説明

汚泥の処理方法及び処理システム

【課題】乾燥排ガスを既存の設備内に導入することにより燃焼脱臭を行うことが可能で、且つ該乾燥排ガスを既存設備の導入部位に対して容易に導入することができる汚泥の処理方法及び処理システムを提供する。
【解決手段】汚泥ピット11に貯留された汚泥を乾燥機13に供給し、該乾燥機13で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉1のライザ2に投入し、該ライザに導入される燃焼空気により乾燥汚泥を流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロン3により分離した流動媒体を前記ライザ2に還流させるようにした汚泥の処理方法において、乾燥機13から排出される乾燥排ガスを汚泥ピット11に導入し、該汚泥ピット11内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、燃焼空気としてライザ2内に導入して燃焼脱臭する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水汚泥等の汚泥を乾燥機で乾燥処理した後、循環流動層炉に投入して流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理する汚泥の処理方法及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場、し尿処理場、廃水処理設備等から排出される汚泥の処理に、循環流動層炉が多く用いられている。循環流動層炉は、汚泥を瞬時に乾燥、焼却できるものであり、これにより流動媒体を高温に維持して連続燃焼を可能としている。また、流動媒体が保有する熱容量が非常に大きいため、停止時の放熱が少なく間欠運転にも適しており、下水汚泥のような含水率の高い被処理物にも好適に用いられる。
【0003】
図5に、循環流動層炉を備えた汚泥処理システムの従来図を示す。汚泥を脱水して得られた脱水汚泥は乾燥機61で乾燥され、乾燥汚泥は循環流動層炉51に投入され、ここで燃焼処理される。循環流動層炉51は、ライザ52の底部に流動媒体が充填されており、一次空気導入口57より一次空気を導入し、流動媒体を流動化させることにより流動層52aが形成される。乾燥汚泥を、流動層52a内で流動媒体と混合しながら燃焼して飛散させ、該飛散した流動媒体をフリーボード52bへ同伴して二次空気導入口58から導入される二次空気により排ガス中の未燃分を完全燃焼させ、燃焼排ガスからサイクロン53により流動媒体を分離し、該流動媒体をダウンカマ54を介してシールポット54に貯留し、戻し管56を介してライザ52に還流させる。
【0004】
サイクロン53で分離された燃焼排ガスは、誘引ファン64により負圧に維持された排ガスダクトを介して排ガス処理設備63に供給され、該排ガス処理設備63にて廃熱回収、煤塵除去、酸性ガス除去等の処理がなされた後、誘引ファン64を経て煙突65より排出される。排ガス処理設備63には空気予熱器(不図示)が設けられ、燃焼排ガスの熱を利用して、循環流動層炉に供給する一次空気、二次空気を加熱している。また、熱効率を向上させるために、特許文献1(特開2004−93018号公報)には、空気予熱器の後段に熱交換器が設けられ、該熱交換器にて燃焼排ガスの熱を利用して加熱した熱媒体が乾燥機51に送られ、該熱媒体を脱水汚泥の加熱に用いる構成が開示されている。
【0005】
上記したような汚泥処理システムにおいて、乾燥機61にて発生する乾燥排ガスは、乾燥機61にて汚泥を乾燥する際に発生したガスであり、水分、或いはアンモニア等の臭気成分を多く含む。そこで、乾燥排ガスをスクラバに導入し、水分、煤塵、アンモニア等の臭気成分などを除去する方法が用いられていた。しかし、アンモニア等の臭気成分はスクラバを通しても残存するため、押込ファン62等を設置して乾燥排ガスを循環流動層炉51のライザ52上部に送り、燃焼させて脱臭していた。
また、特許文献2(特開2006−207960号公報)には、乾燥機で発生した水蒸気を脱臭装置で脱臭した後、流動媒体の循環経路を経由することなく排気するようにし、脱臭後の乾燥排ガスを、循環流動層炉から延設される排ガスダクトに導入する構成が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−93018号公報
【特許文献2】特開2006−207960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しなしながら、図5に示すように乾燥排ガスを循環流動層炉内に導入する方法では、ライザ内の圧力が高いため押込ファンで乾燥排ガスを押し込む必要があるが、押込ファンの吐出圧が小さかったり、ライザ内の圧力変動が大きかったりすると、乾燥排ガスを炉内に送り込めない場合がある。一方、確実に乾燥排ガスをライザ内に導入しようとすると、押込ファンが大型化し、コスト増大を招いてしまう。
さらに、ライザ上部は流動媒体が循環しているため、水蒸気濃度の高い乾燥排ガスを導入すると結露してしまい、乾燥排ガス供給ノズルに流動媒体が付着して閉塞してしまう惧れがある。
【0008】
また、特許文献2には、乾燥排ガスを脱臭装置で脱臭した後、排ガスダクトに導入する構成が開示されているが、これは排ガスダクトのボイラより下流側でガス温度が低下した領域に乾燥排ガスを導入しており、この領域では臭気成分を燃焼させることはできないため、脱臭装置の機能を高くしなければならず、コストが増大するという問題があった。
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、乾燥排ガスを既存の設備内に導入することにより燃焼脱臭を行うことが可能で、且つ該乾燥排ガスを既存設備の導入部位に対して容易に導入することができる汚泥の処理方法及び処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明はかかる課題を解決するために、
汚泥ピットに貯留された汚泥を乾燥機に供給し、該乾燥機で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉のライザに投入し、該ライザに導入される燃焼空気により前記乾燥汚泥を流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を前記ライザに還流させるようにした汚泥の処理方法において、
前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを前記汚泥ピットに導入し、該汚泥ピット内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ライザ内に導入して燃焼脱臭することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、乾燥機からの乾燥排ガスを汚泥ピットに導入し、さらに汚泥ピット内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを燃焼空気としてライザ内に導入しているため、乾燥排ガスは、汚泥ピット内の臭気ガスとともに循環流動層炉内にて燃焼脱臭することが可能となる。
また、汚泥ピット内は密閉状で負圧に維持されており、そのため押込ファン等により乾燥排ガスを汚泥ピット内に容易に押し込むことができる。尚、燃焼空気とは、ライザ下部より導入される一次空気、流動層上部より導入される二次空気を含む。
【0011】
また、前記乾燥排ガスを、前記汚泥ピットで発生した排水を貯留する排水槽に導入し、該排水槽内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ライザ内に導入して燃焼脱臭することを特徴とする。
乾燥排ガスは飽和蒸気であり結露しやすいという特徴があるが、乾燥排ガスを排水槽に直接導入することにより乾燥排ガスのドレン水をそのまま排水することが可能となる。また排水槽内の圧力はほぼ大気圧又は微負圧であるため、乾燥排ガスを容易に排水槽内に押し込むことができる。また排水槽内には流動媒体が存在しないため、乾燥排ガス導入ノズルが閉塞しにくい。さらに、排水槽内の臭気ガスは燃焼空気としてライザに導入されるため、臭気ガスに含まれる乾燥排ガスも同時に燃焼脱臭される。
【0012】
さらに、汚泥を乾燥機で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉のライザに投入して流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を、ダウンカマを介してシールポットに落下させて前記ライザに還流させるようにした汚泥の処理方法において、
前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを前記ダウンカマに導入し、前記燃焼排ガスの熱で前記乾燥排ガスを燃焼脱臭することを特徴とする。
【0013】
一般にダウンカマの圧力はライザよりも低く、大気圧又は負圧にすることもできるため、本発明によれば乾燥排ガスをダウンカマから容易に炉内に押し込むことができる。また、ダウンカマは、流動媒体が下方へ落ちるだけであるため、乾燥排ガス導入ノズルは閉塞しにくい。さらに、ダウンカマはライザよりも水蒸気濃度が小さいため、乾燥排ガス導入ノズルはより一層閉塞しにくくなる。一方、ダウンカマの温度はライザとほぼ同じ温度であり、シールポットからの上昇流により乾燥排ガスはゆっくりと排出されるため滞留時間も長くなる。従って、乾燥排ガスを十分に燃焼脱臭可能である。
【0014】
さらにまた、汚泥を乾燥機で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉のライザに投入して流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を前記ライザに還流させるようにした汚泥の処理方法において、
前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを、前記サイクロンの燃焼排ガス出口近傍の排ガスダクトに導入し、前記燃焼排ガスの熱で前記乾燥排ガスを燃焼脱臭することを特徴とする。
【0015】
サイクロンの燃焼排ガス出口の圧力はライザよりも低く、負圧に設定することもできるため、乾燥排ガスを排ガスダクトに容易に押し込むことができる。また、流動媒体の大部分はサイクロンで分離されているため、流動媒体が少なく乾燥排ガス導入ノズルは閉塞しにくい。一方、燃焼排ガス出口の温度はライザとほぼ同じであるため、乾燥排ガスを十分に燃焼脱臭可能である。
【0016】
また、密閉状で且つ負圧に維持された汚泥ピットと、該汚泥ピットから供給された汚泥を乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機からの乾燥汚泥の少なくとも一部を燃焼処理する循環流動層炉とを備え、
前記循環流動層炉は、ブロワによって燃焼空気がライザ内に導入され、該燃焼空気により乾燥汚泥が流動媒体と混合撹拌しながら燃焼し、ライザ上部より排出された燃焼排ガスから流動媒体を分離して前記ライザに還流させる構成を備えた汚泥の処理システムにおいて、
前記乾燥機の乾燥排ガス出口と前記汚泥ピットとが接続され、前記乾燥排ガスを前記汚泥ピット内に導入する押込ファンが設けられるとともに、前記汚泥ピット内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ブロワによりライザ内に導入するようにしたことを特徴とする。
【0017】
さらに、前記汚泥ピットで発生した排水を貯留する排水槽を備え、
前記乾燥排ガス出口が前記排水槽に接続され、前記押込ファンは乾燥排ガスを該排水槽に導入するように構成され、該排水槽内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ブロワによりライザ内に導入するようにしたことを特徴とする。
【0018】
また、汚泥を乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機からの乾燥汚泥の少なくとも一部を燃焼処理する循環流動層炉とを備え、
前記循環流動層炉は、ライザに投入された乾燥汚泥が流動媒体と混合撹拌しながら燃焼し、ライザ上部より排出された燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を、ダウンカマを介してシールポットに落下させ前記ライザに還流させる構成を備えた汚泥の処理システムにおいて、
前記乾燥機の乾燥排ガス出口と前記ダウンカマとが接続され、前記乾燥排ガスを前記ダウンカマに導入する押込ファンが設けられたことを特徴とする。
【0019】
さらに、汚泥を乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機からの乾燥汚泥の少なくとも一部を燃焼処理する循環流動層炉とを備え、
前記循環流動層炉は、ライザに投入された乾燥汚泥が流動媒体と混合撹拌しながら燃焼し、ライザ上部より排出された燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を前記ライザに還流させる構成を備えた汚泥の処理システムにおいて、
前記乾燥機の乾燥排ガス出口と前記サイクロンの燃焼排ガス出口近傍の排ガスダクトとが接続され、前記乾燥排ガスを前記排ガスダクトに導入する押込ファンが設けられたことを特徴とする。
さらにまた、前記乾燥機の後段にスクラバが設けられていることが好適である。
【発明の効果】
【0020】
以上記載のごとく本発明によれば、乾燥排ガスを既存の設備内に導入することにより燃焼脱臭を行うことが可能で、且つ該乾燥排ガスを既存設備の導入部位に対して容易に導入することが可能である。
即ち、乾燥機からの乾燥排ガスを汚泥ピットに導入し、さらに汚泥ピット内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを燃焼空気としてライザ内に導入することにより、乾燥排ガスは、汚泥ピット内の臭気ガスとともに循環流動層炉内にて燃焼脱臭することが可能となる。また、汚泥ピット内は密閉状で負圧に維持されており、そのため押込ファン等により乾燥排ガスを汚泥ピット内に容易に押し込むことができる。
また、汚泥ピットのうち排水が貯留される排水槽に乾燥排ガスを導入することにより、乾燥排ガスのドレン水をそのまま排水することが可能となる。排水槽内には流動媒体が存在しないため、乾燥排ガス導入ノズルが閉塞しにくい。
【0021】
さらに、乾燥排ガスをライザより圧力が低いダウンカマに導入することにより、該乾燥排ガスを容易に炉内に押し込むことができるとともに、乾燥排ガス導入ノズルが閉塞しにくくなる。また、ダウンカマの温度はライザとほぼ同じ温度であり、シールポットからの上昇流により乾燥排ガスはゆっくりと排出されるため滞留時間も長くなり、乾燥排ガスを十分に燃焼脱臭可能である。
さらにまた、乾燥排ガスをライザより圧力が低いサイクロンの燃焼排ガス出口近傍の排ガスダクトに導入することにより、乾燥排ガスを容易に炉内に押し込むことができるとともに、乾燥排ガス導入ノズルが閉塞しにくくなる。また、サイクロンの燃焼排ガス出口の温度はライザとほぼ同じであるため、乾燥排ガスを十分に燃焼脱臭可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
本実施形態の処理対象となる汚泥は、下水処理場、し尿処理場、廃水処理設備等から排出された汚泥、若しくはこれらを脱水した脱水汚泥である。
【0023】
本実施形態は、乾燥機にて乾燥処理した汚泥を循環流動層炉にて燃焼処理する汚泥処理システムにおいて、乾燥機から排出される乾燥排ガスを既存の設備内に導入して燃焼脱臭する構成を備える。既存の設備内にて乾燥排ガス導入ノズルの閉塞を引き起こすことなく、且つ押込ファンを大型化することなく、乾燥排ガスを既存設備内のうち燃焼脱臭が行える場所に導入することが重要であることから、本発明者らは、乾燥排ガスの押込ファンの吐出圧よりも低い圧力である部位で、且つ導入部位若しくは該導入部位よりも後段側に燃焼脱臭に必要な温度域が存在する部位を必須条件とし、さらに流動媒体が存在しないか若しくは水蒸気濃度が低い部位の何れかの条件を満たす部位として、下記の第1乃至第3実施形態の構成を見出した。
【0024】
図1は本発明の第1の実施形態に係る汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。
同図に示されるように本システムは、汚泥を貯留する汚泥ピット11と、該汚泥ピット11から汚泥が供給され、乾燥処理を行う乾燥機13と、該乾燥機13からの乾燥汚泥を燃焼処理する循環流動層炉1と、該循環流動層炉1から排出される燃焼排ガスに対して、廃熱回収、煤塵除去、酸性ガス除去等の排ガス処理を施す排ガス処理設備16と、循環流動層炉1の燃焼排ガス出口3aから延設される排ガスダクトを負圧に維持し、燃焼排ガス出口3aから煙突18まで排ガスを送給するための誘引ファン17と、煙突18とを備えている。尚、乾燥機13の前に、必要に応じて、汚泥に脱水処理等の前処理を施す前処理装置を設けてもよい。また、循環流動層炉1に投入される汚泥は、少なくとも前記乾燥汚泥を含むものとするが、乾燥機13を通さない汚泥又は脱水汚泥も同時に炉内に投入してもよい。
【0025】
前記汚泥ピット11は、搬送車で回収された汚泥が一時的に貯留される設備である。汚泥ピット11内の汚泥はクレーンで移送されて適宜汚泥ピット11から排出され、乾燥機13に供給される。汚泥ピット11は、汚泥から発生する臭気ガスが外部へ漏出しないように密閉状で且つ負圧に維持される。また、汚泥ピット11内の臭気ガスは、ブロワ24又は二次ブロワ25により吸引されて一次空気又は二次空気として循環流動層炉1内に導入される。
【0026】
前記乾燥機13は、汚泥又は脱水汚泥を所定含水率まで乾燥処理する装置であり、後段側の排ガス処理設備16に設けられた熱交換器等により回収した熱を用いて汚泥を乾燥処理する。勿論、熱量の不足分は外部熱源を用いてもよいし、全熱量を外部熱源によりまかなってもよい。該乾燥機13は、ロータリーキルン式乾燥機が好適に用いられ、円筒状の炉内に投入された汚泥を撹拌しながら加熱して乾燥させる。加熱方式は間接加熱、直接加熱の何れでもよい。乾燥後の乾燥汚泥は、コンベア、ホッパ等により循環流動層炉1に送給される。
【0027】
前記循環流動層炉1は、炉底に充填されたけい砂等の流動媒体が流動化して形成される流動層2aとその上方に位置するフリーボード2bを有するライザ2と、該ライザ2の上部に接続され、フリーボード2bから吹き上げられた流動媒体を捕集するとともに、流動媒体を分離した燃焼排ガスを燃焼排ガス出口3aより排ガスダクトへ排出するサイクロン3と、ダウンカマ4を介してサイクロン3に接続され、炉内未燃ガスのサイクロン3への吹き抜けを防止するシールポット5と、シールポット5に貯留された流動媒体をライザ2に返送する流動媒体戻し管6と、を備える。
【0028】
ライザ2の炉壁には被燃焼物投入手段21が設けられている。該被燃焼物投入手段21は、投入ホッパより受け入れた被燃焼物を、供給フィーダにより適宜量ずつ炉内に投入する構成を備える。
ライザ2の底部には一次空気導入口22が設けられ、該一次空気導入口22から導入される一次空気により流動媒体を流動化し、流動層2aを形成している。該流動層2a上方のライザ炉壁には、二次空気導入口23が設けられ、ここから導入される二次空気によりフリーボード2bの空塔速度が維持されるとともに、燃焼排ガス中の未燃分が燃焼される。
【0029】
一次空気導入口22及び二次空気導入口23には、夫々ブロワ24、25によって大気又は汚泥ピット11からの臭気ガスが導かれる。尚、各導入口22、23に導かれる大気又は臭気ガスは、不図示の空気予熱器により加熱され所定温度まで昇温された後、各導入口22、23より炉内に導入される。空気予熱器は、循環流動層炉1から排出された燃焼排ガスの熱により空気を加熱する装置である。
また、汚泥ピット11から炉内に導かれる臭気ガスラインと、大気から炉に導かれる大気ラインとを切り替える切替手段33、34を備えていることが好ましい。この切替手段33、34は、流動層温度に基づいて切替制御される。例えば、流動層温度が800℃未満のときは、切替手段33、34を大気側に切り替えて大気を一次空気導入口22又は二次空気導入口23に導入し、流動層温度が800℃以上のときは、切替手段33、34を臭気ガス側に切り替えて、汚泥ピット11からの臭気ガスを一次空気導入口22又は二次空気導入口23に導入する。
【0030】
前記排ガス処理設備16は、廃熱回収、煤塵除去、酸性ガス除去等の排ガス処理を施す各種装置が、直列に複数接続されて構成される。具体例としては、空気予熱器と、廃熱ボイラと、ガス冷却塔と、バグフィルタとが直列に配設された構成、又は、空気予熱器と、廃熱ボイラと、セラミックフィルタとが直列に配設された構成などが挙げられる。空気予熱器は、一次空気又は二次空気を燃焼排ガスと熱交換することにより所定温度まで加熱する装置である。廃熱ボイラは、燃焼排ガスにより給水を加熱して蒸気を生成する。生成された蒸気は乾燥機13に供給される。該乾燥機13は、汚泥のような粘凋質の物質を、蒸気を使って間接的に乾燥するのに有効で、廃熱ボイラで生成された蒸気を熱媒体として乾燥することが好適である。
【0031】
また、本実施形態では上記した構成に加えて、乾燥機13にて汚泥の乾燥により発生した乾燥排ガスを、汚泥ピット11に導入するようにしている。汚泥ピット11に導入された乾燥排ガスは、汚泥ピット11内の臭気ガスとともにブロワ24、25により循環流動層炉1内に導入され、燃焼脱臭される。
汚泥ピット11内は負圧に維持されており、そのため押込ファン14により乾燥排ガスを容易に押し込むことができる。また、凝縮した乾燥排ガス中の水分は、汚泥ピット11内若しくは該汚泥ピット11に設けられた排水槽12(図2参照)に排出され、乾燥排ガスは、汚泥ピット11内の臭気ガスとともに一次ブロワ24又は二次ブロワ25により循環流動層炉1内に引き込まれることから、炉内で燃焼脱臭されることとなる。
尚、乾燥機13から汚泥ピット11に接続される乾燥排ガスライン上に、スクラバ(不図示)を設けてもよい。この場合、乾燥排ガスはスクラバを通過させて水分、煤塵、アンモニア等を除去した後、残留したアンモニア等の臭気成分が含まれる乾燥排ガスを、汚泥ピット11を介して循環流動層炉1に導入し、燃焼脱臭する。
【0032】
図2に、本発明の第1の実施形態を応用した汚泥処理システムの概略を示す。この実施形態では、汚泥ピット11から排出された排水を貯留する排水槽12を備えており、乾燥機13から排出される乾燥排ガスを該排水槽12に導入する構成としている。乾燥排ガスは、飽和蒸気であり結露しやすいという特徴があるが、乾燥排ガスを排水槽12に直接導入することにより乾燥排ガスのドレン水をそのまま排水することが可能となる。
また排水槽12内の圧力はほぼ大気圧又は微負圧であるため、乾燥排ガスを容易に押し込むことができる。また排水槽12内には流動媒体が存在しないため、乾燥排ガス導入ノズルが閉塞しにくい。さらに、排水槽12内の空気は、燃焼空気として汚泥ピット11と同様に一次ブロワ24又は二次ブロワ25により循環流動層炉1内に導入されるため、乾燥排ガスは燃焼脱臭される。
【0033】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。尚、本第2の実施形態及び後述する第3の実施形態において、上記した第1の実施形態と同様の構成については、その詳細な説明を省略する。
図3に示すように本実施形態では、乾燥機13から排出された乾燥排ガスを、押込ファン14により循環流動層炉1のダウンカマ4に導入する構成としている。ダウンカマ4は、サイクロン3からシールポット5を接続する垂直ダクトであり、乾燥排ガス導入ノズルは、このダウンカマ4の何れの位置に設けてもよい。
【0034】
ダウンカマ4の圧力はライザ2よりも低く、大気圧又は負圧にすることもできるため、乾燥排ガスを容易に炉内に押し込むことができる。また、ダウンカマ4は、流動媒体が下方へ落ちるだけであるため、乾燥排ガス導入ノズルは閉塞しにくい。さらに、ダウンカマ4はライザ2よりも水蒸気濃度が小さいため、乾燥排ガス導入ノズルはより一層閉塞しにくくなる。
一方、ダウンカマ4の温度はライザ2とほぼ同じ温度(800℃以上)であり、シールポット5からの上昇流により乾燥排ガスはゆっくりと排出されるため滞留時間も長くなる。従って、乾燥排ガスを十分に燃焼脱臭可能である。
【0035】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。図4に示すように本実施形態では、乾燥機13から排出された乾燥排ガスを、サイクロン3の燃焼排ガス出口3a近傍の排ガスダクトに導入する構成としている。
これは、サイクロン3の燃焼排ガス出口3aの圧力はライザ2よりも低く、負圧に設定することもできるため、乾燥排ガスを容易に押し込むことができる。また、流動媒体の大部分はサイクロン3で分離されているため、乾燥排ガス導入ノズルは閉塞しにくい。一方、燃焼排ガス出口3aの温度はライザ2とほぼ同じであるため、乾燥排ガスを十分に燃焼脱臭可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、乾燥排ガスを既存の設備内に導入することにより燃焼脱臭を行うことが可能で、且つ該乾燥排ガスを既存設備の導入部位に対して容易に導入することができるため、下水汚泥、し尿処理汚泥、廃水処理汚泥等の各種汚泥を処理する汚泥処理システム全般に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。
【図2】第1の実施形態を応用した汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る汚泥処理システムの概略を示す全体構成図である。
【図5】従来の汚泥処理システムを示す全体構成図である。
【符号の説明】
【0038】
1 循環流動層炉
2 ライザ
3 サイクロン
3a 燃焼排ガス出口
4 ダウンカマ
5 シールポット
11 汚泥ピット
12 排水槽
13 乾燥機
14 押込ファン
16 排ガス処理設備
17 誘引ファン
22 一次空気導入口
23 二次空気導入口
24 一次ブロワ
25 二次ブロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥ピットに貯留された汚泥を乾燥機に供給し、該乾燥機で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉のライザに投入し、該ライザに導入される燃焼空気により前記乾燥汚泥を流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を前記ライザに還流させるようにした汚泥の処理方法において、
前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを前記汚泥ピットに導入し、該汚泥ピット内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ライザ内に導入して燃焼脱臭することを特徴とする汚泥の処理方法。
【請求項2】
前記乾燥排ガスを、前記汚泥ピットで発生した排水を貯留する排水槽に導入し、該排水槽内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ライザ内に導入して燃焼脱臭することを特徴とする請求項1記載の汚泥の処理方法。
【請求項3】
汚泥を乾燥機で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉のライザに投入して流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を、ダウンカマを介してシールポットに落下させて前記ライザに還流させるようにした汚泥の処理方法において、
前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを前記ダウンカマに導入し、前記燃焼排ガスの熱で前記乾燥排ガスを燃焼脱臭することを特徴とする汚泥の処理方法。
【請求項4】
汚泥を乾燥機で乾燥処理した後、乾燥汚泥の少なくとも一部を循環流動層炉のライザに投入して流動媒体と混合撹拌しながら燃焼処理し、流動媒体が同伴された燃焼排ガスをライザ上部から排出し、該燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を前記ライザに還流させるようにした汚泥の処理方法において、
前記乾燥機から排出される乾燥排ガスを、前記サイクロンの燃焼排ガス出口近傍の排ガスダクトに導入し、前記燃焼排ガスの熱で前記乾燥排ガスを燃焼脱臭することを特徴とする汚泥の処理方法。
【請求項5】
密閉状で且つ負圧に維持された汚泥ピットと、該汚泥ピットから供給された汚泥を乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機からの乾燥汚泥の少なくとも一部を燃焼処理する循環流動層炉とを備え、
前記循環流動層炉は、ブロワによって燃焼空気がライザ内に導入され、該燃焼空気により乾燥汚泥が流動媒体と混合撹拌しながら燃焼し、ライザ上部より排出された燃焼排ガスから流動媒体を分離して前記ライザに還流させる構成を備えた汚泥の処理システムにおいて、
前記乾燥機の乾燥排ガス出口と前記汚泥ピットとが接続され、前記乾燥排ガスを前記汚泥ピット内に導入する押込ファンが設けられるとともに、前記汚泥ピット内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ブロワによりライザ内に導入するようにしたことを特徴とする汚泥の処理システム。
【請求項6】
前記汚泥ピットで発生した排水を貯留する排水槽を備え、
前記乾燥排ガス出口が前記排水槽に接続され、前記押込ファンは乾燥排ガスを該排水槽に導入するように構成され、該排水槽内の乾燥排ガスを含む臭気ガスを、前記燃焼空気として前記ブロワによりライザ内に導入するようにしたことを特徴とする請求項5記載の汚泥の処理システム。
【請求項7】
汚泥を乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機からの乾燥汚泥の少なくとも一部を燃焼処理する循環流動層炉とを備え、
前記循環流動層炉は、ライザに投入された乾燥汚泥が流動媒体と混合撹拌しながら燃焼し、ライザ上部より排出された燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を、ダウンカマを介してシールポットに落下させ前記ライザに還流させる構成を備えた汚泥の処理システムにおいて、
前記乾燥機の乾燥排ガス出口と前記ダウンカマとが接続され、前記乾燥排ガスを前記ダウンカマに導入する押込ファンが設けられたことを特徴とする汚泥の処理システム。
【請求項8】
汚泥を乾燥処理する乾燥機と、該乾燥機からの乾燥汚泥の少なくとも一部を燃焼処理する循環流動層炉とを備え、
前記循環流動層炉は、ライザに投入された乾燥汚泥が流動媒体と混合撹拌しながら燃焼し、ライザ上部より排出された燃焼排ガスからサイクロンにより分離した流動媒体を前記ライザに還流させる構成を備えた汚泥の処理システムにおいて、
前記乾燥機の乾燥排ガス出口と前記サイクロンの燃焼排ガス出口近傍の排ガスダクトとが接続され、前記乾燥排ガスを前記排ガスダクトに導入する押込ファンが設けられたことを特徴とする汚泥の処理システム。
【請求項9】
前記乾燥機の後段にスクラバが設けられたことを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の汚泥の処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−248038(P2009−248038A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101505(P2008−101505)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(501370370)三菱重工環境エンジニアリング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】