説明

汚物処理装置およびそれを備える仮設トイレ

【課題】汚物処理槽のみを駆動手段から切り離して、取り出すことができるとともに、新しい分解促進物質を収容した別の汚物処理槽と迅速に交換することができ、効率のよいメンテナンス作業を可能とした、汚物処理装置およびそれを備える仮設トイレを提供する。
【解決手段】回転軸23に設けた攪拌翼32を回転させることにより、汚物を、分解促進物質33とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理槽17を、回転軸23を回転させるギヤードモータ34を設けた筐体11に対して着脱自在に設け、ギヤードモータ34の出力軸35に、汚物処理槽17を筐体11における正規の装着位置に装着したとき、回転軸23に相対回転不能として係合するカップリング37を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物を分解処理する汚物処理装置、およびそれを備える仮設トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木作業現場や災害地等において、一時的に設置される仮設トイレには、分解促進物質と汚物とを攪拌するようにした汚物処理槽を、ベースに対して後方に引き出して、汚物と分解促進物質とを容易に交換できるようにした汚物処理装置を備えるものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296096
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている汚物処理装置は、汚物処理槽自体に回転軸を回転させる駆動装置が設けられており、メンテナンス作業において、汚物処理槽を引き出す際に、メンテナンスの対象ではない駆動装置も同時に引き出すことになるので、無駄なスペースと労力を消費し、作業効率が悪い。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、汚物処理槽のみを駆動手段から切り離して、取り出すことができるとともに、新しい分解促進物質を収容した別の汚物処理槽と迅速に交換することができ、効率のよいメンテナンス作業を可能とした汚物処理装置、およびそれを備える仮設トイレを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 回転軸に設けた攪拌翼を回転させることにより、汚物を、分解促進物質とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理槽を、前記回転軸を回転させる駆動手段を設けたベースに対して着脱自在に設け、かつ前記駆動手段の出力部材に、前記汚物処理槽をベースにおける正規の装着位置に装着したとき、前記回転軸に相対回転不能として係合するカップリングを設ける。
【0007】
このような構成とすると、駆動手段をベースに設置したままで、汚物処理槽のみを、駆動手段から切り離して、ベースから取り出し、新しい分解促進物質を収容した別の汚物処理槽と交換したり、メンテナンス作業を行ったりすることができる。
【0008】
また、汚物処理槽をベースにおける正規の装着位置に装着するだけで、汚物処理槽の回転軸が、カップリングに相対回転不能として係合し、駆動手段と連係されるので、回転軸と駆動手段の出力部材とを、ボルト・ナット等をもって連結する必要がなく、作業効率がよい。
【0009】
(2) 上記(1)項において、回転軸の断面形状を非円形とし、カップリングに、前記回転軸の端部とほぼ補形をなす非円形孔を設ける。
【0010】
このような構成とすると、回転軸をカップリングに差し込むだけで、回転軸と駆動手段の出力部材とが相対回転不能として連係され、回転軸と駆動手段の出力部材とを、ボルト・ナット等をもって連結する必要がない。
また、回転軸に設けた攪拌翼を回り止めするのにも都合がよい。
【0011】
(3) 上記(1)または(2)項において、前後方向を向く回転軸の前後の端部を、汚物処理槽の前後面より突出させ、汚物処理槽を、前後の向きを反転させてベースの正規位置に装着したときにも、回転軸の端部が、カップリングと係合する。
【0012】
このような構成とすると、汚物処理槽において、前後方いずれの方向からも回転軸の端部をカップリングに係合することができ、前後の向きを気にせずに交換作業が行える。
【0013】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、汚物処理槽の前後の端部に、上方に開口するU字状の切欠部を設け、両切欠部に、回転軸の前後部を、この回転軸を受ける軸受装置とともに、上方に離脱可能として装着するようにする。
【0014】
このような構成とすると、攪拌翼を設けた回転軸を汚物処理槽から容易に取り外すことができ、汚物処理槽のメンテナンス作業が簡易にできる。
【0015】
(5) 上記(4)項において、軸受装置を、外形が球面をなし、中心軸線を含む平面で2分割され、かつ中央孔に回転軸が嵌合された球面軸受部材と、前記球面軸受部材が全方向に相対回転可能として嵌合された内面を有し、中心軸線を含む平面で2分割され、かつ外周部に拡径鍔部を有する軸受ハウジングと、前記拡径鍔部を両側方より挟む2枚の取付板と、両取付板を締着する締着手段とを備えるものとする。
【0016】
このような構成とすると、回転軸と軸受装置とのわずかな取付角度の狂いを吸収することができ、その取付角度の狂いに伴う軸受部分への応力集中を防止することができる。
また、球面軸受部材と軸受ハウジングとを2分割して、回転軸の側方より容易に装着したり、分解したりすることができ、組付作業性を向上できる。
【0017】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、汚物処理槽の両側縁に外側方を向く鍔部を設け、この鍔部をベースに設けた前後方向を向くローラーコンベヤ上に、前後方向に摺動自在に載置する。
【0018】
このような構成とすると、汚物処理槽をベースから軽力で引き出すことができるとともに、ローラーコンベヤにより、汚物処理装置を常に正規位置へ正確に導くことができる。
【0019】
(7) 上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の汚物処理装置の上方に、便器を含むトイレユニットを取り付ける。
【0020】
このような構成とすると、メンテナンスの容易な実用性の高い仮設トイレを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、汚物処理槽のみを駆動手段から切り離して、取り出すことができるとともに、新しい分解促進物質を収納した別の汚物処理槽と迅速に交換することができ、効率のよいメンテナンス作業を可能とした、汚物を分解処理する汚物処理装置、およびそれを備える仮設トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の汚物処理装置を備える仮設トイレの斜視図である。
【図2】汚物処理装置より汚物処理槽を前方に引き出した状態の斜視図である。
【図3】汚物処理装置の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】回転軸の一端部の斜視図である。
【図6】軸受装置の分解斜視図である。
【図7】回転軸の軸受部分を、回転軸の中心軸線を含む水平面で切断した横断平面図である。
【図8】汚物処理槽の軸受部分の拡大斜視図である。
【図9】カップリングと回転軸との分解斜視図である。
【図10】汚物処理装置に、汚物処理槽搬送車を接続したときの斜視図である。
【図11】汚物処理槽搬送車の高さ調整手段の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1に示すように、仮設トイレ1は、汚物処理装置2上に、床板3、便器4、前面に扉5を備える外装体6等からなるトイレユニット7を装着したものよりなっている。
なお、トイレユニット7は、本発明には直接関係しないので、それについての詳細な説明は省略する。
【0024】
図1〜図4に示すように、汚物処理装置2は、底板8と、両側板9、9と、後面板10とを有し、上面と前面とが開放するベースである筐体11を備えている。
【0025】
底板8の前端両側部には、図示しないフォークリフトのフォークを挿入しうる受孔8a、8aが設けられている。
筐体11内における後面板10より若干前方には、左右方向を向く仕切板12が設けられている。
【0026】
図1に示すように、筐体11の前面には、ステップ13を備える前面板14が、その両側部を複数のボルト15をもって両側板9、9の前端面に固着することにより、着脱可能として装着されている。この前面板14は、後述する汚物処理槽が前方に移動するのを阻止する役目をしている。
【0027】
図2に示すように、筐体11における仕切板12より前方において、両側板9、9の内側面上部には、前後方向を向く左右1対のローラーコンベヤ16、16が設けられている。各ローラーコンベヤ16は、各側板9の内面に固着した前後方向を向く上向コ字状の枠材16a内に、複数のローラ16bを、その一部が上方に突出するようにして、前後に並べて、左右方向を向く軸16cをもって枢支したものよりなっている。
【0028】
筐体11における仕切板12より前方の画室内には、汚物処理槽17が、左右のローラーコンベヤ16、16に沿って、前方に引き出し可能として、着脱自在に設けられている。
汚物処理槽17は、前後方向を向く2個の上向半円筒体を左右に接合した形状とした正面視上向B型の底板18と、両側板19、19と、前面板20と、後面板21とからなる、上面が開放した箱状をなし、両側板19、19の上端に設けた外向鍔部22、22を、左右のローラーコンベヤ16、16上に載置することにより、前後方向に軽力で移動させうるようになっている。
【0029】
汚物処理槽17内には、前後方向を向く左右1対の回転軸23、23が、前面板20と後面板21とに設けた軸受装置24をもって、汚物処理槽17より前後対称をなして前後に突出するようにして、回転自在に設けられている。
【0030】
各回転軸23は、図5に示すように、六角軸その他の非円形断面のもので、その両端に尖先部23aを形成するとともに、軸受装置24を挿通するべき部分に、小径軸部23bを形成して構成されている。
【0031】
図6〜図8に示すように、軸受装置24は、外面が欠球面25aをなし、かつ中央孔25bに回転軸23の小径軸部23bが回転自在に軸支されるようにした球面軸受部材25と、球面軸受部材25が全方向に相対回転可能として嵌合された内面26aを有し、かつ円筒形の外周部に拡径鍔部26bを有する軸受ハウジング26と、軸受ハウジング26の拡径鍔部26bが段孔27aに嵌合し、かつ軸受ハウジング26の他部が、段孔27aの中央に形成された中央孔27bに嵌合するようにして、軸受ハウジング26を前後より挟む2枚の取付板27、27と、両取付板27、27を前後より締着する締着手段であるボルト28とナット29とからなっている。
【0032】
球面軸受部材25は、中心軸線を含む平面で2分割された2個の分割片25A、25Bからなり、両分割片25A、25Bにより、回転軸23の小径軸部23bを両側方より挟んで合体させることにより、中央孔25bで回転軸23の小径軸部23bを回転自在に軸受するようになっている。
【0033】
軸受ハウジング26も、中心軸線を含む平面で2分割された2個の分割片26A、26Bからなり、両分割片26A、26Bにより、合体した球面軸受部材25を両側方より挟んで合体させることにより、内面26aで球面軸受部材25を全方向に回転自在に軸受するようになっている。
【0034】
各回転軸23は、図8に示すように、前後部の軸受装置24、24とともに、汚物処理槽17から上方に取り外すことができるようになっている。
そのために、汚物処理槽17の前面板20と後面板21の両側部には、上方に開口するU字状の切込孔30が設けられており、この切込孔30を通して、回転軸23を、軸受装置24およびそれを取り付けた取付板31とともに、上方に離脱したり、正規の装着位置まで下降させて、軸受装置24および取付板31を、上記と同様のボルト28とナット29をもって、前面板20および後面板21に固着し、回転軸23を汚物処理槽17に取り付けたりしうるようになっている。
【0035】
なお、取付板31を、軸受装置24から切り離して、正規の位置に装着した軸受装置24を上方に移動しないようにするための押え板として、前面板20または後面板21に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
図2〜図4に示すように、汚物処理槽17内における各回転軸23には、複数の攪拌翼32が、回転軸23の軸線方向に適宜の間隔を置いて取り付けられており、左右の回転軸23、23を、後述する駆動手段により、互いに逆方向に回転させることによって、各回転軸23に取り付けられた攪拌翼32により、汚物処理槽17内に収容した分解促進物質33と、便器4より落下した汚物(図示略)とを攪拌して、汚物を分解処理しうるようになっている。
【0037】
分解促進物質33としては、微生物が生息するおが屑、もみ殻、杉チップ等のいわゆるバイオチップを使用するのが好ましい。
【0038】
筐体11における後面板10と仕切板12と両側板9、9とによって囲まれた部屋の底板8上には、駆動手段としての左右1対のギヤードモータ34、34が、左右の回転軸23、23の左右間隔と等間隔をもって、左右に並べて設けられている。
【0039】
各ギヤードモータ34の前方を向く出力部材である出力軸35の前端部には、トーションダンパ36を介して、カップリング37が接続されている。
トーションダンパ36としては、入力軸36aと出力軸36bとが、タイヤ状の弾性体36cを介して接続され、出力軸36bが入力軸36aに対して、所要量だけ偏心および偏角しうるようにした公知のものを用いるのが好ましい。
【0040】
カップリング37は、トーションダンパ36の出力軸36bと一体的に形成されており、この例では、回転軸23のいずれの端部もが相対回転不能として嵌合しうるようにした公知の12角ソケットとしてあるが、回転軸23の端部と補形をなす六角孔、またはその他の非円形孔を設けたものとすることもできる。
【0041】
左右のトーションダンパ36、36およびカップリング37、37は、仕切板12に設けた左右1対の通孔38、38より前方に臨むように、または通孔38、38を通って仕切板12より前方に突出するように配設され、汚物処理槽17を、図3および図4に示すような筐体11における正規の装着位置に装着したとき、左右の回転軸23、23の後端部が、相対回転不能として嵌合するようにしてある(図9参照)。
また、左右の回転軸23、23は、汚物処理槽17の前後の端部より同様に突出させてあるので、汚物処理槽17の前後の向きを反転させて筐体11の正規位置に装着したときにも、左右の回転軸23、23の端部は、カップリング37、37に嵌合することができる。
【0042】
筐体11における底板8の上面中央部には、汚物処理槽17を底面より加温する前後方向を向くヒータ39が設けられ、また、仕切板12の左右方向の中央部には、排気孔40と送気孔41とが、上下に並べて設けられている。
仕切板12における送気孔41の後面には、ギヤードモータ34、34が設けられた部屋内の空気を、送気孔41を通って、ヒータ39に向かって送気する送気ファン42が設けられており、ギヤードモータ34、34の作動にて暖められた空気は、図3および図4に矢印で示すように、送気ファン42により送気孔41を通って、ヒータ39部分に送られ、ヒータ39によってさらに熱せられた後、汚物処理槽17の前面板20と、筐体11の前面を塞ぐ前面板14との間の空間を通って上昇し、さらに、床板3の下面に沿って後方に反転し、汚物処理槽17内の加温された分解促進物質33から発生する湿気とともに、汚物処理槽17の後方の排気孔40から、その後部に接続されたダクト43を通って、筐体11の後部上方に配設した補助室44(図1参照)内に設けた除湿装置(図示略)に送られるようになっている。
【0043】
このように、ヒータ39により加温された環境下で、汚物と分解促進物質33とが攪拌されることにより、汚物の分解処理が促進される。
【0044】
一定の使用期間経過後、または処理限界を超えて使用したとき等には、図1に示すボルト15を外して、前面板14を、ステップ13とともに、筐体11から外し、それによって開いた筐体11の前端開口部に、図10に示す荷車状の汚物処理槽搬送車45を接続し、その状態で、汚物処理槽17を前方に引き出すのと同時に、汚物処理槽搬送車45に移載し、その後、汚物処理槽搬送車45を、予め待機しておいたトラック等の場所まで移動させてトラック等に移載する。
【0045】
その後、予め用意しておいた、新しい分解促進物質33を収容した交換用の汚物処理槽17を、上記の、または上記のものとは別の汚物処理槽搬送車45に載置して、空になっている上記汚物処理装置2まで運び、その筐体11の前端開口部に汚物処理槽搬送車45を、上記と同様に接続し、交換用の汚物処理槽17を、汚物処理槽搬送車45から筐体11側へ移載する。
【0046】
交換用の汚物処理槽17が、正規の装着位置まで後方に押し込まれる直前に、各回転軸23の後端の尖先部23aがカップリング37に進入し、尖先部23aの自動求心作用により、各回転軸23の後端部は、カップリング37と相対回転不能として、確実に接続される。
このときの各回転軸23の後端部とカップリング37とのわずかな偏心や偏角は、トーションダンパ36により吸収されるので、回転軸23の後端部とカップリング37との接続は、円滑かつ迅速に行われる。
【0047】
その後、ステップ13とともに、前面板14をボルト15によって筐体11の前面に固定すれば、メンテナンス作業が終了する。
このように、前面板14を外して、使用済みの汚物処理槽17と交換用の汚物処理槽17とを入れ替えるだけで、メンテナンス作業を簡単かつ迅速に行うことができるので、辺境地や山間部等に設置した仮設トイレ等に最適である。
【0048】
使用済みの汚物処理槽17は、トラック等により工場等に持ち帰り、各回転軸23を、攪拌翼32や軸受装置24等とともに、上述したようにして、汚物処理槽17から外し、その後に汚物処理槽17内に残った汚物と分解促進物質33とを、簡単に取り出すことができる。
このような作業を、現場において行う必要がないので、メンテナンス作業が著しく軽減される。
【0049】
次に、汚物処理槽搬送車45の詳細について説明する。
図10に示すように、この汚物処理槽搬送車45は、左右1対の車輪46、46を有する台車47と、台車47を汚物処理装置2の前方における正規の移載位置に位置させたとき、汚物処理装置2における左右のローラーコンベヤ16、16の前端より一直線状に整合するようにして、台車47に設けられた左右1対のローラーコンベヤ48、48と、ローラーコンベヤ48、48の後端部の高さが、ローラーコンベヤ16、16の前端部の高さと一致するべく、台車47の後端部の高さを調整する高さ調整手段49と、台車47の後端部に設けられ、筐体11の左右の側板9、9のいずれか一方の前端部側面に左右方向より当接することにより、ローラーコンベヤ48、48の後端部が、ローラーコンベヤ16、16の前端部と左右方向に整合するべく、台車47の後端部を、筐体11の前端部に対して左右方向に位置決めする位置決め手段50とを備えている。
【0050】
各ローラーコンベヤ48は、ローラーコンベヤ16と同一構造のものとしてあるが、両ローラーコンベヤ16、48を、ともにアングル材等によるガイドレールとし、汚物処理槽17の両外向鍔部22を、両ガイドレールに沿って、直接前後方向に摺動させるようにするか、または、外向鍔部22に複数のローラまたは車輪を設けて、それらを両ガイドレールに沿って転動させるようにしてもよい。
【0051】
高さ調整手段49は、図10および図11に示すように、台車47の前面一側部に固着した側面視前向コ字状のブラケット51と、このブラケット51の上片51aと下片51bとに設けた上下1対の挿通孔52、52に、上下動可能として挿通され、かつ下端に接地部材53aを有する支持脚53と、ブラケット51における上下方向を向く基片51cの中間部前面に設けられた左右方向を向く突条51dの下縁に後端部が係止され、かつ中間部に支持脚53が遊通する係合孔54が設けられ、前端が上向回動したとき、係合孔54における遊端側の縁と基端側の縁とが、支持脚53に係合して、支持脚53の相対的な上方への移動を阻止し、前端が下向回動したとき、支持脚53との係合が解除されて、支持脚の上下方向の移動を許容するようにした傾斜板55と、支持脚53に外嵌するようにして、傾斜板55の下面とブラケット51の下片51bの上面との間に縮設され、かつ傾斜板55を上向き回動する方向に付勢する付勢手段である圧縮コイルばね56とを備えている。
【0052】
圧縮コイルばね56の付勢力に抗して、傾斜板55の前端部を、足先等により押し下げて、傾斜板55をほぼ水平としておくことにより、台車47の前端部の高さを自由に変更することができ、台車47の後端部において、ローラーコンベヤ48、48の後端部の高さが、ローラーコンベヤ16、16の前端部の高さと一致したときに、傾斜板55の前端部から足先等を離すと、圧縮コイルばね56の付勢力により、傾斜板55は、上向回動して、係合孔54における遊端側の縁と基端側の縁とが、支持脚53に係合して、支持脚53の相対的な上方への移動が阻止され、台車47の前端部は、支持脚53によって、それ以上下降しないように保持される。
【0053】
位置決め手段50は、この例では、台車47の後端一側部に後方に向けて突設した単なる突片57としてあり、この突片57の内側面が、筐体11の左右の側板9、9のいずれか一方の前端部外側面に左右方向より当接することにより、ローラーコンベヤ48、48の後端部が、ローラーコンベヤ16、16の前端部と左右方向に整合するようにしてある。
【0054】
したがって、この突片57を筐体11の左右の側板9、9のいずれか一方の前端部外側面に当接させ、上記高さ調整手段49により、台車47の前端部の高さを調整することにより、台車のローラーコンベヤ48、48を、汚物処理装置2における左右のローラーコンベヤ16、16と一直線状に整合させた状態で、汚物処理槽17を、それらのローラーコンベヤ16、16、48、48に沿って、筐体11側から台車47側へ、またはその逆方向へ、軽力で前後方向に移動させることができる。
【0055】
左右のローラーコンベヤ48、48の前端部上面には、汚物処理槽17を台車47の正規の装着位置まで前方に移動させたとき、汚物処理槽17の外向き鍔部22、22の前端が当接して、汚物処理槽17のそれ以上の前方への移動を阻止するようにしたストッパ58、58が設けられている。
【0056】
なお、図示は省略したが、台車47の後端部には、汚物処理槽17を台車47の正規の装着位置に位置させた状態で、汚物処理槽17の後方への脱落を防止するためのゲート手段を、着脱自在に設けてある。
さらに、台車47の前端には、平面視後向コ字状の引き手が設けられている。
【0057】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(A) 駆動手段として、単一のモータを使用し、その出力軸と、左右のトーションダンパ36の入力軸36a、36aとを、歯車列、またはベルトとプーリ、その他の連動手段を介して連係し、両トーションダンパ36が、互いに同期して、逆方向に回転させられるようにする。
(B) 汚物処理槽17に、単一の、または3個以上の回転軸23を配設し、それに合わせて、カップリング37等の数も増減させる。
(C) 台車47を四輪車とする。
【符号の説明】
【0058】
1 仮設トイレ
2 汚物処理装置
3 床板
4 便器
5 扉
6 外装体
7 トイレユニット
8 底板
8a 受孔
9 側板
10 後面板
11 筐体(ベース)
12 仕切板
13 ステップ
14 前面板
15 ボルト
16 ローラーコンベヤ(ベース側ガイドレール)
16a 枠材
16b ローラ
16c 軸
17 汚物処理槽
18 底板
19 側板
20 前面板
21 後面板
22 外向鍔部
23 回転軸
23a 尖先部
23b 小径軸部
24 軸受装置
25 球面軸受部材
25A、25B 分割片
25a 欠球面
25b 中央孔
26 軸受ハウジング
26A、26B 分割片
26a 内面
26b 拡径鍔部
27 取付板
27a 段孔
27b 中央孔
28 ボルト
29 ナット
30 切込孔
31 取付板
32 攪拌翼
33 分解促進物質
34 ギヤードモータ(駆動手段)
35 出力軸
36 トーションダンパ
36a 入力軸
36b 出力軸
36c 弾性体
37 カップリング
38 通孔
39 ヒータ
40 排気孔
41 送気孔
42 送気ファン
43 ダクト
44 補助室
45 汚物処理槽搬送車
46 車輪
47 台車
48 ローラーコンベヤ(台車側ガイドレール)
49 高さ調整手段
50 位置決め手段
51 ブラケット
51a 上片
51b 下片
51c 基片
51d 突条
52 挿通孔
53 支持脚
53a 接地部材
54 係合孔
55 傾斜板
56 圧縮コイルばね(付勢手段)
57 突片
58 ストッパ
59 引き手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設けた攪拌翼を回転させることにより、汚物を、分解促進物質とともに攪拌して、分解処理するようにした汚物処理槽を、前記回転軸を回転させる駆動手段を設けたベースに対して着脱自在に設け、かつ前記駆動手段の出力部材に、前記汚物処理槽をベースにおける正規の装着位置に装着したとき、前記回転軸に相対回転不能として係合するカップリングを設けたことを特徴とする汚物処理装置。
【請求項2】
回転軸の断面形状を非円形とし、カップリングに、前記回転軸の端部とほぼ補形をなす非円形孔を設けた請求項1記載の汚物処理装置。
【請求項3】
前後方向を向く回転軸の前後の端部を、汚物処理槽の前後面より突出させ、汚物処理槽を、前後の向きを反転させてベースの正規位置に装着したときにも、回転軸の端部が、カップリングと係合するようにした請求項1または2に記載の汚物処理装置。
【請求項4】
汚物処理槽の前後の端部に、上方に開口するU字状の切欠部を設け、両切欠部に、回転軸の前後部を、この回転軸を受ける軸受装置とともに、上方に離脱可能として装着した請求項1〜3のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項5】
軸受装置を、外形が球面をなし、中心軸線を含む平面で2分割され、かつ中央孔に回転軸が嵌合された球面軸受部材と、前記球面軸受部材が全方向に相対回転可能として嵌合された内面を有し、中心軸線を含む平面で2分割され、かつ外周部に拡径鍔部を有する軸受ハウジングと、前記拡径鍔部を両側方より挟む2枚の取付板と、両取付板を締着する締着手段とを備えるものとした請求項4記載の汚物処理装置。
【請求項6】
汚物処理槽の両側縁に外側方を向く鍔部を設け、この鍔部をベースに設けた前後方向を向くローラーコンベヤ上に、前後方向に摺動自在に載置した請求項1〜5のいずれかに記載の汚物処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の汚物処理装置の上方に、便器を含むトイレユニットを取り付けたことを特徴とする仮設トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−31150(P2011−31150A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178607(P2009−178607)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(309022877)株式会社 関東広興 (3)
【Fターム(参考)】