治療用結合分子
配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有しており;例えばさらに配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)を有している少なくとも1つの抗原結合部位を含む分子。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明はCD45抗原アイソフォームに対する結合分子、例えばモノクローナル抗体(mAb)のような有機化合物、およびその使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
種々の疾患の処置における1つのアプローチは、病原性白血球の排除または不活性化および病原性免疫応答を不活性化するための寛容の誘導のための可能性を達成することである。器官、細胞および組織移植片拒絶ならびに種々の自己免疫疾患は一次的にはマクロファージおよび樹状細胞のような抗原提示細胞(APC)により抗原MHC複合体の形態で捕捉され、加工され、そしてヘルパーT細胞に提示される特異的抗原を認識することができるヘルパーT細胞により誘発されるT細胞媒介の免疫応答の結果である、すなわちヘルパーT細胞は特異的抗原を認識するときに刺激されてIL−2のようなサイトカインを生成し、そしていくつかのサイトカイン受容体およびその他の活性化分子を発現または上方制御し、そして増殖すると考えられている。これらの活性化されたヘルパーT細胞には直接的または間接的に作用し得る、すなわちエフェクター細胞毒性T細胞またはB細胞を補助して選択された抗原を発現する細胞または組織を破壊し得るものがある。免疫応答が終了した後、成熟したクローン的に選択された細胞は記憶ヘルパーおよび記憶細胞毒性T細胞として残り、これは体内を循環し、そして抗原が再度現れた場合にそれを迅速に認識する。この応答を誘発する抗原が無害な環境抗原である場合、結果はアレルギーであり、抗原が外来抗原でないが、自己抗原である場合、自己免疫疾患に至り;抗原が移植された器官からの抗原である場合、結果は移植片拒絶である。
【0003】
免疫系は非自己から自己を認識するために発達してきた。この特性により器官が病原体の日々の挑戦に曝された環境において生存することが可能になる。この非自己に関する特異性および自己に対する寛容は胸腺においてT細胞レパートリーの発達の間に、陽性および陰性選択の過程を通じて生じ、これはまた自己反応性T細胞の認識および排除をも含む。この型の寛容を中枢性寛容と称する。しかしながら、これらの自己反応性細胞にはこの選択機構を回避し、そして自己免疫疾患の発達に関する潜在的危険性を引き起こすものがある。末梢に回避した自己反応性T細胞を制御するために、免疫系は自己免疫性に対して保護を提供する末梢制御機構を有している。これらの機構は末梢性寛容の基礎である。
【0004】
特異的mAbにより認識される細胞表面抗原は一般に代々の国際白血球分類研究会により割り当てられたCD(分化抗原群)数により指定され、そしてCD45なる用語は本明細書では細胞表面白血球共通抗原CD45を意味し;そしてその抗原に対するmAbを本明細書では「抗CD45」と称する。
【0005】
白血球共通抗原に対する抗体(LCA)すなわちCD45は抗リンパ球グロブリン(ALG)の主要な成分である。CD45は膜貫通型チロシンホスファターゼのファミリーに属し、そして双方共に受容体相互作用に依存して細胞活性化の陽性および陰性の調節因子である。CD45のホスファターゼ活性はBおよびTリンパ球の抗原受容体に随伴されるSrcファミリーキナーゼの活性化に必要であるようだ(Trowbridge IS et al, Annu Rev Immunol. 1994;12:85-116)。したがって、T細胞活性化においてCD45はシグナル1に必須であり、そしてCD45欠乏細胞はTCR媒介の活性化事象において深刻な欠陥を有する。
【0006】
CD45抗原は膜貫通糖タンパク質を含む様々のアイソフォームで存在する。CD45の異なるアイソフォームはCD45細胞外領域の一部をコードする3つの可変エクソンの選択的スプライシングから生じるその細胞外ドメイン構造において異なる(Streuli MF. et al, J. Exp. Med. 1987; 166:1548-1566)。CD45の種々のアイソフォームは様々の細胞外ドメインを有するが、2つの相同な、高度に保存されたおよそ300残基のホスファターゼドメインを有する同一の膜貫通および細胞質セグメントを有する。様々のアイソフォームの組み合わせはTおよびBリンパ球の亜集団において差次的に発現される(Thomas ML. et al, Immunol. Today 1988; 9:320-325)。モノクローナル抗体には様々のアイソフォーム全てに共通するエピトープを認識するものがあるが、選択的にスプライシングされたエクソン(A、BまたはC)のうちのどれをそれらが認識するかに依存して限定的な(CD45R)特性を有するmAbもある。例えば、エクソンAの生成物を認識するモノクローナル抗体は結果的にCD45RAと称され、エクソンBを含有する種々のアイソフォームを認識するものはCD45RBと称されている(Beverley PCL et al, Immunol. Supp. 1988; I:3-5)。UCHL1のような抗体は、180kDaのアイソフォームCD45RO(可変エクソンA、BまたはCのいずれをも含まない)に選択的に結合し、これは活性化されたT細胞、記憶細胞および皮質胸腺細胞のサブセットに限定されるようであり、そしてB細胞上では検出されない(Terry LA et al, Immunol. 1988; 64:331-336)。
【0007】
(図面の説明)
図1 「候補mAb」による1次MLRの阻害は0.001および10μg/mlの範囲で用量依存的であることを示している。「濃度」は「候補mAb」の濃度である。
図2 配列番号:15の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHQのプラスミドマップを示す。
図3 配列番号:16の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHEのプラスミドマップを示す。
図4 配列番号:17の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:14(3964−4284)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV1のプラスミドマップを示す。
図5 配列番号:18の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV2のプラスミドマップを示す。
図6 配列番号:36の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:33のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL1SP20のプラスミドマップを示す。
図7 配列番号:39の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL2SP20のプラスミドマップを示す。
図8 配列番号:37の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:34のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHEN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
図9 配列番号:38の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:35のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
図10 配列番号:40の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHESp20のプラスミドマップを示す。
図11 配列番号:41の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQSp20のプラスミドマップを示す。
図12 VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV1のサイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図13 VHE/humV2、VHE/humV1、VHQ/humV2およびVHQ/humV1、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV2の陽イオン交換クロマトグラフィーを示す。
図14 VHE/humV2およびVHE−N73D/humV1の逆相クロマトグラフィーを示す。
【0008】
(発明の説明)
今、本明細書にて以後「CD45RO/RB結合分子」とも称するCD45ROおよびCD45RBに結合するポリペプチド配列を含む結合分子を見出した。本発明によるこれらの結合分子は免疫抑制を誘起し、1次T細胞応答を阻害し、そしてT細胞寛容を誘起し得る。さらに、本発明の結合分子は1次混合リンパ球培養反応(MLR)を阻害する。CD45RO/RB結合分子で処理した培養から誘導された細胞はまた2次MLRにおいてCD45RO/RB結合分子の不在時でさえ、2次MLRにおける増殖応答を低下させているのが好ましい。2次MLRにおけるかかる低下した増殖応答は寛容を誘起する本発明の結合分子の能力の指標である。加えて、本発明のCD45RO/RB結合分子はヒトTリンパ球におけるアポトーシスを通じて細胞死を誘起することができ、特徴的なT調節細胞(Treg)表現型を有するT細胞の分化を支えることができ;そして/または未処理のT細胞の活性化を抑制することができるT調節細胞を誘起することができる。
【0009】
さらにコントロール処置マウスと比較して、ヒトPBMCを注射した後に異種性GVHDを経験している重篤な複合免疫不全(SCID)マウスへのCD45RO/RB結合分子のインビボ投与は、CD45RO/RB結合分子処置マウスにおいて循環ヒトT細胞を依然検出できたとしても、マウスの生存を延長し得ることが見出されている。CD45RO/RB結合分子はまたヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程をも抑制し得る。加えてCD45RO/RB結合分子はヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制し得る、特にヒト皮膚を移植された、および単核脾細胞を正着されたSCIDマウスにおけるインビボヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制し得ることが見出されている。そしてさらにCD45RO/RB結合分子は移植片浸潤を防御することにより、および白血球媒介のインビボ拒絶反応を阻害することによりヒト島同種移植片の生存延長に至り得ることが見出されている。
【0010】
「CD45RO/RB結合分子」とはCD45抗原のCD45RBおよびCD45ROアイソフォームに、単独でまたはその他の分子に随伴されてのいずれかで、特異的に結合することができる任意の分子を意味する。例えば特定のCD45アイソフォームを発現する細胞への分子の結合を可視化することができる蛍光顕微鏡もしくは細胞蛍光測定(FACS)分析、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)またはラジオイムノアッセイと一緒にした直接的または間接的免疫蛍光のような任意の種類の結合アッセイを含む標準的な方法(定性的アッセイ)により結合反応を示すことができる。加えて、この分子の結合はこれらのアイソフォームを発現する細胞の機能の変化をもたらし得る。例えば、CD45RO/RB結合分子の存在下または不在下で、1次または2次MLRの阻害を決定するための、および1次MLR阻害における差異を決定するためのインビトロアッセイまたはバイオアッセイのように1次または2次合リンパ球培養反応(MLR)の阻害を決定することができる。
【0011】
これに代えて、例えばMLRにおける細胞活性化の後、または破傷風トキソイドのような特異的抗原もしくはその他の抗原で、またはフィトヘマグルチニン(PHA)もしくは抗CD3および抗CD28抗体もしくはホルボールエステルおよびCa2+イオノフォアのような多クローン性刺激剤で刺激した後に、PMBCまたはT細胞またはCD4+T細胞の増殖、サイトカインの生成、細胞表面分子の発現の変化を測定することによってもインビトロ機能調節効果を決定することができる。刺激剤として同種細胞の代わりに前記で記載したもののような可溶性抗原または多クローン性刺激剤を用いる以外はMLRに関して記載されるのと類似の様式で培養を準備する。3Hチミジンの取り込みにより前記で記載したようなT細胞増殖を測定するのが好ましい。
【0012】
サイトカイン捕捉抗体を96ウェルプレートの表面にコーティングし、培養物からの上澄を加え、そして室温で1時間インキュベートし、そして次に特定のサイトカインに特異的な検出抗体、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素に結合した第2段階の抗体、続いて対応する基質を加え、そしてプレートリーダーで吸光度を測定するサンドウィッチELISAによりサイトカイン生成を測定するのが好ましい。標的細胞を特定の細胞表面分子に特異的な抗体で染色した後、細胞表面分子の変化を直接的または間接的免疫蛍光により測定できるのが好ましい。抗体を直接的に蛍光色素で標識するか、または蛍光標識された第1抗体に特異的な第2段階の抗体を用いることができるかのいずれかであり、そして細胞を細胞蛍光測定器で分析する。
【0013】
本発明の結合分子はCD45ROおよびCD45RBの双方に関して結合特異性を有している(「CD45RO/RB結合分子」)。
好ましくは、結合分子は解離常数(Kd)<20nMで、好ましくはKd<15nMまたは<10nMで、さらに好ましくはKd<5nMでCD45ROアイソフォームに結合する。好ましくは、結合分子はKd<50nMで、好ましくはKd<15nMまたは<10nMで、さらに好ましくはKd<5nMでCD45RBアイソフォームに結合する。
【0014】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子は
1)CD45分子のAおよびBエピトープを含むが、Cエピトープを含まない;および/または
2)CD45分子のBエピトープを含むが、Aを含まずそしてCエピトープを含まない;および/または
3)CD45分子のA、BまたはCエピトープのいずれも含まない;
であるこれらのCD45アイソフォームに結合する。
【0015】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子は:
1)CD45分子のA、BおよびCエピトープの全て;および/または
2)CD45分子のBおよびCエピトープの双方であるが、Aエピトープでない;
を含むCD45アイソフォームに結合しない。
【0016】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子はさらに:
1)記憶およびインビボ同種活性化された(alloactivated)T細胞を認識する;および/または
2)例えばPEER細胞のようなヒトT細胞上のその標的に結合する(ここで該結合は好ましくはKd<15nM、さらに好ましくはKd<10nM、もっとも好ましくはKd<5nMである);および/または
3)好ましくは約100nM未満、好ましくは50nMまたは30nM未満のIC50で、さらに好ましくは約10nMまたは5nMのIC50で、最も好ましくは約0.5nMまたはさらには0.1nMのIC50でインビトロ同種活性化された(alloactivated)T細胞機能を阻害する;および/または
4)ヒトTリンパ球におけるアポトーシスを通じて細胞死を誘起する;および/または
5)インビトロで同種抗原特異的T細胞寛容を誘起する;および/または
6)有効量で投与されたときにヒトPBMCの注射によりSCIDマウスにおいて誘起された致死的異種移植片対宿主病(GvHD)を防御する;および/または
7)Tリンパ球、単球、幹細胞、ナチュラルキラー細胞および/または顆粒球に結合するが、血小板またはBリンパ球には結合しない;および/または
8)特徴的なT調節細胞(Treg)表現型を有するT細胞の分化を支持する;および/または
9)未処理T細胞活性化を抑制することができるT調節細胞を誘起する;および/または
10)ヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制する、特にヒト皮膚を移植された、および単核脾細胞を正着されたSCIDマウスにおけるインビボヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制する;および/または
11)hu−PBL−NOD/SCIDマウスモデルにおいてヒト島同種移植片生存を延長させる。
【0017】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子はAversa et al., Cellular Immunology 158, 314-328 (1994)により記載されるようなモノクローナル抗体「A6」と同一のエピトープに結合する。
前記した結合特性および生物学的活性のために、本発明のかかる結合分子は特に医薬品において、治療および/または予防のために有用である。本発明の結合分子が特に有用である疾患には、さらに以下で示すような、自己免疫疾患、移植片拒絶、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーが挙げられる。
【0018】
配列番号:1のポリペプチドおよび配列番号:2のポリペプチドを含む分子はCD45RO/RB結合分子であることを見出した。また配列番号:1のCD45RO/RB結合分子における超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’をも見出し、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)(配列番号:19)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)(配列番号:20)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)(配列番号:21)を有していた。
【0019】
また配列番号:2のCD45RO/RB結合分子における超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を見出し、CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)(配列番号:22)を有し、CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)(配列番号:23)を有し、そしてCDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)(配列番号:24)を有していた。
【0020】
CDRは本質的に抗原結合特性を決定する超可変領域とも称される3つの特異的な相補性決定領域である。これらのCDRは例えば配列番号:1または配列番号:2の可変領域の一部であり、各々ここでCDRはフレームワーク領域(FR)、例えば定常領域と交替する。配列番号:1は本発明によるキメラ抗体の軽鎖、例えば配列番号:3の一部であり、そして配列番号:2は重鎖、例えば配列番号:4の一部である。重鎖のCDRは随伴される軽鎖のCDRと一緒に本質的に本発明の分子の抗原結合部位を構成する。軽鎖可変領域により為される結合のエネルギー論への寄与は、随伴される重鎖可変領域により為されるものに比較して小さく、そして単独の重鎖可変領域は独自で抗原結合活性を有していることが解っている。かかる分子は一般的に単一ドメイン抗体と称される。
【0021】
1つの態様では、本発明は少なくとも1つの抗原結合部位、例えばCD45RO/RB結合分子を含み、配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む結合分子;および例えばその直接均等物(direct equivalent)を提供し、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)(配列番号:22)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)(配列番号:23)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)(配列番号:24)を有している。
【0022】
別の態様では、本発明は
a)配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)(配列番号:22)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)(配列番号:23)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)(配列番号:24)を有している第1ドメイン;および
b)配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)(配列番号:19)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)(配列番号:20)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)(配列番号:21)を有している第2ドメイン;
を含む少なくとも1つの抗原結合部位、例えばCD45RO/RB結合分子を含む分子;および例えばその直接均等物を提供する。
【0023】
好ましい実施態様では、配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む第1ドメインは免疫グロブリン重鎖であり、そして配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む第2ドメインは免疫グロブリン軽鎖である。
【0024】
別の態様では、本発明は分子、例えば配列番号:1のポリペプチドおよび/または配列番号:2のポリペプチドを含む、好ましくは1つのドメインに配列番号:1のポリペプチドおよび別のドメインに配列番号:2のポリペプチドを含むCD45RO/RB結合分子、例えばキメラモノクローナル抗体、ならびに別の態様では分子、例えば配列番号:3のポリペプチドおよび/または配列番号:4のポリペプチドを含む、好ましくは1つのドメインに配列番号:3のポリペプチドおよび別のドメインに配列番号:4のポリペプチドを含むCD45RO/RB結合分子、例えばキメラモノクローナル抗体を提供する。
【0025】
抗原結合部位が第1および第2ドメインの双方または配列番号:1もしくは配列番号:3の各々のポリペプチド、および配列番号:2もしくは配列番号:4の各々のポリペプチドを含む場合、これらは同一のポリペプチドに位置してよいか、または好ましくは各ドメインは異なる鎖に存在してよく、例えば第1ドメインは重鎖、例えば免疫グロブリン重鎖の一部、またはそのフラグメントであり、そして第2ドメインは軽鎖、例えば免疫グロブリン軽鎖の一部、またはそのフラグメントである。
【0026】
さらに本発明によるCD45RO/RB結合分子が哺乳動物、例えばヒトの体内環境におけるCD45RO/RB結合分子であることを見出した。本発明によるCD45RO/RB結合分子は、それゆえにモノクローナル抗体(mAb)と称され、ここで結合活性は主に前記で記載したようなCDR領域により決定され、例えば該CDR領域は実質的にヒト起源であるフレームワーク、例えば定常領域のような結合特異性を有さないその他の分子に随伴される。
【0027】
別の態様では、本発明はAversa et al., Cellular Immunology 158, 314-328 (1994)(A6を特徴づける一節に関して出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるようなモノクローナル抗体「A6」ではないCD45RO/RB結合分子を提供する。
別の態様では、本発明はキメラ、ヒト化または完全なヒトモノクローナル抗体である本発明によるCD45RO/RB結合分子を提供する。
【0028】
CD45RO/RB結合分子の実例には、B細胞またはハイブリドーマにより生成されるような抗体および、またはその任意のフラグメント、例えばF(ab’)2およびFabフラグメントから誘導されるキメラまたはヒト化抗体、ならびに1本鎖または単一ドメイン抗体が挙げられる。1本鎖抗体は、通常10から30個のアミノ酸、好ましくは15から25個のアミノ酸からなるペプチドリンカーにより共有結合した抗体重鎖および軽鎖の可変領域からなる。したがって、かかる構造は重鎖および軽鎖の定常部分を含まず、そして小型のペプチドスペーサーは定常部分全体よりも抗原性が少ないはずであると考えられている。キメラ抗体とは重鎖および軽鎖の定常領域または双方がヒト起源であるが、重鎖および軽鎖双方の可変ドメインはヒト以外(例えばマウス)の起源であることを意味する。ヒト化抗体とは超可変領域(CDR)がヒト以外(例えばマウス)の起源であるが、全てのまたは実質的に全てのその他の部分、例えば定常領域および可変領域の高度に保存された部分はヒト起源である抗体を意味する。しかしながらヒト化抗体は超可変領域に隣接する可変領域の部分にマウス配列の数個のアミノ酸を保持し得る。
【0029】
超可変領域、すなわち本発明によるCDR’は任意の種類のフレームワーク領域、例えばヒト起源の軽鎖および重鎖の定常部分に随伴され得る。適当なフレームワーク領域は例えば「免疫学的に興味深いタンパク質配列」(Kabat, E.A. et al、米国国立衛生研究所、保健社会福祉省、公衆衛生局)に記載されている。好ましくはヒト重鎖の定常部分はサブタイプを含むIgG1型のものでよく、好ましくはヒト軽鎖の定常部分はκまたはλ型、さらに好ましくはκ型のものでよい。好ましくは該重鎖は多くて1個のグリコシル化部位を含み、最も好ましくはグリコシル化部位はN−グリコシル化部位であり、そして最も好ましくは1個のグリコシル化部位が重鎖の定常部分に位置する。最も好ましくはグリコシル化部位が可変領域に存在せず、好ましくはフレームワーク領域にグリコシル化部位が存在しない。
【0030】
重鎖の好ましい定常部分は配列番号:4(前記で特記したCDR1’、CDR2’およびCDR3’配列部分を含まない)のポリペプチドであり、そして軽鎖の好ましい定常部分は配列番号:3(前記で特記したCDR1、CDR2およびCDR3配列部分を含まない)のポリペプチドである。
【0031】
また本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む配列番号:7のアミノ酸または配列番号:8のアミノ酸の軽鎖可変領域ならびに/または本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む配列番号:9もしくは配列番号:10の重鎖可変領域を含むヒト化抗体をも見出した。また本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む配列番号:7のアミノ酸もしくは配列番号:8のアミノ酸の軽鎖可変領域ならびに/または本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む配列番号:31もしくは配列番号:32の重鎖可変領域を含むさらに別のヒト化抗体を提供する。
【0032】
別の態様では本発明は配列番号:9または配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:7または配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体を提供する。本発明のさらに別の態様は配列番号:31または配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7または配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体である結合分子を提供する。
【0033】
別の態様では本発明は:
(VHE/humV2のような)配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
(VHE/humV1のような)配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
(VHQ/humV2のような)配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
(VHQ/humV1のような)配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
(VHEN73D/humV2のような)配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
(VHEN73D/humV1のような)配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
(VHEN73D/humV2のような)配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、または
(VHQN73D/humV1のような)配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
を含むヒト化抗体を提供する。
【0034】
例えば本明細書にて特記する配列、例えばCDR1(配列番号:22)、CDR2(配列番号:23)、CDR3(配列番号:24)、CDR1’(配列番号:19)、CDR2’(配列番号:20)、CDR3’(配列番号:21)の、または配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32の本発明によるポリペプチドは該(ポリ)ペプチド(配列)の直接均等物を含み;例えば該ポリペプチドの機能的誘導体を含む。該機能的誘導体は特記した配列の共有結合性修飾を含んでよく、そして/または該機能的誘導体は特記した配列のアミノ酸配列変種を含んでよい。
【0035】
「ポリペプチド」は、特記しない場合、互いにペプチド結合により連結されたアミノ酸を含み、N末端で始まり、そしてC末端で終わるアミノ酸配列を有する任意のペプチドまたはタンパク質を含む。好ましくは本発明のポリペプチドはモノクローナル抗体であり、さらに好ましくはキメラ(V移植)またはヒト化(CDR移植)モノクローナル抗体である。ヒト化(CDR移植)モノクローナル抗体はさらにアクセプター抗体のフレームワーク(FR)配列に導入された別の変異を含んでも、または含まなくてもよい。好ましくはヒト化またはキメラ抗体は1個しかグリコシル化部位を含まない。最も好ましくは該1個のグリコシル化部位はNグリコシル化部位である。最も好ましくはグリコシル化部位は可変領域に存在せず、そしてなおさらに好ましくはグリコシル化部位は重鎖の可変領域に存在せず、最も好ましくはグリコシル化部位はフレームワーク領域(FR’)に存在しない。
【0036】
本明細書で用いるポリペプチドの機能的誘導体には、本発明のポリペプチドに共通する定性的生物学的活性を有する、すなわちCD45ROおよびCD45RBに結合する能力を有する分子が含まれる。機能的誘導体には本発明によるポリペプチドのフラグメントおよびペプチド類似体が含まれる。フラグメントは本発明による、例えば特記した配列のポリペプチド配列内の領域を含む。「誘導体」なる用語は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドのアミノ酸配列変種、および共有結合性修飾を定義するために用いられる。本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドの機能的誘導体は、本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドのアミノ酸配列と、好ましくは少なくとも約65%、さらに好ましくは少なくとも約75%、なおさらに好ましくは少なくとも約85%、最も好ましくは少なくとも約95%の全体配列相同性を有し、そしてCD45ROおよびCD45RBに結合する能力を実質的に保持している。好ましくは機能的誘導体は少なくとも、配列番号:1のポリペプチドおよび/もしくは配列番号:2のポリペプチドを含む結合分子、配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体、または配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドのヒト化抗体の結合親和性を有する。
【0037】
「共有結合性修飾」は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチド;またはそのフラグメントの有機タンパク質性または非タンパク質性誘導体化剤での修飾、異種性ポリペプチド配列への融合、および翻訳後修飾を含む。例えば特記した配列の共有結合性修飾されたポリペプチドは架橋によりCD45ROおよびCD45RBに依然結合する能力を有している。共有結合性修飾は従来、ターゲティングされたアミノ酸残基を選択された側または末端残基と反応できる有機誘導体化剤と反応させることにより、または選択された組換え宿主細胞で機能する翻訳後修飾の機構を利用することにより導入される。特定の翻訳後修飾は発現されたポリペプチドに及ぼす組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニルおよびアスパラギニル残基はしばしば翻訳後に対応するグルタミルおよびアスパルチル残基に脱アミド化される。これに代えて、これらの残基は穏やかな酸性条件下で脱アミド化される。その他の翻訳後修飾にはプロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル、チロシンまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983)を参照のこと。共有結合性修飾は例えば本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドおよびそのアミノ酸配列変種を含むイムノアドヒージョンのような融合タンパク質、ならびに異種性シグナル配列へのN末端融合を含む。
【0038】
元来のポリペプチドおよびその機能的誘導体に関する「相同性」は本明細書では、最大相同パーセントを達成するために必要により配列をアラインしそしてギャップを導入した後、対応する元来のポリペプチドの残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義され、そして保存置換を配列同一性の一部とは見なさない。NまたはC末端伸張も挿入も同一性または相同性を減じるとは解釈されない。アラインメントに関する方法およびコンピュータープログラムは周知である。「アミノ酸」とは全ての天然に存在するL−α−アミノ酸を意味し、そして例えばD−アミノ酸を含む。アミノ酸は周知である1文字または3文字いずれかの記号表示により識別される。
【0039】
「アミノ酸配列変種」なる用語は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドに比較してアミノ酸配列にいくつかの差異を伴う分子を意味する。本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドのアミノ酸配列変種は依然CD45ROおよびCD45RBに結合する能力を有している。置換変種は、本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、そして同一の位置でその場に挿入された異なるアミノ酸を有するものである。これらの置換は分子において1個のアミノ酸だけが置換されている単一か、または同一の分子に2個もしくはそれより多いアミノ酸が置換されている多重でよい。挿入変種は、本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドにおいて特定の位置で、あるアミノ酸に直ぐ隣接して挿入された1つまたはそれより多いアミノ酸を有するものである。アミノ酸に直ぐに隣接するとはアミノ酸のα−カルボキシまたはα−アミノ官能基のいずれかに連結されていることを意味する。欠失変種は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドにおいて1つまたはそれより多いアミノ酸が除去されているものである。通常欠失変種は分子の特定の領域で1または2個のアミノ酸が欠失している。
【0040】
CDR1のアミノ酸配列をコードするGGCCAGTCAGAACATTGGCACAAGCATACAGTG(配列番号:25);
CDR2のアミノ酸配列をコードするTTCTTCTGAGTCTATCTCTGG(配列番号:26);
CDR3のアミノ酸配列をコードするACAAAGTAATACCTGGCCATTCACGTT(配列番号:27);
CDR1’のアミノ酸配列をコードするTTATATTATCCACTG(配列番号:28);
CDR2’のアミノ酸配列をコードするTTTTAATCCTTACAATCATGGTACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAAGGCAG(配列番号:29);
CDR3’のアミノ酸配列をコードするAGGACCCTATGCCTGGTTTGACACCTG(配列番号:30);
配列番号:1のポリペプチドをコードする配列番号:5、すなわち本発明によるmAbの軽鎖の可変領域;
配列番号:2のポリペプチドをコードする配列番号:6、すなわち本発明によるmAbの重鎖の可変領域;
配列番号:9のポリペプチドをコードする配列番号:11、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;
配列番号:10のポリペプチドをコードする配列番号:12、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;
配列番号:7のポリペプチドをコードする配列番号:13、すなわち本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む軽鎖可変領域;
配列番号:8のポリペプチドをコードする配列番号:14、すなわち本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む軽鎖可変領域;
配列番号:8のポリペプチドをコードする配列番号:33、すなわち本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む軽鎖可変領域;
配列番号:31のポリペプチドをコードする配列番号:34、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号:32のポリペプチドをコードする配列番号:35、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;
のポリヌクレオチド配列もまた見出された。
【0041】
別の態様では本発明はCD45RO/RB結合分子をコードする、例えば本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、および/または好ましくはおよび、本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドを提供する;ならびに
配列番号:5のポリヌクレオチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:6のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;ならびに
例えば
配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド、
配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド、
配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド、または
配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド、
をコードする配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;ならびに
【0042】
好ましくは
配列番号:11のポリヌクレオチドおよび配列番号:13のポリヌクレオチド、
配列番号:11のポリヌクレオチドおよび配列番号:14のポリヌクレオチド、
配列番号:12のポリヌクレオチドおよび配列番号:13のポリヌクレオチド、または
配列番号:12のポリヌクレオチドおよび配列番号:14のポリヌクレオチド、
を含む配列番号:11もしくは配列番号:12のポリヌクレオチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:13のポリヌクレオチドもしくは配列番号:14のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;ならびに
【0043】
例えば
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、または
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
をコードする配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
ならびに
【0044】
配列番号:34もしくは配列番号:35のポリヌクレオチド、および/または、好ましくは配列番号:33;配列番号:14もしくは13のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
配列番号:34のポリペプチドおよび配列番号:33のポリペプチド、
配列番号:34のポリペプチドおよび配列番号:14のポリペプチド、
配列番号:34のポリペプチドおよび配列番号:13のポリペプチド、
配列番号:35のポリペプチドおよび配列番号:33のポリペプチド、
配列番号:35のポリペプチドおよび配列番号:14のポリペプチド、または
配列番号:35のポリペプチドおよび配列番号:13のポリペプチド。
【0045】
本明細書にて特記しない場合、「ポリヌクレオチド」は任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを含み、これは未修飾RNAもしくはDNA、または修飾RNAもしくはDNAでよく、限定するものではないが1本鎖および2本鎖RNAならびに1本鎖および2本鎖領域の混合物であるRNAを含む。
【0046】
本発明によるポリヌクレオチド、例えば各々配列番号:5、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:33、配列番号:34、もしくは配列番号:35のポリヌクレオチドのような、CDR1、CDR2、CDR3、CDR1’、CDR2’、CDR3’または各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドはその対立遺伝子変種および/またはその相補体を含み;例えば各々配列番号:5、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:33、配列番号:34、または配列番号:35のヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み;例えば各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32に少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードし、例えば該ポリペプチドの機能的誘導体、例えば各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32と少なくとも65%の相同性を有する該機能的誘導体を含み、例えば該機能的誘導体は各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32の共有結合性修飾を含み、例えば該機能的誘導体は各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32のアミノ酸配列変種を含み、例えば各々配列番号:5、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:33、配列番号:34、もしくは配列番号:35は遺伝子コードの冗長(縮重)の結果である配列を含み、各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドをもまたコードするか、または各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸を伴うポリペプチドをコードする。好ましくは対立遺伝子変種または機能的誘導体は少なくとも、配列番号:1のポリペプチドおよび/もしくは配列番号:2のポリペプチドを含む結合分子、配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体、または配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドのヒト化抗体の結合親和性を有する。
【0047】
例えばキメラまたはヒト化抗体であるCD45RO/RB結合分子を組換えDNA技術により生成することができる。したがって、CD45RO/RB結合分子をコードする1つまたはそれより多いDNA分子を構築し、適切な制御配列下に置き、そして適切なベクターにより発現させるために適当な宿主(生物体)に移すことができる。
【0048】
別の態様では本発明は本発明によるCD45RO/RB結合分子の単一の重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチド;および組換え手段による本発明によるCD45RO/RB結合分子の生成のための本発明によるポリヌクレオチドの使用を提供する。
【0049】
CD45RO/RB結合分子を例えば本明細書にて提供する情報と一緒に、例えば超可変または可変領域のアミノ酸配列およびこれらの領域をコードするポリヌクレオチド配列の知識を用いて従来の方法と同じように得ることができる。可変ドメイン遺伝子を構築する方法は、例えば欧州特許第239400号に記載されており、そして簡単には以下のように要約できる:いかなる特異性があってもmAbの可変領域をコードする遺伝子をクローニングすることができる。フレームワークおよび超可変領域をコードするDNAセグメントを決定し、そして超可変領域をコードするDNAセグメントを除去する。2本鎖合成CDRカセットを本明細書にて特記するようなCDRおよびCDR’配列に従ってDNA合成により調製する。これらのカセットは付着末端を提供するので、これらはヒト起源の望ましいフレームワークの接合部でライゲートできるようになる。1本鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを、例えば従来の方法と同じように調製することができる。このように調製された本発明によるポリヌクレオチドを都合よく適切な発現ベクターに移すことができる。
【0050】
適切な細胞系を例えば従来の方法によるのと同じように見出すことができる。例えば適当な(複数の)プロモーターを含む発現ベクターならびに重鎖および軽鎖定常部分をコードする遺伝子は公知であり、市販により入手可能である。適切な宿主は公知であるか、または例えば従来の方法によるのと同じように見出すことができ、そして細胞培養またはトランスジェニック動物を含む。
【0051】
別の態様では本発明は本発明によるCD45RO/RB結合分子をコードする、例えば配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40または配列番号:41の配列のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0052】
別の態様では本発明は:
発現系またはその一部が適合する宿主細胞に存在する場合、該発現系またはその一部が本発明によるCD45RO/RB結合分子を生成することができる、本発明によるポリヌクレオチドを含む該発現系;および
前記で定義したような発現系を含む単離された宿主細胞;
を提供する。
【0053】
さらに本発明によるCD45RO/RB結合分子がインビトロMLRにより決定されるように用量依存的な様式で1次同種免疫応答を阻害することを見出した。その結果により本発明によるCD45RO/RB結合分子の存在下で同種活性化されている細胞は同種抗原に対するその応答性を低下させることが示される。これにより、本発明によるCD45RO/RB結合分子はエフェクター同種反応性T細胞に直接作用し、そしてその機能を調節することができることが確認される。加えて、観察された機能効果の特異性を評価するために1次MLRから誘導されたT細胞の機能特性が、特異的刺激細胞または第三者刺激剤を用いて2次MLRにおける再刺激実験においてさらに研究された。2次培養には抗体は加えられなかったが、本発明によるCD45RO/RB結合分子が存在する1次MLRから誘導された細胞は、続く特異的刺激細胞での最適な刺激に応答する能力において低下したことが見出された。阻害の特異性は本発明によるCD45RO/RB結合分子で処理した細胞の無関係の第三者供与体からの刺激細胞に正常に応答する能力により実証された。したがって1次MLR培養から誘導されたT細胞を用いる再刺激実験により、本発明によるCD45RO/RB結合分子で同種活性化された細胞は元来の同種抗原に対して低応答性、すなわち寛容であることが示される。別の生物学的活性を実施例7、および9から13にて記載する。
【0054】
さらに本発明によるCD45RO/RB結合分子で予め処理された細胞における細胞増殖を外因性IL−2により救出することができることが見出された。これにより、本発明によるCD45RO/RB結合分子での同種活性T細胞の処理は寛容の状態を誘起することが示される。実際に、本発明によるCD45RO/RB結合分子で処理された細胞において観察された増殖応答性の低減はT細胞機能の低下によるものであり、そしてこれらの細胞は外因性IL−2に応答することができたが、これはこれらの細胞がアネルギー性の、真の不応答状態にあることを示している。この応答の特異性は、本発明によるCD45RO/RB結合分子で処理した細胞が無関係の供与体細胞をコントロール処理細胞のレベルまで正常に増殖させる能力により示された。
【0055】
加えて、実験により本発明によるCD45RO/RB結合分子のCD45ROおよびCD45RBへの結合は免疫された提供者からの末梢血単核球(PBMC)の特異的リコール抗原に対する記憶応答を阻害し得ることが示される。本発明によるCD45RO/RB結合分子のCD45ROおよびCD45RBへの結合はまた可溶性抗原に対する記憶応答をも阻害する。本発明によるCD45RO/RB結合分子の、免疫された提供者からのPBMCにおける破傷風に対するリコール応答を阻害する能力により、本発明によるCD45RO/RB結合分子が記憶T細胞の活性化をターゲティングおよび調節できることが示される。例えばこれらのデータにより、本発明によるCD45RO/RB結合分子は、同種反応性のおよび活性化されたT細胞を認識することに加えて、その機能を調節することができ、結果的にT細胞アネルギーの誘導に至ることが示される。この特性は自己抗原およびアレルゲンに対する、そして恐らく自己免疫疾患、アレルギーおよび慢性拒絶で認められるような同種抗原に対する進行中の免疫応答、ならびに記憶応答が疾病状態の維持において役割を果たす乾癬、炎症性腸疾患のような疾患の処置に重要であろう。自己抗原に対する記憶応答が疾患の維持に関して主要な役割を果たし得る自己免疫疾患におけるような疾患の状況において重要な特徴であると考えられている。
【0056】
本発明によるCD45RO/RB結合分子がインビボで混合リンパ球培養反応(MLR)におけるT細胞増殖応答を調節し得ることもまた見出された、すなわち本発明によるCD45RO/RB結合分子は例えば致死的な異種移植片対宿主病(GvHD)の防御またはSCIDマウスモデルにおけるヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程の抑制、またはhu−PBL−NOD/SCIDマウスモデルにおけるヒト島同種移植片生存の延長のようなインビボ試験における対応する阻害特性を有することが見出された。
【0057】
したがって本発明によるCD45RO/RB結合分子は免疫抑制性および寛容原性特性を有し得て、そして同種抗原、自己抗原、アレルゲンおよび細菌叢抗原に対するインビボおよびエキソビボ寛容誘導に有用であり得て、例えば本発明によるCD45RO/RB結合分子は、例えば限定するものではないが、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、自己免疫性甲状腺炎、グレーブス病、I型およびII型糖尿病、多発性硬化症、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、自己免疫性胃炎、糸球体腎炎、限定するものではないが、例えば心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚もしくは角膜移植の受体の処置のための、器官および組織同種移植片および異種移植片拒絶のような移植片拒絶、骨髄移植の後のような移植片対宿主病(GVHD)、および/もしくは膵臓島細胞移植片拒絶のような自己免疫疾患を含み、ならびに/または乾癬、アレルギー性接触性皮膚炎を含むアトピー性および接触性皮膚炎のような皮膚炎、炎症性腸疾患および/もしくはアレルギー性喘息を含むアレルギーもまた含む疾患の処置および予防に有用であり得る。
別の態様では本発明は、本発明によるCD45RO/RB結合分子の、例えば自己免疫疾患、移植片拒絶、例えば膵臓島移植片拒絶または移植片対宿主病(GVHD)、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーの処置および予防における薬剤としての使用を提供する。
【0058】
別の態様では本発明は、自己免疫疾患、移植片拒絶、例えば膵臓島移植片拒絶または移植片対宿主病(GVHD)、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および予防における医薬品の生成のための本発明によるCD45RO/RB結合分子を提供する。
【0059】
別の態様では本発明は、かかる処置および/または予防を必要とする対象に有効量の本発明によるCD45RO/RB結合分子を例えば本発明による医薬組成物の形態で投与することを含む、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および予防の方法を提供する。
【0060】
本発明の1つの実施態様は、かかる処置および/または予防を必要とする対象に有効量の本発明による分子またはヒト化抗体を投与することを含む、島細胞移植片拒絶に関連する疾患、例えば島細胞移植片拒絶の処置および/または予防の方法を提供する。
【0061】
好ましい実施態様では、薬剤として使用するための、医薬品を製造するための、または自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および/または予防の方法における該CD45RO/RB結合分子は配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含む。好ましくはCD45RO/RB結合分子は配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチドを含む。
【0062】
CD45RO/RB結合分子の「有効量」は、直接的または間接的のいずれかで、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーの結果である1つまたはそれより多い徴候を低減させる、これらを患うものの生活の質を高める、かかる疾患を処置するのに必要なその他の薬物療法の用量を減少させる、別の薬物療法の効果を増強する、疾患の進行を遅延させる、および/または患者の生存を延長するような臨床結果を含む有益なまたは望ましい結果を起こすのに十分な量である。
【0063】
有効量を1回またはそれより多い投与で投与することができ、そして別の薬物、化合物または医薬組成物と併用して達成してもしなくてもよい。したがって、「有効量」を、1つまたはそれより多い治療薬を投与する局面で考えることができ、そして1つまたはそれより多いその他の薬剤と併用して望ましい結果を達成し得るかまたは達成する場合、単一の薬剤を有効量で与えると考えることができる。
【0064】
さらに例えば自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置または予防のために本発明のCD45RO/RB結合分子を単独で活性な成分として、または免疫調節投薬計画におけるその他の薬物またはその他の抗炎症剤と一緒に投与できることも提供される。例えば本発明のCD45RO/RB結合分子をカルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA、シクロスポリンG、FK−506、ABT−281、ASM981;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス−7もしくはバイオリムス−9;副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メソトレキセート;S1P受容体アゴニスト、例えばFTY720もしくはその類似体;レフルノミドもしくはその類似体;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンもしくはその類似体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体、例えばMHC、CD2、CDS、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBもしくはそのリガンド、例えばCD154に対するモノクローナル抗体;またはその他の免疫調節化合物、例えばCTLA4もしくはその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部を有する組換え結合分子、例えばCTLA4の少なくとも細胞外部分もしくは非CTLA4タンパク質配列に連結されたその変異体、例えばCTLA4lg(例えばATCC68629に指定されている)もしくはその変異体、例えばLEA29Y、もしくはその他の付着分子阻害剤、例えばmAbもしくはLFA−1アンタゴニストを含む低分子量阻害剤、セレクチンアンタゴニストおよびVLA−4アンタゴニストと組み合わせて用いることができる。
【0065】
単独のまたは他の薬物、化合物もしくは医薬組成物と併用した有効量の本発明のCD45RO/RB結合分子を、注射を含む任意の従来の経路により、または時間をかけた漸次注入により投与することができる。投与は例えば経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、局所または経皮でよい。「同時投与」とは、経口投与時に例えば双方の化合物が同時に消化管に存在するように、一緒にまたは実質的に同時に、同一のベヒクルまたは別個のベヒクルのいずれかでの本発明の組成物の成分の投与を意味する。好ましくは化合物を固定された組み合わせで投与する。
【0066】
別の態様では本発明は少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤に随伴される本発明によるCD45RO/RB結合分子を含む医薬組成物を提供する。
本明細書で用いる「薬学的に許容される担体または希釈剤」なる用語は、ヒトを含む哺乳動物への投与に適当な1つまたはそれより多い適合した固体または液体充填剤、希釈剤、または封入物質を意味する。
【0067】
「担体」なる用語は、適用を促すために活性成分と組み合わせる、天然または合成の有機または無機成分を意味する。
「薬学的に許容される」なる用語は、活性成分の生物学的活性の有効性と干渉しない無毒の材料を意味する。かかる製剤は通常薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合する担体、アジュバントおよびサイトカインのような免疫補助増強剤、ならびに場合によっては化学療法剤のようなその他の治療薬を含有する。
【0068】
医薬品を用いる場合、塩は薬学的に許容されるべきであるが、薬学的に許容されない塩を都合よく用いてその薬学的に許容される塩を調製することができ、そして本発明の範囲から排除されない。
医薬組成物は:酢酸の塩;クエン酸の塩;ホウ酸の塩;およびリン酸の塩を含む適当な緩衝剤を含有することができる。
医薬組成物はまた場合によっては:塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサールのような適当な保存剤を含有することもできる。
【0069】
対象に投与されるポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードする核酸の用量を種々のパラメーターに従って、とりわけ用いる投与の様式および対象の状態に従って選択することができる。その他の因子には望ましい処置期間が挙げられる。対象における応答が適用された最初の用量で不十分である場合には、患者の寛容が許容される程度まで高用量(または異なる、さらに局所化された分配経路による効果的な高量)を用いることができる。
【0070】
医薬組成物を単位投与形態で都合よく提示することができ、そして薬学の分野で周知のいずれかの方法により調製することができる。全ての方法は、1つまたはそれより多い副成分を構成する担体に活性薬剤を随伴させる工程を含む。一般に、液体担体、微細に分割された固体担体、または双方に活性化合物を均一におよび十分に随伴させ、そして次に必要により生成物を成形することにより組成物を調製する。
【0071】
経口投与に適当な組成物を、各々予め決定された量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、トローチ剤のような個々の単位として提示することができる。その他の組成物には水性液体またはシロップ、エリキシルまたはエマルジョンのような非水性液体の懸濁液が挙げられる。
【0072】
非経口投与に適当な組成物はポリペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸の滅菌水性または非水性調製物を含むのが都合よく、これは受体の血液と等張であるのが好ましい。適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の方法に従ってこの製剤を処方することができる。滅菌注射用製剤はまた、無毒の非経口用に許容される希釈剤または溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール溶液として、滅菌注射用溶液または懸濁液でよい。許容されるベヒクルおよび溶媒のうち、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液を用いてよい。加えて、滅菌不揮発性油を溶媒または懸濁溶媒として用いるのが都合よい。この目的のために合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油を用いることができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸を注射用の製剤に用いることができる。経口、皮下、静脈内、筋肉内等の投与に適当な担体処方をRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA.に見出すことができる。
【0073】
医薬組成物はさらに例えば活性な成分、限定するものではないが、例えば前記したような抗ICOS、抗CD154、抗CD134Lのようなその他の免疫調節抗体、または限定するものではないがrCTLA−4(CD152)、rOX40(CD134)のような組換えタンパク質、または限定するものではないがシクロスポリンA、FTY720、RAD、ラパマイシン、FK506、15−デオキシスペルグアリン、ステロイドのような抗炎症剤もしくは免疫調節化合物を含み得る。かかる医薬組成物は使用のための指示書、場合によっては成分化合物の投与のコンプライアンスを促すためのさらなる手段、例えばラベルまたは図面を伴って、本発明によるCD45RO/RB結合分子ならびに別個の単位投与形態の免疫調節薬および/または抗炎症剤を含むことができ、ここで好ましくは単位投与形態は相乗効果量の成分化合物の投与に適当である。本発明の組成物を自由な組み合わせとして投与できるか、または固定された組み合わせに処方することができる。化合物の絶対投与量を多くの因子、例えば個体、投与経路、望ましい期間、活性物質の放出速度、ならびに処置される状態の特性および重篤度に依存して変える。
【0074】
単独でまたはその他の薬物と組み合わせて本発明のCD45RO/RB結合分子で処置される前記で概要を示したような疾患には、限定するものではないが、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、自己免疫性甲状腺炎、グレーブス病、I型およびII型糖尿病、多発性硬化症、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、自己免疫性胃炎、糸球体腎炎を含む自己免疫疾患;限定するものではないが、例えば心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚もしくは角膜移植の受体の処置のための器官および組織同種移植片および異種移植片拒絶を含む移植片拒絶、骨髄移植の後のような移植片対宿主病(GVHD)、および/もしくは膵臓島細胞移植片拒絶;乾癬;アレルギー性接触性皮膚炎を含むアトピー性および接触性皮膚炎のような皮膚炎;炎症性腸疾患ならびに/またはアレルギー性喘息を含むアレルギーが挙げられる。
【0075】
(実施例)
以下の実施例を参照することにより本発明はさらに十分に理解されよう。しかしながらこれらは本発明の範囲を限定するとして解釈すべきではない。以下の実施例では全ての温度はセルシウス度である。
「候補mAb」または「キメラ抗体」は、配列番号:3の軽鎖および配列番号:4の重鎖を含む本発明によるCD45RO/RB結合分子である。
【0076】
「ヒト化抗体」は配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド(VHE/humV1、VHE/VL1またはVHE/VLh)、配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド(VHQ/humV1、VHQ/VL1またはVHQ/VLh);配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド(VHE/humV2、VHE/VL2またはVHE/VLm);配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド(VHQ/humV2、VHQ/VL2またはVHQ/VLm);配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:31のポリペプチド(VHEN73D/humV1、VHEN73D/VL1またはVHEN73D/VLh);配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:32のポリペプチド(VHQN73D/humV1、VHQN73D/VL1またはVHQN73D/VLh);配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:31のポリペプチド(VHEN73D/humV2、VHEN73D/VL2またはVHEN73D/VLm);または配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:32のポリペプチド(VHQN73D/humV2、VHQN73D/VL2またはVHEN73D/VLm)を含む本発明によるCD45RO/RB結合分子である。
【0077】
以下の略語を用いる:
APC 抗原提示細胞
CEX 陽イオン交換クロマトグラフィー
c.p.m. 分あたりのカウント数
dhfr ジヒドロ葉酸リダクターゼ
EDTA エチレンジニトリロ四酢酸
ELISA 酵素結合免疫吸着測定法
ESI−Q−TOF エレクトロスプレーイオン化四重極飛行時間型
FACS 蛍光活性化細胞分類
Fc 結晶化可能フラグメント
F(ab’)2 抗原結合性フラグメント;2価
FITC フルオレセインイソチオシアナート
FBS ウシ胎仔血清
GVHD 移植片対宿主病
HCMV ヒトサイトメガロウイルスプロモーター
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IFN−γ インターフェロンガンマ
IgE 免疫グロブリンアイソタイプE
IgG 免疫グロブリンアイソタイプG
IL−2 インターロイキン−2
IU 国際単位
MALDI−TOF マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型
MLR 混合リンパ球培養反応
MLC 混合リンパ球培養
MP1 ヘモフィラス・インフルエンザ由来のマトリックスプロテイン1
MTX メソトレキセート
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PBL 末梢血白血球
PBMC 末梢血単核球
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RP 逆相クロマトグラフィー
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
SCID 重症複合免疫不全
Treg T調節細胞
xGVHD 異種移植片対宿主病
【0078】
実施例1:1次混合リンパ球培養反応(MLR)
細胞
血液試料を健常ヒト提供者から入手する。Ficoll-Hypaque (Pharmacia LKB)上で遠心することにより全末梢血、白血球搬出またはバフィーコートからの白血球から公知の血液型であるが未知のHLA型である末梢血単核球(PBMC)を単離する。MLR実験では40Gy照射の後、PBMCを刺激細胞として直接用いることもある。CD2またはCD3 Dynabeads (Dynal, Oslo, Norway)を用いることによりT細胞をPBMCから枯渇させる実験もある。ビーズおよび夾雑する細胞を磁場により除去する。照射の後、T細胞枯渇PBMCを刺激細胞として用いる。
【0079】
PBMC、CD3+T細胞またはCD4+T細胞をMLRにおける応答細胞として用いる。異なる提供者からの細胞を刺激細胞に対して調製する。抗CD16 mAb(Zymed, CA)、ヤギ抗マウスIgG Dynabeads、抗CD14 Dynabeads、CD19 Dynabeadsを用いてCD3+T細胞を陰性選択により精製する。加えて、抗CD8 Dynabeadsを用いてCD4+T細胞を精製する。FACScanまたはFACSCalibur (Becton Dickinson & Co., CA)により得られた細胞を分析し、そして得られた細胞の純度は>75%であった。10%熱不活性化FBS、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補充したRPMI1640培地に細胞を懸濁する。
【0080】
試薬
キメラ抗CD45R0/RB mAb「候補mAb」およびアイソタイプ対応コントロールキメラ抗体をも作成する。KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)または組換えヒトIL−10に特異的なマウス(ヒト)コントロールIgG1抗体をBD Pharmingen (San Diego, CA)から購入する。抗ヒトCD154 mAb 5c8はLederman et al 1992による。
【0081】
1次混合リンパ球培養反応(MLR)
96ウェル培養プレート(Costar, Cambridge, MA)の各ウェル中、示したmABの存在下またはAbの不在下で1×105個のPBMCまたは5×104個のCD3+もしくはCD4+細胞のアリコートを1×105個の照射PBMCまたは5×104個のT細胞枯渇照射(50Gy)PBMCと混合する。最適な標的CD45分子のインビトロ架橋を確実にするために、候補mAbに加えてFc部分に特異的なヤギ抗マウスIgまたはヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメント(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)を10μg/mlで加える実験もある。混合した細胞を5% CO2中37℃で4または5日間培養し、そして最後の16から20時間の培養の間3H−チミジンと共に細胞をパルスすることにより増殖を決定する。前記したものに類似するが、以下:1)用いる培地は10% FBSおよび1% ヒト血漿を含有するEX−VIVO(Bio-Whittaker)を用いる;2)2次架橋工程として抗マウス全IgG(5μg/ml)を用いる;3)刺激細胞の照射は60Gyである;は例外である実験もある。
【0082】
「候補mAb」またはコントロールキメラIgG1(10μg/ml)の存在下、双方共に2次工程試薬、Fc部分に特異的なヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメント(10μg/ml)を用いて1次MLRを実施する。「候補mAb」による阻害パーセンテージをコントロールIgG1の存在下の細胞増殖と比較して算出する。結果を以下の表1に示す:
【0083】
【表1】
*コントロール値とは有意に異なる(P<0.001)
【0084】
表1で示し得るように本発明による候補mAbは1次MLRを阻害する。平均阻害効果は4つの異なる提供者由来のCD4+T細胞で60.83±6.83%であり、そして統計的に有意である。
「候補mAb」による1次MLRの阻害は図1に示されるように「候補mAb」の0.001および10μgの範囲で用量依存的であることが示される。
【0085】
「候補mAb」による1次MLRの阻害に関するIC50は応答細胞として1提供者PBMCを用いる3つの別個のMLR実験の結果から決定される。したがって、#229および#219提供者からの応答CD4+T細胞および刺激剤としてT細胞を枯渇した照射PBMCを「候補mAb」またはコントロールキメラAbの存在下で10μg/mlのヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメントと混合する。実験を3回繰り返し、そしてコントロールAbの存在下のT細胞増殖と比較して、「候補mAb」の存在下の増殖のパーセンテージを算出する。Origin(V. 6.0(登録商標))を用いてIC50値を決定する。細胞活性IC50値は、算出して0.87±0.35nM(0.13±0.052μg/ml)になる。
【0086】
実施例2:2次MLR
「候補mAb」がCD4+T細胞の特異的同種抗原に対する非応答性を誘起するかどうかを評価するために、1次MLCの後に抗体を何ら存在させないで2次MLRを実施する。96ウェル培養プレート中示した抗体の存在下で10日間CD4+T細胞を照射した同種刺激細胞(T細胞枯渇PBMC)と共に培養する(1次MLC)。次いで細胞を収集し、Ficoll-Hypaqueグラジエント上に積層して死細胞を除去し、RPMIで2回洗浄し、そして同一の刺激剤、第三者刺激細胞またはIL−2(50U/ml)で再刺激する。細胞を3日間培養し、そして3H−チミジンで最後の16から20時間の培養の間細胞をパルスすることにより増殖性応答を決定する。
【0087】
具体的には、10μg/ml「候補mAb」、コントロールIgG1キメラAbおよびヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメントの存在下でCD4+T細胞を照射した同種刺激細胞(別の提供者から採取したT細胞枯渇PBMC)と共に培養する。1次MLR増殖を5日に決定する。2次MLRのために応答および刺激細胞を「候補mAb」の存在下10日間培養し、次いで細胞を収集し、RPMI1640で2回洗浄し、そして抗体を何ら存在させないで特異的刺激剤、第三者刺激剤またはIL−2(50U/ml)で再刺激する。細胞増殖を3日に決定する。結果を表2に示す:
【0088】
【表2】
*コントロール値とは有意に異なる(p=<0.001、t検定により決定、SigmaStat V.2.03)。#p=<0.046
【0089】
低下した増殖が「候補mAb」との処理の結果としての非応答性によるのかどうかを検定するために、1次MLRから誘導された細胞をIL−2(50U/ml)の存在下で培養する。IL−2の添加の結果、1次MLRにおいて「候補mAb」で処理されたT細胞の増殖応答はIgG1コントロールAbにおいて観察されたものに類似するレベルまで救出される。これらのデータにより、「候補mAb」で処理されたT細胞における2次応答の低下は、特異的刺激細胞に対して非応答性になる応答T細胞の機能的変化によるものであることが示される。
【0090】
阻害パーセンテージを以下の式に従って算出する:
【数1】
SigmaStat (Vers. 2.03)を用いて統計分析を実施する。
二元配置分散分析(two-way ANOVA)に続いてDunnett法によりデータを分析する。全ての検定手順で確率<0.05を有意と考える。t検定を用いる実験もある(SigmaStat V.2.03)。
【0091】
実施例3:SCIDマウスにおけるインビボ生存試験
SLIDマウスにおけるhu−PBLの生着
SCIDマウスC.B17/GbmsTac-Prkdcscid Lystbgマウス(Taconic, Germantown, NY)に、ヒト末梢血単核球(PMBC)を細胞移入から4週以内に>90%のマウスに致死的な異種移植片対宿主病(xGvHD)を誘起するに十分な量で腹腔内注射する。かかる処置をされたSCIDマウスを以後hu−PBL−SCIDマウスと称する。
【0092】
hu−PBL−SCIDマウスのMab処置
0日、PBMC注射後すぐ、3日、7日およびその後毎週の間隔でhu−PBL−SCIDマウスを「候補mAb」またはマウスもしくはキメラアイソタイプ対応mAbコントロールで処置する。MabをPBS100μl中最終濃度5mg/kg体重で皮下に分配する。全てのコントロールマウスが死亡したときに処置を停止した。
【0093】
処置結果の評価
この試験で「候補mAb」の効果を評価するための主要な基準はhu−PBL−SCIDマウスの生存であった。Systat v9.01ソフトウェアの助けを借りて、ログランク検定(Mantel法)を用いる生存分析の統計学的方法により結果の有意性を評価する。生存分析の方法はノンパラメトリック検定であり、これは特定のマウスが依然生存しているかどうかを考慮するのみならず、その器官/細胞でのインビトロ分析の実施の要求のような処置/疾患に関係のない理由のために屠殺されたかどうかもまた考慮する。さらに評価するために肝臓、肺、腎臓および脾臓の生検を死亡したマウスから入手する。加えて、健康状態を間接的に推定するのにhu−PBL−SCIDマウスの重量測定を最初(細胞移植の前)および実験期間中(2日毎)に行う。各マウスから得られた体重対PBMC移入後日数の値を用いて線形回帰線を作成し、そして続いてノンパラメトリックMann-Whitney検定を用いてその勾配(コントロール対抗CD45処置マウス)を比較した。
【0094】
結果
マウスmAbコントロールで処置した全てのhu−PBL−SCIDマウスは肺、肝臓および脾臓でヒト白血球の浸潤があり、そして細胞移入後約2から3週以内に死亡した(4/4)。死亡はおそらくxGvHDの結果である。コントロールmAb処置マウスはさらに直線的な様式で3週以内に約10%以上体重が減少した。
【0095】
「候補mAb」で処置した全てのhu−PBL−SCIDマウスは、3週後に「候補mAb」処置を停止しても、何ら疾患の明白な徴候もなく4週以上生存した(4/4)。「候補mAb」処置マウスは直線的な様式で4週以内に約5%まで体重が増加した。
【0096】
実施例4:本発明の抗体の発現
配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32を含むヒト化抗体の発現
各々ヒト化軽鎖可変領域humV1(配列番号:8;図4および6)、ヒト化軽鎖可変領域humV2(配列番号:7;図5および7)、ヒト化重鎖可変領域VHE(配列番号:9;図3および10)、またはヒト化重鎖可変領域VHQ(配列番号:10;図2および11)、ヒト化重鎖可変領域VHE−N73D(配列番号:31;図8)、またはヒト化重鎖可変領域VHQ−N73D(配列番号:32;図9)のアミノ酸配列をコードする対応するヌクレオチドを含む図2から11に示すプラスミドマップによる発現ベクターを構築する。これらの発現ベクターは配列番号:15および配列番号:41(VHQ)、配列番号:16および配列番号:40(VHE)、配列番号:17および配列番号:36(humV1)、配列番号:18および配列番号:39(humV2)、または配列番号:37(VHE−N73D)および配列番号:38(VHQ−N73D)のDNA(ヌクレオチド)配列を有する。
【0097】
COS細胞における発現のためのヒト化抗体重鎖および軽鎖発現ベクターの構築
バージョンVLhおよびVLmのためのヒトカッパ軽鎖発現ベクター
ヒトカッパアイソタイプの完全ヒト化軽鎖をコードする最終発現ベクターを構築するために、HindIIIおよびBglIIを用いて完全軽鎖可変領域(VLhおよびVLm)をコードするDNAフラグメントをVLhおよびVLm含有PCRスクリプトクローニングベクター(Stratagene)(VLm領域)から切り取った。ゲル精製したフラグメントを、ヒト化抗IgE抗体TESC−21(Kolbinger et al 1993)の構築の間に創られ、そして元はM. Bendig(MRC Collaborative Centre, London, UK)(Maeda et al. 1991)から入手したC21−HCMVカッパ発現ベクターのHindIIIおよびBamHI部位にサブクローニングした。フェノール/クロロホルム抽出によりライゲーション生成物を精製し、そしてエレクトロポレーションコンピテントEpicurian Coli(登録商標) XL1-Blue 株(カタログ番号200228、Stratagene)にエレクトロポレートした。LB/amp寒天平板に37℃で一晩蒔いた後、各12コロニーを取り、BioRobot 9600(Qiagen)を用いて3ml培養物からプラスミドDNAを調製した。これは図でさらに記載するように、ヒト化抗体バージョンVLhおよびVLm各々のための軽鎖発現ベクターを生じた。
【0098】
VHQのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
VHQ発現ベクターの構築のために、段階的アプローチを採用した。最初にVHQの完全な可変領域をKolbinger et al 1993(Protein Eng. 1993 Nov; 6(8):971-80)に記載されるような方法によってPCRにより組み立て、そして同一の酵素を用いてC21インサートが除去されているC21−HCMV−ガンマ−1発現にサブクローニングした。完全可変領域を含有するPCRスクリプトクローニングVHQのHindIII/BamHIフラグメントを次いで同一の酵素で切断した発現ベクターC21−HCMV−ガンマ−1にサブクローニングした。これはヒト化抗体バージョンVHQのための最終発現ベクターを生じた。
【0099】
VHEのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
ヒト化抗IgE抗体TESC−21の構築の間に創られた(Kolbinger et al. 1993)、およびまた元はM. Bendig (MRC Collaborative Centre, London, UK) (Maeda et al. 1991)から入手したC21−HCMV−ガンマ−1発現ベクターのHindIIIおよびBamHI部位に、種々の領域をコードするHindIIIおよびBamHI制限PCRフラグメントを直接ライゲートすることによりヒトガンマ−1アイソタイプの完全なヒト化重鎖をコードする最終VHE発現ベクターの構築を達成した。
【0100】
COS細胞における一過性発現
SuperFect(商標)トランスフェクション試薬(カタログ番号301305、Qiagen)を用いて以下のトランスフェクションプロトコルを150mm細胞培養皿中の付着COS細胞に適合させる。前記で記載した4つの異なる発現ベクターを細胞の一過性トランスフェクションに用いる。ヒト化抗体の発現のために、重鎖インサートを含有する2つのクローンの各々(各々VHEまたはVHQ)を、軽鎖をコードする2つのクローンの各々(各々humV1またはhumV2)と共に、重鎖および軽鎖発現ベクターの全部で4つの異なる組み合わせ(VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2)を細胞に同時トランスフェクトする。トランスフェクションの前に、アンピシリンの耐性遺伝子をコードする領域で切断する制限エンドヌクレアーゼPvuIでプラスミドを直線化する。トランスフェクションの前日に、新鮮培養培地30ml中4×106COS細胞を150mm細胞培養皿に加える。この細胞密度での播種は一般に24時間後に80%細胞集密度を生じた。トランスフェクションの日に直線化した重鎖および軽鎖DNA発現ベクターの4つの異なる組み合わせ(各15μg)を血清および抗生物質を含まない新鮮培地全容量900μlに希釈する。次いでSuperFectトランスフェクション試薬180μlをDNA溶液と完全に混合する。DNA混合物を室温で10分間インキュベートして複合体を形成させる。複合体形成を生じる間、成長培地をCOS細胞培養から除去し、そして細胞をPBSで1回洗浄する。次に新鮮培養培地9ml(10%FBSおよび抗生物質を含有する)をトランスフェクション複合体が入った各反応チューブに加え、そして十分に混合する。最終調製物を即座に4つの培養物の各々に移してトランスフェクトさせ、そして穏やかに混合する。次いで細胞培養物をDNA複合体と共に37℃および5%CO2で3時間インキュベートする。インキュベーションの後、トランスフェクション複合体を含有する培地を除去し、そして新鮮培養培地30mlで置換する。トランスフェクション後48時間に培養上澄を収集する。
【0101】
培養上澄の濃度
ELISAおよびFACS分析のために、重鎖および軽鎖プラスミドでトランスフェクトされたCOS細胞から収集した培養上澄を以下のように濃縮する。Centriprep YM-50遠心分離器フィルター装置(カタログ番号4310、Millipore)に製造者により記載されるように各上澄10mlを加える。Centriprepフィルターを室温で3000rpmで10分間遠心する。次いで5分間のみの遠心を用い、そして濃度の漸進的変化を監視して、再度残りの上澄20mlで遠心工程を繰り返す。濃縮した上澄の中間体500μlを回収し、新しいMicrocon遠心分離器フィルター装置(カタログ番号42412、Microcon)に移し、そして以下の製造者のプロトコルに従ってさらに濃縮する。室温で3000rpmで24分間を4回、6000rpmで10分間を1回、そして次に5分間を3回、濃縮した上澄を遠心し、いつも濃度の漸進的変化を監視する。達成した濃縮条件培地の最終容量は100から120μlであり、元の培養培地の250から300倍の濃度に相当し、そして用時まで4℃で保存する。比較およびコントロールのためにトランスフェクトしていない細胞からの培養培地を前記したのと同一の遠心プロトコルを用いて同様に濃縮する。
【0102】
ヒト化抗CD45RO/RB抗体を分泌する安定したSp2/0骨髄腫トランスフェクタントの作成
マウス骨髄腫細胞系Sp2/0(ATCC、CRL−1581)を前記したCD45RO/RB結合ヒト化抗体の重鎖(VHEまたはVHQ)および軽鎖(humV1またはhumV2)をコードするCHO発現ベクターと共にエレクトロポレートする。重鎖および軽鎖発現ベクターの4つの異なる組み合わせ(VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2)を以下のプロトコルに従ってトランスフェクションに用いる:エレクトロポレーションキュベット(0.4cmギャップ)中で各プラスミドのスーパーコイルDNA20μgをDMEM/10% FCS培養培地に懸濁した8×106個の生存Sp2/0細胞と混合する。BioRad GenePulser装置を用いるエレクトロポレーションの設定は1500V、25μFである。エレクトロポレーションの後、細胞を培養培地(10% FCS、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補充したDEME)中20時間培養する。2日に選択薬物G418(カタログ番号10131−019、Gibco)を最終濃度1mg活性薬物/mlまで加え、そして細胞を各ウェル200μlの96ウェルプレートにウェルあたり約105セルで分配する。10から15日後、G418生存クローンをG418含有培地に広げる。コーティング抗体ヤギ抗ヒトIgG/Fc(カタログ番号109−005−098、Jackson Labs)およびヒトカッパ軽鎖に対するペルオキシダーゼ結合抗体(カタログ番号A−7164、Sigma)を用いて、これらのトランスフェクタントからのヒト化mAbの分泌をELISAにより評価する。再度ELISAを用いて、このアッセイで正のスコアであったトランスフェクタントを細胞あたり日あたりで生産性を比較するために選択する(以下を参照)。ウェルあたり1セルの播種密度を用いて、限界希釈により即座にサブクローニングするために各トランスフェクタントのもっともよいクローンを選択する。G418生存サブクローンの生産性を再度前記したように決定する。培養容量が150mlに到達するまでサブクローンをG418含有選択培地に広げ、この段階でローラボトルに供給することになっているフラスコ中、G418を含まないで培養を続ける。
【0103】
最初のトランスフェクションおよび選択の後、安定したトランスフェクタントはVHE/humV1に関して20.8%、VHQ/humV1に関して11.5%、VHE/humV2に関して18.8%、およびVHQ/humV2に関して7.3%の頻度で96ウェルプレートから生じる。2ラウンドのサブクローニングの後、最良の2個の生産体はVHE/humV1に関してはクローン1.33.25(3.87pg/セル/日)およびクローン1.33.26(3.43pg/セル/日)、そしてVHQ/humV1に関してはクローン12.1.4(1.19pg/セル/日)およびクローン12.1.20(1.05pg/セル/日)である。VHE/humV1およびVHQ/humV1に関する安定したSp2/0トランスフェクタントを続いて抗体生成および精製のために拡大する。
【0104】
固定された抗ヒトIgGFcマトリックスおよびサイズ排除クロマトグラフィーを用いるアフィニティークロマトグラフィーの組み合わせにより、10%FCSを含有する安定してトランスフェクトされたSp2/0骨髄腫細胞系の上澄から抗体を精製する。必要によりActiclean Etoxカラム(Sterogene Bioseparations)を用いてエンドトキシンを除去する。
【0105】
Sp2/0細胞における発現のためのヒト化抗体重鎖および軽鎖発現ベクターの構築
バージョンVLhおよびVLmのためのヒトカッパ軽鎖発現ベクター:
humV1(=VL1)またはhumV2(=VL2)cDNAをPCRにより各々CHO発現プラスミド配列番号:17または配列番号:18から、プライマーHuCD45LC−Mlu(5’−AAAACGCGTTGTGACATTCTGCTGACCCAGTCT−3’;配列番号:42)およびHuCD45LC−Hind(5’−AAAAAAGCTTGGTCCCCTGGCCGAACGTGAA−3’;配列番号:43)を用いて増幅する。321bpのPCRフラグメント各々をMluIおよびHindIIIで消化し、そして同一の酵素で消化した軽鎖発現ベクターchA6HCk.dhfrに直接ライゲートする。得られたプラスミドを各々LCVL1Sp20(配列番号:36;図6)およびLCVL2Sp20(配列番号:39;図7)と称する。次にLCVL1Sp20をSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1、VHQ/humV1またはVHE−N73D/humV1の発現に用い;次にLCVL2Sp20をSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV2、VHQ/humV2またはVHE−N73D/humV2の発現に用いることができる。
【0106】
VHQおよびVHEのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
2つのヒト化VH cDNA領域をPCRにより各々組換えプラスミドHCMV−G1 HuA6−VHE(配列番号:16;図3)およびHCMV−G1 HuA6−VHQ(配列番号:15;図2)からPCRプライマーHuCD45HCEup(5’−CAGGCAGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCA−3’;配列番号:44)またはHuCD45HCQup(5’−CAGGCACAGGTGCAGCTGGTGGAGTCA−3’;配列番号:45)およびHuCD45HClo(5’−AAATCCTTCTAGAACTCACCTGAGGAGAC−3’;配列番号:46)を用いて増幅する。PCRフラグメントの3’末端をBstEIIで消化した。次いで各PCRフラグメントをBstEIIおよび平滑末端カッターHincIIで切断した重鎖カセットベクターHCcassREALにクローン化する。得られたプラスミドは最終発現ベクター構築物への中間体であり、そして各々HCcassHVESP20およびHCcassHVQSP20と称される。このサブクローニングはまた元来のベクターのVH領域の双方に随伴されているリーダー配列を変化させる。古いリーダー配列のアミノ酸配列はMDWTWRVFCLLAVVAPGAHS(配列番号:47)であるが、これはサブクローニングの間にMAWVWTLPFLMAAAQSVQA(配列番号:48)と置き換えられている。
【0107】
中間体HCcassVHESP20またはHCcassVHQSP20をScaIで消化し、そして続いてプラスミドをBamHIおよびEcoRIで消化する。Ig重鎖プロモーターおよびVH領域を含有する2.9kbのフラグメントを精製し、そして重鎖発現構築物をBamHIおよびEcoRIで消化した8.7kbフラグメントとライゲートする。得られたプラスミドは各々HCVHESp20(配列番号:40;図10)およびHCVHQSp20(配列番号:41;図11)と称され;そしてSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1、VHQ/humV1の発現に用いられる。
【0108】
VHEN73Dのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
発現ベクターHCVHESp20(配列番号:40;図10)およびHCVHQSp20(配列番号:41;図11)を鋳型として部位特異的変異誘発に用いてN73D変異を達成する(CD45RO/RB結合分子の重鎖の73位置のアミノ酸においてアスパラギンをアスパラギン酸に交換する)。この変異は推定上のN−グリコシル化部位を排除する。QuikChange(登録商標)Multi-Site Directed Mutagenesisキット(Stratagene)およびプライマーCD45H−N73D(5’−ホスホGCCACACTAACTGCAGACAAATCCATCAGCACAGC−3’;配列番号:49)を用いてキットマニュアルに従って変異誘発を実施する。得られた構築物HCVHEN73DSp20およびHCVHQN73DSp20の配列を確認し、そして各々配列番号:37および配列番号:38、ならびに図8および9に開示する。HCVHEN73DSp20(配列番号:37)を軽鎖発現構築物LCVL1SP20(配列番号:36)と一緒にSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE−N73D/humV1の発現に用いる。
【0109】
ヒト化抗CD45RO/RB抗体VHE−N73D/humV1を分泌する安定したSp2/0骨髄腫トランスフェクタントの作成
マウス骨髄腫細胞系Sp2/0 Ag14.10をヒト化CD45RO/RB結合分子VHEN73D/humV1の重鎖(HCVHEN73DSp20;配列番号:37)および軽鎖(LCVL1SP20;配列番号:36)をコードするベクターと共にエレクトロポレートする。トランスフェクションのために、95%以上の生存性を有する指数増殖期の細胞を用いる。細胞を冷TFバッファー(272mM スクロース、1mM MgCl2、7mM リン酸バッファー、pH7.4)で2回洗浄し、そして細胞濃度をTFバッファーで2×107セル/mlに調整する。細胞懸濁液0.8mlを重鎖および軽鎖構築物各15μgと混合し、そして氷上に10分間置く。Biorad Gene Pulser(280Vおよび25μF)を用いてエレクトロポレーションにより5つのトランスフェクションを行う。エレクトロポレーションの後、細胞を氷上に15分間置き、続いて冷培養培地(FCS不含のRPMI基盤の培地)50mlに移し、そして37℃および5% CO2で2日間インキュベートする。
【0110】
トランスフェクタントを選択するために、1.1mg/ml G418(Geneticin, Gibco ロット3069464)の存在下、およそ2から3週間細胞を培養した。軽鎖構築物に位置するdhfr(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)増幅マーカーにより葉酸類似体メソトレキセート(MTX)によるdhfr遺伝子および導入遺伝子の増幅が可能になる。遺伝子増幅のために、G418耐性細胞を200nM MTXの存在下、2から3週間培養し、続いてMTX濃度をさらに1μMに上げることにより異種性の細胞プールの増幅に至る。分析用プロテインA HPLCにより抗体濃度を決定する。ウェルあたり0.3セルの播種密度を用いて限界希釈によりクローニングのためにもっとも良好な生成プールを選択して高生産クローンを単離する。
【0111】
実施例5:ELISAによる組換えヒトIgG発現の決定
VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2の特徴付け
培養上澄に発現された組換えヒト抗体のIgG濃度を決定するために、サンドウィッチELISAプロトコルを発展させ、そしてヒトIgGを標準として用いて最適化した。平底96ウェルマイクロタイタープレート(カタログ番号4−39454、Nunc Immunoplate Maxisorp)をPBS中最終濃度0.5μl/mlのヤギ抗ヒトIgG(全分子、カタログ番号I1011、SIGMA)100μlで4℃で一晩コートする。次いでウェルを洗浄バッファー(0.05% Tween 20含有PBS)で3回洗浄し、そしてブロッキングバッファー(PBS中0.5% BSA)で37℃で1.5時間遮断する。3回洗浄サイクルの後、抗体試料および標準ヒトIgG(カタログ番号I4506、SIGMA)をブロッキングバッファー中連続1.5倍希釈により調製する。希釈した試料または標準100μlを2検体ずつでコーティングしたプレートに移し、そして室温で1時間インキュベートする。インキュベーションの後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、そして続いてブロッキングバッファーで1/4000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgGカッパ軽鎖(カタログ番号A−7164、SIGMA)100μlと共に1時間インキュベートする。コントロールウェルにブロッキングバッファーまたは濃縮した通常の培養培地100μlを入れた。洗浄後、TMBペルオキシダーゼEIA基質キット(カタログ番号172−1067、Bio-Rad)を用いて製造者の指示書に従って試料中の結合ペルオキシダーゼおよび標準ウェルの比色定量を実施する。ペルオキシダーゼ混合物をウェルあたり100μlで加え、そして暗中室温で30分間インキュベートする。1M 硫酸100μlの添加により比色反応を停止させ、そしてELISAプレートリーダー(3350−UVモデル、BioRad)を用いて各ウェルの吸光度を450nmで読む。
【0112】
IgG標準曲線に関する相関係数0.998で、トランスフェクトされたCOS細胞から得られた4つの異なる培養濃度(約250から300倍濃縮)に関して以下の濃度を決定する:
VHE/humV1上澄=8.26μg/ml
VHE/humV2上澄=6.27μg/ml
VHQ/humV1上澄=5.3μg/ml
VHQ/humV2上澄=5.56μg/ml
【0113】
サイズ排除クロマトグラフィー分析(SEC)
タンパク質含量、小型凝集(オリゴマー抗体)および恐らく副産物および分解産物のパーセンテージを決定するために、アフィニティー精製抗体VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2をTSKgel Super SW3000SWXLでサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析する。VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2に関するクロマトグラムにより主要なピークは分裂しており、そして分離は重鎖Eのプールに関してさらに顕著であることが示される(図12)。結果により各試料に存在するIgG抗体に典型的な保持時間を有する少なくとも2つの分子が存在することが示唆される。
【0114】
還元条件下でのSDS−PAGE
ヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2の還元条件下でのSDS−PAGEによる分析(グラジエントゲル、4から20% トリス−グリシンゲル、Novex)により、各試料の重鎖に相当するバンドより上にわずかに移動した、予測されないさらなるバンドの存在が示される。質量の差は2から4kDaの範囲であると推定される。ウェスタンブロット分析により上位のバンドは抗ヒト(H+L)抗体により認識されることが示され、これはさらなるバンドが重鎖変種であることを示唆している。
【0115】
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
PolyCatAカラム(PolyLC Inc)を用いて電荷の異種性を陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)により評価する。キメラmAbは本質的にC末端リジン変種以外に電荷異種性を含まないが、全てのヒト化CD45RO/RB結合分子、すなわちVHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2は電荷で非常に異種性であることが見出される。抗体の電荷異種性の共通する理由は抗体重鎖のC末端でのLysの存在/不在であり、これによりCEXにおける3個のピークに至る。各クロマトグラムでの多数の可視ピーク(>10;図13)は、少なくとも1つのさらなる修飾が4つのCD45RO/RB結合分子全てに存在することを示している。
【0116】
SDS−PAGE
VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2のタンパク質プールで見出された2つの抗体種間の分子の差異を評価するために、VHE/humV2を選択してさらに分析する。半調製用(semi-preparative)様式でVHE/humV2の2個のSECピークを収集し、そしてその純度を確認するためにSECにより再分析する。SECにより収集した分画(分画1および分画2)を次に還元条件下でSDS−PAGEにより分析する。約49kDaでの予測されないさらなるバンドの比率は2つ分画間で異なる。分画2はこのさらなる高いバンドをほとんど含まない。
【0117】
ESI−Q−TOF質量分析
次にSEC分画F1、F2およびVHE/humV2のタンパク質プールをESI−Q−TOF質量分析によりさらに分析する。タンパク質プールおよび分画2のスペクトログラムでは、同一の群のシグナルが観察される。約148,000Daの第1のシグナル群はタンパク質プールおよび分画2において見出され、分画1では検出されない。分画1では、約152,500Daの別の群のシグナルに加えて、(約150,300Daの)第2のシグナル群が検出される。約150,320Daの第2のシグナル群は抗体形態で通常観察されるいずれとも相関し得なかった。これらの知見により、SECの2個のピークおよび還元SDS−PAGEの2個の上位のバンドは予測されるタンパク質の変種に各々相当することが示唆される。
【0118】
逆相クロマトグラフィー
質量分析であまり複雑でないパターンを得るために、抗体鎖をさらに別個に分析する。分画を還元し、そしてアルキル化する。反応の完全性を確認するために、還元およびアルキル化した試料を逆相(RP)クロマトグラフィー(SORBAX, Poroshell 300SB−C8)により分析する。還元およびアルキル化の後、ピーク形状は還元のみの後とほぼ同一である。保持時間のシフトが観察される。SEC分画1および分画2還元およびアルキル化試料で類似のパターンが得られる。VHE/humV2タンパク質プール試料、SEC分画1およびSEC分画2(還元およびアルキル化)をESI−Q−TOF質量分析で分析する。いくつかの質量ピークを予測される抗体形態に割り当てることができる。同一の主要なピークは3つの試料全てで見出される(タンパク質プール、F1およびF2)が、その強度は分画2においては非常に低い(図14)。
【0119】
重鎖変種の炭水化物分析
還元およびアルキル化した抗体を逆相(RP)クロマトグラフィーカラムに中収支、そして重鎖変種に相当する2個のピークを収集する。次いでこれらのRP分画化した抗体のオリゴ糖プロファイルを決定する。全ての試料で見出された予想されたG0およびG1オリゴ糖のうち、分画1のクロマトグラムでいくつかのその他のピークが検出される(これらのピークはわずかに分画2およびタンパク質プールのクロマトグラムにおいても検出される)。
【0120】
これらを考慮して、結果により、より大きな抗体種がさらなるグリコシル化を含有するが、典型的にはSP2/0発現モノクローナル抗体では見出されず、これは質量差を説明していることを示唆している。炭水化物分析および質量分析により見出された大きな複合グリコシル化は抗体の定常領域の保存されたグリコシル化部位である可能性が極めて低いので、ヒト化抗体のアミノ酸配列のその他の可能性のある部位に関する検索が行われる。2つの重鎖変種の可変ドメインでN−グリコシル化(N−X−S)に可能性のある部位(N73)を同定する。
【0121】
CEXによる調製用分画
プールVHE/humV1から精製された材料を用いてさらなる分析を実施する。材料の異種性を低減させるためにカルボキシペプチダーゼ−B処理でC末端リジンを除去する。SPセファロース(Pharmacia)を用いる調製用陽イオン交換クロマトグラフィーによりVHE/humV1抗体を分画化する。カラムを25mM リン酸ナトリウムバッファー、pH6.0(=バッファーA)で平衡にし、そして結合タンパク質をバッファーA中250mM NaCl(=バッファーB;0−65% Bのグラジエント)で溶出する。CEXを用いることにより分画の純度を分析する。収集した分画をSECカラムに再注入して2つの技術で得られた結果の間の相関を探す。クロマトグラムはCEXのピークの最初の群が抗体のSEC分析のプレピークに相関し、CEXのピークの第2の群は、タンパク質プールのSEC分析では一緒に第1のピーク(または分画1)になり、そしてCEXの最後のピークはSECで最後のピーク(または分画2)として溶出される事を示している。
【0122】
要するに、前記した結果(SEC分画1および分画2に関するオリゴ糖プロファイル、脱カルボキシル化の後に得られたCEXパターン、CEXで収集された分画に関して得られたSECパターン、質量分析)により複合オリゴ糖と共に抗体種が存在することが強く示唆され、これがa)SECにおいて二重ピークに至る質量異種性、およびb)CEXパターンに至る還元SDS−PAGE電荷異種性で観察された二重重鎖バンド、の原因となる。
【0123】
CEX分画の分析的特徴付け
大きな抗体種はCEXで先に溶出されるので(これらが正にあまり電荷していないことを示している)、調製用CEXにより得られた様々の分画でシアル酸(複合グリコシル化の成分であり、そして負に電荷している)の存在を測定する。シアル酸は様々な度合いで4つ全ての試料に存在する。見出されたシアル酸はN−グリコリルノイラミン酸形態である可能性が最も高い(N−アシルノイラミン酸標準と比較して短い保持時間に基づく)。別のCEX分画で非常に豊富であるのと対照的に、あるCEX分画でシアル酸の存在が非常に少ないということは、負に電荷した糖成分が質量/電荷異種性に寄与していることを強く示唆している。CEX分画をESI−Q−TOF質量分析により分析する。
【0124】
SDS−PAGE
また同一の分画を還元条件下でSDS−PAGEにより分析する。重鎖上位バンドはシアル酸を含有する複合オリゴ糖プロファイルを有する抗体の部分に相当すると結論づけることができる。重鎖下位バンドは従来のオリゴ糖プロファイルを表示する予測される抗体に相当する。
【0125】
パパイン消化CEX分画のMono-Sカラムでの分離
重鎖の可変ドメインでの可能性のあるグリコシル化部位の使用を確実にするために、各CEX分画約1mgをパパインで処理して抗体のFabおよびFc部分を分離する。Mono-Sカラムで調製用クロマトグラフィーを実施する。収集した亜分画の各々をRPカラムに再注入してFabおよび/またはFcドメインに関してその含量を同定する。次いで収集した亜分画の各々をESI−Q−TOF質量分析で分析する。得られた結果によりa)重鎖Fc部分の保存されたグリコシル化部位は0個(G0)、1個(G1)または2個の末端(G2)ガラクトース単位を伴う二分岐オリゴ糖形態に占領されていること;b)対照的に、不規則なグリコシル化部位(N73)はN−グリコリルノイラミン酸を含有する複合オリゴ糖を担持することが示される。
【0126】
要するに、重鎖可変ドメインのアスパラギン残基N73は部分的にN−グリコシル化されていることが見出される。これらの糖種はSDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーにより検出される質量異種性および電荷異種性を引き起こす。
【0127】
VHE−N73D/humV1の特徴付け
ヒト化VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2抗体の異種性を排除するために、重鎖の可変ドメインのN73位置でアスパラギン残基をアスパラギン酸残基により置換する(実施例4参照)。次いでVHE−N73D/humV1をさらに分析する:
【0128】
サイズ排除クロマトグラフィー分析(SEC)
前記で記載したようにSECを実施する。SECにおいてVHE/humV1とVHE−N73D/humV1との間に明確な差異が観察される。VHE/humV1に関して得られた二重ピークと対照的に、VHE−N73D/humV1に関しては1つのピークしか得られない(図12)。SECによりおよそ0.2%の凝集物が定量される。
【0129】
還元条件下でのSDS−PAGE
前記で概要を示したような還元条件下でVHE/humV2およびVHE−N73D/humV1をSDS−PAGEによりさらに分析する。VHE−N73D/humV1に関しては予測される重鎖(HC)位置(約50kDa)で1個バンドのみが可視である。VHE−N73D/humV1に関して観察されたHCバンドはVHE/humV2に関して観察された下位のダブレットのバンドに相当する。軽鎖バンドの位置は分析されたタンパク質に関して同一である。
【0130】
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を前記で概要を示したように実施する。CEXの分析に関して得られた結果により、VHE−N73D/humV1の電荷異種性はVHE/humV2の高い電荷異種性と比較してC末端リジン変種(3個ピーク)まで低減されることが示される(>10;図13)。
【0131】
MALDI TOF分析(質量分析)
MALDI TOF分析(質量分析)により得られた重鎖および軽鎖に関して検出された質量はVHE−N73D/humV1の配列から推定される予測される質量と密接に一致する。
【0132】
逆相クロマトグラフィー(RP)
DDTで還元した後、2つのヒト化抗体VHE/humV2およびVHE−N73D/humV1を逆相クロマトグラフィー(RP)により分析する。アスパラギンN73での部分的グリコシル化のために、とりわけ軽鎖に相当するピーク(約17.3分で)のうちVHE/humV2(約18.5分で二重ピーク)に関して2つの「重鎖」が観察される。VHE−N73D/humV1に関しては、重鎖に関しては1つのピークしか観察されない(図14)。
【0133】
実施例6:FACS競合分析(結合親和性)
ヒトT細胞系PEERはその細胞表面にCD45抗原を発現するので、それをFACS分析のための標的細胞として選択する。ヒト化抗体上澄の結合親和性を分析するために、参照としてFITC標識キメラ抗体を用いて競合実験を実施し、そして精製されたマウス抗体の、およびキメラ抗体の阻害と比較する。FEER細胞培養物を3000rpmで10秒間遠心し、そして培地を除去する。細胞をFACSバッファー(1% FBSおよび0.1% アジ化ナトリウム含有PBS)に懸濁し、そして96ウェル丸底マイクロタイタープレートにウェルあたり1×105セルの密度で播種する。プレートを遠心し、そして上澄を捨てる。遮断研究のために、最初に各ウェルに25μlの濃縮したトランスフェクトしていない培地またはアイソタイプ対応コントロール抗体(陰性コントロール)、未標識マウス抗体またはキメラ抗体(陽性コントロール)および種々の組み合わせのヒト化抗体を含有する濃縮した上澄(試料)をテキストに示された濃度で加える。4℃で1時間インキュベートした後、遠心によりPEER細胞をFACSバッファー200μlで洗浄する。続いて細胞をFACSバッファー25μl中最終濃度20μg/mlでFITCに結合したキメラ抗体と共に4℃で1時間インキュベートする。細胞を洗浄し、そして生存細胞のゲーティングを可能にする2μg/mlヨウ化プロピジウムを含有するFACSバッファー300μlに再懸濁する。細胞調製物をフローサイトメーター(FACSCalibur, Becton Dickinson)で分析する。
【0134】
FACS分析により、濃縮ヒト化抗体培養上澄による蛍光色素標識したキメラ抗体の用量依存的遮断が示される。アイソタイプ対応コントロール抗体ではキメラ抗体結合の用量依存的な遮断が認められず、これは種々のヒト化抗体の組み合わせによる遮断効果がエピトープ特異的であり、そしてエピトープ特異性はヒト化抗体過程の後にも保持されるようであることを示している。
【0135】
前記したSP2/0トランスフェクタントまたはキメラ抗体(陽性コントロール)またはアイソタイプ対応コントロール抗体(陰性コントロール)からの希釈していない上澄を培養培地中2μg/mlで100μl中1.5×105個のPEER細胞と共に4℃で30分間インキュベートする。次いでFITC標識したキメラ抗体を含有するPBS100μlを各試料に加え、そして4℃でさらに30分間インキュベーションを続ける。洗浄後、細胞を1μg/ml 7−アミノアクチノマイシンDを含有するFACS−PBSに再懸濁し、そしてBecton Dickinson FACSCalibur装置およびCellQuest Proソフトウェアを用いてフローサイトメトリーにより分析する。生存細胞でゲーティングした、すなわち否定事象として7−アミノアクチノマイシンDを用いた。
【0136】
FACS分析により未標識ヒト化CD45RO/RB結合分子、例えばVHE/humV1およびVHQ/humV1はヒトCD45陽性T細胞系PEERに結合するためのFITC標識キメラ抗体と競合するが、アイソタイプ対応コントロール抗体は競合しないことが示される。
【0137】
VHE−N73D/humV1の特異性
ヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1の修飾、すなわちCD45RO/RB結合分子の重鎖の73位置のアミノ酸でのアスパラギンのアスパラギン酸への交換が同族エピトープとの反応性を修飾するかどうかを評価するために、VHE−N73D/humV1のCD45発現ヒトT細胞系PEERとの反応性を競合結合実験で分析する。
【0138】
PEER細胞をVHE−N73D/humV1と、そのキメラの祖先と、または非結合性アイソタイプコントロールIgG抗体と共にインキュベートする。非結合性抗体を洗い流し、そして細胞を蛍光色素フルオレセインイソチオシアナート(FITC)標識キメラ抗CD45RO/RB mAbまたはFITC標識アイソタイプIgG1コントロール抗体とのインキュベーションに供する。洗浄後、細胞をフローサイトメトリー分析に供して、プレインキュベートしたPEER細胞に結合したFITC標識抗体の量を定量する:PEER細胞培養物を標準重力(g)の400倍で10分間遠心し、そして培地を除去する。細胞をFACSバッファー(1容量/容量% FBS、0.1重量/容量% EDTAおよび0.1重量/容量%アジ化ナトリウムを含有するPBS)に再懸濁し、そして96ウェルV底マイクロタイタープレートにウェルあたり1×105セルの細胞密度で播種する。プレートを遠心し、そして上澄を捨てる。細胞の各試料をキメラ抗CD45RO/RBmAb、VHE−N73D/humV1またはIgG1コントロールAbのいずれか20μg/mlを含有するFACSバッファー50μl中4℃で30分間インキュベートする。次に遠心によりPEER細胞をFACSバッファー150μlで2回洗浄する。続いて細胞をFITC結合キメラmAbまたはFITC結合3G5コントロールAbのいずれか20μg/mlを含有するFACSバッファー50μl中4℃で30分間インキュベートする。最後に細胞を洗浄し、そして分析の間の生存細胞の同定を可能にする7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を1μg/mlで含有するFACSバッファー200μlに再懸濁する。細胞調製物をFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析する。
【0139】
蛍光シグナルの低減により未標識VHE−N73D/humV1および未標識キメラ抗CD45RO/RBmAbはFITC標識キメラ抗CD45RO/RB mAbのCD45発現PEER細胞への結合を防御するが、IgG1コントロール抗体は防御しないことが観察される。要するに、VHE/humV1抗体のVHE−N73D/humV1への修飾はヒト化抗CD45RO/RB結合分子のエピトープ特異性を変化しないことが見出される。
【0140】
VHE−N73D/humV1のヒトまたはカニクイザルCD45に関する親和性
VHE−N73D/humV1抗体のそのエピトープに関する親和性を決定するために、VHE−N73D/humV1のヒトCD45発現T細胞系PEERまたはカニクイザルCD45発現T細胞系HSC−Fとの反応性をin Daley et al., 1995; J. Mol. Biol. 253:243に記載される手順に類似した競合結合実験で定量することができる。
【0141】
簡単には、種々の濃度の未標識競合抗体の存在下、PEERまたはHSC−FのFITC標識抗体との染色強度を用いて未標識抗体の親和性を算出する。さらに正確には、第1の工程で、FITC標識マウス由来の抗ヒトCD45RO/RB結合分子A6(mA6)の濃度および蛍光色素標識化学量を測定する。次に、前記したFITC結合mA6 yes(マウス由来抗huCD45)の助けを借りて、そして分子標識の程度が既知である蛍光ビーズを用いてPEERまたはHSC−F細胞系の表面上の標的分子、CD45の濃度を決定する。細胞性CD45受容体および既知のそのFITC結合リガンドの濃度で、FITC結合mA6の細胞性CD45受容体に対する親和性をFACS基盤の平衡滴定手順により決定する。最終的に未標識抗体VHE−N73D/humV1の親和性を、VHE−N73D/humV1の全濃度の関数として、FITC蛍光の増加を測定する、PEERまたはHSC−F細胞上のFITC結合mA6との競合染色反応から決定する。1つの受容体に結合する2個の競合リガンドの混合物における結合平衡の代数的に明白な記載を表す三次方程式がプログラムOrigin 7.5に導入されている場合、再反復曲線適合分析でソフトウェアプログラムを用いてVHE−N73D/humV1に関する解離定数(Kd)値を算出する。
【0142】
1つの実験では、標的CD45RO/RB結合分子に結合する2価抗体と過程すれば、ヒトPEER細胞性標的に関するVHE−N73D/humV1の解離定数は2.44±0.07nMと算出され、カニクイザルHSC−F細胞標的に関しては1.67±0.00nMと算出される。
【0143】
実施例7:CD45RB/RO結合分子の生物学的活性
この研究では、CD45RB/RO結合キメラ抗体は、多クローン的に活性化された1次ヒトT細胞の培養中に存在する場合、(i)特徴的なTreg表現型を有するT細胞の分化を支持する、(ii)T細胞の活性化の後アポトーシスを防御または増強する、ならびに(iii)再刺激後のサブセット特異的抗原および受容体の発現に影響するかどうかに着目した。
【0144】
CD45RO/RB結合分子キメラ抗体は多クローン的に活性化されたT細胞を増強する
1次T細胞(CD4+およびCD8+Tサブセットの混合物)をCD45RB/RO結合分子キメラ抗体の存在下または不在下(=コントロール)で抗CD3プラス抗CD28mAb(各々200ng/ml)による活性化に供した。2日に過剰の抗体を洗浄により除去した。アポトーシスおよび壊死細胞により取り込まれるDNA染色色素として7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を用いて活性化の後の細胞死を測定する。結果により、CD45RB/RO結合キメラ抗体の存在下でのT細胞の活性化が7−AAD陽性の分画を、活性化後2日で2倍以上増加させたことが示される。7日に、7−AAD陽性細胞の部分は再度CD45RB/RO結合キメラ抗体処理およびコントロール培養で類似した。
【0145】
CD45RB/RO結合キメラ抗体はT調節細胞(Treg)表現型を表示するがコントロールmAb処理T細胞は表示しない
CD25および陰性調節タンパク質CTLA−4(CD152)の発現の増加はTreg細胞のマーカーである。CD45RB/RO結合キメラ抗体による1次および2次T細胞応答の機能抑制はTreg細胞の誘導によるのであろう。この問題を解決するために、抗CD3+抗CD28mAbによりT細胞を活性化し、そしてCD45RB/RO結合キメラ抗体または抗LPSコントロールmAbの存在下で培養した。CTLA−4およびCD25発現の時間経過により2次刺激の1日および3日後コントロールとCD45RO/RB結合キメラ抗体処理T細胞との間に著明な差異が表され、これはTreg表現型を示している。
【0146】
細胞内CTLA−4発現はCD45RB/RO結合キメラ抗体の存在下で持続する
CTLA−4の実質的な量を細胞内でも見出すことができることが報告されている。したがって、表面CTLA−4染色に並行して細胞内CTLA−4発現を分析した。刺激後4日にT細胞培養間で中程度の差異が認められた。しかしながら培養の延長の後に、高レベルの細胞内CTLA−4がCD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞においてのみ持続したが、コントロールT細胞では持続しなかった。
【0147】
CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞がCD4およびCD8に関して二重陽性になる
刺激後、T細胞はCD25、CD152(CTLA−4)、CD154(CD40リガンド)およびその他のようないくつかの表面受容体の発現を誘起および上方制御する。対照的に、CD4またはCD8の発現レベルは比較的一定に保たれると考えられる。活性化の後、CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞におけるCD4およびCD8抗原の双方の強い増加が再現性よく観察されたが、コントロールAb処理T細胞では観察されなかった。CD4/CD8二重陽性T細胞集団の出現はCD8+サブセットでのCD4、および逆にCD4+サブセットでのCD8の上方制御によるものと思われる。これはコントロール培養において中程度に低いパーセンテージの二重陽性T細胞と対照的である。
【0148】
CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞によるIL−2受容体アルファ鎖の発現は高いが、ベータ鎖の発現は非常に低い
Treg細胞はCD25、IL−2受容体アルファ鎖に関して構成的に陽性であることが知られている。Treg細胞上の三量体IL−2受容体のその他のサブユニットの調節は知られていない。最近、例えばCD45RB/RO結合キメラ抗体の存在下または不在下で活性化し、そして増殖させたT細胞上のIL−2受容体、CD122のベータ鎖の発現を比較した。結果により、CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞はコントロール培養のT細胞と比較してCD122を約10倍低く発現することが示される。この差異はTreg細胞が増殖するためにIL−2以外の因子を必要とすることを示し得る。
【0149】
実施例8:本発明の配列(本発明のCDR配列には下線を付してある)
配列番号:1
キメラ軽鎖のアミノ酸配列の一部
【表3】
【0150】
配列番号:2
キメラ重鎖のアミノ酸配列の一部
【表4】
【0151】
配列番号:3
キメラ軽鎖のアミノ酸配列
【表5】
【0152】
配列番号:4
キメラ重鎖のアミノ酸配列
【表6】
【0153】
配列番号:5
配列番号:1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
【表7】
【0154】
配列番号:6
配列番号:2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
【表8】
【0155】
配列番号:7
humV2(humV2=VLm)と称されるヒト化軽鎖のアミノ酸配列の一部
【表9】
【0156】
配列番号:8
humV1(humV1=VLh)と称されるヒト化軽鎖のアミノ酸配列の一部
【表10】
【0157】
配列番号:9
VHEと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表11】
【0158】
配列番号:10
VHQと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表12】
【0159】
配列番号:11
配列番号:9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表13】
【0160】
配列番号:12
配列番号:10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表14】
【0161】
配列番号:13
配列番号:7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表15】
【0162】
配列番号:14
配列番号:8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表16】
【0163】
配列番号:15
発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHQのヌクレオチド配列
(3921−4274からの配列番号:12(VHQ)を含むヒト化重鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【0164】
配列番号:16
発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHEのヌクレオチド配列
(3921−4274からの配列番号:11(VHE)を含むヒト化重鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0165】
配列番号:17
発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1 humV1のヌクレオチド配列
(3964−4284からの配列番号:14(humV1=VLh)を含むヒト化軽鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【0166】
配列番号:18
発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1 humV2のヌクレオチド配列
(3926−4246からの配列番号:13(humV2=VLm)を含むヒト化軽鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【0167】
配列番号:31
VHE-N73Dと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表39】
【0168】
配列番号:32
VHQ-N73Dと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表40】
【0169】
配列番号:33
配列番号:8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表41】
【0170】
配列番号:34
配列番号:31のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表42】
【0171】
配列番号:35
配列番号:32のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表43】
【0172】
配列番号:36
発現ベクターLCVL1Sp20のヌクレオチド配列
【表44】
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【0173】
配列番号:37
発現ベクターHCVHEN73DSp20のヌクレオチド配列
【表50】
【表51】
【表52】
【表53】
【表54】
【表55】
【0174】
配列番号:38
発現ベクターHCVHQN73DSp20のヌクレオチド配列
【表56】
【表57】
【表58】
【表59】
【表60】
【0175】
配列番号:39
発現ベクターLCVL2Sp20のヌクレオチド配列
【表61】
【表62】
【表63】
【表64】
【表65】
【0176】
配列番号:40
発現ベクターHCVHESp20のヌクレオチド配列
【表66】
【表67】
【表68】
【表69】
【表70】
【表71】
【0177】
配列番号:41
発現ベクターHCVHQSp20のヌクレオチド配列
【表72】
【表73】
【表74】
【表75】
【表76】
【表77】
【表78】
【0178】
実施例9:CD45RO/RB結合ヒト化抗体のインビトロ効果
VHE/humV1およびVHQ/humV1
キメラ抗体と比較してCD45RO/RB結合ヒト化抗体VHE/humV1およびVHQ/humV1の効果を決定するために、ひとT細胞においてアポトーシスを誘起する能力、およびヒトT細胞増殖を阻害する能力もまた分析する。
【0179】
細胞および試薬
既知の血液型を有するが、HLA型は解らない健常ヒト提供者白血球搬出試料からFicoll-Hypaque(Pharmacia LKB)での遠心により末梢血単核球(PBMC)を単離する。CD3コーティングした強磁性ビーズ(Miltenyi)を用いることにより、刺激剤として用いるPBMCは最初にTおよびNK細胞を枯渇させる。ビーズおよび夾雑する細胞を磁場により除去する。照射(50Gy)の後、T細胞枯渇PBMCを刺激細胞として用いる。CD4+T細胞をMLRにおける応答細胞として用い、そしてCD4T細胞陰性選択キット(Miltenyi)でPBMCから単離する。
FACScanまたはFACSCalibur (Becton Dickinson & Co., CA)により得られた細胞を分析し、そして得られた細胞の純度は>75%である。10% 熱不活性化FCS、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補充したRPMI1640培地に細胞を懸濁する。
【0180】
アポトーシスアッセイ
3人の健常ボランティア提供者のヒトPBMCをCD45RO/RB結合キメラmAb、ヒト化抗体(VHE/humV1およびVHQ/humV1)または抗LPSコントロールmAbの存在下、成長培地(RPMI1640+10% FCS)中一晩(<16時間)培養する。示す場合、架橋試薬、ヤギ抗ヒトIgGのF(ab’)2フラグメント(カタログ番号109−006−098、JacksonLab)を、試料の抗CD45抗体濃度の2倍になるμg/ml濃度で含む。抗体試薬を導入した全ウェルのPBS濃度は全試料間で一定を保ち、すなわち架橋剤を含まない試料に関しては20(容量/容量)%、または架橋剤を含む試料に関しては40(容量/容量)%である。先の実験によりPBSの量は読み出しに影響しないことが実証されている。
【0181】
抗体の存在下で一晩培養した後、試料をフローサイトメトリー分析に供し、そしてアポトーシスマーカーAnnexinV−FITC(カタログ番号556419、BD/Pharmingen)およびT細胞マーカーCD2−PE(カタログ番号556609、BD/Pharmingen)と共に染色する。Becton Dickinson FACSCalibur装置に試料を流し、そしてデータをCellQuest Proソフトウェアを用いて分析する。
【0182】
収集したデータから、ソフトウェアOrigin v7.0300を用いて曲線を適合させる。適合に用いた等式は:
【数2】
(「シグモイドロジスティック」)
A1:最終値(「共用」および「浮動」にセットしたフィットセッション用)
A2:初期値(「共用」および「浮動」にセットしたフィットセッション用)
p:検出力
X0:ED50;IC50(以下を参照)
【0183】
架橋剤の不在下ではVHE/humV1が最も有効であり、ED50値は148±71nMで、次に377±219nMのVHQ/humV1が続く。CD45RO/RB結合キメラ抗体はED50値2440±1205nMで、あまり有効でない。
【0184】
架橋抗血清の存在下ではED50値は少なくとも2桁まで高効率の方にシフトする。加えて、架橋剤の存在により、非常に高い抗体濃度で高レベルのアポトーシスが可能になり、今や80%にまで至るが、架橋剤の不在下ではアポトーシスが50%までしか可能にならない。架橋剤の存在下では、曲線(抗体濃度/アポトーシス%)は2つのプラトーを有する二相性であり:第1のプラトーには低抗体濃度で到達し(〜5nM)、ここでアポトーシスレベルは架橋剤の存在下で得られる最大レベルに相当する。第2のプラトーには高低抗体濃度で到達し(〜500nM)、そしてT細胞集団の70−80%内でアポトーシスが観察される。
CD45RO/RB結合ヒト化mAb双方は同等に有効であり、そして1次ヒトT細胞においてアポトーシスを誘起するその能力に関してはCD45RO/RB結合キメラmAbと比較してより良好または同等である。
【0185】
混合リンパ球培養反応
96ウェル培養プレートの各ウェル中、様々の濃度のmABの存在下または不在下で1×105個のPBMCまたは5×104個のCD4+細胞を1×105個または5×104個ののT細胞枯渇照射(50Gy)PBMCと混合する。
混合した細胞を5日間培養し、そして培養の最後の16から20時間の間、細胞を3H−チミジンと共にパルスすることにより増殖を決定する。各抗体濃度でMLR阻害を実施例2に記載するように阻害パーセンテージとして表す。
漸増濃度のVHE/humV1およびVHQ/humV1のMLRに及ぼす影響を3つの応答体:刺激剤の組み合わせで評価する。全抗体は用量依存的な様式でMLRを阻害する。IC50値(前記を参照)はヒト化Ab VHE/humV1(7±7nM)およびVHQ/humV1(39±54nM)に関して類似している。双方のヒト化抗体はMLR阻害において親のキメラ抗体よりもさらに強力である(IC50は347±434nM)。通常MLR実験で見られるように、これらの実験では提供者変動性が高い。
【0186】
VHE−N73D/humV1
ヒト末梢血単核球(PBMC)でアポトーシスを誘起するVHE−N73D/humV1の生物学的効果を検討するために、種々濃度のVHE−N73D/humV1の存在下で標的PBMCを一晩インキュベートし、そして続いてフローサイトメトリーによりアポトーシスマーカーAnnexinVの結合に関して分析し:ヒトPBMCを種々濃度のVHE−N73D/humV1、または別のヒト化CD45RO/RB結合分子変種、VHE/humV1、もしくはキメラ抗CD45RO/RB mAbまたはアイソタイプIgG1コントロールmAbのいずれかを含有する組織培養培地1ml中一晩インキュベートする。加えて、ヤギ抗ヒトIg Fcの架橋F(ab’)2フラグメントを各mAbの2倍の質量濃度で加え、Fc受容体によりCD45RO/RB結合分子の架橋を疑似するが、これはインビボで生じ得る。翌日に標準重力(g)の400倍で10分間遠心することにより細胞を洗浄し、そして培地を除去する。細胞をFACSバッファー(1容量/容量% FBS、0.1重量/容量% EDTAおよび0.1重量/容量%アジ化ナトリウムを含有するPBS)に再懸濁し、そして96ウェルV底マイクロタイタープレートにウェルあたり1×105セルの細胞密度で播種する。細胞の各試料を100μg/ml 正常マウス血清を含有するFACSバッファー50μl中4℃で30分間インキュベートして、細胞上の非特異的部位を遮断し、そしてフィコエリトリン(PE)結合CD2でヒトT細胞を同定する。遠心により2回洗浄した後、1:100 容量/容量FITC標識AnnexinVを含有するカルシウム依存的(calcium-proficient)AnnexinV染色バッファー(Vendor BD/Pharmingen、キット556419)100μlに細胞を再懸濁する。暗中室温で15分間のインキュベーション時に7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を加え、最終濃度1μg/mlにし、そしてFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて分析する。アポトーシスを誘起するための抗体効果のED50値を、ソフトウェアOrigin 7.5を用いてシグモイド/ロジスティック曲線適合等式で抗体濃度の関数として誘起されるアポトーシスの量(=AnnexinV−FITC蛍光の強度)の分析から算出することができる。
【0187】
かかる分析時に全ての被験CD45RO/RB結合分子の二相性効果が観察される:低濃度の抗体で、30%未満の低レベルのT細胞アポトーシスが見出される。VHE−N73D/humV1に関するこのレベルのアポトーシスに到達するためのED50値は0.31±0.13nMとして算出される。高濃度の抗体では、70%までのT細胞でアポトーシスを誘起することができる。VHE−N73D/humV1に関して、この高レベルのアポトーシスに到達するためのED50値は352±83nMとして算出される。要約すると、VHE−N73D/humV1はまたヒトT細胞においてアポトーシスを誘起し、これは架橋により増強され得ることが見出される。
【0188】
実施例10:CD45RO/RB結合分子の特異性
キメラCD45RO/RB結合分子
CD45分子は全ての白血球において発現される。しかしながら、様々のCD45アイソフォームは種々の白血球サブセットにより発現される。CD45RB/RO結合キメラ抗体分子の白血球サブセット反応性を決定するために、ヒト白血球のサブセット特異的マーカーでの免疫蛍光標識および色素結合CD45RB/RO結合キメラ抗体での同時免疫蛍光標識を実施し、続いてフローサイトメトリー分析を実施する。
【0189】
簡単には、ヒト末梢血単核球(PBMC)、ヒト血小板、ヒト末梢血好中球またはヒト骨髄由来造血幹細胞の新たに単離された調製物の特異的サブセットは、CD2(Tリンパ球)、CD14(単球)、CD19(Bリンパ球)、CD34(幹細胞)、CD42a(血小板)、CD56(ナチュラルキラー細胞)またはCD66b(顆粒球)に対するフィコエリトリン結合抗体と共にインキュベートすることにより同定される。FITC標識キメラCD45RO/RB結合分子の同時結合はTリンパ球、単球、幹細胞、ナチュラルキラー細胞および/または顆粒球で検出されるが、血小板またはBリンパ球では検出されない。
【0190】
VHE−N73D/humV1
VHE−N73D/humV1の白血球サブセット反応性を決定するために、ヒト白血球のサブセット特異的マーカーでの免疫蛍光標識および色素結合VHE−N73D/humV1での同時免疫蛍光標識を実施し、続いてフローサイトメトリー分析を実施する。
【0191】
簡単には、ヒト末梢血単核球(PBMC)またはヒト末梢血好中球の新たに単離された調製物の特異的サブセットは、CD3、CD4,CD8(Tリンパ球)、CD14(単球)、CD16(ナチュラルキラー細胞および単球)、CD19(Bリンパ球)またはCD66b(顆粒球)に対するフィコエリトリン結合抗体と共にインキュベートしたときに同定される。FITC標識VHE−N73D/humV1の同時結合はTリンパ球、単球、ナチュラルキラー細胞および顆粒球で検出されるが、Bリンパ球では検出されない。したがって、VHE−N73D/humV1分子はヒトBリンパ球とは反応しない。
【0192】
実施例11:サプレッサーT細胞(T調節細胞)および機能的に無能なT細胞のインビトロ誘導
CD45RO/RB結合キメラ抗体のサプレッサーT細胞を誘起する能力を実証するために、ヘモフィラス・インフルエンザの抗原マトリックスプロテイン1(MP1)と反応するCD8+T細胞系の作成の間、抗体を種々の濃度で含む。CD8+ヒトリンパ球との、抗原と共にパルスしたCD14+ヒト単球との同時培養を繰り返すことによりこれらの系を作成する。後に、CD14+単球をMP1抗原提示細胞(APC)としてヒト白血球抗原−2陽性細胞系と置き換えることができる。CD45RO/RB結合キメラ抗体を含む培養からのかかるMP1特異的CD8+T細胞を新たに単離したヒトCD8+T細胞と混合し、そしてこの細胞の混合物をAPC上のMP1抗原で刺激する場合、CD45RO/RB結合分子の存在下での培養からのCD8+T細胞の添加により、抗体用量依存的様式でIFN−γ生成を低減させることができる。このIFN−γアッセイ培養の間、CD45RO/RB結合キメラ抗体は存在せず、これはCD45RO/RB mAbでの前処理が新たに単離されたT細胞の活性化を抑制することができるCD8+T細胞を誘起したことを示している。CD45RO/RB結合キメラ抗体によるこのサプレッサーT調節細胞の誘導のために抗体は、無調節なおよび/または活性化されたT細胞集団は病理の原因となると考えられる疾患において有用であり得る。かかる疾患の実例には、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患およびアレルギーが挙げられる。
【0193】
キメラCD45RO/RB結合分子の、さらなる刺激に対してT細胞低応答性(アネルギー)にする、すなわち機能的に無能化する能力を実証するために、前記で概要を示したように、ヘモフィラス・インフルエンザの抗原マトリックスプロテイン1(MP1)と反応するCD8+T細胞系の作成の間、抗体を含む。をAPCにより提示されるMP1抗原で(CD45RO/RB結合キメラ抗体の前に暴露した)T細胞を活性化することにより無能を評価する。CD45RO/RB結合分子は培養には存在しない。CD45RO/RB結合キメラ抗体に暴露していないCD8+T細胞は本来記載された刺激時にIFNγを生成する。対照的に、CD45RO/RB結合キメラ抗体で前処理したCD8+T細胞は抗原刺激に応答してこのサイトカインの生成の不在までの著明な低減を示し、これはCD45RO/RB結合キメラ抗体のヒトT細胞を機能的に無能化する能力を実証している。CD45RO/RB結合分子によるこの機能的T細胞低応答性の誘導のために抗体を、活性化されたT細胞集団は病理の原因となると考えられる自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患またはアレルギーのような疾患において用いることができる。
【0194】
実施例12:SCID−hu皮膚マウスにおけるインビボ研究
皮膚炎症におけるCD45RB/RO結合キメラ抗体の治療上の利点をSCIDマウスを用いて試験する。正常な個体からのヒト皮膚をSCIDマウス(SCID−hu皮膚)に移植し、そしてヒト皮膚提供者に無関係なヒト個体から単離した単核白血球を養子移入することにより炎症過程を疑似する。
【0195】
SCIDマウス(SCID−hu皮膚マウス)におけるヒト成体皮膚の移植
完全表皮、真皮乳頭層および網状真皮の一部からなるヒト成体皮膚(West Hungarian Regional Tissue Bank; WHRTB, Gyorから入手)の2個の小片(1cm2)をSCIDマウスC.B 17/GbmsTac-Prkdcscid Lystbgマウス(Taconic, Germantown, NY)左右上背部にマウス皮膚と置き換えて移植する。移植後5から6週間、移植片の品質をモニタリングし、そして移植に成功したマウス(SCID−hu皮膚マウス、一般的に>85%)をCD45RO/RB結合キメラ抗体のインビボ試験のために選択する。
【0196】
SCIDマウスにおけるヒト単核球の正着
細胞懸濁(50メッシュサイズを装着した細胞解離ふるいを用いる)および標準的な密度勾配手順の後、単核白血球(Spl)をヒト成体脾臓生検(WHRTB, Gyor)から単離する。〜5×108SplのアリコートをRPMI−10% FCS1.5MLに再懸濁し、そしてSCID−hu皮膚マウスに実験0日に腹腔内注射(i.p.)する。以前の実験でこれらのSpl数が細胞移入後4から6週内のマウス>90%で致死的な異種性GvHDを誘起するのに十分であることが見出されている。
【0197】
SCID−hu皮膚マウスの抗体処置
ヒトSplで再構成したSCID−hu皮膚マウスをCD45RB/RO結合キメラ抗体または抗LPSコントロールmAbで0日、単核球注射直後、3日および7日、ならびにその後毎週の間隔で処置する。抗体をPBS100μl中最終濃度1mg/kg体重(b.w.)で皮下(s.c.)に分配する。
【0198】
抗CD45処置の評価
CD45RB/RO結合キメラ抗体の効果を移植したマウスの生存および皮膚移植片の拒絶のモニタリングにより評価する。Systat v10ソフトウェアの助けを借りて、ログランク検定(Mantel法)を用いる生存分析の統計学的方法により結果の有意性を評価する。実験の終わりに、組織学の目的で屠殺したマウスからヒト皮膚移植片ならびにマウスの肝臓、肺、腎臓および脾臓の生検を入手する。健康状態を間接的に推定するのに全マウスの体重測定を最初(細胞移入の前)および実験期間中(2日毎)に行う。各マウスから得られた体重対PBMC移入後日数の値を用いて線形回帰線を作成し、そして続いてノンパラメトリックMann-Whitney検定を用いてその勾配(コントロール対抗CD45処置マウス)を比較する。
【0199】
結果
ヒト皮膚移植片はSCIDマウスにより非常に良好に寛容される。最初に移植片はケラチノサイト過剰増殖の期間を経験し、結果的に角化型痂皮の形成に至る。移植後約5週に、痂皮は移植片から剥がれ落ち、そして正常ヒト皮膚で観察される全ての特徴的な構造を含有する組織を露呈する。この過程の間にヒト皮膚移植片は隣接するマウス皮膚と融合し、そして下層のマウス組織と移植片をつなぐ新たに成長したヒト血管のネットワークを作成する。SCID−hu皮膚マウスに移入した循環ヒトSpl(実験0日、皮膚移植後およそ6週)は皮膚移植片に浸潤し、そしてヒト皮膚に発現された同種抗原分子を認識した後、乾癬性皮膚で生じる皮膚炎症過程と類似性を有し、そして完全に移植片を破壊する場合もある炎症応答が開始される。
【0200】
これらのマウスのCD45RB/RO結合キメラ抗体での処置により炎症過程が抑制され、そしてヒト皮膚移植片の拒絶が防御される。対照的に、コントロール処置されたマウスから得られた試料は、多様な壊死の徴候を伴う大規模な浸潤および劇的な表皮の破壊を示す。この過程は肉眼で容易にモニタリングされ、そしてマウスの簡単な写真により立証される。
【0201】
同種ヒトSplを移入され、そしてコントロール抗LPS mAbで処置されたSCID−hu皮膚マウスのうちの6匹は、単核球の移入後23日に明らかに肉眼観察できる強い炎症応答を示す。全マウスは紅班、落屑および顕著な膿疱を含む相当な損傷を示す。対照的に、CD45RB/RO結合キメラ抗体で処置した全マウスの皮膚移植片は正常な外観を有している。全マウスのヒト皮膚は実験の始めには同一の外見を有していたので、マウスの2群間の劇的な差異は特に抗体処置に起因する。この態様は、コントロール群が皮膚損傷を進行させ始める、細胞移入後2週まで変化しない。単核球移入後34日に実験を終える。そのときまでに、コントロールマウスの1匹はすでに死亡し(30日)、そしてその他の4匹は強力な異種GvHDのために屠殺された(27、27、27および30日)。抗体コントロール処置マウスで観察された病理学的反応はまたこれらの動物の体重減少とも相関する。対照的に、CD45RB/RO結合キメラ抗体処置群は全実験時間中健常な状態を示す。
【0202】
実施例13:ヒト島細胞移植モデルにおけるCD45RB/RO結合キメラ抗体のインビボ活性
マウス
NOD/SCID雌マウス(Charles River Laboratories, Calco, Italy)を特定病原体除去状態に維持する。尾静脈血中のグルコースレベルをGlucometer Eliteシステム(Bayer, Germany)を用いて定量する。ストレプトゾトシン(Sigma, St.Luis, MO)180mg/kgの静脈内注射によりNOD/SCIDマウスにおいて糖尿病を誘起する。2回連続してグルコースの測定値が250mg/dlより高くなった後、糖尿病の診断を下す。
【0203】
島調製物および移植
脳死多臓器提供者から膵臓を入手する。Bertuzzi et al., Diabetes, 1999, 48: 1971-8に記載される方法に従って島を単離する。10% FCS、1% L−グルタミン、100単位/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシンを補充したM199培地(Seromed Biochrom, Berlin, Germany)(完全培地)25mlの入った滅菌フラスコ中で精製した島を培養する。5% CO2および95% 加湿空気中、30℃で島をインキュベートする。アベルチンの腹腔内注射でマウスを麻酔し、そしてDavalli A.M. et al., Diabetes, 1996, 45: 1161-7に記載されるようにヒト島の1500 IEのアリコートを受体糖尿病性NOD/SCIDマウスの腎臓被膜の下に移植する。移植後、新たに単離した50×106個のPBMCをNOD/SCIDマウスに腹腔内注射する。
【0204】
移植したマウスの処置
Hu−PBL−NOD/SCID移植したマウスを0、+3および+5日にCD45RB/RO結合キメラ抗体1mg/kgでs.c.処置する。コントロールマウスを生理食塩水溶液またはIgG精製mAb(Vinci.Biochem, Italy)のいずれかで処置する。
【0205】
組織学的分析
ヒト島移植片を含有する腎臓の極をTissue Tek(Miles Lab., IN)中で急速凍結し、そして−70℃で保存する。5μm厚の凍結切片をヒトインスリンまたはヒトCD3に対するビオチン化mAb、続いてストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体で染色する。ジアミノベンジジン(DAKO、Carpenteria, CA)を色素原として、そしてヘマトキシリンを対比染色として用いる。移植片のリンパ球浸潤をヘマトキシリンおよびエオシン染色した凍結切片で評価する。
【0206】
結果
ヒト島を移植した正常なNOD/SCIDマウスは移植後100日まで正常血糖を維持するが、ヒト島を移植したhu−PBL−NOD/SCIDマウスの平均拒絶時間は35±13日である。ヒト島を移植したhu−PBL−NOD/SCIDマウスの本発明のmAbでの短期間処置はヒト島生存を有意に延長し、生存率は移植後60日で>70%であり、そして100日では50%である。
【0207】
移植後100日に実施したhu−PBL−NOD/SCIDマウスにおけるヒト島移植片の組織学的分析により、コントロール受体マウスにおいてCD3+、CD4+およびCD8+陽性T細胞の多量の浸潤が示される。対照的に、CD45RB/RO結合キメラ抗体で処置した受体マウスでは、ヒト細胞の浸潤が有意に低いことが観察される。インスリンに関する陽性染色により、コントロール受体マウスに比較して、CD45RB/RO結合キメラ抗体で処置したhu−PBL−NOD/SCID受体マウスにおける移植片機能が実証される。島移植された、およびCD45RB/RO結合キメラ抗体で処置されたhu−PBL−NOD/SCIDマウスでは、コントロール受体マウスと比較してより低量のヒトIFN−γのが血清中で検出される。
【0208】
これらのデータにより、CD45RB/RO結合キメラ抗体での短期間処置は移植片浸潤を防御することにより、および白血球媒介のインビボ拒絶反応を阻害することによりヒト島同種移植片の生存延長に至ることが示される。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】「候補mAb」による1次MLRの阻害は0.001および10μg/mlの範囲で用量依存的であることを示している。「濃度」は「候補mAb」の濃度である。
【図2】配列番号:15の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHQのプラスミドマップを示す。
【図3】配列番号:16の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHEのプラスミドマップを示す。
【図4】配列番号:17の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:14(3964−4284)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV1のプラスミドマップを示す。
【図5】配列番号:18の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV2のプラスミドマップを示す。
【図6】配列番号:36の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:33のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL1SP20のプラスミドマップを示す。
【図7】配列番号:39の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL2SP20のプラスミドマップを示す。
【図8】配列番号:37の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:34のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHEN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
【図9】配列番号:38の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:35のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
【図10】配列番号:40の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHESp20のプラスミドマップを示す。
【図11】配列番号:41の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQSp20のプラスミドマップを示す。
【図12】VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV1のサイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
【図13】VHE/humV2、VHE/humV1、VHQ/humV2およびVHQ/humV1、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV2の陽イオン交換クロマトグラフィーを示す。
【図14】VHE/humV2およびVHE−N73D/humV1の逆相クロマトグラフィーを示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明はCD45抗原アイソフォームに対する結合分子、例えばモノクローナル抗体(mAb)のような有機化合物、およびその使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
種々の疾患の処置における1つのアプローチは、病原性白血球の排除または不活性化および病原性免疫応答を不活性化するための寛容の誘導のための可能性を達成することである。器官、細胞および組織移植片拒絶ならびに種々の自己免疫疾患は一次的にはマクロファージおよび樹状細胞のような抗原提示細胞(APC)により抗原MHC複合体の形態で捕捉され、加工され、そしてヘルパーT細胞に提示される特異的抗原を認識することができるヘルパーT細胞により誘発されるT細胞媒介の免疫応答の結果である、すなわちヘルパーT細胞は特異的抗原を認識するときに刺激されてIL−2のようなサイトカインを生成し、そしていくつかのサイトカイン受容体およびその他の活性化分子を発現または上方制御し、そして増殖すると考えられている。これらの活性化されたヘルパーT細胞には直接的または間接的に作用し得る、すなわちエフェクター細胞毒性T細胞またはB細胞を補助して選択された抗原を発現する細胞または組織を破壊し得るものがある。免疫応答が終了した後、成熟したクローン的に選択された細胞は記憶ヘルパーおよび記憶細胞毒性T細胞として残り、これは体内を循環し、そして抗原が再度現れた場合にそれを迅速に認識する。この応答を誘発する抗原が無害な環境抗原である場合、結果はアレルギーであり、抗原が外来抗原でないが、自己抗原である場合、自己免疫疾患に至り;抗原が移植された器官からの抗原である場合、結果は移植片拒絶である。
【0003】
免疫系は非自己から自己を認識するために発達してきた。この特性により器官が病原体の日々の挑戦に曝された環境において生存することが可能になる。この非自己に関する特異性および自己に対する寛容は胸腺においてT細胞レパートリーの発達の間に、陽性および陰性選択の過程を通じて生じ、これはまた自己反応性T細胞の認識および排除をも含む。この型の寛容を中枢性寛容と称する。しかしながら、これらの自己反応性細胞にはこの選択機構を回避し、そして自己免疫疾患の発達に関する潜在的危険性を引き起こすものがある。末梢に回避した自己反応性T細胞を制御するために、免疫系は自己免疫性に対して保護を提供する末梢制御機構を有している。これらの機構は末梢性寛容の基礎である。
【0004】
特異的mAbにより認識される細胞表面抗原は一般に代々の国際白血球分類研究会により割り当てられたCD(分化抗原群)数により指定され、そしてCD45なる用語は本明細書では細胞表面白血球共通抗原CD45を意味し;そしてその抗原に対するmAbを本明細書では「抗CD45」と称する。
【0005】
白血球共通抗原に対する抗体(LCA)すなわちCD45は抗リンパ球グロブリン(ALG)の主要な成分である。CD45は膜貫通型チロシンホスファターゼのファミリーに属し、そして双方共に受容体相互作用に依存して細胞活性化の陽性および陰性の調節因子である。CD45のホスファターゼ活性はBおよびTリンパ球の抗原受容体に随伴されるSrcファミリーキナーゼの活性化に必要であるようだ(Trowbridge IS et al, Annu Rev Immunol. 1994;12:85-116)。したがって、T細胞活性化においてCD45はシグナル1に必須であり、そしてCD45欠乏細胞はTCR媒介の活性化事象において深刻な欠陥を有する。
【0006】
CD45抗原は膜貫通糖タンパク質を含む様々のアイソフォームで存在する。CD45の異なるアイソフォームはCD45細胞外領域の一部をコードする3つの可変エクソンの選択的スプライシングから生じるその細胞外ドメイン構造において異なる(Streuli MF. et al, J. Exp. Med. 1987; 166:1548-1566)。CD45の種々のアイソフォームは様々の細胞外ドメインを有するが、2つの相同な、高度に保存されたおよそ300残基のホスファターゼドメインを有する同一の膜貫通および細胞質セグメントを有する。様々のアイソフォームの組み合わせはTおよびBリンパ球の亜集団において差次的に発現される(Thomas ML. et al, Immunol. Today 1988; 9:320-325)。モノクローナル抗体には様々のアイソフォーム全てに共通するエピトープを認識するものがあるが、選択的にスプライシングされたエクソン(A、BまたはC)のうちのどれをそれらが認識するかに依存して限定的な(CD45R)特性を有するmAbもある。例えば、エクソンAの生成物を認識するモノクローナル抗体は結果的にCD45RAと称され、エクソンBを含有する種々のアイソフォームを認識するものはCD45RBと称されている(Beverley PCL et al, Immunol. Supp. 1988; I:3-5)。UCHL1のような抗体は、180kDaのアイソフォームCD45RO(可変エクソンA、BまたはCのいずれをも含まない)に選択的に結合し、これは活性化されたT細胞、記憶細胞および皮質胸腺細胞のサブセットに限定されるようであり、そしてB細胞上では検出されない(Terry LA et al, Immunol. 1988; 64:331-336)。
【0007】
(図面の説明)
図1 「候補mAb」による1次MLRの阻害は0.001および10μg/mlの範囲で用量依存的であることを示している。「濃度」は「候補mAb」の濃度である。
図2 配列番号:15の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHQのプラスミドマップを示す。
図3 配列番号:16の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHEのプラスミドマップを示す。
図4 配列番号:17の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:14(3964−4284)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV1のプラスミドマップを示す。
図5 配列番号:18の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV2のプラスミドマップを示す。
図6 配列番号:36の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:33のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL1SP20のプラスミドマップを示す。
図7 配列番号:39の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL2SP20のプラスミドマップを示す。
図8 配列番号:37の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:34のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHEN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
図9 配列番号:38の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:35のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
図10 配列番号:40の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHESp20のプラスミドマップを示す。
図11 配列番号:41の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQSp20のプラスミドマップを示す。
図12 VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV1のサイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図13 VHE/humV2、VHE/humV1、VHQ/humV2およびVHQ/humV1、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV2の陽イオン交換クロマトグラフィーを示す。
図14 VHE/humV2およびVHE−N73D/humV1の逆相クロマトグラフィーを示す。
【0008】
(発明の説明)
今、本明細書にて以後「CD45RO/RB結合分子」とも称するCD45ROおよびCD45RBに結合するポリペプチド配列を含む結合分子を見出した。本発明によるこれらの結合分子は免疫抑制を誘起し、1次T細胞応答を阻害し、そしてT細胞寛容を誘起し得る。さらに、本発明の結合分子は1次混合リンパ球培養反応(MLR)を阻害する。CD45RO/RB結合分子で処理した培養から誘導された細胞はまた2次MLRにおいてCD45RO/RB結合分子の不在時でさえ、2次MLRにおける増殖応答を低下させているのが好ましい。2次MLRにおけるかかる低下した増殖応答は寛容を誘起する本発明の結合分子の能力の指標である。加えて、本発明のCD45RO/RB結合分子はヒトTリンパ球におけるアポトーシスを通じて細胞死を誘起することができ、特徴的なT調節細胞(Treg)表現型を有するT細胞の分化を支えることができ;そして/または未処理のT細胞の活性化を抑制することができるT調節細胞を誘起することができる。
【0009】
さらにコントロール処置マウスと比較して、ヒトPBMCを注射した後に異種性GVHDを経験している重篤な複合免疫不全(SCID)マウスへのCD45RO/RB結合分子のインビボ投与は、CD45RO/RB結合分子処置マウスにおいて循環ヒトT細胞を依然検出できたとしても、マウスの生存を延長し得ることが見出されている。CD45RO/RB結合分子はまたヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程をも抑制し得る。加えてCD45RO/RB結合分子はヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制し得る、特にヒト皮膚を移植された、および単核脾細胞を正着されたSCIDマウスにおけるインビボヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制し得ることが見出されている。そしてさらにCD45RO/RB結合分子は移植片浸潤を防御することにより、および白血球媒介のインビボ拒絶反応を阻害することによりヒト島同種移植片の生存延長に至り得ることが見出されている。
【0010】
「CD45RO/RB結合分子」とはCD45抗原のCD45RBおよびCD45ROアイソフォームに、単独でまたはその他の分子に随伴されてのいずれかで、特異的に結合することができる任意の分子を意味する。例えば特定のCD45アイソフォームを発現する細胞への分子の結合を可視化することができる蛍光顕微鏡もしくは細胞蛍光測定(FACS)分析、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)またはラジオイムノアッセイと一緒にした直接的または間接的免疫蛍光のような任意の種類の結合アッセイを含む標準的な方法(定性的アッセイ)により結合反応を示すことができる。加えて、この分子の結合はこれらのアイソフォームを発現する細胞の機能の変化をもたらし得る。例えば、CD45RO/RB結合分子の存在下または不在下で、1次または2次MLRの阻害を決定するための、および1次MLR阻害における差異を決定するためのインビトロアッセイまたはバイオアッセイのように1次または2次合リンパ球培養反応(MLR)の阻害を決定することができる。
【0011】
これに代えて、例えばMLRにおける細胞活性化の後、または破傷風トキソイドのような特異的抗原もしくはその他の抗原で、またはフィトヘマグルチニン(PHA)もしくは抗CD3および抗CD28抗体もしくはホルボールエステルおよびCa2+イオノフォアのような多クローン性刺激剤で刺激した後に、PMBCまたはT細胞またはCD4+T細胞の増殖、サイトカインの生成、細胞表面分子の発現の変化を測定することによってもインビトロ機能調節効果を決定することができる。刺激剤として同種細胞の代わりに前記で記載したもののような可溶性抗原または多クローン性刺激剤を用いる以外はMLRに関して記載されるのと類似の様式で培養を準備する。3Hチミジンの取り込みにより前記で記載したようなT細胞増殖を測定するのが好ましい。
【0012】
サイトカイン捕捉抗体を96ウェルプレートの表面にコーティングし、培養物からの上澄を加え、そして室温で1時間インキュベートし、そして次に特定のサイトカインに特異的な検出抗体、続いて西洋ワサビペルオキシダーゼのような酵素に結合した第2段階の抗体、続いて対応する基質を加え、そしてプレートリーダーで吸光度を測定するサンドウィッチELISAによりサイトカイン生成を測定するのが好ましい。標的細胞を特定の細胞表面分子に特異的な抗体で染色した後、細胞表面分子の変化を直接的または間接的免疫蛍光により測定できるのが好ましい。抗体を直接的に蛍光色素で標識するか、または蛍光標識された第1抗体に特異的な第2段階の抗体を用いることができるかのいずれかであり、そして細胞を細胞蛍光測定器で分析する。
【0013】
本発明の結合分子はCD45ROおよびCD45RBの双方に関して結合特異性を有している(「CD45RO/RB結合分子」)。
好ましくは、結合分子は解離常数(Kd)<20nMで、好ましくはKd<15nMまたは<10nMで、さらに好ましくはKd<5nMでCD45ROアイソフォームに結合する。好ましくは、結合分子はKd<50nMで、好ましくはKd<15nMまたは<10nMで、さらに好ましくはKd<5nMでCD45RBアイソフォームに結合する。
【0014】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子は
1)CD45分子のAおよびBエピトープを含むが、Cエピトープを含まない;および/または
2)CD45分子のBエピトープを含むが、Aを含まずそしてCエピトープを含まない;および/または
3)CD45分子のA、BまたはCエピトープのいずれも含まない;
であるこれらのCD45アイソフォームに結合する。
【0015】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子は:
1)CD45分子のA、BおよびCエピトープの全て;および/または
2)CD45分子のBおよびCエピトープの双方であるが、Aエピトープでない;
を含むCD45アイソフォームに結合しない。
【0016】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子はさらに:
1)記憶およびインビボ同種活性化された(alloactivated)T細胞を認識する;および/または
2)例えばPEER細胞のようなヒトT細胞上のその標的に結合する(ここで該結合は好ましくはKd<15nM、さらに好ましくはKd<10nM、もっとも好ましくはKd<5nMである);および/または
3)好ましくは約100nM未満、好ましくは50nMまたは30nM未満のIC50で、さらに好ましくは約10nMまたは5nMのIC50で、最も好ましくは約0.5nMまたはさらには0.1nMのIC50でインビトロ同種活性化された(alloactivated)T細胞機能を阻害する;および/または
4)ヒトTリンパ球におけるアポトーシスを通じて細胞死を誘起する;および/または
5)インビトロで同種抗原特異的T細胞寛容を誘起する;および/または
6)有効量で投与されたときにヒトPBMCの注射によりSCIDマウスにおいて誘起された致死的異種移植片対宿主病(GvHD)を防御する;および/または
7)Tリンパ球、単球、幹細胞、ナチュラルキラー細胞および/または顆粒球に結合するが、血小板またはBリンパ球には結合しない;および/または
8)特徴的なT調節細胞(Treg)表現型を有するT細胞の分化を支持する;および/または
9)未処理T細胞活性化を抑制することができるT調節細胞を誘起する;および/または
10)ヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制する、特にヒト皮膚を移植された、および単核脾細胞を正着されたSCIDマウスにおけるインビボヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程を抑制する;および/または
11)hu−PBL−NOD/SCIDマウスモデルにおいてヒト島同種移植片生存を延長させる。
【0017】
さらに好ましい実施態様では、本発明の結合分子はAversa et al., Cellular Immunology 158, 314-328 (1994)により記載されるようなモノクローナル抗体「A6」と同一のエピトープに結合する。
前記した結合特性および生物学的活性のために、本発明のかかる結合分子は特に医薬品において、治療および/または予防のために有用である。本発明の結合分子が特に有用である疾患には、さらに以下で示すような、自己免疫疾患、移植片拒絶、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーが挙げられる。
【0018】
配列番号:1のポリペプチドおよび配列番号:2のポリペプチドを含む分子はCD45RO/RB結合分子であることを見出した。また配列番号:1のCD45RO/RB結合分子における超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’をも見出し、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)(配列番号:19)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)(配列番号:20)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)(配列番号:21)を有していた。
【0019】
また配列番号:2のCD45RO/RB結合分子における超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を見出し、CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)(配列番号:22)を有し、CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)(配列番号:23)を有し、そしてCDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)(配列番号:24)を有していた。
【0020】
CDRは本質的に抗原結合特性を決定する超可変領域とも称される3つの特異的な相補性決定領域である。これらのCDRは例えば配列番号:1または配列番号:2の可変領域の一部であり、各々ここでCDRはフレームワーク領域(FR)、例えば定常領域と交替する。配列番号:1は本発明によるキメラ抗体の軽鎖、例えば配列番号:3の一部であり、そして配列番号:2は重鎖、例えば配列番号:4の一部である。重鎖のCDRは随伴される軽鎖のCDRと一緒に本質的に本発明の分子の抗原結合部位を構成する。軽鎖可変領域により為される結合のエネルギー論への寄与は、随伴される重鎖可変領域により為されるものに比較して小さく、そして単独の重鎖可変領域は独自で抗原結合活性を有していることが解っている。かかる分子は一般的に単一ドメイン抗体と称される。
【0021】
1つの態様では、本発明は少なくとも1つの抗原結合部位、例えばCD45RO/RB結合分子を含み、配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む結合分子;および例えばその直接均等物(direct equivalent)を提供し、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)(配列番号:22)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)(配列番号:23)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)(配列番号:24)を有している。
【0022】
別の態様では、本発明は
a)配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)(配列番号:22)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)(配列番号:23)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)(配列番号:24)を有している第1ドメイン;および
b)配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)(配列番号:19)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)(配列番号:20)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)(配列番号:21)を有している第2ドメイン;
を含む少なくとも1つの抗原結合部位、例えばCD45RO/RB結合分子を含む分子;および例えばその直接均等物を提供する。
【0023】
好ましい実施態様では、配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む第1ドメインは免疫グロブリン重鎖であり、そして配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む第2ドメインは免疫グロブリン軽鎖である。
【0024】
別の態様では、本発明は分子、例えば配列番号:1のポリペプチドおよび/または配列番号:2のポリペプチドを含む、好ましくは1つのドメインに配列番号:1のポリペプチドおよび別のドメインに配列番号:2のポリペプチドを含むCD45RO/RB結合分子、例えばキメラモノクローナル抗体、ならびに別の態様では分子、例えば配列番号:3のポリペプチドおよび/または配列番号:4のポリペプチドを含む、好ましくは1つのドメインに配列番号:3のポリペプチドおよび別のドメインに配列番号:4のポリペプチドを含むCD45RO/RB結合分子、例えばキメラモノクローナル抗体を提供する。
【0025】
抗原結合部位が第1および第2ドメインの双方または配列番号:1もしくは配列番号:3の各々のポリペプチド、および配列番号:2もしくは配列番号:4の各々のポリペプチドを含む場合、これらは同一のポリペプチドに位置してよいか、または好ましくは各ドメインは異なる鎖に存在してよく、例えば第1ドメインは重鎖、例えば免疫グロブリン重鎖の一部、またはそのフラグメントであり、そして第2ドメインは軽鎖、例えば免疫グロブリン軽鎖の一部、またはそのフラグメントである。
【0026】
さらに本発明によるCD45RO/RB結合分子が哺乳動物、例えばヒトの体内環境におけるCD45RO/RB結合分子であることを見出した。本発明によるCD45RO/RB結合分子は、それゆえにモノクローナル抗体(mAb)と称され、ここで結合活性は主に前記で記載したようなCDR領域により決定され、例えば該CDR領域は実質的にヒト起源であるフレームワーク、例えば定常領域のような結合特異性を有さないその他の分子に随伴される。
【0027】
別の態様では、本発明はAversa et al., Cellular Immunology 158, 314-328 (1994)(A6を特徴づける一節に関して出典明示により本明細書の一部とする)に記載されるようなモノクローナル抗体「A6」ではないCD45RO/RB結合分子を提供する。
別の態様では、本発明はキメラ、ヒト化または完全なヒトモノクローナル抗体である本発明によるCD45RO/RB結合分子を提供する。
【0028】
CD45RO/RB結合分子の実例には、B細胞またはハイブリドーマにより生成されるような抗体および、またはその任意のフラグメント、例えばF(ab’)2およびFabフラグメントから誘導されるキメラまたはヒト化抗体、ならびに1本鎖または単一ドメイン抗体が挙げられる。1本鎖抗体は、通常10から30個のアミノ酸、好ましくは15から25個のアミノ酸からなるペプチドリンカーにより共有結合した抗体重鎖および軽鎖の可変領域からなる。したがって、かかる構造は重鎖および軽鎖の定常部分を含まず、そして小型のペプチドスペーサーは定常部分全体よりも抗原性が少ないはずであると考えられている。キメラ抗体とは重鎖および軽鎖の定常領域または双方がヒト起源であるが、重鎖および軽鎖双方の可変ドメインはヒト以外(例えばマウス)の起源であることを意味する。ヒト化抗体とは超可変領域(CDR)がヒト以外(例えばマウス)の起源であるが、全てのまたは実質的に全てのその他の部分、例えば定常領域および可変領域の高度に保存された部分はヒト起源である抗体を意味する。しかしながらヒト化抗体は超可変領域に隣接する可変領域の部分にマウス配列の数個のアミノ酸を保持し得る。
【0029】
超可変領域、すなわち本発明によるCDR’は任意の種類のフレームワーク領域、例えばヒト起源の軽鎖および重鎖の定常部分に随伴され得る。適当なフレームワーク領域は例えば「免疫学的に興味深いタンパク質配列」(Kabat, E.A. et al、米国国立衛生研究所、保健社会福祉省、公衆衛生局)に記載されている。好ましくはヒト重鎖の定常部分はサブタイプを含むIgG1型のものでよく、好ましくはヒト軽鎖の定常部分はκまたはλ型、さらに好ましくはκ型のものでよい。好ましくは該重鎖は多くて1個のグリコシル化部位を含み、最も好ましくはグリコシル化部位はN−グリコシル化部位であり、そして最も好ましくは1個のグリコシル化部位が重鎖の定常部分に位置する。最も好ましくはグリコシル化部位が可変領域に存在せず、好ましくはフレームワーク領域にグリコシル化部位が存在しない。
【0030】
重鎖の好ましい定常部分は配列番号:4(前記で特記したCDR1’、CDR2’およびCDR3’配列部分を含まない)のポリペプチドであり、そして軽鎖の好ましい定常部分は配列番号:3(前記で特記したCDR1、CDR2およびCDR3配列部分を含まない)のポリペプチドである。
【0031】
また本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む配列番号:7のアミノ酸または配列番号:8のアミノ酸の軽鎖可変領域ならびに/または本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む配列番号:9もしくは配列番号:10の重鎖可変領域を含むヒト化抗体をも見出した。また本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む配列番号:7のアミノ酸もしくは配列番号:8のアミノ酸の軽鎖可変領域ならびに/または本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む配列番号:31もしくは配列番号:32の重鎖可変領域を含むさらに別のヒト化抗体を提供する。
【0032】
別の態様では本発明は配列番号:9または配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:7または配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体を提供する。本発明のさらに別の態様は配列番号:31または配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7または配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体である結合分子を提供する。
【0033】
別の態様では本発明は:
(VHE/humV2のような)配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
(VHE/humV1のような)配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
(VHQ/humV2のような)配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
(VHQ/humV1のような)配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
(VHEN73D/humV2のような)配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
(VHEN73D/humV1のような)配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
(VHEN73D/humV2のような)配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、または
(VHQN73D/humV1のような)配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
を含むヒト化抗体を提供する。
【0034】
例えば本明細書にて特記する配列、例えばCDR1(配列番号:22)、CDR2(配列番号:23)、CDR3(配列番号:24)、CDR1’(配列番号:19)、CDR2’(配列番号:20)、CDR3’(配列番号:21)の、または配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32の本発明によるポリペプチドは該(ポリ)ペプチド(配列)の直接均等物を含み;例えば該ポリペプチドの機能的誘導体を含む。該機能的誘導体は特記した配列の共有結合性修飾を含んでよく、そして/または該機能的誘導体は特記した配列のアミノ酸配列変種を含んでよい。
【0035】
「ポリペプチド」は、特記しない場合、互いにペプチド結合により連結されたアミノ酸を含み、N末端で始まり、そしてC末端で終わるアミノ酸配列を有する任意のペプチドまたはタンパク質を含む。好ましくは本発明のポリペプチドはモノクローナル抗体であり、さらに好ましくはキメラ(V移植)またはヒト化(CDR移植)モノクローナル抗体である。ヒト化(CDR移植)モノクローナル抗体はさらにアクセプター抗体のフレームワーク(FR)配列に導入された別の変異を含んでも、または含まなくてもよい。好ましくはヒト化またはキメラ抗体は1個しかグリコシル化部位を含まない。最も好ましくは該1個のグリコシル化部位はNグリコシル化部位である。最も好ましくはグリコシル化部位は可変領域に存在せず、そしてなおさらに好ましくはグリコシル化部位は重鎖の可変領域に存在せず、最も好ましくはグリコシル化部位はフレームワーク領域(FR’)に存在しない。
【0036】
本明細書で用いるポリペプチドの機能的誘導体には、本発明のポリペプチドに共通する定性的生物学的活性を有する、すなわちCD45ROおよびCD45RBに結合する能力を有する分子が含まれる。機能的誘導体には本発明によるポリペプチドのフラグメントおよびペプチド類似体が含まれる。フラグメントは本発明による、例えば特記した配列のポリペプチド配列内の領域を含む。「誘導体」なる用語は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドのアミノ酸配列変種、および共有結合性修飾を定義するために用いられる。本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドの機能的誘導体は、本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドのアミノ酸配列と、好ましくは少なくとも約65%、さらに好ましくは少なくとも約75%、なおさらに好ましくは少なくとも約85%、最も好ましくは少なくとも約95%の全体配列相同性を有し、そしてCD45ROおよびCD45RBに結合する能力を実質的に保持している。好ましくは機能的誘導体は少なくとも、配列番号:1のポリペプチドおよび/もしくは配列番号:2のポリペプチドを含む結合分子、配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体、または配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドのヒト化抗体の結合親和性を有する。
【0037】
「共有結合性修飾」は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチド;またはそのフラグメントの有機タンパク質性または非タンパク質性誘導体化剤での修飾、異種性ポリペプチド配列への融合、および翻訳後修飾を含む。例えば特記した配列の共有結合性修飾されたポリペプチドは架橋によりCD45ROおよびCD45RBに依然結合する能力を有している。共有結合性修飾は従来、ターゲティングされたアミノ酸残基を選択された側または末端残基と反応できる有機誘導体化剤と反応させることにより、または選択された組換え宿主細胞で機能する翻訳後修飾の機構を利用することにより導入される。特定の翻訳後修飾は発現されたポリペプチドに及ぼす組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニルおよびアスパラギニル残基はしばしば翻訳後に対応するグルタミルおよびアスパルチル残基に脱アミド化される。これに代えて、これらの残基は穏やかな酸性条件下で脱アミド化される。その他の翻訳後修飾にはプロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリル、チロシンまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニンおよびヒスチジン側鎖のαアミノ基のメチル化が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W. H. Freeman & Co., San Francisco, pp. 79-86 (1983)を参照のこと。共有結合性修飾は例えば本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドおよびそのアミノ酸配列変種を含むイムノアドヒージョンのような融合タンパク質、ならびに異種性シグナル配列へのN末端融合を含む。
【0038】
元来のポリペプチドおよびその機能的誘導体に関する「相同性」は本明細書では、最大相同パーセントを達成するために必要により配列をアラインしそしてギャップを導入した後、対応する元来のポリペプチドの残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして定義され、そして保存置換を配列同一性の一部とは見なさない。NまたはC末端伸張も挿入も同一性または相同性を減じるとは解釈されない。アラインメントに関する方法およびコンピュータープログラムは周知である。「アミノ酸」とは全ての天然に存在するL−α−アミノ酸を意味し、そして例えばD−アミノ酸を含む。アミノ酸は周知である1文字または3文字いずれかの記号表示により識別される。
【0039】
「アミノ酸配列変種」なる用語は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドに比較してアミノ酸配列にいくつかの差異を伴う分子を意味する。本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドのアミノ酸配列変種は依然CD45ROおよびCD45RBに結合する能力を有している。置換変種は、本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドにおいて少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、そして同一の位置でその場に挿入された異なるアミノ酸を有するものである。これらの置換は分子において1個のアミノ酸だけが置換されている単一か、または同一の分子に2個もしくはそれより多いアミノ酸が置換されている多重でよい。挿入変種は、本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドにおいて特定の位置で、あるアミノ酸に直ぐ隣接して挿入された1つまたはそれより多いアミノ酸を有するものである。アミノ酸に直ぐに隣接するとはアミノ酸のα−カルボキシまたはα−アミノ官能基のいずれかに連結されていることを意味する。欠失変種は本発明による、例えば特記した配列のポリペプチドにおいて1つまたはそれより多いアミノ酸が除去されているものである。通常欠失変種は分子の特定の領域で1または2個のアミノ酸が欠失している。
【0040】
CDR1のアミノ酸配列をコードするGGCCAGTCAGAACATTGGCACAAGCATACAGTG(配列番号:25);
CDR2のアミノ酸配列をコードするTTCTTCTGAGTCTATCTCTGG(配列番号:26);
CDR3のアミノ酸配列をコードするACAAAGTAATACCTGGCCATTCACGTT(配列番号:27);
CDR1’のアミノ酸配列をコードするTTATATTATCCACTG(配列番号:28);
CDR2’のアミノ酸配列をコードするTTTTAATCCTTACAATCATGGTACTAAGTACAATGAGAAGTTCAAAGGCAG(配列番号:29);
CDR3’のアミノ酸配列をコードするAGGACCCTATGCCTGGTTTGACACCTG(配列番号:30);
配列番号:1のポリペプチドをコードする配列番号:5、すなわち本発明によるmAbの軽鎖の可変領域;
配列番号:2のポリペプチドをコードする配列番号:6、すなわち本発明によるmAbの重鎖の可変領域;
配列番号:9のポリペプチドをコードする配列番号:11、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;
配列番号:10のポリペプチドをコードする配列番号:12、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;
配列番号:7のポリペプチドをコードする配列番号:13、すなわち本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む軽鎖可変領域;
配列番号:8のポリペプチドをコードする配列番号:14、すなわち本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む軽鎖可変領域;
配列番号:8のポリペプチドをコードする配列番号:33、すなわち本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’を含む軽鎖可変領域;
配列番号:31のポリペプチドをコードする配列番号:34、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;ならびに
配列番号:32のポリペプチドをコードする配列番号:35、すなわち本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3を含む重鎖可変領域;
のポリヌクレオチド配列もまた見出された。
【0041】
別の態様では本発明はCD45RO/RB結合分子をコードする、例えば本発明によるCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、および/または好ましくはおよび、本発明によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチドを提供する;ならびに
配列番号:5のポリヌクレオチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:6のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;ならびに
例えば
配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド、
配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド、
配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド、または
配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド、
をコードする配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;ならびに
【0042】
好ましくは
配列番号:11のポリヌクレオチドおよび配列番号:13のポリヌクレオチド、
配列番号:11のポリヌクレオチドおよび配列番号:14のポリヌクレオチド、
配列番号:12のポリヌクレオチドおよび配列番号:13のポリヌクレオチド、または
配列番号:12のポリヌクレオチドおよび配列番号:14のポリヌクレオチド、
を含む配列番号:11もしくは配列番号:12のポリヌクレオチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:13のポリヌクレオチドもしくは配列番号:14のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;ならびに
【0043】
例えば
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、または
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
をコードする配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または、好ましくはおよび、配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
ならびに
【0044】
配列番号:34もしくは配列番号:35のポリヌクレオチド、および/または、好ましくは配列番号:33;配列番号:14もしくは13のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド;
配列番号:34のポリペプチドおよび配列番号:33のポリペプチド、
配列番号:34のポリペプチドおよび配列番号:14のポリペプチド、
配列番号:34のポリペプチドおよび配列番号:13のポリペプチド、
配列番号:35のポリペプチドおよび配列番号:33のポリペプチド、
配列番号:35のポリペプチドおよび配列番号:14のポリペプチド、または
配列番号:35のポリペプチドおよび配列番号:13のポリペプチド。
【0045】
本明細書にて特記しない場合、「ポリヌクレオチド」は任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドを含み、これは未修飾RNAもしくはDNA、または修飾RNAもしくはDNAでよく、限定するものではないが1本鎖および2本鎖RNAならびに1本鎖および2本鎖領域の混合物であるRNAを含む。
【0046】
本発明によるポリヌクレオチド、例えば各々配列番号:5、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:33、配列番号:34、もしくは配列番号:35のポリヌクレオチドのような、CDR1、CDR2、CDR3、CDR1’、CDR2’、CDR3’または各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドはその対立遺伝子変種および/またはその相補体を含み;例えば各々配列番号:5、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:33、配列番号:34、または配列番号:35のヌクレオチド配列にハイブリダイズするポリヌクレオチドを含み;例えば各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32に少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードし、例えば該ポリペプチドの機能的誘導体、例えば各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32と少なくとも65%の相同性を有する該機能的誘導体を含み、例えば該機能的誘導体は各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32の共有結合性修飾を含み、例えば該機能的誘導体は各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32のアミノ酸配列変種を含み、例えば各々配列番号:5、配列番号:6、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:33、配列番号:34、もしくは配列番号:35は遺伝子コードの冗長(縮重)の結果である配列を含み、各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドをもまたコードするか、または各々配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31もしくは配列番号:32のアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸を伴うポリペプチドをコードする。好ましくは対立遺伝子変種または機能的誘導体は少なくとも、配列番号:1のポリペプチドおよび/もしくは配列番号:2のポリペプチドを含む結合分子、配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体、または配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドのヒト化抗体の結合親和性を有する。
【0047】
例えばキメラまたはヒト化抗体であるCD45RO/RB結合分子を組換えDNA技術により生成することができる。したがって、CD45RO/RB結合分子をコードする1つまたはそれより多いDNA分子を構築し、適切な制御配列下に置き、そして適切なベクターにより発現させるために適当な宿主(生物体)に移すことができる。
【0048】
別の態様では本発明は本発明によるCD45RO/RB結合分子の単一の重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチド;および組換え手段による本発明によるCD45RO/RB結合分子の生成のための本発明によるポリヌクレオチドの使用を提供する。
【0049】
CD45RO/RB結合分子を例えば本明細書にて提供する情報と一緒に、例えば超可変または可変領域のアミノ酸配列およびこれらの領域をコードするポリヌクレオチド配列の知識を用いて従来の方法と同じように得ることができる。可変ドメイン遺伝子を構築する方法は、例えば欧州特許第239400号に記載されており、そして簡単には以下のように要約できる:いかなる特異性があってもmAbの可変領域をコードする遺伝子をクローニングすることができる。フレームワークおよび超可変領域をコードするDNAセグメントを決定し、そして超可変領域をコードするDNAセグメントを除去する。2本鎖合成CDRカセットを本明細書にて特記するようなCDRおよびCDR’配列に従ってDNA合成により調製する。これらのカセットは付着末端を提供するので、これらはヒト起源の望ましいフレームワークの接合部でライゲートできるようになる。1本鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを、例えば従来の方法と同じように調製することができる。このように調製された本発明によるポリヌクレオチドを都合よく適切な発現ベクターに移すことができる。
【0050】
適切な細胞系を例えば従来の方法によるのと同じように見出すことができる。例えば適当な(複数の)プロモーターを含む発現ベクターならびに重鎖および軽鎖定常部分をコードする遺伝子は公知であり、市販により入手可能である。適切な宿主は公知であるか、または例えば従来の方法によるのと同じように見出すことができ、そして細胞培養またはトランスジェニック動物を含む。
【0051】
別の態様では本発明は本発明によるCD45RO/RB結合分子をコードする、例えば配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、配列番号:40または配列番号:41の配列のポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0052】
別の態様では本発明は:
発現系またはその一部が適合する宿主細胞に存在する場合、該発現系またはその一部が本発明によるCD45RO/RB結合分子を生成することができる、本発明によるポリヌクレオチドを含む該発現系;および
前記で定義したような発現系を含む単離された宿主細胞;
を提供する。
【0053】
さらに本発明によるCD45RO/RB結合分子がインビトロMLRにより決定されるように用量依存的な様式で1次同種免疫応答を阻害することを見出した。その結果により本発明によるCD45RO/RB結合分子の存在下で同種活性化されている細胞は同種抗原に対するその応答性を低下させることが示される。これにより、本発明によるCD45RO/RB結合分子はエフェクター同種反応性T細胞に直接作用し、そしてその機能を調節することができることが確認される。加えて、観察された機能効果の特異性を評価するために1次MLRから誘導されたT細胞の機能特性が、特異的刺激細胞または第三者刺激剤を用いて2次MLRにおける再刺激実験においてさらに研究された。2次培養には抗体は加えられなかったが、本発明によるCD45RO/RB結合分子が存在する1次MLRから誘導された細胞は、続く特異的刺激細胞での最適な刺激に応答する能力において低下したことが見出された。阻害の特異性は本発明によるCD45RO/RB結合分子で処理した細胞の無関係の第三者供与体からの刺激細胞に正常に応答する能力により実証された。したがって1次MLR培養から誘導されたT細胞を用いる再刺激実験により、本発明によるCD45RO/RB結合分子で同種活性化された細胞は元来の同種抗原に対して低応答性、すなわち寛容であることが示される。別の生物学的活性を実施例7、および9から13にて記載する。
【0054】
さらに本発明によるCD45RO/RB結合分子で予め処理された細胞における細胞増殖を外因性IL−2により救出することができることが見出された。これにより、本発明によるCD45RO/RB結合分子での同種活性T細胞の処理は寛容の状態を誘起することが示される。実際に、本発明によるCD45RO/RB結合分子で処理された細胞において観察された増殖応答性の低減はT細胞機能の低下によるものであり、そしてこれらの細胞は外因性IL−2に応答することができたが、これはこれらの細胞がアネルギー性の、真の不応答状態にあることを示している。この応答の特異性は、本発明によるCD45RO/RB結合分子で処理した細胞が無関係の供与体細胞をコントロール処理細胞のレベルまで正常に増殖させる能力により示された。
【0055】
加えて、実験により本発明によるCD45RO/RB結合分子のCD45ROおよびCD45RBへの結合は免疫された提供者からの末梢血単核球(PBMC)の特異的リコール抗原に対する記憶応答を阻害し得ることが示される。本発明によるCD45RO/RB結合分子のCD45ROおよびCD45RBへの結合はまた可溶性抗原に対する記憶応答をも阻害する。本発明によるCD45RO/RB結合分子の、免疫された提供者からのPBMCにおける破傷風に対するリコール応答を阻害する能力により、本発明によるCD45RO/RB結合分子が記憶T細胞の活性化をターゲティングおよび調節できることが示される。例えばこれらのデータにより、本発明によるCD45RO/RB結合分子は、同種反応性のおよび活性化されたT細胞を認識することに加えて、その機能を調節することができ、結果的にT細胞アネルギーの誘導に至ることが示される。この特性は自己抗原およびアレルゲンに対する、そして恐らく自己免疫疾患、アレルギーおよび慢性拒絶で認められるような同種抗原に対する進行中の免疫応答、ならびに記憶応答が疾病状態の維持において役割を果たす乾癬、炎症性腸疾患のような疾患の処置に重要であろう。自己抗原に対する記憶応答が疾患の維持に関して主要な役割を果たし得る自己免疫疾患におけるような疾患の状況において重要な特徴であると考えられている。
【0056】
本発明によるCD45RO/RB結合分子がインビボで混合リンパ球培養反応(MLR)におけるT細胞増殖応答を調節し得ることもまた見出された、すなわち本発明によるCD45RO/RB結合分子は例えば致死的な異種移植片対宿主病(GvHD)の防御またはSCIDマウスモデルにおけるヒト同種移植片皮膚拒絶を媒介する炎症過程の抑制、またはhu−PBL−NOD/SCIDマウスモデルにおけるヒト島同種移植片生存の延長のようなインビボ試験における対応する阻害特性を有することが見出された。
【0057】
したがって本発明によるCD45RO/RB結合分子は免疫抑制性および寛容原性特性を有し得て、そして同種抗原、自己抗原、アレルゲンおよび細菌叢抗原に対するインビボおよびエキソビボ寛容誘導に有用であり得て、例えば本発明によるCD45RO/RB結合分子は、例えば限定するものではないが、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、自己免疫性甲状腺炎、グレーブス病、I型およびII型糖尿病、多発性硬化症、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、自己免疫性胃炎、糸球体腎炎、限定するものではないが、例えば心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚もしくは角膜移植の受体の処置のための、器官および組織同種移植片および異種移植片拒絶のような移植片拒絶、骨髄移植の後のような移植片対宿主病(GVHD)、および/もしくは膵臓島細胞移植片拒絶のような自己免疫疾患を含み、ならびに/または乾癬、アレルギー性接触性皮膚炎を含むアトピー性および接触性皮膚炎のような皮膚炎、炎症性腸疾患および/もしくはアレルギー性喘息を含むアレルギーもまた含む疾患の処置および予防に有用であり得る。
別の態様では本発明は、本発明によるCD45RO/RB結合分子の、例えば自己免疫疾患、移植片拒絶、例えば膵臓島移植片拒絶または移植片対宿主病(GVHD)、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーの処置および予防における薬剤としての使用を提供する。
【0058】
別の態様では本発明は、自己免疫疾患、移植片拒絶、例えば膵臓島移植片拒絶または移植片対宿主病(GVHD)、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および予防における医薬品の生成のための本発明によるCD45RO/RB結合分子を提供する。
【0059】
別の態様では本発明は、かかる処置および/または予防を必要とする対象に有効量の本発明によるCD45RO/RB結合分子を例えば本発明による医薬組成物の形態で投与することを含む、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および予防の方法を提供する。
【0060】
本発明の1つの実施態様は、かかる処置および/または予防を必要とする対象に有効量の本発明による分子またはヒト化抗体を投与することを含む、島細胞移植片拒絶に関連する疾患、例えば島細胞移植片拒絶の処置および/または予防の方法を提供する。
【0061】
好ましい実施態様では、薬剤として使用するための、医薬品を製造するための、または自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および/または予防の方法における該CD45RO/RB結合分子は配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含む。好ましくはCD45RO/RB結合分子は配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチドを含む。
【0062】
CD45RO/RB結合分子の「有効量」は、直接的または間接的のいずれかで、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーの結果である1つまたはそれより多い徴候を低減させる、これらを患うものの生活の質を高める、かかる疾患を処置するのに必要なその他の薬物療法の用量を減少させる、別の薬物療法の効果を増強する、疾患の進行を遅延させる、および/または患者の生存を延長するような臨床結果を含む有益なまたは望ましい結果を起こすのに十分な量である。
【0063】
有効量を1回またはそれより多い投与で投与することができ、そして別の薬物、化合物または医薬組成物と併用して達成してもしなくてもよい。したがって、「有効量」を、1つまたはそれより多い治療薬を投与する局面で考えることができ、そして1つまたはそれより多いその他の薬剤と併用して望ましい結果を達成し得るかまたは達成する場合、単一の薬剤を有効量で与えると考えることができる。
【0064】
さらに例えば自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置または予防のために本発明のCD45RO/RB結合分子を単独で活性な成分として、または免疫調節投薬計画におけるその他の薬物またはその他の抗炎症剤と一緒に投与できることも提供される。例えば本発明のCD45RO/RB結合分子をカルシニューリン阻害剤、例えばシクロスポリンA、シクロスポリンG、FK−506、ABT−281、ASM981;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン、CCI779、ABT578、AP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス−7もしくはバイオリムス−9;副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプリン;メソトレキセート;S1P受容体アゴニスト、例えばFTY720もしくはその類似体;レフルノミドもしくはその類似体;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンもしくはその類似体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体、例えばMHC、CD2、CDS、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBもしくはそのリガンド、例えばCD154に対するモノクローナル抗体;またはその他の免疫調節化合物、例えばCTLA4もしくはその変異体の細胞外ドメインの少なくとも一部を有する組換え結合分子、例えばCTLA4の少なくとも細胞外部分もしくは非CTLA4タンパク質配列に連結されたその変異体、例えばCTLA4lg(例えばATCC68629に指定されている)もしくはその変異体、例えばLEA29Y、もしくはその他の付着分子阻害剤、例えばmAbもしくはLFA−1アンタゴニストを含む低分子量阻害剤、セレクチンアンタゴニストおよびVLA−4アンタゴニストと組み合わせて用いることができる。
【0065】
単独のまたは他の薬物、化合物もしくは医薬組成物と併用した有効量の本発明のCD45RO/RB結合分子を、注射を含む任意の従来の経路により、または時間をかけた漸次注入により投与することができる。投与は例えば経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、局所または経皮でよい。「同時投与」とは、経口投与時に例えば双方の化合物が同時に消化管に存在するように、一緒にまたは実質的に同時に、同一のベヒクルまたは別個のベヒクルのいずれかでの本発明の組成物の成分の投与を意味する。好ましくは化合物を固定された組み合わせで投与する。
【0066】
別の態様では本発明は少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤に随伴される本発明によるCD45RO/RB結合分子を含む医薬組成物を提供する。
本明細書で用いる「薬学的に許容される担体または希釈剤」なる用語は、ヒトを含む哺乳動物への投与に適当な1つまたはそれより多い適合した固体または液体充填剤、希釈剤、または封入物質を意味する。
【0067】
「担体」なる用語は、適用を促すために活性成分と組み合わせる、天然または合成の有機または無機成分を意味する。
「薬学的に許容される」なる用語は、活性成分の生物学的活性の有効性と干渉しない無毒の材料を意味する。かかる製剤は通常薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合する担体、アジュバントおよびサイトカインのような免疫補助増強剤、ならびに場合によっては化学療法剤のようなその他の治療薬を含有する。
【0068】
医薬品を用いる場合、塩は薬学的に許容されるべきであるが、薬学的に許容されない塩を都合よく用いてその薬学的に許容される塩を調製することができ、そして本発明の範囲から排除されない。
医薬組成物は:酢酸の塩;クエン酸の塩;ホウ酸の塩;およびリン酸の塩を含む適当な緩衝剤を含有することができる。
医薬組成物はまた場合によっては:塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサールのような適当な保存剤を含有することもできる。
【0069】
対象に投与されるポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードする核酸の用量を種々のパラメーターに従って、とりわけ用いる投与の様式および対象の状態に従って選択することができる。その他の因子には望ましい処置期間が挙げられる。対象における応答が適用された最初の用量で不十分である場合には、患者の寛容が許容される程度まで高用量(または異なる、さらに局所化された分配経路による効果的な高量)を用いることができる。
【0070】
医薬組成物を単位投与形態で都合よく提示することができ、そして薬学の分野で周知のいずれかの方法により調製することができる。全ての方法は、1つまたはそれより多い副成分を構成する担体に活性薬剤を随伴させる工程を含む。一般に、液体担体、微細に分割された固体担体、または双方に活性化合物を均一におよび十分に随伴させ、そして次に必要により生成物を成形することにより組成物を調製する。
【0071】
経口投与に適当な組成物を、各々予め決定された量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、トローチ剤のような個々の単位として提示することができる。その他の組成物には水性液体またはシロップ、エリキシルまたはエマルジョンのような非水性液体の懸濁液が挙げられる。
【0072】
非経口投与に適当な組成物はポリペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸の滅菌水性または非水性調製物を含むのが都合よく、これは受体の血液と等張であるのが好ましい。適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の方法に従ってこの製剤を処方することができる。滅菌注射用製剤はまた、無毒の非経口用に許容される希釈剤または溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール溶液として、滅菌注射用溶液または懸濁液でよい。許容されるベヒクルおよび溶媒のうち、水、リンガー溶液、および等張塩化ナトリウム溶液を用いてよい。加えて、滅菌不揮発性油を溶媒または懸濁溶媒として用いるのが都合よい。この目的のために合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油を用いることができる。加えて、オレイン酸のような脂肪酸を注射用の製剤に用いることができる。経口、皮下、静脈内、筋肉内等の投与に適当な担体処方をRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA.に見出すことができる。
【0073】
医薬組成物はさらに例えば活性な成分、限定するものではないが、例えば前記したような抗ICOS、抗CD154、抗CD134Lのようなその他の免疫調節抗体、または限定するものではないがrCTLA−4(CD152)、rOX40(CD134)のような組換えタンパク質、または限定するものではないがシクロスポリンA、FTY720、RAD、ラパマイシン、FK506、15−デオキシスペルグアリン、ステロイドのような抗炎症剤もしくは免疫調節化合物を含み得る。かかる医薬組成物は使用のための指示書、場合によっては成分化合物の投与のコンプライアンスを促すためのさらなる手段、例えばラベルまたは図面を伴って、本発明によるCD45RO/RB結合分子ならびに別個の単位投与形態の免疫調節薬および/または抗炎症剤を含むことができ、ここで好ましくは単位投与形態は相乗効果量の成分化合物の投与に適当である。本発明の組成物を自由な組み合わせとして投与できるか、または固定された組み合わせに処方することができる。化合物の絶対投与量を多くの因子、例えば個体、投与経路、望ましい期間、活性物質の放出速度、ならびに処置される状態の特性および重篤度に依存して変える。
【0074】
単独でまたはその他の薬物と組み合わせて本発明のCD45RO/RB結合分子で処置される前記で概要を示したような疾患には、限定するものではないが、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、自己免疫性甲状腺炎、グレーブス病、I型およびII型糖尿病、多発性硬化症、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、自己免疫性胃炎、糸球体腎炎を含む自己免疫疾患;限定するものではないが、例えば心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚もしくは角膜移植の受体の処置のための器官および組織同種移植片および異種移植片拒絶を含む移植片拒絶、骨髄移植の後のような移植片対宿主病(GVHD)、および/もしくは膵臓島細胞移植片拒絶;乾癬;アレルギー性接触性皮膚炎を含むアトピー性および接触性皮膚炎のような皮膚炎;炎症性腸疾患ならびに/またはアレルギー性喘息を含むアレルギーが挙げられる。
【0075】
(実施例)
以下の実施例を参照することにより本発明はさらに十分に理解されよう。しかしながらこれらは本発明の範囲を限定するとして解釈すべきではない。以下の実施例では全ての温度はセルシウス度である。
「候補mAb」または「キメラ抗体」は、配列番号:3の軽鎖および配列番号:4の重鎖を含む本発明によるCD45RO/RB結合分子である。
【0076】
「ヒト化抗体」は配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド(VHE/humV1、VHE/VL1またはVHE/VLh)、配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド(VHQ/humV1、VHQ/VL1またはVHQ/VLh);配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:9のポリペプチド(VHE/humV2、VHE/VL2またはVHE/VLm);配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:10のポリペプチド(VHQ/humV2、VHQ/VL2またはVHQ/VLm);配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:31のポリペプチド(VHEN73D/humV1、VHEN73D/VL1またはVHEN73D/VLh);配列番号:8のポリペプチドおよび配列番号:32のポリペプチド(VHQN73D/humV1、VHQN73D/VL1またはVHQN73D/VLh);配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:31のポリペプチド(VHEN73D/humV2、VHEN73D/VL2またはVHEN73D/VLm);または配列番号:7のポリペプチドおよび配列番号:32のポリペプチド(VHQN73D/humV2、VHQN73D/VL2またはVHEN73D/VLm)を含む本発明によるCD45RO/RB結合分子である。
【0077】
以下の略語を用いる:
APC 抗原提示細胞
CEX 陽イオン交換クロマトグラフィー
c.p.m. 分あたりのカウント数
dhfr ジヒドロ葉酸リダクターゼ
EDTA エチレンジニトリロ四酢酸
ELISA 酵素結合免疫吸着測定法
ESI−Q−TOF エレクトロスプレーイオン化四重極飛行時間型
FACS 蛍光活性化細胞分類
Fc 結晶化可能フラグメント
F(ab’)2 抗原結合性フラグメント;2価
FITC フルオレセインイソチオシアナート
FBS ウシ胎仔血清
GVHD 移植片対宿主病
HCMV ヒトサイトメガロウイルスプロモーター
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IFN−γ インターフェロンガンマ
IgE 免疫グロブリンアイソタイプE
IgG 免疫グロブリンアイソタイプG
IL−2 インターロイキン−2
IU 国際単位
MALDI−TOF マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型
MLR 混合リンパ球培養反応
MLC 混合リンパ球培養
MP1 ヘモフィラス・インフルエンザ由来のマトリックスプロテイン1
MTX メソトレキセート
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PBL 末梢血白血球
PBMC 末梢血単核球
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RP 逆相クロマトグラフィー
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
SCID 重症複合免疫不全
Treg T調節細胞
xGVHD 異種移植片対宿主病
【0078】
実施例1:1次混合リンパ球培養反応(MLR)
細胞
血液試料を健常ヒト提供者から入手する。Ficoll-Hypaque (Pharmacia LKB)上で遠心することにより全末梢血、白血球搬出またはバフィーコートからの白血球から公知の血液型であるが未知のHLA型である末梢血単核球(PBMC)を単離する。MLR実験では40Gy照射の後、PBMCを刺激細胞として直接用いることもある。CD2またはCD3 Dynabeads (Dynal, Oslo, Norway)を用いることによりT細胞をPBMCから枯渇させる実験もある。ビーズおよび夾雑する細胞を磁場により除去する。照射の後、T細胞枯渇PBMCを刺激細胞として用いる。
【0079】
PBMC、CD3+T細胞またはCD4+T細胞をMLRにおける応答細胞として用いる。異なる提供者からの細胞を刺激細胞に対して調製する。抗CD16 mAb(Zymed, CA)、ヤギ抗マウスIgG Dynabeads、抗CD14 Dynabeads、CD19 Dynabeadsを用いてCD3+T細胞を陰性選択により精製する。加えて、抗CD8 Dynabeadsを用いてCD4+T細胞を精製する。FACScanまたはFACSCalibur (Becton Dickinson & Co., CA)により得られた細胞を分析し、そして得られた細胞の純度は>75%であった。10%熱不活性化FBS、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補充したRPMI1640培地に細胞を懸濁する。
【0080】
試薬
キメラ抗CD45R0/RB mAb「候補mAb」およびアイソタイプ対応コントロールキメラ抗体をも作成する。KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)または組換えヒトIL−10に特異的なマウス(ヒト)コントロールIgG1抗体をBD Pharmingen (San Diego, CA)から購入する。抗ヒトCD154 mAb 5c8はLederman et al 1992による。
【0081】
1次混合リンパ球培養反応(MLR)
96ウェル培養プレート(Costar, Cambridge, MA)の各ウェル中、示したmABの存在下またはAbの不在下で1×105個のPBMCまたは5×104個のCD3+もしくはCD4+細胞のアリコートを1×105個の照射PBMCまたは5×104個のT細胞枯渇照射(50Gy)PBMCと混合する。最適な標的CD45分子のインビトロ架橋を確実にするために、候補mAbに加えてFc部分に特異的なヤギ抗マウスIgまたはヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメント(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)を10μg/mlで加える実験もある。混合した細胞を5% CO2中37℃で4または5日間培養し、そして最後の16から20時間の培養の間3H−チミジンと共に細胞をパルスすることにより増殖を決定する。前記したものに類似するが、以下:1)用いる培地は10% FBSおよび1% ヒト血漿を含有するEX−VIVO(Bio-Whittaker)を用いる;2)2次架橋工程として抗マウス全IgG(5μg/ml)を用いる;3)刺激細胞の照射は60Gyである;は例外である実験もある。
【0082】
「候補mAb」またはコントロールキメラIgG1(10μg/ml)の存在下、双方共に2次工程試薬、Fc部分に特異的なヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメント(10μg/ml)を用いて1次MLRを実施する。「候補mAb」による阻害パーセンテージをコントロールIgG1の存在下の細胞増殖と比較して算出する。結果を以下の表1に示す:
【0083】
【表1】
*コントロール値とは有意に異なる(P<0.001)
【0084】
表1で示し得るように本発明による候補mAbは1次MLRを阻害する。平均阻害効果は4つの異なる提供者由来のCD4+T細胞で60.83±6.83%であり、そして統計的に有意である。
「候補mAb」による1次MLRの阻害は図1に示されるように「候補mAb」の0.001および10μgの範囲で用量依存的であることが示される。
【0085】
「候補mAb」による1次MLRの阻害に関するIC50は応答細胞として1提供者PBMCを用いる3つの別個のMLR実験の結果から決定される。したがって、#229および#219提供者からの応答CD4+T細胞および刺激剤としてT細胞を枯渇した照射PBMCを「候補mAb」またはコントロールキメラAbの存在下で10μg/mlのヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメントと混合する。実験を3回繰り返し、そしてコントロールAbの存在下のT細胞増殖と比較して、「候補mAb」の存在下の増殖のパーセンテージを算出する。Origin(V. 6.0(登録商標))を用いてIC50値を決定する。細胞活性IC50値は、算出して0.87±0.35nM(0.13±0.052μg/ml)になる。
【0086】
実施例2:2次MLR
「候補mAb」がCD4+T細胞の特異的同種抗原に対する非応答性を誘起するかどうかを評価するために、1次MLCの後に抗体を何ら存在させないで2次MLRを実施する。96ウェル培養プレート中示した抗体の存在下で10日間CD4+T細胞を照射した同種刺激細胞(T細胞枯渇PBMC)と共に培養する(1次MLC)。次いで細胞を収集し、Ficoll-Hypaqueグラジエント上に積層して死細胞を除去し、RPMIで2回洗浄し、そして同一の刺激剤、第三者刺激細胞またはIL−2(50U/ml)で再刺激する。細胞を3日間培養し、そして3H−チミジンで最後の16から20時間の培養の間細胞をパルスすることにより増殖性応答を決定する。
【0087】
具体的には、10μg/ml「候補mAb」、コントロールIgG1キメラAbおよびヤギ抗ヒトIgのF(ab’)2フラグメントの存在下でCD4+T細胞を照射した同種刺激細胞(別の提供者から採取したT細胞枯渇PBMC)と共に培養する。1次MLR増殖を5日に決定する。2次MLRのために応答および刺激細胞を「候補mAb」の存在下10日間培養し、次いで細胞を収集し、RPMI1640で2回洗浄し、そして抗体を何ら存在させないで特異的刺激剤、第三者刺激剤またはIL−2(50U/ml)で再刺激する。細胞増殖を3日に決定する。結果を表2に示す:
【0088】
【表2】
*コントロール値とは有意に異なる(p=<0.001、t検定により決定、SigmaStat V.2.03)。#p=<0.046
【0089】
低下した増殖が「候補mAb」との処理の結果としての非応答性によるのかどうかを検定するために、1次MLRから誘導された細胞をIL−2(50U/ml)の存在下で培養する。IL−2の添加の結果、1次MLRにおいて「候補mAb」で処理されたT細胞の増殖応答はIgG1コントロールAbにおいて観察されたものに類似するレベルまで救出される。これらのデータにより、「候補mAb」で処理されたT細胞における2次応答の低下は、特異的刺激細胞に対して非応答性になる応答T細胞の機能的変化によるものであることが示される。
【0090】
阻害パーセンテージを以下の式に従って算出する:
【数1】
SigmaStat (Vers. 2.03)を用いて統計分析を実施する。
二元配置分散分析(two-way ANOVA)に続いてDunnett法によりデータを分析する。全ての検定手順で確率<0.05を有意と考える。t検定を用いる実験もある(SigmaStat V.2.03)。
【0091】
実施例3:SCIDマウスにおけるインビボ生存試験
SLIDマウスにおけるhu−PBLの生着
SCIDマウスC.B17/GbmsTac-Prkdcscid Lystbgマウス(Taconic, Germantown, NY)に、ヒト末梢血単核球(PMBC)を細胞移入から4週以内に>90%のマウスに致死的な異種移植片対宿主病(xGvHD)を誘起するに十分な量で腹腔内注射する。かかる処置をされたSCIDマウスを以後hu−PBL−SCIDマウスと称する。
【0092】
hu−PBL−SCIDマウスのMab処置
0日、PBMC注射後すぐ、3日、7日およびその後毎週の間隔でhu−PBL−SCIDマウスを「候補mAb」またはマウスもしくはキメラアイソタイプ対応mAbコントロールで処置する。MabをPBS100μl中最終濃度5mg/kg体重で皮下に分配する。全てのコントロールマウスが死亡したときに処置を停止した。
【0093】
処置結果の評価
この試験で「候補mAb」の効果を評価するための主要な基準はhu−PBL−SCIDマウスの生存であった。Systat v9.01ソフトウェアの助けを借りて、ログランク検定(Mantel法)を用いる生存分析の統計学的方法により結果の有意性を評価する。生存分析の方法はノンパラメトリック検定であり、これは特定のマウスが依然生存しているかどうかを考慮するのみならず、その器官/細胞でのインビトロ分析の実施の要求のような処置/疾患に関係のない理由のために屠殺されたかどうかもまた考慮する。さらに評価するために肝臓、肺、腎臓および脾臓の生検を死亡したマウスから入手する。加えて、健康状態を間接的に推定するのにhu−PBL−SCIDマウスの重量測定を最初(細胞移植の前)および実験期間中(2日毎)に行う。各マウスから得られた体重対PBMC移入後日数の値を用いて線形回帰線を作成し、そして続いてノンパラメトリックMann-Whitney検定を用いてその勾配(コントロール対抗CD45処置マウス)を比較した。
【0094】
結果
マウスmAbコントロールで処置した全てのhu−PBL−SCIDマウスは肺、肝臓および脾臓でヒト白血球の浸潤があり、そして細胞移入後約2から3週以内に死亡した(4/4)。死亡はおそらくxGvHDの結果である。コントロールmAb処置マウスはさらに直線的な様式で3週以内に約10%以上体重が減少した。
【0095】
「候補mAb」で処置した全てのhu−PBL−SCIDマウスは、3週後に「候補mAb」処置を停止しても、何ら疾患の明白な徴候もなく4週以上生存した(4/4)。「候補mAb」処置マウスは直線的な様式で4週以内に約5%まで体重が増加した。
【0096】
実施例4:本発明の抗体の発現
配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:31または配列番号:32を含むヒト化抗体の発現
各々ヒト化軽鎖可変領域humV1(配列番号:8;図4および6)、ヒト化軽鎖可変領域humV2(配列番号:7;図5および7)、ヒト化重鎖可変領域VHE(配列番号:9;図3および10)、またはヒト化重鎖可変領域VHQ(配列番号:10;図2および11)、ヒト化重鎖可変領域VHE−N73D(配列番号:31;図8)、またはヒト化重鎖可変領域VHQ−N73D(配列番号:32;図9)のアミノ酸配列をコードする対応するヌクレオチドを含む図2から11に示すプラスミドマップによる発現ベクターを構築する。これらの発現ベクターは配列番号:15および配列番号:41(VHQ)、配列番号:16および配列番号:40(VHE)、配列番号:17および配列番号:36(humV1)、配列番号:18および配列番号:39(humV2)、または配列番号:37(VHE−N73D)および配列番号:38(VHQ−N73D)のDNA(ヌクレオチド)配列を有する。
【0097】
COS細胞における発現のためのヒト化抗体重鎖および軽鎖発現ベクターの構築
バージョンVLhおよびVLmのためのヒトカッパ軽鎖発現ベクター
ヒトカッパアイソタイプの完全ヒト化軽鎖をコードする最終発現ベクターを構築するために、HindIIIおよびBglIIを用いて完全軽鎖可変領域(VLhおよびVLm)をコードするDNAフラグメントをVLhおよびVLm含有PCRスクリプトクローニングベクター(Stratagene)(VLm領域)から切り取った。ゲル精製したフラグメントを、ヒト化抗IgE抗体TESC−21(Kolbinger et al 1993)の構築の間に創られ、そして元はM. Bendig(MRC Collaborative Centre, London, UK)(Maeda et al. 1991)から入手したC21−HCMVカッパ発現ベクターのHindIIIおよびBamHI部位にサブクローニングした。フェノール/クロロホルム抽出によりライゲーション生成物を精製し、そしてエレクトロポレーションコンピテントEpicurian Coli(登録商標) XL1-Blue 株(カタログ番号200228、Stratagene)にエレクトロポレートした。LB/amp寒天平板に37℃で一晩蒔いた後、各12コロニーを取り、BioRobot 9600(Qiagen)を用いて3ml培養物からプラスミドDNAを調製した。これは図でさらに記載するように、ヒト化抗体バージョンVLhおよびVLm各々のための軽鎖発現ベクターを生じた。
【0098】
VHQのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
VHQ発現ベクターの構築のために、段階的アプローチを採用した。最初にVHQの完全な可変領域をKolbinger et al 1993(Protein Eng. 1993 Nov; 6(8):971-80)に記載されるような方法によってPCRにより組み立て、そして同一の酵素を用いてC21インサートが除去されているC21−HCMV−ガンマ−1発現にサブクローニングした。完全可変領域を含有するPCRスクリプトクローニングVHQのHindIII/BamHIフラグメントを次いで同一の酵素で切断した発現ベクターC21−HCMV−ガンマ−1にサブクローニングした。これはヒト化抗体バージョンVHQのための最終発現ベクターを生じた。
【0099】
VHEのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
ヒト化抗IgE抗体TESC−21の構築の間に創られた(Kolbinger et al. 1993)、およびまた元はM. Bendig (MRC Collaborative Centre, London, UK) (Maeda et al. 1991)から入手したC21−HCMV−ガンマ−1発現ベクターのHindIIIおよびBamHI部位に、種々の領域をコードするHindIIIおよびBamHI制限PCRフラグメントを直接ライゲートすることによりヒトガンマ−1アイソタイプの完全なヒト化重鎖をコードする最終VHE発現ベクターの構築を達成した。
【0100】
COS細胞における一過性発現
SuperFect(商標)トランスフェクション試薬(カタログ番号301305、Qiagen)を用いて以下のトランスフェクションプロトコルを150mm細胞培養皿中の付着COS細胞に適合させる。前記で記載した4つの異なる発現ベクターを細胞の一過性トランスフェクションに用いる。ヒト化抗体の発現のために、重鎖インサートを含有する2つのクローンの各々(各々VHEまたはVHQ)を、軽鎖をコードする2つのクローンの各々(各々humV1またはhumV2)と共に、重鎖および軽鎖発現ベクターの全部で4つの異なる組み合わせ(VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2)を細胞に同時トランスフェクトする。トランスフェクションの前に、アンピシリンの耐性遺伝子をコードする領域で切断する制限エンドヌクレアーゼPvuIでプラスミドを直線化する。トランスフェクションの前日に、新鮮培養培地30ml中4×106COS細胞を150mm細胞培養皿に加える。この細胞密度での播種は一般に24時間後に80%細胞集密度を生じた。トランスフェクションの日に直線化した重鎖および軽鎖DNA発現ベクターの4つの異なる組み合わせ(各15μg)を血清および抗生物質を含まない新鮮培地全容量900μlに希釈する。次いでSuperFectトランスフェクション試薬180μlをDNA溶液と完全に混合する。DNA混合物を室温で10分間インキュベートして複合体を形成させる。複合体形成を生じる間、成長培地をCOS細胞培養から除去し、そして細胞をPBSで1回洗浄する。次に新鮮培養培地9ml(10%FBSおよび抗生物質を含有する)をトランスフェクション複合体が入った各反応チューブに加え、そして十分に混合する。最終調製物を即座に4つの培養物の各々に移してトランスフェクトさせ、そして穏やかに混合する。次いで細胞培養物をDNA複合体と共に37℃および5%CO2で3時間インキュベートする。インキュベーションの後、トランスフェクション複合体を含有する培地を除去し、そして新鮮培養培地30mlで置換する。トランスフェクション後48時間に培養上澄を収集する。
【0101】
培養上澄の濃度
ELISAおよびFACS分析のために、重鎖および軽鎖プラスミドでトランスフェクトされたCOS細胞から収集した培養上澄を以下のように濃縮する。Centriprep YM-50遠心分離器フィルター装置(カタログ番号4310、Millipore)に製造者により記載されるように各上澄10mlを加える。Centriprepフィルターを室温で3000rpmで10分間遠心する。次いで5分間のみの遠心を用い、そして濃度の漸進的変化を監視して、再度残りの上澄20mlで遠心工程を繰り返す。濃縮した上澄の中間体500μlを回収し、新しいMicrocon遠心分離器フィルター装置(カタログ番号42412、Microcon)に移し、そして以下の製造者のプロトコルに従ってさらに濃縮する。室温で3000rpmで24分間を4回、6000rpmで10分間を1回、そして次に5分間を3回、濃縮した上澄を遠心し、いつも濃度の漸進的変化を監視する。達成した濃縮条件培地の最終容量は100から120μlであり、元の培養培地の250から300倍の濃度に相当し、そして用時まで4℃で保存する。比較およびコントロールのためにトランスフェクトしていない細胞からの培養培地を前記したのと同一の遠心プロトコルを用いて同様に濃縮する。
【0102】
ヒト化抗CD45RO/RB抗体を分泌する安定したSp2/0骨髄腫トランスフェクタントの作成
マウス骨髄腫細胞系Sp2/0(ATCC、CRL−1581)を前記したCD45RO/RB結合ヒト化抗体の重鎖(VHEまたはVHQ)および軽鎖(humV1またはhumV2)をコードするCHO発現ベクターと共にエレクトロポレートする。重鎖および軽鎖発現ベクターの4つの異なる組み合わせ(VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2)を以下のプロトコルに従ってトランスフェクションに用いる:エレクトロポレーションキュベット(0.4cmギャップ)中で各プラスミドのスーパーコイルDNA20μgをDMEM/10% FCS培養培地に懸濁した8×106個の生存Sp2/0細胞と混合する。BioRad GenePulser装置を用いるエレクトロポレーションの設定は1500V、25μFである。エレクトロポレーションの後、細胞を培養培地(10% FCS、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補充したDEME)中20時間培養する。2日に選択薬物G418(カタログ番号10131−019、Gibco)を最終濃度1mg活性薬物/mlまで加え、そして細胞を各ウェル200μlの96ウェルプレートにウェルあたり約105セルで分配する。10から15日後、G418生存クローンをG418含有培地に広げる。コーティング抗体ヤギ抗ヒトIgG/Fc(カタログ番号109−005−098、Jackson Labs)およびヒトカッパ軽鎖に対するペルオキシダーゼ結合抗体(カタログ番号A−7164、Sigma)を用いて、これらのトランスフェクタントからのヒト化mAbの分泌をELISAにより評価する。再度ELISAを用いて、このアッセイで正のスコアであったトランスフェクタントを細胞あたり日あたりで生産性を比較するために選択する(以下を参照)。ウェルあたり1セルの播種密度を用いて、限界希釈により即座にサブクローニングするために各トランスフェクタントのもっともよいクローンを選択する。G418生存サブクローンの生産性を再度前記したように決定する。培養容量が150mlに到達するまでサブクローンをG418含有選択培地に広げ、この段階でローラボトルに供給することになっているフラスコ中、G418を含まないで培養を続ける。
【0103】
最初のトランスフェクションおよび選択の後、安定したトランスフェクタントはVHE/humV1に関して20.8%、VHQ/humV1に関して11.5%、VHE/humV2に関して18.8%、およびVHQ/humV2に関して7.3%の頻度で96ウェルプレートから生じる。2ラウンドのサブクローニングの後、最良の2個の生産体はVHE/humV1に関してはクローン1.33.25(3.87pg/セル/日)およびクローン1.33.26(3.43pg/セル/日)、そしてVHQ/humV1に関してはクローン12.1.4(1.19pg/セル/日)およびクローン12.1.20(1.05pg/セル/日)である。VHE/humV1およびVHQ/humV1に関する安定したSp2/0トランスフェクタントを続いて抗体生成および精製のために拡大する。
【0104】
固定された抗ヒトIgGFcマトリックスおよびサイズ排除クロマトグラフィーを用いるアフィニティークロマトグラフィーの組み合わせにより、10%FCSを含有する安定してトランスフェクトされたSp2/0骨髄腫細胞系の上澄から抗体を精製する。必要によりActiclean Etoxカラム(Sterogene Bioseparations)を用いてエンドトキシンを除去する。
【0105】
Sp2/0細胞における発現のためのヒト化抗体重鎖および軽鎖発現ベクターの構築
バージョンVLhおよびVLmのためのヒトカッパ軽鎖発現ベクター:
humV1(=VL1)またはhumV2(=VL2)cDNAをPCRにより各々CHO発現プラスミド配列番号:17または配列番号:18から、プライマーHuCD45LC−Mlu(5’−AAAACGCGTTGTGACATTCTGCTGACCCAGTCT−3’;配列番号:42)およびHuCD45LC−Hind(5’−AAAAAAGCTTGGTCCCCTGGCCGAACGTGAA−3’;配列番号:43)を用いて増幅する。321bpのPCRフラグメント各々をMluIおよびHindIIIで消化し、そして同一の酵素で消化した軽鎖発現ベクターchA6HCk.dhfrに直接ライゲートする。得られたプラスミドを各々LCVL1Sp20(配列番号:36;図6)およびLCVL2Sp20(配列番号:39;図7)と称する。次にLCVL1Sp20をSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1、VHQ/humV1またはVHE−N73D/humV1の発現に用い;次にLCVL2Sp20をSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV2、VHQ/humV2またはVHE−N73D/humV2の発現に用いることができる。
【0106】
VHQおよびVHEのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
2つのヒト化VH cDNA領域をPCRにより各々組換えプラスミドHCMV−G1 HuA6−VHE(配列番号:16;図3)およびHCMV−G1 HuA6−VHQ(配列番号:15;図2)からPCRプライマーHuCD45HCEup(5’−CAGGCAGAGGTGCAGCTGGTGGAGTCA−3’;配列番号:44)またはHuCD45HCQup(5’−CAGGCACAGGTGCAGCTGGTGGAGTCA−3’;配列番号:45)およびHuCD45HClo(5’−AAATCCTTCTAGAACTCACCTGAGGAGAC−3’;配列番号:46)を用いて増幅する。PCRフラグメントの3’末端をBstEIIで消化した。次いで各PCRフラグメントをBstEIIおよび平滑末端カッターHincIIで切断した重鎖カセットベクターHCcassREALにクローン化する。得られたプラスミドは最終発現ベクター構築物への中間体であり、そして各々HCcassHVESP20およびHCcassHVQSP20と称される。このサブクローニングはまた元来のベクターのVH領域の双方に随伴されているリーダー配列を変化させる。古いリーダー配列のアミノ酸配列はMDWTWRVFCLLAVVAPGAHS(配列番号:47)であるが、これはサブクローニングの間にMAWVWTLPFLMAAAQSVQA(配列番号:48)と置き換えられている。
【0107】
中間体HCcassVHESP20またはHCcassVHQSP20をScaIで消化し、そして続いてプラスミドをBamHIおよびEcoRIで消化する。Ig重鎖プロモーターおよびVH領域を含有する2.9kbのフラグメントを精製し、そして重鎖発現構築物をBamHIおよびEcoRIで消化した8.7kbフラグメントとライゲートする。得られたプラスミドは各々HCVHESp20(配列番号:40;図10)およびHCVHQSp20(配列番号:41;図11)と称され;そしてSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1、VHQ/humV1の発現に用いられる。
【0108】
VHEN73Dのためのヒトガンマ−1重鎖発現ベクター
発現ベクターHCVHESp20(配列番号:40;図10)およびHCVHQSp20(配列番号:41;図11)を鋳型として部位特異的変異誘発に用いてN73D変異を達成する(CD45RO/RB結合分子の重鎖の73位置のアミノ酸においてアスパラギンをアスパラギン酸に交換する)。この変異は推定上のN−グリコシル化部位を排除する。QuikChange(登録商標)Multi-Site Directed Mutagenesisキット(Stratagene)およびプライマーCD45H−N73D(5’−ホスホGCCACACTAACTGCAGACAAATCCATCAGCACAGC−3’;配列番号:49)を用いてキットマニュアルに従って変異誘発を実施する。得られた構築物HCVHEN73DSp20およびHCVHQN73DSp20の配列を確認し、そして各々配列番号:37および配列番号:38、ならびに図8および9に開示する。HCVHEN73DSp20(配列番号:37)を軽鎖発現構築物LCVL1SP20(配列番号:36)と一緒にSp2/0細胞におけるヒト化CD45RO/RB結合分子VHE−N73D/humV1の発現に用いる。
【0109】
ヒト化抗CD45RO/RB抗体VHE−N73D/humV1を分泌する安定したSp2/0骨髄腫トランスフェクタントの作成
マウス骨髄腫細胞系Sp2/0 Ag14.10をヒト化CD45RO/RB結合分子VHEN73D/humV1の重鎖(HCVHEN73DSp20;配列番号:37)および軽鎖(LCVL1SP20;配列番号:36)をコードするベクターと共にエレクトロポレートする。トランスフェクションのために、95%以上の生存性を有する指数増殖期の細胞を用いる。細胞を冷TFバッファー(272mM スクロース、1mM MgCl2、7mM リン酸バッファー、pH7.4)で2回洗浄し、そして細胞濃度をTFバッファーで2×107セル/mlに調整する。細胞懸濁液0.8mlを重鎖および軽鎖構築物各15μgと混合し、そして氷上に10分間置く。Biorad Gene Pulser(280Vおよび25μF)を用いてエレクトロポレーションにより5つのトランスフェクションを行う。エレクトロポレーションの後、細胞を氷上に15分間置き、続いて冷培養培地(FCS不含のRPMI基盤の培地)50mlに移し、そして37℃および5% CO2で2日間インキュベートする。
【0110】
トランスフェクタントを選択するために、1.1mg/ml G418(Geneticin, Gibco ロット3069464)の存在下、およそ2から3週間細胞を培養した。軽鎖構築物に位置するdhfr(ジヒドロ葉酸リダクターゼ)増幅マーカーにより葉酸類似体メソトレキセート(MTX)によるdhfr遺伝子および導入遺伝子の増幅が可能になる。遺伝子増幅のために、G418耐性細胞を200nM MTXの存在下、2から3週間培養し、続いてMTX濃度をさらに1μMに上げることにより異種性の細胞プールの増幅に至る。分析用プロテインA HPLCにより抗体濃度を決定する。ウェルあたり0.3セルの播種密度を用いて限界希釈によりクローニングのためにもっとも良好な生成プールを選択して高生産クローンを単離する。
【0111】
実施例5:ELISAによる組換えヒトIgG発現の決定
VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2の特徴付け
培養上澄に発現された組換えヒト抗体のIgG濃度を決定するために、サンドウィッチELISAプロトコルを発展させ、そしてヒトIgGを標準として用いて最適化した。平底96ウェルマイクロタイタープレート(カタログ番号4−39454、Nunc Immunoplate Maxisorp)をPBS中最終濃度0.5μl/mlのヤギ抗ヒトIgG(全分子、カタログ番号I1011、SIGMA)100μlで4℃で一晩コートする。次いでウェルを洗浄バッファー(0.05% Tween 20含有PBS)で3回洗浄し、そしてブロッキングバッファー(PBS中0.5% BSA)で37℃で1.5時間遮断する。3回洗浄サイクルの後、抗体試料および標準ヒトIgG(カタログ番号I4506、SIGMA)をブロッキングバッファー中連続1.5倍希釈により調製する。希釈した試料または標準100μlを2検体ずつでコーティングしたプレートに移し、そして室温で1時間インキュベートする。インキュベーションの後、プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、そして続いてブロッキングバッファーで1/4000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトIgGカッパ軽鎖(カタログ番号A−7164、SIGMA)100μlと共に1時間インキュベートする。コントロールウェルにブロッキングバッファーまたは濃縮した通常の培養培地100μlを入れた。洗浄後、TMBペルオキシダーゼEIA基質キット(カタログ番号172−1067、Bio-Rad)を用いて製造者の指示書に従って試料中の結合ペルオキシダーゼおよび標準ウェルの比色定量を実施する。ペルオキシダーゼ混合物をウェルあたり100μlで加え、そして暗中室温で30分間インキュベートする。1M 硫酸100μlの添加により比色反応を停止させ、そしてELISAプレートリーダー(3350−UVモデル、BioRad)を用いて各ウェルの吸光度を450nmで読む。
【0112】
IgG標準曲線に関する相関係数0.998で、トランスフェクトされたCOS細胞から得られた4つの異なる培養濃度(約250から300倍濃縮)に関して以下の濃度を決定する:
VHE/humV1上澄=8.26μg/ml
VHE/humV2上澄=6.27μg/ml
VHQ/humV1上澄=5.3μg/ml
VHQ/humV2上澄=5.56μg/ml
【0113】
サイズ排除クロマトグラフィー分析(SEC)
タンパク質含量、小型凝集(オリゴマー抗体)および恐らく副産物および分解産物のパーセンテージを決定するために、アフィニティー精製抗体VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2をTSKgel Super SW3000SWXLでサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析する。VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2に関するクロマトグラムにより主要なピークは分裂しており、そして分離は重鎖Eのプールに関してさらに顕著であることが示される(図12)。結果により各試料に存在するIgG抗体に典型的な保持時間を有する少なくとも2つの分子が存在することが示唆される。
【0114】
還元条件下でのSDS−PAGE
ヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2の還元条件下でのSDS−PAGEによる分析(グラジエントゲル、4から20% トリス−グリシンゲル、Novex)により、各試料の重鎖に相当するバンドより上にわずかに移動した、予測されないさらなるバンドの存在が示される。質量の差は2から4kDaの範囲であると推定される。ウェスタンブロット分析により上位のバンドは抗ヒト(H+L)抗体により認識されることが示され、これはさらなるバンドが重鎖変種であることを示唆している。
【0115】
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
PolyCatAカラム(PolyLC Inc)を用いて電荷の異種性を陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)により評価する。キメラmAbは本質的にC末端リジン変種以外に電荷異種性を含まないが、全てのヒト化CD45RO/RB結合分子、すなわちVHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2は電荷で非常に異種性であることが見出される。抗体の電荷異種性の共通する理由は抗体重鎖のC末端でのLysの存在/不在であり、これによりCEXにおける3個のピークに至る。各クロマトグラムでの多数の可視ピーク(>10;図13)は、少なくとも1つのさらなる修飾が4つのCD45RO/RB結合分子全てに存在することを示している。
【0116】
SDS−PAGE
VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2のタンパク質プールで見出された2つの抗体種間の分子の差異を評価するために、VHE/humV2を選択してさらに分析する。半調製用(semi-preparative)様式でVHE/humV2の2個のSECピークを収集し、そしてその純度を確認するためにSECにより再分析する。SECにより収集した分画(分画1および分画2)を次に還元条件下でSDS−PAGEにより分析する。約49kDaでの予測されないさらなるバンドの比率は2つ分画間で異なる。分画2はこのさらなる高いバンドをほとんど含まない。
【0117】
ESI−Q−TOF質量分析
次にSEC分画F1、F2およびVHE/humV2のタンパク質プールをESI−Q−TOF質量分析によりさらに分析する。タンパク質プールおよび分画2のスペクトログラムでは、同一の群のシグナルが観察される。約148,000Daの第1のシグナル群はタンパク質プールおよび分画2において見出され、分画1では検出されない。分画1では、約152,500Daの別の群のシグナルに加えて、(約150,300Daの)第2のシグナル群が検出される。約150,320Daの第2のシグナル群は抗体形態で通常観察されるいずれとも相関し得なかった。これらの知見により、SECの2個のピークおよび還元SDS−PAGEの2個の上位のバンドは予測されるタンパク質の変種に各々相当することが示唆される。
【0118】
逆相クロマトグラフィー
質量分析であまり複雑でないパターンを得るために、抗体鎖をさらに別個に分析する。分画を還元し、そしてアルキル化する。反応の完全性を確認するために、還元およびアルキル化した試料を逆相(RP)クロマトグラフィー(SORBAX, Poroshell 300SB−C8)により分析する。還元およびアルキル化の後、ピーク形状は還元のみの後とほぼ同一である。保持時間のシフトが観察される。SEC分画1および分画2還元およびアルキル化試料で類似のパターンが得られる。VHE/humV2タンパク質プール試料、SEC分画1およびSEC分画2(還元およびアルキル化)をESI−Q−TOF質量分析で分析する。いくつかの質量ピークを予測される抗体形態に割り当てることができる。同一の主要なピークは3つの試料全てで見出される(タンパク質プール、F1およびF2)が、その強度は分画2においては非常に低い(図14)。
【0119】
重鎖変種の炭水化物分析
還元およびアルキル化した抗体を逆相(RP)クロマトグラフィーカラムに中収支、そして重鎖変種に相当する2個のピークを収集する。次いでこれらのRP分画化した抗体のオリゴ糖プロファイルを決定する。全ての試料で見出された予想されたG0およびG1オリゴ糖のうち、分画1のクロマトグラムでいくつかのその他のピークが検出される(これらのピークはわずかに分画2およびタンパク質プールのクロマトグラムにおいても検出される)。
【0120】
これらを考慮して、結果により、より大きな抗体種がさらなるグリコシル化を含有するが、典型的にはSP2/0発現モノクローナル抗体では見出されず、これは質量差を説明していることを示唆している。炭水化物分析および質量分析により見出された大きな複合グリコシル化は抗体の定常領域の保存されたグリコシル化部位である可能性が極めて低いので、ヒト化抗体のアミノ酸配列のその他の可能性のある部位に関する検索が行われる。2つの重鎖変種の可変ドメインでN−グリコシル化(N−X−S)に可能性のある部位(N73)を同定する。
【0121】
CEXによる調製用分画
プールVHE/humV1から精製された材料を用いてさらなる分析を実施する。材料の異種性を低減させるためにカルボキシペプチダーゼ−B処理でC末端リジンを除去する。SPセファロース(Pharmacia)を用いる調製用陽イオン交換クロマトグラフィーによりVHE/humV1抗体を分画化する。カラムを25mM リン酸ナトリウムバッファー、pH6.0(=バッファーA)で平衡にし、そして結合タンパク質をバッファーA中250mM NaCl(=バッファーB;0−65% Bのグラジエント)で溶出する。CEXを用いることにより分画の純度を分析する。収集した分画をSECカラムに再注入して2つの技術で得られた結果の間の相関を探す。クロマトグラムはCEXのピークの最初の群が抗体のSEC分析のプレピークに相関し、CEXのピークの第2の群は、タンパク質プールのSEC分析では一緒に第1のピーク(または分画1)になり、そしてCEXの最後のピークはSECで最後のピーク(または分画2)として溶出される事を示している。
【0122】
要するに、前記した結果(SEC分画1および分画2に関するオリゴ糖プロファイル、脱カルボキシル化の後に得られたCEXパターン、CEXで収集された分画に関して得られたSECパターン、質量分析)により複合オリゴ糖と共に抗体種が存在することが強く示唆され、これがa)SECにおいて二重ピークに至る質量異種性、およびb)CEXパターンに至る還元SDS−PAGE電荷異種性で観察された二重重鎖バンド、の原因となる。
【0123】
CEX分画の分析的特徴付け
大きな抗体種はCEXで先に溶出されるので(これらが正にあまり電荷していないことを示している)、調製用CEXにより得られた様々の分画でシアル酸(複合グリコシル化の成分であり、そして負に電荷している)の存在を測定する。シアル酸は様々な度合いで4つ全ての試料に存在する。見出されたシアル酸はN−グリコリルノイラミン酸形態である可能性が最も高い(N−アシルノイラミン酸標準と比較して短い保持時間に基づく)。別のCEX分画で非常に豊富であるのと対照的に、あるCEX分画でシアル酸の存在が非常に少ないということは、負に電荷した糖成分が質量/電荷異種性に寄与していることを強く示唆している。CEX分画をESI−Q−TOF質量分析により分析する。
【0124】
SDS−PAGE
また同一の分画を還元条件下でSDS−PAGEにより分析する。重鎖上位バンドはシアル酸を含有する複合オリゴ糖プロファイルを有する抗体の部分に相当すると結論づけることができる。重鎖下位バンドは従来のオリゴ糖プロファイルを表示する予測される抗体に相当する。
【0125】
パパイン消化CEX分画のMono-Sカラムでの分離
重鎖の可変ドメインでの可能性のあるグリコシル化部位の使用を確実にするために、各CEX分画約1mgをパパインで処理して抗体のFabおよびFc部分を分離する。Mono-Sカラムで調製用クロマトグラフィーを実施する。収集した亜分画の各々をRPカラムに再注入してFabおよび/またはFcドメインに関してその含量を同定する。次いで収集した亜分画の各々をESI−Q−TOF質量分析で分析する。得られた結果によりa)重鎖Fc部分の保存されたグリコシル化部位は0個(G0)、1個(G1)または2個の末端(G2)ガラクトース単位を伴う二分岐オリゴ糖形態に占領されていること;b)対照的に、不規則なグリコシル化部位(N73)はN−グリコリルノイラミン酸を含有する複合オリゴ糖を担持することが示される。
【0126】
要するに、重鎖可変ドメインのアスパラギン残基N73は部分的にN−グリコシル化されていることが見出される。これらの糖種はSDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーにより検出される質量異種性および電荷異種性を引き起こす。
【0127】
VHE−N73D/humV1の特徴付け
ヒト化VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2抗体の異種性を排除するために、重鎖の可変ドメインのN73位置でアスパラギン残基をアスパラギン酸残基により置換する(実施例4参照)。次いでVHE−N73D/humV1をさらに分析する:
【0128】
サイズ排除クロマトグラフィー分析(SEC)
前記で記載したようにSECを実施する。SECにおいてVHE/humV1とVHE−N73D/humV1との間に明確な差異が観察される。VHE/humV1に関して得られた二重ピークと対照的に、VHE−N73D/humV1に関しては1つのピークしか得られない(図12)。SECによりおよそ0.2%の凝集物が定量される。
【0129】
還元条件下でのSDS−PAGE
前記で概要を示したような還元条件下でVHE/humV2およびVHE−N73D/humV1をSDS−PAGEによりさらに分析する。VHE−N73D/humV1に関しては予測される重鎖(HC)位置(約50kDa)で1個バンドのみが可視である。VHE−N73D/humV1に関して観察されたHCバンドはVHE/humV2に関して観察された下位のダブレットのバンドに相当する。軽鎖バンドの位置は分析されたタンパク質に関して同一である。
【0130】
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を前記で概要を示したように実施する。CEXの分析に関して得られた結果により、VHE−N73D/humV1の電荷異種性はVHE/humV2の高い電荷異種性と比較してC末端リジン変種(3個ピーク)まで低減されることが示される(>10;図13)。
【0131】
MALDI TOF分析(質量分析)
MALDI TOF分析(質量分析)により得られた重鎖および軽鎖に関して検出された質量はVHE−N73D/humV1の配列から推定される予測される質量と密接に一致する。
【0132】
逆相クロマトグラフィー(RP)
DDTで還元した後、2つのヒト化抗体VHE/humV2およびVHE−N73D/humV1を逆相クロマトグラフィー(RP)により分析する。アスパラギンN73での部分的グリコシル化のために、とりわけ軽鎖に相当するピーク(約17.3分で)のうちVHE/humV2(約18.5分で二重ピーク)に関して2つの「重鎖」が観察される。VHE−N73D/humV1に関しては、重鎖に関しては1つのピークしか観察されない(図14)。
【0133】
実施例6:FACS競合分析(結合親和性)
ヒトT細胞系PEERはその細胞表面にCD45抗原を発現するので、それをFACS分析のための標的細胞として選択する。ヒト化抗体上澄の結合親和性を分析するために、参照としてFITC標識キメラ抗体を用いて競合実験を実施し、そして精製されたマウス抗体の、およびキメラ抗体の阻害と比較する。FEER細胞培養物を3000rpmで10秒間遠心し、そして培地を除去する。細胞をFACSバッファー(1% FBSおよび0.1% アジ化ナトリウム含有PBS)に懸濁し、そして96ウェル丸底マイクロタイタープレートにウェルあたり1×105セルの密度で播種する。プレートを遠心し、そして上澄を捨てる。遮断研究のために、最初に各ウェルに25μlの濃縮したトランスフェクトしていない培地またはアイソタイプ対応コントロール抗体(陰性コントロール)、未標識マウス抗体またはキメラ抗体(陽性コントロール)および種々の組み合わせのヒト化抗体を含有する濃縮した上澄(試料)をテキストに示された濃度で加える。4℃で1時間インキュベートした後、遠心によりPEER細胞をFACSバッファー200μlで洗浄する。続いて細胞をFACSバッファー25μl中最終濃度20μg/mlでFITCに結合したキメラ抗体と共に4℃で1時間インキュベートする。細胞を洗浄し、そして生存細胞のゲーティングを可能にする2μg/mlヨウ化プロピジウムを含有するFACSバッファー300μlに再懸濁する。細胞調製物をフローサイトメーター(FACSCalibur, Becton Dickinson)で分析する。
【0134】
FACS分析により、濃縮ヒト化抗体培養上澄による蛍光色素標識したキメラ抗体の用量依存的遮断が示される。アイソタイプ対応コントロール抗体ではキメラ抗体結合の用量依存的な遮断が認められず、これは種々のヒト化抗体の組み合わせによる遮断効果がエピトープ特異的であり、そしてエピトープ特異性はヒト化抗体過程の後にも保持されるようであることを示している。
【0135】
前記したSP2/0トランスフェクタントまたはキメラ抗体(陽性コントロール)またはアイソタイプ対応コントロール抗体(陰性コントロール)からの希釈していない上澄を培養培地中2μg/mlで100μl中1.5×105個のPEER細胞と共に4℃で30分間インキュベートする。次いでFITC標識したキメラ抗体を含有するPBS100μlを各試料に加え、そして4℃でさらに30分間インキュベーションを続ける。洗浄後、細胞を1μg/ml 7−アミノアクチノマイシンDを含有するFACS−PBSに再懸濁し、そしてBecton Dickinson FACSCalibur装置およびCellQuest Proソフトウェアを用いてフローサイトメトリーにより分析する。生存細胞でゲーティングした、すなわち否定事象として7−アミノアクチノマイシンDを用いた。
【0136】
FACS分析により未標識ヒト化CD45RO/RB結合分子、例えばVHE/humV1およびVHQ/humV1はヒトCD45陽性T細胞系PEERに結合するためのFITC標識キメラ抗体と競合するが、アイソタイプ対応コントロール抗体は競合しないことが示される。
【0137】
VHE−N73D/humV1の特異性
ヒト化CD45RO/RB結合分子VHE/humV1の修飾、すなわちCD45RO/RB結合分子の重鎖の73位置のアミノ酸でのアスパラギンのアスパラギン酸への交換が同族エピトープとの反応性を修飾するかどうかを評価するために、VHE−N73D/humV1のCD45発現ヒトT細胞系PEERとの反応性を競合結合実験で分析する。
【0138】
PEER細胞をVHE−N73D/humV1と、そのキメラの祖先と、または非結合性アイソタイプコントロールIgG抗体と共にインキュベートする。非結合性抗体を洗い流し、そして細胞を蛍光色素フルオレセインイソチオシアナート(FITC)標識キメラ抗CD45RO/RB mAbまたはFITC標識アイソタイプIgG1コントロール抗体とのインキュベーションに供する。洗浄後、細胞をフローサイトメトリー分析に供して、プレインキュベートしたPEER細胞に結合したFITC標識抗体の量を定量する:PEER細胞培養物を標準重力(g)の400倍で10分間遠心し、そして培地を除去する。細胞をFACSバッファー(1容量/容量% FBS、0.1重量/容量% EDTAおよび0.1重量/容量%アジ化ナトリウムを含有するPBS)に再懸濁し、そして96ウェルV底マイクロタイタープレートにウェルあたり1×105セルの細胞密度で播種する。プレートを遠心し、そして上澄を捨てる。細胞の各試料をキメラ抗CD45RO/RBmAb、VHE−N73D/humV1またはIgG1コントロールAbのいずれか20μg/mlを含有するFACSバッファー50μl中4℃で30分間インキュベートする。次に遠心によりPEER細胞をFACSバッファー150μlで2回洗浄する。続いて細胞をFITC結合キメラmAbまたはFITC結合3G5コントロールAbのいずれか20μg/mlを含有するFACSバッファー50μl中4℃で30分間インキュベートする。最後に細胞を洗浄し、そして分析の間の生存細胞の同定を可能にする7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を1μg/mlで含有するFACSバッファー200μlに再懸濁する。細胞調製物をFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)で分析する。
【0139】
蛍光シグナルの低減により未標識VHE−N73D/humV1および未標識キメラ抗CD45RO/RBmAbはFITC標識キメラ抗CD45RO/RB mAbのCD45発現PEER細胞への結合を防御するが、IgG1コントロール抗体は防御しないことが観察される。要するに、VHE/humV1抗体のVHE−N73D/humV1への修飾はヒト化抗CD45RO/RB結合分子のエピトープ特異性を変化しないことが見出される。
【0140】
VHE−N73D/humV1のヒトまたはカニクイザルCD45に関する親和性
VHE−N73D/humV1抗体のそのエピトープに関する親和性を決定するために、VHE−N73D/humV1のヒトCD45発現T細胞系PEERまたはカニクイザルCD45発現T細胞系HSC−Fとの反応性をin Daley et al., 1995; J. Mol. Biol. 253:243に記載される手順に類似した競合結合実験で定量することができる。
【0141】
簡単には、種々の濃度の未標識競合抗体の存在下、PEERまたはHSC−FのFITC標識抗体との染色強度を用いて未標識抗体の親和性を算出する。さらに正確には、第1の工程で、FITC標識マウス由来の抗ヒトCD45RO/RB結合分子A6(mA6)の濃度および蛍光色素標識化学量を測定する。次に、前記したFITC結合mA6 yes(マウス由来抗huCD45)の助けを借りて、そして分子標識の程度が既知である蛍光ビーズを用いてPEERまたはHSC−F細胞系の表面上の標的分子、CD45の濃度を決定する。細胞性CD45受容体および既知のそのFITC結合リガンドの濃度で、FITC結合mA6の細胞性CD45受容体に対する親和性をFACS基盤の平衡滴定手順により決定する。最終的に未標識抗体VHE−N73D/humV1の親和性を、VHE−N73D/humV1の全濃度の関数として、FITC蛍光の増加を測定する、PEERまたはHSC−F細胞上のFITC結合mA6との競合染色反応から決定する。1つの受容体に結合する2個の競合リガンドの混合物における結合平衡の代数的に明白な記載を表す三次方程式がプログラムOrigin 7.5に導入されている場合、再反復曲線適合分析でソフトウェアプログラムを用いてVHE−N73D/humV1に関する解離定数(Kd)値を算出する。
【0142】
1つの実験では、標的CD45RO/RB結合分子に結合する2価抗体と過程すれば、ヒトPEER細胞性標的に関するVHE−N73D/humV1の解離定数は2.44±0.07nMと算出され、カニクイザルHSC−F細胞標的に関しては1.67±0.00nMと算出される。
【0143】
実施例7:CD45RB/RO結合分子の生物学的活性
この研究では、CD45RB/RO結合キメラ抗体は、多クローン的に活性化された1次ヒトT細胞の培養中に存在する場合、(i)特徴的なTreg表現型を有するT細胞の分化を支持する、(ii)T細胞の活性化の後アポトーシスを防御または増強する、ならびに(iii)再刺激後のサブセット特異的抗原および受容体の発現に影響するかどうかに着目した。
【0144】
CD45RO/RB結合分子キメラ抗体は多クローン的に活性化されたT細胞を増強する
1次T細胞(CD4+およびCD8+Tサブセットの混合物)をCD45RB/RO結合分子キメラ抗体の存在下または不在下(=コントロール)で抗CD3プラス抗CD28mAb(各々200ng/ml)による活性化に供した。2日に過剰の抗体を洗浄により除去した。アポトーシスおよび壊死細胞により取り込まれるDNA染色色素として7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を用いて活性化の後の細胞死を測定する。結果により、CD45RB/RO結合キメラ抗体の存在下でのT細胞の活性化が7−AAD陽性の分画を、活性化後2日で2倍以上増加させたことが示される。7日に、7−AAD陽性細胞の部分は再度CD45RB/RO結合キメラ抗体処理およびコントロール培養で類似した。
【0145】
CD45RB/RO結合キメラ抗体はT調節細胞(Treg)表現型を表示するがコントロールmAb処理T細胞は表示しない
CD25および陰性調節タンパク質CTLA−4(CD152)の発現の増加はTreg細胞のマーカーである。CD45RB/RO結合キメラ抗体による1次および2次T細胞応答の機能抑制はTreg細胞の誘導によるのであろう。この問題を解決するために、抗CD3+抗CD28mAbによりT細胞を活性化し、そしてCD45RB/RO結合キメラ抗体または抗LPSコントロールmAbの存在下で培養した。CTLA−4およびCD25発現の時間経過により2次刺激の1日および3日後コントロールとCD45RO/RB結合キメラ抗体処理T細胞との間に著明な差異が表され、これはTreg表現型を示している。
【0146】
細胞内CTLA−4発現はCD45RB/RO結合キメラ抗体の存在下で持続する
CTLA−4の実質的な量を細胞内でも見出すことができることが報告されている。したがって、表面CTLA−4染色に並行して細胞内CTLA−4発現を分析した。刺激後4日にT細胞培養間で中程度の差異が認められた。しかしながら培養の延長の後に、高レベルの細胞内CTLA−4がCD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞においてのみ持続したが、コントロールT細胞では持続しなかった。
【0147】
CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞がCD4およびCD8に関して二重陽性になる
刺激後、T細胞はCD25、CD152(CTLA−4)、CD154(CD40リガンド)およびその他のようないくつかの表面受容体の発現を誘起および上方制御する。対照的に、CD4またはCD8の発現レベルは比較的一定に保たれると考えられる。活性化の後、CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞におけるCD4およびCD8抗原の双方の強い増加が再現性よく観察されたが、コントロールAb処理T細胞では観察されなかった。CD4/CD8二重陽性T細胞集団の出現はCD8+サブセットでのCD4、および逆にCD4+サブセットでのCD8の上方制御によるものと思われる。これはコントロール培養において中程度に低いパーセンテージの二重陽性T細胞と対照的である。
【0148】
CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞によるIL−2受容体アルファ鎖の発現は高いが、ベータ鎖の発現は非常に低い
Treg細胞はCD25、IL−2受容体アルファ鎖に関して構成的に陽性であることが知られている。Treg細胞上の三量体IL−2受容体のその他のサブユニットの調節は知られていない。最近、例えばCD45RB/RO結合キメラ抗体の存在下または不在下で活性化し、そして増殖させたT細胞上のIL−2受容体、CD122のベータ鎖の発現を比較した。結果により、CD45RB/RO結合キメラ抗体処理T細胞はコントロール培養のT細胞と比較してCD122を約10倍低く発現することが示される。この差異はTreg細胞が増殖するためにIL−2以外の因子を必要とすることを示し得る。
【0149】
実施例8:本発明の配列(本発明のCDR配列には下線を付してある)
配列番号:1
キメラ軽鎖のアミノ酸配列の一部
【表3】
【0150】
配列番号:2
キメラ重鎖のアミノ酸配列の一部
【表4】
【0151】
配列番号:3
キメラ軽鎖のアミノ酸配列
【表5】
【0152】
配列番号:4
キメラ重鎖のアミノ酸配列
【表6】
【0153】
配列番号:5
配列番号:1のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
【表7】
【0154】
配列番号:6
配列番号:2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
【表8】
【0155】
配列番号:7
humV2(humV2=VLm)と称されるヒト化軽鎖のアミノ酸配列の一部
【表9】
【0156】
配列番号:8
humV1(humV1=VLh)と称されるヒト化軽鎖のアミノ酸配列の一部
【表10】
【0157】
配列番号:9
VHEと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表11】
【0158】
配列番号:10
VHQと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表12】
【0159】
配列番号:11
配列番号:9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表13】
【0160】
配列番号:12
配列番号:10のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表14】
【0161】
配列番号:13
配列番号:7のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表15】
【0162】
配列番号:14
配列番号:8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表16】
【0163】
配列番号:15
発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHQのヌクレオチド配列
(3921−4274からの配列番号:12(VHQ)を含むヒト化重鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【0164】
配列番号:16
発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHEのヌクレオチド配列
(3921−4274からの配列番号:11(VHE)を含むヒト化重鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0165】
配列番号:17
発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1 humV1のヌクレオチド配列
(3964−4284からの配列番号:14(humV1=VLh)を含むヒト化軽鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【0166】
配列番号:18
発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1 humV2のヌクレオチド配列
(3926−4246からの配列番号:13(humV2=VLm)を含むヒト化軽鎖発現ベクターの完全DNA配列)
【表33】
【表34】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【0167】
配列番号:31
VHE-N73Dと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表39】
【0168】
配列番号:32
VHQ-N73Dと称されるヒト化重鎖のアミノ酸配列の一部
【表40】
【0169】
配列番号:33
配列番号:8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表41】
【0170】
配列番号:34
配列番号:31のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表42】
【0171】
配列番号:35
配列番号:32のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列
【表43】
【0172】
配列番号:36
発現ベクターLCVL1Sp20のヌクレオチド配列
【表44】
【表45】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【0173】
配列番号:37
発現ベクターHCVHEN73DSp20のヌクレオチド配列
【表50】
【表51】
【表52】
【表53】
【表54】
【表55】
【0174】
配列番号:38
発現ベクターHCVHQN73DSp20のヌクレオチド配列
【表56】
【表57】
【表58】
【表59】
【表60】
【0175】
配列番号:39
発現ベクターLCVL2Sp20のヌクレオチド配列
【表61】
【表62】
【表63】
【表64】
【表65】
【0176】
配列番号:40
発現ベクターHCVHESp20のヌクレオチド配列
【表66】
【表67】
【表68】
【表69】
【表70】
【表71】
【0177】
配列番号:41
発現ベクターHCVHQSp20のヌクレオチド配列
【表72】
【表73】
【表74】
【表75】
【表76】
【表77】
【表78】
【0178】
実施例9:CD45RO/RB結合ヒト化抗体のインビトロ効果
VHE/humV1およびVHQ/humV1
キメラ抗体と比較してCD45RO/RB結合ヒト化抗体VHE/humV1およびVHQ/humV1の効果を決定するために、ひとT細胞においてアポトーシスを誘起する能力、およびヒトT細胞増殖を阻害する能力もまた分析する。
【0179】
細胞および試薬
既知の血液型を有するが、HLA型は解らない健常ヒト提供者白血球搬出試料からFicoll-Hypaque(Pharmacia LKB)での遠心により末梢血単核球(PBMC)を単離する。CD3コーティングした強磁性ビーズ(Miltenyi)を用いることにより、刺激剤として用いるPBMCは最初にTおよびNK細胞を枯渇させる。ビーズおよび夾雑する細胞を磁場により除去する。照射(50Gy)の後、T細胞枯渇PBMCを刺激細胞として用いる。CD4+T細胞をMLRにおける応答細胞として用い、そしてCD4T細胞陰性選択キット(Miltenyi)でPBMCから単離する。
FACScanまたはFACSCalibur (Becton Dickinson & Co., CA)により得られた細胞を分析し、そして得られた細胞の純度は>75%である。10% 熱不活性化FCS、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびL−グルタミンを補充したRPMI1640培地に細胞を懸濁する。
【0180】
アポトーシスアッセイ
3人の健常ボランティア提供者のヒトPBMCをCD45RO/RB結合キメラmAb、ヒト化抗体(VHE/humV1およびVHQ/humV1)または抗LPSコントロールmAbの存在下、成長培地(RPMI1640+10% FCS)中一晩(<16時間)培養する。示す場合、架橋試薬、ヤギ抗ヒトIgGのF(ab’)2フラグメント(カタログ番号109−006−098、JacksonLab)を、試料の抗CD45抗体濃度の2倍になるμg/ml濃度で含む。抗体試薬を導入した全ウェルのPBS濃度は全試料間で一定を保ち、すなわち架橋剤を含まない試料に関しては20(容量/容量)%、または架橋剤を含む試料に関しては40(容量/容量)%である。先の実験によりPBSの量は読み出しに影響しないことが実証されている。
【0181】
抗体の存在下で一晩培養した後、試料をフローサイトメトリー分析に供し、そしてアポトーシスマーカーAnnexinV−FITC(カタログ番号556419、BD/Pharmingen)およびT細胞マーカーCD2−PE(カタログ番号556609、BD/Pharmingen)と共に染色する。Becton Dickinson FACSCalibur装置に試料を流し、そしてデータをCellQuest Proソフトウェアを用いて分析する。
【0182】
収集したデータから、ソフトウェアOrigin v7.0300を用いて曲線を適合させる。適合に用いた等式は:
【数2】
(「シグモイドロジスティック」)
A1:最終値(「共用」および「浮動」にセットしたフィットセッション用)
A2:初期値(「共用」および「浮動」にセットしたフィットセッション用)
p:検出力
X0:ED50;IC50(以下を参照)
【0183】
架橋剤の不在下ではVHE/humV1が最も有効であり、ED50値は148±71nMで、次に377±219nMのVHQ/humV1が続く。CD45RO/RB結合キメラ抗体はED50値2440±1205nMで、あまり有効でない。
【0184】
架橋抗血清の存在下ではED50値は少なくとも2桁まで高効率の方にシフトする。加えて、架橋剤の存在により、非常に高い抗体濃度で高レベルのアポトーシスが可能になり、今や80%にまで至るが、架橋剤の不在下ではアポトーシスが50%までしか可能にならない。架橋剤の存在下では、曲線(抗体濃度/アポトーシス%)は2つのプラトーを有する二相性であり:第1のプラトーには低抗体濃度で到達し(〜5nM)、ここでアポトーシスレベルは架橋剤の存在下で得られる最大レベルに相当する。第2のプラトーには高低抗体濃度で到達し(〜500nM)、そしてT細胞集団の70−80%内でアポトーシスが観察される。
CD45RO/RB結合ヒト化mAb双方は同等に有効であり、そして1次ヒトT細胞においてアポトーシスを誘起するその能力に関してはCD45RO/RB結合キメラmAbと比較してより良好または同等である。
【0185】
混合リンパ球培養反応
96ウェル培養プレートの各ウェル中、様々の濃度のmABの存在下または不在下で1×105個のPBMCまたは5×104個のCD4+細胞を1×105個または5×104個ののT細胞枯渇照射(50Gy)PBMCと混合する。
混合した細胞を5日間培養し、そして培養の最後の16から20時間の間、細胞を3H−チミジンと共にパルスすることにより増殖を決定する。各抗体濃度でMLR阻害を実施例2に記載するように阻害パーセンテージとして表す。
漸増濃度のVHE/humV1およびVHQ/humV1のMLRに及ぼす影響を3つの応答体:刺激剤の組み合わせで評価する。全抗体は用量依存的な様式でMLRを阻害する。IC50値(前記を参照)はヒト化Ab VHE/humV1(7±7nM)およびVHQ/humV1(39±54nM)に関して類似している。双方のヒト化抗体はMLR阻害において親のキメラ抗体よりもさらに強力である(IC50は347±434nM)。通常MLR実験で見られるように、これらの実験では提供者変動性が高い。
【0186】
VHE−N73D/humV1
ヒト末梢血単核球(PBMC)でアポトーシスを誘起するVHE−N73D/humV1の生物学的効果を検討するために、種々濃度のVHE−N73D/humV1の存在下で標的PBMCを一晩インキュベートし、そして続いてフローサイトメトリーによりアポトーシスマーカーAnnexinVの結合に関して分析し:ヒトPBMCを種々濃度のVHE−N73D/humV1、または別のヒト化CD45RO/RB結合分子変種、VHE/humV1、もしくはキメラ抗CD45RO/RB mAbまたはアイソタイプIgG1コントロールmAbのいずれかを含有する組織培養培地1ml中一晩インキュベートする。加えて、ヤギ抗ヒトIg Fcの架橋F(ab’)2フラグメントを各mAbの2倍の質量濃度で加え、Fc受容体によりCD45RO/RB結合分子の架橋を疑似するが、これはインビボで生じ得る。翌日に標準重力(g)の400倍で10分間遠心することにより細胞を洗浄し、そして培地を除去する。細胞をFACSバッファー(1容量/容量% FBS、0.1重量/容量% EDTAおよび0.1重量/容量%アジ化ナトリウムを含有するPBS)に再懸濁し、そして96ウェルV底マイクロタイタープレートにウェルあたり1×105セルの細胞密度で播種する。細胞の各試料を100μg/ml 正常マウス血清を含有するFACSバッファー50μl中4℃で30分間インキュベートして、細胞上の非特異的部位を遮断し、そしてフィコエリトリン(PE)結合CD2でヒトT細胞を同定する。遠心により2回洗浄した後、1:100 容量/容量FITC標識AnnexinVを含有するカルシウム依存的(calcium-proficient)AnnexinV染色バッファー(Vendor BD/Pharmingen、キット556419)100μlに細胞を再懸濁する。暗中室温で15分間のインキュベーション時に7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)を加え、最終濃度1μg/mlにし、そしてFACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いて分析する。アポトーシスを誘起するための抗体効果のED50値を、ソフトウェアOrigin 7.5を用いてシグモイド/ロジスティック曲線適合等式で抗体濃度の関数として誘起されるアポトーシスの量(=AnnexinV−FITC蛍光の強度)の分析から算出することができる。
【0187】
かかる分析時に全ての被験CD45RO/RB結合分子の二相性効果が観察される:低濃度の抗体で、30%未満の低レベルのT細胞アポトーシスが見出される。VHE−N73D/humV1に関するこのレベルのアポトーシスに到達するためのED50値は0.31±0.13nMとして算出される。高濃度の抗体では、70%までのT細胞でアポトーシスを誘起することができる。VHE−N73D/humV1に関して、この高レベルのアポトーシスに到達するためのED50値は352±83nMとして算出される。要約すると、VHE−N73D/humV1はまたヒトT細胞においてアポトーシスを誘起し、これは架橋により増強され得ることが見出される。
【0188】
実施例10:CD45RO/RB結合分子の特異性
キメラCD45RO/RB結合分子
CD45分子は全ての白血球において発現される。しかしながら、様々のCD45アイソフォームは種々の白血球サブセットにより発現される。CD45RB/RO結合キメラ抗体分子の白血球サブセット反応性を決定するために、ヒト白血球のサブセット特異的マーカーでの免疫蛍光標識および色素結合CD45RB/RO結合キメラ抗体での同時免疫蛍光標識を実施し、続いてフローサイトメトリー分析を実施する。
【0189】
簡単には、ヒト末梢血単核球(PBMC)、ヒト血小板、ヒト末梢血好中球またはヒト骨髄由来造血幹細胞の新たに単離された調製物の特異的サブセットは、CD2(Tリンパ球)、CD14(単球)、CD19(Bリンパ球)、CD34(幹細胞)、CD42a(血小板)、CD56(ナチュラルキラー細胞)またはCD66b(顆粒球)に対するフィコエリトリン結合抗体と共にインキュベートすることにより同定される。FITC標識キメラCD45RO/RB結合分子の同時結合はTリンパ球、単球、幹細胞、ナチュラルキラー細胞および/または顆粒球で検出されるが、血小板またはBリンパ球では検出されない。
【0190】
VHE−N73D/humV1
VHE−N73D/humV1の白血球サブセット反応性を決定するために、ヒト白血球のサブセット特異的マーカーでの免疫蛍光標識および色素結合VHE−N73D/humV1での同時免疫蛍光標識を実施し、続いてフローサイトメトリー分析を実施する。
【0191】
簡単には、ヒト末梢血単核球(PBMC)またはヒト末梢血好中球の新たに単離された調製物の特異的サブセットは、CD3、CD4,CD8(Tリンパ球)、CD14(単球)、CD16(ナチュラルキラー細胞および単球)、CD19(Bリンパ球)またはCD66b(顆粒球)に対するフィコエリトリン結合抗体と共にインキュベートしたときに同定される。FITC標識VHE−N73D/humV1の同時結合はTリンパ球、単球、ナチュラルキラー細胞および顆粒球で検出されるが、Bリンパ球では検出されない。したがって、VHE−N73D/humV1分子はヒトBリンパ球とは反応しない。
【0192】
実施例11:サプレッサーT細胞(T調節細胞)および機能的に無能なT細胞のインビトロ誘導
CD45RO/RB結合キメラ抗体のサプレッサーT細胞を誘起する能力を実証するために、ヘモフィラス・インフルエンザの抗原マトリックスプロテイン1(MP1)と反応するCD8+T細胞系の作成の間、抗体を種々の濃度で含む。CD8+ヒトリンパ球との、抗原と共にパルスしたCD14+ヒト単球との同時培養を繰り返すことによりこれらの系を作成する。後に、CD14+単球をMP1抗原提示細胞(APC)としてヒト白血球抗原−2陽性細胞系と置き換えることができる。CD45RO/RB結合キメラ抗体を含む培養からのかかるMP1特異的CD8+T細胞を新たに単離したヒトCD8+T細胞と混合し、そしてこの細胞の混合物をAPC上のMP1抗原で刺激する場合、CD45RO/RB結合分子の存在下での培養からのCD8+T細胞の添加により、抗体用量依存的様式でIFN−γ生成を低減させることができる。このIFN−γアッセイ培養の間、CD45RO/RB結合キメラ抗体は存在せず、これはCD45RO/RB mAbでの前処理が新たに単離されたT細胞の活性化を抑制することができるCD8+T細胞を誘起したことを示している。CD45RO/RB結合キメラ抗体によるこのサプレッサーT調節細胞の誘導のために抗体は、無調節なおよび/または活性化されたT細胞集団は病理の原因となると考えられる疾患において有用であり得る。かかる疾患の実例には、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患およびアレルギーが挙げられる。
【0193】
キメラCD45RO/RB結合分子の、さらなる刺激に対してT細胞低応答性(アネルギー)にする、すなわち機能的に無能化する能力を実証するために、前記で概要を示したように、ヘモフィラス・インフルエンザの抗原マトリックスプロテイン1(MP1)と反応するCD8+T細胞系の作成の間、抗体を含む。をAPCにより提示されるMP1抗原で(CD45RO/RB結合キメラ抗体の前に暴露した)T細胞を活性化することにより無能を評価する。CD45RO/RB結合分子は培養には存在しない。CD45RO/RB結合キメラ抗体に暴露していないCD8+T細胞は本来記載された刺激時にIFNγを生成する。対照的に、CD45RO/RB結合キメラ抗体で前処理したCD8+T細胞は抗原刺激に応答してこのサイトカインの生成の不在までの著明な低減を示し、これはCD45RO/RB結合キメラ抗体のヒトT細胞を機能的に無能化する能力を実証している。CD45RO/RB結合分子によるこの機能的T細胞低応答性の誘導のために抗体を、活性化されたT細胞集団は病理の原因となると考えられる自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患またはアレルギーのような疾患において用いることができる。
【0194】
実施例12:SCID−hu皮膚マウスにおけるインビボ研究
皮膚炎症におけるCD45RB/RO結合キメラ抗体の治療上の利点をSCIDマウスを用いて試験する。正常な個体からのヒト皮膚をSCIDマウス(SCID−hu皮膚)に移植し、そしてヒト皮膚提供者に無関係なヒト個体から単離した単核白血球を養子移入することにより炎症過程を疑似する。
【0195】
SCIDマウス(SCID−hu皮膚マウス)におけるヒト成体皮膚の移植
完全表皮、真皮乳頭層および網状真皮の一部からなるヒト成体皮膚(West Hungarian Regional Tissue Bank; WHRTB, Gyorから入手)の2個の小片(1cm2)をSCIDマウスC.B 17/GbmsTac-Prkdcscid Lystbgマウス(Taconic, Germantown, NY)左右上背部にマウス皮膚と置き換えて移植する。移植後5から6週間、移植片の品質をモニタリングし、そして移植に成功したマウス(SCID−hu皮膚マウス、一般的に>85%)をCD45RO/RB結合キメラ抗体のインビボ試験のために選択する。
【0196】
SCIDマウスにおけるヒト単核球の正着
細胞懸濁(50メッシュサイズを装着した細胞解離ふるいを用いる)および標準的な密度勾配手順の後、単核白血球(Spl)をヒト成体脾臓生検(WHRTB, Gyor)から単離する。〜5×108SplのアリコートをRPMI−10% FCS1.5MLに再懸濁し、そしてSCID−hu皮膚マウスに実験0日に腹腔内注射(i.p.)する。以前の実験でこれらのSpl数が細胞移入後4から6週内のマウス>90%で致死的な異種性GvHDを誘起するのに十分であることが見出されている。
【0197】
SCID−hu皮膚マウスの抗体処置
ヒトSplで再構成したSCID−hu皮膚マウスをCD45RB/RO結合キメラ抗体または抗LPSコントロールmAbで0日、単核球注射直後、3日および7日、ならびにその後毎週の間隔で処置する。抗体をPBS100μl中最終濃度1mg/kg体重(b.w.)で皮下(s.c.)に分配する。
【0198】
抗CD45処置の評価
CD45RB/RO結合キメラ抗体の効果を移植したマウスの生存および皮膚移植片の拒絶のモニタリングにより評価する。Systat v10ソフトウェアの助けを借りて、ログランク検定(Mantel法)を用いる生存分析の統計学的方法により結果の有意性を評価する。実験の終わりに、組織学の目的で屠殺したマウスからヒト皮膚移植片ならびにマウスの肝臓、肺、腎臓および脾臓の生検を入手する。健康状態を間接的に推定するのに全マウスの体重測定を最初(細胞移入の前)および実験期間中(2日毎)に行う。各マウスから得られた体重対PBMC移入後日数の値を用いて線形回帰線を作成し、そして続いてノンパラメトリックMann-Whitney検定を用いてその勾配(コントロール対抗CD45処置マウス)を比較する。
【0199】
結果
ヒト皮膚移植片はSCIDマウスにより非常に良好に寛容される。最初に移植片はケラチノサイト過剰増殖の期間を経験し、結果的に角化型痂皮の形成に至る。移植後約5週に、痂皮は移植片から剥がれ落ち、そして正常ヒト皮膚で観察される全ての特徴的な構造を含有する組織を露呈する。この過程の間にヒト皮膚移植片は隣接するマウス皮膚と融合し、そして下層のマウス組織と移植片をつなぐ新たに成長したヒト血管のネットワークを作成する。SCID−hu皮膚マウスに移入した循環ヒトSpl(実験0日、皮膚移植後およそ6週)は皮膚移植片に浸潤し、そしてヒト皮膚に発現された同種抗原分子を認識した後、乾癬性皮膚で生じる皮膚炎症過程と類似性を有し、そして完全に移植片を破壊する場合もある炎症応答が開始される。
【0200】
これらのマウスのCD45RB/RO結合キメラ抗体での処置により炎症過程が抑制され、そしてヒト皮膚移植片の拒絶が防御される。対照的に、コントロール処置されたマウスから得られた試料は、多様な壊死の徴候を伴う大規模な浸潤および劇的な表皮の破壊を示す。この過程は肉眼で容易にモニタリングされ、そしてマウスの簡単な写真により立証される。
【0201】
同種ヒトSplを移入され、そしてコントロール抗LPS mAbで処置されたSCID−hu皮膚マウスのうちの6匹は、単核球の移入後23日に明らかに肉眼観察できる強い炎症応答を示す。全マウスは紅班、落屑および顕著な膿疱を含む相当な損傷を示す。対照的に、CD45RB/RO結合キメラ抗体で処置した全マウスの皮膚移植片は正常な外観を有している。全マウスのヒト皮膚は実験の始めには同一の外見を有していたので、マウスの2群間の劇的な差異は特に抗体処置に起因する。この態様は、コントロール群が皮膚損傷を進行させ始める、細胞移入後2週まで変化しない。単核球移入後34日に実験を終える。そのときまでに、コントロールマウスの1匹はすでに死亡し(30日)、そしてその他の4匹は強力な異種GvHDのために屠殺された(27、27、27および30日)。抗体コントロール処置マウスで観察された病理学的反応はまたこれらの動物の体重減少とも相関する。対照的に、CD45RB/RO結合キメラ抗体処置群は全実験時間中健常な状態を示す。
【0202】
実施例13:ヒト島細胞移植モデルにおけるCD45RB/RO結合キメラ抗体のインビボ活性
マウス
NOD/SCID雌マウス(Charles River Laboratories, Calco, Italy)を特定病原体除去状態に維持する。尾静脈血中のグルコースレベルをGlucometer Eliteシステム(Bayer, Germany)を用いて定量する。ストレプトゾトシン(Sigma, St.Luis, MO)180mg/kgの静脈内注射によりNOD/SCIDマウスにおいて糖尿病を誘起する。2回連続してグルコースの測定値が250mg/dlより高くなった後、糖尿病の診断を下す。
【0203】
島調製物および移植
脳死多臓器提供者から膵臓を入手する。Bertuzzi et al., Diabetes, 1999, 48: 1971-8に記載される方法に従って島を単離する。10% FCS、1% L−グルタミン、100単位/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシンを補充したM199培地(Seromed Biochrom, Berlin, Germany)(完全培地)25mlの入った滅菌フラスコ中で精製した島を培養する。5% CO2および95% 加湿空気中、30℃で島をインキュベートする。アベルチンの腹腔内注射でマウスを麻酔し、そしてDavalli A.M. et al., Diabetes, 1996, 45: 1161-7に記載されるようにヒト島の1500 IEのアリコートを受体糖尿病性NOD/SCIDマウスの腎臓被膜の下に移植する。移植後、新たに単離した50×106個のPBMCをNOD/SCIDマウスに腹腔内注射する。
【0204】
移植したマウスの処置
Hu−PBL−NOD/SCID移植したマウスを0、+3および+5日にCD45RB/RO結合キメラ抗体1mg/kgでs.c.処置する。コントロールマウスを生理食塩水溶液またはIgG精製mAb(Vinci.Biochem, Italy)のいずれかで処置する。
【0205】
組織学的分析
ヒト島移植片を含有する腎臓の極をTissue Tek(Miles Lab., IN)中で急速凍結し、そして−70℃で保存する。5μm厚の凍結切片をヒトインスリンまたはヒトCD3に対するビオチン化mAb、続いてストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体で染色する。ジアミノベンジジン(DAKO、Carpenteria, CA)を色素原として、そしてヘマトキシリンを対比染色として用いる。移植片のリンパ球浸潤をヘマトキシリンおよびエオシン染色した凍結切片で評価する。
【0206】
結果
ヒト島を移植した正常なNOD/SCIDマウスは移植後100日まで正常血糖を維持するが、ヒト島を移植したhu−PBL−NOD/SCIDマウスの平均拒絶時間は35±13日である。ヒト島を移植したhu−PBL−NOD/SCIDマウスの本発明のmAbでの短期間処置はヒト島生存を有意に延長し、生存率は移植後60日で>70%であり、そして100日では50%である。
【0207】
移植後100日に実施したhu−PBL−NOD/SCIDマウスにおけるヒト島移植片の組織学的分析により、コントロール受体マウスにおいてCD3+、CD4+およびCD8+陽性T細胞の多量の浸潤が示される。対照的に、CD45RB/RO結合キメラ抗体で処置した受体マウスでは、ヒト細胞の浸潤が有意に低いことが観察される。インスリンに関する陽性染色により、コントロール受体マウスに比較して、CD45RB/RO結合キメラ抗体で処置したhu−PBL−NOD/SCID受体マウスにおける移植片機能が実証される。島移植された、およびCD45RB/RO結合キメラ抗体で処置されたhu−PBL−NOD/SCIDマウスでは、コントロール受体マウスと比較してより低量のヒトIFN−γのが血清中で検出される。
【0208】
これらのデータにより、CD45RB/RO結合キメラ抗体での短期間処置は移植片浸潤を防御することにより、および白血球媒介のインビボ拒絶反応を阻害することによりヒト島同種移植片の生存延長に至ることが示される。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】「候補mAb」による1次MLRの阻害は0.001および10μg/mlの範囲で用量依存的であることを示している。「濃度」は「候補mAb」の濃度である。
【図2】配列番号:15の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHQのプラスミドマップを示す。
【図3】配列番号:16の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCMV−G1 HuA6−VHEのプラスミドマップを示す。
【図4】配列番号:17の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:14(3964−4284)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV1のプラスミドマップを示す。
【図5】配列番号:18の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13(3921−4274)のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターHCMV−K HuAb−VL1humV2のプラスミドマップを示す。
【図6】配列番号:36の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:33のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL1SP20のプラスミドマップを示す。
【図7】配列番号:39の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:13のヌクレオチド配列を有する軽鎖を含む発現ベクターLCVL2SP20のプラスミドマップを示す。
【図8】配列番号:37の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:34のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHEN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
【図9】配列番号:38の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:35のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQN73D Sp20のプラスミドマップを示す。
【図10】配列番号:40の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:11のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHESp20のプラスミドマップを示す。
【図11】配列番号:41の完全発現ベクターヌクレオチド配列において配列番号:12のヌクレオチド配列を有する重鎖を含む発現ベクターHCVHQSp20のプラスミドマップを示す。
【図12】VHE/humV1、VHE/humV2、VHQ/humV1およびVHQ/humV2、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV1のサイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
【図13】VHE/humV2、VHE/humV1、VHQ/humV2およびVHQ/humV1、ならびにVHE−N73D/humV1と一緒のVHE/humV2の陽イオン交換クロマトグラフィーを示す。
【図14】VHE/humV2およびVHE−N73D/humV1の逆相クロマトグラフィーを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有している少なくとも1つの抗原結合部位を含む結合分子。
【請求項2】
a)配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有している第1のドメイン;および
b)配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)を有している第2ドメイン
を含む請求項1に記載の結合分子。
【請求項3】
キメラまたはヒト化結合分子である請求項1または2のいずれかに記載の結合分子。
【請求項4】
キメラまたはヒト化結合分子がキメラまたはヒト化モノクローナル抗体である請求項1から3のいずれかに記載の結合分子。
【請求項5】
1個以上のグリコシル化部位を含む請求項1から4のいずれかに記載の結合分子。
【請求項6】
グリコシル化部位がNグリコシル化部位である請求項5に記載の結合分子。
【請求項7】
グリコシル化部位が可変領域に存在しない請求項1から6のいずれかに記載の結合分子。
【請求項8】
配列番号:1のポリペプチドおよび/または配列番号:2のポリペプチドを含む請求項1から7のいずれかに記載の結合分子。
【請求項9】
配列番号:3のポリペプチドおよび/または配列番号:4のポリペプチドを含む請求項1から7のいずれかに記載の結合分子。
【請求項10】
キメラモノクローナル抗体である請求項8または9のいずれかに記載の結合分子。
【請求項11】
配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体である結合分子。
【請求項12】
配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体である結合分子。
【請求項13】
配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、または
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
を含むヒト化抗体である結合分子。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の結合分子をコードするポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
請求項2に記載のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をコードする請求項14に記載のポリヌクレオチド、ならびに/または請求項2に記載のCDR1’、CDR2’およびCDR3’のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
【請求項16】
アミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)を有する該CDR1’、アミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)を有するCDR2’、およびアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)を有するCDR3’によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号:5のポリヌクレオチドおよび/または配列番号:6のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドおよび/または配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号:11もしくは配列番号:12のポリヌクレオチドおよび/または配列番号:13もしくは14のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドおよび/または配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号:34もしくは配列番号:35のポリヌクレオチドおよび/または配列番号:33;配列番号:14もしくは13のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項22】
請求項14から21のいずれかに記載のポリヌクレオチド含む発現ベクター。
【請求項23】
請求項14から21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む発現系であって、該発現系またはその一部が適合する宿主細胞に存在するとき、該発現系またはその一部が請求項1から13のいずれかに記載のポリペプチドを生成することができるものである、発現系。
【請求項24】
請求項14から21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む発現系であって、該発現系またはその一部が適合する宿主細胞に存在するとき、該発現系またはその一部が配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有している少なくとも1つの抗原結合部位を含む結合分子を生成することができるものである、発現系。
【請求項25】
請求項23または24に記載の発現系を含む単離された宿主細胞。
【請求項26】
薬剤として請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体の使用。
【請求項27】
自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/もしくはアレルギーの処置ならびに/または予防における請求項26に記載の使用。
【請求項28】
移植片対宿主病(GVHD)の処置および/または予防における請求項27に記載の使用。
【請求項29】
膵臓島細胞移植片拒絶の処置のための医薬品の調製における請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体の使用。
【請求項30】
結合分子またはヒト化抗体が配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含む請求項26から29のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤に随伴されて請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体を含む医薬組成物。
【請求項32】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および予防の方法。
【請求項33】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む乾癬の処置および/または予防の方法。
【請求項34】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む移植片対宿主病(GVHD)の処置および/または予防の方法。
【請求項35】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む膵臓島細胞移植拒絶に関連する疾患の処置および/または予防の方法。
【請求項36】
結合分子またはヒト化抗体が配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含む請求項32から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
CD45ROおよびCD45RBの双方に関して結合特異性を有する結合分子の医薬品における使用。
【請求項38】
結合分子がキメラ、ヒト化または完全ヒトモノクローナル抗体である請求項37に記載の使用。
【請求項39】
結合分子が解離定数(Kd)<15nMでCD45ROアイソフォームに結合する請求項37または38に記載の使用。
【請求項40】
結合分子が解離定数(Kd)<15nMでCD45RBアイソフォームに結合する請求項37から38のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
CD45分子のAおよびBエピトープを含むが、Cエピトープを含まない;および/もしくは
CD45分子のBエピトープを含むが、Aを含まずそしてCエピトープを含まない;
CD45アイソフォーム;ならびに/または
CD45分子のA、BまたはCエピトープのいずれか1つを含まないアイソフォーム;
に結合分子が結合する請求項37から40のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
CD45分子のA、BおよびCエピトープの全てを含む;および/または
CD45分子のBおよびCエピトープの双方を含むが、Aエピトープを含まない;
CD45アイソフォームに結合分子が結合する請求項37から41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
結合分子がPEER細胞上のその標的エピトープに結合し、そしてここで該結合はKd<15nMである請求項37から42のいずれかに記載の使用。
【請求項1】
配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有している少なくとも1つの抗原結合部位を含む結合分子。
【請求項2】
a)配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有している第1のドメイン;および
b)配列に超可変領域CDR1’、CDR2’およびCDR3’を含み、CDR1’はアミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)を有し、CDR2’はアミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)を有し、そしてCDR3’はアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)を有している第2ドメイン
を含む請求項1に記載の結合分子。
【請求項3】
キメラまたはヒト化結合分子である請求項1または2のいずれかに記載の結合分子。
【請求項4】
キメラまたはヒト化結合分子がキメラまたはヒト化モノクローナル抗体である請求項1から3のいずれかに記載の結合分子。
【請求項5】
1個以上のグリコシル化部位を含む請求項1から4のいずれかに記載の結合分子。
【請求項6】
グリコシル化部位がNグリコシル化部位である請求項5に記載の結合分子。
【請求項7】
グリコシル化部位が可変領域に存在しない請求項1から6のいずれかに記載の結合分子。
【請求項8】
配列番号:1のポリペプチドおよび/または配列番号:2のポリペプチドを含む請求項1から7のいずれかに記載の結合分子。
【請求項9】
配列番号:3のポリペプチドおよび/または配列番号:4のポリペプチドを含む請求項1から7のいずれかに記載の結合分子。
【請求項10】
キメラモノクローナル抗体である請求項8または9のいずれかに記載の結合分子。
【請求項11】
配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体である結合分子。
【請求項12】
配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含むヒト化抗体である結合分子。
【請求項13】
配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:9のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:10のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、
配列番号:31のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:7のポリペプチド、または
配列番号:32のポリペプチドおよび配列番号:8のポリペプチド、
を含むヒト化抗体である結合分子。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の結合分子をコードするポリヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項15】
請求項2に記載のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列をコードする請求項14に記載のポリヌクレオチド、ならびに/または請求項2に記載のCDR1’、CDR2’およびCDR3’のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
【請求項16】
アミノ酸配列Arg−Ala−Ser−Gln−Asn−Ile−Gly−Thr−Ser−Ile−Gln(RASQNIGTSIQ)を有する該CDR1’、アミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Glu−Ser−Ile−Ser(SSSESIS)を有するCDR2’、およびアミノ酸配列Gln−Gln−Ser−Asn−Thr−Trp−Pro−Phe−Thr(QQSNTWPFT)を有するCDR3’によるCDR1’、CDR2’およびCDR3’のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号:5のポリヌクレオチドおよび/または配列番号:6のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドおよび/または配列番号:9もしくは配列番号:10のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号:11もしくは配列番号:12のポリヌクレオチドおよび/または配列番号:13もしくは14のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドおよび/または配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号:34もしくは配列番号:35のポリヌクレオチドおよび/または配列番号:33;配列番号:14もしくは13のポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド。
【請求項22】
請求項14から21のいずれかに記載のポリヌクレオチド含む発現ベクター。
【請求項23】
請求項14から21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む発現系であって、該発現系またはその一部が適合する宿主細胞に存在するとき、該発現系またはその一部が請求項1から13のいずれかに記載のポリペプチドを生成することができるものである、発現系。
【請求項24】
請求項14から21のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む発現系であって、該発現系またはその一部が適合する宿主細胞に存在するとき、該発現系またはその一部が配列に超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含み、該CDR1はアミノ酸配列Asn−Tyr−Ile−Ile−His(NYIIH)を有し、該CDR2はアミノ酸配列Tyr−Phe−Asn−Pro−Tyr−Asn−His−Gly−Thr−Lys−Tyr−Asn−Glu-Lys−Phe−Lys−Gly(YFNPYNHGTKYNEKFKG)を有し、そして該CDR3はアミノ酸配列Ser−Gly−Pro−Tyr−Ala−Trp−Phe−Asp−Thr(SGPYAWFDT)を有している少なくとも1つの抗原結合部位を含む結合分子を生成することができるものである、発現系。
【請求項25】
請求項23または24に記載の発現系を含む単離された宿主細胞。
【請求項26】
薬剤として請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体の使用。
【請求項27】
自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/もしくはアレルギーの処置ならびに/または予防における請求項26に記載の使用。
【請求項28】
移植片対宿主病(GVHD)の処置および/または予防における請求項27に記載の使用。
【請求項29】
膵臓島細胞移植片拒絶の処置のための医薬品の調製における請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体の使用。
【請求項30】
結合分子またはヒト化抗体が配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含む請求項26から29のいずれかに記載の使用。
【請求項31】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤に随伴されて請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体を含む医薬組成物。
【請求項32】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む、自己免疫疾患、移植片拒絶、乾癬、皮膚炎、炎症性腸疾患および/またはアレルギーに関連する疾患の処置および予防の方法。
【請求項33】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む乾癬の処置および/または予防の方法。
【請求項34】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む移植片対宿主病(GVHD)の処置および/または予防の方法。
【請求項35】
有効量の請求項1から13のいずれかに記載の結合分子またはヒト化抗体をかかる処置および/または予防を必要とする対象に投与することを含む膵臓島細胞移植拒絶に関連する疾患の処置および/または予防の方法。
【請求項36】
結合分子またはヒト化抗体が配列番号:31もしくは配列番号:32のポリペプチドおよび/または配列番号:7もしくは配列番号:8のポリペプチドを含む請求項32から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
CD45ROおよびCD45RBの双方に関して結合特異性を有する結合分子の医薬品における使用。
【請求項38】
結合分子がキメラ、ヒト化または完全ヒトモノクローナル抗体である請求項37に記載の使用。
【請求項39】
結合分子が解離定数(Kd)<15nMでCD45ROアイソフォームに結合する請求項37または38に記載の使用。
【請求項40】
結合分子が解離定数(Kd)<15nMでCD45RBアイソフォームに結合する請求項37から38のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
CD45分子のAおよびBエピトープを含むが、Cエピトープを含まない;および/もしくは
CD45分子のBエピトープを含むが、Aを含まずそしてCエピトープを含まない;
CD45アイソフォーム;ならびに/または
CD45分子のA、BまたはCエピトープのいずれか1つを含まないアイソフォーム;
に結合分子が結合する請求項37から40のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
CD45分子のA、BおよびCエピトープの全てを含む;および/または
CD45分子のBおよびCエピトープの双方を含むが、Aエピトープを含まない;
CD45アイソフォームに結合分子が結合する請求項37から41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
結合分子がPEER細胞上のその標的エピトープに結合し、そしてここで該結合はKd<15nMである請求項37から42のいずれかに記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−529196(P2007−529196A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526599(P2006−526599)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010471
【国際公開番号】WO2005/026210
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010471
【国際公開番号】WO2005/026210
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】
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