説明

油性磁気流体の調製方法

【課題】如何なる化学試薬を加える必要がなく、設備も簡単で、容易に操作できる油性磁気流体の調製方法を提供する。
【解決手段】油性磁気流体の調製方法は、ジアミノ化合物もしくは有機抜取剤の架け橋剤を含む。一端に油性物質を連接し、別一端にはカルボキシル基の界面活性剤と相互に連接する。この端には別に界面活性剤のナノ磁気金属酸化合物と結合し、油性物質は磁性を具えた油性磁気流体である。この他、本発明は、水中に浮遊する油及び有機成分に対して無機金属イオン廃水処理に応用でき、この油性磁気流体は、簡単に磁場を制御して、水中の有機及び金属成分を分離、回収処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性磁気流体の調製方法に関するもので、特に油性磁気流体が流体内の有機物質、油性物質及び金属イオンを吸い付け、外からの磁場を加えることにより、流体中から分離し、処理もしくは浄化する方法である。
【背景技術】
【0002】
磁気物質は過去に録音テープ、ディスク、録画テープ等の磁気記憶材の調製、及び印刷インクやペンキ、塗料等の建材、磁気スイッチ、回転軸等の機械用途に広く使用されている。最近では調製方法が留まることなく研究され、多くの新しい応用領域で発展している。例として、薬品、タンパク質、DNAの純化等の生物医学応用及び環境廃棄物の処理等がある。例として、特許文献1である極性の炭水化物溶液内に磁性顆粒を混合し、1000nmより小さい粒径の磁性物質を精製し、細胞の分離、純化に応用している。この種の磁性分離の技術は、処理したい物質の特性を二種に分けている。(1)外から加えた磁場によって、本体が具える磁性物質を分離する。(2)磁性を具えない物質を先ず磁性材料を結合して一つにして、その後外から磁場を加えて分離する。そのうち、非磁性物質を有効に磁性材と結合させる為には、異なる磁性材の種類と調製方法が大切な鍵となる。
【0003】
磁性物質に関して、対象及び必要が異なれば、異なる調製方法となる。調製方法でよく見かけるのが、(1)機械研磨方式で、特許文献2は有機担体を利用している。例としてグリコール(glycol)、エステル(ester)、磁性粒子及びプラスイオン界面活性剤等の物質を機械で研磨して磁気流体を精製し、計算機磁気盤設計の電導性及び密封効果を改善している。(2)酸化反応方式で、特許文献3は、第一鉄溶液(ferrous solution)とリン酸塩化合物、例としてオルトリン酸ナトリウム(sodium orthophosphate)及びアルカリ性水酸化合物を使用して水酸化鉄IIを反応生成し、続いて酸素を通して酸化反応させ、鉄酸化磁性粉体を生成する。(3)化学共沈法で、特許文献4は、磁性鉄粉、例としてマンガン亜鉛及びニッケル亜鉛等の鉄酸化合物と、金、銀、銅、アルミニウム、石墨等導電性粒子を混合し、磁気流体を生成して電磁バルブスイッチに応用する。磁性粒子自身は相互に引き合い集まる性質があり、そのため調製過程で顆粒表面処理を行わなければならない。顆粒間を有効に離し、直径の小さい粉体にすると、溶剤内で分散しやすく流体状態になる。同時に調製が完了した油性磁気流体には、親油性もしくは親水性を具えているため、表面処理の方法はそれぞれ異なる。
【0004】
油性磁気流体の調製方法は、特許文献5に示すとおり、低沸点の有機溶剤を使用して親水基の有機分散剤内に加える。磁性顆粒をその中に分散させ、続いて蒸発方式で低沸点有機溶剤を除去する。このようにして油性磁気流体を生成し、真空儀器の密封設計に応用する。また、特許文献6は、αーFe23粉体、油(Ampro Type II oil)と界面活性剤(polyolefin anhydride)を混合して泥状にし、続いて研磨方式で油性磁気流体を生成する。磁性顆粒を直接機械で研磨することにより、油と界面活性剤が磁性顆粒表面に付着し、相互に結合力が小さくなり、表面の結合物質が落ちやすくなり、使用効果に影響を及ぼす。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,687,748号(1978)明細書
【特許文献2】米国特許第4,604,222号(1986)明細書
【特許文献3】米国特許第6,140,001号(2000)明細書
【特許文献4】米国特許第6,743,371号(2004)明細書
【特許文献5】米国特許第5,124,060号(1992)明細書
【特許文献6】米国特許第6,068,785号(2000)明細書
【0006】
磁気流体は一般に、磁性記憶材、機械回転軸設計などによく使用される。しかし、水中に浮かぶ油もしくは微量の有機成分の除去及び無機廃水中の金属イオンの処理に関しては余り応用されておらず、有機成分を含む廃水は通常、熱処理もしくは化学酸化破壊方式を採用する。しかし、コストがかかり、化学試薬を添加しなければならないので、二次廃水の問題がある。金属イオンを含む廃水は、従来薬を加えて沈殿させる方式の他に、薄膜分離等物理処理方式があり、化学試薬を加えなくてもよいのだが、設備コストが高く、技術性も高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、油性磁気流体の調製方法を提供し、化合物の作用基の架け橋作用によって化学反応し、磁性物質がより有効に油性物質と結合し、安定した油性磁気流体を形成する。更に外から磁場作用を加え、油性磁気流体に流体中の有機物質もしくは金属イオンを吸い付けた後、流体から分離し、処理もしくは浄化する。
【0008】
本発明の次の目的は、油性磁気流体の調製方法を提供し、その油性磁気流体には磁性及び流体の流動性を具え、流体(例として廃水)と混合すると、流体の有機物及び金属イオンを吸いつけて結合し、水に溶けない。処理の過程で、促進剤、酸化剤及びその他如何なる化学薬品を添加する必要がなく、処理費用を節約するだけでなく、促進剤の回収の必要もなく、磁力作用を利用して有機物と金属イオンを吸いつけた油性磁気流体と水を相互に分離し、如何なる油性物質が残留することなく、且つ操作も非常に簡単である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ジアミノ化合物もしくは有機抜取剤の架け橋剤を含む。一端に油性物質を連接し、別一端にはカルボキシル基の界面活性剤と相互に連接する。この端には別に界面活性剤のナノ磁気金属酸化合物と結合し、油性物質は磁性を具えた油性磁気流体である。この他、本発明は、水中に浮遊する油及び有機成分に対して無機金属イオン廃水処理に応用でき、この油性磁気流体は、簡単に磁場を制御して、水中の有機及び金属成分を分離、回収処理することを最も主要な特徴とする。
【0010】
油性磁気流体に親油性を具えた界面と磁性酸化粉体の間に非常に強い結合力を持たせるため、鉄酸化金属酸化物を調製する過程に於いて、カルボキシル基作用基を含む界面活性剤を加え、その二者を同時に反応させて表面にカルボキシル基作用基を含む鉄酸化磁性物質を生成し、架け橋反応と別の調製完了の油性物質で油性磁気流体を生成する。磁性物質とその化合物間に化学反応が発生するため、強い結合力が発生し、安定性も高い。
【0011】
請求項1の発明は、油性磁気流体の調製方法において、主なステップは、下述の方法を含み、
ジアミノ化合物に油性物質を加えてジアミノ油性化合物を生成し、
カルボキシル化合物にジアミノ油性化合物を加えて、カルボキシル基ジアミノ結合油を生成し、
鉄イオン溶液にカルボキシル化合物を混合し、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を生成し、
カルボキシル基アミノ基結合油にカルボキシル基磁気鉄酸化合物を加え、油性磁気流体を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ジアミノ化合物は、尿素もしくはその他のジアミノ化合物を含むものから一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性物質は、サラダ油もしくはその他の有機溶剤の中から一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル化合物は、ウンデカン酸(undecenoic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)もしくはカプロン酸(caproic acid)の中から一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ジアミノ化合物を加えた油性物質は、ジアミノ油性化合物を得るステップで、ジアミノ化合物は尿素であり、油性物質はサラダ油であり、その製造ステップは、下述を含み、
尿素を水中で溶かして、同容量のアルコールを加え、蒸発・凝縮サイクルに於いて70〜90℃で加熱し、
サラダ油50ミリリットルを取り出して同容積の酢酸アセテートで希釈後、尿素溶液を垂らし入れ、30分加熱し、
室温まで冷却後、水洗いし、遠心分離でジアミノ油性化合物、即ち尿素結合油を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項6の発明は、請求項5記載の油性磁気流体の調製方法において、前記尿素は、その含量が約24〜30%(重量/容積比)であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項7の発明は、請求項5記載の油性磁気流体の調製方法において、前記サラダ油溶液は、容積比がサラダ油/尿素=2であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項8の発明は、請求項5記載の油性磁気流体の調製方法において、前記蒸発・凝縮サイクルは、その最適温度が75℃であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項9の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル化合物は、ジアミノ油性物質を加え、カルボキシル基ジアミノ結合油を生成するステップにおいて、このジアミノ油性化合物は、尿素結合油で、カルボキシル化合物は、ウンデカン酸であり、その製造ステップは下述を含み、
尿素結合油を蒸発・凝縮サイクルに於いて85℃まで過熱し、
ウンデカン酸(undecenoic acid)を加えて30分間加熱し、
室温まで冷却後、アルコールを加えて水洗浄し、遠心分離でカルボキシル基ジアミノ結合油、即ちウンデカン酸尿素油を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項10の発明は、請求項9記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ウンデカン酸と尿素結合油は、その二者の容積比が1/5であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項11の発明は、請求項9記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ウンデカン酸尿素油の合成は、ウンデカン酸のカルボキシル基端と尿素のアミノ基端で縮合反応させることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項12の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記鉄イオン溶液は、カルボキシル化合物を混合してカルボキシル基磁気鉄酸化合物を得るステップに於いて、カルボキシル化合物をウンデカン酸とし、それを更に進めたステップは、
塩化第一鉄及び塩化鉄を酸素水中に溶かし、塩化第一鉄と塩化鉄のモル濃度比は約二分の一〜三分の一で、蒸発・凝縮サイクルに於いて80℃まで加熱し、ウンデカン酸を加えて加熱を続け、
アンモニア水を取り出し、アルコール及び酢酸アセテートで希釈し、65〜80℃で蒸発・凝縮サイクルに戻して30分加熱し、
65℃まで冷却してウンデカン酸磁気沈殿物を生成し、
上層上澄み液、即ちウンデカン酸磁気鉄粉を取り、これがカルボキシル基磁気鉄酸化合物であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項13の発明は、請求項12記載の油性磁気流体の調製方法において、前記アンモニア水は、それを加えた後の反応時間を約4〜6時間とすることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項14の発明は、請求項12記載の油性磁気流体の調製方法において、前記蒸発・凝縮サイクルは、その反応最適温度を80℃とすることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項15の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル基ジアミノ結合油は、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を加えて油性磁気流体を得るステップで、カルボキシル基ジアミノ結合油はウンデカン酸尿素結合油であり、カルボキシル基鉄酸化合物はウンデカン酸磁気鉄粉であり、それを更に進めたステップは、下述を含み、
ウンデカン酸磁気鉄粉を取り出してウンデカン酸尿素結合油を加え、
アルコール及び水洗浄で分離後、油性磁気流体を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項16の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ウンデカン酸磁気鉄粉は、ウンデカン酸尿素結合油を加え、それを80℃で30分蒸発・凝縮サイクルにして加熱することを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項17の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性磁気流体は、四酸化トリフェラス(Tetroxide Triferrous)を含むことを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項18の発明は、請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性磁気流体は、その粒直径の範囲が60〜100ナノであることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項19の発明は、油性磁気流体の調製方法において、主なステップは下述を含み、 鉄イオン溶液にカルボキシル化合物を混合し、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を生成し、
カルボキシル化合物に有機抜取剤を混合し、カルボキシル基を含む有機抜取溶液を生成し、
カルボキシル基磁気鉄酸化合物にカルボキシル基を含む有機抜取溶液を混合し、油性物質を含む有機抜取溶液を加えて油性磁気流体を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項20の発明は、請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記鉄イオン溶液は、硫酸第一鉄であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項21の発明は、請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル化合物は、ウンデカン酸(undecenoic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)もしくはカプロン酸(caproic acid)の中から一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項22の発明は、請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記有機抜取剤は、リン酸トリブチル(Tributyl Phosphate,TBP)であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項23の発明は、請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性物質は、灯油(Kerosene)であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項24の発明は、請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性物質を含む有機抜取溶液は、その比例が30%の有機抜取溶液であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
請求項25の発明は、請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記鉄イオン溶液は、カルボキシル化合物を混合してカルボキシル基鉄酸化合物を得るステップには下述を含み、更に一歩進めたステップには水酸化ナトリウムを加えることを特徴とする油性磁気流体の調製方法としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の油性磁気流体の調製方法は、調製完了の油性磁気流体を水中に浮遊する油、有機物及び金属イオンと反応させ、外から磁場作用を加えて分離し、如何なる化学試薬を加える必要がなく、設備も簡単で、容易に操作できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明実施例の油性磁気流体の調製方法フローチャートである。図に示すとおり、油性磁気流体の調製方法は、ステップS10に於いて、ジアミノ化合物を油性物質に加えて沿うアミノ基油性化合物にする。ステップS12では、カルボキシル化合物をそのジアミノ油性化合物に加えてカルボキシル基ジアミノの結合油にする。ステップS14では鉄イオン溶液にカルボキシル化合物を混合してカルボキシル基磁性鉄酸化化合物にする。ステップS16では、カルボキシル基ジアミノ結合油にカルボキシル基磁性鉄化合物を加えて油性磁気流体にする。その粒子直径範囲は60〜100ナノである。
【0014】
ステップS10を実施例で説明すると、ジアミノ化合物(例、尿素)を水中に溶かし、同量(ミリリットル)のアルコールを加え、尿素含量を24〜30%(重量/容積比)にする。蒸発・凝縮サイクルに於いて、70〜90℃、最適75℃で加熱する。別に油(例としてサラダ油もしくはその他の有機溶剤)を同容積の酢酸アセテートで希釈後、熱した尿素溶液内に入れ、油溶液/尿素溶液=2(容積比)にして約30分加熱する。室温まで冷却後、水洗いし、粗製尿素結合油に遠心分離する。水洗い、遠心のステップを繰り返した後、尿素結合油、即ちジアミノ油性化合物を取り出す。
【0015】
ステップS12を実施例で説明すると、尿素結合油を蒸留中攪拌しながら、蒸発・凝縮サイクルに於いて85℃まで加熱する。カルボキシル化合物溶液(例、ウンデカン酸undecenoic acid)を尿素結合油内にゆっくりと注ぎ入れ、カルボキシル化合物溶液/尿素結合油の二者容積比が約五分の一になるようにする。30分間加熱し室温まで冷却した後、アルコールを加え、水で洗浄する。そして遠心分離でカルボキシル基尿素結合油、即ちカルボキシル基ジアミノ結合油を得る。そのうち、カルボキシル基尿素結合油の合成は、ウンデカン酸と尿素アミノ基端が縮合反応する。
【0016】
ステップS14を実施例で説明すると、塩化第一鉄及び塩化鉄を酸素水中に溶かし、この二者のモル比で二分の一〜三分の一にし、蒸発・凝縮サイクルに於いて80℃まで加熱する。続いてカルボキシル化合物溶液(例、ウンデカン酸、約2.4%、総体積比)をゆっくりと加え、続けて加熱する。別に少量のアンモニア水(25%)を等容積のアルコール及び酢酸アセテートで希釈し、それを蒸発・凝縮サイクルした溶液内に入れる。そのうち、アンモニア希釈液は全体容積の20%を占める。これを80℃で30分加熱し、65℃まで下げて5時間30分この状態を保つと、カルボキシル基磁気鉄沈殿物になる。磁気吸引傾倒法で上層部の綺麗な溶液を移し、アルコールで数回洗浄後、少量のアルコール溶液内で保存するか、上層の綺麗な液を移した後、室内で乾燥させてカルボキシル基時期鉄粉、即ちカルボキシル基磁性鉄酸化合物になる。
【0017】
ステップS16を実施例で説明すると、カルボキシル基磁気鉄粉を取り出してカルボキシル基尿素結合油を加え、65〜80℃で蒸発・凝縮サイクルを行い、約30分加熱した後、最も適した温度である80℃にしてアルコール及び水洗浄で分離後、性質の安定した油性磁気流体になる。この組成には四酸化トリフェラス(Tetroxide Triferrous)が含まれる。
【0018】
更に図2に示すのは、別の実施例の有機抜取剤を含む油性磁気流体の調製フローチャートである。図に示すとおり、ステップS20は、鉄イオン溶液を取り出してカルボキシル化合物を混合し、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を得る。ステップS22は、カルボキシル化合物を取り出し、有機抜取剤を含む有機抜取溶液を得る。ステップS24は、そのカルボキシル基磁気鉄酸化合物IIカルボキシル基を含む有機抜取溶液を混合し、次に油性物質を含む有機抜取溶液を加えて油性磁気流体を得る。
【0019】
実施例の説明では、硫酸鉄2.78グラムを100ミリリットル純水中に溶かし、85℃まで加熱する。1ミリリットルのウンデカン酸を加えて攪拌加熱し、85℃で蒸気の蒸発・凝縮サイクルが起こり、続いて10%濃度の水酸化ナトリウム溶液10ミリリットルを一滴ずつ加え、85℃で1時間加熱して蒸発・凝縮サイクルを行い、磁気吸取り傾倒法で上層液を移し、アセトン(acetone)で数回洗浄し、蒸発・凝縮サイクル装置に移してウンデカン酸1ミリリットルをすでに混ぜた有機抜取剤のリン酸トリブチル(TBP)10ミリリットルを加え、続けて1時間加熱し、磁気吸取り傾倒法で上層液を除去し、アセトン(acetone)で洗浄後、30%濃度のTBP灯油溶液で更に数回洗浄し、最後に30%濃度のTBP灯油液内で分散すると、それが油性磁気流体である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例で、油性磁気流体の調製フローチャートである。
【図2】本発明の別の実施例で、有機抜取剤を含む油性磁気流体の調製フローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性磁気流体の調製方法において、主なステップは、下述の方法を含み、
ジアミノ化合物に油性物質を加えてジアミノ油性化合物を生成し、
カルボキシル化合物にジアミノ油性化合物を加えて、カルボキシル基ジアミノ結合油を生成し、
鉄イオン溶液にカルボキシル化合物を混合し、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を生成し、
カルボキシル基アミノ基結合油にカルボキシル基磁気鉄酸化合物を加え、油性磁気流体を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項2】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ジアミノ化合物は、尿素もしくはその他のジアミノ化合物を含むものから一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項3】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性物質は、サラダ油もしくはその他の有機溶剤の中から一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項4】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル化合物は、ウンデカン酸(undecanoic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)もしくはカプロン酸(caproic acid)の中から一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項5】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ジアミノ化合物を加えた油性物質は、ジアミノ油性化合物を得るステップで、ジアミノ化合物は尿素であり、油性物質はサラダ油であり、その製造ステップは、下述を含み、
尿素を水中で溶かして、同容量のアルコールを加え、蒸発・凝縮サイクルに於いて70〜90℃で加熱し、
サラダ油50ミリリットルを取り出して同容積の酢酸アセテートで希釈後、尿素溶液を垂らし入れ、30分加熱し、
室温まで冷却後、水洗いし、遠心分離でジアミノ油性化合物、即ち尿素結合油を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項6】
請求項5記載の油性磁気流体の調製方法において、前記尿素は、その含量が約24〜30%(重量/容積比)であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項7】
請求項5記載の油性磁気流体の調製方法において、前記サラダ油溶液は、容積比がサラダ油/尿素=2であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項8】
請求項5記載の油性磁気流体の調製方法において、前記蒸発・凝縮サイクルは、その最適温度が75℃であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項9】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル化合物は、ジアミノ油性物質を加え、カルボキシル基ジアミノ結合油を生成するステップにおいて、このジアミノ油性化合物は、尿素結合油で、カルボキシル化合物は、ウンデカン酸であり、その製造ステップは下述を含み、
尿素結合油を蒸発・凝縮サイクルに於いて85℃まで過熱し、
ウンデカン酸(undecenoic acid)を加えて30分間加熱し、
室温まで冷却後、アルコールを加えて水洗浄し、遠心分離でカルボキシル基ジアミノ結合油、即ちウンデカン酸尿素油を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項10】
請求項9記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ウンデカン酸と尿素結合油は、その二者の容積比が1/5であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項11】
請求項9記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ウンデカン酸尿素油の合成は、ウンデカン酸のカルボキシル基端と尿素のアミノ基端で縮合反応させることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項12】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記鉄イオン溶液は、カルボキシル化合物を混合してカルボキシル基磁気鉄酸化合物を得るステップに於いて、カルボキシル化合物をウンデカン酸とし、それを更に進めたステップは、
塩化第一鉄及び塩化鉄を酸素水中に溶かし、塩化第一鉄と塩化鉄のモル濃度比は約二分の一〜三分の一で、蒸発・凝縮サイクルに於いて80℃まで加熱し、ウンデカン酸を加えて加熱を続け、
アンモニア水を取り出し、アルコール及び酢酸アセテートで希釈し、65〜80℃で蒸発・凝縮サイクルに戻して30分加熱し、
65℃まで冷却してウンデカン酸磁気沈殿物を生成し、
上層上澄み液、即ちウンデカン酸磁気鉄粉を取り、これがカルボキシル基磁気鉄酸化合物であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項13】
請求項12記載の油性磁気流体の調製方法において、前記アンモニア水は、それを加えた後の反応時間を約4〜6時間とすることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項14】
請求項12記載の油性磁気流体の調製方法において、前記蒸発・凝縮サイクルは、その反応最適温度を80℃とすることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項15】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル基ジアミノ結合油は、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を加えて油性磁気流体を得るステップで、カルボキシル基ジアミノ結合油はウンデカン酸尿素結合油であり、カルボキシル基鉄酸化合物はウンデカン酸磁気鉄粉であり、それを更に進めたステップは、下述を含み、
ウンデカン酸磁気鉄粉を取り出してウンデカン酸尿素結合油を加え、
アルコール及び水洗浄で分離後、油性磁気流体を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項16】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記ウンデカン酸磁気鉄粉は、ウンデカン酸尿素結合油を加え、それを80℃で30分蒸発・凝縮サイクルにして加熱することを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項17】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性磁気流体は、四酸化トリフェラス(Tetroxide Triferrous)を含むことを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項18】
請求項1記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性磁気流体は、その粒直径の範囲が60〜100ナノであることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項19】
油性磁気流体の調製方法において、主なステップは下述を含み、
鉄イオン溶液にカルボキシル化合物を混合し、カルボキシル基磁気鉄酸化合物を生成し、
カルボキシル化合物に有機抜取剤を混合し、カルボキシル基を含む有機抜取溶液を生成し、
カルボキシル基磁気鉄酸化合物にカルボキシル基を含む有機抜取溶液を混合し、油性物質を含む有機抜取溶液を加えて油性磁気流体を得ることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項20】
請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記鉄イオン溶液は、硫酸第一鉄であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項21】
請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記カルボキシル化合物は、ウンデカン酸(undecenoic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)もしくはカプロン酸(caproic acid)の中から一つを選ぶことを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項22】
請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記有機抜取剤は、リン酸トリブチル(Tributyl Phosphate,TBP)であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項23】
請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性物質は、灯油(Kerosene)であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項24】
請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記油性物質を含む有機抜取溶液は、その比例が30%の有機抜取溶液であることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。
【請求項25】
請求項19記載の油性磁気流体の調製方法において、前記鉄イオン溶液は、カルボキシル化合物を混合してカルボキシル基鉄酸化合物を得るステップには下述を含み、更に一歩進めたステップには水酸化ナトリウムを加えることを特徴とする油性磁気流体の調製方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−165482(P2007−165482A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358158(P2005−358158)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(599171866)行政院原子能委員會核能研究所 (37)
【Fターム(参考)】