説明

汚れ防止壁紙

【課題】
本発明の目的は、でん粉系接着剤の付着汚染が抑えられると共に、基材裏面の被覆層が無くてもカールが少なく、柔軟性があり下地追従性に優れた住宅等の壁や天井用の内装材として貼られる汚れ防止壁紙を提供することにある。
【解決手段】
基材を裏打した化粧樹脂層に、表面張力が40mN/m以下の表面樹脂被覆層を積層することであり、さらに、裏打材の横方向の水中伸度が1.3%以下で且つサイズ度が70秒以下とする汚れ防止壁紙としたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本本発明は、住宅等の壁や天井用の内装材として貼られる壁紙に関するものであり、詳しくは汚れ防止性および施工性に優れた壁紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塩化ビニル樹脂からなる化粧層の表面に、エチレンと酢酸ビニルのランダム共重合体をケン化して得られる結晶性ポリマー(以下EVOH樹脂)からなるフィルムを表面被覆層として積層した汚れ防止壁紙が提案されている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、この汚れ防止壁紙は、壁紙の施工で使用するでん粉系接着剤が表面EVOH樹脂のジョイント部分等に残り、カビが発生したり、接着剤が分解して変色するなどの不具合が発生することもあった。また、オレフィン系樹脂ないしアクリル系樹脂を主体とする発泡層の表面被覆層として非ハロゲン系樹脂を加熱押出しにより積層し、且つカールを抑制する為に裏打材層の裏面に非ハロゲン系樹脂を被覆した耐汚染性壁装シートが提案されている(例えば特許文献2参照。)。この壁装シートは、エンボス絞への追従性を考慮した樹脂を用いているため、微細な絞形状が表現できるが、微細なエンボス部分の表面張力が見掛け上増大するためでん粉系接着剤が谷部に残留し汚染する場合があった。又、カールも発生しないが、製品の腰が強く扱いにくく下地への追従性が悪いことに加え、でん粉系接着剤が裏打材繊維に絡まず且つ接着剤がはじきやすいため接着力が極端に低下するという欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59−172797号公報
【特許文献2】特開2001−12047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解消し、でん粉系接着剤の付着汚染が抑えられると共に、裏打材裏面への被覆層が無くてもカールが少なく、柔軟性があり下地追従性に優れた汚れ防止壁紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は裏打材上に化粧樹脂層、表面張力が40mN/m以下であってポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート系共重合体、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を樹脂成分とする表面樹脂被覆層を順次備える壁紙であることを特徴とし、さらに、裏打材の横方向の水中伸度を1.3%以下とし、且つ裏打材のサイズ度を70秒以下とすること特徴とすることを特徴とする。
また本発明の壁紙は、積層後の表面樹脂被覆層の表面張力が40mN/m以下であることを特徴とし、さらにまた表面樹脂被覆層にエンボスを付与し、エンボス後の表面樹脂被覆層の表面張力が40mN/m以下であることを特徴とする。
そして、本発明の壁紙をでん粉系接着剤で壁下地に貼りつける工程と、貼りつけられた壁紙に付着したでん粉系接着剤をふき取る工程を有する、壁紙の施工方法であり、またその貼りつけられた壁紙に付着したでん粉系接着剤をふき取る手段を有する、壁紙施工におけるでん粉系接着剤の除去方法である。
【発明の効果】
【0006】
表面樹脂被覆層の表面張力を40mN/m以下とすることにより、汚れ防止性に優れた壁紙とし、裏打材の横方向の水中伸度を1.3%以下とし、且つ裏打材のサイズ度を70秒以下とすることにより、カール性、柔軟性、下地追従性等の施工性に優れた汚れ防止壁紙を提供することが可能となる。そして、本発明のような施工方法、でん粉系接着剤の除去方法を用いることにより、壁紙表面に付着したでん粉系接着剤を僅かな水洗浄で除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の汚染防止壁紙の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の汚れ防止壁紙は、少なくとも表面樹脂被覆層、化粧樹脂層、裏打材からなり、その他の層を積層してもよい。壁紙としては通常、厚みが0.1〜2.0mmの範囲のものが使用される。
【0009】
本発明の汚れ防止壁紙に用いられる表面樹脂被覆層は、表面張力が40mN/m以下、好ましくは35mN/m以下の樹脂が使用できる。また表面樹脂被覆層を多層にしてもよく、その場合は最上面に用いられている樹脂の表面張力が40mN/m以下であることが好ましい。表面張力の測定方法は、固体表面の表面張力は直接的に測定できない為、JIS K6768 ポリエチレン及びポリプロピレンフィルムのぬれ試験方法に準じ、予め表面張力が判っている標準液を用いて測定する。その標準液が濡れた時の液の表面張力値を表面張力とした。
表面張力が40mN/m以下の樹脂としては、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート系共重合体、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、フッ素系共重合体等が挙げられる。中でも汚れ防止性とエンボス絞の再現性を両立させる上でポリプロピレンが好ましい。又、この表面被覆層に使用する樹脂は1種あるいは2種以上の樹脂を混ぜ合わせても良い。表面張力を40mN/mにすることで壁紙表面に付着したでん粉系接着剤による汚染が抑えられる。さらに表面張力を35mN/m以下にすると、エンボス谷部への付着等が抑えられ僅かな水洗浄でも接着剤を簡単に除去できる。尚、表面張力が40mN/mを超えた場合、でん粉系接着剤が表面やエンボス谷部に残留しやすくなり、カビの発生や接着剤の分解等により変色現象が発生し、外観上好ましくない。
【0010】
表面樹脂被覆層に用いられる樹脂に、添加剤としての加工助剤や艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、ホルムアルデヒド吸着材、マイナスイオン放出材、導電材、顔料等を添加しても何ら問題はない。
【0011】
表面樹脂被覆層は、フィルム化されたフィルムを積層することや塗料として塗工することも可能である。尚、表面樹脂被覆層に用いるフィルム又は塗料の厚みは2μm〜20μmの範囲にすることが好ましい。表面樹脂被覆層が2μ以下であると、摩擦等により被覆層が破壊してしまいやすく汚れ防止ができなくなり、20μm以上であると、壁紙としての剛性が強くなりすぎて、施工性が悪くなる。
【0012】
表面樹脂被覆層と化粧樹脂層との接着については、熱融着でも接着剤を用いてもよいが、特に熱融着性を付与することが、エンボス模様の再現性を高めると共に低コストでラミネートする事が可能となる。上記接着強度を増すために、表面樹脂被覆層と化粧樹脂層のどちらか一方或いは両方にコロナ処理、プライマー処理を施すことが好ましい。又、表面樹脂被覆層に極性ポリマーを導入してもコロナ処理、プライマー処理と同様の効果が得られ、接着強度を増すことができる。但し、ラミネートをしない面の表面張力が40mN/mを超えないようにすることが必要である。
【0013】
上記極性ポリマーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリメタクリル酸エステル、カルボン酸−エチレン共重合体、アイオノマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アクリルゴム、SBR、NBRなどが挙げられる。尚、これらポリマーを表面樹脂被覆層に添加しても、表面張力を40mN/m以下に調整することは言うまでもない。
【0014】
化粧樹脂層に使用できる樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが使用でき、コストの点ではポリ塩化ビニルが有効であり、燃焼時の発煙性などの環境性を考慮するとオレフィン系樹脂が有効である。発泡性や加工性に応じて1種又は2種以上の組合せで使用することができる。
【0015】
化粧樹脂層に用いられる添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、発泡剤、発泡助剤、発泡セル調整剤、着色顔料、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、帯電防止剤、導電材、消臭剤、ホルムアルデヒド吸着材、マイナスイオン放出材等が適宜使用できる。
【0016】
化粧樹脂層はカレンダー加工、押出加工、コーティング加工等によりシート化され裏打材上に積層される。
【0017】
裏打材としては、普通パルプ紙、難燃パルプ紙、炭酸カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、アクリルやポリエステルなどの繊維を混ぜた紙などの壁紙用裏打材が使用可能であり、裏打材の横方向の水中伸度を1.3%以下、特に好ましくは1.0%以下に、さらに裏打材のサイズ度が70秒以下、特に好ましくは40秒以下に抑制することで、表面樹脂被覆層との横方向への伸びの差が小さくなると同時に裏打材の剛性が弱くなり、内反りカールを抑えることができる。尚、水中伸度が小さいほどカールは少なくなるが、サイズ度が70秒より大きい場合は接着剤塗布後の裏打材の剛性が強いため水中伸度が小さい場合においても内反りカールが発生してしまう。サイズ度が70秒以下で水中伸度が1.3%以上の場合は、裏打材の剛性は小さくなるものの伸び率の差が大きすぎてしまい内反りカールは改善できない。以上の如く、水中伸度およびサイズ度を適性にすることが内反りカールを改善できる手段である。
水中伸度の測定方法は、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.27の紙及び板紙―水中伸度試験方法のA法に準じ、250mm×250mmの試験片を水中に15分間浸漬したのち、水中から取り出し、余分の水分を吸取紙でとったのち寸法を測定した。
水中伸度(%)=(L'−L)/L * 100
L :最初の長さ(mm)
L' :浸漬後の長さ(mm)
サイズ度の測定方法はJIS P8122 紙のステキヒト・サイズ度試験方法に準じ、四周を折った50cm角の試験片を試薬上に浮かべて試薬が3点染み出す時間(秒)をサイズ度とした。
【0018】
壁紙としての意匠性を付与する為に、印刷絵柄層やエンボス加工を付与することもできる。印刷絵柄層については、表面被覆層の下層部に印刷することで傷による損傷を受けることがないが、表面樹脂被覆層の表面張力を損なわない限り表面樹脂被覆層にも付与することができる。
【実施例】
【0019】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0020】
<実施例1>
ポリ塩化ビニル樹脂(東ソー、リューロンペースト)100重量部、炭酸カルシウム50重量部、二酸化チタン15重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部からなるペーストゾル組成物を、コンマコーターを用いて坪量65g/mの普通パルプ紙(横方向の水中伸度1.4%、サイズ度26秒)上に塗工した後、150℃の温度で乾燥固化し0.2mmのポリ塩化ビニル樹脂と裏打紙の積層体を得た。次いでこの積層体に、アクリル系樹脂インキを用いグラビア印刷により印刷絵柄層を付与した。次いでこの積層体を230℃の発泡炉を用い1.0mm厚に発泡した後、エンボスロールを用い凹凸模様を付与した。この時、表面樹脂被覆層として、ポリエステル系樹脂フィルム(表面張力36mN/m)をエンボスロールによりエンボス模様の付与と同時に積層した。得られた壁紙はでん粉系接着剤の汚染はなかった。又、施工時のカールは若干あるものの、下地追従性は問題なく施工できる状態であった。
【0021】
<実施例2>
ポリ塩化ビニル樹脂(東ソー、リューロンペースト)100重量部、炭酸カルシウム50重量部、二酸化チタン15重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、Ba−Zn系安定剤3重量部からなるペーストゾル組成物を、コンマコーターを用いて坪量70g/mの難燃パルプ紙(横方向の水中伸度1.1%、サイズ度9秒)上に塗工した後、150℃の温度で乾燥固化し0.2mmのポリ塩化ビニル樹脂と裏打紙の積層体を得た。次いでこの積層体に、アクリル系樹脂インキを用いグラビア印刷により印刷絵柄層を付与した。次いでこの積層体を230℃の発泡炉を用い1.0mm厚に発泡した後、エンボスロールを用い凹凸模様を付与した。この時、表面樹脂被覆層として、ポリエチレン系樹脂フィルム(表面張力35mN/m)をエンボスロールによりエンボス模様の付与と同時に積層した。得られた壁紙はでん粉系接着剤の汚染は無かった。又、施工時のカールはなく、下地追従性も問題なく施工できる状態であった。
【0022】
<実施例3>
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー、ウルトラセン)100重量部、炭酸カルシウム90重量部、二酸化チタン15重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、滑剤3重量部からなる組成物を、150℃に調整されたカレンダーロールを用いて0.12mmにシート化した後、坪量65g/mの普通パルプ裏打紙(横方向の水中伸度1.0%、サイズ度30秒)上に積層し、ポリオレフィン系樹脂発泡層と裏打紙の積層体を得た。次いでこの積層体に、アクリル系樹脂インキを用いグラビア印刷により印刷絵柄層を付与した。次いでこの積層体を230℃の発泡炉を用い0.7mmに発泡した後、エンボスロールを用い凹凸模様を付与した。この時、表面樹脂被覆層として、ポリプロピレンが最上面にあるポリプロピレン系フィルム(表面張力32mN/m)をエンボスロールによりエンボス模様の付与と同時に積層した。得られた壁紙は、でん粉系接着剤による汚染はなかった。又、施工時のカールはなく下地追従性も問題なく施工できる状態であった。
【0023】
<実施例4>
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー、ウルトラセン)100重量部、炭酸カルシウム90重量部、二酸化チタン15重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、滑剤3重量部からなる組成物を、150℃に調整されたカレンダーロールを用いて0.12mmにシート化した後、150g/mの水酸化アルミニウム紙(横方向の水中伸度1.0%、サイズ度110秒)上に積層し、ポリオレフィン系樹脂発泡層と裏打紙の積層体を得た。次いでこの積層体に、アクリル系樹脂インキを用いグラビア印刷により印刷絵柄層を付与した。次いでこの積層体を230℃の発泡炉を用い0.7mmに発泡した後、エンボスロールを用い凹凸模様を付与した。この時、表面傷付き性付与の為、表面樹脂被覆層として、ポリプロピレンが最上面にあるポリプロピレン系フィルム(表面張力32mN/m)をエンボスロールによりエンボス模様の付与と同時に積層した。得られた壁紙は、でん粉系接着剤による汚染はなかった。又、施工時のカールは若干あるものの、下地追従性も問題なく施工できる状態であった。
【0024】
<実施例5>
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー、ウルトラセン)100重量部、炭酸カルシウム90重量部、二酸化チタン15重量部、アゾジカルボンアミド5重量部、滑剤3重量部からなる組成物を、150℃に調整されたカレンダーロールを用いて0.12mmにシート化した後、坪量120g/mのポリエステル繊維混抄紙(横方向の水中伸度0.1%、サイズ度66秒)上に積層し、ポリオレフィン系樹脂発泡層と裏打紙の積層体を得た。次いでこの積層体に、アクリル系樹脂インキを用いグラビア印刷により印刷絵柄層を付与した。次いでこの積層体を230℃の発泡炉を用い0.7mmに発泡した後、エンボスロールを用い凹凸模様を付与した。この時、表面傷付き性付与の為、表面樹脂被覆層として、ポリプロピレンが最上面にあるポリプロピレン系フィルム(表面張力32mN/m)をエンボスロールによりエンボス模様の付与と同時に積層した。得られた壁紙は、でん粉系接着剤による汚染はなく、施工時のカールもなかった。出隅・入隅部の施工で僅かに浮きが見られたが、問題ない程度であった。
【0025】
<比較例1>
実施例1と同様のポリ塩化ビニル樹脂発泡層と裏打紙を用い、表面樹脂被覆層として、EVOH樹脂フィルム(表面張力54mN/m)を積層した。得られた壁紙は、施工時に若干のカールは見られるものの下地追従性には問題なかったが、壁紙表面にでん粉接着剤による汚染が見られた。
【0026】
<比較例2>
実施例3と同様のポリオレフィン系樹脂発泡層を用い、坪量80g/mの普通パルプ紙(横方向の水中伸度1.5%、サイズ度49秒)上に、表面樹脂被覆層として、EVOH樹脂フィルム(表面張力54mN/m)を積層した。得られた壁紙は、壁紙表面にでん粉接着剤による汚染が見られた。さらに施工時にカールがあり、下地追従性にも支障があった。
【0027】
<比較例3>
実施例3と同様のポリオレフィン系樹脂発泡層と裏打紙を用い、表面樹脂被覆層として、押出し加工によりポリプロピレン系樹脂を被覆すると共にエンボス加工を施した。(エンボス部の微細部分の表面張力42mN/m)得られた壁紙は、施工時にカールはなく下地追従性には全く問題なかったが、エンボス谷部にでん粉接着剤による汚染が見られた。
【0028】
<比較例4>
実施例3と同様のポリオレフィン系樹脂発泡層と裏打紙を用い、表面樹脂被覆層として、コロナ処理を施したポリエチレン系フィルム(表面張力45mN/m)を積層した。得られた壁紙は、施工時にカールはなく下地追従性には全く問題なかったが、エンボス谷部にでん粉接着剤による汚染が見られた。
【0029】
以下に、評価方法及び評価基準を記載する。
(汚染性)
でん粉系接着剤:水(100:200)で希釈した接着剤を壁紙表面に約50g/mの量に塗工し24時間乾燥した。次いで水を含ませたスポンジにより拭取り24時間乾燥後、N/10ヨウ素水溶液を滴下して滴下部分の色相変化によりでん粉系接着剤の残留度合い(汚染)を観察した。
◎:でん粉系接着剤による汚染なし。
○:でん粉系接着剤による汚染が僅かに見られるが、問題ない程度である。
×:でん粉系接着剤による汚染あり。
(カール性)
壁紙施工用糊(ルーアマイルド)を壁紙の裏打紙側に150g/m塗布し養生袋内で20分養生した。養生終了後、直ちに壁紙を広げ垂直に垂らしてカール状態を観察した。
◎:ほとんどカールしない。
○:わずかにカールする。
×:カールする。
(下地追従性)
JIS A1321壁紙の施工性試験に準じ、でん粉系接着剤を20g塗布し、約5分間放置した後、5mmの合板を重ね合わせた試験台(下地)に張り付ける。張り付けた後、24時間後に下地の出隅部と入隅部の追従性(浮き)を観察した。
◎:出隅部、入隅部のいずれも浮きがない。
○:出隅部、入隅部で僅かに浮きが見られるが、問題ない程度である。
×:出隅部、入隅部に浮きがある。
【0030】
【表1】



*1:ポリエステル系樹脂フィルム
*2:ポリエチレン系樹脂フィルム
*3:ポリプロピレン系フィルム
*4:EVOH樹脂フィルム
*5:ポリプロピレン系樹脂
*6:ポリエチレン系フィルム(コロナ処理品)
【産業上の利用可能性】
【0031】
基材を裏打した化粧樹脂層に、表面張力が40mN/m以下の表面樹脂被覆層を積層し、さらに裏打材の横方向の水中伸度が1.3%以下で且つサイズ度が70秒以下とすることにより、汚れ防止性に優れ、カール性、柔軟性、下地追従性等の施工性に優れた住宅等の壁や天井用の内装材として好適な壁紙として使用できる。
【符号の説明】
【0032】
1:表面樹脂被覆層
2:印刷絵柄層
3:化粧樹脂層
4:裏打紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏打材と、化粧樹脂層と、表面張力が40mN/m以下であってポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート系共重合体、アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を樹脂成分とする表面樹脂被覆層を順次備える汚れ防止壁紙。
【請求項2】
前記裏打材の横方向の水中伸度が1.3%以下であり、且つ前記裏打材のサイズ度が70秒以下である請求項1に記載の汚れ防止壁紙。
【請求項3】
積層後の前記表面樹脂被覆層の表面張力が40mN/m以下である請求項1または2のいずれか1項に記載の汚れ防止壁紙。
【請求項4】
前記表面樹脂被覆層にエンボスを付与し、エンボス後の前記表面樹脂被覆層の表面張力が40mN/m以下である請求項1または2のいずれか1項に記載の汚れ防止壁紙。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚れ防止壁紙をでん粉系接着剤で壁下地に貼りつける工程と、
貼りつけられた前記汚れ防止壁紙に付着した前記でん粉系接着剤をふき取る工程を有する、
汚れ防止壁紙の施工方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚れ防止壁紙をでん粉系接着剤で壁下地に貼りつけ、貼りつけられた前記汚れ防止壁紙に付着した前記でん粉系接着剤をふき取る手段を有する、壁紙施工におけるでん粉系接着剤の除去方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−163738(P2010−163738A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44513(P2010−44513)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【分割の表示】特願2003−417103(P2003−417103)の分割
【原出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【Fターム(参考)】