説明

油性口唇化粧料

【課題】糸曳きが生じず、滑らかな感触が持続する油性口唇化粧料の提供。
【解決手段】平均分子量10万〜300万の(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体又は水添(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体を含有する油性口唇化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性口唇化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油性化粧料を使用する目的のひとつに、口唇や皮膚に滑らかな油剤の感触を付与することが挙げられる。しかしながら、べとつきがなく滑らかな感触をもつ油剤は、唇や皮膚への残留性に乏しいため、滑らかな感触を持続させることが困難である。
【0003】
マッサージ剤など水系の化粧料では、分子量の大きい水溶性高分子を配合することにより、滑らかな感触を付与できることが知られている。油性化粧料でも同様に、分子量の大きい高分子化合物(ポリイソプレンやポリエーテルなど)を用いることで(例えば、特許文献1)、同様に滑らかな感触を向上させることが可能である。しかしながら、このような高分子化合物を用いると、塗布したときに強い糸曳きが生じてしまう。このことは、特に、唇をすりあわせることの多い口唇化粧料において、重要な問題であった。
【0004】
一方、口唇化粧料には、光沢や耐油性に優れ、色移りしないことが求められている。この目的のため、種々の樹脂類が用いられている(例えば、特許文献2、特許文献3)。しかしながら、糸曳きについての検討はなされていなかった。
【特許文献1】国際公開第99/42513号パンフレット
【特許文献2】特開2007−23037号公報
【特許文献3】特開2007−23035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、糸曳きを生じず、滑らかな感触が持続する油性口唇化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定のジブロック共重合体を用いれば、糸曳きを生じず、滑らかな感触が持続する油性口唇化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、数平均分子量10万〜300万の(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体又は水添(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体を含有する油性口唇化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油性口唇化粧料は、糸曳きを生じず、滑らかな感触が持続するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においては、(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体又は水添(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体を用いる。これらは、スチレンとイソプレンのAB型ブロック共重合体、及び、このポリマーに水添したもので、いずれもABA型ブロック共重合体を含まない。
【0010】
これらのジブロック共重合体は、数平均分子量10万〜300万、好ましくは15万〜150万のものである。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーション液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖ポリスチレンを標準として定められた較正曲線、屈折率検出器)によって求められる。この範囲内のものを用いることにより、糸曳きを生じず、滑らかな感触が持続する。
また、スチレンと、イソプレン又は水添されたイソプレンとの重合割合は、10/90〜50/50、特に20/80〜40/60であるのが、滑らかな感触の点で好ましい。
【0011】
ジブロック共重合体は、スクワランと混合して5質量%溶液になるように調整し、80℃に加熱したときに、均一溶解するものであるのが、塗布時の伸びの良好さ点で好ましい。また、同条件で、リンゴ酸ジイソステアリルにも均一溶解するのが、塗布時の伸びの良好さ点で好ましい。
さらに、ジブロック共重合体は、スクワラン5質量%溶液の25℃における粘度が500〜50,000mPa・s、特に1,000〜35,000mPa・sであるのが、滑らかな感触(伸びの良さ)の点で好ましい。なお、粘度は、B型粘度計(回転数6rpmとローターNo.4)により測定するものである。なお、トリブロック共重合体は、油剤に溶け難くゴム状になるので、製剤化の際、含有しないことが好ましい。
【0012】
このようなジブロック共重合体としては、例えば、クレイトン社製のKratonG1702等の市販品を用いることができる。
【0013】
ジブロック共重合体は、全組成中に0.1〜10質量%、特に1〜7質量%含有するのが、滑らかな感触の点で好ましい。
【0014】
本発明の油性口唇化粧料は、更に、炭化水素油及びエステル油から選ばれる液状油を含有するのが、塗布時の伸びの良好さの点で好ましい。
かかる液状油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン等の炭化水素油;ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、カカオ油、ヒマシ油、ホホバ油、オリーブ油、アボガド油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油等の油脂類等の脂肪酸エステル油が挙げられる。
【0015】
これらの液状油は、全組成中に30〜90質量%、特に40〜70質量%含有するのが、塗布時の伸びの良好さ点で好ましい。
【0016】
また、これら以外の液状油、例えば、イソノナン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類;ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等シリコーン油;フッ素油などを含有することもできる。
【0017】
本発明の油性口唇化粧料は、更に、セラミド類及び変性多糖類から選ばれる油溶性成分を含有するのが、滑らかな感触の点で好ましい。
【0018】
セラミド類としては、一般式(1)で表わされるものが挙げられる。
【0019】
【化1】

【0020】
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X2、X3及びX4は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X2とX3のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X1がオキソ基を形成するとき、X4は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R4はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R5は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)
【0021】
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子である。
Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子のいずれかを示す。
【0022】
2、X3及びX4は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示す。特にX2、X3及びX4のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子であるのが好ましい。Zがメチン基のとき、X2とX3のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X1は水素原子かグリセリル基であるのが好ましい。
2及びR3は、水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、好ましいR2は水素原子又はヒドロキシメチル基であり、好ましいR3は水素原子である。
【0023】
4は、ヒドロキシル基、カルボキシ基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。好ましくは、ヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシル基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが挙げられる。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。
【0024】
5は、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。特に、R1が水素原子、Zが酸素原子のときR5は総炭素数10〜30の炭化水素基であるのが好ましく、また、R1が炭化水素基であるときR5は総炭素数1〜8の炭化水素基であるのが好ましい。このうち水素原子あるいは、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表わされるセラミド類としては、特に次の一般式(2)又は(3)で表わされるセラミド類であることが好ましい。
(I)一般式(2)で表わされる天然又は天然型セラミド類、及びその誘導体(以下、天然型セラミドと記載する。)。
【0026】
【化2】

【0027】
(式中、R11はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X5、X6、及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X8は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X8がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R12はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R13は水素原子を示すか、炭素数1〜4のアルキル基を示し;R14はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0028】
好ましくは、R11が炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;、R14がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9〜27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9〜27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X8は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R14としては、トリコシル、1−ヒドロキシペンタデシル、1−ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1−ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0029】
天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759(1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0030】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にCERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0031】
【化3】

【0032】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
このような天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC-001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(以上、DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)が挙げられる。
【0033】
【化4】

【0034】
(II)一般式(3)で表わされる擬似型セラミド。
【0035】
【化5】

【0036】
(式中、R15は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X9は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R16はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R17は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基を示す)
【0037】
16としては、特にノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
【0038】
17は、R15が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10〜30の、好ましくは総炭素数12〜20のアルキル基であり、R15がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示すのものが好ましい。R17のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0039】
一般式(3)としては、R15がヘキサデシル基、X9が水素原子、R16がペンタデシル基、R17がヒドロキシエチル基のもの;R15がヘキサデシル基、X9が水素原子、R16がノニル基、R17がヒドロキシエチル基のもの;又はR15がヘキサデシル基、X9がグリセリル基、R16がトリデシル基、R17が3−メトキシプロピル基の擬似型セラミド類が好ましく、一般式(3)のR15がヘキサデシル基、X9が水素原子、R16がペンタデシル基、R17がヒドロキシエチル基のものが特に好ましい。
【0040】
また、変性多糖類としては、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル等が挙げられ、この中でデキストリン脂肪酸エステルが、滑らかな感触の点で好ましい。
【0041】
セラミド類及び変性多糖類から選ばれる油溶性成分は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%含有するのが、滑らかな感触の点で好ましい。
【0042】
本発明の油性口唇化粧料は、更に、セレシン、マイクロクリスタリンワックス及びエチレンプロピレンコポリマーから選ばれる固形状分岐炭化水素油を含有することができる。これらを含有することにより、滑らかな感触の持続の点で好ましい。
【0043】
これらの固形状分岐炭化水素油は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜10質量%、特に1〜8質量%含有するのが、滑らかな感触の持続の点で好ましい。
【0044】
本発明においては、(1)ジブロック共重合体と、(2)炭化水素油及びエステル油から選ばれる液状油と、(3)セレシン、マイクロクリスタリンワックス及びエチレンプロピレンコポリマーから選ばれる固形状分岐炭化水素油の質量割合が、(1):(2):(3)=0.1〜10:30〜90:0.5〜10であるのが、糸曳きがなく、滑らかな感触が持続する点で好ましい。
【0045】
また、前記以外に、常温で固体又は半固体の油剤、例えば、ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ等の植物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、パラフィンワックス、ペトロラタム等の鉱物性ワックス;ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、硬化ひまし油、水素添加ホホバ油、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、シリコーンワックス等の合成ワックス;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸などを含有することもできる。
【0046】
さらに、本発明の油性口唇化粧料は、前記成分以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、着色顔料、染料、体質顔料、界面活性剤、酸化防止剤、香料、色素、アルコール、多価アルコール、防汚剤、紫外線吸収剤、保湿剤等を含有することができる。
なお、本発明の油性口唇化粧料は、塗布時の感触を良くするため、実質的に水を含有しないことが好ましい。実質的に水を含有しないとは、原料に自然に含まれている水以外に、積極的に水を添加しないことを意味する。
【0047】
本発明の油性口唇化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、例えば口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、口紅用下地、口紅用オーバーコート等として適用することができる。
【実施例】
【0048】
合成例1(ジブロック重合体2)
窒素下シクロヘキサン中、30℃で、103質量部のスチレンに0.38質量部のn−BuLiを開始剤として加えて重合し(スチレン部)、更にイソプレン150質量部を加える。最後に2−プロパノールを添加して重合を停止し、精製した。得られたジブロック重合体は、乾燥後、粉末にした。数平均分子量50万で、スチレン:イソプレン=4:6のものが得られた。
【0049】
合成例2(ジブロック重合体3)
上記で得られたジブロック重合体2をジオキサンに溶解し、室温、水素雰囲気下、10%Pd/Cを加え、水添した。得られた重合体は精製し、乾燥後、粉末にした。
【0050】
次に、クレイトン社製のKratonG1702、ジブロック重合体2、ジブロック重合体3それぞれをスクワランに加え、5質量%溶液となるように調整し、80℃に加熱した。いずれも均一に溶解することを確認した。
【0051】
実施例1〜8及び比較例1〜4
表1に示す組成の口紅を製造し、滑り、糸曳き及び滑らかさを評価した。結果を表1に併せて示す。
【0052】
(製造方法)
基剤原料(色材以外)を加熱融解して均一に混合した。次に、これに色材原料を加えて加熱状態でディスパーザーにて均一に分散させ、脱泡した後型に流し込んで成型し、口紅を得た。
【0053】
(評価方法)
(1)滑り:
ウレタン製の人工皮革に口紅を塗布し、表面性試験機(トライポギア Type 32)を用いて動摩擦係数を測定した。
a)滑り評価(直後);
◎;動摩擦係数 0.2未満。
○;動摩擦係数 0.2以上0.3未満。
△;動摩擦係数 0.3以上0.4未満。
×;動摩擦係数 0.4以上。
【0054】
b)滑り評価(ティッシュオフ後;経時に相当);
◎;動摩擦係数 0.4未満。
○;動摩擦係数 0.4以上0.5未満。
△;動摩擦係数 0.5以上0.6未満。
×;動摩擦係数 0.6以上。
【0055】
(2)糸曳き:
口紅を指の間でこねた時に、指の間で糸が切れるかどうかを評価した。
◎;全く糸を曳かない。
○;角が立つが直ぐ切れる。
△;時間が掛かるが糸は切れる。
×;糸が切れない。
【0056】
(3)滑らかさ(官能評価):
専門パネラーにより、口紅を使用したときの滑らかさを官能評価した。
a)滑らかさ(直後);
◎;10名中8名以上が良好と評価した。
○;10名中6〜7名が良好と評価した。
△;10名中4〜5名が良好と評価した。
×;10名中3名以下が良好と評価した。
【0057】
b)滑らかさ(経時);
◎;10名中8名以上が良好と評価した。
○;10名中6〜7名が良好と評価した。
△;10名中4〜5名が良好と評価した。
×;10名中3名以下が良好と評価した。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
表1の結果より、本発明の口紅はいずれも、糸曳きが生じず、滑らかな感触が持続するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量10万〜300万の(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体又は水添(スチレン-イソプレン)ジブロック共重合体を含有する油性口唇化粧料。
【請求項2】
ジブロック共重合体が、スクワラン中5質量%で、80℃に加熱したときに、均一溶解するものである請求項1記載の油性口唇化粧料。
【請求項3】
炭化水素油及びエステル油から選ばれる液状油を含有する請求項1又は2記載の油性口唇化粧料。
【請求項4】
更に、セラミド類及び変性多糖類から選ばれる油溶性成分を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の油性口唇化粧料。
【請求項5】
更に、セレシン、マイクロクリスタリンワックス及びエチレンプロピレンコポリマーから選ばれる固形状分岐炭化水素油を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の油性口唇化粧料。

【公開番号】特開2009−155285(P2009−155285A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336610(P2007−336610)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】