説明

治療剤

【課題】フコイダンの新たな生理作用を見出すことにあり、フコイダンのサイトカイン類産生調節作用等を利用した医薬、食品、飲料又は飼料を提供すること。
【解決手段】硫酸化フコースを構成成分として含む多糖である、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有することを特徴とするアレルギー性疾患の治療剤、ならびに、フコイダン及び/又はその分解物を含有することを特徴とする抗アレルギー用食品、飲料、又は飼料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水生生物由来の生理活性物質の医薬、食品、飲料又は飼料としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
水生生物由来の生理活性物質としては、フコイダンが知られている。このフコイダンは藻類、棘皮動物等に含まれている硫酸化フコース含有多糖であり、硫酸化フコースを構成糖として含むものである。
【0003】
フコイダンの生理作用としては癌増殖抑制活性、癌転移抑制活性、抗凝血活性、抗ウイルス活性等が知られており、医薬品としての用途開発が期待されている。
【非特許文献1】第18回糖質シンポジウム要旨集、第159頁、1996年
【特許文献1】特開平4−91027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はフコイダンの新たな生理作用を見出すことにあり、その目的はフコイダンのサイトカイン類産生調節作用等を利用した医薬、食品、飲料又は飼料を提供することにある。なお、本明細書において本発明の治療剤又は予防剤を医薬という場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有することを特徴とするサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤に関する。
【0006】
本発明の第2の発明は、フコイダン及び/又はその分解物を含有してなるサイトカイン類産生調節用食品、飲料又は飼料、一酸化窒素産生誘導用食品、飲料又は飼料、或いは抗アレルギー用食品、飲料又は飼料に関する。
【0007】
また本発明の一態様としては、サイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患を治療又は予防するためのフコイダン及び/又はその分解物の使用;サイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用;或いはフコイダン及び/又はその分解物を用いるサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療又は予防方法に関する。
【0008】
さらに本発明の一態様としては、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するサイトカイン類産生調節剤、一酸化窒素産生誘導剤、抗アレルギー剤、又はIgE産生抑制剤に関する。
【0009】
さらに本発明の一態様としては、サイトカイン類産生調節剤、一酸化窒素産生誘導剤、抗アレルギー剤、又はIgE産生抑制剤の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用に関する。
【0010】
さらに本発明の一態様としては、サイトカイン類産生調節用食品、飲料又は飼料、一酸化窒素産生誘導用食品、飲料又は飼料、或いは抗アレルギー用食品、飲料又は飼料の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用に関する。
【0011】
さらに本発明の一態様としては、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として使用するサイトカイン類産生調節方法、一酸化窒素産生誘導方法、アレルギー抑制方法、又はIgE産生抑制方法に関する。
【0012】
さらに本発明の一態様としては、サイトカイン類産生調節、一酸化窒素産生誘導、アレルギー抑制又はIgE産生抑制のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用に関する。
【0013】
本発明のさらに好ましい態様として、フコイダン及び/又はその分解物は抗原感作時、例えば抗原提示細胞とT細胞の抗原伝達時におけるサイトカイン類産生調節に顕著な効果を有する。又、フコイダン及び/又はその分解物は抗原感作後のアレルギー性疾患の治療、特に抗原感作後の抗原特異的IgE産生の抑制に著効を有する。なお、本発明において、サイトカイン類産生調節とは、サイトカイン類の産生増強、産生促進等により、サイトカイン類の産生量を調節することを含む。
【0014】
従って、本発明の一態様としては、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有することを特徴とする抗原感作時にサイトカイン類産生調節を要する疾患、又は抗原感作後のアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤に関する。
【0015】
また、本発明の一態様としては、フコイダン及び/又はその分解物を含有してなる抗原感作時のサイトカイン類産生調節用食品、飲料又は飼料、或いは抗原感作後の抗アレルギー用食品、飲料又は飼料に関する。
【0016】
また本発明の一態様としては、抗原感作時にサイトカイン類産生調節を要する疾患、又は抗原感作後のアレルギー性疾患を治療又は予防するためのフコイダン及び/又はその分解物の使用;抗原感作時にサイトカイン類産生調節を要する疾患、又は抗原感作後のアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用;或いはフコイダン及び/又はその分解物を用いる抗原感作時にサイトカイン類産生調節を要する疾患、又は抗原感作後のアレルギー性疾患の治療又は予防方法に関する。
【0017】
さらに本発明の一態様としては、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有する抗原感作時のサイトカイン類産生調節剤、抗原感作後の抗アレルギー剤、又はIgE産生抑制剤に関する。
【0018】
さらに本発明の一態様としては、抗原感作時のサイトカイン類産生調節剤、抗原感作後の抗アレルギー剤、又は抗原感作後のIgE産生抑制剤の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用に関する。
【0019】
さらに本発明の一態様としては、抗原感作時のサイトカイン類産生調節用食品、飲料又は飼料、或いは抗原感作後の抗アレルギー用食品、飲料又は飼料の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用に関する。
【0020】
さらに本発明の一態様としては、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として使用する抗原感作時のサイトカイン類産生調節方法、抗原感作後のアレルギー抑制方法、又は抗原感作後のIgE産生抑制方法に関する。
【0021】
さらに本発明の一態様としては、抗原感作時のサイトカイン類産生調節、抗原感作後のアレルギー抑制又は抗原感作後のIgE産生抑制のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用に関する。
【0022】
本発明において使用するフコイダンに特に限定はないが、好ましくは藻類由来フコイダン又は棘皮動物由来フコイダンが例示される。
【0023】
またフコイダンの分解物としては、例えばフコイダンの酸分解物、フコイダンの酵素分解物等が使用できる。
【0024】
本発明に使用するフコイダン、フコイダンの分解物、例えばフコイダンの酸分解物、フコイダンの酵素分解物としては、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、又は抗アレルギー作用、例えばIgE産生抑制作用等を示すものであれば特に限定はなく、かかる作用等を指標として適宜調製することができる。
【0025】
また、本明細書にいうサイトカイン類とは、特にフコイダン又はその分解物が産生調節作用を示し得るサイトカイン類をいい、例えばインターロイキン類(例えばインターロイキン−12)、インターフェロン類(例えばインターフェロン−γ)が例示される。
【0026】
さらに、抗アレルギー作用とは、フコイダン又はその分解物が示し得るアレルギー抑制作用をいい、IgE産生抑制作用が例示される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によりサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、及び抗アレルギー作用を示すフコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患及びアレルギー性疾患に有効な医薬が提供される。該医薬は、生体内におけるインターロイキン類、インターフェロン類等の産生調節活性を有し、癌、免疫性疾患等のサイトカイン類の産生調節を必要とする疾患の治療剤又は予防剤として有用である。
【0028】
また特にIFN−γ産生調節剤、IL−2産生調節剤、NO産生誘導剤としてこれらの薬剤の適用を要する疾患の治療剤として有用である。
【0029】
不必要な状態での免疫系の活性化あるいは増強は、アレルギー、自己免疫疾患等の疾病を惹起する場合があるが、本発明の製剤によるサイトカイン類増強、免疫増強は選択的なものであり、ウイルス感染、あるいは癌等、体内に排除すべき抗原が存在し、細胞性免疫の増強が必要なときのみに起こることにより、本発明の製剤は生体防御に極めて有用である。
【0030】
また本発明の製剤により過剰な体液性免疫の活性化が抑制され、本発明の製剤はアレルギーの抑制にも極めて有用である。
【0031】
更に、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用及び抗アレルギー作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を用いて飲食品又は飼料を製造することが可能になり、日常の飲食品として摂取することにより、サイトカイン類の産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、例えば動脈硬化症、アレルギー性疾患等の症状改善等が可能となる。
【0032】
従って、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分とする機能性飲食品又は飼料は、これらの生理作用により、生体の恒常性の維持に有用な機能性飲食品又は飼料である。
【0033】
またサイトカイン類の産生調節剤も提供され、当該調節剤はサイトカイン類の機能研究、サイトカイン類が関連する疾病用医薬のスクリーニングに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に使用するフコイダンとは硫酸化フコースを構成成分として含む多糖であり、サイトカイン類産生調節作用、例えば抗原提示細胞(APC)とT細胞との抗原伝達反応時におけるインターフェロン−γ産生調節作用、インターロイキン−12産生調節作用;一酸化窒素産生誘導作用;又は抗アレルギー作用、例えばIgE産生抑制作用を有するものであれば特に限定はない。例えば、藻類であるガゴメ昆布、トロロ昆布、ヒバマタ、オキナワモズク、ワカメ、クロメ、アラメ、カジメ、ジャイアントケルプ、レッソニア ニグレセンス、アスコフィラムノドッサム等の昆布目、ながもつも目、ひばまた目等の海藻は特に本発明の使用に好適なフコイダンを多く含んでおり、原料として好適である。また、棘皮動物、例えばナマコ、ウニ、ヒトデ等由来のフコイダンを使用してもよい。
【0035】
これらのフコイダンの調製はそれぞれ公知の方法で調製すれば良く、精製物又は当該フコイダン含有物等を本発明に使用することができる。
【0036】
例えばガゴメ昆布からフコイダンを調製し、該フコイダンはさらにグルクロン酸含有フコイダン(U−フコイダンと称す)とグルクロン酸非含有フコイダン(F−フコイダンと称す)とに分離することができる。それらのフコイダンは、本発明の治療剤又は予防剤等の有効成分として使用することが出来る。また、ガゴメ昆布から硫酸化フコガラクタン(G−フコイダンと称す)を調製し使用することもできる。
【0037】
U−フコイダン及びF−フコイダンは、ガゴメ昆布からフコイダンを調製後、陰イオン交換樹脂、界面活性剤等を用いて分離される。ガゴメ昆布由来のU−フコイダン及びF−フコイダンの存在比は重量比で約1:2であり、U−フコイダンはフコース、マンノース、ガラクトース、グルクロン酸等を含み硫酸含量は約20重量%、F−フコイダンはフコースとガラクトースを含み、硫酸含量は約50重量%、分子量は両物質共に約20万を中心に分布している(第18回糖質シンポジウム要旨集、第159頁、1996年)。
【0038】
例えばガゴメ昆布から調製したフコイダン溶液をDEAE−セルロファインA−800カラムにアプライ後、NaCl含有緩衝液にて濃度勾配法により溶出させることにより、U−フコイダンとF−フコイダンとに分離することができる。第1図にその1例を示す。すなわち第1図はU−フコイダンとF−フコイダンの分離を示す図であり、図中前ピークがU−フコイダン、後ピークがF−フコイダンである。
【0039】
また、ガゴメ昆布由来フコイダンをアルテロモナス sp.SN−1009(FERM BP−5747)が産生するF−フコイダン特異的分解酵素、及びフラボバクテリウム sp. SA−0082(FERM BP−5402)が産生するU−フコイダン特異的分解酵素で分解し、分解物を除去することにより、前出G−フコイダンを精製することができる。
【0040】
また例えばヒバマタ由来フコイダン、オキナワモズク由来フコイダン、ワカメ由来フコイダン、ワカメ メカブ由来フコイダンもそれぞれ公知の方法で調製し、本発明に使用することができる。
【0041】
本発明において好適に用いられる棘皮動物由来のフコイダンとしては、例えば特開平4−91027号公報に記載のナマコに含有されるフコイダンを挙げることができ、当該公報記載の方法にてナマコより当該フコイダンを調製することができる。
【0042】
また本発明に使用するサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を有するフコイダンの分解物は、酵素学的方法、化学的方法、物理的方法等の公知の方法にて、目的のサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を有する分解物を選択し、使用することができる。
【0043】
かかるフコイダンの分解物の調製方法としては、例えば酸分解法があり、当該フコイダンを酸分解することにより、サイトカイン類産生調節作用、免疫賦活作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を有する分解物を調製することができる。
【0044】
前記酸分解法における酸分解の条件は、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を有する分解物(以下、本発明の分解物と称す)が生成する条件であれば、特に限定はない。
【0045】
例えばフコイダンを酸に溶解またはけん濁し、反応させることにより、本発明の分解物が生成する。また、反応時に加熱することにより、本発明の分解物の生成に必要な時間が短縮される。
【0046】
フコイダンを溶解またはけん濁する酸の種類は、特に限定するものではないが、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、アスコルビン酸等の有機酸、また陽イオン交換樹脂、陽イオン交換繊維、陽イオン交換膜等の固体酸が使用可能である。
【0047】
酸の濃度も特に限定はないが、好ましくは0.0001〜5規定、より好ましくは0.01〜1規定程度の濃度で使用可能である。また、反応温度も特に限定はないが好ましくは0〜200℃、より好ましくは20〜130℃に設定すれば良い。
【0048】
また、反応時間も特に限定するものではないが、好ましくは数秒〜数日に設定すれば良い。酸の種類と濃度、反応温度及び反応時間は本発明の分解物の生成量、分解物の重合度により適宜選択すれば良い。 例えば、本発明の分解物の製造に際しては、好ましくは、クエン酸、乳酸、リンゴ酸等の有機酸を使用し、酸の濃度は数10mM〜数M、加熱温度は50〜110℃、より好適には70〜95℃、加熱時間は数分〜24時間の範囲から適宜選択することにより、本発明の分解物を調製することができる。フコイダンの酸分解物としては、ガゴメ昆布由来フコイダンの酸分解物が例示され、当該分解物はサイトカイン類産生調節作用、特にAPCとT細胞との抗原伝達反応時におけるインターフェロン−γ産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、及び抗アレルギー作用の強い新生理機能を有する食物繊維として使用することができる。
【0049】
本発明の分解物はサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を指標として分画することができ、例えば酸分解物をゲルろ過法、分子量分画膜による分画法等によりさらに分子量分画することができる。
【0050】
ゲルろ過法の例としては、セルロファインGCL−300を使用し、例えば分子量25000超、分子量25000〜10000超、分子量10000〜5000超、分子量5000以下等の任意の分子量画分を調製でき、セルロファインGCL−25を用い、例えば分子量5000以下の画分を分子量5000〜3000超、分子量3000〜2000超、分子量2000〜1000超、分子量1000〜500超、分子量500以下等の任意の分子量画分に調製することができる。
【0051】
また、限外ろ過膜を用いて工業的に分子量分画を行うこともでき、例えばダイセル社製FE10−FUSO382を用いることにより分子量30000以下の画分を、若しくは同FE−FUS−T653を使用することによって分子量6000以下の画分を調製することができる。更にナノフィルター膜を用いることにより分子量500以下の画分を得ることもでき、これらのゲルろ過法、分子量分画法を組み合せることにより、任意の分子量画分を調製することができる。
【0052】
本発明で使用できるサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を有するフコイダンの分解物としては、下記の式(I)〜式(IV)で表される化合物が例示され、これらの化合物は国際公開第97/26896号パンフレット、国際出願番号PCT/JP99/00606号明細書、国際出願番号PCT/JP00/00965号明細書に記載の方法で調製することができる。また、本発明のフコイダンの分解物としては、国際公開第97/26896号パンフレット、国際出願番号PCT/JP99/00606号明細書、国際出願番号PCT/JP00/00965号明細書に記載のフコイダンの分解物も包含される。なお、式(I)で表される化合物の繰返し構造を有するフコイダン、及びオリゴ糖も本発明において好適に使用することができる。
【0053】
【化1】

【0054】
(式中、RはOH又はOSO3 Hである。)
【0055】
【化2】

【0056】
(式中、RはOH又はOSO3 Hである。)
【0057】
【化3】

【0058】
(式中、RはOH又はOSO3 Hである。)
【0059】
【化4】

【0060】
(式中、RはOH又はOSO3 Hである。)
【0061】
なお、式(I)で表される化合物の例としては後述の式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0062】
式(I)で表される化合物は、例えば前記F−フコイダンを、アルテロモナス sp.SN−1009(FERM BP−5747)が産生するエンド型硫酸化多糖分解酵素(F−フコイダン特異的分解酵素)で処理し、その分解物より精製することにより得ることができる。当該化合物中の硫酸基の含量、部位についてはその分解物中より、任意のものを精製することができる。また当該分解物中には式(I)で表される化合物の多量体も含有されており、目的に応じて分離、精製することができる。
【0063】
式(II)で表わされる化合物、及び式(III)で表される化合物は、それぞれ例えば前記U−フコイダンを、フラボバクテリウム sp. SA−0082(FERM BP−5402)が産生するエンド型硫酸化多糖分解酵素(U−フコイダン特異的分解酵素)で処理し、その分解物より精製することにより得ることができる。当該化合物中の硫酸基の含量、部位についてはその分解物中より、任意のものを精製することができる。また当該分解物中には式(II)で表される化合物の二重結合のない化合物を基本骨格とする、その多量体も含有されており、目的に応じて分離、精製することができる。
【0064】
式(IV)で表される化合物は、例えばフラボバクテリウム sp. SA−0082(FERM BP−5402)より得られるG−フコイダンを特異的に分解するエンド型硫酸化多糖分解酵素(G−フコイダン特異的分解酵素)をG−フコイダンに作用させることにより当該G−フコイダンの分解物を調製し、当該分解物より精製することにより得ることができる。当該化合物中の硫酸基の含量、部位についてはその分解物中より、任意のものを精製することができる。また当該分解物中には式(IV)で表される化合物を基本骨格とする、その多量体も含有されており、目的に応じて分離、精製することができる。
【0065】
なお、フコイダン又はその分解物のサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、又は抗アレルギー作用は、例えば後述の実施例1、2、7及び8に記載の方法により検定する。被検対象であるフコイダン又はその分解物が、かかる作用を示す場合、それを指標として本発明に用い得るフコイダン又はその分解物を選択する。
【0066】
本発明において、フコイダン又はその分解物により産生調節され得るサイトカイン類とは特に限定はないが、例えばインターロイキン(IL)−1〜18、インターフェロン(IFN)−α、IFN−β、IFN−γ、リンホトキシン、腫瘍壊死因子(TNF)、幹細胞因子(SCF)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球・コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)等が例示される。
【0067】
これらのサイトカイン類は遅延型過敏反応や標的細胞障害をはじめ、種々の細胞性免疫反応の発現や調節に関与するもの(IL−2、IFN−γ、TNF−α、TNF−β等)、抗体産生機構において、その調節機能に関与するもの(IL−2、IL−4、IL−5、IL−6等)、腫瘍細胞に対して直接増殖抑制作用や破壊作用を示すもの(TNF−α、TNF−β、IFN等)、骨髄における造血幹細胞や前駆細胞の増殖・分化を促進するもの(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−11、GM−CSF、G−CSF、M−CSF等)、炎症反応に関与するもの(IL−1、IL−6、IL−8、TNF−α、TNF−β、IFN等)、アレルギー反応に関与するもの(IL−3、IL−4、IL−5等)、NK細胞活性を増強するもの(IL−12)等がある。なお、本発明において使用するフコイダン及び/又はその分解物が有するサイトカイン類産生調節作用とは、ウイルス感染、或いは癌等、体内に排除すべき抗原が存在し、細胞性免疫の増強が必要なときのみに選択的に生じさせ得るサイトカイン類の産生調節作用、例えばIFN−γ、IL−12の産生誘導作用や、それらの産生増強作用又は産生促進作用をいう。それゆえ、該フコイダン及び/又はその分解物は不必要な状態での免疫系の活性化やその増強を生じさせず、従ってアレルギー症状、自己免疫疾患等の疾病を惹起することがなく、極めて安全かつ有効な成分である。また、該フコイダン及び/又はその分解物は、例えばリンパ球の細胞傷害活性を増強し、細胞傷害性免疫の増強をももたらし得る。
【0068】
従って、フコイダン及び/又はその分解物を使用し、これらのサイトカイン類の産生を調節することにより、サイトカイン類産生調節を要する疾患、例えば癌等の細胞性免疫反応の発現や調節を要する疾患、自己免疫症のような抗体産生の調節を要する疾患、貧血、糖尿病等の細胞の分化を要する疾患、敗血症性ショック、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、ブドウ膜炎等の炎症の抑制を要する疾患の治療又は予防が可能となる。
【0069】
本発明で使用するフコイダン及びその分解物はサイトカイン類産生調節能を有し、これらの化合物を有効成分としてサイトカイン類の産生調節を要する上記疾患の治療剤又は予防剤を製造することができる。
【0070】
また、本発明で使用するフコイダン及びその分解物は一酸化窒素産生誘導作用を有し、これらの化合物を有効成分として使用し、一酸化窒素産生を要する疾患、例えば血管平滑筋の弛緩、栓球、顆粒球及び単球の血管壁への付着の抑制、分泌性平滑筋の細胞の増殖阻止等を要する動脈硬化症の治療又は予防が可能となる。また、該フコイダン及びその分解物はかかる作用を介した免疫賦活効果をも奏する。なお、一酸化窒素産生誘導作用には、誘導増強作用若しくは誘導促進作用も含む。
【0071】
さらに、本発明で使用するフコイダン及びその分解物は、抗アレルギー作用、例えばIgE産生抑制作用を有し、これらの化合物を有効成分として使用し、アレルギー性疾患、例えばIgE産生により媒介されるか悪化する症状、例えばIgEが起因となるアレルギー性疾患、例えば気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、じん麻疹、アナフィラキシーショック等を治療又は予防することができる。
【0072】
なお、前記フコイダンの特定の分画物、特にF−フコイダン、U−フコイダン、G−フコイダンは、その基本構造が初めて明確となったフコイダン分画物であるという点において、各分画物に特異的に作用する酵素を用いて調製される各分解物、特にその分解物の分画物、例えば式(I)〜(IV)等の化合物は分子量も、フコイダンと比較し低分子であり、かつフコイダンと同等の生理活性を有するという点において、構造、組成、物性が不明確な単に分離されたフコイダン若しくはフコイダン含有物に比べて顕著に優れる。
【0073】
本発明においては、かかるフコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤を提供する。
【0074】
特に、本発明のサイトカイン類産生調節を要する疾患の治療剤又は予防剤としては、有効性の観点から、好ましくはインターロイキン類又はインターフェロン類産生調節を要する疾患の治療剤又は予防剤であり、より好ましくはインターフェロンγ又はインターロイキン−12産生調節を要する疾患の治療剤又は予防剤である。また、本発明のアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤は抗原感作後のIgE産生抑制作用を有すること、経口投与で抗原感作後のIgE産生抑制作用を有する点において極めて有用な抗アレルギー剤である。さらに、本発明のアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤は、特に花粉症の様に抗原感作された症状においての抗原特異的IgE産生を経口投与で抑制し得るという点において顕著に優れる。従って、アレルギー性疾患の治療剤又は予防剤としては、IgE産生抑制を要する疾患の治療剤又は予防剤が好ましい。
【0075】
本発明の治療剤又は予防剤は、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分とし、これを公知の医薬用担体と組合せ製剤化することにより得られる。当該製剤の製造は一般的には、フコイダン及び/又はその分解物を薬学的に許容できる液状又は固体状の担体と配合し、かつ必要に応じて溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、一般液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることにより行う。また、使用直前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品とすることもできる。
【0076】
医薬用担体は、本発明の治療剤又は予防剤の投与形態及び剤型に応じて適宜選択することができる。
【0077】
経口剤の場合は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩等が利用される。また経口剤の調製に当っては、更に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を配合することもできる。
【0078】
一方、非経口剤の場合は、常法に従い本発明の有効成分であるフコイダン及び/又はその分解物を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等に溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤等を加えることにより調製することができる。
【0079】
本発明の治療剤又は予防剤は、製剤形態に応じた適当な投与経路で投与することができる。また、投与方法も特に限定はなく、内用、外用及び注射によることができる。注射剤は、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内等に投与し得、外用剤には座剤等も包含される。なお、かかる治療剤又は予防剤は、その有効性の観点から、経口用治療剤又は経口用予防剤とするのが好ましい。
【0080】
本発明の治療剤又は予防剤としての投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的及びこれに適用される患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではないが、一般には製剤中に含有されるフコイダン及び/又はその分解物の量で好ましくは成人1日当り0.1〜2000mg/kgとなる量である。従って、本発明の治療剤又は予防剤におけるフコイダン及び/又はその分解物の含有量は、当該治療剤又は予防剤を投与することにより少なくとも前記範囲でフコイダン及び/又はその分解物が投与され得るように適宜決定すればよい。なお、投与量は種々の条件によって変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。本発明の治療剤又は予防剤は、そのまま経口投与するほか、任意の飲食品に添加して日常的に摂取させることもできる。またフコイダン及び/又はその分解物をサイトカイン類産生調節用飲食品又は飼料、一酸化窒素産生誘導用飲食品又は飼料、抗アレルギー用飲食品又は飼料の原料として用いても良い。
【0081】
また本発明の一態様として、サイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患を治療又は予防するためのフコイダン及び/又はその分解物の使用;或いはフコイダン及び/又はその分解物を用いるサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療又は予防方法を提供する。
【0082】
サイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療又は予防を行うには、例えばフコイダン及び/又はその分解物を前記例示する範囲で投与すればよく、例えば本発明の治療剤又は予防剤を適宜投与する。
【0083】
さらに本発明の一態様として、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するサイトカイン類産生調節剤、例えばIFN−γ産生調節剤、IL−12産生調節剤;一酸化窒素産生誘導剤;又は抗アレルギー剤、例えばIgE産生抑制剤を提供する。これらの薬剤は上記治療剤又は予防剤に準じて製造され得る。例えばサイトカイン類産生調節剤は、サイトカイン類の機能研究、サイトカイン類が関連する疾病用医薬のスクリーニングに有用である。これらの薬剤の剤型、使用量等は、各用途に応じて当該薬剤により奏される所望の効果が得られるようであれば特に限定されるものではない。なお、前記例示する疾患等に対し適用することもできる。
【0084】
さらに本発明の一態様として、サイトカイン類産生調節、一酸化窒素産生誘導、アレルギー抑制又はIgE産生抑制のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用;又はフコイダン及び/又はその分解物を用いるサイトカイン類産生調節方法、一酸化窒素産生誘導方法、アレルギー抑制方法、又はIgE産生抑制方法を提供する。
【0085】
サイトカイン類産生調節、一酸化窒素産生誘導、アレルギー抑制又はIgE産生抑制を行うには、例えば前記サイトカイン類産生調節剤、一酸化窒素産生誘導剤等を各用途に応じて所望の効果が得られるように使用すればよい。
【0086】
本発明に使用されるフコイダン又はその分解物の推定される薬理作用を以下に説明する。
【0087】
リンパ球からのIFN−γの産生誘導には、ConA等のマイトジェンにおけるT細胞の直接刺激による誘導、および抗原感作時における抗原提示細胞(APC)とT細胞との細胞間相互作用による誘導が知られている。前者はマイトジェンのT細胞レセプターへの直接結合による誘導であり、後者はAPCとT細胞との各レセプターの刺激、及びそれによりAPCから産生されたIL−12による産生誘導である。IL−12産生誘導に関与するレセプターの反応としてT細胞レセプター(TCR)/主要組織適合性複合体(MHC)の他、副刺激としてT細胞側のCD40LとAPC側のCD40、及びT細胞側のCD28とAPC側のB7の各反応が知られている。
【0088】
従来、ラミナリア ジャポニカ(Laminaria japonika)由来のフコイダンが、正常マウス由来の脾臓リンパ球からのIFN−γ産生を誘導し、NK細胞の活性化を増強する(中国海洋薬物雑誌、1995第3 期、9 〜13)との報告があるが、これは静止期にあるナイーヴT細胞への直接刺激による誘導である。
【0089】
一方、今回、本発明者らが確認したガゴメ昆布由来フコイダン、及びその画分のIFN−γの産生誘導作用に関しては、実施例に示すように、リンパ球の直接刺激、またはアロ抗原刺激時における誘導作用は認められず、感作リンパ球の抗原刺激下でのみIFN−γ産生を増強させた。さらにこのときIL−12の産生誘導も認められた。この抗原提示反応時におけるIFN−γ産生誘導作用は抗IL−12抗体により産生されたIL−12を中和したときに約50%が抑制され、抗CD40抗体及び抗CD28抗体でこれらのレセプターの反応を阻害したときには完全に抑制された。このことより、ガゴメ昆布由来フコイダン、及びその画分のIFN−γの産生誘導の作用機序に関して、抗原提示反応時においてAPCに働いてIL−12産生を増強させたことによるもの、及びAPCとT細胞との相互作用により活性化された状態にあるT細胞に働いて誘導した可能性が推測される。
【0090】
静止期のT細胞に対する直接誘導作用を見ている前記報告に記載のフコイダンと本発明で使用するガゴメ昆布由来フコイダンは異なり、その結果は、全く異なる作用を示すものである。
【0091】
また、抗原提示細胞の一つであるマクロファージの細胞株を用いた系で、フコイダン及びその分解物は、一酸化窒素産生を誘導し、その誘導により免疫賦活効果があることを示しているが、この系においても、フコイダン及びその分解物によるIFN−γの産生誘導は見られず、本発明に使用するフコイダン及びその分解物には、IFN−γを直接産生誘導する活性はなく、一酸化窒素の産生増強とIL−12の産生増強がパラレルであると考えられることからも、本発明によるフコイダンおよびその分解物によるIFN−γの産生増強は、静止期T細胞の直接刺激による誘導ではなく、抗原提示反応時においてAPCに働いてIL−12産生を増強させたことによるもの、及びAPCとT細胞との相互作用により活性化された状態にあるT細胞に働いて誘導した可能性が推測される。この点からも本発明に使用されるフコイダン及びその分解物は直接誘導作用を見ている前記報告とは、全く異なる作用を示すものである。
【0092】
なお、IFN−γはT細胞(Th1)のT細胞レセプターが抗原提示細胞( APC) 等により刺激されたとき産生され、さらにAPCから産生されるIL−12によって産生が増強される。IFN−γはウイルス、真菌感染、および癌疾患等においてNK細胞、マクロファージ等の細胞性免疫を活性化させ、生体防御能の増強に働く。
【0093】
一方、IFN−γは喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎等に代表されるアレルギー性疾患の発生の原因とされているTh2細胞の活性化を抑制することが知られている。Th2細胞は免疫グロブリンE抗体(IgE)の産生を誘導する。産生されたIgEはマスト細胞の細胞膜上のレセプターに結合し、マスト細胞からのケミカルメディエーターの放出を惹起する。この炎症性のメディエーターが直接の原因となりアレルギー症状が発症する。
【0094】
本発明の抗アレルギー剤は抗原感作後の経口投与において、IgE産生を抑制し、発症後の喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎等に代表されるアレルギー性疾患の症状改善に極めて有用である。
【0095】
さらに、本発明はフコイダン及び/又はその分解物を含有してなるサイトカイン類産生調節用食品又は飲料、一酸化窒素産生誘導用食品又は飲料、或いは抗アレルギー用食品又は飲料を提供する。
【0096】
特に、本発明のサイトカイン類産生調節用食品又は飲料としては、有効性の観点から、好ましくはインターロイキン類又はインターフェロン類産生調節用食品又は飲料であり、より好ましくはインターフェロンγ又はインターロイキン−12産生調節用食品又は飲料である。
【0097】
また、本発明の抗アレルギー用食品又は飲料は抗原感作後のIgE産生抑制作用を有すること、摂取により抗原感作後のIgE産生抑制作用を発揮する点において極めて有用な食品又は飲料である。従って、抗アレルギー用食品又は飲料としては、IgE産生抑制用食品又は飲料が好ましい。
【0098】
なお、後述の飼料についても、同様の観点から、これら作用を有する飼料が好ましい。
【0099】
かかる食品又は飲料は、そのサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用により、フコイダン又はその分解物に感受性を示すサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、アレルギー性疾患の症状改善、予防に極めて有用である。
【0100】
なお、本発明の食品、飲料又は飼料、後述の化粧料にいう「含有」の語は、含有、添加、希釈の意を含むものであり、含有とは食品、飲料等に本発明で使用される有効成分が含まれるという態様を、添加とは食品、飲料等の原料に、本発明で使用される有効成分を添加するという態様を、希釈とは本発明で使用される有効成分に、食品、飲料等の原料を添加するという態様をいうものである。
【0101】
本発明の食品又は飲料の製造法は公知の方法に従えばよく特に限定はない。例えば、かかる製造法としては調理、加工及び一般に用いられている食品又は飲料の製造法を挙げることができ、製造された食品又は飲料にサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、及び抗アレルギー作用を有するフコイダン及び/又はその分解物が有効成分として含有されていれば良い。
【0102】
本発明の食品又は飲料は特に限定はないが、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有する、例えば穀物加工品(小麦粉加工品、デンプン類加工品、プレミックス加工品、麺類、マカロニ類、パン類、あん類、そば類、麩、ビーフン、はるさめ、包装餅等)、油脂加工品(可塑性油脂、てんぷら油、サラダ油、マヨネーズ類、ドレッシング等)、大豆加工品(豆腐類、味噌、納豆等)、食肉加工品(ハム、ベーコン、プレスハム、ソーセージ等)、水産製品(冷凍すりみ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、つみれ、すじ、魚肉ハム、ソーセージ、かつお節、魚卵加工品、水産缶詰、つくだ煮等)、乳製品(原料乳、クリーム、ヨーグルト、バター、チーズ、練乳、粉乳、アイスクリーム等)、野菜・果実加工品(ペースト類、ジャム類、漬け物類、果実飲料、野菜飲料、ミックス飲料等)、菓子類(チョコレート、ビスケット類、菓子パン類、ケーキ、餅菓子、米菓類等)、アルコール飲料(日本酒、中国酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、ウオッカ、ブランデー、ジン、ラム酒、ビール、清涼アルコール飲料、果実酒、リキュール等)、嗜好飲料(緑茶、紅茶、ウーロン茶、コーヒー、清涼飲料、乳酸飲料等)、調味料(しょうゆ、ソース、酢、みりん等)、缶詰・瓶詰め・袋詰め食品(牛飯、釜飯、赤飯、カレー、その他の各種調理済み食品)、半乾燥又は濃縮食品(レバーペースト、その他のスプレッド、そば・うどんの汁、濃縮スープ類)、乾燥食品(即席麺類、即席カレー、インスタントコーヒー、粉末ジュース、粉末スープ、即席味噌汁、調理済み食品、調理済み飲料、調理済みスープ等)、冷凍食品(すき焼き、茶碗蒸し、うなぎかば焼き、ハンバーグステーキ、シュウマイ、餃子、各種スティック、フルーツカクテル等)、固形食品、液体食品(スープ等)、香辛料類等の農産・林産加工品、畜産加工品、水産加工品等が挙げられる。
【0103】
本発明の食品又は飲料としては、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用等から選択される生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物が含有されており、その生理作用を発現するための必要量が含有されていれば特にその形状に限定はなく、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の経口的に摂取可能な形状物も包含する。
【0104】
フコイダン及び/又はその分解物の食品又は飲料における含有量は、その官能と生理活性の点から適宜選択すればよいが、例えば、食品100重量部当たり10-9重量部以上、好ましくは10-7〜2重量部であり、例えば飲料100重量部当たり10-9重量部以上、好ましくは10-7〜2重量部である。また、例えば、成人1日当たりフコイダン及び/又はその分解物が好ましくは0.01〜2000mg/kgとなるように摂取すればよい。
【0105】
なお、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用等から選択される生理作用を有するフコイダン及びその分解物は、当該生理作用と食物繊維機能を合わせ持つ健康食品素材として、食品又は飲料の製造素材として極めて有用である。
【0106】
さらに本発明により、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用等から選択される生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有してなる生物用の飼料が提供される。
【0107】
また本発明の一態様として、当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を生物に投与する生物の飼育方法が提供される。
【0108】
また本発明の一態様として、当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を含有する生物飼育用剤が提供される。
【0109】
これらの発明において、生物とは例えば養殖動物、ペット動物等であり、養殖動物としては家畜、実験動物、家禽、魚類、甲殻類又は貝類が例示される。
【0110】
飼料としてはフコイダン及び/又はその分解物の生理作用に基づく体調改善用飼料が例示される。
【0111】
生物飼育用剤としては浸漬用剤、飼料添加剤、飲料用添加剤が例示される。
【0112】
これらの発明において、当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物は、生物の飼育効率、例えば生存率、肥育率、産卵率、産仔率、離乳率等を向上させる効果を有する。
【0113】
フコイダン及び/又はその分解物を生物に投与する生物の飼育方法においては、当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を通常、対象生物の体重1kg、1日当たり好ましくは0.01〜2000mg投与すればよい。投与は、例えばフコイダン及び/又はその分解物を人工配合飼料の原料中に添加、混合するか、人工配合飼料の粉末原料と混合した後、その他の原料に添加、混合することにより行うことができる。また、かかるフコイダン及び/又はその分解物の投与量が達成され得るように、本発明の飼料を投与してもよい。
【0114】
当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物の飼料中の含有量は特に限定はなく、目的に応じて使用すれば良いが、0.001〜15重量%の割合が好ましい。
【0115】
人工配合飼料としては、魚粉、カゼイン、イカミールなどの動物性原料、大豆粕、小麦粉、デンプン、飼料用酵母などの植物性原料、タラ肝油、イカ肝油、などの動物性油脂、大豆油、菜種油等の植物性油脂、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、抗酸化剤等を原料とする人工配合飼料が挙げられる。また魚肉ミンチ等の魚類用飼料が挙げられる。
【0116】
又、機能性オリゴ糖、例えばフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖等、食物繊維、例えばポリデキストロース、難消化性デキストリン、β−1,3−グルカン等、プロポリス、糖アルコール、例えばマルチトール、パラニチット、エリスリトール等、EPA、γ−リノレン酸、ヘム鉄、クロレラ、スピルリナ、ホワイトベリーエキス、難う触性素材、例えばポリフェノール等の機能性食品素材を本発明の飼料の原料として使用しても良い。なお本発明において飼料としては、飼料添加剤、飼料用栄養補助食も包含される。
【0117】
本発明の飼料の製造方法に特に限定は無く、製造された飼料中にサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用等から選択される生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物の有効量が含有されていればよい。
【0118】
また当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物をプール、水槽、保持タンク又は飼育領域の水、海水等に直接添加し、対象生物を浸漬することにより、投与することもできる。この浸漬方法は対象生物の飼料摂取量が低下したときに特に有効である。
【0119】
水又は海水中のフコイダン及び/又はその分解物の濃度は特に限定はなく、目的に応じて使用すれば良いが、0.00001〜1重量%の割合が好ましい。
【0120】
また当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を含有する飲料を飼育用飲料として対象生物に摂取させても良い。
【0121】
飲料中の当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物の濃度は特に限定はなく、目的に応じて使用すれば良いが、0.0001〜1重量%の割合が好ましい。
【0122】
当該生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を有効成分とする生物飼育用剤、例えば浸漬用剤、飼料添加剤、飲料用添加剤はそれ自体公知の方法で作製すれば良い。
【0123】
本発明が適用できる生物としては限定はないが、養殖動物としては、馬、牛、豚、羊、山羊、らくだ、ラマ等の家畜、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等の実験動物、鶏、アヒル、七面鳥、駝鳥等の家禽、マダイ、イシダイ、ヒラメ、カレイ、ブリ、ハマチ、ヒラマサ、マグロ、シマアジ、アユ、サケ・マス類、トラフグ、ウナギ、ドジョウ、ナマズ等の魚類、クルマエビ、ブラックタイガー、タイショウエビ、ガザミ等の甲殻類等、アワビ、サザエ、ホタテ貝、カキ等の貝類、ペット動物としてはイヌ、ネコ等が挙げられ、陸上・水中動物に広く適用できる。
【0124】
サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用等から選択される生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を含有する飼料を摂取すること、又は当該フコイダン及び/又はその分解物の含有液に対象生物を浸漬することにより、家畜、実験動物、家禽、魚類、甲殻類、貝類、ペット動物等の体調、健康、生体の恒常性、新陳代謝等が顕著に改善され、本発明は生物の老化防止に極めて有用である。
【0125】
さらに、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用等から選択される生理作用を有するフコイダン及び/又はその分解物は化粧料の有効成分として有用であり、本発明の一態様として、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分とするサイトカイン類産生調節用化粧料、一酸化窒素産生誘導用化粧料、抗アレルギー用化粧料等が提供される。
【0126】
これらの化粧料等に含有されるフコイダン及び/又はその分解物の含有量は通常、好ましくは0.0001〜20重量%、より好ましくは0.001〜5重量%である。
【0127】
本発明の化粧料は経皮的、経口的使用に有効であり本発明により経皮投与、経口投与で有効な化粧料が提供される。特に抗アレルギー用化粧料はその抗アトピー作用により、アトピー性皮膚炎の治療、予防に有用な化粧料である。なお、その投与量又は適用量は、所望の効果が得られるように適宜調節すればよい。
【0128】
本発明の化粧料は常法に従って製造することができ、サイトカイン類産生調節用化粧料、一酸化窒素産生誘導用化粧料、抗アレルギー用化粧料として、例えばローション類、乳液類、クリーム類、パック類、浴用剤、洗顔剤、浴用洗剤、毛髪剤、育毛剤又は洗髪剤を製造することができる。
【0129】
本発明に使用するサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、抗アレルギー作用を有するフコイダン及び/又はその分解物はラットに対する経口投与において1g/kgを経口単回投与しても死亡例は認められない。
【実施例】
【0130】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。なお、実施例における%は重量%を意味する。
【0131】
参考例1
(1)ガゴメ昆布を充分乾燥後、乾燥物20kgを自由粉砕機(奈良機械製作所製)により粉砕した。
水道水900リットルに塩化カルシウム二水和物(日本曹達社製)7.3kgを溶解し、次にガゴメ昆布粉砕物20kgを混合した。液温12℃から液温90℃となるまで水蒸気吹込みにより40分間昇温させ、次いでかくはん下90〜95℃に1時間保温し、次いで冷却し、冷却物1100リットルを得た。
【0132】
次いで固液分離装置(ウエストファリアセパレーター社製CNA型)を用い、冷却物の固液分離を行い、約900リットルの固液分離上清液を調製した。
【0133】
固液分離上清液360リットルをダイセル社製FE10−FC−FUS0382(分画分子量3万)を用い、20リットルまで濃縮した。次いで水道水を20リットル加え、また20リットルまで濃縮するという操作を5回行い、脱塩処理を行い、ガゴメ昆布由来の抽出液25リットルを調製した。
【0134】
該溶液1リットルを凍結乾燥し、ガゴメ昆布由来フコイダン乾燥物13gを得た。
【0135】
(2)参考例1−(1)記載のフコイダン乾燥物7gを、50mMの塩化ナトリウムと10%のエタノールを含む20mMのイミダゾール緩衝液(pH8.0)700mlに溶解し、遠心分離により不溶物を除去した。DEAE−セルロファインA−800カラム(φ11.4cm×48cm)を同緩衝液にて平衡化し、遠心分離上清をアプライ後、同緩衝液で洗い、塩化ナトリウムの50mMから1.95Mの濃度勾配により溶出させた(1フラクション:250ml)。フェノール硫酸法及びカルバゾール硫酸法にて、総糖量及びウロン酸含量を求め、溶出順にフラクション43〜49、フラクション50〜55、フラクション56〜67の画分を得た。次に、これらの画分を電気透析により脱塩後凍結乾燥し、フラクション43〜49よりI画分(340mg)、フラクション50〜55よりII画分(870mg)、フラクション56〜67よりIII画分(2.64g)をそれぞれ調製した。
【0136】
第1図にガゴメ昆布由来フコイダンのDEAE−セルロファインA−800カラム溶出パターンを示す。第1図において縦軸はカルバゾール硫酸法での530nmの吸光度(図中黒丸)、フェノール硫酸法での480nmの吸光度(図中白丸)、及び電導度(mS/cm:図中白四角)、横軸はフラクション番号を示す。
【0137】
参考例2
(1)アルテロモナス sp. SN−1009(FERM BP−5747)を、グルコース 0.25%、ペプトン 1.0%、酵母エキス 0.05%を含む人工海水(ジャマリンラボラトリー社製)pH8.2からなる培地600mlを分注して殺菌した(120℃、20分間)2リットルの三角フラスコに接種し、25℃で26時間培養して種培養液とした。ペプトン 1.0%、酵母エキス 0.02%、下記参考例2−(2)に記載の硫酸化多糖 0.2%、及び消泡剤(信越化学工業社製KM70)0.01%を含む人工海水pH8.0からなる培地20リットルを30リットル容のジャーファメンターに入れて120℃、20分間殺菌した。冷却後、上記の種培養液600mlを接種し、24℃で24時間、毎分10リットルの通気量と毎分250回転のかくはん速度の条件で培養した。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体及び培養上清を得た。得られた培養上清を、排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により濃縮後85%飽和硫安塩析し、生じた沈殿を遠心分離により集め、10分の1濃度の人工海水を含む20mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.2)に対して充分透析し、600mlの硫酸化多糖に選択的に作用するエンド型硫酸化多糖分解酵素(F−フコイダン特異的分解酵素)液を調製した。
【0138】
(2)乾燥したガゴメ昆布2Kgを直径1mmのスクリーンを装着させたカッターミル(増幸産業社製)により粉砕し、得られた昆布のチップを20リットルの80%エタノール中に懸濁し、25℃で3時間かくはんし、ろ紙でろ過後、残渣を充分洗浄した。得られた残渣を、95℃に加温した40リットルの50mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸ナトリウム緩衝液pH6.5に懸濁し、時々かくはんしながら95℃で2時間処理し、硫酸化多糖を抽出した。
【0139】
抽出液中の懸濁物を、ろ過し、ろ液を調製した後、ろ過残渣を3.5リットルの100mM塩化ナトリウムにより洗浄し、更にろ液を得た。
【0140】
両ろ液を合わせた後、30℃まで温度を下げ、3000Uのアルギン酸リアーゼK(ナガセ生化学工業社製)を添加後、エタノールを4リットル加え25℃で24時間かくはんした。次に遠心分離を行い、得られた上清を排除分子量10万のホロファイバーを備えた限外ろ過器により4リットルに濃縮し、更に、10%のエタノールを含む100mMの塩化ナトリウムにより、着色性物質がろ過されなくなるまで限外ろ過を続けた。
【0141】
非ろ過液中に生じた沈殿は遠心分離により除去し、この上清を5℃まで温度を下げ、0.5N塩酸によりpHを2.0とした後、生じたタンパク質等の沈殿を遠心分離により除去し、得られた上清を速やかに1N水酸化ナトリウムによりpHを8.0とした。
【0142】
次に、排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過器により限外ろ過を行い、20mM塩化ナトリウムpH8.0により完全に溶媒置換後、再度pHを8.0として遠心分離後、凍結乾燥を行い、約95gの硫酸化多糖を調製した。
【0143】
(3)乾燥したガゴメ昆布2Kgを直径1mmのスクリーンを装着させたカッターミルにより粉砕し、得られた昆布のチップを20リットルの80%エタノール中に懸濁し、25℃で3時間かくはんし、ろ紙でろ過後、残渣を充分洗浄した。
【0144】
得られた残渣を、30mlの上記参考例2−(1)で調製したエンド型硫酸化多糖分解酵素、10%のエタノール、100mMの塩化ナトリウム、50mMの塩化カルシウム、及び50mMのイミダゾールを含む20リットルの緩衝液(pH8.2)に懸濁し、25℃で48時間かくはんした。この懸濁液を網目の直径32μmのステンレス金網でろ過し、残渣を50mMの塩化カルシウムを含む10%のエタノールで洗浄した。更にその残渣を10リットルの50mM塩化カルシウムを含む10%のエタノール中に懸濁し、3時間かくはん後、ステンレス金網でろ過、洗浄した。更にその残渣を同条件で懸濁後、16時間かくはんし、直径32μmのステンレス金網でろ過、洗浄した。
【0145】
こうして得られたろ液及び洗浄液を集め、排除分子量3000のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により限外ろ過し、ろ過液と非ろ過液に分離した。
【0146】
このろ過液をロータリーエバポレーターで約3リットルに濃縮後、遠心分離して上清を得た。得られた上清を排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱塩し、この溶液に0.1Mとなるように酢酸カルシウムを添加し、生じた沈殿を遠心分離により除去した。この上清をあらかじめ50mMの酢酸カルシウムにより平衡化させたDEAE−セルロファイン(樹脂量4リットル)にかけ、50mMの酢酸カルシウム及び50mMの塩化ナトリウムで充分洗浄後、50mM〜800mMの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させた。この時の分取量は1本当り500mlで行った。分取した画分をセルロースアセテート膜電気泳動法[アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry)、第37巻、第197〜202頁(1970)]により分析したところ塩化ナトリウム濃度が約0.4Mで溶出される硫酸化糖(フラクションナンバー63付近)が均一であった。
【0147】
そこで、まずフラクションナンバー63の液を150mlに濃縮後、濃度が4Mとなるように塩化ナトリウムを添加し、あらかじめ4Mの塩化ナトリウムにより平衡化したPhenyl−セルロファイン(樹脂量200ml)にかけ、4Mの塩化ナトリウムにより充分洗浄した。非吸着性の硫酸化糖画分を集め、排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱塩し、脱塩液505mlを得た。
【0148】
得られた脱塩液のうち40mlを10%のエタノールを含む0.2Mの塩化ナトリウムによって平衡化させたセルロファインGCL−90のカラム(4.1cm×87cm)にかけて、ゲルろ過を行った。分取は1フラクション当り9.2mlで行った。
【0149】
全フラクションに対して総糖量の分析をフェノール硫酸法〔アナリティカルケミストリー(Analytical Chemistry)、第28巻、第350頁(1956)〕により行った。
【0150】
この結果、硫酸化糖は1つのピークを形成したので、そのピークの中央部分、フラクションナンバー63〜70を集め、排除分子量300の膜を装着させた電気透析器により脱塩後、凍結乾燥し、112mgの下記式Vで表される化合物の乾燥品を得た。
【0151】
【化5】

【0152】
参考例3
(1)乾燥ガゴメ昆布2Kgを穴径1mmのスクリーンを装着したカッターミル(増幸産業社製)により破砕し、20リットルの80%エタノール中で25℃、3時間攪拌後ろ過、洗浄した。得られた残渣を50mMの塩化カルシウム、100mMの塩化ナトリウム、10%のエタノール、及び参考例2−(1)で調製したアルテロモナス sp. SN−1009(FERM BP−5747)エンド型硫酸化多糖分解酵素(F−フコイダン特異的分解酵素)を1U含む20リットルの30mMイミダゾール緩衝液(pH8.2)に懸濁し、25℃で2日攪拌し、次いで穴径32μmのステンレス金網でろ過し、洗浄した。得られた残渣を100mMの塩化ナトリウム、10%のエタノール、及び4gのアルギン酸リアーゼ(ナガセ生化学工業製)を含む40リットルのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.6)に懸濁し、25℃、4日攪拌後、遠心分離し上清を得た。得られた上清中に含まれるアルギン酸の低分子化物を除去するため、排除分子量10万のホロファイバーを装着した限外ろ過機により2リットルに濃縮後、10%のエタノールを含む100mMの塩化ナトリウムで溶液交換した。この溶液に等量の400mM酢酸カルシウムを添加攪拌後、遠心分離し、得られた上清を氷冷しながら、1Nの塩酸でpH2とした。生じた沈殿を遠心分離により除去し、得られた上清を1Nの水酸化ナトリウムによりpH8.0とした。この溶液を限外ろ過により1リットルに濃縮後、100mMの塩化ナトリウムで溶液交換した。この時生じた沈殿は遠心分離により除去した。得られた上清中の疎水性物質を除去するため、上清に1Mとなるように塩化ナトリウムを加えて、1Mの塩化ナトリウムで平衡化した3リットルのフェニルセルロファインカラム(生化学工業製)にかけ、素通り画分を集めた。この画分を限外ろ過機により濃縮後、20mMの塩化ナトリウムで溶液交換し、凍結乾燥した。凍結乾燥物の重量は29.3gであった。
【0153】
(2)上記の凍結乾燥物15gを400mMの塩化ナトリウム及び国際公開第97/26896号パンフレット記載のフラボバクテリウム sp. SA−0082(FERM BP−5402)を培養し、参考例2−(1)と同様にして該培養物から得られたエンド型硫酸化多糖分解酵素(U−フコイダン特異的分解酵素)を9U含む1.5リットルの50mMトリス塩酸緩衝液に溶解し、25℃で6日反応後、エバポレーターで約300mlに濃縮した。濃縮液を排除分子量3500の透析チューブに入れて徹底的に透析し、透析チューブ内に残った液を、50mMの塩化ナトリウムで平衡化した4リットルのDEAE−セルロファインA−800にかけ、50mM塩化ナトリウムで充分洗浄後、50〜650mMの塩化ナトリウムの濃度勾配による溶出を行った。更に同カラムを650mMの塩化ナトリウムで充分溶出させた。溶出画分のうち650mMの塩化ナトリウムで溶出した画分を硫酸化フコガラクタン画分として集め、排除分子量10万の限外ろ過機により濃縮後、10mMの塩化ナトリウムで溶液を置換し、凍結乾燥して硫酸化フコガラクタンの凍結乾燥物を0.85g得た。得られた硫酸化フコガラクタン(G−フコイダン)は、構成糖としてガラクトースとフコースを含有し、そのモル比は、約2:1であった。
【0154】
参考例4
市販のワカメ メカブの乾燥物1Kgを穴の径が1mmのスクリーンを装着させたカッターミルにより破砕後、10リットルの80%エタノール中に懸濁し、3時間攪拌後、ろ紙によりろ過し、残渣を得た。残渣を50mMの塩化ナトリウムを含む40mMのリン酸緩衝液(pH6.5)20リットルに懸濁し95℃で2時間処理した。処理液を37℃まで冷却後、10%となるようにエタノールを添加し、市販のアルギン酸リアーゼK(ナガセ生化学工業社製)を12000U添加後、室温で24時間攪拌した。得られた処理液を遠心分離し、その上清を排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により2リットルに濃縮後、生じた沈殿を遠心分離により除去した。得られた上清を5℃に冷却後0.5Nの塩酸を添加してpHを2.0とした後30分間攪拌し、生じた沈殿を遠心分離により除去した。上清のpHを0.5Nの水酸化ナトリウムにより8.0とし、限外ろ過により溶液を20mMの塩化ナトリウムに置換した。溶液のpHを8.0に調整後、遠心分離して得られた上清を凍結乾燥し、90.5gのワカメ メカブ由来フコイダンを得た。
【0155】
参考例5
粉砕したヒバマタ(Fucus vesiculosus )の乾燥物1Kgを、10リットルの80%エタノール中に懸濁し、3時間攪拌後、ろ紙によりろ過し、残渣を得た。残渣を100mMの塩化ナトリウムを含む30mMのリン酸緩衝液(pH6.0)30リットルに懸濁し95℃で2時間処理した。処理液を37℃まで冷却後、100gの活性炭を添加し30分間攪拌した。市販のアルギン酸リアーゼKを3000U添加後、10%となるようにエタノールを添加し室温で24時間攪拌した。得られた処理液を遠心分離し、その上清を排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により2リットルに濃縮後、生じた沈殿を遠心分離により除去した。この上清に抽出液を加えながら限外ろ過し、色素を除去した。得られた非ろ過液を5℃に冷却後0.5Nの塩酸を添加してpHを2.0とした後30分間攪拌し、生じた沈殿を遠心分離により除去した。上清のpHを0.5Nの水酸化ナトリウムにより8.0とし、限外ろ過により溶液を20mMの塩化ナトリウムに置換した。溶液のpHを8.0に調整後、遠心分離して得られた上清を凍結乾燥し、71gのヒバマタ由来フコイダンを得た。
【0156】
参考例6
参考例1−(1)記載の方法で調製したガゴメ昆布由来フコイダン2gを100mlの水に溶解し、そのpHをクエン酸にてpH3に調整後、100℃で3時間処理し、当該フコイダンの酸分解物を調製した。この酸分解物をセルロファインGCL−300、又はセルロファインGCL−25によるゲルろ過で分子量分画し、分子量25000超(A画分)、25000〜10000超(B画分)、10000〜5000超(C画分)、5000〜2000超(D画分)、2000〜500超(E画分)、500以下(F画分)に分画した。更にこれらの画分及び酸分解物をそれぞれ脱塩後凍結乾燥を行い、酸分解物の各分画物及び酸分解物を調製した。
【0157】
参考例7
マナマコを5kg解体し、内臓を除去し、体壁を集めた。体壁湿重量200g当り500mlのアセトンを加え、ホモジナイザーで処理後ろ過し、残渣をこれ以上着色物質がなくなるまでアセトンで洗浄した。この残渣を吸引乾燥し、140gの乾燥物を得た。この乾燥物に0.4Mの食塩水2.8リットルを加え、100℃で1時間処理後、ろ過し、残渣を0.4Mの食塩水で充分洗浄し、抽出液3.7リットルを得た。この抽出液に5%のセチルピリジニウムクロリドを沈殿が生じなくなるまで加え、生じた沈殿を遠心分離で集めた。この沈殿を0.4Mの食塩水に懸濁後再度遠心分離し、得られた沈殿に1リットルの4M食塩水を添加し、ホモジナイザーで処理後、かくはんしながら4リットルのエタノールを添加し、1時間かくはん後、ろ過し、沈殿を得た。この沈殿に対して、80%エタノールに懸濁後ろ過という工程を上清の260nmの吸光度が0になるまで繰り返した。得られた沈殿を2リットルの2M食塩水に懸濁し、不溶物を遠心分離により除去した。上清を排除分子量3万の膜を備えた限外ろ過装置により限外ろ過し、完全に脱塩後、凍結乾燥し3.7gのナマコ由来フコイダンを得た。
【0158】
参考例8
市販の塩蔵オキナワモズク625gを4375mlの30mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に懸濁し、ホモジナイザーにより8000回転/分、5分処理後、95℃、1時間処理し、遠心分離により上清を得た。得られた上清に10gの活性炭を添加後30分間攪拌し、遠心分離により上清を得た。得られた上清を排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機により2リットルに濃縮後、20mMの塩化ナトリウムで溶液置換し、凍結乾燥して10.9gのオキナワモズク由来のフコイダン画分の乾燥物を得た。
【0159】
実施例1
10%ウシ胎児血清(ギブコ社製)含有、フェノールレッド不含、2mM L−グルタミン(ライフテックオリエンタル社製、25030−149)含有ダルベッコ改良イーグル培地(バイオウィタカー社製、12−917F)にRAW264.7細胞(ATCC TIB 71)を6×105 cells/mlになるように懸濁し、48穴マイクロタイタープレートのウェルに500μlずつ加えて5%炭酸ガス存在下、37℃で12時間若しくは24時間培養した。各ウェルに後述する試料の各水溶液を添加して前記規定時間培養した後、一酸化窒素(NO)が培地中で酸化されることによって生ずるNO2 - 濃度の測定を行った。試料として用いた、参考例1−(2)記載のガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、及びIII画分、参考例2−(3)記載の式Vで表される化合物(以下、7−12SFd−Fと称す)は、最終濃度が、1、10、100μg/mlになるように添加した。また、対照は試料と同量の滅菌蒸留水を添加した。なお、陽性対照としては、リポポリサッカライド(LPS、シグマ社製)を最終濃度が、1μg/mlになるように添加した。
【0160】
上記培養後、100μlの培地に100μlの4%グリース試薬(シグマ社製、G4410)を加え、室温で15分間放置した後、540nmにおける吸光度を測定した。上記培地に予め既知の濃度で溶解させたNaNO2 で作製した検量線から培地中のNO2 - 濃度を計算した。測定はすべて3連で行った。
【0161】
この結果、7−12SFd−F、ガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、及びIII画分はどれもNO産生誘導を促進し、免疫賦活作用があることが明らかになった。その結果を第2図〜第5図に示す。すなわち、第2図は7−12SFd−F、第3図はI画分、第4図はII画分、第5図はIII画分を添加して培養した時の培地中のNO2 - 濃度を示す図である。また第6図は陽性対照のLPSを添加して培養した時の培地中のNO2- 濃度を示す図である。第2図〜第6図において横軸は培養条件を、縦軸はNO2 - 濃度(μM)を示す。
【0162】
これらの結果より、ガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、III画分、及び7−12SFd−Fには、NO産生誘導作用、及び該作用を介した免疫賦活効果があることが明らかになった。
【0163】
なお、各参考例に記載のその他のフコイダン及びその分解物も同様のNO産生誘導作用を示した。
【0164】
また、NO2 - 濃度を測定した培養液と同じ培養液中のIFN−γ量をELISAキット(Genzyme 社)を用いて測定した。しかし、この系においてはガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、III画分、7−12SFd−F、及びその他の各参考例に記載のフコイダン及びその分解物にIFN−γの産生誘導は見られなかった。
【0165】
実施例2
(1)非刺激リンパ球からのIFN−γ産生誘導作用
ICR マウス(雌、7週齢、体重約25g)は日本SLCより購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。マウスより脾臓を摘出し、細かく粉砕して10%牛胎児血清(ハイクローン社)を含んだRPMI−1640培地(ギブコ社)に懸濁して単細胞液を得た。接着性細胞をプラスチックシャーレに接着させて除き、非接着性細胞を脾臓リンパ球として用いた。脾臓リンパ球は10%牛胎児血清を含んだRPMI−1640培地に懸濁して2×106 cells/mlに調整し、180μl/ウェルで96穴マイクロタイタープレートに播種した。各試料は蒸留水に溶解して100mg/mlの濃度に調整し、表示量の10倍濃度に培地で希釈した。対照は試料と同量の培地を添加し、該対照群以外の各ウェルに各濃度(10〜500μg/ml)の参考例に記載の各フコイダン、ガゴメ昆布フコイダンのI画分、II画分、III画分、7−12SFd−Fまたは100μg/mlのコンカナバリンA(ConA;ナカライテスク社)溶液を20μg/ml添加し37℃、5%炭酸ガス培養器で2日間または4日間培養した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量をELISA キット(Genzyme 社)を用いて測定した。
【0166】
その結果、参考例に記載の各フコイダン、ガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、III画分、7−12SFd−Fには500μg/ml以下の用量において非刺激リンパ球からのIFN−γ産生誘導作用は認められなかった。一方、ConAを添加した細胞では強いIFN−γの産生誘導が認められた。
【0167】
(2)アロ抗原刺激下におけるIFN−γ産生誘導作用
BALB/cマウス(雌、6週齢、体重約20g)、C57BL/6 マウス(雌、6週齢、体重約20g)は日本SLCより購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。H-2 のハプロタイプの異なったマウス(BALB/c;H-2d、C57BL/6 ;H-2b)より脾臓を摘出し、上記の方法により脾臓リンパ球を得た。各細胞浮遊液の細胞濃度を2×106 cells/mlに調整し、100μlづつを96穴マイクロタイタープレートに播種した。該対照群以外の各ウェルに各濃度(10〜500μg/ml)の参考例に記載の各フコイダン、ガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、III画分、7−12SFd−Fまたは10μg/mlのConAを実施例2−(1)と同様に添加した。また、対照は試料と同量の培地を添加した。これらを37℃、5%炭酸ガス培養器で4日間培養した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量をELISA キットを用いて測定した。
【0168】
その結果、参考例に記載の各フコイダン、ガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、III画分、7−12SFd−Fには500μg/ml以下の用量においてアロ抗原刺激状態のリンパ球に対するIFN−γ産生誘導作用は認められなかった。一方、ConAを添加した細胞では強いIFN−γの誘導が認められた。
【0169】
(3)感作リンパ球の抗原刺激下におけるIFN−γ産生誘導作用
C57BL/6 マウス(雌、6週齢、体重約20g)は日本SLCより購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。マウスの腹腔内に1×106 cellsのMeth-Aマウス肉腫細胞を接種して免疫した。腫瘍接種14日後に脾臓を摘出し、上記の方法により脾臓リンパ球を得た。細胞浮遊液の細胞濃度を2×106 cells/mlに調整し、100μlづつを96穴マイクロタイタープレートに播種した。刺激細胞の調製のため、RPMI−1640培地に懸濁して2×106 cells/mlに調整したMeth-Aマウス肉腫細胞にマイトマイシンC(協和発酵社製)を50μg /mlの濃度で添加して37℃で30分間処理し、2回洗浄後、10%牛胎児血清を含んだRPMI−1640培地に懸濁して2×106 cells/mlに調整した。調製した刺激細胞を100μl/ウェルで脾臓リンパ球を加えたプレートの各ウェルに重層し、37℃、5%炭酸ガス培養器で4日間培養した。試料として用いた、ガゴメ昆布由来フコイダンは1〜100μg/mlとなるよう、ガゴメ昆布由来フコイダンのI画分、II画分、III画分、7−12SFd−Fは各10〜500μg/mlとなるように、また陽性対照にはConAを10μg/mlとなるように、実施例2−(1)と同様に調製、添加し培養した。また、対照は試料と同量の培地を添加した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量をELISA キットを用いて測定した。同培養上清においてIL−12量をELISA キット(ENDOGEN社) を用いて測定した。
【0170】
その結果を第7図、第8図に示す。すなわち第7図はフコイダン及びその分解物のIFN−γ産生誘導作用を示す図であり、図中縦軸はIFN−γ産生量(pg/ml)、横軸は各試料、及び添加量(μg/ml)を示す。
【0171】
また第8図はフコイダン及びその分解物のIL−12産生誘導作用を示す図であり、図中縦軸はIL−12産生量(pg/ml)、横軸は各試料、及び添加量(μg/ml)を示す。
【0172】
第7図、第8図に示すように、感作リンパ球の抗原刺激下において、ガゴメ昆布由来フコイダンは1〜100μg/mlの用量において、I画分、II画分、III画分、及び7−12SFd−Fは10〜500μg/mlの用量において用量依存的なIFN−γ、及びIL−12産生の増強作用を示した。またその他の各参考例に記載のフコイダンおよびその分解物も同様の作用を示した。
【0173】
実施例3
C57BL/6 マウス(雌、7週齢、体重約20g)は日本SLCより購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。マウスより脾臓を摘出し、細かく粉砕して10%牛胎児血清(ハイクローン社)を含んだRPMI−1640培地(バイオウィッタカー社)に懸濁して単細胞液を得た。脾臓リンパ球は10%牛胎児血清を含んだRPMI−1640培地に懸濁して3×106 cells/mlに調整し、T25フラスコ(イワキ社)に10ml加えた。フラスコは同じものを2つずつ用意し、一方には培地のみを、他方にはさらにガゴメ昆布由来フコイダンを10μg/mlとなるように添加し、37℃、5%CO2 存在下で培養した。
【0174】
培養開始より10日後に細胞を回収し、所定の濃度になるように10%牛胎児血清を含んだRPMI−1640培地で希釈し、96穴丸底マイクロプレートに100μlずつ分注した。
【0175】
細胞の細胞傷害活性は、51CrでラベルしたEL4胸腺腫瘍細胞(以下、EL4細胞という)をターゲットとし、培養上清中に遊離してくるγ線量を測定した。すなわち、EL4細胞にChromium-51 Radionuclide(ニューイングランドニュークリア社)1850kBqを加え37℃で一時間培養し、遠心操作にてRPMI−1640培地で3回洗浄した。10%牛胎児血清を含んだRPMI−1640培地に該細胞を懸濁して1×105 cells/mlに調整した。これを上述の96穴丸底マイクロプレートに100μlずつ分注し、37℃、5%CO2 存在下で5時間培養し、上清100μlを採取後、γシンチレーションカウンターにて遊離したγ線量を測定した。細胞傷害活性は次のように算出した。
細胞傷害活性(%)=〔 (実験値−対照値)/ (総放射活性値−対照値) 〕×100
ここで、総放射活性値は、培養脾細胞の代わりに0.1%Triton−X100μlを用いた場合のγ線量を示す。また、対照値は培養脾細胞の代わりに培地100μlを用いた場合のγ線量を、実験値は培養脾細胞を用いた場合のγ線量を示す。
【0176】
その結果を第9図に示す。すなわち第9図はガゴメ昆布由来フコイダンのマウス脾臓リンパ球の細胞傷害性免疫増強作用を示す図であり、縦軸は細胞傷害活性(%)、横軸は対照のエフェクター細胞、及び参考例1記載のガゴメ昆布由来フコイダンを10μg/mlとなるように添加して培養して得られたエフェクター細胞(E)とターゲット細胞(T)との比(E/T ratio)を示す。棒グラフは各群5匹の平均値と標準誤差を示す。
【0177】
第9図に示すように、マウスの培養脾細胞(エフェクター細胞)は、EL4細胞(ターゲット細胞)に対して細胞傷害活性を示した(対照)。フコイダンを10μg/mlとなるように加えて培養した細胞では、EL4細胞に対する細胞傷害活性が増強されており、フコイダン添加群では低いエフェクター細胞とターゲット細胞との比にも拘らず、高い細胞傷害活性を示し、細胞傷害性免疫がフコイダンにより増強された。
【0178】
また参考例に記載の他の各フコイダン、その分解物、I画分、II画分、III画分、及び7−12SFd−Fも同様の活性を示した。
【0179】
実施例4
(1)非刺激リンパ球からのIFN−γ産生誘導作用
C57BL/6 マウス(雌、6週齢、体重約20g)は日本SLCより購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。前記の方法により調製した脾臓リンパ球を播種したプレートの各ウエルに10〜500μg/mlとなるよう参考例3−(2)で調製したG−フコイダンを添加し、37℃、5%炭酸ガス培養器で4日間培養した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量をELISA キットを用いて測定した。
【0180】
その結果、検討した用量においてG−フコイダンによるIFN−γ産生誘導作用は認められなかった。
【0181】
(2)感作リンパ球の抗原刺激下におけるIFN−γ産生誘導作用
C57BL/6 マウス(雌、6週齢、体重約20g )は日本SLCより購入し、1週間の予備飼育の後、実験に用いた。試料として参考例3−(2)で調製したG−フコイダンは蒸留水に溶解して100mg/mlに調製し、表示量の10倍濃度に培地で希釈した。前記の方法により調製した脾臓リンパ球、及びMeth-Aマウス肉腫細胞を播種したプレートの各ウエルに最終濃度が10〜500μg/mlとなるよう調製したG−フコイダンを添加して37℃、5%炭酸ガス培養器で4日間培養した。なお、対照は試料と同量の培地を添加し、培養した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量、及びIL−12量をELISA キットを用いて測定した。
【0182】
その結果を第10図、第11図に示す。すなわち第10図はG−フコイダンのIFN−γ産生誘導作用を示す図であり、図中縦軸はIFN−γ産生量( pg/ml) 、横軸は試料、及び添加量(μg/ml)を示す。また、第11図はG−フコイダンのIL−12産生誘導作用を示す図であり、図中縦軸はIL−12産生量( pg/ml) 、横軸は試料、及び添加量(μg/ml)を示す。第10図、第11図に示すように、感作リンパ球の抗原刺激下において、G−フコイダンは10〜500μg/mlの用量において用量依存的なIFN−γ産生の増強作用が認められた。IL−12についても500μg/mlの用量において顕著な産生増強作用が認められた。
【0183】
実施例5
ガゴメ昆布由来フコイダンのIFN−γ産生誘導作用に対する抗IL−12抗体及び抗副刺激レセプター(CD28、CD40)抗体の作用
前記の方法により調製したC57BL/6 マウス由来脾臓リンパ球及びMeth-Aマウス肉腫細胞を混合して96穴マイクロタイタープレートに播種し、全てのウエルに終濃度100 μg/mlの参考例1−(1)で調製したガゴメ昆布由来フコイダンを添加した。さらに対照以外のウエルに終濃度1 μg/mlの抗IL−12抗体(R &D 社)、又は終濃度10μg/mlの抗CD28抗体、若しくは抗CD40抗体を添加して37℃、5%炭酸ガス培養器で4日間培養した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量、及びIL−12量をELISA により測定した。その結果を第12図に示す。すなわち第12図はフコイダンのIFN−γ又はIL−12産生誘導作用に対する各種抗体の作用を示す図であり、図中左縦軸はIFN−γ産生量( pg/ml) 、右縦軸はIL−12産生量( pg/ml) 、横軸は用いた各抗体を示す。
【0184】
第12図に示すように、抗原提示反応時のガゴメ昆布由来フコイダンによるIL−12の産生誘導は抗IL−12抗体、抗CD28抗体、又は抗CD40抗体により完全に抑制された。一方、感作リンパ球からのIFN−γ産生誘導は抗IL−12抗体により約50%が抑制され、抗CD28抗体、又は抗CD40抗体により完全に抑制された。
【0185】
実施例6
各種フコイダンのIFN−γ産生誘導作用の比較
C57BL/6 マウスにMeth-Aマウス肉腫細胞を接種して免疫し、接種から24日後に脾臓を摘出した。前記の方法により調製したC57BL/6 マウス由来脾臓リンパ球、及びMeth-Aマウス肉腫細胞を混合して96穴マイクロタイタープレートに播種した。試料として、参考例1で調製したガゴメ昆布由来フコイダン、参考例8で調製したオキナワモズク由来フコイダン、参考例5で調製したヒバマタ由来フコイダン、及び参考例4で調製したワカメ メカブ由来フコイダンを用い、各フコイダンの最終濃度が10〜500μg/mlとなるように実施例2−(1)と同様に調製し、添加して37℃、5%炭酸ガス培養器で4日間培養した。なお、対照は試料と同量の培地を添加し、培養した。培養後、培養上清を回収し、IFN−γ量をELISA キットを用いて測定した。
【0186】
その結果を第13図に示す。すなわち第13図は各フコイダンのIFN−γ産生誘導作用を示す図であり、図中縦軸はIFN−γ産生量( pg/ml) 、横軸は各試料、及び添加量(μg/ml)を示す。
【0187】
第13図に示すように、感作リンパ球の抗原刺激下におけるIFN−γ産生誘導能に関して、カゴメ昆布とヒバマタ由来フコイダンは同等、オキナワモズク、ワカメ メカブはそれに比べ弱いIFN−γ産生誘導作用が認められた。
【0188】
実施例7
1群4または5匹の5週令のウィスター系雄性ラット(日本SLC社)に、卵白アルブミン(シグマ社)の0.01%生理食塩水溶液100μl 及びアラム(商品名イムジェクト アラム(Imject Alum );ピアス社製)100μl を腹腔内投与して感作し、その14日後に腹大静脈より血液を採取した。
【0189】
採取した血液は遠心分離(2000rpm,5分)後、血漿を分離し、ラットを用いた受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応で抗原特異的IgE量を測定した。すなわち血漿の倍々希釈系列を2倍から64倍まで、生理食塩水を用いて作製し、毛刈りした7週令のウィスター系雄性ラットの背部の皮内に0.1mlずつ注射した。皮内注射の48時間後、0.05%卵白アルブミン及び0.5%エバンスブルー(ナカライテスク社製)の混液1mlを尾静脈より注射した。尾静脈注射30分後、ラットを断頭、放血死させ、背部に現れた青色スポットを観察し、直径5mm以上のスポットを陽性とし、最高希釈倍数をIgE力価として表した。
【0190】
参考例1−(1)で調製したガゴメ昆布由来フコイダンの投与群は抗原感作日7日前から採血日まで0.1%または1%のガゴメ昆布由来フコイダンを給水瓶に入れ、自由摂取させた。また対照群では水道水を同様に与えた。その結果、卵白アルブミン感作による抗原特異的IgE量の上昇は1%ガゴメ昆布由来フコイダンの飲水摂取により著明に抑制された。その結果を表1に示す。
【0191】
【表1】

【0192】
実施例8
実施例7と同様の方法により感作したラットに、初回感作から19日後に同条件で追加免疫し、最終免疫から14日後に腹大静脈より血液を採取した。採取した血液は前記同様PCA反応で抗原特異的IgE量を測定した。
【0193】
参考例1−(1)で調製したガゴメ昆布由来フコイダンの投与群は追加免疫日から採血日まで0.1%または1%のガゴメ昆布由来フコイダンを給水瓶に入れ、自由摂取させた。また対照群では水道水を同様に与えた。その結果、卵白アルブミンによる抗原特異的IgE量の上昇は1%ガゴメ昆布由来フコイダンの飲水摂取により著明に抑制された。このことより、フコイダンは予防的投与に加え、抗原感作時からの治療的投与においても有効であることが示された。その結果を表2に示す。
【0194】
【表2】

【0195】
実施例9
(1)1.5g中に、フコイダンとしてガゴメ昆布由来フコイダン20mg、ポリフェノールとして市販のリンゴ抽出物(商品名:アップルフェノン、ニッカウヰスキー(株)製)、ブドウ種子抽出物(商品名:グラヴィノール、キッコーマン(株)製)、甜茶抽出物(商品名:サンテンチャS、サントリー(株)製)の合計82mg、残余がビーフエキス(大日本製薬(株)製)、ビール酵母(キリンビール(株)製)、乳糖、コーンスターチ(加藤化学(株)製)、還元麦芽糖(東和化成工業(株)製)となるように原料を配合し、本発明の飼料添加物(1mm径)を押し出し造粒機を用い製造し、一包1.5gとした。
【0196】
(2)大型犬(体重:約30kg)の場合は1日3包、中型犬(体重:約10kg)の場合は1日2包、小型犬(体重:5kg)には1日1包各々の飼料に上記飼料添加剤を栄養補助食として添加した。
【0197】
本発明の飼料添加剤の摂取により、大型犬、中型犬、小型犬共に活動が活発となり、食欲も増進した。また体調の改善効果により、毛並みが改善され、体臭、糞尿の臭いは軽減した。これらの効果は特に老犬において顕著に見られ、老犬の体調改善、健康回復、若返りに本発明の飼料は極めて有用であった。
【0198】
寄託された生物材料
(1)寄託機関の名称
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305−8566)
(2)寄託された微生物
(i)アルテロモナス(Alteromonas ) sp.SN−1009
原寄託日 : 平成8年2月13日
国際寄託への移管請求日: 平成8年11月15日
受託番号: FERM BP−5747
(ii)フラボバクテリウム(Flavobacterium) sp.SA−0082
原寄託日 : 平成7年3月29日
国際寄託への移管請求日: 平成8年2月15日
受託番号: FERM BP−5402
【0199】
なお、本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
〔1〕 フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有することを特徴とするサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤。
〔2〕 フコイダンが藻類由来又は棘皮動物由来である前記〔1〕記載の治療剤又は予防剤。
〔3〕 サイトカイン類がインターロイキン類又はインターフェロン類である前記〔1〕又は〔2〕記載の治療剤又は予防剤。
〔4〕 インターフェロン類がインターフェロン−γである前記〔3〕記載の治療剤又は予防剤。
〔5〕 インターロイキン類がインターロイキン−12である前記〔3〕記載の治療剤又は予防剤。
〔6〕 アレルギー性疾患がIgE産生抑制を要する疾患である前記〔1〕又は〔2〕記載の治療剤又は予防剤。
〔7〕 経口用治療剤又は経口用予防剤である前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の治療剤又は予防剤。
〔8〕 フコイダン及び/又はその分解物を含有してなるサイトカイン類産生調節用、一酸化窒素産生誘導用、又は抗アレルギー用の食品、飲料又は飼料である、サイトカイン類産生調節用食品、飲料又は飼料、一酸化窒素産生誘導用食品、飲料又は飼料、或いは抗アレルギー用食品、飲料又は飼料。
〔9〕 フコイダンが藻類由来又は棘皮動物由来である前記〔8〕記載の食品、飲料又は飼料。
〔10〕 サイトカイン類がインターロイキン類又はインターフェロン類である前記〔8〕又は〔9〕記載の食品、飲料又は飼料。
〔11〕 インターフェロン類がインターフェロン−γである前記〔10〕記載の食品、飲料又は飼料。
〔12〕 インターロイキン類がインターロイキン−12である前記〔10〕記載の食品、飲料又は飼料。
〔13〕 抗アレルギー用食品、飲料又は飼料がIgE産生抑制用食品、飲料又は飼料である前記〔8〕又は〔9〕記載の食品、飲料又は飼料。
〔14〕 サイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患を治療又は予防するためのフコイダン及び/又はその分解物の使用。
〔15〕 サイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療剤又は予防剤の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用。
〔16〕 フコイダン及び/又はその分解物を用いるサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、又はアレルギー性疾患の治療又は予防方法。
〔17〕 フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するサイトカイン類産生調節剤、一酸化窒素産生誘導剤、抗アレルギー剤、又はIgE産生抑制剤。
〔18〕 サイトカイン類産生調節剤、一酸化窒素産生誘導剤、抗アレルギー剤、又はIgE産生抑制剤の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用。
〔19〕 サイトカイン類産生調節用食品、飲料又は飼料、一酸化窒素産生誘導用食品、飲料又は飼料、或いは抗アレルギー用食品、飲料又は飼料の製造のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用。
〔20〕 フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として使用するサイトカイン類産生調節方法、一酸化窒素産生誘導方法、アレルギー抑制方法、又はIgE産生抑制方法。
〔21〕 サイトカイン類産生調節、一酸化窒素産生誘導、アレルギー抑制又はIgE産生抑制のためのフコイダン及び/又はその分解物の使用。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明によりサイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用、及び抗アレルギー作用を示すフコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するサイトカイン類産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患及びアレルギー性疾患に有効な医薬が提供される。該医薬は、生体内におけるインターロイキン類、インターフェロン類等の産生調節活性を有し、癌、免疫性疾患等のサイトカイン類の産生調節を必要とする疾患の治療剤又は予防剤として有用である。
また特にIFN−γ産生調節剤、IL−2産生調節剤、NO産生誘導剤としてこれらの薬剤の適用を要する疾患の治療剤として有用である。
不必要な状態での免疫系の活性化あるいは増強は、アレルギー、自己免疫疾患等の疾病を惹起する場合があるが、本発明の製剤によるサイトカイン類増強、免疫増強は選択的なものであり、ウイルス感染、あるいは癌等、体内に排除すべき抗原が存在し、細胞性免疫の増強が必要なときのみに起こることにより、本発明の製剤は生体防御に極めて有用である。
また本発明の製剤により過剰な体液性免疫の活性化が抑制され、本発明の製剤はアレルギーの抑制にも極めて有用である。
更に、サイトカイン類産生調節作用、一酸化窒素産生誘導作用及び抗アレルギー作用を有するフコイダン及び/又はその分解物を用いて飲食品又は飼料を製造することが可能になり、日常の飲食品として摂取することにより、サイトカイン類の産生調節を要する疾患、一酸化窒素産生を要する疾患、例えば動脈硬化症、アレルギー性疾患等の症状改善等が可能となる。
従って、フコイダン及び/又はその分解物を有効成分とする機能性飲食品又は飼料は、これらの生理作用により、生体の恒常性の維持に有用な機能性飲食品又は飼料である。
またサイトカイン類の産生調節剤も提供され、当該調節剤はサイトカイン類の機能研究、サイトカイン類が関連する疾病用医薬のスクリーニングに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】第1図は、ガゴメ昆布由来フコイダンのDEAE−セルロファインA−800カラム溶出パターンを示す図である。
【図2】第2図は、7−12SFd−Fを添加して培養した時の培地中のNO2 - 濃度を示す図である。
【図3】第3図は、I画分を添加して培養した時の培地中のNO2 - 濃度を示す図である。
【図4】第4図は、II画分を添加して培養した時の培地中のNO2 - 濃度を示す図である。
【図5】第5図は、III画分を添加して培養した時の培地中のNO2 - 濃度を示す図である。
【図6】第6図は、陽性対照のLPSを添加して培養した時の培地中のNO2 - 濃度を示す図である。
【図7】第7図は、フコイダン及びその分解物のIFN−γ産生誘導作用を示す図である。
【図8】第8図は、フコイダン及びその分解物のIL−12産生誘導作用を示す図である。
【図9】第9図は、ガゴメ昆布由来フコイダンのマウス脾臓リンパ球の細胞傷害性免疫増強作用を示す図である。
【図10】第10図は、G−フコイダンのIFN−γ産生誘導作用を示す図である。
【図11】第11図は、G−フコイダンのIL−12産生誘導作用を示す図である。
【図12】第12図は、フコイダンのIFN−γ又はIL−12産生誘導作用に対する各種抗体の作用を示す図である。
【図13】第13図は、各フコイダンのIFN−γ産生誘導作用を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フコイダン及び/又はその分解物を有効成分として含有するアレルギー性疾患の治療剤。
【請求項2】
アレルギー性疾患が喘息、花粉症、又はアトピー性皮膚炎である、請求項1記載の治療剤。
【請求項3】
抗原感作後に経口投与するための、請求項1又は2記載の治療剤。
【請求項4】
フコイダンがガゴメ昆布由来フコイダンである、請求項1〜3いずれか記載の治療剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−51836(P2009−51836A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−204712(P2008−204712)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【分割の表示】特願2001−518062(P2001−518062)の分割
【原出願日】平成12年8月17日(2000.8.17)
【出願人】(302019245)タカラバイオ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】