説明

泡回収装置及び泡回収システム

【課題】脱硫後の使用済海水面上に浮遊している泡を回収し、泡を除去した使用済海水のみを周辺海域に排水できるようにした泡回収装置を提供すること。
【解決手段】海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路1に設置され、使用済海水の水面に浮遊する泡4を除去して回収する泡回収装置20であって、水路1の側面に形成した越流堰30を介して連結される泡回収ピット部40が設けられ、水路1を横断するようにして浮いた状態で保持される泡寄せ浮体50を設置して、水面WLに浮遊する泡4及び表面海水流を使用済海水の主流から分離させて泡回収ピット部40へ導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚き、原油焚き及び重油焚き等の発電プラントに適用される排煙脱硫装置の廃水処理に係り、特に、海水法を用いて脱硫する排煙脱硫装置の排水から泡を除去する泡回収装置及び泡回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭や原油等を燃料とする発電プラントにおいて、ボイラから排出される燃焼排気ガス(以下、「ボイラ排ガス」と呼ぶ)は、ボイラ排ガス中に含まれている二酸化硫黄(SO)等の硫黄酸化物(SOx)を除去してから大気に放出される。このような脱硫処理を施す排煙脱硫装置の脱硫方式としては、石灰石石膏法、スプレードライヤー法及び海水法が知られている。
【0003】
このうち、海水法を採用した排煙脱硫装置(以下、「海水脱硫装置」と呼ぶ)は、吸収剤として海水を使用する脱硫方式である。この方式では、たとえば略円筒のような筒形状を縦置きにした脱硫塔(吸収塔)の内部に海水及びボイラ排ガスを供給することにより、海水を吸収液として湿式ベースの気液接触を生じさせて硫黄酸化物を除去している。
上述した脱硫塔内で吸収剤として使用した脱硫後の海水(使用済海水)は、たとえば図20に示すように、水路(Seawater Oxidation Treatment System;SOTS)1内を流れて排水される際、水路1の底面に設置したエアレーションノズル2から微細なエアレーション気泡3を流出させるエアレーションによって脱炭酸(爆気)される。
【0004】
上述した脱炭酸によりpH値の調整がなされる際には、微細なエアレーション気泡3、脱硫塔内において海水中に取り込まれたボイラ排ガス中の成分(煤塵等)、及び海水中に含まれる有機物等の相互作用により、水路1内を流れる使用済海水の水面上には大量の泡4が発生する。この泡4は、容易に消えないだけでなく有害物質も含んでいるので、水路1から海水とともに周囲の海域へそのまま放出されることは景観上及び環境汚染上好ましくない。
このように、微細なエアレーション気泡3を流出させるエアレーションを実施し、使用済海水の脱炭酸を行う水路1の領域は、エアレーションエリア5と呼ばれている。
【0005】
水面上の泡除去に類似または関連する従来技術としては、水面上に浮遊する油を回収するための油回収装置が知られている。この油回収装置は、水面に浮遊して油回収装置を支持する浮揚手段と、油の吸引手段と、集油口から油を集油して吸引手段へ導く集油手段とを備えている。(たとえば、特許文献1参照)
また、回収槽に浮遊している塗装スラッジ等をスムーズに回収可能な装置として、スラッジ等の回収装置が提案されている。(たとえば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開2004−351279号公報(図1等を参照)
【特許文献2】特開平6−296911号公報(図1等を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した水路1内を流れて周辺海域へ排水される脱硫後の使用済海水は、水面上に浮遊する泡4が景観悪化や環境汚染の原因になる。このため、このような問題を解消するためには、水面上の泡4を海水から適切に分離除去して回収するための装置が必要となる。すなわち、脱硫後の使用済海水面上に浮遊している泡4を適切に分離除去して回収し、泡4のない使用済海水のみを周辺海域に排水できるようにした泡回収装置及びこの泡回収装置を備えた泡回収システムの開発が望まれる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脱硫後の使用済海水面上に浮遊している泡を回収し、泡を除去した使用済海水のみを周辺海域に排水できるようにした泡回収装置及びこの泡回収装置を備えた泡回収システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
請求項1に係る泡回収装置は、海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路に設置され、前記使用済海水の水面に浮遊する泡を除去して回収する泡回収装置であって、前記水路の側面に形成した越流堰を介して連結される泡回収ピット部が設けられ、前記水路を横断するようにして浮いた状態で保持される泡寄せ浮体を設置して、前記水面に浮遊する泡及び表面海水流を前記使用済海水の主流から分離させて前記泡回収ピット部へ導くことを特徴とするものである。
【0008】
このような泡回収装置によれば、水路の側面に形成した越流堰を介して連結される泡回収ピット部が設けられ、水路を横断するようにして浮いた状態で保持される泡寄せ浮体を設置して、水面に浮遊する泡及び表面海水流を使用済海水の主流から分離させて泡回収ピット部へ導くようにしたので、泡寄せ浮体は、浮力により水路内を流れる使用済海水の水位変動に追従して設置位置(高さ)が変化する。このため、泡寄せ浮体は常に水面上の略同一位置に保持されて使用済海水の上部を塞ぐことができ、従って、水面に浮遊する泡及び表面海水流は、水路側壁及び泡寄せ浮体より低くなっている水路側面の越流堰を通して使用済海水の主流から分離し、泡回収ピット部へ確実に回収される。
【0009】
上記の発明においては、前記泡回収ピット部と前記水路との間を連結し、回収した海水の少なくとも一部を泡から分離させて前記水路に戻すリターン流路を設けることが好ましく、これにより、泡回収ピット部の後工程に必要なポンプ等の吸引搬送装置を小型化することができる。
【0010】
上記の発明において、前記越流堰は、堰高さの可変機構を備えていることが好ましく、これにより、泡の厚さ等に応じて越流堰の高さを最適化し、泡回収の確実性を増すことができる。
【0011】
上記の発明において、前記越流堰を形成する側面は、前記水路内を流れる使用済海水の流れと交差する傾斜面であることが好ましく、これにより、越流堰に泡を取り込む流れをスムーズにすることができる。
【0012】
請求項5に係る泡回収装置は、海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路に設置され、前記使用済海水の水面に浮遊する泡を除去して回収する泡回収装置であって、前記水路に隣接して設けられた泡回収ピット部と、水路底部側を残して水中から水面上の所定位置まで流路を遮断するように前記水路を横断して設置された泡保持部材と、前記泡保持部材によりせき止められた泡を水面上から前記泡回収ピット部へ回収する泡回収手段とを具備して構成したことを特徴とするものである。
【0013】
このような泡回収装置によれば、水路に隣接して設けられた泡回収ピット部と、水路底部側を残して水中から水面上の所定位置まで流路を遮断するように水路を横断して設置された泡保持部材と、泡保持部材によりせき止められた泡を水面上から泡回収ピット部へ回収する泡回収手段とを具備して構成したので、水面上に浮かんで流れる泡を泡保持部材によりせき止め、溜まった泡は、泡回収手段によって泡回収ピット部へ確実に回収することができる。
【0014】
上記の発明において、前記泡回収手段は、前記水路上を横断して往復移動可能な移動部と、該移動部から吊り下げられたスクレーパーとを備えていることが好ましく、これにより、水面上に浮かんで溜まった泡を、移動部とともに移動するスクレーパーが削り取るようにして搬送し、泡回収ピット部に回収することができる。
この場合、水路の側壁から泡回収ピット部までを傾斜壁面とすることで、使用済海水から泡を分離させて回収することができる。
【0015】
上記の発明において、前記泡回収手段は、前記水路の側壁部から前記泡回収ピット部まで上昇する円弧壁上で回転する回転式スクレーパーであることが好ましく、これにより、水面上に浮かんで溜まった泡を、回転するスクレーパーが削り取るようにして搬送し、泡回収ピット部に回収することができる。このとき、円弧壁が設けられているので、回転式スクレーパーの回転が妨げられることはなく、しかも、使用済海水から泡を分離させて回収することができる。
この場合、前記回転式スクレーパーは、前記水路を流れる使用済海水の水力により回転駆動されることが好ましく、これにより、回転式スクレーパーを省エネルギ化することができる。
【0016】
上記の発明において、前記泡回収手段は、水面に浮かぶ吸入口から泡を吸引して前記泡回収ピット部まで回収するエジェクタであることが好ましく、これにより、水面上に浮かぶ泡を使用済海水から分離させて回収することができる。
【0017】
上記の発明において、前記泡回収手段は、前記泡回収ピット部の上方に絞りローラを備えたメッシュ製ベルトコンベアであることが好ましく、これにより、水面上に浮かぶ泡を使用済海水から分離させて回収することができる。
【0018】
本発明に係る泡回収システムは、海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路に設置され、前記使用済海水の水面に浮遊する泡を分離除去して回収する泡回収装置を備えている泡回収システムであって、請求項1から11のいずれかに記載の泡回収装置と、前記泡回収装置で回収した泡を脱水乾燥する泡処理装置と、前記泡回収ピット内に回収した泡を吸引して前記泡処理装置まで流路を介して搬送する吸引搬送装置と、を具備して構成したことを特徴とするものである。
【0019】
このような泡回収システムによれば、請求項1から11のいずれかに記載の泡回収装置と、泡回収装置で回収した泡を脱水乾燥する泡処理装置と、泡回収ピット内に回収した泡を吸引して泡処理装置まで流路を介して搬送する吸引搬送装置とを具備して構成したので、泡回収装置の泡寄せ浮体は、浮力により水路内を流れる使用済海水の水位変動に追従して設置位置(高さ)が変化する。このため、泡寄せ浮体は常に水面上の略同一位置に保持されて使用済海水の上部を塞ぐことができ、従って、水面に浮遊する泡及び表面海水流は、水路側壁及び泡寄せ浮体より低くなっている水路側面の越流堰を通して使用済海水の主流から分離し、泡回収ピット部へ確実に回収される。こうして泡回収ピット部に回収した泡は、吸引搬送装置により泡処理装置まで搬送された後、脱水乾燥して泡成分と海水成分とに分離される。
【発明の効果】
【0020】
上述した本発明によれば、脱硫塔から排水された後に水路を流れて排水される使用済海水の水面上から泡を適切に分離除去して回収し、泡のない使用済海水のみを周辺海域に排水できるようになるので、水面上に浮遊する泡が景観を悪化させる問題や環境汚染の問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る泡回収装置及び泡回収システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1から図3に示す泡回収システム10は、たとえば海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔(不図示)から排出された脱硫後の海水(エアレーションエリア5を通過してエアレーションされた海水)のように、使用済海水を流して排水する水路(SOTS)1に設置されることにより、使用済海水の水面WLに浮遊する泡4を分離除去して回収する泡回収装置20を備えている。この泡回収装置20は、水路1の側面に形成した越流堰30を介して連結される泡回収ピット部40と、水路1を横断するようにして浮いた状態で保持される泡寄せ浮体50とを備え、泡寄せ浮体50が水面WLに浮遊する泡4及び表面海水流を使用済海水の主流から分離させ、図中に矢印Fbで示すように、越流堰30を通して泡回収ピット部40へ導くように構成されている。
【0022】
越流堰30は、水路1の側壁1aを部分的に切り欠くようにして、水面WLより低く設定した領域である。そして、この越流堰30に隣接して、すなわち、越流堰30が設けられている水路1の側面である側壁1aには、水路1に隣接するようにして泡回収ピット部40が設けられている。
また、上述した越流堰30については、泡の厚さ等に応じてその高さを最適化できるようにするため、後述する堰高さの可変機構を備えていることが好ましい。
【0023】
泡回収ピット部40は、越流堰30を介して水路1と連結された空間である。泡回収ピット部40の底面41は、越流堰30より低い位置に設定されている。底面41の周囲は側壁42により囲まれているので、泡回収ピット部40には越流堰30を通って使用済海水の主流から分離した泡4及び使用済海水の一部を貯留することができる。この場合、使用済海水の主流から分離した使用済海水の一部は、後述する泡寄せ浮体50により越流堰30側へ導かれた表面海水流である。なお、泡回収ピット部40の容積については、たとえば後述する吸引搬送装置12の能力や使用済海水の処理量等、諸条件を考慮して決定される。
【0024】
また、泡回収ピット部40には、水路1との間を連結するリターン流路43を設けることが好ましい。このリターン流路43は、たとえば底面41またはその近傍位置から水路1の適所に連結されている管路であり、後述する泡回収ピット部40の後工程(吸引搬送装置12等)の処理能力を低減するため、泡回収ピット部40に回収した表面海水流の少なくとも一部を水路1に戻すことを目的としている。すなわち、上述した泡回収ピット部40内においては、回収した泡4を表面海水流から確実に分離させ、表面海水流のみを水路1に戻すことによって後工程の処理量を低減することが望ましい。
【0025】
従って、水面に浮く泡4がリターン流路43に流入することを防止するため、泡回収ピット部40内には適当な泡分離手段を取り付けることが望ましい。なお、泡分離手段の具体例としては、たとえばリターン流路43の近傍に、入口開口44を囲むようにして取り付けられた仕切板(不図示)があり、この仕切板は、泡4が浮いている上部の流通を遮断する高さを有するとともに、下部の底面41側に海水を流す連通流路を備えているので、入口開口44を通って流出する海水から泡4を確実に分離することができる。
【0026】
泡寄せ浮体50は、水路1の幅Wと略同じ幅寸法を有する浮体であり、水路1を横断するようにして、すなわち、水路1の上部を遮断するようにして、水面WLに浮いた状態で保持されている。この泡寄せ浮体50は、水路1を流れる泡4及び使用済海水のうち、越流堰30から泡4及び表面海水流を泡回収ピット40へ導くように設置されている。
図示の泡寄せ浮体50は、平面視を略台形状にした浮体であり、使用済海水の流れ方向(図中の矢印F)において上流側の辺に水路1を斜めに横断する傾斜面51が形成されている。この傾斜面51は、越流堰30を設けた側壁1a側が対向する側壁1b側より下流となるように傾斜している。
【0027】
また、泡寄せ浮体50の高さ(厚さ)Hは、水面WLに浮いた状態において、水面上に突出する適当な高さh1の水上部分と、水中に没した適当な高さh2の水中部分とを有している。すなわち、泡寄せ浮体50は、高さh1の水上部分が水面WLに浮遊する泡4の流れを泡回収ピット40へ導き、かつ、高さh2の水中部分が使用済海水の表面海水流を泡回収ピット40へ導くように構成されている。なお、上述した水上部分の高さh1は、水上に浮遊する泡4の状況等に応じて決めればよいが、たとえば側壁1a,1bの上端と同程度の高さにすればよい。
このような泡寄せ浮体50は、水路1内の所定位置から水流に流されて移動しないようにするため、浮力による上下方向の移動を許容した状態で固定されている。すなわち、浮体構造の泡寄せ浮体50は、水路1内の水位変動に応じた上下方向の移動は可能であるものの、水路1内を流れる使用済海水の流れ方向については移動しないよう所定位置に支持されている。
【0028】
ところで、上述した泡寄せ浮体50は、図2に示すような台形状(平面視)の辺を傾斜面51とするものに限定されることはなく、種々の変形例が可能である。
図4及び図5に示す第1変形例は、略平行四辺形状とした泡寄せ浮体50Aを水路1に傾斜配置することにより、傾斜面51を形成している。
また、図6に示す第2変形例では、直線状の傾斜面51ではなく、泡寄せ浮体50Bが形成する湾曲面52により、泡4及び表面海水流を泡回収ピット40に導くようにしてもよい。
【0029】
このような泡寄せ浮体50としては、水路1の寸法形状に合わせた中空構造等の浮体を採用してもよいし、あるいは、コスト面で有利になる市販のオイルフェンスを採用してもよい。なお、オイルフェンスについては、水面の変動に対応可能な潮位対応のスラーダ付きが望ましい。
【0030】
泡回収システム10は、上述した構成の泡回収ピット40に回収した泡4を搬送して処理するため、先端を泡回収ピット40内に配設した配管11により形成される搬送流路を備えている。搬送流路を形成する配管11の他端側には吸引搬送装置12が連結され、さらに、吸引搬送装置12の吐出側には泡処理装置13が設けられている。
【0031】
上述した吸引搬送装置12には、たとえばエジェクタポンプやバキュームポンプ等のポンプが使用される。
また、泡処理装置13には、回収した泡4を脱水処理して泡成分と海水とに分離させる遠心分離器等が使用される。ここで分離された海水は周辺海域に排水して戻され、泡成分については乾燥処理して固形物とされる。なお、この固形物は、施設内で再利用したり、埋設処理される。
すなわち、泡回収システム10は、水路1上に配置された浮体構造(水上設備)の泡寄せ浮体50に加えて、泡回収ピット40から回収した泡4を吸引して泡処理装置13まで搬送する吸引搬送装置12と、泡回収ピット40に回収した泡4を脱水乾燥する泡処理装置13とを具備した陸上設備とにより構成されている。
【0032】
以下、上述した構成の泡回収システム10について、その作用を泡の回収処理手順とともに説明する。
脱硫塔から排水された脱硫後の使用済海水は、水路1を矢印Fの方向へ流れていく。水路1を流れる使用済海水の水面には泡4が浮遊しており、この泡4が泡寄せ浮体50に到達すると、傾斜面51に導かれて泡4及び表面海水流が使用済海水の流れから分離する。このとき、泡寄せ浮体50が浮体構造であるため、使用済海水面との位置関係は水面変動に係わらず略一定に維持される。
【0033】
この結果、水面上の泡4及び使用済海水の上部を流れる表面海水流が傾斜面51に導かれて使用済海水の主流から分離し、泡回収ピット40内に落下して回収される。一方、使用済海水の主流は、泡4及び使用済海水の上部を流れる表面海水流を除いて、傾斜面51の下方を通過して流れていく。
泡回収ピット40に回収された泡4は、吸引搬送装置12を運転することにより吸引され、配管11を通って泡処理装置13に搬送される。
【0034】
こうして泡処理装置13に搬送された泡4は、必要に応じてさらに海水と泡成分とに分離される。分離後の海水は、泡4がない状態で周辺海域に排水される。一方、分離後の泡成分は乾燥処理により固形物となり、施設内で再利用したり、あるいは、適所に埋設処理される。
従って、脱硫塔から排水された後に水路1を流れて排水される使用済海水の水面上から泡4を適切に分離除去して回収し、泡4のない使用済海水のみを周辺海域に排水できるようになるので、水面上に浮遊する泡4が景観を悪化させる問題や環境汚染の問題を解決することができる。
【0035】
ところで、上述した泡寄せ浮体50、泡回収ピット40及び泡回収システム10は、使用済海水を排水する脱硫塔毎に設けてもよいし、あるいは、複数の脱硫塔から排水された使用済海水を1つの水路1に合流させてまとめた位置に設けてもよい。
【0036】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の泡回収装置について、第2の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7及び図8に示す泡回収装置20Aでは、上流側に配列されるエアレーションエリア5が複数列設けられている。図示の構成例では、並列に配置された3列のエアレーションエリア5A,5B,5Cが設けられている。この場合のエアレーションエリア5は、たとえば3列中の1列を順番にメンテナンスすることで、残る2列を使用した継続運転を可能にしている。なお、エアレーションエリア5の配列数については、上述した3列に限定されるものではない。
【0037】
この実施形態では、泡寄せ浮体として安価なオイルフェンス50Cが採用されている。このオイルフェンス50Cは、海面の潮位変動に対応可能なスラーダー(不図示)を備えているものが望ましい。
また、この実施形態では、泡回収ピット40の下流側に接続して、脱水槽45及び凝集槽46が設けられている。オイルフェンス50Cに導かれ、越流堰30を通って使用済み海水とともに泡回収ピット40に回収された泡は、たとえば泡回収ピット40内の水面に配設したフロートポンプ(不図示)を運転することにより、泡回収ピット40から脱水槽45へ排水することができる。脱水槽45では、使用済海水から泡を分離して凝集槽46へ送る。なお、泡回収ピット40に流入した使用済海水は、底部付近に設けたリターン流路43を通って水路1に戻される。
【0038】
さらに、この実施形態では、越流堰30が水路1の流路断面積を絞って形成された傾斜面1cに設けられている。このため、越流堰30は、流れ方向と交差する傾斜面1cに設けられたものとなるので、流れ方向と平行な側壁1aに設ける場合と比較して、オイルフェンス50Cが形成する湾曲面と協働して泡回収ピット40内へ泡を回収する流れをスムーズにする。
【0039】
ところで、図7及び図8に示した実施形態では、越流堰30が傾斜面1cの一部に設けられているが、たとえば図9に示した変形例の泡回収装置20A′では、傾斜面1cの全域にわたって傾斜面1cが設けられている。このような越流堰30の構成を採用すれば、より一層スムーズで効率のよい回収が可能になる。
なお、この変形例においては、リターン流路43が設けられていないが、必要に応じてリターン流路43を設けてもよい。
【0040】
また、上述した越流堰30については、たとえば図10から図12に示すように、泡の厚さや水面変動等に応じて堰高さを調整可能とするため、堰高さの可変機構を備えていることが好ましい。なお、図10は、水路1の側壁1aに設けられた越流堰30を泡回収ピット部40側から見た図である。
図示の構成例では、越流堰30にゲートボード31が設置されている。このゲートボード31は、図12の平面図に示すように、両側端部がガイド32に支持されて上下方向にスライド可能であり、上端部には高さ(長さ)調整可能なロッド33を介してフロート34が取り付けられている。
【0041】
この場合のロッド33は、たとえばゲートボード31に形成した雌ネジ部と螺合するボルトであり、その挿入量(ねじ込み長さ)を変更してフロート高さの調整が可能となる。すなわち、越流堰30の高さを規定するゲートボード31の上端から、水面に浮いた状態になるフロート34までの距離を調整することが可能になる。また、図中の符号35は、ゲートボード31の両側端近傍及び下端部近傍に取り付けられたシール用のパッキンである。
なお、堰高さの可変機構については、上述した構成例に限定されることはなく、たとえば電動機等の駆動源によりゲートボード31を機械的に上下動させるものでもよい。
【0042】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の泡回収装置について、第3の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図13及び図14に示す泡回収装置20Bは、海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路1に設置され、使用済海水の水面に浮遊する泡を除去して回収する装置である。この泡回収装置20Bは、水路1に隣接して設けられた泡回収ピット部40と、泡保持部材50Dと、泡回収手段として設けたスクレーパー装置60とを備えている。
【0043】
泡保持部材50Dは、水路1の水路底部側を残して水中から水面上の所定位置まで流路を遮断するとともに、水路1を横断して設置されるものであり、たとえばカーテンウォール、泡寄せ浮体及びオイルフェンス等が望ましい。すなわち、泡保持部材50Dは、水路1を流れる使用済海水の水面に浮かぶ泡をせき止めて保持し、使用済海水については水路1の底部側を通して流すものとなる。
泡保持部材50Dによりせき止められた泡は、泡保持部材50Dより上流側の水面上に浮かんだ状態で溜まる。そこで、この泡を泡回収ピット部40へ回収するための泡回収手段として、スクレーパー装置60が設けられている。なお、図示の例では、泡回収ピット部40に回収した泡を処理する装置等の図示を省略しているが、上述した実施形態の構成等を適宜採用すればよい。
【0044】
以下では、スクレーパー装置60の構成例を図13から図15に基づいて説明する。
図示のスクレーパー装置60は、水路1上を横断して往復移動可能な移動部61と、移動部61から吊り下げられて上下動するスクレーパー62とを備えている。
移動部61は、水路1の上部を横断して設けた一対のレール63上を電動機等に駆動されて走行する装置である。図示の構成例では、泡保持部材50Dにカーテンウォール53を採用し、レール63の一方をカーテンウォール53の上面に敷設し、もう一方のレール63については水路1を横断して設けたリブ64上に敷設してあるが、たとえば両方のレール63に専用架台を設けて敷設するなど、特に限定されることはない。
【0045】
このように構成されたスクレーパー装置60は、移動部61がレール63上を走行して往復移動することにより、水面上に浮かんで溜まった泡をスクレーパー62が削り取るようにして搬送し、泡回収ピット部40に回収する。すなわち、移動部61が泡回収ピット部40へ向かって走行する際には、スクレーパー62の下端部が水中に入り込む程度の位置まで下げられることにより、水面に浮かぶ泡を泡回収ピット部40まで確実に搬送することができる。なお、移動部61が泡回収ピット部40から反対側の側壁1b側へ向かって走行する際には、スクレーパー62が泡と接触しないようにするため、水面から十分な高さまで引き上げた状態とされる。
【0046】
次に、上述したスクレーパー装置60の第1変形例を図15に示して説明する。この第1変形例では、移動部61とともに移動するスクレーパーが泡を削り取るようにして搬送し、泡回収ピット部40に回収する部分において、水路1の側壁1aに形成された越流堰30の上端部から泡回収ピット部40までが、次第に壁面が高くなる傾斜壁面65となっている。
このように、水路1の側壁部1aから泡回収ピット部40まで上昇する傾斜壁面65を形成すれば、移動部61が泡回収ピット部40へ向けて図15(b)の紙面右方向へ移動(図中の符号61→61a→61bを参照)するにつれて、スクレーパー62の下端部が傾斜壁面65に持ち上げられて傾斜(図中の符号62aを参照)する。このため、傾斜壁面65を通過する際には、泡がスクレ−パー62に保持されるとともに、使用済海水が重力により自由落下するので、使用済海水から泡を分離させて回収することができ、後工程の負担を軽減することができる。
【0047】
このようにして移動部61が傾斜壁面部65を超えて泡回収ピット部40の上方まで移動すると、傾斜角度を増したスクレーパー62bに搬送された泡はピット内へ落下して回収される。また、このスクレーパー62bは、下端部が傾斜壁面部65を超えた時点で傾斜した状態から解放されて下向き(図中の符号62b′を参照)となる。この後、移動部61は、スクレーパー62を引き上げて側壁1b側へ移動する。
なお、傾斜壁面部65の形状は、最も高い泡回収ピット部40側が水路1を流れる使用済海水の最大水位(たとえば満潮時の水位)より高くなるように設定されている。
【0048】
このような泡回収装置によれば、水路に隣接して設けられた泡回収ピット部と、水路底部側を残して水中から水面上の所定位置まで流路を遮断するように水路を横断して設置された泡保持部材と、泡保持部材によりせき止められた泡を水面上から泡回収ピット部へ回収する泡回収手段とを具備して構成したので、水面上に浮かんで流れる泡を泡保持部材によりせき止め、溜まった泡は、泡回収手段によって泡回収ピット部へ確実に回収することができる。
【0049】
次に、上述したスクレーパー装置60の第2変形例を図16に示して説明する。この第2変形例では、水路1の側壁部1aから泡回収ピット部40まで上昇する円弧壁66上で回転する回転式スクレーパー67が採用されている。
回転式スクレーパー67は、電動機や減速装置等を備えた駆動装置68に連結された回転軸69から放射状に複数のアーム部70が設けられ、各アーム部70の先端にスクレーパー71を取り付けたものである。
【0050】
この場合の円弧壁66は、基本的には上述した傾斜壁面65と同様のものであるが、回転式スクレーパー67の回転を妨げることなく、壁面に沿って回転移動するスクレーパー71と所定の位置関係を維持できる形状としてある。なお、この場合のスクレーパー71については、先端部にブラシ等を装着することが好ましい。
従って、回転式スクレーパー67を運転すると、カーテンウォール53に保持された泡を円弧壁66側へ引き寄せる流れが生じる。そして、順次回転してくるスクレーパー71は、泡とともに使用済海水を泡回収ピット部40側へ搬送し、円弧壁66において使用済海水から分離された泡が泡回収ピット部40に落下して回収される。一方、泡から分離された使用済海水については、円弧壁66に沿って水路1側へ流下して戻される。
【0051】
このような構成にすれば、水面上に浮かんで溜まった泡を、回転するスクレーパー71が削り取るようにして搬送し、泡回収ピット部40に回収することができる。このとき、円弧壁66が設けられているので、回転式スクレーパー67の回転が妨げられることはなく、しかも、使用済海水から泡を分離させて回収することができる。
また、本実施形態及びその変形例では、水路1と直交するようにして泡保持部材50Dやカーテンウォール53を設置していたが、たとえば図17に示す第3変形例のように、泡を越流堰30に導くように傾斜したカーテンウォール53′を採用してもよい。
また、本実施形態及びその変形例では、水路1と直交するようにして泡保持部材50Dやカーテンウォール53を設置していたが、たとえば図18に示す第4変形例のように、オイルフェンス50Cを採用してもよい。
【0052】
また、上述した第2変形例の回転式スクレーパー67については、たとえば図19に示す第5変形例のように、電動機等の駆動源に代えて、水路1を流れる使用済海水の水力により回転駆動されるようにしてもよい。すなわち、図示の回転式スクレーパー67′のように、水路1に水車72を設置し、使用済海水の水流により水車72を回転させて回転式スクレーパー67′の駆動力を得ることで省エネルギ化してもよい。
なお、図中の符号73は、水車72の回転駆動力を減速して回転式スクレーパー67′に伝達するギアボックスである。
【0053】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の泡回収装置について、第4の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図20に示す泡回収装置20Cは、水面に浮かぶ吸入口80から泡を吸引して泡回収ピット部40まで回収するエジェクタである。
【0054】
吸入口80は、水面から所定の間隔を維持するように、フロート81が受ける浮力により吸入開口部80aを下向きにした状態で浮かんでいる。図示の構成例では、吸入口80から四方へ放射状に延びるアーム82が下向きに折曲され、その先端部にフロート81が取り付けられている。このため、アーム82の折曲分だけ水面から吸入口80までの間隔が形成され、しかも、安定した状態で水面に浮かんでいる。
上述した吸入口80には、配管やホース等の管路83が連結されている。この管路83は、泡回収ピット部40に設けられたエジェクタ部84と接続されている。
【0055】
エジェクタ部84は、圧縮機や送風機等の送風装置85からエジェクタ管86に空気を送風し、エジェクタ管86内に開口する管路出口83aに負圧を生じさせて泡を吸引する装置である。図示の構成例では、エジェクタ管86の出口86aが泡回収ピット部40内で下向きとなるように設置され、さらに、エジェクタ管86の下向き部分には管路83が同心に設置されている。
従って、エジェクタ管86の内部を送風装置85から送風された空気が高速で流れることにより、管路出口83a及び管路83に負圧が生じるので、吸入口80の下方及び周辺の泡が吸引され、管路83を通って泡回収ピット部40に回収される。この結果、水面上に浮かぶ泡4を使用済海水から分離し、泡回収ピット部40に回収することができる。
なお、本実施例では図示していないが、海水面上の泡の高さを検出するセンサーを設置し、泡の堆積状況に応じて送風装置85を駆動させてもよく、これにより、省エネルギー化を達成することができる。
【0056】
<第5の実施形態>
続いて、本発明の泡回収装置について、第5の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図21に示す泡回収装置20Dは、泡回収ピット部40の上方に絞りローラ90を備えたメッシュ製ベルト91を備えたコンベア装置である。この泡回収装置20Dは、上述した各実施形態の泡寄せ浮体50やオイルフェンス50C等によりせき止められて水面上に溜まった泡を回収する。
【0057】
このメッシュ製ベルト91は、使用済海水を通す細かい網状ベルトである。このメッシュ製ベルト91を時計回りに周回させるコンベア装置は、略水面上に位置する第1ローラ92と、水路1を構成する側壁1aの上方付近に配置された第2ローラ93と、泡回収ピット部40の上方に配置された第3ローラ94と、第2ローラ92の下方に配置されたガイドローラ95と、図示しない駆動機構とを備えている。この場合、第1ローラ92から第2ローラ93までは上向きのベルト搬送となり、第2ローラ93から第3ローラ94までは下向きのローラ搬送となるように、第1ローラ92、第2ローラ93及び第3ローラ94の高さ位置が設定されている。なお、図中の符号96は海水ガイドであり、各ローラ間には必要に応じて補助ローラが設置されている。
【0058】
上述した構成のコンベア装置を運転すると、第1ローラ92が略水面位置にあるため、この第1ローラ92を通過して上向きに走行するメッシュ製ベルト91が、水面に浮かぶ泡を回収して搬送する。このとき、メッシュ製ベルト91には、泡とともに使用済海水も付着しているが、この使用済海水は、第2ローラ93へ向かう搬送時にメッシュ製ベルト91を通過して水路1上に落下する。
そして、第2ローラ93から第3ローラ94へ向かう下向きのベルト走行時には、メッシュ製ベルト91に付着している泡のうち、比較的大きな泡沫が泡回収ピット部40内へ自然落下して回収される。さらに、自然落下できない比較的小さな泡沫は、絞りローラ90を通過する際にメッシュ製ベルト91から除去され、泡回収ピット部40内へ落下して回収される。
【0059】
また、側壁1aの上方には、泡回収ピット部40側から水路1側へ下がるように傾斜した海水ガイド96が設置されているので、その上方を通過するメッシュ製ベルト91から落下した使用済海水は、泡回収ピット部40側へ落下することなく確実に水路1側へ戻される。
このような構成の泡回収装置20Dとしても、水面上に浮かぶ泡4を使用済海水から分離させて回収することができる。また、この泡回収装置20Dは、越流堰30が不要となる。
【0060】
また、上述したコンベア装置については、たとえば図22に示すように、メッシュ製ベルト91に下向きの走行をさせる第3ローラ94を省略した変形例も可能であり、その搬送経路等については特に限定されることはなく、種々の態様が可能である。
【0061】
上述したように、本発明の泡回収装置は、脱硫塔から排水された後に水路1を流れて排水される使用済海水の水面上から泡4を適切に分離除去して回収するので、泡4のない使用済海水のみを周辺海域に排水できるようになる。この結果、水面上に浮遊する泡4が景観を悪化させる問題や環境汚染の問題を解決することができる。また、上述した各実施形態の泡回収装置で回収した泡4については、第1の実施形態で説明したように、泡処理装置13まで搬送された後、脱水乾燥して泡成分と海水成分とに分離可能である。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る泡回収装置及び泡回収システムの一実施形態を示しており、泡回収装置を流れ方向から見た断面に陸上設備の構成を加えた図である。
【図2】本発明に係る泡回収装置の平面図である。
【図3】本発明に係る泡回収装置の側面図である。
【図4】本発明における泡回収装置の第1変形例を示す要部の斜視図である。
【図5】図4に示す第1変形例の平面図である。
【図6】本発明における泡回収装置の第2変形例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る泡回収装置について、第2の実施形態を示す平面図である。
【図8】図7の泡回収装置について要部を示す斜視図である。
【図9】第2の実施形態に係る変形例を示す平面図である。
【図10】堰高さの可変機構を示す図で、水路の側壁に設けられた越流堰を泡回収ピット部側から見た図である。
【図11】図10のゲートボードを示す断面図である。
【図12】図10の平面図である。
【図13】本発明に係る泡回収装置について、第3の実施形態を示す平面図である。
【図14】図13に示すスクレーパー装置の構成例を示す斜視図である。
【図15】第3の実施形態に係る第1変形例を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図16】第3の実施形態に係る第2変形例を示す図で、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図17】第3の実施形態に係る第3変形例を示す平面図である。
【図18】第3の実施形態に係る第4変形例を示す平面図である。
【図19】第3の実施形態に係る第5変形例を示す平面図である。
【図20】本発明に係る泡回収装置について、第4の実施形態を示す側面図である。
【図21】本発明に係る泡回収装置について、第5の実施形態を示す側面図である。
【図22】第5の実施形態に係る変形例を示す側面図である。
【図23】従来技術を示す側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 水路
1c 傾斜面
4 泡
5,5A〜5C エアレーションエリア
10 泡回収システム
12 吸引搬送装置
13 泡処理装置
20,20A〜20D,20A′,20D′ 泡回収装置
30 越流堰
31 ゲートボード
40 泡回収ピット部
43 リターン流路
50,50A〜50C 泡寄せ浮体
50D 泡保持部材(カーテンウォール)
51 傾斜面
52 湾曲面
60 スクレーパー装置
65 傾斜壁面
66 円弧壁
67 回転式スクレーパー
80 吸入口
81 フロート
84 エジェクタ部
85 送風装置
90 絞りローラ
91 メッシュ製ベルト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路に設置され、前記使用済海水の水面に浮遊する泡を除去して回収する泡回収装置であって、
前記水路の側面に形成した越流堰を介して連結される泡回収ピット部が設けられ、前記水路を横断するようにして浮いた状態で保持される泡寄せ浮体を設置して、前記水面に浮遊する泡及び表面海水流を前記使用済海水の主流から分離させて前記泡回収ピット部へ導くことを特徴とする泡回収装置。
【請求項2】
前記泡回収ピット部と前記水路との間を連結し、回収した海水の少なくとも一部を泡から分離させて前記水路に戻すリターン流路が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の泡回収装置。
【請求項3】
前記越流堰が、堰高さの可変機構を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の泡回収装置。
【請求項4】
前記越流堰を形成する側面が、前記水路内を流れる使用済海水の流れと交差する傾斜面であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の泡回収装置。
【請求項5】
海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路に設置され、前記使用済海水の水面に浮遊する泡を除去して回収する泡回収装置であって、
前記水路に隣接して設けられた泡回収ピット部と、水路底部側を残して水中から水面上の所定位置まで流路を遮断するように前記水路を横断して設置された泡保持部材と、前記泡保持部材によりせき止められた泡を水面上から前記泡回収ピット部へ回収する泡回収手段とを具備して構成したことを特徴とする泡回収装置。
【請求項6】
前記泡回収手段が、前記水路上を横断して往復移動可能な移動部と、該移動部から上下移動可能に吊り下げられたスクレーパーとを備えていることを特徴とする請求項5に記載の泡回収装置。
【請求項7】
前記泡回収手段が、前記水路の側壁部から前記泡回収ピット部まで上昇する傾斜壁面を備えていることを特徴とする請求項6に記載の泡回収装置。
【請求項8】
前記泡回収手段が、前記水路の側壁部から前記泡回収ピット部まで上昇する円弧壁上で回転する回転式スクレーパーであることを特徴とする請求項5に記載の泡回収装置。
【請求項9】
前記回転式スクレーパーが、前記水路を流れる使用済海水の水力により回転駆動されることを特徴とする請求項8に記載の泡回収装置。
【請求項10】
前記泡回収手段が、水面に浮かぶ吸入口から泡を吸引して前記泡回収ピット部まで回収するエジェクタであることを特徴とする請求項5に記載の泡回収装置。
【請求項11】
前記泡回収手段が、前記泡回収ピット部の上方に絞りローラを備えたメッシュ製ベルトコンベアであることを特徴とする請求項5に記載の泡回収装置。
【請求項12】
海水を吸収剤として使用する排煙脱硫装置の脱硫塔から排出された使用済海水を流して排水する水路に設置され、前記使用済海水の水面に浮遊する泡を分離除去して回収する泡回収装置を備えている泡回収システムであって、
請求項1から11のいずれかに記載の泡回収装置と、
前記泡回収装置で回収した泡を脱水乾燥する泡処理装置と、
前記泡回収ピット内に回収した泡を吸引して前記泡処理装置まで流路を介して搬送する吸引搬送装置と、を具備して構成したことを特徴とする泡回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−45614(P2009−45614A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48788(P2008−48788)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】