは水からのHと結合し、炭酸を形成する。液体から炭酸塩が沈殿し、これを取出し、多くの目的に使用することができる。この時点で炭素は安定な形態で分離される。
【0103】
第2の態様は単に藻類培養の養分としての重炭酸の添加に依存する。先ず、CO2を原水に加え、pHを下げることにより酸性化する。その後、酸化カルシウム、水酸化カルシウム又は炭酸カルシウムを加え、pHを中性付近にする。二酸化炭素が水に溶解するにつれて炭酸イオンと平衡に達する。酸性水は酸化カルシウム、水酸化カルシウム及び/又は炭酸カルシウムを溶解し、Ca2+(水溶液)+2HCO3−(水溶液)となる。
【0104】
以上の記載では、簡潔、明瞭及び理解し易くするために所定の用語を使用したが、このような用語は本明細書では説明の目的で使用しており、広義に解釈すべきものであるため、従来技術の要件を越えて不必要な制限を意味するものではない。更に、本明細書に例証及び記載したシステム及び方法の態様は例示に過ぎず、本発明の範囲は構成及び使用の厳密な詳細に限定されない。更に、当業者に自明の通り、本明細書に記載及び例証した態様の構成要素は態様間で交換可能であり、提示する個々の構成要素に各態様を限定するものではない。
【0105】
以上、本発明について記載したが、その好ましい態様の構成、作用及び使用と、それにより得られる有利で新規な有用な結果、新規で有利な構成、及び当業者に自明の妥当なその等価物は以下の特許請求の範囲に記載する通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】仮出願シリアル番号第60/952,965号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するためのシステムであって、前記システムは処理したい水域又はその付近の凹地に配置可能な不透水性ライニング(ここで、ライニングと凹地は処理容器の少なくとも一部を規定し、前記容器は被処理水の流入用入口をもつ処理部分と、処理水を収容するための出口部分と、処理部分と出口部分の間の流出堰を含み、流出堰は上端が水面よりも高い位置まで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されている)と;
被処理水を水域から処理部分入口に輸送するための手段と;
輸送した水に捕捉成分を添加し、水と捕捉成分を混合するための手段(ここで、捕捉成分は輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を行うための成分である)と;
捕捉した固形物を処理部分から除去するための手段を含み、浄化水が流出堰内のチャネルを通って出口部分に移動可能である前記システム。
【請求項2】
捕捉成分添加手段が輸送手段の出口端の上流に輸送中の水中に気泡流を導入するための手段を含み、気泡が水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、水面まで移送し、気泡と捕捉した固形物が固形物除去手段まで移動可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
混合手段がクラッキング弁と、クラッキング弁の上流で気泡導入手段の下流に配置された飽和管を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
捕捉成分添加手段が凝固剤と凝集剤の少なくとも一方の供給源と、輸送した水に凝固剤と凝集剤の少なくとも一方を注入するための手段を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
混合手段が処理部分の上流に配置された蛇行流路を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ライニングが水域付近の土壌の凹地に配置可能な弾性シートを含み、凹地が処理槽内を入口に向かって下向きに傾斜している請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
シートがジオテキスタイル材料を含む請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
凹地が更に沈降した固形物を収集するためのピットを入口付近にもつ請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
流出部分内に入口をもつ流出ポンプと、流出部分内の流出液が所定の深さに達したときに流出ポンプを駆動するためのフロートスイッチを更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ライニングが水域に配置可能な構造を含み、部分的に水没した配置でライニングを保持するように配置された浮遊部材を更に含み、容器の上縁が水域の水面よりも高い請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
構造が水域内を移動可能であり、水輸送手段が構造の前部付近にアパーチャをもち、構造が水域内を移動すると、水がアパーチャに流入し;
混合手段が蛇行経路を描く輸送手段の一部を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
水輸送手段が相互に間隔を空けて配置され、内端が重なり合った複数の垂直方向に配置されたバッフルを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するための方法であって、
処理したい水域又はその付近の凹地に配置された不透水性ライニングにより形成される処理容器の入口に水域から水を輸送する段階と;
輸送した水に捕捉成分を添加する段階と;
輸送した水と捕捉成分を混合する段階(ここで、捕捉成分は輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を行うための成分である)と;
混合した水と捕捉成分を処理容器の処理部分に移送する段階と;
捕捉した固形物を処理部分から除去する段階と;
浄化水を処理容器の出口部分に移動させる段階を含む前記方法。
【請求項14】
捕捉成分添加段階が処理部分の上流に輸送中の水に気泡流を導入する段階を含み、気泡が水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、水面まで移送する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
混合段階が水と気泡を飽和管に移送し、次いでクラッキング弁に移送する段階を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
捕捉成分添加段階が輸送した水中に凝固剤と凝集剤の少なくとも一方を注入する段階を含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
混合段階が処理部分の上流の蛇行流路に水を移送する段階を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ライニングが水域付近の土壌の凹地に配置可能な弾性シートを含み、凹地が処理槽内を入口に向かって下向きに傾斜している請求項13に記載の方法。
【請求項19】
水輸送段階が容器の前方に配置したアパーチャに水を流入させるように水域内で容器を移動させる段階を含み;
混合段階がアパーチャに流入する水を処理部分の上流の蛇行経路に流す段階を含む請求項11に記載の方法。
【請求項20】
水質浄化及び固形物収集システムの建設方法であって、
水質浄化し、固形物を収集したい水域又はその付近の凹地に不透水性ライニングを配置する段階と;
上端が処理容器内の所期水位と少なくとも同等の高さまで延び、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されるように流出堰を容器の出口端の付近に配置し、流出堰と出口端を含む容器側面の出口部分が流出部分を規定するように配置する段階と;
被処理水を水域から処理槽の1領域に輸送するための手段を提供する段階と;
輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を実施するための捕捉成分を輸送手段の出口端の上流に輸送中の水中に添加混合するための手段を提供する段階と;
捕捉成分と、捕捉した固形物を処理槽から除去するための手段を提供する段階と;
浄化水を流出槽から流出させるための手段を提供する段階を含む前記方法。
【請求項1】
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するためのシステムであって、前記システムは処理したい水域又はその付近の凹地に配置可能な不透水性ライニング(ここで、ライニングと凹地は処理容器の少なくとも一部を規定し、前記容器は被処理水の流入用入口をもつ処理部分と、処理水を収容するための出口部分と、処理部分と出口部分の間の流出堰を含み、流出堰は上端が水面よりも高い位置まで延びており、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されている)と;
被処理水を水域から処理部分入口に輸送するための手段と;
輸送した水に捕捉成分を添加し、水と捕捉成分を混合するための手段(ここで、捕捉成分は輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を行うための成分である)と;
捕捉した固形物を処理部分から除去するための手段を含み、浄化水が流出堰内のチャネルを通って出口部分に移動可能である前記システム。
【請求項2】
捕捉成分添加手段が輸送手段の出口端の上流に輸送中の水中に気泡流を導入するための手段を含み、気泡が水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、水面まで移送し、気泡と捕捉した固形物が固形物除去手段まで移動可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
混合手段がクラッキング弁と、クラッキング弁の上流で気泡導入手段の下流に配置された飽和管を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
捕捉成分添加手段が凝固剤と凝集剤の少なくとも一方の供給源と、輸送した水に凝固剤と凝集剤の少なくとも一方を注入するための手段を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
混合手段が処理部分の上流に配置された蛇行流路を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ライニングが水域付近の土壌の凹地に配置可能な弾性シートを含み、凹地が処理槽内を入口に向かって下向きに傾斜している請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
シートがジオテキスタイル材料を含む請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
凹地が更に沈降した固形物を収集するためのピットを入口付近にもつ請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
流出部分内に入口をもつ流出ポンプと、流出部分内の流出液が所定の深さに達したときに流出ポンプを駆動するためのフロートスイッチを更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ライニングが水域に配置可能な構造を含み、部分的に水没した配置でライニングを保持するように配置された浮遊部材を更に含み、容器の上縁が水域の水面よりも高い請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
構造が水域内を移動可能であり、水輸送手段が構造の前部付近にアパーチャをもち、構造が水域内を移動すると、水がアパーチャに流入し;
混合手段が蛇行経路を描く輸送手段の一部を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
水輸送手段が相互に間隔を空けて配置され、内端が重なり合った複数の垂直方向に配置されたバッフルを含む請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
水域を浄化し、懸濁溶存固形物を収集するための方法であって、
処理したい水域又はその付近の凹地に配置された不透水性ライニングにより形成される処理容器の入口に水域から水を輸送する段階と;
輸送した水に捕捉成分を添加する段階と;
輸送した水と捕捉成分を混合する段階(ここで、捕捉成分は輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を行うための成分である)と;
混合した水と捕捉成分を処理容器の処理部分に移送する段階と;
捕捉した固形物を処理部分から除去する段階と;
浄化水を処理容器の出口部分に移動させる段階を含む前記方法。
【請求項14】
捕捉成分添加段階が処理部分の上流に輸送中の水に気泡流を導入する段階を含み、気泡が水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、水面まで移送する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
混合段階が水と気泡を飽和管に移送し、次いでクラッキング弁に移送する段階を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
捕捉成分添加段階が輸送した水中に凝固剤と凝集剤の少なくとも一方を注入する段階を含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
混合段階が処理部分の上流の蛇行流路に水を移送する段階を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ライニングが水域付近の土壌の凹地に配置可能な弾性シートを含み、凹地が処理槽内を入口に向かって下向きに傾斜している請求項13に記載の方法。
【請求項19】
水輸送段階が容器の前方に配置したアパーチャに水を流入させるように水域内で容器を移動させる段階を含み;
混合段階がアパーチャに流入する水を処理部分の上流の蛇行経路に流す段階を含む請求項11に記載の方法。
【請求項20】
水質浄化及び固形物収集システムの建設方法であって、
水質浄化し、固形物を収集したい水域又はその付近の凹地に不透水性ライニングを配置する段階と;
上端が処理容器内の所期水位と少なくとも同等の高さまで延び、容器を横断し、側縁が容器の両側の側面に封着されるように流出堰を容器の出口端の付近に配置し、流出堰と出口端を含む容器側面の出口部分が流出部分を規定するように配置する段階と;
被処理水を水域から処理槽の1領域に輸送するための手段を提供する段階と;
輸送した水中の懸濁溶存固形物を捕捉し、捕捉した固形物と固形物を除去した水の分離を実施するための捕捉成分を輸送手段の出口端の上流に輸送中の水中に添加混合するための手段を提供する段階と;
捕捉成分と、捕捉した固形物を処理槽から除去するための手段を提供する段階と;
浄化水を流出槽から流出させるための手段を提供する段階を含む前記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−535104(P2010−535104A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520193(P2010−520193)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071777
【国際公開番号】WO2009/029381
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510029623)アクアファイバー・テクノロジーズ・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/071777
【国際公開番号】WO2009/029381
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510029623)アクアファイバー・テクノロジーズ・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
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