説明

油性アイライナー化粧料

【課題】本発明は、油性アイライナー化粧料に関し、角層のキメやしわなどににじまずラインが描ける使用性に優れ、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみやまばたきなどの連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果を有しながらも、クレンジングのしやすさに優れた油性アイライナー化粧料を提供するものである。
【解決手段】次の成分(A) RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂を配合したことを特徴とする油性アイライナー化粧料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性アイライナー化粧料に関し、さらに詳しくは、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂を配合することにより、角層のキメやしわに、にじまずラインが描ける使用性に優れ、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみや、まばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果を有しながらも、クレンジングのしやすさに優れた油性アイライナー化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油性アイライナー化粧料は、目の際に塗布することで、瞳を大きく見せ、目元をはっきりと美しく際立たせる化粧効果を持つものである。従来、これらの油性アイライナー化粧料は、ワックス類等の固形状油分、油溶性樹脂、着色顔料、光輝性顔料、体質粉体等の粉体、及び皮膜形成剤等から構成されており、多様な消費者ニーズに合わせて、化粧料としての使用感、及び機能性を演出するために、種々の配合検討が行われている。アイライナーの使用感及び機能性の両面を考慮して、有機変性粘土鉱物やデキストリン脂肪酸エステル、及び無水ケイ酸等の油性ゲル化剤の検討がなされている(例えば特許文献1、2、3参照)がある。また、目元を印象的にみせる同様の効果があるアイメイクアップ化粧料においては、その化粧持続効果を高めるために、重量平均分子量が10000〜200000の有機シリコーン樹脂、及び揮発性油分を配合した技術(例えば特許文献4参照)や、ハイドロフルオロエーテル、シリコーン系樹脂、顔料、及び有機変性粘土鉱物を配合した技術(例えば特許文献5参照)がある。さらには、仕上がりの化粧持続効果や使用性を高めるためにオルガノポリシルセスキオキサンに特定のシリコーン化合物を反応させて得られるシリコーン樹脂を配合した技術(例えば特許文献6参照)がある。
【0003】
【特許文献1】特許3019191号公報
【特許文献2】特開2001−187715号公報
【特許文献3】特開2007−261994号公報
【特許文献4】特開平9−124430号公報
【特許文献5】特開2005−255625号公報
【特許文献6】特許2636538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2参照の技術では経時安定性を確保するため高融点ワックスを高配合する必要性があり、化粧膜のツヤ感が損なわれたり、使用性の悪化といった問題が生じている。また、特許文献3参照の技術では滑らかな使用性ではあるものの、化粧膜の均一性に乏しく、経時による化粧膜の部分的な剥離といった問題が生じている。
特許文献4参照の技術では、化粧膜の柔軟性が少ないために亀裂が生じ、ツヤ感の低減や化粧持続効果がないといった問題が生じており、また特許文献5参照の技術では化粧膜強度が高すぎるため、クレンジングで落としにくいといった点で満足のいくものが得られていなかった。さらに、特許文献6参照の技術では化粧持続効果という点で十分満足のいくものが得られていなかった。
このため、角層のキメやしわに、にじまずラインが描ける使用性に優れ、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみや、まばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果を有しながらも、クレンジングのしやすさに優れた油性アイライナー化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油性アイライナー化粧料において、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂を配合することにより、ワックスの高配合によるツヤ感の損失や使用性の悪化、不均一な化粧膜による経時での化粧膜の部分的剥離、化粧膜の柔軟性不足よる化粧持続効果やツヤ感の低減、過剰に固い化粧膜によるクレンジングでの落としにくさといった上記問題点が解決し、角層のキメやしわに、にじまずラインが描ける使用性に優れ、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみや、まばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果を有しながらも、クレンジングのしやすさに優れた油性アイライナー化粧料を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂を配合したことを特徴とする油性アイライナー化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、角層のキメやしわに、にじまずラインが描ける使用性に優れ、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみや、まばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果を有しながらも、クレンジングのしやすさに優れた油性アイライナー化粧料を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(A)のRSiO1.5単位とRSiO0.5単位から成るシリコーン樹脂は、RSiO1.5単位より成るシラノール基含有オルガノポリシルセスキオキサン(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)のシラノール基を、トリオルガノシリル基で封鎖したものである。例えば、特開平4−312511号公報に記載のものを使用することができる。
具体的には、次の(A1)と(A2)とを反応させることで得ることができる。
(A1):RSiO1.5単位より成るシラノール基含有オルガノポリシルセスキオキサン(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)
(A2):(RSi)aZ(式中、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表し、aは1または2を表し、 Zはaが1のときは水素原子、水酸基、加水分解性基を表し、aが2のときは−O−,−N(X)−,−S−を表す。ここでXは水素原子、炭素数1〜4の1価炭化水素基またはRSi−を表す)で表されるシリコーン化合物
ここで、R、Rはそれぞれ互いに同一或いは相異なる置換または非置換の1価炭化水素基を表す。R、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基あるいはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。
ここでZの加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;プロペノキシ基などのアルケニルオキシ基;アセトキシ基、ベンゾキシ基などのアシロキシ基;アセトンオキシム基、ブタノンオキシム基などのオルガノオキシム基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基などのオルガノアミノキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などのオルガノアミノ基;N−メチルアセトアミド基などのオルガノアミド基などが例示される。この中でも、合成や入手のし易さにおいては、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、撥水性においては、メチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、フェニル基が好ましい。
【0009】
(A1)RSiO1.5単位より成るシラノール基含有オルガノポリシルセスキオキサンは、公知の方法で合成でき、例えばオルガノトリクロロシランやオルガノトリアルコキシシランを、過剰の水で加水分解、縮合反応させることにより得られる。
【0010】
(A2)(RSi)aZで表されるシリコーン化合物は、成分(A1)のシラノール基をシリル化するものである。(A2)としてはトリメチルシラン、トリエチルシランなどのハイドロジェンシラン;トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルクロロシランなどのクロロシラン;トリメチルシラノールなどのシラノール;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどのアルコキシシラン;アミノシラン;アシロキシシラン;ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、ビス[3,3,3−トリフルオロプロピル]テトラメチルジシラザンなどのシラザン等が例示される。
これらの中でも、反応の制御や未反応物の除去が容易なことから、シラザン類やクロロシラン類が好ましい。
【0011】
(A1)と(A2)の反応は、シラノール基をシリル化する公知の方法で行うことができる。例えば、(A2)がシラザンやクロロシランの場合は、(A1)と混合して加熱するだけで容易に反応は進行する。シリル化反応はその反応温度を制御したり、副反応の脱水縮合反応を抑制するために有機溶媒中で行うのが好ましい。このような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、工業用ガソリン、ミネラルスピリット、ケロシンなどの炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの塩素化炭化水素系溶剤などがあげられる。反応温度は特に制限はないが、好ましくは室温から200℃の範囲において任意に定めればよい。反応によって生成する塩酸、アンモニア、塩化アンモニウム、アルコールなどは水洗により除去、もしくは溶媒と同時に留去することができる。
【0012】
成分(A)のシリコーン樹脂は、RSiO1.5単位とRSiO0.5単位のモル比が19:1〜2:1が好ましく、より好ましくはRSiO1.5単位とRSiO0.5単位のモル比が8:1〜5:1である。前記モル比において、RSiO0.5単位が1に対してRSiO1.5単位が19より大きいと本発明の効果が十分得られないことがあり、2より小さいと、樹脂の合成が困難となることがある。
【0013】
成分(A)のシリコーン樹脂の軟化点は、60℃〜95℃が好ましく、より好ましくは70℃〜90℃である。この範囲であれば、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみやまばたきなどの連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果に優れた油性アイライナー化粧料が得られる。なお、軟化点はJIS C 2104の環球式軟化点測定法を用いて得られた値である。
【0014】
(A)のシリコーン樹脂の重量平均分子量は、10,000〜50,000が好ましく、特に好ましくは20,000〜40,000である。分子量が10,000より大きいと化粧膜の部分的な剥離がしにくく良好な化粧持続効果を保ち、角層のキメやしわににじまず使用性が良好であり、また分子量が50,000より小さいと、クレンジングの際に化粧膜をきれいに落としやすい。なお、重量平均分子量はGPC(HLC−802U、東ソー(株)製)を用いて(ポリスチレン換算の)得られた値である。
【0015】
本発明の油性アイライナー化粧料における成分(A)の配合量は、特に限定されないが、0.1〜20質量%(以下単に「%」で示す。)が好ましく、1〜10%がより好ましい。この範囲であれば、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみや、まばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果、クレンジングのしやすさの点で満足のいくものが得られる。
【0016】
本発明の油性アイライナー化粧料は成分(A)を配合するときに、さらに成分(B)油性ゲル化剤を配合することで、角層のキメやしわに、にじまずラインを描くことができ、使用性が格段に向上する。成分(B)油性ゲル化剤としては、通常化粧料原料として使用される油性ゲル化剤であれば特に限定されず、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、でんぷんパルミチン酸エステル、バクモンドウ由来の糖のステアリン酸エステル等のオリゴ糖や多糖と脂肪酸とのエステル、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩変性モンモリロナイト等の有機変性粘土鉱物、12−ヒドロキシステアリン酸、無水ケイ酸等があげられる。中でも、オリゴ糖や多糖と脂肪酸とのエステルが好ましい。
【0017】
オリゴ糖や多糖と脂肪酸とのエステルの中でも、デキストリンと脂肪酸のエステルが、使用時、滑らかなラインを描くことができ、キメ等ににじむことがないという点で特に好ましい。例えば、デキストリンと炭素数8〜22の高級脂肪酸とのエステルが挙げられ、具体的には、オクタン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン、ヤシ油脂肪酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン等が挙げられる。このうちパルミチン酸デキストリンが使用性の面から最も好ましい。これらのデキストリン脂肪酸エステルの市販品としては、レオパールKL、レオパールKE、レオパールTT、レオパールTL(いずれも千葉製粉社製)などが挙げられる。
【0018】
成分(B)は必要に応じて1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は、特に限定されないが0.1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。この範囲であれば、角層のキメやしわに、にじまずラインが描ける使用性という点で満足のいくものが得られる。
【0019】
本発明の油性アイライナー化粧料に配合される成分(C)揮発性油剤は成分(A)の溶剤として使用されるものであるが、成分(C)を配合することで、角層のキメやしわなどににじまずラインが描ける使用性が格段に向上する。成分(C)揮発性油剤は1気圧、25℃において揮発性であり、通常化粧料原料として使用されるものであれば特に限定されず、具体的には、軽質流動イソパラフィン、低分子量ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられるが、中でも軽質流動イソパラフィンが好ましい。市販品としては、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エクソンモービル化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン TMF−1.5(信越化学工業社製)などが挙げられる。
【0020】
成分(C)は必要に応じて1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は、特に限定されないが10〜80%が好ましく、20〜60%がより好ましい。この範囲であれば、角層のキメやしわに、にじまずラインが描ける使用性という点で満足のいくものが得られる。
【0021】
本発明の油性アイライナー化粧料は成分(A)を配合するときに、さらに成分(D)アクリル−シリコーングラフト共重合体を配合することにより、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみやまばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果が格段に向上する。アクリル−シリコーングラフト共重合体は、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとのラジカル重合体で、市販品は、アクリル−シリコーングラフト共重合体を溶剤に溶解したものとして、KP541(固形分60%、溶媒:イソプロパノール)、KP545(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)、KP575(固形分30%、溶媒:デカメチルシクロペンタシロキサン)(いずれも信越化学工業社製)が挙げられる。
【0022】
成分(D)は必要に応じて1種又は2種以上を使用することができ、その配合量は、特に限定されないが0.1〜10%が好ましく、1〜5%がより好ましい。この範囲であれば、ツヤ感が良好で、皮脂とのにじみやまばたき等の連続運動による化粧膜の部分的な剥離を防ぐ化粧持続効果、クレンジングのしやすさの点で満足のいくものが得られる。
【0023】
本発明の油性アイライナー化粧料には、上記の構成成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲において、メーキャップ効果、感触調整効果、エモリエント効果等を付与するための粉体、油脂、エステル油、炭化水素油等の液状油やワックス、ロウ類、及び界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤等、通常化粧品に配合される他の成分を配合することができる。
特に粉体成分としては、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等に特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、紺青、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N―アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム等が挙げられ、これら1種又は2種以上用いることができる。またこれら粉体は、1種又は2種以上の複合化したものも用いてもよく、その表面処理を油剤処理、シリコーン化合物処理、水溶性高分子処理等を施してあってもよい。
必須成分以外の油性成分としては動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス類、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等の天然ワックス類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリルトリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類等が挙げられ、これら1種又は2種以上用いることができる。
また、界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であれば特に制約はなく、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。
さらに、水性成分としては、水の他に、例えば、エチアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられ、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられ、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられ、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられ、防腐剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1,2ペンタジオール等が挙げられる。
【0024】
本発明の油性アイライナー化粧料とは、油剤や油溶性化合物である油性成分が連続相であればよく、液状、ゲル状、クリーム状、固形状等の形状や、非水型、油中水型等の性状に限定するものではない。
【0025】
(製造例1)
<シリコーン樹脂1>
メチルトリイソプロポキシシラン220部(1モル)とトルエン150部をフラスコに仕込み、1%塩酸水溶液108部を20分間かけて滴下し、該シランを加水分解した。滴下40分後に攪拌を止め、分液後有機層を水洗して塩酸を除去し、さらにトルエンを減圧除去して、分子量12,000で軟化点115℃のシラノール基含有量1.2%のメチルポリシルセスキオキサンを調製した。次に該メチルポリシルセスキオキサン100部、トルエン200部、トリメチルクロロシラン10部およびヘキサメチルジシラザン50部をフラスコに仕込み、加熱攪拌を行った。トルエンの還流温度で2時間加熱攪拌後、反応によって生じたアンモニア、塩酸或いはそれらの塩を水洗によって除去し、さらにトルエンを減圧留去してトリメチルシリル化された、軟化点80℃のシリコーン樹脂1を得た。
(製造例2)
<シリコーン樹脂2>
トリメチルクロロシランおよびヘキサメチルジシラザンの代わりに、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルクロロシランおよびビス〔3,3,3−トリフルオロプロピル〕テトラメチルジシラザンを使った他は、調製例1と同様にしてメチルポリシルセスキオキサンを処理し、軟化点85℃のシリル化されたシリコーン樹脂2を得た。
【0026】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0027】
実施例1〜7及び比較例1〜2:非水型アイライナー化粧料(液状)
下記表1に示す処方の非水型アイライナー化粧料を調製し、使用性やツヤ感といった化粧効果、化粧効果の持続性、クレンジングのしやすさについて下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
*1:KP545(信越化学工業社製)(固形分30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
*2:KF7312J(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
*3:ブチルワックス201(興立化学社製)
*4:レオパールTL2(千葉製粉社製)
*5:BENTONE 38V BC(エレメンティス社製)
*6:AEROSIL 300(日本アエロジル社製)
*7:IPソルベント 1620MU(出光興産社製)
*8:タロックスブラック BL−100(チタン工業社製)

(製法)
A.成分(1)〜(7)を110℃まで加熱溶解する。
B.成分(10)又は(11)の一部と(8)〜(9)を混合し膨潤する。
C.AにBと成分(10)又は(11)の残部を加え均一に混合する。
D.Cに成分(12)〜(13)を加え、均一に混合する。
E.Dを容器に充填してアイライナーを得た。
【0030】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
a.使用性(キメへのにじみのなさ)
b.化粧効果(ツヤ感)
c.化粧効果の持続(耐皮脂性)
d.化粧効果の持続(部分的な剥離のしにくさ)
e.クレンジングのしやすさ
a〜eの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が下記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。なお、c及びdの化粧効果の持続性については各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらった後、6時間後に涙や汗などでにじんだり、部分的な剥離をしていないかを評価した。また、eのクレンジングのしやすさについては各試料を塗布し、パネルに通常生活をしてもらった後、下記評価用メイクアップリムーバーをコットンに約0.5gとり、3回ふき取り使用してもらったときの落ちやすさを評価した。表1には、判定および( )内に評価の平均値を記載した。
【0031】
(評価用メイクアップリムーバー)
(成分) (%)
(1)プロピレングリコール 7
(2)ジプロピレングリコール 5
(3)パラオキシ安息香酸メチル 0.15
(4)精製水 残量
(5)ジカプリル酸プロピレングリコール 6
(6)軽質流動イソパラフィン 8
(7)デカメチルシクロペンタシロキサン 6
(製造方法)
A.成分(1)〜(4)を均一に混合する。
B.成分(5)〜(7)を均一に混合する。
C.A、Bを容器に充填して評価用メイクアップリムーバーを得た。
【0032】
絶対評価基準
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
【0033】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える :非常に良好
○:3.5点を超え5点以下:良好
△:1点を超え3.5点以下:やや不良
×:1点以下 :不良
【0034】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜7の非水型アイライナー化粧料は、比較例1〜2の非水型アイライナー化粧料に比べ、角層のキメやしわなどににじまずラインが描ける使用性に優れ、化粧膜のツヤ感、耐皮脂性の化粧持続効果、化粧膜の部分的な剥離のしにくさ、クレンジングのしやすさの全てにおいて優れたものであった。
一方、成分(A)を配合しない比較例1では、使用性や化粧膜のツヤ感、化粧膜の部分的な剥離のしにくさの点で、特に満足のいくものが得られず、実施例1の成分(A)をトリメチルシロキシケイ酸に置き換えた比較例2では、化粧膜のツヤ感や耐皮脂性、部分的な剥離のしにくさ、クレンジングのしやすさという点で特に満足のいくものが得られなかった。
【0035】
実施例8〜14及び比較例3〜4:油中水乳化型アイライナー化粧料(ゲル状)
下記表2に示す処方の油中水乳化型アイライナー化粧料を調製し、使用性やツヤ感といった化粧効果、化粧効果の持続性、クレンジングのしやすさについて下記の方法により評価した。その結果も併せて表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
* 9:ABIL EM−90 (EVONIC GOLDSCHMIDT社製)
*10:パールリーム46(日油社製)
*11:KF−995(信越化学工業社製)
*12:サラコス816T(PATECH FINE CHEMICAL社製)
*13:レオパールKL2 (千葉製粉社製)
【0038】
(製法)
A.成分(1)〜(11)を95℃まで加熱混合する。
B.Aに成分(12)及び(13)を加え、ロールミルにて均一に混合分散する。
C.成分(14)〜(17)を室温にて均一に混合溶解する。
D.BにCを加えて、室温にて乳化する。
E.Dを容器に充填してアイライナーを得た。
【0039】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
a.使用性(キメへのにじみのなさ)
b.化粧効果(ツヤ感)
c.化粧効果の持続(耐皮脂性)
d.化粧効果の持続(部分的な剥離のしにくさ)
e.クレンジングのしやすさ
a〜eの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。パネル各人が前記絶対評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、各試料についてパネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。なお、c及びdの化粧効果の持続性については各試料を塗布し、パネルに通常の生活をしてもらった後、6時間後に涙や汗などでにじんだり、部分的な剥離をしていないかを評価した。また、eのクレンジングのしやすさについては各試料を塗布し、パネルに通常生活をしてもらった後、前記評価用メイクアップリムーバーをコットンに約0.5gとり、3回ふき取り使用してもらったときの落ちやすさを評価した。
【0040】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例8〜14の油中水乳化型アイライナーは、比較例3〜4のアイライナーに比べ、角層のキメやしわににじまずラインが描ける使用性に優れ、化粧膜のツヤ感、耐皮脂性の化粧持続効果、化粧膜の部分的な剥離のしにくさ、クレンジングのしやすさの全てにおいて優れたものであった。
一方、成分(A)を配合しない比較例3では、使用性や化粧膜のツヤ感、化粧膜の部分的な剥離のしにくさの点で、特に満足のいくものが得られず、成分(A)をトリメチルシロキシケイ酸に置き換えた比較例4では、化粧膜のツヤ感や耐皮脂性、部分的な剥離のしにくさ、クレンジングのしやすさでという点で特に満足のいくものが得られなかった。
【0041】
実施例15:非水型アイライナー化粧料(固形状)
(成分) (%)
(1)製造例1のシリコーン樹脂1 10
(2)ポリエチレンワックス 15
(3)マイクロクリスタリンワックス 2.5
(4)軽質流動イソパラフィン*7 残量
(5)デカメチルシクロペンタシロキサン 20
(6)有機変性ベントナイト*5 1.5
(7)炭酸プロピレン 0.5
(8)黒酸化鉄*8 20
【0042】
(製法)
A.成分(1)〜(7)を100℃まで加熱溶解する。
B.Aに成分(8)を加えロールミルにて均一に分散させる。
C.Bを容器に充填し製品とする。
【0043】
本発明の実施例15の非水系アイライナーは、角層のキメやしわににじまずラインが描ける使用性に優れ、化粧膜のツヤ感、耐皮脂性の化粧持続効果、化粧膜の部分的な剥離のしにくさ、クレンジングのしやすさの全てにおいて優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)RSiO1.5単位とRSiO0.5単位(式中、R、Rは置換または非置換の1価炭化水素基を表す)から成るシリコーン樹脂を配合したことを特徴とする油性アイライナー化粧料。
【請求項2】
前記成分(A)のRSiO1.5単位とRSiO0.5単位のモル比が19:1〜2:1であることを特徴とする請求項1に記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)の軟化点が60℃〜95℃であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項4】
さらに、成分(B)として油性ゲル化剤を配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項5】
成分(B)の油性ゲル化剤がデキストリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項6】
さらに、成分(C)として揮発性油剤を配合することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項7】
成分(C)の揮発性油剤が軽質流動イソパラフィンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料。
【請求項8】
さらに、成分(D)としてアクリル−シリコーングラフト共重合体を配合することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の油性アイライナー化粧料

【公開番号】特開2010−116367(P2010−116367A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291954(P2008−291954)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】