説明

油性顔料インク組成物

【課題】顔料、有機溶媒および高分子化合物を含有する油性顔料インク組成物であって、駆動周波数10KHz以上での高速印刷時の吐出安定性を改善することにより、プリンタ信頼性、例えば安定した品質の印刷物の連続大量印刷を達成でき、かつ受容層のないポリ塩化ビニルなどの安価なフィルムからなる印刷媒体にも印刷可能であり、屋外の使用環境に耐えられる油性顔料インク組成物を提供する。
【解決手段】顔料、有機溶媒および高分子化合物を少なくとも含有し、回転式粘度計を用いて剪断速度の増加を伴って行う測定方法により、25℃において、剪断速度1×103sec-1で測定した粘度をA、剪断速度1×104sec-1で測定した粘度をBとした場合、粘度Bが1〜30mPa・sであり、チキソトロピー係数A/Bが1.01〜1.40である、駆動周波数10KHz以上のインクジェットプリンタで用いるための油性顔料インク組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料、有機溶媒および高分子化合物(例えば、顔料分散剤および/または定着性樹脂)を少なくとも含有する油性顔料インク組成物に関する。
【0002】
本発明の油性顔料インク組成物は、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、感熱転写印刷などのあらゆる記録方式のための印刷用インクや筆記具用インクとして使用することができるが、好ましくはインクジェット印刷用インクとして使用する。特に、駆動周波数10KHz以上のインクジェットプリンタで用いるのに適している。
【背景技術】
【0003】
インクジェット記録方式では、圧力、熱、電界などを駆動源として液状のインクをインクジェットプリンタのノズルから記録媒体に向けて吐出させ、文字、画像等を記録媒体上に印刷する。このような記録方式は、ランニングコストが低く、高画質印刷が可能であり、また用途に合わせて水性インクや油性インクなどの各種のインクを使用して印刷できることから、近年、市場を拡大している。
【0004】
産業分野においては、水性インクを用いて紙などの吸収性記録媒体に印刷できる、A−0サイズに対応した大型のインクジェットプリンタが開発され、屋内用のポスターやCAD図面の出力、印刷の色あわせのためのプルーフィング用の出力に用いられている。更には、透明フィルムを印刷物にラミネートすることにより、印刷物は屋外用途にも用いられている。
【0005】
近年、屋外用途の需要が高まり、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックフィルムに直接印刷できる油性インクが求められ、印刷面への着色剤の定着性が良く、印刷物はラミネートを施さずに使用可能であり、耐水性や耐候性などの耐久性に優れた油性インクの開発が行われている。定着性の良好なインクとしては、有機溶媒中に塩化ビニル系樹脂を溶解したインクが提案されている。また、耐水性や耐候性に優れたインクとしては、有機溶媒中に色材堅牢度の高い顔料を分散したインクが提案されている。
【0006】
そのような状況下、印刷物の画質の向上や耐久性の改良に加えて、印刷部数の増加など生産性の向上に対する要求が高まり、高速印刷に対応できるインク組成物が強く求められている。高速印刷を行うためには、高駆動周波数においてもインク液滴を安定して繰返し吐出する必要があるが、そのためには、プリンタヘッドでのインクの吐出安定性の向上が不可欠である。
【0007】
高速印刷に対応するインクとして、伸張変形速度(剪断速度)に対する粘性を特定の範囲で制御することにより、良好な吐出安定性を確保する水性インクが知られている(特許文献1)。
【0008】
さらに、油性インクについては、特許文献に次のようなインク組成物が開示されている。
特許文献2は、油性インクにおいて、植物油と特定の炭化水素系溶剤を併用して、表面張力を32mN/m以上とすることにより、7KHzを超える印刷周波数に対応できる高速吐出性を確保できることを記載している。
特許文献3は、油性インクにおいて、150℃以上の沸点を有する高沸点溶剤と、これに溶解し得る樹脂を使用することにより、ノズル内での増粘を抑制し、目詰まりを防止できることを記載している。
特許文献4は、油性インクにおいて、特定のカーボンブラックと特定の有機溶剤を使用し、顔料の平均粒子径を0.02〜0.5μmと制御することにより、ノズル内の細隙経路を順調に通過し、目詰まりを防止できることを記載している。
【0009】
しかしながら、従来の油性インクには、例えばプリンタヘッドの駆動周波数が10KHz以上となる高速インクジェットプリンタにおける高駆動周波数に追従できず、インク液滴量の変化やサテライト滴の発生によるにじみなどの印刷品質の低下が発生したり、吐出後のインクの再供給が不足したりするといった、実用上の問題が残されている。
【0010】
すなわち、有機溶媒への溶解度が乏しい塩化ビニル系樹脂などを多量に含有している油性インクは、ノズル内で剪断速度が頻繁に変化する場合、インクの粘性抵抗が不均一に変化することや、溶媒の揮発により急激に増粘することで、吐出が不安定になることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−18535号公報
【特許文献2】特開2003−238852号公報
【特許文献3】特開2002−302629号公報
【特許文献4】特開2001−220527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、顔料、有機溶媒および高分子化合物を含有する油性顔料インク組成物であって、駆動周波数10KHz以上での高速印刷時の吐出安定性を改善することにより、プリンタ信頼性、例えば安定した品質の印刷物の連続大量印刷を達成でき、かつ受容層のない塩ビ(ポリ塩化ビニル)などの安価なフィルムからなる印刷媒体にも印刷可能であり、屋外の使用環境に耐えられる油性顔料インク組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、駆動周波数10KHz以上、好ましくは駆動周波数13KHz以上のインクジェットプリンタで用いるための、顔料、有機溶媒および高分子化合物を少なくとも含有する油性顔料インク組成物において、回転式粘度計を用いて剪断速度の増加を伴って行う測定方法により、25℃において、剪断速度1×103sec-1で測定した粘度をA、剪断速度1×104sec-1で測定した粘度をBとした場合、粘度Bが1〜30mPa・sであり、チキソトロピー係数A/Bが1.01〜1.40であることを特徴とする油性顔料インク組成物を提供する。
【0014】
本発明者らは、油性顔料インク組成物の高速印刷時の吐出安定性は、上記チキソトロピー係数A/Bに依存することを見出した。すなわち、インクのチキソトロピー係数A/Bを1.01〜1.40の範囲に制御すれば、駆動周波数10KHz以上のようにノズル内で剪断速度が頻繁に変化する場合でも、インクの粘性抵抗が不均一に変化することが抑制され、高速印刷時における吐出安定性が向上する。特に、チキソトロピー係数A/Bを1.01〜1.32の範囲に制御することにより、インク組成物は駆動周波数30KHzのようなより高速のインクジェットプリンタにも安定して使用できる。
【0015】
チキソトロピー係数A/Bが1.40より大きいインクは、駆動周波数の急激な増加に追従できず、液滴形成が不均一になり、吐出が不安定になる。また、チキソトロピー係数A/Bが1.01より小さいインクは、顔料の定着性や、印刷物の耐水性、耐候性などの耐久性が不十分であり、また、インク組成物の保存安定性が悪くなる。
【0016】
更に、本発明では、油性顔料インク組成物の粘度Bは、1〜30mPa・sの範囲に制御される。粘度Bが30mPa・sより大きいインク組成物は、流動性が極端に悪く、一方、粘度Bが1mPa・sより小さいインク組成物は、油性インクの構成成分となる組成バランスが不適切であり、顔料の定着性や、印刷物の耐水性、耐候性などの耐久性が不十分である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の油性顔料インク組成物において、顔料として、公知の各種顔料を使用できる。顔料には、無彩色および有彩色の無機顔料や有機顔料などが包含される。これら顔料の使用量は、着色力やインクの流動性などの観点から、インク組成物全重量に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%、より好ましくは0.3〜6重量%である。
【0018】
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、リトポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが用いられる。
【0019】
また、本発明のインク組成物を反射防止フィルムや透明導電膜の作製における導電性インク組成物として使用する場合、顔料としては、アルミニウム、ジルコニウム、ガリウム、亜鉛、チタン、スズ、アンチモンおよびインジウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物の微粒子、具体的には、導電性酸化チタン、スズドープ型酸化インジウム(ITO)、アルミドープ型酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ型酸化亜鉛(GZO)、アンチモンドープ型酸化スズ(ATO)、酸化ジルコニウムなどが用いられる。
【0020】
有機顔料としては、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ジアセトアセトアリライド系などがある。酸性、中性または塩基性カーボンからなるカーボンブラックも用いられる。
【0021】
シアンインク組成物に含まれる顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60などが挙げられる。好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0022】
マゼンタインク組成物に含まれる顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112,122,123,168,184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19などが挙げられる。好ましくは、C.I.ピグメントレッド57:1、122、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0023】
イエローインク組成物に含まれる顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、130、138、150、151、154、155、180、185などが挙げられる。好ましくは、C.I.ピグメントイエロー14、74、83、109、110、120、150、151、155、180から選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0024】
ブラックインク組成物に含まれる顔料としては、三菱化学株式会社製HCF、MCF、RCF、LFF、SCF、キャボット社製モナーク、リーガル、デグサ・ヒュルス社製カラーブラック、スペシャルブラック、プリンテックス、東海カーボン株式会社製トーカブラック、コロンビア社製ラヴェンなどが挙げられる。好ましくは、三菱化学株式会社製HCF#2650、#2600、#2350、#2300、MCF#1000、#980、#970、#960、MCF88、LFFMA7、MA8、MA11、MA77、MA100、デグサ・ヒュルス社製プリンテックス95、85、75、55、45、25などから選択される1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0025】
本発明の油性顔料インク組成物において、高分子化合物は、顔料分散剤または/および定着性樹脂として用いられる。顔料分散剤は、使用される顔料との親和性に優れ、分散安定化させる作用を持つものである。定着性樹脂は、基材に対する密着性に優れ、印刷物の耐久性を付与させる作用を持つものである。顔料、有機溶媒、印刷媒体などの種類に応じて、顔料分散剤や定着性樹脂を適宜選択することにより、インクとして効果が発揮される。高分子化合物の種類により、1種類で上記両方の働きを持つものもある。
【0026】
顔料分散剤および定着性樹脂は、水またはエタノールに対する溶解度ができるだけ低いものが望ましい。すなわち、顔料分散剤および定着性樹脂は、インクジェット記録方式による印刷後、基材の表面または表層部に残り、乾燥して定着する。樹脂成分が水に易溶であると、印刷物の耐水性が低下し、屋外で使用する際に雨などで印刷部分が流れるおそれがある。また、印刷物をポスターなどとして使用する際、表面にコート剤などを吹き付けて使用する場合があるが、多くのコート剤にはアルコール成分が溶媒として含まれているため、高分子化合物がアルコール溶剤に易溶であると、印刷物がコート剤により垂れ落ちるおそれがある。
【0027】
顔料分散剤としては、イオン性または非イオン性の(低分子量)界面活性剤や、アニオン性、カチオン性またはノニオン性の高分子化合物が用いられるが、組成物の分散安定性や、耐水性、耐擦過性などの印刷物の強度の面で、高分子化合物が好ましく、カチオン性基またはアニオン性基を含む高分子化合物がとくに好ましい。
【0028】
顔料分散剤は、有機溶媒中で、顔料と分散剤との間での酸−塩基相互作用により顔料を分散安定化するので、顔料吸着サイトであるカチオン性基またはアニオン性基の少なくとも一方を含まなければならず、顔料の種類などにより分散剤中のカチオン性基やアニオン性基の種類と量をコントロールすることが重要である。
【0029】
高分子化合物である顔料分散剤としては、ルーブリゾール社製「SOLSPERSE」、ビックケミー社製「DISPERBYK」、エフカアディティブズ社製「EFKA」、コグニス社製「TEXAPHOR」などが市販されており、本発明のインク組成物でも好ましく用いることができる。
【0030】
これらの中でも、SOLSPERSE24000、同32000、同32500、同32550、同32600、同35100、同36600、同37500、同39000(以上、ルーブリゾール社製)、DISPERBYK101、同109、同130、同161、同162、同163、同164、同165、同166、同167、同168(以上、ビックケミー社製)、EFKA4050、同4055、同4060(以上、エフカアディティブズ社製)、TEXAPHOR P60、同P61、同P63、同SF73(以上、コグニス社製)が特に好ましい。これらを顔料、溶媒の種類にあわせて用いることにより、顔料をインク組成物中に良好に分散させることができる。
【0031】
定着性樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ニトロセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましく用いられる。これらの樹脂は、基本的に塩ビに対する定着性が優れており、樹脂に含まれる官能基の種類、樹脂の構造などを変えることで、耐水性、分散安定性、印刷性などをコントロールすることができる。特に好ましいのは塩化ビニル系樹脂である。
【0032】
具体的には、アクリル系樹脂としては、ジョンソンポリマー社製「ジョンクリル」、積水化学株式会社製「エスレックP」、ポリエステル系樹脂としては、ユニチカ株式会社製「エリーテル」、東洋紡績株式会社製「バイロン」、ポリウレタン系樹脂としては、東洋紡績株式会社製「バイロンUR」、大日精化株式会社製「NT−ハイラミック」、大日本インキ化学工業株式会社製「クリスボン」、日本ポリウレタン工業株式会社製「ニッポラン」、塩化ビニル系樹脂としては、日信化学工業株式会社製「ソルバイン」、積水化学株式会社製「セキスイPVC−TG、セキスイPVC−HA」、ダウ・ケミカル社製「UCARシリーズ」、ニトロセルロースとしては、旭化成株式会社製「HIG、LIG、SL、VX」、ダイセル化学工業株式会社製「工業用ニトロセルロースRS、SS」などが好ましい。
【0033】
このような定着性樹脂は、好ましくは2000〜100000、より好ましくは5000〜70000の重量平均分子量を有する。定着性樹脂の重量平均分子量が2000未満であると、インク組成物中で顔料粒子にアニオン性樹脂が吸着した際に立体反発の効果が得られにくく、保存性を向上させる効果が少なく、また媒体と顔料粒子との定着性を高める効果が得られにくく、塗膜強度が十分に得られないおそれがある。また、定着性樹脂の重量平均分子量が100000を越えると、効果が飽和するとともに、インクの粘度が高くなり、流動性が十分に発揮されないおそれがある。
【0034】
なお、本明細書において、高分子化合物の重量平均分子量とは、ゲルパーミネーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算分子量として求められる値を意味するものである。
【0035】
本発明において、高分子化合物からなる顔料分散剤を使用する場合、この顔料分散剤の使用量は、顔料の種類や分散に用いる溶媒、分散条件などにより異なるが、顔料に対して5〜150重量%が好ましく、特に有機顔料を用いる場合は、40〜150重量%がより好ましく、無機顔料を用いる場合は、5〜60重量%がより好ましい。
【0036】
また、高分子化合物からなる定着性樹脂を使用する場合、この定着性樹脂の使用量は、定着性樹脂の種類や分子量、顔料や溶媒の種類などにより異なるが、顔料に対して、5〜200重量%が好ましい。
【0037】
本発明の油性顔料インク組成物において、高速印刷時の吐出安定性と顔料の定着性を両立させるためには、高分子化合物として重量平均分子量10000〜25000の塩化ビニル系樹脂を用いることが、特に好ましい。これは、有機溶媒への溶解度が高く、かつ顔料の分散安定化を促進する作用があるからである。その結果、インク組成物のチキソトロピー係数A/Bを1.01〜1.40の範囲に制御しやすく、インク組成物の粘性抵抗が不均一に変化することが抑制され、高速印刷時における吐出安定性が向上する。この高分子化合物の添加量は、インク組成物全重量に対して、0.5〜10.0重量%の範囲が好ましく、1.0〜7.0重量%の範囲がより好ましい。
【0038】
上記のような高分子化合物の具体例には、ソルバインCL(分子量25000)、同AL(分子量22000)、同TAO(分子量15000)、同MK6(分子量13000)(以上、日信化学工業株式会社製)、UCAR Solution Vinyl Resin VYHD(分子量22000)、同VMCC(分子量19000)、同VMCA(分子量15000)、同VERR−40(分子量15000)、同VAGD(分子量22000)、同VAGC(分子量24000)、同VROH(分子量15000)、同Ucarmag569(分子量22000)(以上、ダウ・ケミカル社製)などが包含される。
【0039】
本発明の油性顔料インク組成物において、有機溶媒としては、公知の各種有機溶媒を使用できる。特に好ましいのはモノ−およびポリアルキレングリコール誘導体(以下、(ポリ)アルキレングリコール誘導体と総称する)やメトキシブチルアセテート誘導体である。
【0040】
これらの有機溶媒は、インク組成物全重量に対して、通常30〜99重量%、好ましくは50〜98重量%の割合で用いられる。特に、(ポリ)アルキレングリコール誘導体やメトキシブチルアセテート誘導体は、インク組成物全重量に対して、通常30〜99重量%、好ましくは50〜90重量%の割合で用いられる。
【0041】
(ポリ)アルキレングリコール誘導体には、(ポリ)アルキレングリコール、つまり、アルキレングリコールなどの遊離水酸基を2個有する化合物、または(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテル化合物もしくはモノアルキルエステル化合物などの遊離水酸基を1個有する化合物、(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジアルキルエーテル化合物、ジアルキルエステル化合物などの遊離水酸基を持たない化合物などがある。
【0042】
これらの中でも、遊離水酸基を持たない化合物として、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジアルキルエーテル化合物、ジアルキルエステル化合物が特に好ましく、さらにエステル基を有する化合物として、モノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物またはジアルキルエステル化合物が最も好ましい。これらの化合物は、インクの流動性、定着性、保存性などに好結果を与えやすい。
【0043】
このような(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルモノアルキルエステル化合物、ジアルキルエステル化合物またはジアルキルエーテル化合物としては、エチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、テトラエチレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、テトラプロピレングリコールモノアルキルエーテルモノアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエステル、ジエチレングリコールジアルキルエステル、トリエチレングリコールジアルキルエステル、プロピレングリコールジアルキルエステル、ジプロピレングリコールジアルキルエステル、トリプロピレングリコールジアルキルエステル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0044】
メトキシブチルアセテート誘導体として、具体的には、1−メトキシブチルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテートがあるが、一般的には、3−メトキシブチルアセテートが安価であり、よく用いられる。しかし、1−メトキシブチルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテートも、インク溶剤として用いることにより、3−メトキシブチルアセテートと同等の効果が発揮される。
【0045】
本発明においては、上記の(ポリ)アルキレングリコール誘導体やメトキシブチルアセテート誘導体のほかに、塩ビを溶解し顔料を定着させる溶媒の使用は、顔料の定着性をより向上させることが可能となるため、好ましい。塩ビを溶解する溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系化合物、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの含酸素複素環化合物、N−アルキル−2−ピロリドンなどの含窒素複素環化合物などがある。これらの塩ビを溶解する溶媒は、インク組成物全重量に対して、通常1〜30重量%、好ましくは5〜28重量%の割合で用いられる。
【0046】
塩ビを溶解する溶媒のうち、ケトン系化合物やテトラヒドロフランなどは、塩ビの溶解力に優れるが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノルマルブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどは臭気が強いだけでなく、労働安全基準法の有機溶剤に指定され、これらの化合物を全インキ組成物中に5重量%以上含有するものは特定の資格を有するものしか取り扱えない、健康診断を受ける義務があるなどの制約があり、取り扱い上問題がある。
【0047】
上記以外のケトン系化合物やテトラヒドロフラン誘導体などの中でも、分子量の低いものは塩ビの溶解性に優れるものもあるが、引火点が低いものが多く、インク組成物の溶剤として用いたときに、組成物の引火点が61℃未満になるおそれが高く、輸送もしくは貯蔵の際、制約を受ける場合がある。また、これらの化合物は臭気がきつく、少量添加しただけでも臭気を発するおそれがある。分子量の高いものは引火点が高く、臭気も少ないものが多いが、塩ビの溶解力に欠け、顔料を十分に基材に定着できないおそれがある。
【0048】
これに対し、複素環化合物は、労働安全衛生法の有規則に該当しない化合物が多く、安全性に優れており、しかも臭気も少ないため、インクに使用した場合に、安全性や臭気の点で優れている。すなわち、複素環化合物は、上記のようなケトン系化合物に比べて、インクの有機溶媒として非常に適した性能を備えている。
【0049】
複素環化合物の中でも、含酸素複素環化合物、含窒素複素環化合物は、特に引火点、毒性など安全性に優れたものが多く、特に好ましい。含酸素複素環化合物の中でも、2−アセチルブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン構造を有する化合物は、臭気が少ないものが多く、安全性の面からもインク溶剤として特に好ましい。
【0050】
特に、N−アルキル−2−ピロリドンのようなラクタム構造を有する複素環化合物は、高引火点であり、低臭でかつ塩ビ溶解性にすぐれているので、好ましい。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン、N−ドデシル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。とりわけ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンは、低粘度、低臭で、塩ビ溶解性に優れており、かつ生分解性が良好で、急性毒性が低いなどの安全性の面からも、特に好ましい。
【0051】
本発明の油性顔料インク組成物において、本発明の特徴の1つである1.01〜1.40の範囲のチキソトロピー係数A/Bを達成し、高速印刷時の吐出安定性と顔料の定着性を両立させる好ましい手段としては、有機溶媒として(ポリ)アルキレングリコール誘導体および/またはメトキシブチルアセテート誘導体と、高分子化合物として重量平均分子量10000〜25000の塩化ビニル系樹脂を併用することが挙げられ、加えて、N−アルキル−2−ピロリドンなどの塩ビを溶解する溶媒を配合することがより好ましい。すなわち、このような組合せでは、溶媒中に塩化ビニル系樹脂が均一に溶解され、また顔料の分散粒子への相互作用も少ないことから、プリンタヘッドの管内での流動性やドット液滴形成の均一性などの動的適性に優れるため、インク組成物をプリンタヘッドの駆動周波数が10KHz以上、とりわけ13KHz以上となる高速インクジェットプリンタにおいて使用する場合に、特に好適である。
【0052】
本発明の油性顔料インクは、顔料を微細に分散し有機溶媒中に安定して存在させ、かつインクの粘度Bを1〜30mPa・sの範囲に調整する必要があるが、そのために、分散機や攪拌機を用いて製造する。
【0053】
分散機は一般に使用される分散機ならいずれも使用できる。例えば、ボールミルや遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル、サンドミルや攪拌槽型ミルなどの媒体攪拌ミル、ニーダーや3本ロールミルなどの混練機、ディスパーなどの攪拌機、ラインミキサーなどの混合機、高圧噴射ミル、ホモジナイザー、超音波などが挙げられる。また、顔料の粗大粒子を除去する目的で、遠心分離機やフィルター、クロスフローなどの分級処理を行ってもよい
分散機で用いられる分散媒体としては、ガラスビーズ、スチールビーズ、セラミックビーズなどが用いられる。これらの中でも、直径0.01〜1.0mmのセラッミックビーズを用いるのが好ましい。分散条件としては、特に限定されないが、サンドミルではセラミックビーズの充填率50〜90%、周速5〜20m/秒で行うのが好ましい。
【0054】
本発明の油性顔料インク組成物には、着色剤、有機溶媒、高分子化合物のほかに、必要により、pH調整剤、界面活性剤、表面調整剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料、顔料誘導体などの公知の一般的な添加剤を使用することができる。
【0055】
本発明の油性顔料インク組成物、特にインクジェット記録方式用の油性顔料インク組成物は、25℃において、好ましくは20〜35mN/mの表面張力を有する。また、顔料粒子は、好ましくは30〜200nm、より好ましくは50〜160nmの分散平均粒子径を有する。また、ヘッドでの目詰まりなどを避けるため、顔料粒子の最大分散粒子径は、好ましくは1000nm以下である。
【0056】
本発明の油性顔料インク組成物は、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、感熱転写印刷などのあらゆる記録方式のための印刷用インクや筆記具用インクとして使用できるが、インクジェット印刷に用いることが好ましい。
【0057】
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、実施例中の「部」は、別途記載しない限り、「重量部」を意味する。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
以下の割合で下記成分を、直径0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)により2時間分散した後、遠心分離機により14000Gの条件にて30分間分級処理を行い、分散液Aを得た。
カーボンブラックMA8(三菱化学株式会社製カーボンブラック顔料) 25.0部
SOLSPERSE24000(分散剤、ルーブリゾール社製) 12.0部
プロピレングリコールジアセテート(有機溶媒) 63.0部
【0059】
この分散液Aと以下の成分をビーカーに計り取り、マグネチックスターラーにより30分間攪拌後、ガラス繊維ろ紙GFP(株式会社桐山製作所製、補足粒子0.8μm)を用いて、吸引ろ過を行い、油性ブラックインク組成物Aを調製した。
分散液A 12.0部
UCAR Solution Vinyl Resin VYHD(高分子化合物、分子量22000、ダウ・ケミカル社製塩化ビニル系樹脂) 2.0部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒) 40.0部
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(有機溶媒) 25.0部
N−メチル−2−ピロリドン(有機溶媒) 21.0部
【0060】
(実施例2)
以下の成分を用いる以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して、分散液Bを得た。
Fastogen Blue TGR(大日本インキ化学工業株式会社製銅フタロシアニンブルー顔料) 20.0部
SOLSPERSE5000(添加剤、ルーブリゾール社製) 1.0部
BYK161(分散剤、ビックケミー社製) 35.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒) 44.0部
【0061】
この分散液Bと以下の成分を用いる以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して、油性シアンインク組成物Bを調製した。
分散液B 18.0部
UCAR Solution Vinyl Resin VMCC(高分子化合物、分子量19000、ダウ・ケミカル社製塩化ビニル系樹脂) 3.3部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒) 43.7部
3−メトキシブチルアセテート(有機溶媒) 20.0部
N−エチル−2−ピロリドン(有機溶媒) 15.0部
【0062】
(実施例3)
以下の組成を、実施例1と同様の手順を繰り返して、分散液Cを得た。
Hostaperm Pink EB transp.(クラリアント社製キナクリドン顔料) 20.0部
SOLSPERSE32500(分散剤、ルーブリゾール社製) 30.0部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒) 50.0部
【0063】
この分散液Cと以下の組成を、実施例1と同様の手順を繰り返して、油性マゼンタインク組成物Cを調製した。
分散液C 22.5部
ソルバインAL(高分子化合物、分子量22000、日信化学工業株式会社製塩化ビニル系樹脂) 2.7部
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒) 34.8部
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(有機溶媒) 25.0部
N−メチル−2−ピロリドン(有機溶媒) 15.0部
【0064】
(実施例4)
以下の組成を、実施例1と同様の手順を繰り返して、分散液Dを得た。
Novoperm Yellow 4G(クラリアント社製アゾ顔料) 18.0部
Hostaperm Yellow H4G−N(クラリアント社製アゾ顔料) 2.0部
SOLSPERSE32500(分散剤、ルーブリゾール社製) 50.0部
3−メトキシブチルアセテート(有機溶媒) 30.0部
【0065】
この分散液Dと以下の組成を、実施例1と同様の手順を繰り返して、油性イエローインク組成物Dを調製した。
分散液D 15.0部UCAR Solution Vinyl Resin VROH(高分子化合物、分子量15000、ダウ・ケミカル社製塩化ビニル系樹脂) 1.5部
プロピレングリコールジアセテート(有機溶媒) 40.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(有機溶媒) 35.0部
シクロヘキサノン(有機溶媒) 8.5部
【0066】
(実施例5)
実施例1においてUCAR Solution Vinyl Resin VYHDに代えて、同量のバイロンUR8300(高分子化合物、東洋紡績株式会社製ポリウレタン樹脂)を用いた以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して油性ブラックインク組成物Eを得た。

(実施例6)
SN−100P(顔料、石原産業社製アンチモンドープ酸化スズ)を20.0部とSOLSPERSE32500を30.0部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(有機溶媒)50.0部の組成を、実施例1と同様の手順を繰り返して、分散液Fを作製した。次に、実施例2において分散液Bに代えて、同量の分散液Fを用いた以外は、実施例2と同様の手順を繰り返して油性導電性インク組成物Fを得た。
【0067】
(比較例1)
実施例1においてUCAR Solution Vinyl Resin VYHDに代えて、同量のソルバインC5R(高分子化合物、分子量27000、日信化学工業株式会社製塩化ビニル系樹脂)を用いた以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して油性ブラックインク組成物Gを得た。
【0068】
(比較例2)
実施例2においてUCAR Solution Vinyl Resin VMCCに代えて、同量のソルバインCH(高分子化合物、分子量38000、日信化学工業株式会社製塩化ビニル系樹脂)を用い、N−エチル−2−ピロリドンに代えてN−ドデシル−2−ピロリドンを用いた以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して油性シアンインク組成物Hを得た。
【0069】
(比較例3)
実施例3においてソルバインALに代えて、ジョンクリル680(高分子化合物、分子量4900、ジョンソンポリマー社製)1.0部とエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート1.7部を用いた以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して油性マゼンタインク組成物Iを得た。
【0070】
(比較例4)
実施例4における分散液Dと以下の組成を、実施例1と同様の手順を繰り返して、油性イエローインク組成物Jを調製した。
分散液D 5.0部UCAR Solution Vinyl Resin VROH(高分子化合物、分子量15000、ダウ・ケミカル社製塩化ビニル系樹脂) 0.2部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(有機溶媒) 34.8部
メチルイソブチルケトン(有機溶媒) 50.0部
テトラヒドロフラン(有機溶媒) 10.0部
【0071】
実施例および比較例で調製したインク組成物について、各組成物の粘度(チキソトロピー係数A/B)、プリンタ運転性および保存安定性並びに顔料の塩ビフィルムに対する定着性を、下記のとおり、測定・評価した。結果は表1に示す。また、実施例1および2で調製したインク組成物の剪断速度の増加に対する粘度変化を図1に示す。

<粘度>
油性顔料インク組成物を、回転式粘度計レオストレス600(英弘精機株式会社製)により、二重円筒型のハイシアセンサーHS25を用いて、25℃において、剪断速度を徐々に増加させ、剪断速度1×103sec-1での粘度A、剪断速度1×104sec-1での粘度Bを測定した。
【0072】
<プリンタ運転性>
駆動周波数が13KHzのインクジェットプリンタを用いて、インクカートリッジに油性顔料インク組成物を充填して連続印刷試験を行い、以下の基準に従って吐出安定性を評価した。
◎:吐出不良が全くなく、極めて安定した吐出状態である
○:わずかにサテライト滴が発生するが、安定した吐出状態である
△:サテライト滴が発生し、やや不安定な状態である
×:印刷抜けやサテライト滴が多発し、不安定な状態である
【0073】
<定着性>
油性顔料インク組成物を、温度25℃湿度30%の恒温室で、No.6ワイヤーバー(東洋精機社製)を用いて、光沢塩ビ(リンテック社製、P−224RW)に塗布し、1時間後、指によるスクラブ試験を30秒間行った。以下の基準に従って顔料の定着性を評価した。
◎:スクラブ痕が全くなかったもの
○:スクラブ痕がわずかに発生するが、実用上は問題がないもの
△:スクラブ痕が発生しているもの
×:スクラブ痕が発生し、基材が見えるもの
【0074】
<保存安定性>
油性顔料インク組成物を蓋付きビンに密封し、60℃の恒温槽に30日間放置した後、ガラス繊維ろ紙GFP(株式会社桐山製作所製、補足粒子0.8μm)を用いて、吸引ろ過を行い、ろ紙上の残留物の状態を確認した。以下の基準に従ってインク組成物の保存安定性を評価した。
○:残留物なし
△:少し残留物あり
×:多量の残留物あり
【0075】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1および2で調製したインク組成物の剪断速度の増加に対する粘度変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動周波数10KHz以上のインクジェットプリンタで用いるための、顔料、有機溶媒および高分子化合物を少なくとも含有する油性顔料インク組成物において、回転式粘度計を用いて剪断速度の増加を伴って行う測定方法により、25℃において、剪断速度1×103sec-1で測定した粘度をA、剪断速度1×104sec-1で測定した粘度をBとした場合、粘度Bが1〜30mPa・sであり、チキソトロピー係数A/Bが1.01〜1.40であることを特徴とする油性顔料インク組成物。
【請求項2】
駆動周波数13KHz以上のインクジェットプリンタで用いるためのインク組成物である請求項1に記載の油性顔料インク組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−177119(P2012−177119A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−79807(P2012−79807)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【分割の表示】特願2006−284590(P2006−284590)の分割
【原出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】