説明

治療法

本発明は、パゾパニブまたはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することによる患者における加齢黄斑変性症を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類における眼内新生血管障害を治療する方法に関する。該方法は、ピリミジン誘導体、ベンゾジアゼピニル誘導体、およびそれらを含有する医薬組成物を投与することを含む。
【背景技術】
【0002】
血管形成とも呼ばれる血管新生は、新たな血管を形成するプロセスである。血管新生は正常な発達の間に生じ、かつ組織に対する損傷後の創傷癒合においても重要な役割を果たす。しかし、血管新生は、たとえば癌、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、乾癬および眼疾患を含む多くの病的状態の重要な原因としても関連付けられている。
【0003】
血管新生が関与する眼障害は、加齢黄斑変性症(AMD)であり、先進国世界では高齢者における重篤な視力障害の主な原因である。AMDでの視力喪失は、脈絡膜新生血管(CNV)に起因する。血管新生は脈絡膜血管から生じて、通常、複数の部位でBruch膜を通って網膜下腔の色素上皮および/または網膜に向かって成長していく(たとえばCampochiaroら(1999) Mol. Vis. 5:34を参照されたい)。これらの新しい血管からの漏出および出血それに続く瘢痕および萎縮は、すべて視力喪失をもたらしうる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Campochiaroら(1999) Mol. Vis. 5:34
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、加齢黄斑変性症、かつ少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者において、加齢黄斑変性症を治療する方法は、該患者を検査して該患者が少なくとも1つの補体H因子のY402H多型Tアレルを有することを決定することと;
該患者に式(I):
【化1】

【0006】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む。
【0007】
本発明の別の態様では、加齢黄斑変性症を患う患者において加齢黄斑変性症を治療する方法は、加齢黄斑変性症を患い、少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者を選択することと;
式(I):
【化2】

【0008】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を該患者への投与のための処方をすることを含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様では、加齢黄斑変性症を患う患者であって、補体H因子(CFH)のY402H多型TT遺伝子型を有し、かつ硝子体内注射によるかかる状態の治療を受けたことがない患者において、加齢黄斑変性症を治療する方法は、該患者を検査して該患者が補体H因子(CFH)のY402H多型のTT遺伝子型を有することを決定することと;式(I):
【化3】

【0010】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含む。
【0011】
本発明のさらなる態様では、加齢黄斑変性症を患う患者であって、硝子体内注射によるかかる状態の治療を受けたことがない患者において、加齢黄斑変性症を治療する方法は、加齢黄斑変性症を患い、補体H因子(CFH)のY402H多型TT遺伝子型を有する患者を選択することと;式(I):
【化4】

【0012】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の該患者への投与のための処方をすることを含む。
【0013】
本発明のさらなる形態では、式(I):
【化5】

【0014】
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者において加齢黄斑変性症の治療において有用な薬物の調製のために使用することが記述される。本明細書で意図する方法のいずれも、適切な薬物を形成するための対応する化合物の使用を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】パゾパニブ一塩酸塩の5および2mg/mLでの1日3回投与後、29日目の網膜中心厚(CRT)および補体H因子(CFH)遺伝子型のベースラインからの変化を示す。
【図2】パゾパニブ一塩酸塩での治療による最高矯正視力(BCVA)のベースラインからの変化を示す。
【図3】パゾパニブ一塩酸塩の5および2mg/mLでの1日3回の投与後、29日目の最高矯正視力(BCVA)および補体H因子(CFH)遺伝子型におけるベースラインからの変化を示す。
【図4】パゾパニブ一塩酸塩での治療による最高矯正視力(BCVA)におけるベースラインから変化の分布を示す。
【図5】CFHのY402H遺伝子型による5mg/mLの腕への投与における最高矯正視力(BCVA)のベースラインからの変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一態様によれば、加齢黄斑変性症を患い、かつ少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型(rs1061170)のTアレルを有する患者において加齢黄斑変性症を治療する方法は、該患者を検査して該患者が少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型のTアレルを有することを決定することと;式(I):
【化6】

【0017】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を該患者に投与することを含む。
【0018】
一部の実施形態では、患者はCFHのY402H多型にTT遺伝子型を有する。別の実施形態では、患者はCFHのY402H多型にCT遺伝子型を有する。
【0019】
本発明の別の態様によれば、加齢黄斑変性症を患う患者で、補体H因子(CFH)のY402H多型TT遺伝子型を有し、かつ硝子体内注射によるかかる状態の治療を受けたことがない患者において加齢黄斑変性症を治療する方法は、該患者を検査して該患者が補体H因子(CFH)のY402H多型のTT遺伝子型を有することを決定することと;式(I):
【化7】

【0020】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物を該患者に投与することを含む。
【0021】
上述の本発明の態様による一部の実施形態では、投与は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物を含む、局所投与用に適合した医薬製剤を投与することを含む。局所投与用の医薬製剤は、本明細書で以下にさらに記述される。一部の実施形態では、局所投与に適合した医薬製剤は、点眼製剤である。点眼製剤は、本明細書で以下にさらに記述される。一部の実施形態では、点眼製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり、下限で1、2、3、4、5、6、7、または8mgおよび上限で2、3、4、5、6、7、8、9、または10mg含む。一部の実施形態では、点眼製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む。別の実施形態では、点眼製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む。
【0022】
上述の本発明の態様による一部の実施形態では、投与は、式(I’):
【化8】

【0023】
の化合物を投与することを含む。
【0024】
上述の本発明の態様による別の実施形態では、投与は、式(I’’):
【化9】

【0025】
の化合物を投与することを含む。
【0026】
本発明の別の態様によると、加齢黄斑変性症を患う患者においてかかる状態を治療する方法は、加齢黄斑変性症を患う患者で少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者を選択することと、式(I):
【化10】

【0027】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を該患者に投与のために処方することを含む。
【0028】
一部の実施形態では、患者は、CFHのY402H多型にTT遺伝子型を有する。別の実施形態では、患者は、CFHのY402H多型にCT遺伝子型を有する。
【0029】
本発明のさらに別の態様によると、加齢黄斑変性症を患う患者で、硝子体内注射によるかかる状態の治療を受けたことがない患者において加齢黄斑変性症を治療する方法は、加齢黄斑変性症を患う患者で補体H因子(CFH)のY402H多型のTT遺伝子型を有する患者を選択することと、式(I):
【化11】

【0030】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物を該患者に投与のために処方することを含む。
【0031】
上述の本発明の態様による一部の実施形態では、処方することは、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、局所投与に適合した医薬製剤を投与のために処方をすることを含む。局所投与のための医薬製剤は、本明細書で以下にさらに記述される。一部の実施形態では、局所投与に適合した医薬製剤は、点眼製剤である。点眼製剤は、本明細書で以下にさらに記述される。一部の実施形態では、点眼製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり、下限で1、2、3、4、5、6、7、または8mgおよび上限で2、3、4、5、6、7、8、9、または10mg含む。一部の実施形態では、点眼製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む。別の実施形態では、点眼製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む。
【0032】
上述の本発明の態様による一部の実施形態では、処方することは、式(I’):
【化12】

【0033】
を化合物の投与のために処方をすることを含む。
【0034】
上述の本発明の態様による別の実施形態では、処方することは、式(I’’):
【化13】

【0035】
の化合物を投与のために処方をすることを含む。
【0036】
本発明は、加齢黄斑変性症の治療法を提供する。本明細書で用いる場合、「治療」とは、障害に伴う1つまたは複数の症状が有益に変えられる任意の方法を意味する。したがって、該用語は、該障害の症状もしくは副作用の治癒もしくは寛解、または該障害の進行速度の低下を含む。
【0037】
本発明の方法によれば、加齢黄斑変性症(AMD)の治療は、治療される対象に1つまたは複数の治療薬の有効量を投与することによって得られうる。本明細書で用いる場合、用語「有効量」とは、障害の1つまたは複数の症状を治療する、予防するおよび/または寛解させるのに十分な治療薬の量を意味する。
【0038】
本発明による一部の実施形態では、加齢黄斑変性症は湿性加齢黄斑変性である。別の実施形態では、加齢黄斑変性症は乾性加齢黄斑変性である。さらに別の実施形態では、加齢黄斑変性症は後期加齢黄斑変性である。
【0039】
本明細書で用いる場合、用語「溶媒和物」とは、溶質(この発明では、式(I)、(II)、(III)の化合物、またはその塩)および溶媒によって形成される可変化学量論の複合体をいう。本発明の目的について、かかる溶媒は、溶質の生物活性を妨げることはない。適切な溶媒の例としては、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、用いられる溶媒は、薬学的に許容される溶媒である。適切な薬学的に許容される溶媒の例としては、水、エタノールおよび酢酸が挙げられるがこれらに限定されるものではない。特定の実施形態では、用いられる溶媒は、水である。
【0040】
式(I):
【化14】

【0041】
の化合物は、化学名5−[[4−[(2,3−ジメチル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]−2−メチルベンゼンスルホンアミドを有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の塩は、塩酸塩である。特定の実施形態では、式(I)の化合物の塩は、式(I’)で示されるように一塩酸塩である。式(I)の化合物の一塩酸塩は、化学名5−[[4−[(2,3−ジメチル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミノ]−2−ピリミジニル]アミノ]−2−メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩を有する。
【化15】

【0043】
別の実施形態では、式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物の一塩酸塩一水和物溶媒和物である。式(I)の化合物の一塩酸塩一水和物溶媒和物は、式(I’’)に示されるように、化学名5-({4−[(2,3−ジメチル−2H−インダゾール−6−イル)メチルアミノ]−2−ピリミジニル}アミノ)−2−メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩一水和物を有する。
【化16】

【0044】
式(I)の化合物の遊離塩基、塩類および溶媒和物は、たとえば、2001年12月19日に提出されて、2002年8月1日に国際公開第WO02/059110号として公開された国際出願PCT/US01/49367、および2003年6月17日に提出されて、次いで2003年12月24日に国際公開第WO03/106416号として公開された国際出願PCT/US03/19211により、またはそれらに示された方法によって調製されうる。
【0045】
本明細書で用いる場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、式(I)の化合物において置換基上の窒素に由来する酸付加塩を含みうる。代表的な塩類としては、以下の塩類が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフタレン、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸モノカリウム、ムケート、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート、トリエチオジド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。
【0046】
本発明の方法で使用される化合物は、単独で投与されることもあり、または該化合物は医薬組成物として投与されることもありうる。したがって、本発明は、本発明の治療法において医薬組成物の使用をさらに提供する。該医薬組成物は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含む。1種もしくは複数の担体、希釈剤または賦形剤は、該製剤の他の成分に適合し、かつそのレシピエントにとって有害でないという意味で許容されなければならない。
【0047】
医薬製剤は、単位用量あたりの所定量の有効成分を含有する単位用量の形態で提示されうる。かかる単位は、治療される状態、投与経路ならびに患者の年齢、体重および状態に応じて、たとえば、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の1μg〜1g、たとえば5μg〜500μg、10μg〜250μg、0.5mg〜700mg、2mg〜350mg、または5mg〜100mgを含みえ、または医薬製剤は、単位用量あたり所定量の有効成分を含有する単位用量の形態で提示されうる。いくつかの実施形態では、単位投与量製剤は、本明細書で上述したように、活性成分の1日の用量またはサブ用量、またはその適切な一部を含有する製剤である。さらにまた、かかる医薬製剤は、薬学分野で周知の方法のいずれかで調製されうる。
【0048】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、いずれかの適切な経路によって投与されうる。適切な経路は、外眼性、眼内(たとえば、硝子体内、網膜下、強膜下、脈絡膜内、および結膜下)の経路を含む。好ましい経路は、たとえば、レシピエントの状態によって変わりうることは理解されるであろう。
【0049】
本発明の方法は、眼内新生血管障害の治療のための他の方法と組み合わせて使用されることもある。一部の実施形態では、本発明の方法は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が新生血管障害の治療のための1つまたは複数の付加的な治療薬と組み合わせて投与される併用療法を包含する。併用療法で使用されうる付加的な治療薬の非限定例としては、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ、VEGF−TRAP、PKC412、ネパフェナク、およびインテグリン受容体アンタゴニスト(ビトロネクチン受容体アゴニストを含む)が挙げられる。たとえば、Takahashiら(2003) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 44:409−15, Campochiaroら(2004) Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 45:922−31, van Wijngaardenら(2005) JAMA 293:1509−13、Callahanらに対する米国特許第6,825,188号、およびManleyらに対する米国特許第6,881,736号を参照されたい。これらの文献のそれぞれを、これらの化合物に関する該文献の教示について、参照によって本明細書に組み入れる。
【0050】
併用療法が使用される場合、治療薬は一緒にまたは別々に投与されうる。投与のための同じ方法が、併用療法の複数の治療薬のために使用されうる。あるいは、併用療法の異なる治療薬は、異なる方法で投与されうる。治療薬が別々に投与されるとき、該治療薬は、同時に、または時間をあけず、および、時間をあけて、任意の順序で、経時的に投与されうる。式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の量および/または他の単一もしくは複数の薬学的に活性な薬剤の量ならびに投与の相対的なタイミングは、所望の併用治療効果を達成するために選択されることになる。
【0051】
局所投与に適合した医薬製剤は、軟膏、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤または油剤として製剤化されうる。
【0052】
眼の治療の場合、製剤は、局所用の軟膏またはクリーム剤として塗布されうる。軟膏で製剤化される場合、有効成分はパラフィンまたは水混和性軟膏基剤のいずれかとともに用いられうる。あるいは、有効成分は水中油型クリーム基剤または油中水型基剤とともにクリーム中に製剤化されうる。
【0053】
眼への局所投与に適合した医薬製剤は、有効成分が適切な担体、特に水性溶媒中に溶解される、または懸濁される点眼剤を含む。眼に投与される製剤は、眼科上許容されるpHおよび浸透圧を有する。1つまたは複数の眼科上許容されるpH調整剤および/または緩衝剤は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸類;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムなどの塩基;およびクエン酸塩/ブドウ糖、炭酸水素ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝剤を含み、本発明の組成物中に含まれうる。かかる酸、塩基、および緩衝剤は、眼科上許容される範囲で組成物のpHを維持するために必要な量で含まれうる。眼科上許容される1つまたは複数の塩は、該組成物のモル浸透圧濃度を眼科上許容される範囲にするのに十分な量で該組成物中に含まれうる。かかる塩類は、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムのカチオンおよび、塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩または亜硫酸水素塩のアニオンを有する塩類を含む。本発明の医薬製剤の実施形態および本発明の方法で有用なものは以下のとおりである:
【表1】

【0054】
これらの製剤は、防腐剤を含まない、使い捨て点眼製剤として示される。容器あたりの現在の充填量は、約40μLの液滴重量を有する0.45mLである。溶液密度は、1.03mg/mLである。浸透圧は、約290mOsm/kgである。この製剤のpHは5である。これらの製剤を用いて、得た結果を本明細書の実施例で詳述する。これらの製剤は、pH値を4の値まで下げるよう改変されうる。これらの製剤は、またCaptisol濃度を10重量%まで上げるよう改変されうる。
【0055】
本発明の一部の実施形態では、医薬製剤は眼内注射または眼部送達用の他の装置による眼内投与に適応される。本発明の方法で使用されうる眼用装置の例としては、眼周囲または硝子体内の装置、コンタクトレンズおよびリポソームが挙げられる。たとえば、米国特許第3,416,530号;第3,828,777号;第4,014,335号;第4,300,557号;第4,327,725号;第4,853,224号;第4,946,450号;第4,997,652号;第5,147,647号;第5,164,188号;第5,178,635号;第5,300,114号;第5,322,691号;第5,403,901号;第5,443,505号;第5,466,466号;第5,476,511号;第5,516,522号;第5,632,984号;第5,679,666号;第5,710,165号;第5,725,493号;第5,743,274号;第5,766,242号;第5,766,619号;第5,770,592号;第5,773,019号;第5,824,072号;第5,824,073号;第5,830,173号;第5,836,935号;第5,869,079号;第5,902,598号;第5,904,144号;第5,916,584号;第6,001,386号;第6,074,661号;第6,110,485号;第6,126,687号;第6,146,366号;第6,251,090号;第6,299,895号;第6,331,313号;第6,416,777号;第6,649,184号;第6,719,750号;第6,660,960号;ならびに米国特許出願第2003/0064088号,第2004/0247645号および第2005/0113806号を参照されたい。これら文献のそれぞれを、眼用装置の教示の目的のために参照によって本明細書に組み入れる。
【0056】
眼部送達装置は、複数の規定された放出速度および持続した投与薬物動態と透過性を有する1種または複数の治療薬の徐放のために設計されうる。徐放は、生分解性/生体内分解性のポリマー(たとえばポリ(エチレンビニル)アセテート(EVA)、超加水分解PVA)、ヒドロキシアルキルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、ポリ無水物からなる異なる選択肢および特性を組み込むポリマーマトリックスの設計と、薬物の拡散、浸食、溶解および浸透を強化することになるポリマー分子量、ポリマー結晶化度、共重合体比、加工条件、表面仕上げ、形状、賦形剤添加および高分子塗膜の設計とを介して得られうる。
【0057】
眼用装置を用いる薬物送達用の製剤は、1つまたは複数の活性剤と、示された投与経路に適したアジュバントとを組み合わせてもよい。たとえば、活性剤は、いずれかの薬学的に許容される賦形剤、ラクトース、ショ糖、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カルシウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸カルシウム、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジンおよび/またはポリビニルアルコールと混合され、従来の投与用に錠剤化またはカプセル化されうる。あるいは、該化合物は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド溶液、エタノール、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、ゴマ油、トラガカントゴムおよび/または種々の緩衝液中に溶解されうる。該化合物は、生分解性ポリマーおよび非生分解性ポリマーの両組成物ならびに時間遅延特性を有する担体または希釈剤と混合させてもよい。生分解性組成物の代表的な例としては、アルブミン、ゼラチン、デンプン、セルロース、デキストラン、多糖、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(アルキルカルボナート)およびポリ(オルトエステル)ならびにそれらの混合物が挙げられる。非生分解性ポリマーの代表的な例としては、EVAコポリマー、シリコーンゴムおよびポリ(メチルアクリラート)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
眼部送達のための医薬組成物は、in situゲル化可能な水性組成物も含む。かかる組成物は、眼または涙液と接触するとゲル化を促進するための有効な濃度で、ゲル化剤を含む。適切なゲル化剤は、熱硬化性ポリマー類を含むがこれらに限定されない。本明細書で用いる場合、用語「in situゲル化可能な」とは、眼または涙液と接触するとゲルを形成する低粘度の液体だけでなく、眼に投与されると粘度またはゲル剛性の実質的な上昇を示す半流動体およびチキソトロピーゲルなどのより粘性のある液体も含む。たとえば、Ludwig(2005) Adv. Drug Deliv. Rev. 3;57:1595−639を参照されたい。眼部薬物送達で用いるポリマーの例の教示の目的で参照によって本明細書に組み入れる。
【0059】
本発明の方法によれば、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、患者に投与されるか、または処方される。投与されるまたは処方される化合物の量は、たとえば、患者の年齢および体重、治療を必要とする正確な状態、その状態の重篤度、製剤の性質、および投与経路を含むいくつかの要因に依存する。最終的には、該量は、担当医師の判断に委ねられる。
【0060】
本発明の方法の一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の1日あたり投与される総量または投与されるべく処方される総量は、1μg〜10mgになりうる。別の実施形態では、かかる量は、5μg〜500μgになりうる。さらに他の実施形態では、かかる量は、10μg〜250μgになりうる。一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、1日1回、2回、3回、4回もしくはそれ以上投与される、または投与されるべく処方される。一部の実施形態では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、1日1回、2回、3回、4回もしくはそれ以上、適切な医薬製剤の1滴、2滴、3滴、4滴もしくはそれ以上の滴下投与によって投与される、または投与されるべく処方される。一部の実施形態では、適切な医薬製剤は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり下限で1、2、3、4、5、6、7、8または9mgと、上限で2、3、4、5、6、7、8、9または10mgとの間で含む。
【0061】
以下の実施例は、例示のみを意図し、本発明の範囲を多少なりとも限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0062】
加齢黄斑変性症(AMD)患者における臨床経験
設計および人口統計
AMDに起因する脈絡膜新生血管の潜在型サブタイプまたは最小限古典型サブタイプを有する70例の被験者にパゾパニブ一塩酸塩点眼剤(5mg/mLを1日3回、2mg/mLを1日3回、5mg/mLを1日1回)の3投薬計画で28日間投与した。本研究は、光干渉断層撮影法(OCT)によって測定される網膜中心病変厚を毎週評価することによってAMD患者の標的組織(脈絡膜および網膜)において局所的に投与されたパゾパニブの薬理活性を測定するよう設計された。加えて、28日間、パゾパニブ治療に関する眼および全身の安全性ならびに全身薬物動態を評価した。有効性の評価を、毎週視力を測定することによって診査に基づいて行い、スクリーニング時および29日目に最高矯正視力評価を行った。
【0063】
ランダム化された合計70名の被験者のうち28名は、黄斑変性症の治療のために以前に抗血管新生薬で治療されており、42名は治療未経験者であった。プロトコールでは、本試験において試験薬の初回投与から60日以内にAMDに関していずれかの治療を受けた被験者を除外した。合計68名の被験者がすべての研究評価を完了し、うち63名は、29日目の来診でレスキュー薬の投与を受けることなく評価を完了した。6名の被験者に、29日目の評価以前に抗VEGFレスキュー薬を投与した(5mg/mLを1日3回腕に投与された27名のうち1名、2mg/mLを1日3回投与された27名のうち2名、5mgを1日1回腕に投与された16名の被験者のうち3名。該1日1回の投与は実行可能性を考慮して、プロトコール修正によって中止した)。本研究でのベースラインの特徴は、年齢および病変の大きさを除いて治療群間で類似していた。病変の大きさは2mg/mLを1日3回腕に投与した群で増大した。
【表2】

【0064】
光干渉断層撮影法
Stratus Oct3計測器上で毎週、中央読取センターで部位を認定して画像を採取し、網膜中心厚(CRT、網膜下液)および網膜中心病変厚(CRLT、網膜下液および新生血管の病変)を評価した。次いで、該読み取りセンターで手動測定によって値を測定した。本明細書で用いる場合、「OCT CRLT」とは、7mmの後極スキャンの中心1mmの領域で測定される網膜下液およびいずれかの脈絡膜新生血管(CNV)を含めて、網膜の内側と外側との間の距離を手動測定することによって測定される光干渉断層撮影の網膜中心厚/病変厚を意味する。本明細書で用いる場合、「OCT CRT」とは7mmの後極スキャンの中心1mmの領域で測定されるいかなる網膜下液も含む、網膜の内側と外側との間の距離を手動測定することによって測定される光学干渉断層撮影の網膜中心厚を意味する。集団全体では、これらの患者においてベースラインからの統計的に有意な変化は、観察されなかった。しかし、CRTで、統計的に有意な減少(29日目の89ミクロンの平均減少)が、5mg/mLを1日3回投与されたCFHのTT遺伝子型を有する患者において観察された。同様の傾向は、2mg/mLを1日3回投与された患者において見られた(統計的に有意ではなかった)。
【表3】

【0065】
視力
初期治療糖尿病性網膜症研究(ETDRS)のために開発された標準手順によって部位を訓練して、認定し、次いで加齢眼疾患研究(AREDS)のために適応させた。最高矯正視力(BCVA)測定は、スクリーニング時および29日目の来診ならびに別の来診で行い、視力(VA)評価のために前回の屈折を用いることが可能であった。視力の統計的に有意な上昇は、5mg/mLを1日3回投与群のみで観察され、以前に治療をうけた群およびTアレルを有する被験者では視力の統計的に有意な上昇が高められた。
【表4】

【表5】

【表6】

【0066】
これらの結果は、投与された用量において、パゾパニブ一塩酸塩点眼剤の網膜厚への治療効果が主に、CFHのTT遺伝子型を有する患者集団に限定され、かつ視力効果が、CFHのTアレル(CTまたはTT)を有する患者に限定されていることを示唆している。比較として、CC遺伝子型の患者は、ベバシズマブおよびラニビズマブに対してもあまりよい反応を示さなかったが、一般的な集団レベルでこれらの薬物のOCTインパクトは容易に検出可能であり、したがって本研究におけるよりも、より明白である。
【0067】
PD読取(OCTによる網膜厚)を行わなかったとき、観察された結果は最初は、全体的な患者集団において統計的有意性に達する視力結果(ラニビズマブと同じように明白な効果)であるので、変則的と思われる。このVA−OCT解離の説明は不明瞭であるが、おそらく新規の付加的な機構がVEGFRを越えてRTKの抑制と結びついたことに起因し、網膜厚とは無関係でありうる。しかし、別の説明は、CFHのTT遺伝子型を有する被験者からの強いVAおよびOCT反応は、全体的な集団において評価すると、弱くなることであり、予想されるVA−OCTの一致は、遺伝薬理学的解析で現れる。
【0068】
本発明の特定の実施形態は本明細書に例示され詳述されているが、本発明はそれらに限定されないものとする。上述の詳細な説明は本発明の例示として示され、かつ本発明の何らかの限定を構成するものとして解釈されてはならない。改変は当業者にとって明らかであり、かつ本発明の精神から逸脱することのないすべての改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢黄斑変性症を患い、かつ少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者において加齢黄斑変性症を治療する方法であって、
前記患者が少なくとも1つの補体H因子のY402H多型Tアレルを有することを決定するために前記患者を検査することと;
前記患者に式(I)の化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記患者がCFHのY402H多型にTT遺伝子型を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者がCFHのY402H多型にCT遺伝子型を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記投与が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む局所投与に適合した医薬製剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記局所投与に適合した医薬製剤が点眼製剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記投与が1日1〜4回、1〜3滴の前記点眼製剤を投与することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり1〜8mg含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記投与が式(I’)の化合物:
【化2】

を投与することを含む、請求1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記投与が式(I’’)の化合物:
【化3】

を投与することを含む、請求1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
加齢黄斑変性症を患う患者において加齢黄斑変性症を治療する方法であって、
加齢黄斑変性症を患い、少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者を選択することと;
式(I)の化合物:
【化4】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の前記患者への投与のために処方することを含む方法。
【請求項13】
前記患者がCFHのY402H多型にTT遺伝子型を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記患者がCFHのY402H多型にCT遺伝子型を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記処方することが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む局所投与に適合した医薬製剤の投与のために処方することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
局所投与に適合した前記医薬製剤が点眼製剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記処方することが1日1〜3回、1〜3滴の前記点眼製剤の投与のために処方することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり1〜10mg含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記処方することが式(I’)の化合物:
【化5】

を処方することを含む、請求項12〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記処方することが式(I’’)の化合物:
【化6】

を処方することを含む、請求項12〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
加齢黄斑変性症を患う患者において、加齢黄斑変性症を治療する方法であって、前記患者が補体H因子(CFH)のY402H多型TT遺伝子型を有し、かつ硝子体内注射によってかかる状態を治療したことのなく、
前記患者が補体H因子(CFH)のY402H多型TT遺伝子型を有することを決定するために前記患者を検査することと;
式(I)の化合物:
【化7】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項24】
前記投与が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む局所投与に適合した医薬製剤を投与することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
局所投与に適合した前記医薬製剤が点眼製剤である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記投与が前記点眼製剤を1日1〜3回、1〜3滴投与することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記点眼製剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり1から10mg含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記点眼製剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記点眼製剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が式(I’)の化合物:
【化8】

を投与することを含む、請求項23〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記投与が、式(I’’)の化合物:
【化9】

を投与することを含む、請求項23〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
加齢黄斑変性症を患う患者において、加齢黄斑変性症を治療する方法であって、前記患者が硝子体内注射によってかかる状態の治療を受けたことがなく、前記方法が、
加齢黄斑変性症を患い、補体H因子(CFH)のY402H多型TT遺伝子型を有する患者を選択することと;
式(I)の化合物:
【化10】

またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の前記患者への投与のために処方することを含む方法。
【請求項33】
前記処方することが、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む局所投与に適合した医薬製剤の投与のために処方することを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
局所投与に適合した前記医薬製剤が点眼製剤である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記処方することが、1日1〜3回、1〜3滴の前記点眼製剤の投与のために処方することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記点眼製剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり1〜10mg含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記点眼製剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記点眼製剤が、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記処方することが式(I’)の化合物:
【化11】


の投与のために処方することを含む、請求項32〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記処方することが式(I’’)の化合物:
【化12】

の投与のために処方することを含む、請求項32〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つの補体H因子(CFH)のY402H多型Tアレルを有する患者において加齢黄斑変性症の治療に有用な薬物の調製のための、式(I)の化合物:
【化13】

またはその塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項42】
前記患者がCFHのY402H多型にTT遺伝子型を有する、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記患者が硝子体内注射による加齢黄斑変性症の治療を受けたことがない、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
前記患者がCFHのY402H多型にCT遺伝子型を有する、請求項41に記載の使用。
【請求項45】
前記薬物が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む局所投与に適合した形態である、請求項41に記載の使用。
【請求項46】
局所投与に適合した前記形態が点眼製剤である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記薬物が1日1〜3回、1〜3滴の点眼製剤として投与される、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり1〜10mg含む、請求項46または47に記載の使用。
【請求項49】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり2mg含む、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
前記点眼製剤が式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を1mLあたり5mg含む、請求項48に記載の使用。
【請求項51】
前記薬物が式(I’)の化合物:
【化14】

を投与することを含む、請求項41から50のいずれか1項に記載の使用。
【請求項52】
前記薬物が式(I’’)の化合物:
【化15】

を投与することを含む、請求項41〜50のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533562(P2012−533562A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520806(P2012−520806)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/042211
【国際公開番号】WO2011/009016
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512010797)グラクソ ウェルカム マニュファクチュアリング ピーティーイー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】