説明

汚物除去処理具

【課題】
汚物に病原微生物が含まれている場合であっても、安全に汚物除去処理することができる汚物除去処理具を提供することである。
【解決手段】
吸水シート及び防水シートを備え、汚物に覆い被せるための積層シート(10)と、
積層シート(10)の一端部に固定され、汚物を収納するための汚物収納袋(20)と、
汚物収納袋(20)の内部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導くための掃入誘導板(30)と、
積層シート(10)の端部のうち汚物収納袋(20)から最も遠く離れた一端部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)内に移動させるための掃込部材(40)と
を有することを特徴とする汚物除去処理具を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物除去処理具に関する。
【背景技術】
【0002】
病院内における患者等の嘔吐物;乗物(自動車、列車、船、飛行機及びバス等)における乗物酔いによる嘔吐物;又は酒場、路上及びプラットホーム等における飲酒による嘔吐物等の汚物に、無機鉱物質、吸水性樹脂及びpH緩衝剤からなる清掃処理用凝固剤(特許文献1)や、木質系粉末又は有機質繊維と、高吸水性樹脂とを含有する吸水性圧縮成形体(特許文献2)等の粉粒体を散布して固化して処理することが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−244249号公報
【特許文献2】特開平 5−317705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の粉粒体では、汚物に病原微生物が含まれている場合、汚物を処理する者に感染する恐れがあるという問題がある。
本発明の目的は、汚物に病原微生物が含まれている場合であっても、安全に汚物除去処理することができる汚物除去処理具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の汚物除去処理具の特徴は、吸水シート及び防水シートを備え、汚物に覆い被せるための積層シート(10)と、
積層シート(10)の一端部に固定され、汚物を収納するための汚物収納袋(20)と、
汚物収納袋(20)の内部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導くための掃入誘導板(30)と、
積層シート(10)の端部のうち汚物収納袋(20)から最も遠く離れた一端部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)内に移動させるための掃込部材(40)と
を有する点を要旨とする。
【0006】
積層シート(10)としては、吸水シート及び防水シートを備えており、汚物に覆い被せることができれば、厚み、大きさ及び形状等に制限はないが、吸水シートを、防水シートと共にサンドイッチ状に挟むことができる液体透過シートを備えることが好ましい。液体透過シートを備えると、吸水シートが吸水しても、吸水材料が積層シート(10)から脱落しにくくすることができる。
【0007】
吸水シートとしては、吸水材料をシート状にしたものであれば制限がない。
吸水材料としては、高吸水性樹脂、有機質繊維及びこれらの混合物等が含まれる。
【0008】
高吸水性樹脂としては、水溶性ビニルモノマー及び架橋剤を共重合した架橋重合体等が含まれ、公知のもの{たとえば、以下の(1)〜(16)の重合体等}をそのまま用いることができる。
【0009】
(1)特公昭53−46199号公報又は特公昭53−46200号公報等に記載のデンプン−アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体。
(2)特開昭55−133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(3)特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報又は特開平11−5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(4)特開昭52−14689号公報又は特開昭52−27455号公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体のケン化物。
(5)特開昭58−2312号公報又は特開昭61−36309号公報等に記載のアクリル酸(塩)とスルホ(スルホネート)基含有モノマーとの共重合体。
【0010】
(6)米国特許第4389513号等に記載のイソブチレン−無水マレイン酸共重合架橋体のケン化物。
(7)特開昭46−43995号公報等に記載のデンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物。
(8)米国特許第4650716号等に記載の架橋カルボキシメチルセルロース。
(9)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリアルキレン(エチレン、プロピレン等)グリコール架橋体。
(10)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリビニルアルコール架橋体。
(11)特開2003−48997号公報に記載のデンプン放射線架橋体。
(12)特開平9−85080号公報に記載のカルボキシル基含有架橋セルロース。
(13)特開平10−251402号公報に記載のポリアミノ酸放射線架橋体。
(14)特開2002−179770号公報に記載の架橋ポリアスパラギン酸。
(15)特開2001−120992号公報に記載の多糖類の多価金属イオン架橋体。
【0011】
(16)特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003−238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報、特開2004−121400号公報、特開2004−123835号公報、特開2005−075982号公報、特開2005−095759号公報、特開2005−186015号公報、特開2005−186016号公報、特開2006−110545号公報、特開2006−122737号公報、特開2006−131767号公報、特開2006−160774号公報、特開2006−206777号公報、特開2006−219661号公報、特開2007−069161等に記載された高性能吸水性樹脂{架橋ポリアクリル酸(塩)}。
【0012】
有機質繊維としては、天然繊維、人造繊維及び合成繊維、並びにこれらの混合物及びこれらの再生繊維等が使用できる。
天然繊維としては、木綿、脱脂綿、オガクズ、ワラ、草炭、羊毛、ミクロフィブリル、バクテリアセルロース、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)及びフラッツパルプ等が挙げられる。
人造繊維としては、レーヨン及びアセテート等が挙げられる。
合成繊維としては、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエチレン・ポリプロピレン複合繊維等)、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維及びポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソフタレート共重合体複合繊維等)、ポリオレフィン・ポリエステル複合繊維(ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレート複合繊維及びポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレート複合繊維等)、ポリアミド繊維(ポリテレフタル酸エチレンジアミド繊維、ポリイソテレフタル酸エチレンジアミド繊維、ポリテレフタル酸プロピレンジアミド繊維及びポリイソテレフタル酸プロピレンジアミド繊維等)、ポリアクリル繊維(ポリアクリル酸ブチル繊維及びポリアクリル酸2−エチルヘキシル繊維等)、及びポリアクリロニトリル繊維等が挙げられる。
【0013】
吸水シートには、高吸水性樹脂粒子が含まれていることが好ましく、さらに好ましくは高吸水性樹脂及び天然繊維が含まれていることである。
【0014】
吸水シートには、添加剤(芳香剤、消臭剤、殺菌剤、防かび剤及び防腐剤等)を含有させてもよい。
【0015】
防水シートとしては、水のしみ出しを防ぎ、汚物に病原微生物が含まれていた場合、病原微生物を透過させないものが好ましく、熱可塑性樹脂シート等が用いられる。
熱可塑性樹脂シートのうち、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、ポリオレフィンシートが好ましく、さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレン・ポリプロピレンのシート、特に好ましくはポリエチレンシートである。
【0016】
液体透過シートとしては、水が吸水シートに容易に移動でき、吸水材料が積層シート(10)から脱落しにくくすることができれば特に限定されないが、セルロース繊維から作られる紙(和紙及びティッシュペーパー等)、熱可塑性樹脂等から作られる不織布、織布又は編布、及び熱可塑性樹脂等から作られる多孔質フィルム(孔径は0.01〜300mmが好ましく、さらに好ましくは0.02〜200mm、特に好ましくは0.03〜100mm)等が好適に用いられる。
【0017】
液体透過シートを構成することができる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレン・ポリプロピレン共重合体等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソフタレート共重合体等)、ポリオレフィン・ポリエステル共重合体(ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレート共重合体及びポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレート共重合体等)、ポリアミド(ポリテレフタル酸エチレンジアミド、ポリイソテレフタル酸エチレンジアミド、ポリテレフタル酸プロピレンジアミド及びポリイソテレフタル酸プロピレンジアミド繊維等)、ポリアクリル(ポリアクリル酸ブチル繊維及びポリアクリル酸2−エチルヘキシル繊維等)及びポリアクリロニトリル繊維等が挙げられる。
【0018】
これらのうち、熱可塑性樹脂から作られる不織布、織布又は編布が好ましく、さらに好ましくは熱可塑性樹脂製不織布、特に好ましくはポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリオレフィン・ポリエステル共重合体から作られる不織布である。
【0019】
積層シート(10)としては、市場から入手できる積層シート(ペット用シート、パット型紙おむつ、手術用シーツ及び救急医療用シーツ等)等をそのまま使用することができる。
【0020】
汚物収納袋(20)は、積層シート(10)の一端部に固定され、汚物を収納することができる袋であれば、色、材質、大きさ及び形状等に制限はないが、本発明の汚物除去処理具を一体的に安全に焼却処分するために、積層シート(10)、掃入誘導板(30)及び掃込部材(40)の全てを収納できる大きさが好ましい。
【0021】
汚物収納袋(20)は、汚物に病原微生物が含まれている場合であっても、安全に汚物除去処理する必要性があるため、密閉できる構造が好ましい。また、汚物収納袋(20)の材質としては、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリオレフィン、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレン・ポリプロピレン、最も好ましくはポリエチレンである。
【0022】
汚物収納袋(20)は、視覚的な不愉快感等の観点から、半透明又は不透明であることが好ましく、さらに好ましくは半透明である。
【0023】
積層シート(10)の一端部と、汚物収納袋(20)との固定は、汚物除去処理の作業中に、固定部分が外れなければ、固定手段に制限はなく、接着剤で接着してもよいし、熱融着してもよく、粘着テープで固定してもよい。これらのうち、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、熱融着により固定することが好ましい。
【0024】
汚物収納袋(20)の開口部が外側に折り返され、この折り目部と、積層シート(10)の一端部とが固定されていることが好ましい。開口部が外側に折り返されていると、本発明の汚物除去処理具を一体的に安全に焼却処分する場合、積層シート(10)、掃入誘導板(30)及び掃込部材(40)の全てを汚物収納袋(20)内に収納しやすくなる。
【0025】
折り返しの程度は、本発明の汚物除去処理具を一体的に安全に焼却処分する場合、積層シート(10)、掃入誘導板(30)及び掃込部材(40)の全てを汚物収納袋(20)内に収納しやすくできるように、適宜、決定できる。
【0026】
汚物収納袋(20)の開口部の識別性を向上させるために、開口部に着色することができる。また、本発明の汚物除去処理具を一体的に安全に焼却処分する場合、積層シート(10)、掃入誘導板(30)及び掃込部材(40)の全てを汚物収納袋(20)内に収納しやすくするために、指掛け孔を設けることができる。
【0027】
掃入誘導板(30)は、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導くために、汚物収納袋(20)の内部に固定されている。
掃入誘導板(30)は、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導く(所謂ちりとりの役目をする)ことができれば、材質、大きさ及び形状等に制限はない。
【0028】
掃入誘導板(30)の材質としては、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、樹脂が好ましく、さらに好ましくはアクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステル、特に好ましくはポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソフタレート共重合体、ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレート共重合体及びポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレート共重合体、最も好ましくはポリメチルメタクリレート、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートである。
【0029】
掃入誘導板(30)と、汚物収納袋(20)との固定は、汚物除去処理の作業中に、固定部分が外れなければ、固定手段に制限はなく、接着剤で接着してもよいし、熱融着してもよく、粘着テープで固定してもよい。これらのうち、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、熱融着により固定することが好ましい。
【0030】
掃入誘導板(30)は、汚物を受け入れやすい構造であることが好ましく、掃入誘導板(30)の厚みが薄い構造とするか、先端部分を鋭角にすることが好ましい。
【0031】
掃込部材(40)は、積層シート(10)の端部のうち汚物収納袋(20)から最も遠く離れた一端部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)内に移動させる(ほうきの役目をする)ことができれば、材質、大きさ及び形状等に制限はない。
汚物を汚物収納袋(20)内に収納するには、掃込部材(40)を移動させながら汚物を収納してもよいし、汚物収納袋(20)と共に、掃入誘導板(30)を移動させながら、汚物を収納し、最後に、掃込部材(40)で掃き入れることもできる。すなわち、汚物を汚物収納袋(20)内に収納するには、掃入部材(40)及び掃入誘導板(30)のいずれを移動させてもよいし、両方を移動させてもよく、これらを組み合わせてもよい。
【0032】
掃込部材(40)の材質としては、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、樹脂が好ましく、さらに好ましくはアクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステル、特に好ましくはポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン・ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレンイソフタレート共重合体、ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレート共重合体及びポリプロピレン・ポリエチレンテレフタレート共重合体、最も好ましくはポリメチルメタクリレート、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートである。
【0033】
掃込部材(40)と、積層シート(10)との固定は、汚物除去処理の作業中に、固定部分が外れなければ、固定手段に制限はなく、接着剤で接着してもよいし、熱融着してもよく、粘着テープで固定してもよい。これらのうち、汚物の除去処理の作業性(柔軟性)及び焼却性等の観点から、熱融着により固定することが好ましい。
【0034】
掃込部材(40)は、汚物のすべてを移動させやすい構造であることが好ましく、掃込部材(40)の先端部が凹凸に追従しやすい構造であることが好ましい。したがって、掃込部材(40)の先端部が、クッション(柔軟な部材;たとえば、ブラシ、スポンジ、不織布及びゴム等)で構成されていることが好ましい。すなわち、掃込部材(40)は、樹脂板及びクッションから構成され、クッションが樹脂板の端部に固定されていることが好ましい。
【0035】
掃込部材(40)を持つことができる防御グローブを掃込部材(40)に固定しておいてもよい。防御グローブが掃込部材(40)に固定されていると、手袋等の防御具がない場合でも、掃込部材(40)を安心して扱うことができる。
【0036】
本発明の汚物除去処理具は、使用前において、折りたたまれていることが保管及び運搬等の観点から好ましい。そして、折りたたまれている状態から、使用状態に素早く広げやすくするために、積層シート(10)の一端部に、解除ひもの片端部を固定しておいてもよい。
【発明の効果】
【0037】
本発明の汚物除去処理具は、汚物に病原微生物が含まれている場合であっても、安全に汚物除去処理することができる。
すなわち、汚物に積層シート(10)を覆い被せるため、汚物に病原微生物が含まれていたとしても、汚物を簡易隔離することができ、簡易隔離した状態で、水分を積層シート(10)の吸水シートで吸水させることにより汚物を固化させることができる。そして、簡易隔離した状態のまま、固化した汚物を掃込部材(40)で掃入誘導板(30)に移動させ、汚物収納袋(20)の内部へ収納することができる。
したがって、本発明の汚物除去処理具を用いると、汚物に病原微生物が含まれている場合であっても、積層シート(10)を汚物にかぶせたときから、汚物を汚物収納袋(20)内に収納するまで、安全に処理することができる。
【0038】
さらに、汚物に積層シート(10)を覆い被せるため、視覚的な不愉快感を著しく軽減できる。また、汚物に積層シート(10)を覆い被せるため、汚物の臭気も相当程度軽減することができ、積層シート(10)に脱臭剤を含ませておけば、さらに臭気を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の汚物除去処理具の一態様を図1に基づいて説明する。
積層シート(10)は、ペット用シートを用いている。ペット用シートは、多くのメーカーから販売されており、消臭剤及び抗菌剤等が含まれているものが多く、焼却処理できるように設計されているため、そのまま用いることができる。積層シート(10)としては、ペットシート以外の市場から入手できる積層シート等を用いてもよい。
【0040】
汚物収納袋(20)は、ポリエチレン製のゴミ袋を用いている。ゴミ袋は、多くのメーカーから販売されており、焼却処理できるように設計されているため、そのまま用いることができる。汚物収納袋(20)はゴミ袋以外の熱可塑性樹脂の袋等を用いてもよい。
【0041】
汚物収納袋(20)は、約半分に外側に折り返されており、折り目部分が積層シート(10)の一端部に固定されている。汚物収納袋(20)と積層シート(10)との固定は、両面テープを用いているが、熱圧着により固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
【0042】
汚物収納袋(20)の開口部付近には、指掛け孔(21)が開けられている。指掛け孔(21)は、汚物を汚物収納袋(20)に収納してから、積層シート(10)や掃込部材(40)等を汚物収納袋(20)内に収納する際、指を挿入して、作業を容易にするためのものである。指掛け孔(21)は、1個でもよく、開口部付近において、遠く離れた箇所に2個設けてもよいし、3個以上設けてもよい。
【0043】
汚物収納袋(20)の開口部付近には、開口部であることを認識しやすくするために、開口部に沿って帯状に着色が施されている。この着色があることにより、汚物を汚物収納袋(20)に収納してから、積層シート(10)や掃込部材(40)等を汚物収納袋(20)内に収納する際等に、開口部を直ちに特定することができる。
【0044】
掃入誘導板(30)は、ポリメチルメタクリレート製の板を用いて、汚物を誘導しやすように先端を鋭角に加工したものである。掃入誘導板(30)は、ポリメチルメタクリレート以外の樹脂板等を用いてもよい。
掃入誘導板(30)は、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導くちりとりの役目をするものである。
【0045】
掃入誘導板(30)は、汚物収納袋(20)の内部に固定され、汚物収納袋(20)の折り目部分が掃入誘導板(30)の先端と一致するように固定されている。掃入誘導板(30)と汚物収納袋(20)との固定は、両面テープを用いているが、熱圧着により固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
【0046】
掃込部材(40)は、掃入誘導板(30)と協働して、汚物収納袋(20)を覆い被せられ、水分を除去された汚物を汚物収納袋(20)内に移動させるためのものであり、ほうきの役目をする。
【0047】
掃込部材(40)は、樹脂板(41)及びクッション(42)から構成されている。樹脂板(41)には、ポリメチルメタクリレート製の板を用い、クッション(42)には不織布を用いている。樹脂板(41)は、ポリメタクリレート以外の樹脂板等を用いることができる。
【0048】
樹脂板(41)とクッション(42)との接着は、両面テープを用いているが、熱圧着により固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
【0049】
掃込部材(40)は、積層シート(10)の端部のうち、汚物収納袋(20)から最も遠く離れた一端部に固定されている。掃込部材(40)と積層シート(30)との固定は、両面テープを用いているが、熱圧着により固定してもよいし、接着剤を用いて固定してもよい。
【0050】
本発明の汚物除去処理具の使用方法を、図2に基づいて説明する。
嘔吐物等の汚物(70)に積層シート(10)を覆い被せた後、積層シート(10)の上から汚物を軽く押さえつけて、汚物(70)に含まれる水分を積層シート(10)に吸収させる。この際、積層シート(10)の周りの床面等に消毒液(殺菌剤)等をスプレーして殺菌処理してもよい。殺菌処理することにより、積層シート(10)の外側に飛散したかもしれない病原微生物を殺菌することができるため、さらに安全に作業することができる。
【0051】
掃入誘導板(30)及び掃込部材(40)を持ち、水分を吸収した後の汚物を汚物収納袋(20)の内部に集める。この際、本発明の汚物除去処理具に付属してもよい防御グローブを手に装着して作業してもよいし、この他に防御グローブを用意している場合、その防御グローブを用いてもよい。
【0052】
すべての汚物を汚物収納袋(20)の内部に収納した後、積層シート(10)及び掃込部材(40)等を汚物収納袋(20)の内部に収納する。この際、汚物収納袋(20)の開口部付近施されている帯状の着色を目印にして開口部を特定してもよい。そして、汚物収納袋(20)の折り返しをのばすようにして、汚物収納袋(20)の開口部を移動させて、積層シート(10)及び掃込部材(40)等を汚物収納袋(20)の内部に収納する。この際、汚物収納袋(20)の開口部付近に設けた指掛け孔(21)に指を挿入して、作業をすすめてもよい。
【0053】
すべての汚物、積層シート(10)及び掃込部材(40)等を汚物収納袋(20)の内部に収納した後、適当な大きさに丸めて、焼却処分に供することができる。この際、適当な大きさに丸めるのに、面ファスナーや両面テープ等を用いて固定してもよい。これらの面ファスナーや両面テープは、あらかじめ、汚物収納袋(20)の外側に設けておいてもよい。
【0054】
図3は、本発明の汚物除去処理具の別の一態様を示した図である。
図3の汚物除去処理具において、掃入誘導板(30)又は掃込部材(40)の先端部分を床(80)に接触させたとき、掃入誘導板(30)又は掃込部材(40)が曲面になるように、掃入誘導板(30)又は掃込部材(40)の先端部分を円弧状にしたものである。
【0055】
掃込部材(40)を曲面にすると、汚物(80)を移動させる際、汚物が移動線の中央に集まりやすくなる。また、掃入誘導板(30)を曲面にすると、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導く際、汚物収納袋(20)の中央に集まりやすくなる。
【0056】
他の構成は、図1と同様であり、また、図3の汚物除去処理具の使用方法は上記(図2)と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の汚物除去処理具の一態様を模式的に示した平面図である。
【図2】図1に示した切断線A−Bにおける断面において、汚物処理中の状態を模式的に示した断面図である。
【図3】本発明の汚物除去処理具の一態様を模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 積層シート
20 汚物収納袋
21 指掛け孔
22 汚物収納袋の開口部
30 掃入誘導板
40 掃込部材
41 樹脂板
42 クッション
50 防御グローブ
60 解除ひも
70 汚物
80 床


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水シート及び防水シートを備え、汚物に覆い被せるための積層シート(10)と、
積層シート(10)の一端部に固定され、汚物を収納するための汚物収納袋(20)と、
汚物収納袋(20)の内部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)の内部に導くための掃入誘導板(30)と、
積層シート(10)の端部のうち汚物収納袋(20)から最も遠く離れた一端部に固定され、汚物を汚物収納袋(20)内に移動させるための掃込部材(40)と
を有することを特徴とする汚物除去処理具。
【請求項2】
汚物収納袋(20)の開口部が外側に折り返され、この折り目部と、積層シート(10)の一端部とが固定されている請求項1に記載の汚物除去処理具。
【請求項3】
吸水シートに、高吸水性樹脂粒子が含まれている請求項1又は2に記載の汚物除去処理具。
【請求項4】
掃込部材(40)が、樹脂板及びクッションから構成され、クッションが樹脂板の端部に固定されている請求項1〜3のいずれかに記載の汚物除去処理具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−196798(P2009−196798A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42282(P2008−42282)
【出願日】平成20年2月23日(2008.2.23)
【出願人】(508058310)株式会社クリーンベル (1)
【Fターム(参考)】