説明

汚水浄化方法

【課題】低コストで、且つ動植物性油脂のスペクトルを検出することができる汚水浄化方法を提供することを課題とする。
【解決手段】蛍光スペクトル検出器46で検出した浄水のスペクトルを、蛍光スペクトル分析計58で分析し、得られた分析値に基づいて無機塩凝集剤及び高分子凝集剤の投入量を制御部62で調整することを特徴とする。
【効果】蛍光スペクトル分析法を用いれば、浄水に含まれる動植物性油脂のスペクトルを検出することができる。また、蛍光スペクトル分析法で得られた分析値に基づいて凝集剤の投入量を調整するので、凝集剤を適正な投入量だけ使用することになる。凝集剤を無駄に使用することが無くなるため、凝集剤の購入費を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動植物性油脂を含んだ汚水を浄化する汚水浄化方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や事業場では生産活動に伴い汚濁物質を含んだ汚水が大量に発生する。この汚水中の汚濁物質濃度が公共用水域への排出基準値を超える場合、汚水は排出基準値以下になるように浄化した後で公共用水域へ排出されなければならない。この汚水浄化処理を実施するには、一般に水質浄化装置が用いられる。
【0003】
汚水浄化処理において、取込んだ汚水の濁度がどの程度か、又処理後の浄水の清浄度がどの程度かを調べることは、極めて重要である。
汚水中の汚濁物質の成分を分析するには、スペクトル分析法が広く用いられる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−177122公報(図9)
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図5は従来の技術の基本構成を説明する図であり、水処理手段としての生物処理プラント(以下、プラントと記す。)100は、工場ライン101から流入する廃水等の原水を溜める原水槽102と、この原水槽102から原水ポンプ103で移送した原水に浄化処理を実施する第1の曝気槽104と、この第1の曝気槽104から取り入れた処理水に浄化処理を実施する第2の曝気槽105と、この第2の曝気槽105から取り入れた処理水に再び浄化処理を実施する第3の曝気槽106と、この第3の曝気槽106から取り入れた処理水を汚泥及び上澄水に分離する沈殿池107と、この沈殿池107から上澄水である浄水を移送する浄水ポンプ108と、曝気槽104〜106に空気を供給するエアフィルタ109及びブロワ111と、沈殿池107に沈殿した汚泥を第1の曝気槽104へ圧送する汚泥ポンプ112と、原水ポンプ103から延長した原水配管113に設けると共に吸光又は発光スペクトルを用いて原水のスペクトルを測定する原水センサ114と、沈殿池107から延長した浄水配管115に設けると共に吸光又は発光スペクトルを用いて浄水のスペクトルを測定する浄水センサ116と、各機器を制御すると共に演算手段及び制御手段を備えるコンピュータ117とからなる。
【0005】
特許文献1のコンピュータ117は、原水センサ114及び浄水センサ116から得られた各々のスペクトルデータを取り込み、これらのデータを演算して原水(汚水)又は浄水の含有成分、濃度(以下、演算結果と記す。)を各々求めることができる。また、演算結果に基づき、プラントへの流入量、プラントの処理能力の何れか又は双方を制御することができる。
【0006】
本発明者等は特許文献1のプラント100と同一の構成を用いて、動植物性油脂を含んだ汚水のスペクトル分析を、紫外線による吸光スペクトル分析法で試みた。その結果、入口センサ(プラント100の原水センサ114に相当)では、汚水中の濁度を測定することが困難であることが判明した。すなわち、測定値が得られたとしても、ばらつきが大きく信頼性は低いものであった。動植物性油脂を主成分とする夾雑物が紫外線の透過を妨げていると考えられる。そのため、吸光スペクトル分析法は、動植物性油脂を多く含んだ汚水のスペクトル分析には不適当であると言える。
【0007】
測定値にばらつきがあるため、安全を見て凝集剤を過剰に投入して凝集物を生成させ、汚水を浄化することが必要となる。凝集剤の過剰使用は、凝集剤購入費の増加を招く。また、凝集物が大量に生成されるため、汚泥量の増加は避けられない。汚泥は産業廃棄物として扱わなければならないので、別途汚泥処理費が必要となる。このように、凝集剤を過剰に投入することは汚水浄化処理の高コスト化に繋がる。
【0008】
そのため、低コストで、且つ動植物性油脂のスペクトルを検出することができる汚水浄化方法の開発が求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、低コストで、且つ動植物性油脂のスペクトルを検出することができる汚水浄化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、汚水浄化技術を研究する過程で、水の清浄度分析法に着目した。分析法には、吸光スペクトル分析法と蛍光スペクトル分析法とが知られているが、蛍光スペクトル分析法の方が吸光スペクトル分析法より格段に分析精度が高い。そのため、蛍光スペクトル分析法での分析が望ましいと考えるに至った。
蛍光スペクトル分析法は、浄水であれば適用できることは言うまでもないが、動植物性油脂を含む浄水に適用できるか否かは未知である。
【0011】
そこで、浄水に動植物性油脂を含んだサンプルを複数種類作成し、これらのサンプルを蛍光スペクトル分析にかける実験を行った。
図1は動植物性油脂を含んだサンプルと蛍光スペクトル分析との相関を調べたグラフである。
(a)はサンプル毎の動植物性油脂の濃度を表すグラフである。これらのサンプルを蛍光スペクトル分析にかけ、得られたピーク幅を(b)に示した。(b)には、(a)に示される動植物性油脂の濃度を併記した。
太線で示すピーク幅と細線で示す動植物性油脂の濃度とは、良好な相関が認められた。すなわち、浄水であれば、蛍光スペクトル分析で動植物性油脂の濃度を測定することができることを確認できた。
【0012】
この結果、請求項1に係る発明は、動植物性油脂を含んだ汚水に凝集剤を投入する凝集剤投入工程と、生成した凝集物を分離することで浄水を得る凝集物分離工程とからなる汚水浄化方法において、前記浄水を、蛍光スペクトル分析法で分析し、得られた分析値に基づいて前記凝集剤の投入量を調整することを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、分析値が管理値を超えたときには、浄水を凝集剤投入工程へ戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、取込んだ汚水の濁度は測定しない。汚水を浄化処理した後の浄水のみに、濁度の測定を実施する。浄水であれば、分析精度が高い蛍光スペクトル分析法の採用が可能である。
蛍光スペクトル分析法は、吸光スペクトル分析法に比べて分析精度が高いスペクトル法であることが知られている。本発明者等は、浄水のスペクトル分析を蛍光スペクトル分析法で行い、その浄水に含まれる動植物性油脂のスペクトルを検出することができた。よって、蛍光スペクトル分析法を用いれば、浄水に含まれる動植物性油脂のスペクトルを検出することができる。
【0015】
また、蛍光スペクトル分析法で得られた分析値に基づいて凝集剤の投入量を調整するので、無駄な凝集剤の使用が無くなる。そのため、凝集剤の購入費を低減することができる。
そして、無駄な凝集剤の使用が無くなるで、発生する汚泥を減少させることができる。そのため、汚泥処理に必要なエネルギーを節約することができ、且つ環境負荷を軽減することができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、分析値が管理値を超えたときには、浄水を凝集剤投入工程へ戻すようにした。そのため、管理値を超えた浄水は公共用水域へ排出されることがなく、凝集剤投入工程で再度浄化処理される。よって、汚水浄化方法の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図2は本発明に係る汚水浄化方法を用いた汚水浄化装置の原理図であり、汚水浄化装置10は、汚水ポンプ11で移送した例えば工場内の動植物性油脂を含んだ汚水(原水)を汚水配管12を介して取り込む原水槽13と、この原水槽13に内蔵すると共に原水を移送する原水ポンプ14と、この原水ポンプ14から延長した原水配管15を介して原水を取り込むと共に無機塩凝集剤タンク16及び無機塩凝集剤ポンプ17から無機塩凝集剤配管18、18を介して供給した無機塩凝集剤を原水に投入して凝集物を生成する薬品反応槽19と、この薬品反応槽19から延長した凝集物配管21を介して凝集物を取り込むと共に高分子凝集剤タンク22及び高分子凝集剤ポンプ23から高分子凝集剤配管24、24を介して供給した高分子凝集剤を凝集物に投入して再び凝集物を生成する薬品凝集槽25と、この薬品凝集槽25から延長した凝集物配管21を介して凝集物を取り込むと共に凝集物を汚泥及び上澄水としての浄水に分離する沈降分離槽26と、この沈降分離槽26の上部から延長した浄水配管27を介して浄水を取り込むと共に浄水ポンプ28を内蔵する浄水槽29とからなる。
【0018】
なお、沈降分離槽26は、加圧浮上分離槽で代用することが可能である。加圧浮上分離は、加圧水に含んだ微細な気泡で、凝集物に含まれる汚濁物質(動植物性油脂)を包み、汚濁物質を浄水よりも軽くして浮上分離する方法である。そのため、汚濁物質は加圧浮上分離槽の上部から排出される。一方、浄水は例えば、加圧浮上分離槽の側面から延長した配管を介して、加圧浮上分離槽の上部に取り付けた水槽へ流入し、この水槽で一時貯留後に排出される。このような加圧浮上分離槽を汚水浄化装置10に採用した場合には、加圧水タンク、加圧水ポンプ、コンプレッサー等を追加することが必要となる。
【0019】
また、浄水ポンプ28の一方から延長した第1浄水配管31に、例えば三方口ボール弁式の第1三方切替弁32を接続し、この第1三方切替弁32の一方の接続口に排水配管33を接続し、第1三方切替弁32の他方の接続口に浄水戻し配管34を接続し、この浄水戻し配管34に例えば三方口ボール弁式の第2三方切替弁35を接続し、この第2三方切替弁35の一方の接続口から原水槽13までを第1戻し枝管36で接続し、第2三方切替弁35の他方の接続口から薬品反応槽19までを第2戻し枝管37で接続する。
【0020】
第1三方切替弁32及び第2三方切替弁35は、T字状の第1流路38及び第2流路39を有した第1弁体41及び第2弁体42を内部に回転可能に備え、これらの第1弁体41及び第2弁体42を作動させる第1空気圧アクチュエータ43及び第2空気圧アクチュエータ44を備える。
【0021】
なお、第1空気圧アクチュエータ43及び第2空気圧アクチュエータ44は空気圧式としたが、電動式を適用することが可能であるため、他の構成に変更することは差し支えない。
次に、第1三方切替弁32及び第2三方切替弁35の作用を説明する。
【0022】
図3は汚水浄化装置に用いる第1三方切替弁の作用説明図であり、(a)において、第1流路38が第1浄水配管31と浄水戻し配管34とに繋がることで、浄水を原水槽(図2符号13)又は薬品反応槽(図2符号19)へ戻す。
【0023】
(b)にて、第1流路38が第1浄水配管31と排水配管33とに繋がることで、浄水を排水溝(図2符号65)へ排出する。
(c)にて、第1流路38が浄水戻し配管34と排水配管33とに繋がることで、浄水を第1浄水配管31の内部に留める。
【0024】
図4は汚水浄化装置に用いる第2三方切替弁の作用説明図であり、(a)において、第2流路39が浄水戻し配管34と第1戻し枝管36とに繋がることで、浄水を原水槽(図2符号13)へ戻す。
(b)にて、第2流路39が浄水戻し配管34と第2戻し枝管37とに繋がることで、浄水を薬品反応槽(図2符号19)へ戻す。
【0025】
図2に戻って、浄水ポンプ28から延長した第2浄水配管45に、蛍光スペクトル検出器46を取り付け、この蛍光スペクトル検出器46から浄水戻し配管34までを検出用配管47で接続する。蛍光スペクトル検出器46は、浄水に紫外線を照射して浄水中の動植物性油脂のスペクトルを検出する機器である。
【0026】
さらに、薬品反応槽19に水素イオン濃度(以下、pHと記す。)計48を取り付け、このpH計48は薬品反応槽19に取込んだ原水のpHを測定する。その結果、原水が酸性過多又はアルカリ性過多である場合、入力信号を破線のようにpH制御部49に伝送し、pH制御部49からの破線で示す出力信号に基づいて硫酸ポンプ51又は苛性ソーダポンプ52を起動し、これらの硫酸ポンプ51又は苛性ソーダポンプ52の上流に設けた硫酸タンク53又は苛性ソーダタンク54に溜めた硫酸又は苛性ソーダを、硫酸配管55、55又は苛性ソーダ配管56、56を介して薬品反応槽19に投入して、原水の中和処理を実施する。
【0027】
加えて、制御盤57は、汚水浄化装置10の運転を制御する制御盤であり、蛍光スペクトル分析計58、設定器59、演算部61及び制御部62を備える。
蛍光スペクトル分析計58は、蛍光スペクトル検出器46で検出したスペクトルデータを受け取ることでスペクトル強度を得る機器であり、設定器59は、蛍光スペクトル分析計58で得たスペクトル強度から濃度値(分析値)を算出するためのスペクトル強度のピーク幅と濃度の相関データを予め設定する機器であり、演算部61は、スペクトル強度から求めたピーク幅を設定器59で設定した相関データに当てはめて演算することで分析値を求める機器であり、制御部62は、分析値に基づいて無機塩凝集剤ポンプ17及び高分子凝集剤ポンプ23の回転数を制御する機器である。
【0028】
なお、制御盤57は、蛍光スペクトル分析計58、設定器59、演算部61及び制御部62を一纏めにして構成したが、目的に応じて分割又は単独で構成することは差し支えない。
【0029】
63は汚泥排出配管、64は汚泥排出弁である。
以上の構成からなる汚水浄化装置10の汚水浄化工程及び運転制御を次に説明する。
【0030】
汚水浄化装置10の汚水浄化工程は、凝集剤投入工程と凝集物分離工程とからなり、凝集剤投入工程は、原水槽13から薬品凝集槽25までで実施し、凝集物分離工程は、沈降分離槽26で実施する。
次に、汚水浄化装置10の運転制御を説明する。
【0031】
汚水を浄化処理して得た浄水を、浄水ポンプ28で蛍光スペクトル検出器46に送る。蛍光スペクトル検出器46を通過した浄水は、検出用配管47を介して浄水戻し配管34へ流入する。蛍光スペクトル検出器46で得た浄水中に含まれる動植物性油脂のスペクトルデータを、入力信号として破線のように蛍光スペクトル分析計58へ伝送する。蛍光スペクトル分析計58ではスペクトル強度が得られ、このスペクトル強度を入力信号として破線のように演算部61に伝送する。
【0032】
一方、設定器59では、スペクトル強度のピーク幅と濃度の相関データを設定した後、相関データを入力信号として破線のように演算部61に伝送する。
【0033】
演算部61では、蛍光スペクトル分析計58で得たスペクトル強度からピーク幅を求め、このピーク幅を設定器59からの相関データに当てはめて演算する。演算によって動植物性油脂の濃度値(分析値)を求めることができ、この分析値を入力信号として破線のように制御部62に伝送する。
【0034】
制御部62は、分析値に基づいて無機塩凝集剤ポンプ17及び高分子凝集剤ポンプ23に入力信号を破線のように伝送し、無機塩凝集剤ポンプ17及び高分子凝集剤ポンプ23の回転数を変化させる制御を行う。これで薬品反応槽19及び薬品凝集槽25への凝集剤の投入量を調整することができる。
【0035】
よって、本発明の汚水浄化方法を用いた汚水浄化装置10は、浄水を、蛍光スペクトル分析法で分析し、得られた分析値に基づいて凝集剤の投入量を調整することを特徴とする。
【0036】
また、汚水浄化装置10では、取込んだ汚水中の動植物性油脂の濃度(汚水中の濁度)は測定しない。汚水を浄化処理した後の浄水のみに、濁度の測定を実施する。浄水であれば、分析精度が高い蛍光スペクトル分析法の採用が可能である。
【0037】
蛍光スペクトル分析法は、吸光スペクトル分析法に比べて分析精度が高いスペクトル法であることが知られている。本発明者等は、浄水のスペクトル分析を蛍光スペクトル分析法で行い、その浄水に含まれる動植物性油脂のスペクトルを検出することができた。よって、蛍光スペクトル分析法を用いれば、浄水に含まれる動植物性油脂のスペクトルを検出することができる。
【0038】
そして、蛍光スペクトル分析法で得られた分析値に基づいて凝集剤の投入量を調整するので、無駄な凝集剤の使用が無くなる。そのため、凝集剤の購入費を低減することができる。
さらに、無駄な凝集剤の使用が無くなるで、発生する汚泥を減少させることができる。そのため、汚泥処理に必要なエネルギーを節約することができ、且つ環境負荷を軽減することができる。
【0039】
以上の汚水浄化装置10では、分析値に基づいて凝集剤の投入量を調整することは可能である。しかし、浄水を公共用水域へ排出するには、分析値に対して管理値を設定して、管理値以下であれば、浄水を公共用水域へ排出するように制御することが必要となる。言い換えれば、分析値が管理値を超えたときには、浄水を上流工程へ戻し、再浄化することが適切な処理となる。その処理を行う汚水浄化装置10の運転制御を次に説明する。
【0040】
得られた分析値が公共用水域への排出の管理値を超えている場合、制御部62は、破線のように出力信号を第1三方切替弁32に伝送する。この信号を受けた第1三方切替弁32は、第1空気圧アクチュエータ43によって第1弁体41を回転させ、図に示す位置で第1弁体41を停止させる。これにより、浄水は排水溝65へ排出されることなく、浄水戻し配管34へ流入する。
【0041】
浄水戻し配管34に流入した浄水は、次に第2三方切替弁35に流入する。制御部62からの破線で示す入力信号を受け取ることで、第2三方切替弁35は、第2空気圧アクチュエータ44によって第2弁体42を回転させ、図に示す位置で第2弁体42を停止させる。これにより、浄水は薬品反応槽19へ流入する。
【0042】
凝集剤投入工程で再浄化された浄水を、再び蛍光スペクトル検出器46に流入させる。その結果、分析値が公共用水域への排出の管理値以下である場合には、制御部62からの出力信号を第1空気圧アクチュエータ43に伝送することで、第1弁体41を回転させ、浄水を排水配管33を介して排水溝65へ排出する。
【0043】
よって、本発明の汚水浄化方法を用いた汚水浄化装置10は、分析値が管理値を超えたときには、浄水を凝集剤投入工程へ戻すことを特徴とする。
そのため、管理値を超えた浄水は公共用水域へ排出されることがなく、凝集剤投入工程で再度浄化処理される。よって、汚水浄化方法の信頼性を向上させることができる。
【0044】
尚、本発明において浄水を凝集剤投入工程へ戻す手段として、実施の形態ではボール弁式の三方切替弁で説明したが、止め弁式であってもよく、他の形式を適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の汚水浄化方法は、動植物性油脂を含んだ汚水の水質浄化処理に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】動植物性油脂を含んだサンプルと蛍光スペクトル分析との相関を調べたグラフである。
【図2】本発明に係る汚水浄化方法を用いた汚水浄化装置の原理図である。
【図3】汚水浄化装置に用いる第1三方切替弁の作用説明図である。
【図4】汚水浄化装置に用いる第2三方切替弁の作用説明図である。
【図5】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
10…汚水浄化装置、16…無機塩凝集剤タンク、17…無機塩凝集剤ポンプ、22…高分子凝集剤タンク、23…高分子凝集剤ポンプ、25…薬品凝集槽、26…沈降分離槽、28…浄水ポンプ、29…浄水槽、32…第1三方切替弁、34…浄水戻し配管、35…第2三方切替弁、36…第1戻し枝管、37…第2戻し枝管、46…蛍光スペクトル検出器、57…制御盤、58…蛍光スペクトル分析計、59…設定器、61…演算部、62…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動植物性油脂を含んだ汚水に凝集剤を投入する凝集剤投入工程と、生成した凝集物を分離することで浄水を得る凝集物分離工程とからなる汚水浄化方法において、
前記浄水を、蛍光スペクトル分析法で分析し、得られた分析値に基づいて前記凝集剤の投入量を調整することを特徴とする汚水浄化方法。
【請求項2】
前記分析値が管理値を超えたときには、前記浄水を前記凝集剤投入工程へ戻すことを特徴とする請求項1記載の汚水浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−49234(P2008−49234A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−225815(P2006−225815)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】