説明

決済システムおよび携帯端末

【課題】周囲の状況に左右されず、決済可能な携帯電話機等の通信端末が通信不能な状況下であっても、素早く入金し、決済することができる決済システムおよび携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末は、仮入金残高情報DAT2および本入金残高情報DAT1を記憶するICチップメモリ181と、仮入金による仮残高額から所定金額を減算すると共に、所定金額をICチップメモリ181の本入金残高額に加算する加減算処理を行う加減算処理部1822と、決済額が決済時の本入金残高額を超えない範囲内で、決済処理が可能な決済処理部と、加減算処理後または決済処理後における仮入金残高情報DAT2および本入金残高情報DAT1をホスト装置に通知する端末側通信部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電子マネー機能が搭載され決済処理が可能な携帯電話機等の携帯端末、チャージサーバ等のホスト装置、およびリーダ/ライタ等の決済側端末間の通信によって決済処理を行う決済システムおよび携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機等には、RFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれる技術により決済可能な電子マネー(electronic money)機能が搭載されたものがある。このRFIDは、携帯電話機等に埋め込まれたICチップと外部機器としてのリーダ/ライタ装置との間での電磁結合により非接触型の通信を行う技術である。
【0003】
電子マネー機能は、ユーザが小売店等で代金の支払い時に携帯電話機等をリーダ/ライタ装置にかざすことにより、携帯電話機等に記録されている金額に関する電子マネー情報がネットワークを介して小売店に送信され決済が行われるものである。このような電子マネー機能は、小売店等の他に、たとえば駅の改札において切符の代わりに使用されることも多い。
【0004】
電子マネー機能を利用するためには、携帯電話機等のICチップにチャージ(入金)残高額が記憶されていることが前提である。したがって、入金残高額が決済額を下回った場合には、決済することができない。
【0005】
この場合には、携帯電話機等に追加で入金する必要がある。入金作業には、次の2つの方法がある。第1の方法は、入金用機器(チャージャという)に現金で入金し、この入金時の情報や入金額をチャージャから携帯電話機等に取り込む方法である。
【0006】
第2の方法は、携帯電話機等のネットワークを通じてインターネットバンクサービス経由で銀行口座に貯蓄された金銭を入金する方法である。
【特許文献1】特開2005−322801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、第1の方法では、チャージャの設置場所以外で入金することができないという不都合がある。第2の方法では、携帯電話機等がネットワークに接続された通信可能な環境下以外で入金することができないという不都合がある。特に、第2の方法では、サーバ接続やユーザ認証等を行わねばならず、すぐに入金が必要な状況では使い勝手が悪いという不利益がある。
【0008】
本発明は、周囲の状況に左右されず、決済可能な携帯電話機等の通信端末が通信不能な状況下であっても、決済することができる決済システムおよび携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点の決済システムは、携帯端末、ホスト装置および決済側端末を有し、前記携帯端末は、仮入金による仮入金残高額に関する仮入金残高情報および本入金による本入金残高額に関する本入金残高情報を記憶する端末側記憶部と、前記端末側記憶部の前記仮入金残高額から所定金額を減算すると共に、所定金額を前記端末側記憶部の前記本入金残高額に加算する加減算処理を行う加減算処理部と、決済額が決済時の前記本入金残高額を超えない範囲内で、前記決済処理が可能な端末側決済処理部と、前記加減算処理後または前記決済処理後における前記仮入金残高情報および前記本入金残高情報を前記ホスト装置に通知する端末側通信部とを有し、前記ホスト装置は、前記携帯端末からの前記通知を受信するホスト側通信部と、前記通知に基づき、前記加減算処理後または前記決済処理後における前記仮入金残高情報および前記本入金残高情報を記憶するホスト側記憶部とを有し、前記決済側端末は、前記端末側決済処理部に決済額を通知すると共に、前記端末側決済処理部からの前記決済処理を受け付ける。
【0010】
好適には、前記携帯端末は、前記本入金残高額が前記決済額を下回るか否か、および前記本入金残高額に前記仮入金残高額を加えた総残高額が前記決済額を下回らないか否かを判別する判別処理部を有し、前記加減算処理部は、前記判別処理部が前記本入金残高額が前記決済額を下回り、かつ前記総残高額が前記決済額を下回らないものと判別した場合に、前記決済額から前記本入金残高額を減算して得られた金額以上であり、かつ前記仮入金残高額を超えない金額を前記所定金額として、当該所定金額に対して前記加減算処理を実行し、前記端末側決済処理部は、前記所定金額の加減算処理後に前記決済処理を実行する。
【0011】
好適には、前記携帯端末は、前記本入金残高額が前記決済額を下回った場合に、前記所定金額の加減算処理を行うか否かという選択肢を提示する提示部を有する。
【0012】
好適には、前記加減算処理部は、前記仮入金残高額の範囲内で、所望する前記所定金額をユーザに設定させる。
【0013】
好適には、前記加減算処理部は、前記端末側通信部と前記ホスト側通信部との通信が不能であっても、前記加減算処理を行う。
【0014】
本発明の第2の観点の携帯端末は、決済処理が可能な携帯端末であって、仮入金による仮入金残高額に関する仮入金残高情報および本入金による本入金残高額に関する本入金残高情報を記憶する端末側記憶部と、前記端末側記憶部の前記仮入金残高額から所定金額を減算すると共に、所定金額を前記端末側記憶部の前記本入金残高額に加算する加減算処理を行う加減算処理部と、決済額が決済時の前記本入金残高額を超えない範囲内で、前記決済処理が可能な端末側決済処理部と、前記加減算処理後または前記決済処理後における前記仮入金残高情報および前記本入金残高情報をホスト装置に通知する端末側通信部とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、周囲の状況に左右されず、決済可能な携帯電話機等の通信端末が通信不能な状況下であっても、決済することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る決済システムの実施例を示すシステム図である。
【0018】
図1に図示する決済システム1は、携帯端末10、基地局20、ホスト装置30,決済側端末としてのリーダ/ライタ40、およびネットワーク50によって構成されている。
【0019】
携帯端末10は、本実施形態においては、携帯電話機である。携帯端末10は、音声通信、電子メールの作成とその送受信、WEBサイト、種々のコンテンツデータの閲覧等を行う機能を有する。携帯端末10は、たとえばPHS(Personal Handy phone System)であってもよい。
【0020】
携帯端末10は、自端末が圏内に位置している場合には、基地局20を介してネットワーク50に接続可能である。この場合、携帯端末10は、上述した音声通話や、ホスト装置30との通信を確立することができる。
【0021】
圏内とは、携帯端末10が基地局20と通信可能なエリアを指す。たとえば、図1に図示するA地点、D地点は、携帯端末10がネットワーク50に接続できる圏内にある。
【0022】
一方、携帯端末10は、自端末が圏外に位置している場合には、ネットワーク50に接続することができない。この場合、携帯端末10は、上述した音声通話や、ホスト装置30との通信を確立することができない。
【0023】
圏外とは、携帯端末10が基地局20と通信できないエリアを指す。たとえば、図1に図示するB地点、C地点は、携帯端末10がネットワーク50に接続できない圏外にある。なお、携帯端末10が基地局20のセル内あるいはサービスエリア内であっても、自端末が地下鉄構内などに位置する場合には、ネットワーク50に接続できない場合がある。
【0024】
携帯端末10は、後述する非接触型のICチップ18(図4参照)が搭載され、各種使用料金の支払いをリーダ/ライタ40を用いて決済できる電子マネー機能を有する。
【0025】
この電子マネー機能の利用により、各種交通機関の乗車券、定期券、小売店等での支払い、各種チケットを購入することができる。ICチップ18には、電子マネー情報が記録されている。電子マネー機能の利用に当たっては、予めICチップ18に残高が記録されていることが前提である。
【0026】
詳細については後述するが、電子マネー情報は、入金額や残高額などの金銭等に関する電子的な情報である。このような金銭は電子マネーとも呼ばれる。
【0027】
電子マネーを得るには、ユーザは、下記に述べる2つの入金方法のうちいずれかを選択して、ICチップ18に入金する必要がある。適宜、ICチップ18に入金することを「携帯端末10に入金する」のようにも表現する。
【0028】
第1の入金方法は、不図示の入金チャージャに現金で入金し、この入金時の情報や入金額をチャージャから携帯端末10に取り込む方法である。
【0029】
第2の入金方法は、ネットワーク経由による方法である。第2の入金方法は、携帯端末10をネットワーク50に接続させ、不図示のインターネット網を介したインターネットバンクサービス経由で銀行口座に貯蓄された金銭を携帯端末10に入金する方法である。
【0030】
本実施形態においては、第2の入金方法が選択された場合の決済システム1を中心に説明する。
【0031】
ユーザが第2の入金方法を選択した場合、携帯端末10は、ネットワーク50に接続されたホスト装置30と通信することによって、入金する。
【0032】
本実施形態の特徴として、携帯端末10は、自端末が圏外に位置している場合であっても、ネットワーク50に接続することなく、第2の入金方法によって入金することができる機能を有する。
【0033】
携帯端末10は、セキュリティ向上のため、ICチップ18をはじめとする携帯端末10の各種機能(アドレス帳等)にロックを掛けるロック機能を有する。このロック機能は、たとえばパスワード認証によって解除することができる。
【0034】
基地局20は、図1中の実線で示すように、ネットワーク50に接続されている。基地局20は、セル内の携帯端末10と通信し、ホスト装置30とのデータの中継を行う。
【0035】
ホスト装置30は、入金サーバとも呼ばれ、ネットワーク50に接続されている。ホスト装置30は、ネットワーク50を介して携帯端末10やリーダ/ライタ40と電子マネー情報の送受信を行い、電子マネー情報に関する処理を行う。このようなホスト装置30は、図2に図示する構成をとっている。
【0036】
図2は、本実施形態に係るホスト装置の構成例を示すブロック図である。
【0037】
図2に図示するように、ホスト装置30は、ホスト通信部31、ホスト処理部32およびホストメモリ33を有する。
【0038】
なお、本発明のホスト側通信部はホスト通信部31に対応し、本発明のホスト側記憶部はホストメモリ33に対応する。
【0039】
ホスト通信部31は、ネットワーク50に接続されており、携帯端末10やリーダ/ライタ40からの電子マネー情報を受信し、ホスト処理部32が処理した電子マネー情報を携帯端末10やリーダ/ライタ40に送信する。
【0040】
ホスト処理部32は、ホストメモリ33にアクセスし、ホスト通信部31から入力された電子マネー情報を基に決済に関する処理を行う。ホスト処理部32は、通信先との接続を認可するか否かというサーバ認証を行う。サーバ認証が成功した場合のみ、通信先とホスト装置30との通信が確立される。
【0041】
ホストメモリ33は、ホスト処理部32が処理した電子マネー情報を記憶する。
【0042】
リーダ/ライタ40は、たとえば商店や駅の改札機に配置され、不図示のデータ処理端末等を介してネットワーク50に接続されている。図1には、リーダ/ライタ40が基地局20の圏外に配置されている場合が例示されている。
【0043】
図3は、本実施形態に係るリーダ/ライタの一例を示す外観図である。図3には、リーダ/ライタ40が駅の改札機に備え付けられた場合が例示されている。
【0044】
リーダ/ライタ40は、通信開始の合図や電子マネー情報を含む信号を電磁波(たとえばAM変調信号)として発している。リーダ/ライタ40は、図3に図示するように、ユーザが携帯端末10をリーダ/ライタ40にかざすと、ICチップ18(図3には不図示)と電磁結合による非接触通信を行う。なお、両者が接触していても通信可能である。リーダ/ライタ40は、ICチップ18から読み取った電子マネー情報(購入代金等)をネットワーク50を介してホスト装置30に送信する。
【0045】
ネットワーク50は、音声データおよびパケットデータが扱えるものである。
【0046】
次に、携帯端末10の構成例について図4、図5を参照しながら説明する。
【0047】
図4は、本実施形態に係る携帯端末の構成例を示すブロック図である。
【0048】
図4に図示するように、携帯端末10は、アンテナ11、無線部12、CPU13、メモリ14、表示部15、操作部16、音声処理部17、スピーカ17a、マイクロフォン17b、ICチップ18、およびICチップ用アンテナ19を有する。
【0049】
アンテナ11は、本実施形態においてはロッドアンテナであって、所定の周波数帯域における電磁波を基地局20に向けて送信、あるいは基地局20から受信する。アンテナ11は、内蔵型アンテナであってもよい。
【0050】
無線部12は、無線通信を接続されている基地局20と行い、基地局20との通信を確立することができるか否かを把握する。
【0051】
無線部12は、CPU13が出力した送信信号を所定の変調方式に変調し、変調した送信信号を電波信号としてアンテナ11を介して送信する。無線部12は、アンテナ11を介して受信した電波信号を変調方式に対応した復調を行い、復調した信号を受信信号としてCPU13に出力する。
【0052】
CPU13は、後述する判別処理部131を有する。CPU13は、ユーザによる操作部16の操作に応じて、各種処理が適切な手順で実行されるように、携帯端末10の全般の動作を制御する。
【0053】
CPU13が行う処理は、たとえば、ネットワーク50を介して行われる音声通話、電子マネー機能に関する処理、電子メールやWEB閲覧をするためのアプリケーションの処理である。CPU13が行う制御は、たとえば、無線部12、メモリ14とのアクセス、表示部15における画像の表示、音声処理部17における音声処理、ICチップ18の制御である。
【0054】
CPU13は、メモリ14に格納されたプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。CPU13は、プログラムにおいて指示された手順に従って上述した各種処理や制御を実行する。
【0055】
メモリ14は、たとえば不揮発性の記憶デバイス(フラッシュメモリ)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(SRAM、DRAM)等で構成されている。
【0056】
メモリ14は、CPU13によってアクセスされ、後述する未決済フラグFLGが適宜立てられる。メモリ14は、CPU13の出力結果、アプリケーションプログラム、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータ、通話相手の名前や電話番号等の種々のデータを格納する。
【0057】
表示部15は、たとえば液晶表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネル等の表示デバイスで構成されている。表示部15は、CPU13から供給された映像信号に応じた種々の情報を表示する。
【0058】
表示部15が表示する情報には、残高額等の電子マネー情報、パスワード入力画面、現在のロック機能の状態、通話先の電話番号、待ち受け画面等が含まれる。
【0059】
操作部16は、たとえば電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど各種機能が割り当てられた複数のキーを有する。操作部16は、これらのキーがユーザによって操作された場合、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示としてCPU13に出力する。
【0060】
音声処理部17は、マイクロフォン17bから入力されたアナログの音声信号をデジタルの音声データに変換してCPU13に出力するため、アナログの音声信号に対して、増幅、アナログ・デジタル(A/D)変換、符号化等の処理を施す。
【0061】
音声処理部17は、CPU13から供給されたデジタルの音声データをスピーカ17aを介して出力するため、デジタルの音声データに対して、デジタル・アナログ(D/A)変換、増幅等の信号処理を施す。
【0062】
ICチップ18は、本実施形態においては非接触型のICチップである。ICチップ18は、入金等の電子マネー機能の実行に必要な種々の処理を行う。ICチップ18は、携帯端末10が圏外に位置している場合であっても、ネットワーク50に接続することなく、第2の入金方法によって入金することができる。ICチップ18の詳細については、後述する。
【0063】
ICチップ用アンテナ19は、リーダ/ライタ40と電磁結合による非接触通信を行う。ICチップ用アンテナ19は、コイルとして機能し、リーダ/ライタ40からの電磁波を受けると励磁されて電磁結合し、リーダ/ライタ40との通信が可能となる。
【0064】
図5を参照しながら、ICチップ18について詳細に説明する。
【0065】
図5は、本実施形態に係るICチップの詳細な構成例を示すブロック図である。
【0066】
図5に図示するように、ICチップ18は、ICチップメモリ181およびICチップ制御部182を有する。ICチップ制御部182は、主制御部1821、および加減算処理部1822を有する。
【0067】
アンテナ11およびICチップ用アンテナ19によって、本発明の端末側通信部が構成されている。ICチップ18は、本発明の端末側決済処理部に対応している。ICチップメモリ181は、本発明の端末側記憶部に対応している。表示部15は、本発明の提示部に対応している。
【0068】
ICチップメモリ181は、電子マネー情報を格納する。この電子マネー情報は、図5に図示するように、本入金残高情報DAT1、仮入金残高情報DAT2、および未処理金情報DAT3で構成されている。
【0069】
本入金残高情報DAT1は、実際に決済される電子マネーの残高額に関する情報である。ユーザが入金した入金代金(本入金額という)は、本入金残高情報DAT1の残高額(本入金残高額という)に加算され、決済時には、本入金残高情報DAT1の本入金残高額から決済額が減算される(決済処理という)。
【0070】
仮入金残高情報DAT2は、例えば、不足額が生じた場合等に使用される仮電子マネーの残高額に関する情報である。仮電子マネーとは、本入金残高情報DAT1の本入金残高額が決済額を下回った場合等に、使用可能な電子マネーである。
【0071】
たとえば、ユーザが電子マネー機能を利用して決済するものとする。このとき、本入金残高の金額(本入金残高額)が決済額を下回っている場合、新たに入金しない限り決済することができない。したがって、決済前に入金する必要があるが、入金すべき場合であってもすぐに入金できない場合がある。
【0072】
このような状況下であっても、携帯端末10の本入金残高に直ちに入金できるように、ユーザは、事前に預かり金を仮に入金する(仮入金という)。ユーザが仮入金した預かり金額(仮入金額という)は、仮入金残高情報DAT2の残高額(仮入金残高額という)に加算される。
【0073】
これにより、決済時に、本入金残高情報DAT1の本入金残高額が決済額を下回ったとしても、仮入金残高情報DAT2の仮入金残高額から決済が可能になる額、例えば不足額分が減算される(本入金処理という)ことにより決済が可能となる。
【0074】
このように、仮入金によって、直ちに決済することができる。ただし、このとき決済された不足額は、携帯端末10がホスト装置30と通信可能になったときに課金される(未決済処理という)。
すなわち、携帯端末10からネットワーク50を介してホスト端末30に、前述の不足額が仮入金残高額から減算された後、本入金残高額に加算され、さらにその後、前記不足額が決済に用いられたこと等の情報(未処理金情報DAT3)、及び決済後の本入金残高情報DAT1、決済後の仮入金残高情報DAT2に関する情報が通知される。これにより携帯端末10が有する各情報と、ホスト装置が30が有する各情報とが一致することとなる。
【0075】
携帯端末10の主制御部1821は、BUS(バス)を介して、加減算処理部1822に接続されている。主制御部1821は、ICチップメモリ181、ICチップ用アンテナ19(図4参照)、およびCPU13の判別処理部131(図4参照)にも接続されている。
【0076】
主制御部1821は、主制御部1821内の各構成要素の動作を統括する。主制御部1821に接続された各構成要素間のデータの享受は、主制御部1821を介して行われる。
【0077】
加減算処理部1822は、ICチップメモリ181にアクセスし、本入金、仮入金、および未決済金間の加減算を行う(加減算処理という)。具体例を挙げると、加減算処理部1822は、預かり金としての仮入金を仮入金残高情報DAT2の仮残高額に加算する。
【0078】
CPU13の判別処理部131は、ICチップメモリ181にアクセスし、次のような処理を行う。判別処理部131は、仮入金残高情報DAT2を参照し、仮残高があるか否かを判断する。判別処理部131は、携帯端末10に入金しようとする本入金額が仮入金残高額を下回っているか否かを判別する。判別処理部131は、本入金残高情報DAT1を参照し、決済額が本入金額を下回っているか否かを判別する。
【0079】
表示部15は、各入金残高額や決済額等を表示する。すなわち、現在の本入金残高額が、商品等の購入時の決済額を下回った場合にその旨や、その不足額分あるいはユーザが指示する所定金額を仮入金残高額から本入金するか否かという選択肢をユーザに対して表示する。
【0080】
上述した携帯端末10の各構成要素は、図6に図示する上下筐体の所定の場所に格納されている。
【0081】
図6は、本実施形態に係る携帯端末の外観例を示す図である。なお、図6(A)は正面方向からの斜視図、図6(B)は背面方向からの斜視図である。
【0082】
図6に図示するように、携帯端末10は、上筐体100および下筐体101がヒンジ部102によって連結され、上下筐体を開閉することができる折りたたみ型(フォルダ型ともいう)の携帯端末である。図6には、上下筐体が開いた開状態の様子が図示されている。
【0083】
図6(A)に図示するように、上下筐体が折りたたまれた閉状態において、下筐体101と対向する上筐体100の面100Aには、表示部15およびスピーカ17aが配置されている。閉状態において上筐体100と対向する下筐体101の面101Aには、操作部16の各種キーおよびマイクロフォン17bが配置されている。下筐体101側部のヒンジ部102近傍には、伸縮自在のアンテナ11が配置されている。
【0084】
図6(B)に図示するように、下筐体101の内部には、ICチップ18およびICチップ用アンテナ19が内蔵されている。ICチップ18には、回路基板の配線により形成されたICチップ用アンテナ19が接続されている。
【0085】
以下、決済システム1の動作について説明する。ただし、以下の説明においては、ネットワーク50経由で入金を行う第2の入金方法が選択された場合について説明する。
【0086】
図7は、本実施形態に係る電子マネーのフローを示す一例の図である。
【0087】
はじめ、携帯端末10は、図1に図示するA地点に位置しているものとする。このとき、携帯端末10の無線部12は、基地局20との通信が確立できることを把握する。
【0088】
初期状態として、図7(A1)、(A2)に図示するように、携帯端末10およびホスト装置30共に、¥1,000の本入金残高額があるものとする。このときの仮入金残高額、未決済金額、および課金額は、いずれも¥0である。
【0089】
A地点において、ユーザは、予め携帯端末10に仮入金をしておく。この仮入金の処理は、図8に示すST11〜ST16の処理によって実行される。
【0090】
図8は、本実施形態に係る携帯端末が仮入金する場合の動作を示すフローチャートである。
【0091】
ユーザは、操作部16を操作して、携帯端末10に仮入金額¥5,000を仮入金するものとする(ステップST11)。
【0092】
なお、ステップST11において、セキュリティを向上させるため、予め携帯端末10にパスワード等によるロックを掛けておき、ロックを解除してから入金作業を行うようにすることができる。
【0093】
仮入金処理を実行するため、無線部12は、基地局20を介し、ネットワーク50経由でホスト装置30との通信を確立する(ステップST12)。尚、チャージャでの操作を除き、ホスト装置30との通信が確立できていないときには、携帯端末10からの操作による仮入金処理はできない。
【0094】
このとき、ホスト装置30は、ホスト処理部32にてサーバ認証を行う(ステップST13)。
【0095】
ステップST13において、サーバ認証が成功した場合には(YES)、仮入金処理が実行される(ステップST14)。
【0096】
具体的には、CPU13は、ICチップ18内部の加減算処理部1822が、預かり金としての仮入金額¥5,000を仮入金残高情報DAT2の仮入金残高額に加算するように制御する。図7(B1)に図示するように、携帯端末10の仮入金残高額は¥5,000となる。
【0097】
このとき、図7(B2)に図示するように、ホスト装置30において、ホストメモリ33の仮入金残高額に仮入金額¥5,000分が加算される。
【0098】
ICチップ18の主制御部1821は、ホスト装置30から受け取った仮入金完了の合図を受け取ると、仮入金完了の旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST15)。
【0099】
一方、ステップST13において、サーバ認証が失敗した場合には(NO)、主制御部1821は、ホスト装置30から認証失敗の旨を受け取り、認証失敗の旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST16)。
【0100】
ユーザが上述した仮入金を予め圏内で行うことによって、ユーザは後に圏外に移動したとしても、携帯端末10に入金することができる。
【0101】
次に、携帯端末10に入金する場合について説明する。入金処理は、図9に示すST21〜ST212の処理によって実行される。
【0102】
図9は、本実施形態に係る携帯端末10が入金する場合の動作を示すフローチャートである。
【0103】
ユーザは、操作部16を操作して、携帯端末10に入金額¥5,000を入金するものとする(ステップST21)。
【0104】
なお、ステップST21において、セキュリティを向上させるため、予め携帯端末10にパスワード等によるロックを掛けておき、ロックを解除してから入金作業を行うようにすることができる。
【0105】
携帯端末10の無線部12は、現地点で基地局20との通信を確立することができるか否かを把握する(ステップST22)。
【0106】
ステップST22において、無線部12が基地局20との通信を確立することができないものと把握した場合には(YES)、ICチップ18は、現地点が圏外であるものとして、ステップST23〜ST28の処理を実行する。
【0107】
ステップST23〜ST28の処理は、ユーザがA地点から圏外のB地点(C地点でもよい)に移動し(図1参照)、B地点にて携帯端末10に入金する場合の処理である。
【0108】
始めに、ステップST23〜ST28の処理について説明する。
【0109】
ステップST23において、CPU13の判別処理部131は、ICチップメモリ181の仮入金残高情報DAT2を参照し、仮入金残高があるか否かを判断する(ステップST23)。
【0110】
ステップST24において、仮入金残高がある場合(YES)には、CPU13の判別処理部131は、仮入金残高情報DAT2を参照し、携帯端末10に入金しようとする金額(本入金額)(ステップST21参照)が仮入金残高額を下回っているか否かを判別する(ステップST24)。
【0111】
ステップST25において、本入金額が仮入金残高額を下回っている場合には(YES)、加減算処理が実行される(ステップST25)。
【0112】
具体的には、加減算処理部1822は、仮入金残高情報DAT2の仮入金残高額から本入金額¥5,000を減算する。加減算処理部1822は、この本入金額¥5,000を本入金残高情報DAT1の本入金残高額に加算する。
【0113】
その結果、図7(C1)に図示するように、携帯端末10の仮入金残高額は¥0となり、本入金残高額は¥6,000となる。
【0114】
ステップST25において、表示部15は、例えば決済時の不足額分あるいはユーザが指定する所定金額を本入金するか否かという選択肢を表示してもよい。ユーザが本入金処理の実行を決定した場合に、加減算処理部1822は、上述した加減算処理を実行する。
【0115】
携帯端末10は、圏外にあっては、ホスト装置30と通信を確立することができないため、図7(C2)に図示するように、ホスト装置30の本入金残高額および仮入金残高額は、仮入金処理(図7(B2)参照)における額から変化しない。
【0116】
その後、CPU13は、ICチップ18の主制御部1821から入金処理が完了した旨を受け、メモリ14に未決済フラグFLGを立てる(ステップST26)。
【0117】
主制御部1821は、入金処理が完了した旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST27)。
【0118】
一方、ステップST23において、仮入金残高がない場合(NO)には、主制御部1821は仮入金残高がない旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST28)。
【0119】
ステップST24において、本入金額が仮入金残高額を上回っている場合にも(NO)、ステップST28の処理を行う。
【0120】
ところで、ステップST21において、無線部12が基地局20との通信を確立することができるものと把握した場合には(NO)、ICチップ18は、現地点が圏内であるものとして、ステップST29〜ST212の処理を実行する。
【0121】
ステップST29〜ST212の処理は、ユーザが、図1に図示するA地点(D地点でもよい)にて携帯端末10に入金する場合の処理である。
【0122】
以下に、ステップST29〜ST212の処理について説明する。
【0123】
無線部12がネットワーク50経由でホスト装置30と通信することによって、通常入金処理が実行される(ステップST29)。
【0124】
このとき、加減算処理部1822は、通常入金額¥5,000を本入金残高情報DAT1の本入金残高額に加算する。
【0125】
その結果、図7(D1)に図示するものと同様に、携帯端末10の本入金残高額が¥6,000となる。
【0126】
ホスト装置30において、ホストメモリ33の本入金残高額に通常入金額¥5,000が加算され、本入金残高額は¥6,000となる。
【0127】
ICチップ18の主制御部1821は、ホスト装置30から入金処理が成功または失敗の通知を受け取る(ステップST210)。
【0128】
ステップST210において、通常入金処理が成功した場合には(YES)、主制御部1821は、入金処理成功の旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST211)。
【0129】
一方、ステップST210において、通常入金処理が失敗の場合には(NO)、主制御部1821は、入金処理失敗の旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST212)
【0130】
ところで、ホスト装置30は、携帯端末10が圏外で本入金した本入金額を実際に課金できるのは、ホスト装置30が携帯端末10と通信可能となった後である。すなわち携帯端末10が圏外で本入金処理を行った場合、ホスト装置30側では、携帯端末10が圏外に位置するまでは、本入金額は課金されず(図7(C2)参照)、携帯端末10側では、本入金額が未決済のままである。
【0131】
以下、未決済処理について図10を参照しながら説明する。
【0132】
図10は、本実施形態に係る携帯端末が未決済処理をする場合の動作を示すフローチャートである。
【0133】
ICチップ18の主制御部1821は、メモリ14の未決済フラグFLGの有無を参照する(ステップST31)。
【0134】
携帯端末10が圏内に位置しているか否かを把握するため、図9に図示するステップST22と同様の処理が実行される(ステップST32)。
【0135】
ステップST32において、ユーザの移動によって、携帯端末10がD地点に位置する場合には(YES)、無線部12がネットワーク50経由でホスト装置30と通信することによって、未決済処理が実行される(ステップST33)。
【0136】
ホスト装置30において、図7(D2)に図示するように、ホストメモリ33の課金額に仮入金額¥5,000が加算され、課金額は¥5,000となる(ステップST34)。
【0137】
ステップST34において、ホスト装置30側での課金が成功した場合、すなわち未決済処理が成功した場合には(YES)、加減算処理部1822は、未処理金情報DAT3の未決済金額から仮入金額としての未決済金額¥5,000を減算する(ステップST35)。
【0138】
その結果、図7(D1)に図示するように、携帯端末10の未決済金額は¥0となる。
【0139】
その後、CPU13は、ICチップ18の主制御部1821からの未決済処理完了の旨を受け、メモリ14の未決済フラグFLGを取り下げる(ステップST36)。
【0140】
上述のステップST32〜ST36の処理は、未決済フラグFLGが立っている間、実行(ループ)される(ステップST37)。
【0141】
一方、ステップST32において、携帯端末10が圏外のB地点(D地点でもよい)に位置する場合には(NO)、ステップST32の処理が再開される。
【0142】
ユーザが圏外のC地点にて電子マネー機能を使用して商品購入等の決済をするものとする。このときの決済処理について図11を参照しながら説明する。
【0143】
図11は、本実施形態に係る携帯端末が決済処理をする場合の動作を示すフローチャートである。
【0144】
ユーザが携帯端末10をリーダ/ライタ40にかざすことによって、ICチップ用アンテナ19は、リーダ/ライタ40との通信を開始する(ステップST41)。
【0145】
CPU13の判別処理部131は、ICチップメモリ181の本入金残高情報DAT1を参照し、決済額が本入金残高額を下回っているか否かを判別する(ステップST42)。
【0146】
ステップST42において、決済額が本入金残高額を下回っている(決済額と本入金残高額とが同額である場合も含む)場合には(YES)、加減算処理部1822は、本入金残高情報DAT1の本入金残高額から決済額を減算する(ステップST43)。
【0147】
リーダ/ライタ40は、ICチップ用アンテナ19から受信した決済額をホスト装置30に送信する。ホスト装置30は、リーダ/ライタ40から決済額を受信すると、この決済額を徴収金として課金する。
【0148】
主制御部1821は、ホスト装置30から決済完了の合図をリーダ/ライタ40を介して受け取ると、決済完了の旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST44)。
【0149】
一方、ステップST42において、決済額が本入金残高額を上回っている場合には(NO)、主制御部1821は、決済失敗の旨をCPU13に出力し、CPU13はその旨を表示部15に表示させる(ステップST45)。
【0150】
上述したように、仮入金処理(ステップST11〜ST16)を事前に行っておくことによって、携帯端末10が圏外に位置していたとしても、ネットワークに接続することなく自端末に入金(ステップST21〜ST212)することができる。
【0151】
未決済処理(ステップST31〜ST37)は、携帯端末10が圏外に位置しているときに、バックグラウンドで実行される。さらに、携帯端末10がホスト装置30と接続する際に行われる認証処理は、携帯端末10が圏外に位置しているときに実行される。したがって、入金処理を高速に実行できるという利点がある。
【0152】
次に、図12を参照して本発明の他の実施形態に係る決済システム1の動作について説明する。
【0153】
図12は、他の実施形態に係る決済システムの動作例を示すフローチャートである。
【0154】
初めに、携帯端末10と決済側端末としてのリーダ/ライタ40との通信が開始される(ステップST51)。
【0155】
次に、CPU13の判別処理部131は、決済額が本入金による残高額(本入金残高額)を上回っていないかどうか判別する(ステップST52)。
【0156】
ステップST52において、決済額が本入金残高額を上回っていない場合(YES)、決済が可能なので決済処理が行われる(ステップST53)。
【0157】
次に、決済後の本入金残高額情報DAT1および仮入金残高額の仮入金残高情報DAT2の通知、および、決済が完了した旨の通知がユーザおよびホスト装置30に対して行われる(ステップST54)。その後、一連の処理が終了する。
【0158】
なお、携帯端末10とホスト装置30との通信が不可能な場合には、携帯端末10が圏内に入ってから上述の通知を行う場合と、リーダ/ライタ40からホスト端末装置30に通知を行う場合とがあるが、どちらも採用可能である。
【0159】
一方、ステップST52において、決済額が、本入金残高額を上回っている場合には(NO)、CPU13の判別処理部131は、仮入金残高額と本入金残高額とを合計した総残高額を、決済額が上回っていないかどうかを判別する(ステップST55)。
【0160】
ステップST55において、総残高額を決済額が上回っている場合には(NO)、決済失敗の旨がユーザに通知され(ステップST56)、一連の処理が終了する。
【0161】
一方、ステップST55において、総残高額を決済額が上回っていない場合には(YES)、加減算処理部1822は、所定金額を仮入金残高額から減算し、所定金額を本入金残高額に加算する(ステップST57)。
【0162】
なお、所定金額は、決済金額から本入金残高額を減じた額、すなわち不足額としてもよいし、この不足額以上、仮入金残高額以下の範囲内でユーザが指定する額であってもよい。
【0163】
その後、加算処理後の本入金残高額から決済額を決済する決済処理が行われる(ステップST58)。
【0164】
次に、決済後の本入金残高額および仮入金残高額の残高情報と、決済が完了した旨の通知がユーザおよびホスト装置30に対して行われ(ステップST54)、一連の処理が終了する。
【0165】
なお、携帯端末10とホスト装置30との通信が不可能な場合には、携帯端末10が圏内に入ってから上述の通知を行う場合と、リーダ/ライタ40からホスト端末30に通知を行う場合とがあるが、どちらも採用可能である。
【0166】
ところで、上述の実施形態では、決済処理の動作に関して加減算処理を行う場合について示したが、決済処理とは関係なく、携帯端末10内において単独で仮入金残高額から所定金額を減算し、本入金残高額に所定金額を加算する加減算処理を行うこともできる。これにより、随意に本入金残高額を増加させることもできる。
【0167】
この場合、加減算処理後の本入金残高額および仮入金残高額および加減算処理を実行した旨が、携帯端末10からホスト装置30に通知される。この場合の所定金額は、決済時と異なり、仮入金残高額を超えない額であればいくらでもよい。
【0168】
預かり金としての仮入金は、決済されるまで使用されないため、ユーザにとって使い勝手がよいという利点がある。
【0169】
本実施形態においては、携帯端末10が圏外に位置していても入金ができるように、予め仮入金処理が行われるが、仮入金処理後の入金処理は、圏内圏外に拘わらず選択的に実行することができる。たとえば、決済時に不足額が生じると思われる場合に仮入金処理を決済前に実行すれば、本実施形態をクレジットカードのように利用することもできる。
【0170】
本実施形態に係る携帯端末において、ICチップ18の構成要素が有する機能は、すべてをソフトウェアによって実現しても、あるいはその一部をハードウェアで実現してもよい。たとえば、ICチップ18におけるデータ処理は、1または複数のプログラムにより、コンピュータ上で実現してもよいし、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0171】
本実施形態では、携帯端末として携帯電話機を例示したが、本実施形態と同様の構成を有するPDA(Personal Digital Assistant)やゲーム機などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本実施形態に係る決済システムの実施例を示すシステム図である。
【図2】本実施形態に係るホスト装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係るリーダ/ライタの一例を示す外観図である。
【図4】本実施形態に係る携帯端末の構成例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係るICチップの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る携帯端末の外観例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る電子マネーのフローを示す一例の図である。
【図8】本実施形態に係る携帯端末が仮入金する場合の動作を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る携帯端末が入金する場合の動作を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る携帯端末が決済処理をする場合の動作を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る携帯端末が決済処理をする場合の動作を示すフローチャートである。
【図12】他の実施形態に係る決済システムの動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0173】
1…決済システム、10…携帯端末、11…アンテナ、12…無線部、13…CPU、14…メモリ、15…表示部、16…操作部、17…音声処理部、17a…スピーカ、17b…マイクロフォン、18…ICチップ、19…ICチップ用アンテナ、20…基地局、30…ホスト装置、31…ホスト通信部、32…ホスト処理部、33…ホストメモリ、40…リーダ/ライタ、50…ネットワーク、100…上筐体、101…下筐体、102…ヒンジ部、131…判別処理部、181…ICチップメモリ、182…ICチップ制御部、1821…主制御部、1822…加減算処理部、DAT1…本入金残高情報、DAT2…仮入金残高情報、DAT3…未処理金情報、FLG…未決済フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末、ホスト装置および決済側端末を有し、
前記携帯端末は、
仮入金による仮入金残高額に関する仮入金残高情報および本入金による本入金残高額に関する本入金残高情報を記憶する端末側記憶部と、
前記端末側記憶部の前記仮入金残高額から所定金額を減算すると共に、所定金額を前記端末側記憶部の前記本入金残高額に加算する加減算処理を行う加減算処理部と、
決済額が決済時の前記本入金残高額を超えない範囲内で、前記決済処理が可能な端末側決済処理部と、
前記加減算処理後または前記決済処理後における前記仮入金残高情報および前記本入金残高情報を前記ホスト装置に通知する端末側通信部とを有し、
前記ホスト装置は、
前記携帯端末からの前記通知を受信するホスト側通信部と、
前記通知に基づき、前記加減算処理後または前記決済処理後における前記仮入金残高情報および前記本入金残高情報を記憶するホスト側記憶部とを有し、
前記決済側端末は、
前記端末側決済処理部に決済額を通知すると共に、前記端末側決済処理部からの前記決済処理を受け付ける
決済システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記本入金残高額が前記決済額を下回るか否か、および前記本入金残高額に前記仮入金残高額を加えた総残高額が前記決済額を下回らないか否かを判別する判別処理部を有し、
前記加減算処理部は、
前記判別処理部が前記本入金残高額が前記決済額を下回り、かつ前記総残高額が前記決済額を下回らないものと判別した場合に、前記決済額から前記本入金残高額を減算して得られた金額以上であり、かつ前記仮入金残高額を超えない金額を前記所定金額として、当該所定金額に対して前記加減算処理を実行し、
前記端末側決済処理部は、
前記所定金額の加減算処理後に前記決済処理を実行する
請求項1記載の決済システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、
前記本入金残高額が前記決済額を下回った場合に、前記所定金額の加減算処理を行うか否かという選択肢を提示する提示部を有する
請求項2記載の決済システム。
【請求項4】
前記加減算処理部は、
前記仮入金残高額の範囲内で、所望する前記所定金額をユーザに設定させる
請求項1記載の決済システム。
【請求項5】
前記加減算処理部は、
前記端末側通信部と前記ホスト側通信部との通信が不能であっても、前記加減算処理を行う
請求項1から4のいずれか一に記載の決済システム。
【請求項6】
決済処理が可能な携帯端末であって、
仮入金による仮入金残高額に関する仮入金残高情報および本入金による本入金残高額に関する本入金残高情報を記憶する端末側記憶部と、
前記端末側記憶部の前記仮入金残高額から所定金額を減算すると共に、所定金額を前記端末側記憶部の前記本入金残高額に加算する加減算処理を行う加減算処理部と、
決済額が決済時の前記本入金残高額を超えない範囲内で、前記決済処理が可能な端末側決済処理部と、
前記加減算処理後または前記決済処理後における前記仮入金残高情報および前記本入金残高情報をホスト装置に通知する端末側通信部と
を有する携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−9432(P2010−9432A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169676(P2008−169676)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】