油圧テンショナのエア抜き弁
【課題】 油圧テンショナリフタの油圧回路中内のオイル中の空気を分離排出するエア抜き弁を提供する。
【解決手段】 油圧テンショナリフタ0の油圧回路内のオイル中の空気を分離排出し、オイル排出を抑制する弁体を有するエア抜き弁30において、油圧テンショナリフタ0のエア抜き弁収納孔20hにエア抜き弁ボディ30bが嵌装され、該エア抜き弁ボディ30bの外周面に横断面形状が矩形状の環状溝30cが形成され、該環状溝30cに断面形状が矩形状の環状弁体30dが軸中心線方向ならびに軸中心線に対し接近・離隔する方向に移動可能な状態で嵌装されたものである。
【解決手段】 油圧テンショナリフタ0の油圧回路内のオイル中の空気を分離排出し、オイル排出を抑制する弁体を有するエア抜き弁30において、油圧テンショナリフタ0のエア抜き弁収納孔20hにエア抜き弁ボディ30bが嵌装され、該エア抜き弁ボディ30bの外周面に横断面形状が矩形状の環状溝30cが形成され、該環状溝30cに断面形状が矩形状の環状弁体30dが軸中心線方向ならびに軸中心線に対し接近・離隔する方向に移動可能な状態で嵌装されたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の動弁機構の動力伝達用無端チェーンや無端ベルト等の無端伝動部材に適正な張力を付与する油圧テンショナのエア抜き弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の車両に搭載される内燃機関は、運転時において、動弁機構のカム軸駆動用の無端伝動部材のバタツキを防止するために、この無端伝動部材を押圧する油圧テンショナを具備している。
【0003】
このような油圧テンショナの油圧回路において、内燃機関の運転停止状態になって、油圧回路中に空気が侵入すると、油圧テンショナが円滑に動作しなくなる恐れがある。このような不具合を解消するために、油圧テンショナのオイル回路中の空気排除用球状弁体を用いたエア抜き弁を具備した油圧テンショナがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4017427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オイル回路中にエア抜き弁を設けた前記特許文献1記載の油圧テンショナでは、弁体に球状体を用いているので、短時間内に大量の空気を排出するために弁室の容積を拡大すると、弁室内の球状弁体が不安定に弁室を移動して振動を起こし、排出空気流に乱れが生じ、空気排出量も期待した程、増大できなかった。
【0006】
しかも、空気排出中において、オイルも排出されるため、油圧ポンプの負荷が軽減されず、燃費軽減の面で好ましくなかった。
【0007】
本発明は、このような難点を克服した油圧テンショナのエア抜き弁の改良に係り、内燃機関の始動初期に、オイル回路中のオイルの排出を抑制しつつ、空気を選択的に排出し、オイル回路中の空気を短時間内に効率良く排除できるエア抜き弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、油圧テンショナの油圧回路内のオイル中の空気を分離排出し、オイル排出を抑制する弁体を有するエア抜き弁において、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔にエア抜き弁ボディが嵌装され、該エア抜き弁ボディの外周面に横断面形状が矩形状の周方向溝が形成され、該周方向溝に断面形状が矩形状の環状弁体が軸中心線方向ならびに軸中心線に対し接近・離隔する方向に移動可能な状態で嵌装されたことを特徴とする油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記環状弁体に圧力オイルが加えられた状態では、該環状弁体の一側面が前記矩形状の周方向溝の一側面に密着することを特徴とする請求項1記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明は、前記環状弁体は、周方向に一部が分割されて、この分割部分が拡大可能に弾性変形しうることを特徴とする請求項1または請求項2記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0011】
さらにまた、請求項4記載の発明は、前記環状弁体の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体の両端面において周方向に間隔をなした位置で、該両端面からそれぞれ前記環状弁体の中心軸線と平行で、該両端面間の中間位置迄延長した切断面と、該両切断面の両端部を結ぶように、前記環状弁体の両端面と平行な切断面とで形成されたことを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記環状弁体の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体の中心軸線に対し斜傾した切断面であることを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0013】
さらに、請求項6記載の発明は、前記油圧テンショナの前記エア抜き弁収納孔に前記エア抜き弁ボディが摺動可能に嵌装されたことを特徴とするを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれかに記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0014】
さらにまた、請求項7記載の発明は、前記エア抜き弁ボディは、上流側ボディと下流側ボディからなり、前記上流側ボディが前記油圧テンショナのエア抜き弁収納孔に摺動可能に挿入された後、前記上流側ボディの下流側の端面に対し空隙部を存して前記下流側ボディが前記エア抜き弁収納孔に一体に装着され、前記上流側ボディと前記下流側ボディとの間に、前記上流側ボディを上流側に付勢するスプリングが介装されたを特徴とする請求項6に記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、前記スプリング(30e)の少なくとも一部は、前記下流側ボディ(30b2)のエア排出孔(30i)に嵌装され、このスプリングはコイルスプリング(30e)であることを特徴とする請求項7に記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0016】
さらに、請求項9記載の発明は、前記油圧テンショナの前記エア抜き弁収納孔に前記エア抜き弁ボディが一体に嵌着されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0017】
さらにまた、請求項10記載の発明は、前記エア抜き弁ボディに、前記周方向溝よりエア流入側に位置して、端面中心からエア流出側に向って流入孔が形成されるとともに、該流入孔終端から、放射方向に向い周方向へ所定角を在して複数の放射方向孔が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項9いずれかに記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0018】
請求項11記載の発明は、前記エア抜き弁ボディには、前記周方向溝より下流側の位置で前記油圧テンショナのテンショナボディ外に連通するエア排出孔が形成されるとともに、前記周方向溝より下流側のエア抜き弁ボディの周面から前記エア排出孔に向ってエア排出通路が形成されたことを特徴とする請求項10記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0019】
請求項12記載の発明は、前記油圧テンショナが、内燃機関に取付けられた状態において、前記エア抜き弁収納孔の上端が、プランジャを収納するプランジャ収納孔及び圧力保持弁を収納する圧力保持弁収納孔よりも上方に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項11いずれかに記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、オイル中の空気は、エア抜き弁ボディの外周面に形成された矩形状周方向溝と、その周方向溝に嵌装された断面形状が矩形状の環状弁体との狭い間隙部に向かい、粘性の低い空気は、容易に通過できて、オイル回路中から排出されるが、オイルは、その大きな粘性によって前記間隙部を通過できず、そのオイル回路中から排出されないので、オイル回路中のオイルから空気が効率良く選択的に排除され、油圧テンショナ機能は高い水準に保持されうる。
【0021】
また、断面矩形状の周方向溝に断面矩形状環状弁体が嵌装されているため、この環状弁体は前記周方向溝内に安定した状態を保持でき、振動が抑制される。
【0022】
請求項2記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、油圧テンショナの動作状態で、前記矩形状周方向溝と断面形状が矩形状の環状弁体との間の油圧により、両者が相互に密着されることで、オイルの排出が抑制されつつ、空気の排出が円滑に遂行され、オイルシール性が高い水準に維持されながら空気の排出量が大きくなる。
【0023】
請求項3記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、環状弁体が損傷されることなく、エア抜き弁ボディの周方向溝に容易に装着され、また環状弁体の弾性復元力でもって、環状弁体の外周面がエア抜き弁収納孔の内周面に密接でき、オイルの排出がさらに抑制され、シール性が確保されうる。
【0024】
請求項4記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔の内周面に前記環状弁体の外周面が密接するようにその環状弁体の径が増大した場合でも、環状弁体の両端部における周方向切断面が相互に密接状態を保持できる結果、オイルの漏洩が未然に阻止される。
【0025】
請求項5記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔の内周面に前記環状弁体の外周面が密接するようにその環状弁体の径が増大した場合でも、環状弁体の両端部における傾斜した切断面が相互に密接した状態を保持できる結果、オイルの漏洩が未然に阻止される。
【0026】
請求項6記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディが摺動可能に嵌装されているため、エア抜き弁ボディの摺動に連動して、断面形状の矩形状の環状弁体が軸中心線方向に摺動することにより、エア抜き弁収納孔内面に付着・溜ったゴミ等が剥離して除去される。
【0027】
請求項7記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディが油圧テンショナのエア抜き弁収納孔内を往復摺動することにより、エア抜き弁収納孔内面に付着・溜まったゴミ等を剥離して、除去することができる。
【0028】
請求項8記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、下流側弁ボディの下流側排出孔の流路抵抗をコイルスプリングで増大でき、オイルの漏洩をさらに抑制することができる。
【0029】
請求項9記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディを油圧テンショナのエア抜き弁収納孔から脱落するのを阻止するための蓋部材が不必要となって構造が簡略化されるコストダウンが可能となる。
【0030】
請求項10記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディのオイル流入側からオイル流出側に向って流入孔を流れたオイルは、複数の放射方向孔を分散して油圧テンショナのエア抜き弁収納孔の内周面へ均等に流れることができるため、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔内周面とエア抜き弁ボディの外周面との間隙に均一にオイルと空気とが到達できる結果、エア抜き弁ボディが径方向へ振動することなく、空気のみが均等に排除されうる。
【0031】
請求項11記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディの周方向溝から流出した空気と僅かなオイル混合流体は、これより下流側に向って通路抵抗の大きな通路を通過することとなって、オイルの漏洩を低減できる。
【0032】
請求項12記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁収納孔20hの上端は、プランジャ収納孔20aおよび圧力保持弁収納孔20hよりも上方に位置してので、プランジャ23および圧力保持弁29内に滞留したエアが良好に排出されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例のエア抜き弁を具備した油圧テンショナリフトが示され、この油圧テンショナでは、自動二輪車に搭載される4ストロークサイクルDOHC型内燃機関における動弁装置の伝動機構を構成するタイミングチェーンに適用された例が示されている。
【図2】油圧テンショナのキャップの形状を図示した図1のII矢視図である。
【図3】図1のII印方向から見た油圧テンショナのテンショナボディの後面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿って裁断した油圧テンショナの縦断面図である。
【図5】図4でプランジャがテンショナボディおよびシリンダヘッドのリフタ取付部より前方へ突出した状態の油圧テンショナの縦断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿って裁断した油圧テンショナの縦断面図である。
【図7】油圧テンショナのチェック弁とリリーフ弁との分解縦断面図である。
【図8】油圧テンショナのチェック弁およびリリーフ弁をバルブホルダに組付けるとともに、エア抜き弁をテンショナボディに組付け、かつ圧力保持弁を分解した状態の分解縦面図である。
【図9】本発明の一実施例の油圧テンショナのエア抜き弁を拡大した縦断面図である。
【図10】図9に図示されたエア抜き弁をエアが通過する状態を図示した縦断面図である。
【図11】図9のXI−XI線に沿って裁断した断面図である。
【図12】図9の要部拡大図である。
【図13】図10の要部拡大図である。
【図14】本発明のエア抜き弁において、周方向に一部が分割された環状弁体の一実施例を図示した平面図である。
【図15】図1のXV−XV線に沿って裁断した断面図である。
【図16】本発明のエア抜き弁において、請求書6に記載された環状弁体の平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に沿って裁断した断面図である。
【図18】本発明のエア抜き弁において、請求項7に記載された環状弁体の平面図である。
【図19】図18XIX−XIX線に沿って裁断した断面図である。
【図20】本発明のエア抜き弁において、請求項4に記載されたエア抜き弁の縦断面図である。
【図21】図20の要部拡大図である。
【図22】図21のXXII−XXII線に沿って裁断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図1ないし図15に図示された本願発明の実施例に係る油圧テンショナ0に設けられたエア抜き弁30について説明する。
【0035】
図1は、油圧テンショナ0を具備した内燃機関3が自動二輪車(自動車等の路面走行車両であってもよい)の車体フレーム1に取付けられた状態を図示した要部右側図である。
【0036】
本願実施例では、前後、上下、左右方向とは、車体の前後、上下、左右方向を意味し、図1では、前後方向は紙面の右左方向、上下方向は紙面の上下方向、左右方向は紙面に対し奥側方向、手前側方向を示している。
【0037】
図1に図示されるように、油圧テンショナ0を具備した4ストロークサイクルDOHC型内燃機関3は、自動二輪車に搭載され、その具体的構造は、自動二輪車の車体フレーム1の前部に設けられたハンガー2と車体フレーム1の後部とに、内燃機関3からそれぞれ突出した2個のボス8を介して内燃機関3が取付けられた構造となっている。
【0038】
内燃機関3では、クランクケース4の上にシリンダブロック5、シリンダヘッド6およびヘッドカバー7が順次上方へ積重ねられて、図示されないボルト等の結合手段でもって一体に結合されている。
【0039】
また、内燃機関3のクランクケース4、シリンダブロック5間に挟まれた位置で、回転可能に枢支されたクランク軸9と一体の駆動スプロケット10と、シリンダヘッド6およびヘッドカバー7内でシリンダヘッド6に回転可能に枢支された1対のカム軸11と一体の従動スプロケット12とに、無端タイミングチェン13が架渡されており、シリンダブロック5のシリンダ孔(図示されず)に上下へ摺動可能に嵌装されている図示されないピストンの上下動により、図面で時計方向へ回転駆動されるクランク軸9の回転トルクが、駆動スプロケット10、無端タイミングチェン13および従動スプロケット12を介して1対のカム軸11に伝達されて、図示されない給排気弁が開閉可能に駆動されるようになっている。
【0040】
4ストロークサイクル内燃機関3は、図示されない複数のシリンダ孔が車幅方向に配列され、この内燃機関3においては、各シリンダ孔別で、クランク軸9が2回転する毎に燃焼室内の燃料が燃焼し、その燃焼ガスの圧力でピストンがクランク軸9に向って間欠的に押され、また自動二輪車が走行する路面の凹凸でもって走行抵抗が変化する結果、無端タイミングチェン13の緊張状態が変動して、無端タイミングチェン13が前後方向にバタツキ易い。
【0041】
これを防止するために、図1で右方に位置する前方の緊張側の無端タイミングチェン13に接してチェンガイド14が配設されるとともに、図1で左方に位置する後方の弛緩側の無端タイミングチェン13に接してテンショナスリッパ15が配設され、該テンショナスリッパ15の後方でこれに隣接して油圧テンショナ0がシリンダヘッド6に組付けられ、該油圧テンショナ0は、後で詳細に説明されるような構造と特性とを有しており、該油圧テンショナ0の優れた特性により、弛緩側の無端タイミングチェン13のバタツキを有効に抑制することができるようになっている。
【0042】
図1に図示される油圧テンショナ0の外殻部は、テンショナボディ20とキャップ21とよりなり、図1において矢印IIから見た図2に図示されるキャップ21に設けられた左右1対のボルト挿通孔21aに嵌挿された図示されないボルトが、図3に図示されるテンショナボディ20のボルト挿通孔20を貫通してシリンダヘッド6の後部のリフタ取付部6aに螺着されて、油圧テンショナ0はシリンダヘッド6に一体に装着されている。
【0043】
また、図3に図示されるように、テンショナボディ20の後端面20cには、プランジャ収納孔20aを囲むようにパッキン嵌装溝20dが形成され、このパッキン嵌装溝20dに無端状パッキン20eが嵌装されており、図4ないし図6に図示されるように、キャップ21の前端面21bに形成された凹面21cとテンショナボディ20の後端面20cとで、オイル貯溜室28が構成されている。
【0044】
さらに、図7に図示されるように形成されたバルブホルダ22の基端部22aは、図4ないし図6に図示されるように、テンショナボディ20のプランジャ収納孔20aの後部に、一体に嵌着されるとともに、図8に図示されるように、テンショナボディ20のプランジャ収納孔20aにプランジャ23が前後へ摺動可能に嵌装され、プランジャ収納孔20aおよびプランジャ23内の高油圧室31において、バルブホルダ22の基端部22aの段部前端面22bとプランジャ23の先端部23aの内面23bとに付勢手段としてのコイルスプリング24が介装されており、コイルスプリング24のスプリング復元力でもって、プランジャ23が前方へ突出するように付勢されている。なお、プランジャ23の先端部23aに当接部23cが一体に装着されている。
【0045】
さらにまた、バルブホルダ22の基端部22aに形成された弁収納孔22c(図7参照)の前部に、チェック弁25の弁ガイド25aが一体に嵌着され、この弁ガイド25aにチェック弁コイルスプリング25bと球状弁体25cが後部から前方に向って順次嵌装されている。
【0046】
しかも、バルブホルダ22の弁収納孔22cに、リリーフ弁26の弁体26aが摺動可能に嵌装され、リリーフ弁26の弁体26aの弁室26b内において、オイル貯溜室28内(図4,図5参照)でキャップ21に隣接して配置されたリリーフバルブシート27とリリーフ弁26の弁体26aの先端部26cとに、リリーフ弁コイルスプリング26dが介装されており、オイル貯溜室28は、リリーフバルブシート27の開孔27a,リリーフ弁26,およびチェック弁25を介して高油圧室31に接続されている。
【0047】
次に、圧力保持弁29について説明する。
【0048】
車体後方から車体前方に向ってテンショナボディ20を見た図3に図示されるように、プランジャ収納孔20aに対し、斜右下方に位置して、プランジャ収納孔20aと平行に(図4,図5参照)圧力保持弁収納孔20fが形成され、この圧力保持弁収納孔20fの後端は、無端状パッキン20eで囲まれたオイル貯溜室28に開口されている。
【0049】
さらに、キャップ21がテンショナボディ20に装着される前に、図8に図示されるように、テンショナボディ20の圧力保持弁収納孔20fの開口に、圧力保持弁29のスプリング受29aと、閉塞用コイルスプリング29bと弁体29cとが順次嵌装され、この弁体29cの後方円筒周面29dは小径に形成されており、前記閉塞用コイルスプリング29bのスプリング復元力でもって、図4に図示されるように、弁体29cは後方へ付勢されて、弁体29cの後方円筒周面29dの後端面29eがキャップ21の前端面21bに当接され、バルブホルダ22のリリーフ弁ポート22eに通ずるテンショナボディ20の連通ポート20gが閉塞されるようになっている。
【0050】
なお、前記バルブホルダ22に形成されたリリーフ弁ポート22eは、基端部22aの外周面に形成された周方向溝22e1と、その周方向溝の底において周方向へ均等な間隔をなし弁収納孔22cの中心に向って形成された複数の連通孔22e2とで構成されている。
【0051】
次に、エア抜き弁30について説明する。
【0052】
車体後方からテンショナボディ20の前方を見た図3に図示のように、プランジャ収納孔20aに対し斜左上方に位置して、プランジャ収納孔20aと平行に横断面形状が円形のエア抜き弁収納孔20hが形成され、このエア抜き弁収納孔20hの上端は、プランジャ収納孔20aおよび圧力保持弁収納孔20hよりも上方に位置しており、プランジャ23および圧力保持弁29内に滞留したエアが良好に排出されるようになっている。また、このエア抜き弁収納孔20hの後部は、図5に図示されるように、エア抜き通路を20jを介して高油圧室31に連通されている。
【0053】
また、図8に図示されるように、エア抜き弁ボディ30bは、上流側弁ボディ30b1と下流側弁ボディ30b2とで構成されており、エア抜き弁収納孔20hの前方開口端からエア抜き弁収納孔20h内に、上流側弁ボディ30b1、コイルスプリング30eおよび下流側弁ボディ30b2が順次嵌装され、この下流側弁ボディ30bは、エア抜き弁収納孔20hに一体に螺着されており、高油圧室31内の圧力変動がエア抜き通路20jを介して、エア抜き弁収納孔20h内に伝達され、上流側弁ボディ30b1が前後に微動できるようになっている。
【0054】
さらに、上流側弁ボディ30b1の周面には、断面矩形(正方形でも可)の周方向溝30cが形成され、この周方向溝30cに、周方向溝30cよりも幅および深さよりも僅かに小さな大きさの断面形状の環状弁体30dが嵌装されている。この環状弁体30dは、図14および図15に図示されるように、環状弁体30d内の環中心線30gに沿って分割され、その環状弁体30dの平面切断部分30hの両端が周方向溝30cの直径またはそれを超える大きさに広がるように、環状弁体30dが弾性変形して、周方向溝30cに嵌装されるようになっている。
【0055】
なお、環状弁体30dは金属製であるが、比較的硬い合成樹脂製であってもよく、いずれも、環状弁体30dの周面と端面との接合部分の端縁は鋭利な形状に形成されている。
【0056】
さらにまた、上流側弁ボディ30b1においては、前記環状弁体30dよりも上流側の後方部分には、図11に図示されるようなエア抜き通路30aが形成され、このエア抜き通路30aは、上流側弁ボディ30b1の後端面(30b3)中心から前方に指向した中心孔30a1と、この中心孔30a1の前端から4本の放射方向へ指向した4本の放射方向孔30a2よりなっている。
【0057】
しかも、下流側弁ボディ30b2の中心にもエア排出通路30iが形成されており、エア抜き通路20jを介して上流側弁ボディ30b1に伝達されると、コイルスプリング30eの弾性復元力により上流側弁ボディ30b1が前後に往復動し、オイル中に含有されて、エア抜き弁収納孔20hに含着しているゴミが環状弁体30dにおける周面と端面との接合部分の鋭利な端縁により、コソギ落とされるようになっている。
【0058】
さらにまた、オイル供給系統について説明する。
【0059】
図6に図示されるように、キャップ21の凹面21cとテンショナボディ20の後端面20cとで構成されたオイル貯溜室28の下部は、図3および図6に図示されるように、テンショナボディ20を後部から前部に向い下方へ傾斜した貫通したテンショナオイル通路32を介してシリンダヘッド6のリフタ取付部6aに形成されたシリンダヘッドオイル通路33に接続され、図1に図示されるように、このシリンダヘッドオイル通路33は、シリンダブロック5における図示されないオイル通路を介してクランクケース4のオイル通路34を介してオイルフィルタ35に接続され、オイルフィルタ35はオイル通路36を介してオイルポンプ37の吐出口に接続されており、内燃機関3の運転に連動して稼動状態となるオイルポンプ37により、クランクケース4の底部に貯溜されているオイルがストレーナ38を介してオイルポンプ37に吸入され、オイルポンプ37から吐出されたオイルは、オイル通路36,オイルフィルタ35,オイル通路34,シリンダヘッドオイル通路33およびテンショナオイル通路32を介してオイル貯溜室28に供給されるようになっている。
【0060】
本実施例において、オイル供給通路40とは、図6に図示されるように、シリンダヘッド6のシリンダヘッドオイル通路33に接続されたテンショナルオイル通路32からオイル貯溜室28と、リリーフ弁26の弁室26bとからなる弁孔26eまでの通路を意味している。
【0061】
本発明の請求項1ないし請求項5に対応する図8ないし図15に図示された一実施例では、テンショナボディのエア抜き弁収納孔20h内に嵌装された上流側弁ボディ30b1は、下流側弁ボディ30b2に対して相対的に前後に摺動でき、しかもコイルスプリング30eのスプリング復元力によって前後に摺動できるため、高油圧室31からエア抜き通路20jを介してエア抜き弁収納孔20hと上流側弁ボディ30b1との隙間内に流入したオイルと空気の混合体では、最初の内は粘性の小さな空気が図12に図示されるように周方向溝30cの内面と環状弁体30dの側面との間を通過して、上流側弁ボディ30b1と下流側弁ボディ30b2との間で構成されるオイル排出通路30b4を通ってエア排出孔30iに集められ、該エア排出孔30iからシリンダヘッド6に設けられたエア排出孔6cを通過してエア抜きが行われる。
【0062】
しかし、空気より粘性の大きなオイルが周方向溝30cの上流側内面と環状弁体30dの上流側端面との間に流入してくると、図13に図示されるように、粘性の大きなオイルの圧力で、環状弁体30dが下流側、すなわち前方へ押されて、周方向溝30cの下流側内面と環状弁体30dの下流側端とが密着し、空気およびオイルの流れが阻止されるとともに、周方向溝30cの内面と環状弁体30dの外周面との間に流入したオイルの圧力により、環状弁体30dが径方向へ拡張し、エア排出孔30iへのオイルの排出が阻止される。
【0063】
また、高油圧室31内のオイル圧力が低下すると、コイルスプリング30eのスプリング復元力によって、上流側弁ボディ30b1は後方へ摺動し、エア抜き弁収納孔20h内の空気とオイルとの混合体の内、空気のみが選択的にエア抜き排出孔30iから排出される。
【0064】
このような動作を繰り返すことにより、油圧テンショナ0内の空気とオイルの混合体の内、空気のみが選択的に排出される結果、油圧テンショナ0は、テンショナスリッパ15から後方へ向かう押し込み力を受けても、プランジャ23は著しく押し込まれずに、油圧テンショナ0の機能を保持することができる。
【0065】
また、上流側弁ボディ30b1が前後に小さく摺動できるため、エア抜き弁収納孔20hの内周面に付着されたゴミ等の異物は、環状弁体30dの外周面と端面との接合縁でコソギ落とされるため、オイルの漏れが抑制される。
【0066】
また、上流側弁ボディ30b1には中心孔と放射孔によって、エア抜き弁収納孔20hの内面と環状弁体30dの外周面との隙間全周に亘り均一空気とオイルの混合体が分散されるため、エア抜きを効率よく遂行することが可能となる。
【0067】
また、断面矩形状の周方向溝に断面矩形状環状弁体が嵌装されているため、この環状弁体は前記周方向溝内に安定した状態を保持でき、振動が抑制される。
【0068】
さらに、環状弁体30dは周方向に一部分割され弾性変形可能な材料で製作されているので、環状弁体が損傷されることなく、エア抜き弁ボディの周方向溝に容易に装着され、また環状弁体の弾性復元力でもって、環状弁体の外周面がエア抜き弁収納孔の内周面に密接でき、オイルの排出がさらに抑制され、シール性が確保されうる。
【0069】
さらにまた、エア抜き弁ボディの周方向溝から流出した空気と僅かなオイル混合流体は、これより下流側に向って通路抵抗の大きな通路を通過することとなって、オイルの漏洩を低減できる。
【0070】
また、下流側弁ボディの下流側排出孔の流路抵抗をコイルスプリングで増大でき、オイルの漏洩をさらに抑制することができる。
【0071】
さらに、エア抜き弁収納孔20hの上端は、プランジャ収納孔20aおよび圧力保持弁収納孔20hよりも上方に位置しており、プランジャ23および圧力保持弁29内に滞留したエアが良好に排出される。
【0072】
図8ないし図15に図示された実施例における環状弁体30dの他に、図16ないし図17に図示の環状弁体30jがある。
【0073】
図16ないし図17に図示の環状弁体30jでは、環状弁体30jの一端面から環状弁体30jの両端両面の距離の半分に達する平面切断部分30mと、この平面切断部分30mに対し周方向へ一定距離離れかつ環状弁体30jの他端面から環状弁体30jの両端面の距離の半分に達する平面切断部分30nとでもって、環状弁体30jが構成されている。
【0074】
図16ないし図17に図示の実施例の環状弁体30jでは、図8ないし図15に図示の実施例で奏することができる効果の外に、周方向切断面部分30pが存在しているため、エア抜き収納孔20hの径の変化に対応して、この両端部における周方向切断部分30pの相対的な摺接でもって、環状弁体30jの一方の端面に接する空間と、他方の端面に接する空間とが気水密に分割されているため、エア抜き弁収納孔20h内において、周方向溝30cの上流側と下流側とが完全に仕切られ、エア抜きをさらに十分に遂行することができる。
【0075】
さらに、図18ないし図19に図示するように環状弁体30gを構成することもできる。
【0076】
この実施例では、環状弁体30gでは、環状弁体30gの一端面から他端面に向かって図19に図示のように傾斜した傾斜切断面30rで切断してもよく、この傾斜切断面30rでもって、図16ないし図17に図示の実施例と同様に、エア抜き弁収納孔20hの内径の変化に対応することができる。
【0077】
さらにまた、前記図8ないし図15に図示された実施例では、上流側弁ボディ30b1と下流側弁ボディ30b2が別体であり、かつ両者間にコイルスプリング30eが介装されていたが、図20ないし図22に図示されるように、両者を一体化したエア抜き弁体30sとし、このエア抜き弁体30sの下流側に、図8ないし図15に図示の実施例のエア抜き通路30uが形成されている。
【0078】
この図20ないし図22に図示の実施例では、全体として油圧テンショナは前方に向かって大きく下方へ傾斜しており、エア抜き通路30uの前端は、リフタ取付部6aに設けられたエア排出孔6cに接続されており、エア抜き弁体30sでオイルと主に分離された空気がシリンダヘッド内に排出されるようになっている。
【0079】
図20ないし図22に図示の実施例では、下流側弁ボディ30b2が不要となるため、部品点数が削減されるとともに構造が簡略化される結果、コストダウンが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
0…油圧テンショナ、3…内燃機関、6…シリンダヘッド、6a…リフタ取付部、6b…排油路、6c…エア排出孔、13…無端タイミングチェン、15…テンショナスリッパ、20…テンショナボディ、20a…プランジャ収納孔、20b…ボルト挿通孔、20c…後端面、20d…パッキン嵌装溝、20e…環状パッキン、20f…圧力保持弁収納孔、20g…連通ポート、20h…エア抜き弁収納孔、20i…排油通路、20j…エア抜き通路、21…キャップ、21a…ボルト挿通孔、21b…前端面、21c…凹面、23…プランジャ、23a…先端部、23b…内面、23c…当接部、24…コイルスプリング、25…チェック弁、26…リリーフ弁、28…オイル貯溜室、29…圧力保持弁、30…エア抜き弁、30a…エア抜き通路、30b…エア抜き弁ボディ、30b1…上流側弁ボディ、30b2…下流側弁ボディ、30b3…後端面、30b4…エア排出通路、30c…周方向溝、30d…環状弁体、30e…コイルスプリング、30g…環中心線、30h…平面切断部分、30i…エア排出孔、30j…環状弁体、30m…平面切断部分、30n…周方向切断部分、30q…環状弁体、30r…傾斜切断面、30s…環状弁体、30u…エア抜き通路、31…高油圧室、32…テンショナオイル通路、33…シリンダヘッドオイル通路、34…オイル通路、35…オイルフィルタ、36…オイル通路、37…オイルポンプ、38…ストレーナ、39…圧力保持弁、40…オイル供給通路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の動弁機構の動力伝達用無端チェーンや無端ベルト等の無端伝動部材に適正な張力を付与する油圧テンショナのエア抜き弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の車両に搭載される内燃機関は、運転時において、動弁機構のカム軸駆動用の無端伝動部材のバタツキを防止するために、この無端伝動部材を押圧する油圧テンショナを具備している。
【0003】
このような油圧テンショナの油圧回路において、内燃機関の運転停止状態になって、油圧回路中に空気が侵入すると、油圧テンショナが円滑に動作しなくなる恐れがある。このような不具合を解消するために、油圧テンショナのオイル回路中の空気排除用球状弁体を用いたエア抜き弁を具備した油圧テンショナがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4017427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オイル回路中にエア抜き弁を設けた前記特許文献1記載の油圧テンショナでは、弁体に球状体を用いているので、短時間内に大量の空気を排出するために弁室の容積を拡大すると、弁室内の球状弁体が不安定に弁室を移動して振動を起こし、排出空気流に乱れが生じ、空気排出量も期待した程、増大できなかった。
【0006】
しかも、空気排出中において、オイルも排出されるため、油圧ポンプの負荷が軽減されず、燃費軽減の面で好ましくなかった。
【0007】
本発明は、このような難点を克服した油圧テンショナのエア抜き弁の改良に係り、内燃機関の始動初期に、オイル回路中のオイルの排出を抑制しつつ、空気を選択的に排出し、オイル回路中の空気を短時間内に効率良く排除できるエア抜き弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、油圧テンショナの油圧回路内のオイル中の空気を分離排出し、オイル排出を抑制する弁体を有するエア抜き弁において、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔にエア抜き弁ボディが嵌装され、該エア抜き弁ボディの外周面に横断面形状が矩形状の周方向溝が形成され、該周方向溝に断面形状が矩形状の環状弁体が軸中心線方向ならびに軸中心線に対し接近・離隔する方向に移動可能な状態で嵌装されたことを特徴とする油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記環状弁体に圧力オイルが加えられた状態では、該環状弁体の一側面が前記矩形状の周方向溝の一側面に密着することを特徴とする請求項1記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明は、前記環状弁体は、周方向に一部が分割されて、この分割部分が拡大可能に弾性変形しうることを特徴とする請求項1または請求項2記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0011】
さらにまた、請求項4記載の発明は、前記環状弁体の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体の両端面において周方向に間隔をなした位置で、該両端面からそれぞれ前記環状弁体の中心軸線と平行で、該両端面間の中間位置迄延長した切断面と、該両切断面の両端部を結ぶように、前記環状弁体の両端面と平行な切断面とで形成されたことを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記環状弁体の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体の中心軸線に対し斜傾した切断面であることを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0013】
さらに、請求項6記載の発明は、前記油圧テンショナの前記エア抜き弁収納孔に前記エア抜き弁ボディが摺動可能に嵌装されたことを特徴とするを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれかに記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0014】
さらにまた、請求項7記載の発明は、前記エア抜き弁ボディは、上流側ボディと下流側ボディからなり、前記上流側ボディが前記油圧テンショナのエア抜き弁収納孔に摺動可能に挿入された後、前記上流側ボディの下流側の端面に対し空隙部を存して前記下流側ボディが前記エア抜き弁収納孔に一体に装着され、前記上流側ボディと前記下流側ボディとの間に、前記上流側ボディを上流側に付勢するスプリングが介装されたを特徴とする請求項6に記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、前記スプリング(30e)の少なくとも一部は、前記下流側ボディ(30b2)のエア排出孔(30i)に嵌装され、このスプリングはコイルスプリング(30e)であることを特徴とする請求項7に記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0016】
さらに、請求項9記載の発明は、前記油圧テンショナの前記エア抜き弁収納孔に前記エア抜き弁ボディが一体に嵌着されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0017】
さらにまた、請求項10記載の発明は、前記エア抜き弁ボディに、前記周方向溝よりエア流入側に位置して、端面中心からエア流出側に向って流入孔が形成されるとともに、該流入孔終端から、放射方向に向い周方向へ所定角を在して複数の放射方向孔が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項9いずれかに記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0018】
請求項11記載の発明は、前記エア抜き弁ボディには、前記周方向溝より下流側の位置で前記油圧テンショナのテンショナボディ外に連通するエア排出孔が形成されるとともに、前記周方向溝より下流側のエア抜き弁ボディの周面から前記エア排出孔に向ってエア排出通路が形成されたことを特徴とする請求項10記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【0019】
請求項12記載の発明は、前記油圧テンショナが、内燃機関に取付けられた状態において、前記エア抜き弁収納孔の上端が、プランジャを収納するプランジャ収納孔及び圧力保持弁を収納する圧力保持弁収納孔よりも上方に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項11いずれかに記載の油圧テンショナのエア抜き弁である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、オイル中の空気は、エア抜き弁ボディの外周面に形成された矩形状周方向溝と、その周方向溝に嵌装された断面形状が矩形状の環状弁体との狭い間隙部に向かい、粘性の低い空気は、容易に通過できて、オイル回路中から排出されるが、オイルは、その大きな粘性によって前記間隙部を通過できず、そのオイル回路中から排出されないので、オイル回路中のオイルから空気が効率良く選択的に排除され、油圧テンショナ機能は高い水準に保持されうる。
【0021】
また、断面矩形状の周方向溝に断面矩形状環状弁体が嵌装されているため、この環状弁体は前記周方向溝内に安定した状態を保持でき、振動が抑制される。
【0022】
請求項2記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、油圧テンショナの動作状態で、前記矩形状周方向溝と断面形状が矩形状の環状弁体との間の油圧により、両者が相互に密着されることで、オイルの排出が抑制されつつ、空気の排出が円滑に遂行され、オイルシール性が高い水準に維持されながら空気の排出量が大きくなる。
【0023】
請求項3記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、環状弁体が損傷されることなく、エア抜き弁ボディの周方向溝に容易に装着され、また環状弁体の弾性復元力でもって、環状弁体の外周面がエア抜き弁収納孔の内周面に密接でき、オイルの排出がさらに抑制され、シール性が確保されうる。
【0024】
請求項4記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔の内周面に前記環状弁体の外周面が密接するようにその環状弁体の径が増大した場合でも、環状弁体の両端部における周方向切断面が相互に密接状態を保持できる結果、オイルの漏洩が未然に阻止される。
【0025】
請求項5記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔の内周面に前記環状弁体の外周面が密接するようにその環状弁体の径が増大した場合でも、環状弁体の両端部における傾斜した切断面が相互に密接した状態を保持できる結果、オイルの漏洩が未然に阻止される。
【0026】
請求項6記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディが摺動可能に嵌装されているため、エア抜き弁ボディの摺動に連動して、断面形状の矩形状の環状弁体が軸中心線方向に摺動することにより、エア抜き弁収納孔内面に付着・溜ったゴミ等が剥離して除去される。
【0027】
請求項7記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディが油圧テンショナのエア抜き弁収納孔内を往復摺動することにより、エア抜き弁収納孔内面に付着・溜まったゴミ等を剥離して、除去することができる。
【0028】
請求項8記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、下流側弁ボディの下流側排出孔の流路抵抗をコイルスプリングで増大でき、オイルの漏洩をさらに抑制することができる。
【0029】
請求項9記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディを油圧テンショナのエア抜き弁収納孔から脱落するのを阻止するための蓋部材が不必要となって構造が簡略化されるコストダウンが可能となる。
【0030】
請求項10記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディのオイル流入側からオイル流出側に向って流入孔を流れたオイルは、複数の放射方向孔を分散して油圧テンショナのエア抜き弁収納孔の内周面へ均等に流れることができるため、油圧テンショナのエア抜き弁収納孔内周面とエア抜き弁ボディの外周面との間隙に均一にオイルと空気とが到達できる結果、エア抜き弁ボディが径方向へ振動することなく、空気のみが均等に排除されうる。
【0031】
請求項11記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁ボディの周方向溝から流出した空気と僅かなオイル混合流体は、これより下流側に向って通路抵抗の大きな通路を通過することとなって、オイルの漏洩を低減できる。
【0032】
請求項12記載の油圧テンショナのエア抜き弁においては、エア抜き弁収納孔20hの上端は、プランジャ収納孔20aおよび圧力保持弁収納孔20hよりも上方に位置してので、プランジャ23および圧力保持弁29内に滞留したエアが良好に排出されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例のエア抜き弁を具備した油圧テンショナリフトが示され、この油圧テンショナでは、自動二輪車に搭載される4ストロークサイクルDOHC型内燃機関における動弁装置の伝動機構を構成するタイミングチェーンに適用された例が示されている。
【図2】油圧テンショナのキャップの形状を図示した図1のII矢視図である。
【図3】図1のII印方向から見た油圧テンショナのテンショナボディの後面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿って裁断した油圧テンショナの縦断面図である。
【図5】図4でプランジャがテンショナボディおよびシリンダヘッドのリフタ取付部より前方へ突出した状態の油圧テンショナの縦断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿って裁断した油圧テンショナの縦断面図である。
【図7】油圧テンショナのチェック弁とリリーフ弁との分解縦断面図である。
【図8】油圧テンショナのチェック弁およびリリーフ弁をバルブホルダに組付けるとともに、エア抜き弁をテンショナボディに組付け、かつ圧力保持弁を分解した状態の分解縦面図である。
【図9】本発明の一実施例の油圧テンショナのエア抜き弁を拡大した縦断面図である。
【図10】図9に図示されたエア抜き弁をエアが通過する状態を図示した縦断面図である。
【図11】図9のXI−XI線に沿って裁断した断面図である。
【図12】図9の要部拡大図である。
【図13】図10の要部拡大図である。
【図14】本発明のエア抜き弁において、周方向に一部が分割された環状弁体の一実施例を図示した平面図である。
【図15】図1のXV−XV線に沿って裁断した断面図である。
【図16】本発明のエア抜き弁において、請求書6に記載された環状弁体の平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に沿って裁断した断面図である。
【図18】本発明のエア抜き弁において、請求項7に記載された環状弁体の平面図である。
【図19】図18XIX−XIX線に沿って裁断した断面図である。
【図20】本発明のエア抜き弁において、請求項4に記載されたエア抜き弁の縦断面図である。
【図21】図20の要部拡大図である。
【図22】図21のXXII−XXII線に沿って裁断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図1ないし図15に図示された本願発明の実施例に係る油圧テンショナ0に設けられたエア抜き弁30について説明する。
【0035】
図1は、油圧テンショナ0を具備した内燃機関3が自動二輪車(自動車等の路面走行車両であってもよい)の車体フレーム1に取付けられた状態を図示した要部右側図である。
【0036】
本願実施例では、前後、上下、左右方向とは、車体の前後、上下、左右方向を意味し、図1では、前後方向は紙面の右左方向、上下方向は紙面の上下方向、左右方向は紙面に対し奥側方向、手前側方向を示している。
【0037】
図1に図示されるように、油圧テンショナ0を具備した4ストロークサイクルDOHC型内燃機関3は、自動二輪車に搭載され、その具体的構造は、自動二輪車の車体フレーム1の前部に設けられたハンガー2と車体フレーム1の後部とに、内燃機関3からそれぞれ突出した2個のボス8を介して内燃機関3が取付けられた構造となっている。
【0038】
内燃機関3では、クランクケース4の上にシリンダブロック5、シリンダヘッド6およびヘッドカバー7が順次上方へ積重ねられて、図示されないボルト等の結合手段でもって一体に結合されている。
【0039】
また、内燃機関3のクランクケース4、シリンダブロック5間に挟まれた位置で、回転可能に枢支されたクランク軸9と一体の駆動スプロケット10と、シリンダヘッド6およびヘッドカバー7内でシリンダヘッド6に回転可能に枢支された1対のカム軸11と一体の従動スプロケット12とに、無端タイミングチェン13が架渡されており、シリンダブロック5のシリンダ孔(図示されず)に上下へ摺動可能に嵌装されている図示されないピストンの上下動により、図面で時計方向へ回転駆動されるクランク軸9の回転トルクが、駆動スプロケット10、無端タイミングチェン13および従動スプロケット12を介して1対のカム軸11に伝達されて、図示されない給排気弁が開閉可能に駆動されるようになっている。
【0040】
4ストロークサイクル内燃機関3は、図示されない複数のシリンダ孔が車幅方向に配列され、この内燃機関3においては、各シリンダ孔別で、クランク軸9が2回転する毎に燃焼室内の燃料が燃焼し、その燃焼ガスの圧力でピストンがクランク軸9に向って間欠的に押され、また自動二輪車が走行する路面の凹凸でもって走行抵抗が変化する結果、無端タイミングチェン13の緊張状態が変動して、無端タイミングチェン13が前後方向にバタツキ易い。
【0041】
これを防止するために、図1で右方に位置する前方の緊張側の無端タイミングチェン13に接してチェンガイド14が配設されるとともに、図1で左方に位置する後方の弛緩側の無端タイミングチェン13に接してテンショナスリッパ15が配設され、該テンショナスリッパ15の後方でこれに隣接して油圧テンショナ0がシリンダヘッド6に組付けられ、該油圧テンショナ0は、後で詳細に説明されるような構造と特性とを有しており、該油圧テンショナ0の優れた特性により、弛緩側の無端タイミングチェン13のバタツキを有効に抑制することができるようになっている。
【0042】
図1に図示される油圧テンショナ0の外殻部は、テンショナボディ20とキャップ21とよりなり、図1において矢印IIから見た図2に図示されるキャップ21に設けられた左右1対のボルト挿通孔21aに嵌挿された図示されないボルトが、図3に図示されるテンショナボディ20のボルト挿通孔20を貫通してシリンダヘッド6の後部のリフタ取付部6aに螺着されて、油圧テンショナ0はシリンダヘッド6に一体に装着されている。
【0043】
また、図3に図示されるように、テンショナボディ20の後端面20cには、プランジャ収納孔20aを囲むようにパッキン嵌装溝20dが形成され、このパッキン嵌装溝20dに無端状パッキン20eが嵌装されており、図4ないし図6に図示されるように、キャップ21の前端面21bに形成された凹面21cとテンショナボディ20の後端面20cとで、オイル貯溜室28が構成されている。
【0044】
さらに、図7に図示されるように形成されたバルブホルダ22の基端部22aは、図4ないし図6に図示されるように、テンショナボディ20のプランジャ収納孔20aの後部に、一体に嵌着されるとともに、図8に図示されるように、テンショナボディ20のプランジャ収納孔20aにプランジャ23が前後へ摺動可能に嵌装され、プランジャ収納孔20aおよびプランジャ23内の高油圧室31において、バルブホルダ22の基端部22aの段部前端面22bとプランジャ23の先端部23aの内面23bとに付勢手段としてのコイルスプリング24が介装されており、コイルスプリング24のスプリング復元力でもって、プランジャ23が前方へ突出するように付勢されている。なお、プランジャ23の先端部23aに当接部23cが一体に装着されている。
【0045】
さらにまた、バルブホルダ22の基端部22aに形成された弁収納孔22c(図7参照)の前部に、チェック弁25の弁ガイド25aが一体に嵌着され、この弁ガイド25aにチェック弁コイルスプリング25bと球状弁体25cが後部から前方に向って順次嵌装されている。
【0046】
しかも、バルブホルダ22の弁収納孔22cに、リリーフ弁26の弁体26aが摺動可能に嵌装され、リリーフ弁26の弁体26aの弁室26b内において、オイル貯溜室28内(図4,図5参照)でキャップ21に隣接して配置されたリリーフバルブシート27とリリーフ弁26の弁体26aの先端部26cとに、リリーフ弁コイルスプリング26dが介装されており、オイル貯溜室28は、リリーフバルブシート27の開孔27a,リリーフ弁26,およびチェック弁25を介して高油圧室31に接続されている。
【0047】
次に、圧力保持弁29について説明する。
【0048】
車体後方から車体前方に向ってテンショナボディ20を見た図3に図示されるように、プランジャ収納孔20aに対し、斜右下方に位置して、プランジャ収納孔20aと平行に(図4,図5参照)圧力保持弁収納孔20fが形成され、この圧力保持弁収納孔20fの後端は、無端状パッキン20eで囲まれたオイル貯溜室28に開口されている。
【0049】
さらに、キャップ21がテンショナボディ20に装着される前に、図8に図示されるように、テンショナボディ20の圧力保持弁収納孔20fの開口に、圧力保持弁29のスプリング受29aと、閉塞用コイルスプリング29bと弁体29cとが順次嵌装され、この弁体29cの後方円筒周面29dは小径に形成されており、前記閉塞用コイルスプリング29bのスプリング復元力でもって、図4に図示されるように、弁体29cは後方へ付勢されて、弁体29cの後方円筒周面29dの後端面29eがキャップ21の前端面21bに当接され、バルブホルダ22のリリーフ弁ポート22eに通ずるテンショナボディ20の連通ポート20gが閉塞されるようになっている。
【0050】
なお、前記バルブホルダ22に形成されたリリーフ弁ポート22eは、基端部22aの外周面に形成された周方向溝22e1と、その周方向溝の底において周方向へ均等な間隔をなし弁収納孔22cの中心に向って形成された複数の連通孔22e2とで構成されている。
【0051】
次に、エア抜き弁30について説明する。
【0052】
車体後方からテンショナボディ20の前方を見た図3に図示のように、プランジャ収納孔20aに対し斜左上方に位置して、プランジャ収納孔20aと平行に横断面形状が円形のエア抜き弁収納孔20hが形成され、このエア抜き弁収納孔20hの上端は、プランジャ収納孔20aおよび圧力保持弁収納孔20hよりも上方に位置しており、プランジャ23および圧力保持弁29内に滞留したエアが良好に排出されるようになっている。また、このエア抜き弁収納孔20hの後部は、図5に図示されるように、エア抜き通路を20jを介して高油圧室31に連通されている。
【0053】
また、図8に図示されるように、エア抜き弁ボディ30bは、上流側弁ボディ30b1と下流側弁ボディ30b2とで構成されており、エア抜き弁収納孔20hの前方開口端からエア抜き弁収納孔20h内に、上流側弁ボディ30b1、コイルスプリング30eおよび下流側弁ボディ30b2が順次嵌装され、この下流側弁ボディ30bは、エア抜き弁収納孔20hに一体に螺着されており、高油圧室31内の圧力変動がエア抜き通路20jを介して、エア抜き弁収納孔20h内に伝達され、上流側弁ボディ30b1が前後に微動できるようになっている。
【0054】
さらに、上流側弁ボディ30b1の周面には、断面矩形(正方形でも可)の周方向溝30cが形成され、この周方向溝30cに、周方向溝30cよりも幅および深さよりも僅かに小さな大きさの断面形状の環状弁体30dが嵌装されている。この環状弁体30dは、図14および図15に図示されるように、環状弁体30d内の環中心線30gに沿って分割され、その環状弁体30dの平面切断部分30hの両端が周方向溝30cの直径またはそれを超える大きさに広がるように、環状弁体30dが弾性変形して、周方向溝30cに嵌装されるようになっている。
【0055】
なお、環状弁体30dは金属製であるが、比較的硬い合成樹脂製であってもよく、いずれも、環状弁体30dの周面と端面との接合部分の端縁は鋭利な形状に形成されている。
【0056】
さらにまた、上流側弁ボディ30b1においては、前記環状弁体30dよりも上流側の後方部分には、図11に図示されるようなエア抜き通路30aが形成され、このエア抜き通路30aは、上流側弁ボディ30b1の後端面(30b3)中心から前方に指向した中心孔30a1と、この中心孔30a1の前端から4本の放射方向へ指向した4本の放射方向孔30a2よりなっている。
【0057】
しかも、下流側弁ボディ30b2の中心にもエア排出通路30iが形成されており、エア抜き通路20jを介して上流側弁ボディ30b1に伝達されると、コイルスプリング30eの弾性復元力により上流側弁ボディ30b1が前後に往復動し、オイル中に含有されて、エア抜き弁収納孔20hに含着しているゴミが環状弁体30dにおける周面と端面との接合部分の鋭利な端縁により、コソギ落とされるようになっている。
【0058】
さらにまた、オイル供給系統について説明する。
【0059】
図6に図示されるように、キャップ21の凹面21cとテンショナボディ20の後端面20cとで構成されたオイル貯溜室28の下部は、図3および図6に図示されるように、テンショナボディ20を後部から前部に向い下方へ傾斜した貫通したテンショナオイル通路32を介してシリンダヘッド6のリフタ取付部6aに形成されたシリンダヘッドオイル通路33に接続され、図1に図示されるように、このシリンダヘッドオイル通路33は、シリンダブロック5における図示されないオイル通路を介してクランクケース4のオイル通路34を介してオイルフィルタ35に接続され、オイルフィルタ35はオイル通路36を介してオイルポンプ37の吐出口に接続されており、内燃機関3の運転に連動して稼動状態となるオイルポンプ37により、クランクケース4の底部に貯溜されているオイルがストレーナ38を介してオイルポンプ37に吸入され、オイルポンプ37から吐出されたオイルは、オイル通路36,オイルフィルタ35,オイル通路34,シリンダヘッドオイル通路33およびテンショナオイル通路32を介してオイル貯溜室28に供給されるようになっている。
【0060】
本実施例において、オイル供給通路40とは、図6に図示されるように、シリンダヘッド6のシリンダヘッドオイル通路33に接続されたテンショナルオイル通路32からオイル貯溜室28と、リリーフ弁26の弁室26bとからなる弁孔26eまでの通路を意味している。
【0061】
本発明の請求項1ないし請求項5に対応する図8ないし図15に図示された一実施例では、テンショナボディのエア抜き弁収納孔20h内に嵌装された上流側弁ボディ30b1は、下流側弁ボディ30b2に対して相対的に前後に摺動でき、しかもコイルスプリング30eのスプリング復元力によって前後に摺動できるため、高油圧室31からエア抜き通路20jを介してエア抜き弁収納孔20hと上流側弁ボディ30b1との隙間内に流入したオイルと空気の混合体では、最初の内は粘性の小さな空気が図12に図示されるように周方向溝30cの内面と環状弁体30dの側面との間を通過して、上流側弁ボディ30b1と下流側弁ボディ30b2との間で構成されるオイル排出通路30b4を通ってエア排出孔30iに集められ、該エア排出孔30iからシリンダヘッド6に設けられたエア排出孔6cを通過してエア抜きが行われる。
【0062】
しかし、空気より粘性の大きなオイルが周方向溝30cの上流側内面と環状弁体30dの上流側端面との間に流入してくると、図13に図示されるように、粘性の大きなオイルの圧力で、環状弁体30dが下流側、すなわち前方へ押されて、周方向溝30cの下流側内面と環状弁体30dの下流側端とが密着し、空気およびオイルの流れが阻止されるとともに、周方向溝30cの内面と環状弁体30dの外周面との間に流入したオイルの圧力により、環状弁体30dが径方向へ拡張し、エア排出孔30iへのオイルの排出が阻止される。
【0063】
また、高油圧室31内のオイル圧力が低下すると、コイルスプリング30eのスプリング復元力によって、上流側弁ボディ30b1は後方へ摺動し、エア抜き弁収納孔20h内の空気とオイルとの混合体の内、空気のみが選択的にエア抜き排出孔30iから排出される。
【0064】
このような動作を繰り返すことにより、油圧テンショナ0内の空気とオイルの混合体の内、空気のみが選択的に排出される結果、油圧テンショナ0は、テンショナスリッパ15から後方へ向かう押し込み力を受けても、プランジャ23は著しく押し込まれずに、油圧テンショナ0の機能を保持することができる。
【0065】
また、上流側弁ボディ30b1が前後に小さく摺動できるため、エア抜き弁収納孔20hの内周面に付着されたゴミ等の異物は、環状弁体30dの外周面と端面との接合縁でコソギ落とされるため、オイルの漏れが抑制される。
【0066】
また、上流側弁ボディ30b1には中心孔と放射孔によって、エア抜き弁収納孔20hの内面と環状弁体30dの外周面との隙間全周に亘り均一空気とオイルの混合体が分散されるため、エア抜きを効率よく遂行することが可能となる。
【0067】
また、断面矩形状の周方向溝に断面矩形状環状弁体が嵌装されているため、この環状弁体は前記周方向溝内に安定した状態を保持でき、振動が抑制される。
【0068】
さらに、環状弁体30dは周方向に一部分割され弾性変形可能な材料で製作されているので、環状弁体が損傷されることなく、エア抜き弁ボディの周方向溝に容易に装着され、また環状弁体の弾性復元力でもって、環状弁体の外周面がエア抜き弁収納孔の内周面に密接でき、オイルの排出がさらに抑制され、シール性が確保されうる。
【0069】
さらにまた、エア抜き弁ボディの周方向溝から流出した空気と僅かなオイル混合流体は、これより下流側に向って通路抵抗の大きな通路を通過することとなって、オイルの漏洩を低減できる。
【0070】
また、下流側弁ボディの下流側排出孔の流路抵抗をコイルスプリングで増大でき、オイルの漏洩をさらに抑制することができる。
【0071】
さらに、エア抜き弁収納孔20hの上端は、プランジャ収納孔20aおよび圧力保持弁収納孔20hよりも上方に位置しており、プランジャ23および圧力保持弁29内に滞留したエアが良好に排出される。
【0072】
図8ないし図15に図示された実施例における環状弁体30dの他に、図16ないし図17に図示の環状弁体30jがある。
【0073】
図16ないし図17に図示の環状弁体30jでは、環状弁体30jの一端面から環状弁体30jの両端両面の距離の半分に達する平面切断部分30mと、この平面切断部分30mに対し周方向へ一定距離離れかつ環状弁体30jの他端面から環状弁体30jの両端面の距離の半分に達する平面切断部分30nとでもって、環状弁体30jが構成されている。
【0074】
図16ないし図17に図示の実施例の環状弁体30jでは、図8ないし図15に図示の実施例で奏することができる効果の外に、周方向切断面部分30pが存在しているため、エア抜き収納孔20hの径の変化に対応して、この両端部における周方向切断部分30pの相対的な摺接でもって、環状弁体30jの一方の端面に接する空間と、他方の端面に接する空間とが気水密に分割されているため、エア抜き弁収納孔20h内において、周方向溝30cの上流側と下流側とが完全に仕切られ、エア抜きをさらに十分に遂行することができる。
【0075】
さらに、図18ないし図19に図示するように環状弁体30gを構成することもできる。
【0076】
この実施例では、環状弁体30gでは、環状弁体30gの一端面から他端面に向かって図19に図示のように傾斜した傾斜切断面30rで切断してもよく、この傾斜切断面30rでもって、図16ないし図17に図示の実施例と同様に、エア抜き弁収納孔20hの内径の変化に対応することができる。
【0077】
さらにまた、前記図8ないし図15に図示された実施例では、上流側弁ボディ30b1と下流側弁ボディ30b2が別体であり、かつ両者間にコイルスプリング30eが介装されていたが、図20ないし図22に図示されるように、両者を一体化したエア抜き弁体30sとし、このエア抜き弁体30sの下流側に、図8ないし図15に図示の実施例のエア抜き通路30uが形成されている。
【0078】
この図20ないし図22に図示の実施例では、全体として油圧テンショナは前方に向かって大きく下方へ傾斜しており、エア抜き通路30uの前端は、リフタ取付部6aに設けられたエア排出孔6cに接続されており、エア抜き弁体30sでオイルと主に分離された空気がシリンダヘッド内に排出されるようになっている。
【0079】
図20ないし図22に図示の実施例では、下流側弁ボディ30b2が不要となるため、部品点数が削減されるとともに構造が簡略化される結果、コストダウンが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
0…油圧テンショナ、3…内燃機関、6…シリンダヘッド、6a…リフタ取付部、6b…排油路、6c…エア排出孔、13…無端タイミングチェン、15…テンショナスリッパ、20…テンショナボディ、20a…プランジャ収納孔、20b…ボルト挿通孔、20c…後端面、20d…パッキン嵌装溝、20e…環状パッキン、20f…圧力保持弁収納孔、20g…連通ポート、20h…エア抜き弁収納孔、20i…排油通路、20j…エア抜き通路、21…キャップ、21a…ボルト挿通孔、21b…前端面、21c…凹面、23…プランジャ、23a…先端部、23b…内面、23c…当接部、24…コイルスプリング、25…チェック弁、26…リリーフ弁、28…オイル貯溜室、29…圧力保持弁、30…エア抜き弁、30a…エア抜き通路、30b…エア抜き弁ボディ、30b1…上流側弁ボディ、30b2…下流側弁ボディ、30b3…後端面、30b4…エア排出通路、30c…周方向溝、30d…環状弁体、30e…コイルスプリング、30g…環中心線、30h…平面切断部分、30i…エア排出孔、30j…環状弁体、30m…平面切断部分、30n…周方向切断部分、30q…環状弁体、30r…傾斜切断面、30s…環状弁体、30u…エア抜き通路、31…高油圧室、32…テンショナオイル通路、33…シリンダヘッドオイル通路、34…オイル通路、35…オイルフィルタ、36…オイル通路、37…オイルポンプ、38…ストレーナ、39…圧力保持弁、40…オイル供給通路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧テンショナ(0)の油圧回路内のオイル中の空気を分離排出し、オイル排出を抑制する弁体(39d)を有するエア抜き弁(30)において、
油圧テンショナ(0)のエア抜き弁収納孔(20h)にエア抜き弁ボディ(30b、30s)が嵌装され、
該エア抜き弁ボディ(30b、30s)の外周面に横断面形状が矩形状の周方向溝(30c)が形成され、
該周方向溝(30c)に断面形状が矩形状の環状弁体(30d、30j、30q)が軸中心線方向ならびに軸中心線に対し接近・離隔する方向に移動可能な状態で嵌装されたことを特徴とする油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項2】
前記環状弁体(39d)に圧力オイルが加えられた状態では、該環状弁体(30d、30j、30q)の一側面が前記矩形状の前記周方向溝(30c)の一側面に密着することを特徴とする請求項1記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項3】
前記環状弁体(30d、30j、30q)は、周方向に一部が分割されて、この分割部分が拡大可能に弾性変形しうることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項4】
前記環状弁体(30j)の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体(30j)の両端面において周方向に間隔をなした位置で、該両端面からそれぞれ前記環状弁体の中心軸線と平行で、該両端面間の中間位置迄延長した切断面(30k)と、該両切断面(30k)の両端部を結ぶように、前記環状弁体の両端面と平行な切断面(30m)とで形成されたことを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項5】
前記環状弁体(30q)の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体(30q)の中心軸線に対し斜傾した切断面(30r)であることを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項6】
前記油圧テンショナ(0)の前記エア抜き弁収納孔(20h)に前記エア抜き弁ボディ(30b)が摺動可能に嵌装されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項7】
前記エア抜き弁ボディ(30b)は、上流側ボディ(30b1)と下流側ボディ(30b2)からなり、
前記上流側ボディ(30b1)が前記油圧テンショナ(0)のエア抜き弁収納孔(20h)に摺動可能に挿入された後、前記上流側ボディ(30b1)の下流側の端面に対し空隙部を存して前記下流側ボディ(30b2)が前記エア抜き弁収納孔(20h)に一体に装着され、
前記上流側ボディ(30b1)と前記下流側ボディ(30b2)との間に、前記上流側ボディ(30b1)を上流側に付勢するスプリング(30e)が介装されたことを特徴とする請求項6に記載の油圧テンショナ(0)。
【請求項8】
前記スプリング(30e)の少なくとも一部は、前記下流側ボディ(30b2)のエア排出孔(30i)に嵌装され、このスプリングはコイルスプリング(30e)であることを特徴とする請求項7に記載の油圧テンショナ(0)。
【請求項9】
前記油圧テンショナ(0)の前記エア抜き弁収納孔(20h)に前記エア抜き弁ボディ(30s)が一体に嵌着されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項10】
前記エア抜き弁ボディ(30b、30s)に、前記周方向溝(30c)よりエア流入側に位置して、端面(30b3)中心からエア流出側に向って流入孔(30a1)が形成されるとともに、該流入孔終端から、放射方向に向い周方向へ所定角を在して複数の放射方向孔(30a2)が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項11】
前記エア抜き弁ボディ(30b、30s)には、前記周方向溝(30c)より下流側の位置で前記油圧テンショナ(0)のテンショナボディ(20)外に連通するエア排出孔(30i、30t)が形成されるとともに、前記周方向溝(30c)より下流側のエア抜き弁ボディ(30,30s)の周面から前記エア排出孔(30i,30u)に向ってエア排出通路(30b4、30u)が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項の10いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項12】
前記油圧テンショナ(0)が、内燃機関(3)に取付けられた状態において、
前記エア抜き弁収納孔(20h)の上端が、プランジャ(23)を収納するプランジャ収納孔(20a)及び圧力保持弁(39)を収納する圧力保持弁収納孔(20f)よりも上方に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項11いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項1】
油圧テンショナ(0)の油圧回路内のオイル中の空気を分離排出し、オイル排出を抑制する弁体(39d)を有するエア抜き弁(30)において、
油圧テンショナ(0)のエア抜き弁収納孔(20h)にエア抜き弁ボディ(30b、30s)が嵌装され、
該エア抜き弁ボディ(30b、30s)の外周面に横断面形状が矩形状の周方向溝(30c)が形成され、
該周方向溝(30c)に断面形状が矩形状の環状弁体(30d、30j、30q)が軸中心線方向ならびに軸中心線に対し接近・離隔する方向に移動可能な状態で嵌装されたことを特徴とする油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項2】
前記環状弁体(39d)に圧力オイルが加えられた状態では、該環状弁体(30d、30j、30q)の一側面が前記矩形状の前記周方向溝(30c)の一側面に密着することを特徴とする請求項1記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項3】
前記環状弁体(30d、30j、30q)は、周方向に一部が分割されて、この分割部分が拡大可能に弾性変形しうることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項4】
前記環状弁体(30j)の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体(30j)の両端面において周方向に間隔をなした位置で、該両端面からそれぞれ前記環状弁体の中心軸線と平行で、該両端面間の中間位置迄延長した切断面(30k)と、該両切断面(30k)の両端部を結ぶように、前記環状弁体の両端面と平行な切断面(30m)とで形成されたことを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項5】
前記環状弁体(30q)の分割部分の側面視形状は、前記環状弁体(30q)の中心軸線に対し斜傾した切断面(30r)であることを特徴とする請求項3記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項6】
前記油圧テンショナ(0)の前記エア抜き弁収納孔(20h)に前記エア抜き弁ボディ(30b)が摺動可能に嵌装されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項7】
前記エア抜き弁ボディ(30b)は、上流側ボディ(30b1)と下流側ボディ(30b2)からなり、
前記上流側ボディ(30b1)が前記油圧テンショナ(0)のエア抜き弁収納孔(20h)に摺動可能に挿入された後、前記上流側ボディ(30b1)の下流側の端面に対し空隙部を存して前記下流側ボディ(30b2)が前記エア抜き弁収納孔(20h)に一体に装着され、
前記上流側ボディ(30b1)と前記下流側ボディ(30b2)との間に、前記上流側ボディ(30b1)を上流側に付勢するスプリング(30e)が介装されたことを特徴とする請求項6に記載の油圧テンショナ(0)。
【請求項8】
前記スプリング(30e)の少なくとも一部は、前記下流側ボディ(30b2)のエア排出孔(30i)に嵌装され、このスプリングはコイルスプリング(30e)であることを特徴とする請求項7に記載の油圧テンショナ(0)。
【請求項9】
前記油圧テンショナ(0)の前記エア抜き弁収納孔(20h)に前記エア抜き弁ボディ(30s)が一体に嵌着されたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項10】
前記エア抜き弁ボディ(30b、30s)に、前記周方向溝(30c)よりエア流入側に位置して、端面(30b3)中心からエア流出側に向って流入孔(30a1)が形成されるとともに、該流入孔終端から、放射方向に向い周方向へ所定角を在して複数の放射方向孔(30a2)が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項11】
前記エア抜き弁ボディ(30b、30s)には、前記周方向溝(30c)より下流側の位置で前記油圧テンショナ(0)のテンショナボディ(20)外に連通するエア排出孔(30i、30t)が形成されるとともに、前記周方向溝(30c)より下流側のエア抜き弁ボディ(30,30s)の周面から前記エア排出孔(30i,30u)に向ってエア排出通路(30b4、30u)が形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項の10いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【請求項12】
前記油圧テンショナ(0)が、内燃機関(3)に取付けられた状態において、
前記エア抜き弁収納孔(20h)の上端が、プランジャ(23)を収納するプランジャ収納孔(20a)及び圧力保持弁(39)を収納する圧力保持弁収納孔(20f)よりも上方に位置することを特徴とする請求項1ないし請求項11いずれかに記載の油圧テンショナ(0)のエア抜き弁(30)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−211644(P2012−211644A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77425(P2011−77425)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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