説明

油揚製造装置

【課題】高品質な油揚を高効率で製造しうる油揚製造装置を提供する。
【解決手段】生地12の搬送器は、前面が開口されたコの字形断面の直方体状であって、両側面に、エンドレスチェーン9と回転可能に繋がる連結ピンと、ガイドレール上を移動する水平移動ピンと傾斜保持反転ピンと、正転ピンとを備え、上下面に、おもりを備える。また、搬送器に生地を投入する位置と、搬送器からの油揚完成品を回収する作業の位置を同じくするエンドレスチェーン型の油揚製造装置であって、搬送器を備える生地投入位置にカムを設けて、生地投入を可能にする機構と、前記搬送器を生地投入位置から水平移動する機構と、80〜150℃の低温油槽に下降させる搬送器下降装置14と、150〜220℃の高温油槽に水平移動させる機構と、前記高温油槽から上昇させる搬送器上昇装置22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高品質な油揚を高効率で製造する油揚製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油揚の製造方法は機械揚と手揚(浮かし揚げ)に大別される。機械揚は、適温に熱した油の中に生地を強制的に沈め両面を同時に加熱する製法で、生地を反転しない。一方、手揚は生地を油面に浮かべて揚げるため、生地の上面と下面を天地返しする必要がある。手揚は機械揚に比較して美味で有るが、製造には熟練を要し、大量生産には向かないという欠点が有る。この様な背景から、美味で質の高い油揚を大量に製造する装置が提供されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特開平6−22718号公報
【特許文献2】特開平6−22719号公報
【特許文献3】特開平6−22720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した装置では、装置の面積に比較して製造能力が低いうえ、不良品の発生率及び作業性の観点から改善すべき点が多々ある。製造能力については、高温油槽の面積に対して油揚の占有率が小さいという問題点がある。また、不良品の発生率では、反転時に搬送器同士に挟まれた油揚が連鎖障害を引き起こし、堆積して不良品を発生するなどの問題点がある。さらに、従来の装置は、生地の投入場所と油揚を回収する場所が離れているために、作業が遅れがちで作業者への心身の負担が大きい。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑がみてなされたもので、高品質な油揚を高効率で製造しうる油揚製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の課題解決手段は、生地の搬送器を有する油揚製造装置であって、前記搬送器は、前面が開口されたコの字形断面の直方体状で、上下面におもりを備え、両側面にエンドレスチェーンに回転可能に繋がる連結ピンと、ガイドレール上を移動する水平移動ピンと、前記搬送器をメトロノーム状にスイング運動させるための傾斜保持反転ピン及び正転ピンとを備えることを特徴とする。
また、第2の課題解決手段は、油揚製造装置であって、上記の搬送器及び下記の手段を備えることを特徴とする。
(イ)生地投入のために、前記搬送器に備わる傾斜保持反転ピンと接する平面カムを有し、前記搬送器を傾斜させる手段。
(ロ)前記搬送器を生地投入位置から水平移動させる手段。
(ハ)前記搬送器を80〜150℃の低温油槽に下降させる手段。
(ニ)前記低温油槽と150〜220℃の高温油槽において、前記搬送器に備わる傾斜保持反転ピン及び正転ピン、ガイドレールに備わる反転用カム、並びに、フレームに備わる当て板と連動して、前記搬送器をメトロノーム状にスイング運動させる手段。
(ホ)前記搬送器を、前記高温油槽から前記生地投入位置に上昇させる手段。
【発明の効果】
【0006】
第1及び第2の課題解決手段によれば、コの字形の搬送器内で、生地や油揚の膨張や反転を実現できる。その結果、高温油槽における全ての搬送器内を油揚で満たす事ができ、高温油槽の占有面積とほぼ同じ面積を油揚で埋めることができる。したがって、高温油槽の面積に対する油揚の占有率を、従来の装置の2倍以上に高めることができ、単位時間当たりの製造量の増大と、作業時間の短縮を図ることが出来る。本発明により、従来の装置と同等の大きさの装置でありながら、従来の装置2台分以上の能力を持つことになり、工場内スペースの有効利用のほか、多くのメリットを享受できる。
【0007】
また、生地投入位置において、搬送器の開口部底面を、手前側水平位置から手前側上向位置に傾斜させて、生地の投入を可能にし、生地投入後、傾斜前の姿勢に自動復帰させることができる。本発明によって、上部が塞がれたコの字形の搬送器に生地を投入することができる。その結果、油に沈めずに低温油槽での生地の反転が可能となり、不良品の削減と質の高い油揚を無傷で製造することが出来る。
【0008】
また、生地を投入する作業と、油揚完成品を回収する作業が同じ場所で出来る。これにより、作業者の労働負荷を軽減でき、過酷な環境下での長時間労働が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図を参照して説明する。
図1は本発明となる油揚製造装置の平面全体図、図2は図1のA−A断面図である。搬送器2について、図3、図4及び図6を用いて説明する。搬送器2は生地や油揚を収納して運搬すると共に、内部に収納した生地や油揚を、油に沈めずに確実に天地返しする重要な容器である。搬送器2は、2枚の矩形平板7と、矩形平板7と長辺が同寸法の矩形平板8を用いて、コの字形を形成し、2枚の矩形平板7の開口側外面には、おもり6を取り付ける。さらに、コの字形の両側端を2枚の矩形平板3で塞いで、一面のみに開口部を持つ横長の箱にする。矩形平板3の外面中央部には、連結ピン4が設けられ、エンドレスチェーン9に回転可能に接続されている。矩形平板3は、水平移動ピン5、正転ピン23、傾斜保持反転ピン24をも備え、水平移動ピン5は連結ピン4と同水準の開口側際位置に配設され常に搬送器2の水平姿勢を保持している。搬送器2には、回転を補助するおもり6が付されているため、連結ピン4を軸に、常に下方に向けて回転する力が働いているが、水平移動ピン5の支えによって、水平姿勢を維持し、ガイドレール10の上を図4の矢印方向に摺動する。
【0010】
図2に示す(A)位置は油揚製造工程のスタート地点で、生地12はこの位置から搬送器2に投入するのが望ましい。図4で、搬送器2は矢印の方向に移動しており、搬送器2の下面に程近い開口側際位置に配設された傾斜保持反転ピン24は、カム13の斜面に乗り上げる。カム13の斜面への乗り上げが進むにつれて搬送器2は傾き、その後もカム13の水平部に傾斜保持反転ピン24が乗って摺動する為、搬送器2の傾斜姿勢は生地を投入する区間において保持される。生地の投入区間が終ると、傾斜保持反転ピン24はカム13の斜面を下って、カム13から離れるため、水平移動ピン5が再びガイドレール10に接し、搬送器2は水平姿勢に戻って、図2の(B)位置に向かって移動する。
【0011】
搬送器2はガイドレール10の上を水平移動して図2に示す(B)位置に到達する。図5は、図2の(B)位置に備わる搬送器下降装置14の動作状態図である。搬送器下降装置14は、搬送器2の向きと水平姿勢を堅持したまま、水平移動を縦移動に変換する機構を備え、搬送器2を水平姿勢のまま図2に示す低温油槽16に下降移動させる。図5に示すとおり、搬送器2が水平移動から縦移動に替わるとき、水平移動ピン5はエンドレスチェーン9の下降に伴って、ガイドレール10からガイドレール19に乗り移るため、搬送器2はガイドレール19に支えられて下降し、低温油槽に進入する。搬送器下降装置14による油槽への進入では、生地への摩擦や衝撃がないために生地屑が生じず、油の劣化を最小に保つことができる。低温油槽に到達した搬送器2は、ガイドレール19から図6に示すガイドレール26に乗り換えて水平移動する。
【0012】
図2に示す低温油槽16には、80〜150℃に加熱された油15が適量入れてあって、常に最良の状態で揚げられるよう油面の位置が確保されている。低温油槽16に進入した搬送器2内では、スタート地点(A)で投入された生地が移動と共に温められ、油面に浮いて舟底形に膨張する。油面に浮いた生地の放置は不良率を高めるため、上面と下面を引っ繰り返して不良を抑止すことが必要である。図6及び図8に示すメトロノーム状のスイング運動で搬送器2の上下を換え、内部の生地も天地返しすることで、不良化を防止できる。
【0013】
油面に浮上した生地や油揚の反転は、図2に示す低温油槽16と高温油槽21で行われ、図6に示す逆進行向回転と、図8に示す進行向回転を交互に繰り返すが、全てを図中に記すと煩雑になるため、図2の(C)位置では、図6に示す逆進行向回転の様子を表し、(D)位置では図8に示す進行向回転の様子を表した。図7は図2のB―Bの切断図で、図1のフレーム1と当て板支持金具64と当て板17の状態を示している。当て板17は正転ピン23や傾斜保持反転ピン24の進行を妨害して搬送器を反転させる為のもので、フレーム1に固定された当て板支持金具64に支えられている。当て板17と当て板支持金具64とは組をなすもので、図7のように搬送器2を進行向回転させる下付用と、逆進行向回転させる上付用の2種類が用意され交互に取付けられる。図6に示すように、ガイドレール26上を矢印の方向に水平移動する搬送器2の傾斜保持反転ピン24が、ガイドレール26に併設されて上り勾配を有する反転用カム25に乗り上げると、搬送器2が傾いて水平移動ピン5が上昇し、当て板17に当たるため、搬送器2は逆進行向回転で180度回転し内部に収納の生地を天地返しせしめる。搬送器2の回転角度が90度を過ぎると逆戻りすることもなく、おもり6の作用で回転に弾みがつき、水平移動ピン5がガイドレール26に接する所まで回転して反転を終了する。以後、奇数回で行われる反転は同様に、反転用カム25と、上付用当て板17と、水平移動ピン5とによって逆進行向回転し、偶数回での反転は図8のように、下付用当て板17が正転ピン23の進行を遮るため進行向回転で180度回転し、搬送器内部に収納の生地や油揚を確実に天地返しできる。
【0014】
図2に示す低温油槽16で膨張した生地は、搬送器2内に収納されたまま油槽仕切板20を越えて、150〜220℃に加熱された高温油槽21に移入し、図6や図8に示すような反転を繰り返すことで、生地にしっかりした表皮を形成し、形を整えながら油揚に変っていく。高温油槽における最後の反転は、図8で示す進行向回転で終ることが必要で、搬送器2の開口部が図2に示す(A)位置と同方向を向いていないと、収納している油揚を図2に示す受け皿27上に放出することができない。
【0015】
図9は、図2の(E)位置における搬送器上昇装置22の正面図である。搬送器2は内部に完成された油揚を蓄えて、図2に示した高温油槽21から脱し、一定の位置まで水平姿勢を保って上昇するが、図9に示すように、ガイドレール26の形状が途中から変曲しているため、水平移動ピン5は水平姿勢での上昇移動が出来なくなる。搬送器2と連結しているエンドレスチェーン9は休まずに上昇移動を続けるため、搬送器2はエンドレスチェーン9に引き揚げられ、連結ピン4を軸におもり6の付いた開口部を下にしながら上昇し、油揚を図2に示した受け皿27に放出し、図2のスタート位置(A)に戻って、これまでの動作を繰り返す。
<他の実施形態>
【0016】
以下、本発明の他の実施形態について、図10〜図14を参照して説明する。
図10は先の実施形態とは異なる形状の搬送器の見取図である。図10に示すように、搬送器は、油揚を乗せる矩形平板の搬送器底部32と、搬送器底部32の一端に垂設された櫛状板28と、搬送器底部32と櫛状板28の接続を補強する側部補強板34と、搬送器とエンドレスチェーンとを連結する支点丸棒35と、搬送器の水平を維持する水平丸棒36とよりなる。搬送器は、例えばL字型に曲げ加工が施されている。L字型の水平面である搬送器底部32は、生地や油揚を乗せて運び、L字型の垂直面の櫛状板28は、油面に浮いた生地や油揚の支持板及び仕切板となって、油揚を押して移動させる役割を担っている。櫛状板28には複数の凹凸加工が施してあって、その数は油揚の大きさから割り出すが、凹凸の間隔が細かすぎると櫛状板凸部30が曲がり易くなって事故や故障の原因になる。反対に櫛状板凹部29の間隔が荒すぎると、図12に示す生地押え棒45で生地を押した際、生地には浮力が働いていることから、生地押え棒45同士の間から抜け出してしまう。櫛状板凹部29は、生地押え棒45や、図11に示すフォーク38や、シューター39が動作しながら入り込むことを考慮して、凹形の加工を施してある。櫛状板凸部30は油面に浮いた生地や油揚の枠の役目と、押して移動させる役目を担い、反転時にはフォーク38への押込み動作も補助している。
【0017】
搬送器に開ける穴には2種類あって、図10に示す油切穴31はL字型に折られた角に横長穴を開けるのが効果的であり、L字型水平面の搬送器底部32には底部油通穴33を丸穴で複数個開ける。底部油通穴33は、図13に示す高温油槽48から脱しながら油切りするほか、生地の密着を防止し、底部油通穴33を通過する油の熱で生地や油揚を加熱し、生地に付着した生地屑を振るい落とす等の役割がある。
【0018】
図10に示す側部補強板34は、櫛状板28と搬送器底部32の角度を固定し、生地や油揚を搬送器の左右から脱落させない柵の役割も果たしている。
【0019】
図10に示す搬送器底部32に固定された支点丸棒35は、搬送器を支える動作時の重要な支点であり、図13に示すエンドレスチェーン42との連結ピンも兼ねている。水平丸棒36は、搬送器が図14に示す下降装置に進入する時と、油揚の放出後に起きる干渉を防止すると共に、移行時の水平姿勢を保持している。
【0020】
図13に示す高温油槽48に備える油揚反転装置を図11に示す。生産性の高い油揚製造装置を目指し、高温油槽における油揚の占有面積を最大にするため、搬送器内での油揚反転方法を確立している。油揚の反転は、図10に示す櫛状板凹部29と図11に示すフォーク38の組み合せ動作によって行われるが、機構と機能について図11を参照して説明する。油揚反転装置はクランクシャフト37と、フォーク38と、シューター39と、から成るが、フォーク38とシューター39が、クランクシャフト37に固定されて一体物となる。両端には軸受40やスプロケット41を備え、回転できる仕組みに成っていて、フォーク38は、搬送器の動きに同調して回転するように設計されている。図13に示す低温油槽43から高温油槽48に移入した油揚は常に油面に浮き、図10に示す搬送器の櫛状板凸部30に押されて移動するが、図13に示す高温油槽48の反転地点では、図11に示すフォーク38が回転しながら図10に示す櫛状板凹部29に潜入して油に浮いた油揚を下から掬い上げる。図11に示すフォーク38の回転が一定の域を越えると、油揚はひっくり返って、図11に示すシューター39を滑り、同一の搬送器内に落ちて反転運動を終了する。この動作の繰り返しによって、図13に示す高温油槽48における全ての搬送器には油揚が入り、目標の油揚占有率を達成しうる。油揚占有面積は従来機の2倍以上である。
【0021】
図13に示す低温油槽43に備える生地押え装置を図12に示す。本装置は、図13に示す低温油槽43において、生地を膨張させ、油揚造りを確実に遂行するために必要である。低温油槽において、浮上した生地を放置する事は、油揚の不良率を高めるにとどまらず、後続器を妨害しトラブルを引き起こす原因となる。図12に示す生地押え装置は、上下に間欠運動をしながら緩やかな膨張を促し油揚が不良になる要因を抑制する装置で、油揚を造るために必要である。構造は図10に示す櫛状板凹部29に入る大きさで、櫛状板凹部29と同数の生地押え棒45を、全て櫛状板凹部29と同間隔に固定バー54に取り付けるが、移動する図10に示す櫛状板凸部30の障害に成らない様に、生地押え棒45と固定バー54の間に下駄53を介して固定する。生地押え棒45、固定バー54、下駄53等の部品が動いたり歪んだりしないように、フレーム55にしっかりと固定する必要が有る。生地押え装置を上下に間欠運動させるために、図13に記載の吊り金具56の片側を図12に示すフレーム55に、もう一方は図13に示す扁芯軸受け57に接続する。扁芯軸受け57には、生地押えシャフト58が通っており、両端には生地押え軸受けを備えて、生地押え用モータの力で回転する仕組みに成っている。
【0022】
図14は、本発明の油揚製造装置の下降部断面図である。エンドレスチェーン42に連結された搬送器を低温油槽に下降移動させる装置で、下降装置44と称する。図13に示すS位置で生地を投入された搬送器は、図13に示す矢印の方向に水平姿勢を保って、装置の最後部まで移動してくる。本発明の下降装置44は、最後部まで移動してきた搬送器の向きと水平移動の姿勢を、そのまま下降移動に変換させる機構を備えている。下降装置44の採用で、搬送器が最良の向きに確保されることから、低温油槽や高温油槽で、油面に浮いた生地や油揚を、図10に示す櫛状板凸部30が押して移動させることが可能に成り、図13に示す油揚出口50で放出することができる。この発明によって、生地の投入と油揚の回収作業が同じ場所ででき、不必要な移動をせずに作業が出来るため、労働負荷を軽減することが出来る。
【0023】
以上の構成からなる本装置の動作について、図13を用いて説明する。図13に示すS地点から、図10に示す搬送器の搬送器底部32に生地を投入し、油揚製造装置を矢印の方向に回転させる。搬送器が油揚製造装置の最後部に到達すると、下降装置44を伝い低温油槽43に進入する。このとき、搬送器の向きがS地点と同じであるため、このまま浮かし揚げに進むことが出来、低温油槽43に浸って次の工程を待つ。
【0024】
低温油槽43には80〜120℃に加熱した油が適量入っており、搬送器に乗って浸入した生地は油中に沈んで移動するが、温められて膨張し油面に浮上して舟底形になる。浮いた生地は図10の櫛状板凸部30に押されて移動し、図12に示す生地押え装置が上下に間欠運動しながら、生地押え棒45で移動して来た生地を上から押さえる。それによって舟底形になった生地の窪みには熱した油が注ぎ込まれ、上面と下面の温度差が少なくなると共に、緩やかな膨張が促されることから、不良品になる要因が抑えられる。さらに、この装置は空気を取り込みながら柔らかで美味な油揚の下地を形成する機能をも有する。
【0025】
低温油槽43において適宜膨張した生地は、図10の櫛状板凸部30に押されて油槽仕切り板47を乗り越え、高温油槽48に移入する。高温油槽48には150〜220℃に加熱された油46が適量あって、図11に示す油揚反転装置が設置されている。油揚反転装置はクランクシャフト37とフォーク38とシューター39で構成されているが、フォーク38とシューター39はクランクシャフト37に固定され、一体物として動作、回転する。櫛状板凸部30に押されて移動する生地は、油揚反転装置の設置場所まで来ると、回転するフォーク38に掬い上げられるが、フォーク38の回転角度が一定の角度を過ぎると、生地はシューター39を滑って、反転前と同じ搬送器内に落ちて反転動作を終了するが、この反転動作は繰り返し行われ、反転を重ねる度に皮が形成されて、生地から油揚に変わる。本発明の反転装置によって高温油槽48内の全ての搬送器内に油揚が入り、目標の占有率を達成できる。
【0026】
高温油槽48で反転を繰り返し形も整えた油揚は、櫛状板凸部30に押されて高温油槽48から脱し、余分な油を切りながら上昇装置49を上り、油揚出口50で搬送器と離れ、元の位地に戻って新たな動作をはじめる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の油揚製造装置の平面全体図である。
【図2】本発明の油揚製造装置(図1)のA−A断面図である。
【図3】本発明の生地挿入部の部分平面図である。
【図4】本発明の生地挿入部の動作状態図である。
【図5】本発明の搬送器下降装置の正面図である。
【図6】本発明の油揚反転装置の逆進行向回転の半回転機構を示す正面図である。
【図7】本発明の油揚反転装置(図2)のB―B切断図である。
【図8】本発明の油揚反転装置の進行向回転の半回転機構を示す正面図である。
【図9】本発明の搬送器の上昇部と油揚放出機構を示す正面図である。
【図10】本発明の搬送器の見取図である。
【図11】本発明の油揚反転装置の見取図である。
【図12】本発明の生地押え装置と搬送器の見取図である。
【図13】本発明の油揚装置の断面図である。
【図14】本発明の油揚製造装置の下降部断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 フレーム
2 搬送器
3 矩形平板
4 連結ピン
5 水平移動ピン
6 おもり
7 矩形平板
8 矩形平板
9 エンドレスチェーン
10 ガイドレール
11 モータ
12 生地
13 カム
14 搬送器下降装置
15 油
16 低温油槽
17 当て板
18 油揚
19 ガイドレール
20 油槽仕切板
21 高温油槽
22 搬送器上昇装置
23 正転ピン
24 傾斜保持反転ピン
25 反転用カム
26 ガイドレール
27 受け皿
28 櫛状板
29 櫛状板凹部
30 櫛状板凸部
31 油切穴
32 搬送器底部
33 底部油通穴
34 側部補強板
35 支点丸棒
36 水平丸棒
37 クランクシャフト
38 フォーク
39 シューター
40 軸受け
41 スプロケット
42 エンドレスチェーン
43 低温油槽
44 下降装置
45 生地押え棒
46 油
47 油槽仕切板
48 高温油槽
49 上昇装置
50 油揚出口
51 生地
52 油揚
53 下駄
54 固定バー
55 フレーム
56 吊り金具
57 扁芯軸受け
58 生地押えシャフト
59〜63 スプロケット
64 当て板支持金具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生地の搬送器を有する油揚製造装置であって、前記搬送器は、前面が開口されたコの字形断面の直方体状で、上下面におもり(6)を備え、両側面に、エンドレスチェーンに回転可能に繋がる連結ピン(4)と、ガイドレール上を移動する水平移動ピン(5)と、前記搬送器をメトロノーム状にスイング運動させるための傾斜保持反転ピン(24)及び正転ピン(23)とを備えることを特徴とする油揚製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送器及び下記の手段を備えることを特徴とする油揚製造装置。
(イ)生地投入のために、前記搬送器に備わる傾斜保持反転ピン(24)と接する平面カム(13)を有し、前記搬送器を傾斜させる手段。
(ロ)前記搬送器を生地投入位置から水平移動させる手段。
(ハ)前記搬送器を80〜150℃の低温油槽に下降させる手段。
(ニ)前記低温油槽と150〜220℃の高温油槽において、前記搬送器に備わる傾斜保持反転ピン(24)及び正転ピン(23)、ガイドレールに備わる反転用カム(25)、並びに、フレーム(1)に備わる当て板(17)と連動して、前記搬送器をメトロノーム状にスイング運動させる手段。
(ホ)前記搬送器を、前記高温油槽から前記生地投入位置に上昇させる手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−65965(P2009−65965A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157667(P2008−157667)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(307025182)山重食研有限会社 (1)
【Fターム(参考)】