説明

汚れ分解装置

【課題】オゾンガスや紫外線光により汚れを分解して消臭除菌する汚れ分解装置において、汚れの分解状況を容易に安全に確認できるようにする。
【解決手段】汚れ分解装置1は、開口3を有する筐体2と、筐体2の内部空間部10にオゾンを供給するオゾン発生部4と、筐体2内で開口3に向けて紫外線を出射する紫外線光源部5と、開口3を外部から視認するための窓部6を備える。内部空間部10の開口3で汚れ面Bを含む床面Aを覆って、前記各部により内部空間部10内にオゾン及び紫外線を供給・出射して汚れを分解する。窓部6には、紫外線光源部5から出射された紫外線を汚れ面Bが吸収することにより励起される可視光を透過し、紫外線をカットする透光部材61が設けられている。これにより、窓部6から汚れ面Bの汚れの分解状況を容易に安全に確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線やオゾンを用いて汚れを分解して消臭除菌等を行う汚れ分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内におけるフローリングや壁などに付着した汚れを取り除くには、洗剤などを付けた布等により拭き取っていた。しかし、フローリングの微小な隙間や、木材の微細孔に入ってしまった汚れを拭き取るのが困難な場合があった。また、拭き取った布自体の汚れを殺菌する必要があった。そこで、このような汚れを取るために、汚れを密閉空間で覆って、この空間内に、一定時間の間、消臭殺菌効果の高い波長を発生させる殺菌灯により紫外線光を汚れ部分に照射したり、空気中の微生物などに対する強力な殺菌作用を有するオゾンを供給することにより、消臭殺菌することが行われている。しかし、このような消臭殺菌では、オゾンガス、紫外線光がともに人体に有害なため、これらが漏れないように汚れ部分を密閉して行われるので、密閉内の汚れの分解状況を容易に確認することができなかった。従って、消臭殺菌を終了するために、どのタイミングでガスの噴射、紫外線光の照射を止めるべきかの的確な判断をすることが困難な場合があった。
【0003】
ところで、本体に設けた殺菌灯で生成されたオゾンを、カバーを兼ねた2つのオゾン排出部に供給し、これら2つのオゾン排出部で除菌対象物の汚れたハンデイモップの外周を被覆し、この被覆した空間内にオゾンを排出することにより殺菌、脱臭する用具殺菌・脱臭装置が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この装置は、除菌対象物をオゾン排出部で密閉して除菌するので、密閉内の汚れの分解状況を把握することができず、除菌作業の終了を的確に判断をすることが困難であった。このため、除菌のやり直しなどにより作業時間が長く掛かることがあった。
【特許文献1】特開2001−245961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、消臭除菌のために密閉空間内でオゾンガスや紫外線光を供給・照射して汚れを分解する際、汚れの分解状況を容易に安全に確認することができる汚れ分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、少なくとも一部が開口した筐体と、前記筐体の内部空間にオゾンを供給するオゾン発生手段と、前記筐体内で前記開口に向けて紫外線を出射する紫外線照射手段とを備え、前記筐体をその開口に汚れを含む面が臨むように配設して前記各手段により供給・出射されたオゾン及び紫外線により汚れを分解する汚れ分解装置であって、前記筺体は、前記開口を外部から視認するための窓部を備え、前記窓部には、前記紫外線照射手段から出射された紫外線を前記汚れが吸収することにより励起される可視光を透過し、紫外線をカットする部材が設けられているものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の汚れ分解装置において、前記紫外線照射手段は、前記筐体の内部空間に臨む一内面に配設され、前記窓部は、前記紫外線照射手段から出射された光が前記開口に臨ませた汚れを含む面により反射される方向位置に配設されているものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、筐体に設けた窓部により、汚れが紫外線を吸収することにより励起される可視光を透過し、紫外線をカットするので、ユーザは、筐体で汚れを覆った状態で、汚れの分解状況を目視により容易に、かつ、不要な刺激を受けることがなく、安全に確認することができる。これにより、常時、分解状況を把握でき、どのタイミングでオゾンガスの噴射、紫外線光の照射を止めるべきかを的確に判断できるので、汚れ分解による消臭殺菌を効率的に行うことができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、汚れが紫外線を吸収することにより励起される可視光を効率良く窓部へ透過させることができるので、汚れの分解状況を精度良く目視確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態に係る汚れ分解装置(以下、本装置という)について、図1乃至図3を参照して説明する。本装置1は、開口3を有する略矩形状の筐体2と、筐体2の内部空間部10(内部空間)にオゾンを供給するオゾン発生部(オゾン発生手段)4と、筐体2内で開口3に向けて紫外線を出射する紫外線光源部(紫外線照射手段)5と、開口3を外部から視認するための窓部6とを備える。また、オゾン発生部4、紫外線光源部5などは、電源コード50を介して外部AC電源に接続される。
【0010】
(筐体)
筺体2は、開口3を持つ内部空間部10と、窓部6と、開口3を囲み消臭除菌対象の床面Aに接する底面部7とを備えている。また、筺体2は、オゾン発生部4及び紫外線光源部5を収納又は設置するための支持体を兼ねており、オゾン発生部4及び紫外線光源部5は、筐体2の内部空間部10に臨む一内面に配設されている。また、筺体2は、消臭殺菌の際、床又は壁等(床面A)における消臭殺菌対象である汚れ面B上に設置される。このとき、内部空間部10が汚れ面Bを覆うと、底面部7は汚れ面Bのある床面Aに接触され、内部空間部10と床面Aは、略密閉空間を形成する。この密閉空間に、オゾン発生部4、紫外線光源部5よりオゾン及び紫外線が供給・出射されることにより、汚れ面Bの汚れが分解され、消臭殺菌される。なお、消臭殺菌する床面Aの部材としては、フローリング、絨毯、畳など一般の住宅にある全ての種類の床材が対象となる。
【0011】
窓部6は、筐体2の上面にあって、紫外線光源部5から出射された光が開口3に臨ませた汚れ面Bを含む床面Aにより反射される方向位置に配設され、この窓部6には、紫外線光源部5から出射された紫外線を汚れ面Bが吸収することにより励起される可視光を透過し、紫外線をカットする透光部材61が設けられている。これにより、筐体2で床面Aを覆ったとき、ユーザは目視で内部空間部10の開口3に位置された汚れ面Bを観察でき、かつ紫外線による不要な刺激を受けることがない。また、汚れが励起する可視光は、紫外線光源部5から出射された光が反射する窓部6の方向に出射される。
【0012】
(オゾン発生部)
オゾン発生部4は、例えば、対向した電極間に高周波高電圧を印加して、空気の一部をオゾン化させることによりオゾンを発生させるものであり、オゾンにより汚れを分解させて消臭殺菌する。このオゾン発生部4は、内部空間部10を床面Aに設置して形成される略密閉空間にオゾンガスを噴霧する。このオゾンガスは、略密閉空間内に充満され、オゾン濃度が高められて、床面Aの汚れ面Bの汚れを分解して消臭殺菌する。
【0013】
(紫外線光源部)
紫外線光源部5は、消臭殺菌効果の高い波長を発生させるものであり、光源として消臭殺菌用紫外線灯等を用いる。この紫外線光源部5の光源からは、100〜280nmにピークを持つ紫外線(UV−C)、または、280〜315nmの波長成分を持つ紫外線(UV−B)のどちらか一方の紫外線が、内部空間部10と床面Aとによる略密閉空間内に出射され、汚れ面Bを照射する。この消臭殺菌用の紫外線は、波長区分により消臭力殺菌力が相違し、紫外線(U・V−C)は、強力な消臭殺菌を必要とする場合に、紫外線(UV−B)は、床面等を損傷させたくない場合にそれぞれ使用される。また、この紫外線は、尿素やアンモニア等で構成される汚れ部分に照射され、吸収されることにより可視光を励起する紫外線光である。従って、汚れ部分に紫外線を照射することにより、可視光が励起され、窓部6を通して外部に放射されるので、ユーザはこの可視光により汚れ部分を視認することができる。
【0014】
上記筐体2の紫外線が照射される内部空間部10の各内面は、紫外線を反射し易い部材で形成される。この反射部材は、例えば、金属製部材(ステンレス(例:SUS304)、アルミ、アルマイト等)や金属表面処理(クロムメッキ、アルミ蒸着、金メッキ、金蒸着、銀メッキ、銀蒸着品等)や樹脂成形品(アルミなどの金属を樹脂の中に含有した金属フレークを成形したもの)等を使用できる。但し、窓部6の透光部材61は、可視光を透過できる部材とする。
【0015】
また、内部空間部10の各内面は、内部空間部10内にオゾンが充満されるので、オゾンで劣化し難い部材で形成される。このオゾンで劣化し難い部材は、例えば、金属製部材(SUS304のようなステンレス、表面を陽極酸化被膜処理したアルミニウム等)、一般磁器、アルミナ磁器、エンジニアリングプラスチック/ポリイミド樹脂(例えば、デュポン社製ベスペル、東レ・デュポン社製カプトンフィルム等)、及びPEEK(ポリエーテルエーテルケトン、polyetheretherketone)樹脂(例えば、ビクトレックス・エムシー社製ベクトラ等)等を使用できる。但し、窓部6の透光部材61は、可視光を透過できる部材とする。
【0016】
上記のように構成された本装置1を用いた消臭殺菌の手順について説明する。まず、ユーザが目視等により、予め汚れ面Bの位置を見付けておく。次に、内部空間部10により、汚れ面Bを含む床面Aを覆って密閉し、内部空間部10と床面Aとによる略密閉空間を形成する。この略密閉空間内に、オゾン発生部4をオンしてオゾンを発生させて充満させ、同時に紫外線光源部5をオンして消臭殺菌用の紫外線L1(UV−B又はUV−C)を出射する。
【0017】
紫外線光源部5からの紫外線L1は、上記略密閉空間内で、開口3を臨む方向に出射され、開口3内に位置された汚れ面Bを照射する。また、オゾン発生部4から発生したオゾンガスは、数秒間で内部空間部10の略密閉空間内に充満される。略密閉空間内で、紫外線L1が照射され、オゾンガスが充満され続けると、紫外線L1及びオゾンの作用により、汚れ面Bから汚れが徐々に分解されていく。このとき、汚れ面Bの分解されていない汚れ部分からは、紫外線を吸収して可視光L2が励起される。この可視光L2により、窓部6から汚れ面Bの汚れの分解状況を確認することができる。従って、汚れの分解を確認できた場合に、電源をオフし、オゾン発生部4と紫外線光源部5を同時に停止して、汚れ分解作業を終了する。
【0018】
このように、本実施形態によれば、筐体2に設けた窓部6により、汚れが紫外線L1を吸収することにより励起される可視光L2を透過し、紫外線L1をカットするので、ユーザは、筐体2で汚れを覆った状態で、汚れの分解状況を目視により容易に、かつ、不要な刺激を受けることがなく、安全に確認することができる。これにより、常時、分解状況を把握でき、どのタイミングでオゾンガスの噴射、紫外線光の照射を止めるべきかを的確に判断できるので、汚れ分解による消臭殺菌作業を効率的に行うことができる。
【0019】
また、窓部6が、紫外線光源部5から出射された光が床面Aにより反射される方向位置に配設されているので、汚れが紫外線L1を吸収することにより励起される可視光L2を効率良く窓部6へ透過させることができ、汚れの分解を精度良く確認することができる。
【0020】
また、紫外線が照射される内部空間部10の各内面を、紫外線を反射し易い部材で形成したことにより、内部空間部10内面の紫外線に対する反射効率が高まり、紫外線を汚れ面Bに集中して照射することができ、従って、効率良く短時間で消臭殺菌処理を行うことができる。また、紫外線を内部空間部10内面で反射させて、吸収し難くできるので、その構成部材の紫外線による劣化を防ぐことができる。
【0021】
また、オゾンが充満される内部空間部10の各内面を、オゾンで劣化され難い部材で形成することにより、例えば、汚れ分解処理を効率良く行うために、オゾンを高濃度に噴霧した場合や、汚れ分解による汚れ分解を長期間実施した場合にも、部材が劣化せずに安全に使用することができる。
【0022】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る汚れ分解装置について、図4及び図5を参照して説明する。本装置1は、筐体2に、筺体2を手で移動するための取手棒9を設けた点が異なり、その他の構成は、前述実施形態と同様である。
【0023】
筐体2には、一側面側の中央部に凹部を成す、取手棒9を取り付ける取り付け部8が形成され、この取り付け部8には、取手棒9の一方の先端が筐体2の上下方向に回転自在に取り付けられている。ユーザは、筺体2の窓部6を上面にして、内部空間部10で床面Aを覆って設置した状態で、取手棒9を前後左右に動かすことにより、筺体2を床面A上で滑らせながら移動させることができる。これにより、ユーザが立ったまま、窓部6から汚れを視認しながら筺体2を容易に移動できるので、床面A上に複数の汚れ面Bが存在しても、筺体2を順次動かして、素早く汚れの分解処理を行うことができる。
【0024】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る汚れ分解装置について、図6乃至図10を参照して説明する。本装置1は、汚れ面Bを確認するための汚れ確認用光源部11をさらに有し、筺体2が略矩形状の本体部20と、本体部20に対向する位置に配置される蓋部30と、本体部20及び蓋部30を繋ぐ折畳み部40とにより形成されたものである。
【0025】
(本体部)
本体部20は、オゾン発生部4又は紫外線光源部5を収納又は設置するための支持体であって、蓋部30の一端が着脱及び回転自在に取り付けられる。また、蓋部30には、窓部6が設けられている。蓋部30を本体部20に対して開放させることにより、筺体2には、本体部20、蓋部30、及び折畳み部40により囲まれたテント状の内部空間部(テント状空間部という)(内部空間)10aが形成される。このテント状空間部10aは、汚れの分解、消臭殺菌の際、床又は壁等(床面A)における消臭殺菌対象である汚れ面B上に設置される。本体部20、蓋部30、及び折畳み部40の床面Aと接する各縁部は、筺体2の底面部7を成し、テント状空間部10aは、底面部7で囲まれた開口3を有する。この底面部7が床面Aと接することにより、テント状空間部10aと床面Aは、略密閉空間を形成する。
【0026】
また、紫外線光源部5は、本体部20のテント状空間部10aに臨む面に配設され、窓部6は、紫外線光源部5から出射された光が開口3に臨ませた汚れ面Bを含む床面Aにより反射される方向位置に配設されている。これにより、紫外線L1を吸収した汚れが励起する可視光は、紫外線L1が床面Aで反射される窓部6の方向に放射される。また、オゾン発生部4は、テント状空間部10aを床面Aに設置して形成される略密閉空間にオゾンガスを噴霧し、略密閉空間内の床面Aの汚れ面Bを消臭殺菌する。なお、オゾン発生部4又は紫外線光源部5は、蓋部30又は折畳み部40に格納又はそれらの表面に設置されても構わない。
【0027】
(蓋部)
蓋部30は、折畳み部40を折畳んで閉じたとき、本体部20上の紫外線光源部5を覆い、本体部20に略平行に接するように配設され、本体部20開放されると、紫外線光源部5及びオゾン発生部4が露出される。
【0028】
(折畳み部)
折畳み部40は、本体部20と蓋部30の間に設置され、図8(a)、(b)に示されるように、蓋部30が本体部20から開放されると、テント状空間部10aが形成され、このとき、汚れの付着した部屋の床面や壁との隙間を塞いで、略密閉空間を構成する。この折畳み部40は、蓋部30を閉じるとき、図9(a)に示すように、折畳み部40を2つに略対称に折畳む折畳み線41が白矢印方向に折畳まれ、図9(b)に示すように、ほぼ完全に折畳まれると、全体の厚みが薄くなり、本装置1は小型でコンパクトな形状になり、持ち運び易くなる。
【0029】
(汚れ確認用光源部)
汚れ確認用光源部11は、本体部20の端部21に設けられユーザが汚れ位置を確認するための紫外線光を照射するものである。この紫外線は、汚れ部分に照射され、吸収されることにより可視光を励起する紫外線光(例:315〜400nmの波長範囲の紫外線UV−A)であり、この紫外線UV−Aは、尿素やアンモニア等で構成される汚れ部分に吸収されると、可視光を励起する。この可視光により、ユーザは汚れ部分を目で確認することができる。
【0030】
また、汚れ確認用光源部11の光源は、砲弾型LEDを取り付けた点光源から成り、本体部20の端部21に固定されている。また、点光源の前面にはレンズ(不図示)が取り付けられており、蓋部30を折畳んだときに、懐中電灯のように比較的に狭い範囲を効果的に照射できるようになっている。この汚れ確認用光源部11の使用状態を、図10に示す。ユーザは、蓋部30を閉じた状態の本装置1を持ち上げて汚れ確認用光源部11からの照射光Cで床面Aを照らすことにより、予め汚れ面Bを見付けておくことができる。
【0031】
汚れ確認用光源部11の光源を、点光源でなく細長い紫外線蛍光管として本体部20内に設置した構成としてもよい。この構成においては、テント状空間部10aを組み立てた状態で、開口面全体を略一様に汚れ確認用の紫外線を照射することができる。これにより、汚れ面Bを確認する際、開放状態の本装置1全体を持ち上げるだけで、汚れ面Bの位置を見つけることができる。
【0032】
上記本体部20、蓋部30及び折畳み部40等のオゾン及び紫外線が供給・照射されるテント状空間部10aの各内面は、前記と同様に、オゾンで劣化し難い部材及び紫外線を反射し易い部材で形成される。
【0033】
上記のように構成された本装置1を用いた消臭殺菌の手順について説明する。まず、ユーザが目視又は、汚れ確認用光源部11により汚れ確認用紫外線を照射し、予め汚れ面Bの位置を見付けておく。このとき、紫外線光源部5は、ユーザの目を保護するために、オフしておく。次に、本体部20から蓋部30を開放してテント状空間部10aを形成し、このテント状空間部10aにより、汚れ面Bを含む床面Aを覆って密閉し、このテント状空間部10aと床面Aとによる略密閉空間を形成する。この略密閉空間内に、オゾン発生部4をオンしてオゾンを発生させて充満させ、同時に紫外線光源部5をオンして消臭殺菌用の紫外線L1(UV−B又はUV−C)を照射する。
【0034】
紫外線光源部5から照射された紫外線L1は、上記略密閉空間内で、直接的に、又はテント状空間部10aの各内側表面で反射されながら間接的に汚れ面Bに到達する。従って、テント状空間部10a内の個々の内側表面の反射特性を最適化することによって、汚れ面Bに略均一に紫外線を照射することができる。また、オゾン発生部4から発生したオゾンガスは、数秒間でテント状空間部10a内に充満される。
【0035】
上記略密閉空間内で、紫外線L1が照射され、オゾンガスが充満され続けると、汚れ面Bから汚れが徐々に分解される。従って、前記と同様に、この汚れの分解状況を、窓部6から目視で確認し、汚れの分解を確認できたら、電源をオフして消臭殺菌作業を終了し、折畳み部40を畳んで蓋部30を閉じればよい。
【0036】
このように、本実施形態によれば、蓋部30を本体部20に対して開放するだけでテント状空間部10aを形成して本装置1を簡単に設置できると共に、テント状空間部10aを折畳んで小さく、コンパクトにできるので、容易に持ち運ぶことができる。
【0037】
また、窓部6と紫外線光源部5とは、2つの折畳み線41を結んだ面に略対称に配置されるので、汚れが紫外線L1を吸収することにより励起される可視光L2をより効率良く窓部6へ透過させることができ、汚れの分解をさらに精度良く確認することができる。
【0038】
なお、本発明は上記各種の実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。上記各実施形態において、筐体の底面部に、ゴムパッキンのようなゴム状物質、又は起毛状物質で形成し、軟性を持たせた接触部を構成にすることにより、筺体と床面とをより密着して接触させることができ、密閉空間の密封をより確実に行うことができる。また、被消臭殺菌場所の広さに応じて複数個の汚れ分解装置を取り付けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る汚れ分解装置の斜視図。
【図2】上記汚れ分解装置の底面側からみた斜視図。
【図3】(a)は上記汚れ分解装置の底面図、(b)は同装置の断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る汚れ分解装置の斜視図。
【図5】上記汚れ分解装置の断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る汚れ分解装置の斜視図。
【図7】上記汚れ分解装置の底面図。
【図8】(a)は上記汚れ分解装置の側面図、(b)は同装置の断面図。
【図9】(a)は上記汚れ分解装置の折畳み途中の側面図、(b)は同装置の折畳み後の側面図。
【図10】上記汚れ分解装置の汚れ確認用光源部の使用状態を示す図。
【0040】
1 汚れ分解装置
2 筺体
3 開口
4 オゾン発生部(オゾン発生手段)
5 紫外線光源部(紫外線照射手段)
6 窓部
10 内部空間部(内部空間)
10a テント状空間部(内部空間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が開口した筐体と、前記筐体の内部空間にオゾンを供給するオゾン発生手段と、前記筐体内で前記開口に向けて紫外線を出射する紫外線照射手段とを備え、前記筐体をその開口に汚れを含む面が臨むように配設して前記各手段により供給・出射されたオゾン及び紫外線により汚れを分解する汚れ分解装置であって、
前記筺体は、前記開口を外部から視認するための窓部を備え、
前記窓部には、前記紫外線照射手段から出射された紫外線を前記汚れが吸収することにより励起される可視光を透過し、紫外線をカットする部材が設けられていることを特徴とする汚れ分解装置。
【請求項2】
前記紫外線照射手段は、前記筐体の内部空間に臨む一内面に配設され、
前記窓部は、前記紫外線照射手段から出射された光が前記開口に臨ませた汚れを含む面により反射される方向位置に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の汚れ分解装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−50582(P2009−50582A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221874(P2007−221874)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】