説明

治療用PEG溶液濃縮物

本発明は、化学的に安定しおよび微生物混入に抵抗性のある、便秘の治療または胃腸管洗浄のための、ポリエチレングリコール液体濃縮物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、胃腸病学の分野に関する。より詳細に述べると、本発明は、濃縮された液体ポリエチレングリコール溶液を含有する、緩下薬および緩下薬-ベースの治療ならびに胃腸管(GI)洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術分野の説明
便秘は、国際Rome II判定基準により定義された症状(例えば、排便困難;排便に伴う兎糞状便または硬便;および、1週間に3回未満の排便)の集合として特徴付けられる胃腸管障害である。便秘は、米国において最も一般的な胃腸管に関する愁訴であり;4千万を超える人々(人口の約15〜20%)が、自己-評価調査により、頻繁な便秘としている。
【0003】
現在の便秘治療は、ふたつの大きい範疇に分けられ、各々個別の欠点がある。ひとつの範疇は、瀉下薬(cathartics)または軟下剤(purgative)および浸透圧性薬剤を含み、これは一般に数分から数時間以内に生じる強制的な腸管運動を制御できない様式で引き起こす。瀉下薬または軟下性緩下薬による腸管運動は、予測不可能で切迫している点を特徴としており、その結果腸管運動がいつどこで生じるかを患者が制御することは事実上できない。このような瀉下性緩下薬の例は、ビサコジル、センナ、ラクツロース、生理食塩水系緩下薬、および胃腸管(GI)洗浄がある。
【0004】
第二の緩下薬の範疇は、いわゆる「膨張性薬剤(bulk former)」であり、化学的に合成されたもしくは天然の炭水化物および/または他の物質の消化性または非消化性のポリマー、例えばオオバコおよびメチルセルロースなどで構成される。膨張性薬剤は、制御不可能な切迫感は生じないが、それらの効能の時間経過は、瀉下薬または軟下剤よりもより長い時間がかかり、時には2〜3日と長いことがある。従って切迫感はその結果消失する一方で、苦痛の軽減は遅れる。
【0005】
便秘治療のより良い手段は、膨張性薬剤を伴う、制御不可能な切迫感を欠いている短期間効能のある軟下剤との組合せである。このような製品は、切迫感を伴わずに、一晩で苦痛の軽減を生み出し、患者がその腸管運動の時間と場所をより容易に制御することを可能にし、それらの便秘症候群の独自の緩和を提供する。
【0006】
ポリエチレングリコール(「PEG」)は、随時便秘のために医師により処方される現在市販されている薬品である。この薬品は、有効成分としてPEG 3350を、白色粉末の形で含有している。現在使用されるように、患者は、1回服用量を作成するために、選択された8オンスの水、ジュース、コーヒー、紅茶、ソーダ水、または他の飲料水の中に、大さじ山盛り一杯のPEG散剤(約17g)を溶解する。典型的には、患者は、1日1回服用を繰り返す。PEGの水および他の液体中の希釈溶液(例えば、17g/250ml)である。このような希釈溶液は、微生物および細菌の増殖を助け、その結果少なくとも6ヶ月よりも長い貯蔵寿命を有さなければならない市販製品に必要な長期間にわたる化学的安定性はないであろう。加えて、大容積の溶液の質量は、製品の搬送コストを許容できないほど高価なものとするであろう。更に散剤形のPEGは、溶液への溶解に約3分間を要する。患者は、この散剤を溶液に溶解するのに必要であるこの時間(約3分間)について不満を感じることが多い。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
ポリエチレングリコールの濃縮された溶液は、化学的に安定しており、微生物の増殖を助けないことが発見された。これらの溶液は、便秘治療用溶液の摂取(consumption)もしくは調製または洗浄のために都合良く使用することができる。濃縮されたポリエチレングリコール溶液の利点のひとつは、粉末の形のポリマーは、既に患者のために水性媒体に溶解されており、更なる溶解は瞬時であることである。患者は、その濃縮された形の溶液を服用するか、または自分が選択した液体中にポリエチレングリコール濃縮物を溶解し、その後これを自身に投与するかのいずれかを行うことができる。
【0008】
この発見は、ひとつの局面において、水性ポリエチレングリコール濃縮物を含有する、貯蔵安定性がよく、かつ微生物-抵抗性の、治療用溶液を含有する組成物を含む、本発明の開発に活用されている。
【0009】
本明細書において使用される用語「濃縮物」は、ポリエチレングリコールと組合せて使用される場合、正常なヒト血漿と比べ、高-浸透性である溶液を意味する。高-浸透性とは、測定された浸透圧が、280mOsmよりも大きい溶液を意味する。用語「ポリエチレングリコール」は、ポリエチレンオキシド(PEO)ポリマーおよびポリオキシエチレン(POE)ポリマーを包含している。本明細書において使用される用語「ポリマー」は、単量体の構造単位の長い反復鎖を意味する。この単量体の構造単位は、同じであるか、またはそれらは異なることができる。用語「PEO」および「POE」は、分枝鎖または直鎖のポリマーを含むと理解される。用語「貯蔵安定性」は、室温で少なくとも2年間、その治療的有効性の少なくとも約80%を維持する物理特性を意味する。用語「室温」は、相対湿度60%での25℃を意味する。用語「微生物-抵抗性」は、細菌および酵母などであるが、これらに限定されるものではない微生物の、混入を受けにくいか、または増殖を支援することができないという特徴を意味する。
【0010】
一部の態様において、ポリエチレングリコールは、約1,000ダルトン〜約20,000ダルトンよりも大きい平均分子量を有する。別の態様において、ポリエチレングリコールは、約1,500ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。更なる態様において、ポリエチレングリコールは、約3,000ダルトン〜約8,000ダルトンの平均分子量を有する。特定の態様において、ポリエチレングリコールは、平均分子量3350ダルトンを有する。
【0011】
この組成物は、ポリエチレングリコールを溶液1mlにつき約0.1g〜約0.8gを含有することができる。あるいはこの組成物は、投与量1ml当たり約0.6gのポリエチレングリコールを含有する。一部の態様において、この組成物は、投与量1ml当たり約5g〜約500gのポリエチレングリコールを含む。ある態様において、組成物は、液体の、凍結した、食料品に混入された形で提供される。
【0012】
一部の態様において、この組成物は更に、電解質および/または刺激性緩下薬および/または甘味剤、香味剤、安定剤、および/または保存剤などの、追加の添加剤を含有する。
【0013】
発明の説明
化学的に安定した、微生物-抵抗性のある、水性ポリエチレングリコール濃縮物が、便秘の治療または瀉下性洗浄のために考案されている。ポリエチレングリコール散剤は顆粒であり、液体への溶解に3分間またはそれ以上かかるので、患者は、ポリマーの予め混合した溶液を有することで恩恵を受ける。このような溶液は、簡便かつ容易に別のビヒクルまたは溶液に混合することができるか、またはそのまま摂取される。希釈された形の場合に典型的に摂取されるものよりも、より少い量で濃縮された形で摂取することができる。
【0014】
食品等級または医薬品等級のポリエチレングリコールは、ここで企図された組成物において使用することができる。例えばポリエチレングリコールポリマーは、商業的に入手可能である(例えば、Dow Chemical Company(ミッドランド、MI)、BASF Corporation(マウントオリーブ、NJ)、もしくはClariant(ベルグセン、独国)、または他の食品/医薬品等級の化学物質の製造供給元から)。室温(すなわち約25℃)で固形物でありおよび水に室温で溶解性もしくは混和性である比較的高分子量(例えば、約1,500ダルトンを上回る)のPEGポリマーが、有用である。平均分子量約1,500ダルトン〜約20,000ダルトン、または約3,000ダルトン〜約8,000ダルトンを有するPEGポリマー、例えば平均分子量3,350ダルトンを有するPEG3350が、有用である。
【0015】
本発明の水性ポリエチレングリコール濃縮物は、水または他の水生媒体中へポリマーを分散および/または溶解することにより調製される。他の水性媒体は、ジュース、炭酸ガス入りのおよびその他のソフトドリンク、生理食塩水、コーヒー、紅茶、牛乳および乳製品を含むが、これらに限定されるものではない。得られるポリエチレングリコール濃縮物は、無色透明の、一般に無味および無臭の液体であることができ、ポリマー濃度約0.1g/ml〜約0.8g/mlに製剤されている。この濃縮物は、水よりもより粘度が高いことができるので、これをシロップ剤として特徴付けることができる。ポリエチレングリコールの濃度は、低下または増大することができ、室温での水または水溶液中のこのポリマーの溶解度は、制限因子である。加熱した場合に、より高い濃度のポリエチレングリコールを実現することができるが、熱は、このシロップ剤が室温に冷却された場合に、ポリマーの分解または沈殿を引き起こすことがある。
【0016】
最終の濃縮されたシロップ剤は、約2000mOsmを上回る浸透圧を有する高-浸透性溶液である。4℃で3ヶ月間貯蔵された全ての製剤は、安定している。同じく25℃および相対湿度(RH)60%で9ヶ月間貯蔵された、保存剤および食味向上剤を伴ういくつかの製剤も、安定している。加えて、保存剤、食味向上剤、および着色剤を伴う一部の風味のある製剤は、促進条件下(50℃および40℃/75%RH)で3ヶ月間安定し、ならびに管理された室温条件下(25℃/60%RH)で6ヶ月間安定している。
【0017】
本発明の濃縮されたポリマー溶液は、いくつかの様々な添加剤も含有することができる。例えばこの溶液は、香味剤、例えば油分ベースであってよい、チェリー、ブドウ、紅茶、リンゴ、レモン-ライム香味剤などを含有することができる。水性または油性ベースの香味剤は、市販されている(例えば、IFF(International Flavors and Fragrances)、シカゴ、IL;Flavors of North America、カロルストリーム、IL;Kraft Foods、グレンヴュー、IL;または、他の食品/医薬品等級の香味剤の製造供給元から)。この溶液は、同じくまたは代わりに、砂糖、スクラロース、アセスルファームK、果糖、および/またはアスパラタームなどの甘味剤を含有することもでき、これらも同じく市販されている(例えば、Spectrum Quality Products、ニューブルックウィック、NJ;または、McNeil Nutritionals Devision of McNeil-PPC, Inc.、フォートワシントン、PA;または、他の食品/医薬品等級の化学物質の製造供給元から)。マレイン酸、クエン酸および/またはアスコルビン酸などであるが、これらに限定されるものではない香味増強剤を、添加することができる。これらの増強剤は、入手可能である(例えば、Spectrum Quality Products、ニューブルックウィック、NJ;または、他の食品/医薬品等級の化学物質の製造供給元から)。この溶液は、香味に合致するように、例えばリンゴジュースのためには明褐色に、紅茶のためには暗褐色に、ブドウのためには紫色になど、着色することもできる。有用な着色剤は、市販されている(例えばWarner-Jenkinson, セントルイス、MO;または、他の食品/医薬品等級の色料の製造供給元から)。新鮮さを保つために、保存剤を添加することができる。一部の有用な保存剤は、市販されているパラベン、安息香酸塩、ソルビン酸塩、およびアルコールを含むが、これらに限定されるものではない(例えば、Spectrum Quality Products、ニューブルックウィック、NJ;または、他の食品/医薬品等級の化学物質の製造供給元から)。この溶液は、オレンジジュース、アイスティー、および他の飲料品のように見えるようにする製品効果のために、添加剤により、透明または不透明(混濁、懸濁など)にすることができる。その他の添加剤を使用することができ、およびこの配合は、食味、臭気、安定性、溶解度、酸度、色などを最適化するように修飾することができる(例えば、米国特許第6,610,336号および第6,444,198号を参照のこと)。
【0018】
この溶液は、繊維状膨張剤または刺激性緩下薬などの、他の緩下薬製品と共に調製することもできる。有用な繊維状膨張剤は、オオバコ種子殻(例えば、Sarcom Distribution Center、サラトガスプリング、NYから入手可能)、メチルセルロース(例えば、Aqualon Co., ホープウェル、VAから入手可能)およびポリカルボフィル(例えば、Boehringer Ingelheim Chemicals Inc., ピーターズバーグ、VAから入手可能)を含む。有用な刺激性緩下薬は、ビサコジル(例えばOhm Labs, ノースブランスウィック、NJ;または、他の食品/医薬品等級の刺激性緩下薬の製造供給元からから入手可能)を含む。ポリエチレングリコールは、単独で、または塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸、およびクエン酸マグネシウムの1種もしくは複数と組合せて、本発明において使用することができる。この製剤は、冷却したスラリーまたはデザートドリンクのように、半固形の、凍結し調製してもよく、または食品に、および、キャンディーのような他の糖菓に、トッピングとして、または他の食用混合物中の成分として、添加してもよい。
【0019】
本発明のポリエチレングリコール濃縮物の有用な非限定的製剤を、以下に説明する。
製剤1:PEG 3350 75g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、チェリー香料8.3ml。
製剤2:PEG 3350 555g、精製水500ml。
製剤3:PEG 3350 555g、精製水500ml、安息香酸ナトリウム2g。
製剤4:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、チェリー香料8.3ml。
製剤5:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、チェリー香料8.3ml、赤色#40 1.5g。
製剤6:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、紅茶香料8.3ml。
製剤7:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、紅茶香料8.3ml、カラメル色素1.7g。
製剤8:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、ブドウ香料8.3ml。
製剤9:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、ブドウ香料8.3ml、紫色着色料0.13g。
製剤10:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、レモネード香料8.3ml。
製剤11:PEG 3350 555g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、レモネード香料8.3ml、イエローアラム#5 0.08gおよび微量の青色着色料。
製剤12:PEG 3350 555g、精製水500ml、およびオオバコ殻20g。
製剤13:PEG 3350 555g、精製水500ml、およびクエン酸マグネシウム96g。
製剤14:PEG 3350 600g、精製水490ml、安息香酸ナトリウム2g、クエン酸10.2g、Splenda 1.9ml、レモネード香料8.3ml。
【0020】
このポリエチレングリコール溶液を、小児、成人および老人患者の治療に、担当医に従い、使用することができる。獣医による適当な用量調節により、これを動物の治療に使用することもできる。
【0021】
患者は、大さじ約0.1杯〜大さじ約50杯を、濃縮型で、または約6液量オンス(180ml)〜約10液量オンス(300ml)の水(すなわち、固形ポリエチレングリコールの質量の約10〜12倍)への、便宜上の希釈型のいずれかで、症状緩和に必要な1日につき最大約4回服用することができる。別の態様において、患者は、濃縮型または先に説明されたような希釈型のいずれかで、この濃縮物を大さじ約1杯〜約5杯摂取することができる。本明細書において使用される場合の用語「希釈」は、治療用ポリエチレングリコール濃縮物の液体との混合物により、より低い濃度を作成することを意味する。
【0022】
ポリエチレングリコールの典型的に希釈された投与量を調製するために、患者は、グラス中で、約1.0オンス(30ml)(大さじ約2杯)の溶液を、水と混合し、総量約8オンス(230ml)とする。あるいはシロップ剤を、希釈せずに摂取し、これにより約8オンス(230ml)から約1.0オンス(30ml)へと、緩下薬として必要な容積を減少する。このシロップ剤の直接摂取後、グラス一杯の水または他の飲料品が、追加物(chaser)として推奨される。GI洗浄としての、希釈しない直接のシロップ剤の摂取は、約128オンス(3800ml)から約16オンス(470ml)未満まで必要な容積を減少し、水の追加物を排除するであろう。この溶液の使用は、患者の服薬遵守を向上する。同様の改善が、この溶液をGI洗浄液として使用した場合に認められる。ポリエチレングリコールは、腸管から著しく吸収されない浸透圧的に能動的(active)物質であり、その結果約5g〜約200gの範囲の用量を最大1日4回服用することができるので、固形型のポリエチレングリコール約10g〜約30g(症状の重症度に応じて)のいずれかを、便秘の治療に使用することができる。
【0023】
液体濃縮物の調製は、秤量された粉末の容器への投入である手動または自動化された手法からなる粉末の充填操作に関連した多くの包装の問題点を解決する。このような手法は、典型的には経費がかかり、時間がかかり、不正確であり、ならびに誤差および無駄を産みやすい。本発明において、溶液は、液体充填操作を必要とするが、これは比較の上で簡便かつ迅速である。加えて濃縮物の調製は、緩下薬濃度へ希釈されたポリエチレングリコール散剤よりも、場所をとらない。この製剤は、濃縮されたシロップ剤は輸送コストを節約するので、エネルギーおよび資源を保存すると考えられる。同じくシロップ剤は、粉末化されたポリエチレングリコールを溶融し冷却時に役立たない固形塊を形成することがわかっているような短期間の高温への曝露に耐えることができる。
【0024】
本発明のポリエチレングリコール溶液は、診断または手術目的の腸管洗浄のための調製物(例えば、電解質補充を伴うまたは伴わない、胃腸管洗浄用調製物)として、非常に多い投与量で使用することができる。例えば、約16オンス(470ml)(または、患者の担当医により処方された量)を、瀉下目的で使用することができる。胃腸管調製物中のビサコジル錠のような他の緩下薬と組合わせた場合には、この投与量の約半分を使用することができる。例えばこの配合物を洗浄として使用する場合、または他の症例において電解質が患者に必要である場合は、電解質を添加することができる。有用な電解質は、塩素、炭酸水素、硫酸、炭酸およびクエン酸の、ナトリウムおよびカリウム塩を含む。これらの電解質の濃度は、緩下薬の投与量に応じて決まり、患者の生理状態の電解質平衡を得ることが必要である。電解質平衡を達成することができる電解質濃度の非限定的例は、以下である:ナトリウム65〜125mmol/l、硫酸塩20〜40mmol/l、塩酸塩35〜50mmol/l、炭酸水素塩10〜30mmol/l、およびカリウム5〜10mmol/l。電解質の例は、市販されている(例えば、Morton Salt, Mallinckrodt、セントルイス、MO;Spectrum Quality Products、ニューブルックウィック、NJ;または、他の食品/医薬品等級の化学物質の製造供給元から)。
【0025】
前述の例証的態様の説明は、本方法の一般的性質を明らかにしている。当業者は、通常の技術の適用により、過度の実験をせずにこの説明された方法を容易に修飾、または適応することができることを理解するであろう。例証的態様の説明は、例示であり、限定ではない。この方法は、例示のために詳細に説明されている。具体的詳細の変化を、当業者は行うことができる。例えば、有用な種類または範囲の説明は、そこに含まれる小さい範囲または小さい種類の説明、更には各数値、または該種類の値の個別の説明を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性高浸透圧性ポリエチレングリコール(PEG)濃縮物を含む、貯蔵安定性(shelf stable)および微生物-抵抗性の治療用溶液を含有する、組成物。
【請求項2】
ポリエチレングリコールが、約1,000ダルトンより大きく約20,000ダルトンまでの平均分子量を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ポリエチレングリコールが、約1,500ダルトン〜約20,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
ポリエチレングリコールが、約3,000ダルトン〜約8,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
ポリエチレングリコールが、PEG 3350である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
溶液が、ポリエチレングリコール約0.8g〜1.22g/溶液1mlを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
溶液が、投与量当たりポリエチレングリコール約0.6g/mlを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
溶液が、投与量当たりポリエチレングリコール約5g〜約500gを含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
電解質を更に含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
液体の、凍結した、および/または食料品へ混入された形で提供される、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
刺激性緩下薬を更に含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
甘味剤を更に含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
香味剤、安定剤、および/または保存剤を更に含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
繊維を更に含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
治療が必要な患者において便秘を治療する方法であって、患者へ請求項1記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
治療が必要な患者において便秘を治療する方法であって、患者へ請求項5記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項17】
治療が必要な患者において便秘を治療する方法であって、以下を含む方法:
a)請求項1記載の組成物を希釈する工程;および
b)希釈した組成物を患者へ投与する工程。
【請求項18】
治療が必要な患者において胃腸管洗浄を実行する方法であって、患者へ請求項1記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項19】
治療が必要な患者において胃腸管洗浄を実行する方法であって、患者へ請求項5記載の組成物を投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
治療が必要な患者において胃腸管洗浄を実行する方法であって、以下を含む方法:
a)請求項1記載の組成物を希釈する工程;および
b)希釈した組成物を患者へ投与する工程。
【請求項21】
溶液が、溶液1ml当たりポリエチレングリコール1.11g〜1.22gを含有する、請求項7記載の組成物。

【公表番号】特表2007−511610(P2007−511610A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541345(P2006−541345)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/038553
【国際公開番号】WO2005/049049
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(504405545)ブレーントリー ラボラトリーズ インコーポレーティッド (6)
【Fターム(参考)】