説明

波エネルギー変換装置および方法

波エネルギー変換装置は、波動に応じて周期的に繰り返し移動するよう配置され、各周期で機械要素の速度が最大値と最小値との間を変化する機械要素と、前記機械要素の移動からエネルギーを抽出するよう配置される動力抽出手段と、前記機械要素の移動の前記速度が周期の前記最小値に実質的に等しい、前記周期の少なくとも一部で、前記機械要素の前記移動を、前記波動に応じて補助するよう配置される前記移動補助手段と、を備え、前記動力抽出手段は、前記機械要素の移動に応じて作動中に流体が加圧されるよう配置された流体加圧システムを備え、前記流体加圧システムは、加圧した流体を前記流体加圧システムから移送するための一方向弁を備え、前記移動補助手段は、前記一方向弁の上流に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波エネルギー変換装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの生成における化石燃料の使用に起因する地球温暖化および環境汚染への関心は、いわゆる「グリーンエネルギー源」、すなわち、例えば、潮汐運動、波力、および風力等の再生可能なエネルギー源を用いたエネルギー生成への移行につながっている。
【0003】
海および他の水域における波が、実質的に未利用の膨大なエネルギーをもたらすことは以前から認識されており、海から動力を抽出するという目的を達成するための発明が数多く為されてきた。しかしながら、波力からエネルギーを抽出することには、特に、振動するという波の性質、および、卓越波の状態が経時的に著しく変化することを原因とする技術的な問題がある。
【0004】
波力捕捉システムには、多数の実例がある。かかるシステムは、波の動作によって移動する機械装置と、結果として生じる機械エネルギーを電力エネルギーに変換する動力変換システムと、を含む。
【0005】
本願出願人名義で出願された以前の特許出願である特許文献1には、比較的浅瀬で使用される波エネルギー変換装置を備えた波力捕捉システムが開示されており、これは、出願前に公知であった波力捕捉システムに関するいくつかの問題に対処するものである。
【0006】
特許文献1の波エネルギー変換装置は、使用に際して垂直方向に付勢され、表面に作用する波動に応じて、垂直方向に対して前方側および後方側に振動するよう形成および配置されたフラップ部を備える。フラップ部は、容積式ポンプを介して流体回路に連結されており、フラップ部の振動が、可変容量形流体モータの動作を駆動する流体回路を通じて、流体に流れを生じさせる。
【0007】
波エネルギー変換装置を用いて動力の抽出を最大化するためには、装置の特性の、波の状態との同調が重要である場合があることが認識されており、そのため、かかる装置の特性を、装置に作用する波の振幅および周波数に対して最適化する。
【0008】
一般に、最大エネルギーを抽出するためには、小さな波よりも大きな波の方が、装置によってもたらされる抵抗トルクを大きくする必要がある。実際の海では、装置が受ける波の周期および振幅は変動するが、最大エネルギーを抽出するために、理論上は、振動トルクが、目下の波に絶えず同調し続けなければならない。このことに対しては、波の大きさに関する予備的な知識と、波の大きさに瞬時に適応可能な動力取出システムとが必要となる。実際には、完全な連続同調や、瞬時の調整は不可能であるが、波エネルギー変換装置の特性を波の状態に同調させるため、様々な実用的な装置が提案されてきた。
【0009】
例えば、波エネルギー変換装置の下流に位置する油圧式の動力取出システムを用いることが提案されており、これによれば、波エネルギー変換装置による抵抗トルクに影響を及ぼすシステム圧力の、(例えば、斜板モータの使用による)迅速な制御が可能になる。システム圧力は、例えば、システムにおける油の流量に基づいて連続的に調整することが可能である。しかしながら、油圧システムを海中環境で用いることには、例えば、必要となるメンテナンスのレベルおよび汚染の可能性等の重大な欠点がある。さらに、かかる装置は比較的複雑である。
【0010】
特許文献2に記載された他の制御システムでは、減衰力およびばね力の両方が波エネルギー変換装置に適用される。この例では、波エネルギー変換装置は連接構造であり、種々のラムの組を用いて、減衰力またはばね力のいずれか一方を、油圧システムを介して作用させる。種々のラムは、卓越波の環境に対するラムの同調を選択的に有効及び無効にするものである。そのシステムは複雑で、さらに油圧を使用する必要があり、そして連接構造に特化したものである。
【0011】
他の制御システムでは、ラッチ装置を用いて、波エネルギー変換装置の運動を、周期の異なる時点で停止させるが、これは、波エネルギー変換装置の運動を一般的な卓越波の環境に、より密接に合わせるためである。
【0012】
いくつかの公知のシステムは、例えば、発電機によって生じる抵抗トルクの制御、または、発電機に関連するタービンに与えられる圧力変化を平滑化するための流体アキュムレータの使用により、発電機による、波力システムからの動力の取出しを平滑化するよう構成される。かかるシステムは、通常、単一のタービンおよび/または単一の発電機に接続した単一の波力装置を備える。しかしながら、波力を大規模な発電に用いることがますます切望されており、また、それ故に、エネルギーの抽出効率を改善するよう用いることが可能で、しかも大規模な動力の取り出しを容易にするシステムが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2006/100436号
【特許文献2】米国特許第6476511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
波から電気エネルギーを生成する装置または方法を、改良するか、または少なくとも代替することが継続的に求められている。特に、エネルギーの抽出効率が改善され、それにより、変動する波の状態においても波エネルギー変換装置を効果的に作動することができる、強固で実用的な装置が継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様において、波動に応じて周期的に繰り返し移動するよう配置され、各周期においてその速度が最大値と最小値との間で変化する機械要素と、機械要素の移動からエネルギーを引き出すよう配置される動力抽出手段と、前記機械要素の移動速度がその周期の最小値に実質的に等しい、前記周期の少なくとも一部の間に、前記機械要素の移動を前記波動に応じて補助するよう配置される移動補助手段と、を備えるエネルギー変換装置が提供される。動力抽出手段は、流体加圧システムを含むものとすることができ、流体加圧システムは、作動中に、流体加圧システム内の流体が機械要素の移動に応じて加圧されるよう配置されており、加圧された流体を流体加圧システムから移送するための少なくとも1つの一方向弁を含むものとすることができ、また、前記移動補助手段は前記少なくとも1つの一方向弁の上流に位置させることができる。
【0016】
周期の少なくとも一部は、該周期の、機械要素が実質的に静止している部分を含むものとすることができる。
【0017】
周期の、機械要素が実質的に静止している部分からは、動力がほとんど、または全く抽出されない。機械要素の移動速度が最小値に実質的に等しいとき(例えば、機械要素が静止したとき)に機械要素の移動を補助することにより、補助されなかった場合よりも早く、その機械要素の移動速度をそれの最小値から脱却させることができ、これによって、各周期の抽出動力が増加する。流体加圧システムの一方向弁の上流に移動補助手段を設けることにより、下流の動力取出コンポーネントの動作に悪影響を与えることなしに、移動を補助することができる。さらに、一方向弁の上流に移動補助手段を設けることにより、例えば、下流で共通の動力取出システムにともに接続可能な他のエネルギー変換装置の動作に影響を及ぼすことなしに、エネルギー変換装置の動作を補助することができる。
【0018】
上記の、周期の少なくとも一部は、周期の、機械要素の移動速度が閾値速度より小さい部分とすることができる。
【0019】
動力抽出手段は、運動に対する抵抗に抗して機械要素が行う仕事から動力を抽出するよう構成することができる。機械要素は、単一の構成要素または複数の構成要素を備えることができる。
【0020】
装置は、加圧された流体を電力生成システムへ移送するための一方向弁の下流に、流体管をさらに備えることができる。電力生成システムは、タービンおよび付随する発電機を備えることができる。一方向弁を沖合に配置することができ、電力生成システムを陸上に配置する。
【0021】
移動補助手段は、各振動周期の他の一部において、機械要素の移動からエネルギーを蓄えるとともに、周期の、機械要素の移動速度が最小値に実質的に等しい少なくとも一部で、蓄えたエネルギーを機械要素に放出するよう配置されるエネルギー貯蔵手段を備えることができる。
【0022】
かかるエネルギー貯蔵手段を設けることにより、周期の、機械要素が実質的に静止する少なくとも一部で、機械要素の移動を補助する特に単純で効率的な手段を提供することができる。そのようなエネルギー貯蔵手段を設けることにより、装置は、付加的なエネルギーを機械要素の移動の補助に費やす必要がなくなる。付加的なエネルギー源は必要とされない。
【0023】
エネルギー貯蔵手段は、機械要素に減衰力およびばね力を作用させることができ、これらの力は周期の異なる一部で作用する。同一の手段(例えば、同一のエネルギー貯蔵手段)で減衰力またはばね力を作用させることにより、装置の設計を単純にすることができる。
【0024】
エネルギー貯蔵手段の少なくとも1つの特性を、予想される波の状態に応じて選択することができる。従って、動力の抽出を最大にするため、卓越波その他の、予測される波の状態に装置を同調させることができる。上述した少なくとも1つの特性は、エネルギー貯蔵手段の容量であってもよい。
【0025】
流体加圧システムは、少なくとも2つの一方向弁を備えることができる。第1の一方向弁は、作動中に、加圧された流体を流体加圧システムから移送するべく配置することができ、また、第2の一方向弁は、作動中に、流体を流体加圧システムに移送するよう配置することができる。第2の一方向弁を閉じた際に第1の一方向弁が開き、第2の一方向弁を開いた際に第1の一方向弁が閉じるよう、第1および第2の一方向弁を配置することができる。エネルギー貯蔵手段は、第1の一方向弁および第2の一方向弁の間に位置させることができる。
【0026】
エネルギー貯蔵手段は、流体加圧システムからの流体を貯蔵し、かつ、流体加圧システムへ流体を放出するための、少なくとも1つの流体アキュムレータ装置を備えることができる。
【0027】
流体アキュムレータ装置をエネルギー貯蔵手段として利用することにより、振動周期の少なくとも一部で、抵抗を低減させるための特に頑強で単純な方法が提供可能である。流体アキュムレータ装置は、通常、設置が容易であり、信頼性に優れ、可動部がほとんどない。たとえ流体アキュムレータ装置が作動しない場合であっても、波エネルギー変換装置が機能し、かつエネルギーが抽出されるように、流体アキュムレータ装置を設置することが可能である。このことは、実際に、波エネルギー変換装置を遠隔地に設置する場合、流体アキュムレータ装置を沖合に設置する場合、および、メンテナンスが困難な場合において、特に好都合である。
【0028】
流体加圧システムは、機械要素に連結されたピストンおよびシリンダを備えることができる。ピストンは、機械要素の移動に応じてシリンダ内で移動し、それにより、シリンダ内の流体を加圧するよう配置可能である。流体加圧システムは、加圧された流体をシリンダから移送するため、シリンダを少なくとも1つの一方向弁に接続する流体移送管を備え、少なくとも1つの流体アキュムレータ装置のそれぞれは、流体移送管に連通可能である。少なくとも1つの流体アキュムレータ装置のそれぞれは、流体移送管に、直接的または間接的に接続可能である。
【0029】
流体加圧システムは、ピストンの、第1方向への移動に応じて、流体加圧システムから流体を移送するよう配置された第1の一方向弁と、ピストンの、第2方向への移動に応じて、流体加圧システムから流体を移送するよう配置された第2の一方向弁とを備える。第1アキュムレータ装置は、第1の一方向弁の上流に位置し、第2アキュムレータ装置は第2の一方向弁の上流に位置する。
【0030】
エネルギー貯蔵手段は、周期の少なくとも一部で、機械要素に連結されるばねを備えることができる。ばねは、機械要素に直接的または間接的に接続可能であり、周期の少なくとも一部で、機械要素の移動がばねを圧縮または復元させるよう配置可能である。
【0031】
動力抽出手段は、機械要素に接続したピストンおよびシリンダを備えることができる。ピストンは、機械要素の移動に応じてシリンダ内で移動するよう配置可能であり、ばねは、作動中に、ピストン移動に応じてシリンダ内で圧縮または弛緩するよう配置可能である。
【0032】
ばねは、ピストンの表面またはシリンダの端に接続可能である。このばねは、機械ばねを含むものとすることができる。
【0033】
装置は、作動中に、機械要素の移動に対する抵抗を与えるよう構成可能であり、移動補助手段は、この移動に対する抵抗を低減させること、または移動の方向に力を負荷することによって、機械要素の移動を補助するよう配置可能である。移動に対する抵抗は抵抗トルクを含むものとすることができ、移動補助手段は、作動中に、周期の少なくとも一部で、この抵抗トルクを低減させるよう配置可能である。
【0034】
装置は、機械要素の移動に抵抗を与えるよう機械要素に接続可能な抵抗装置をさらに備えることができる。そして、移動補助手段は、周期の少なくとも一部で、機械要素を電力抵抗手段から切り離すよう動作可能な分離手段を備えることができる。電力抵抗手段は、流体加圧手段を含むものとすることができ、かつ/または、ピストンおよびシリンダを含むものとすることができる。
【0035】
本発明の他の独立した態様において、波動に応じて周期的に移動するよう配置され、各周期でその速度が最大値と最小値との間を変化する機械要素と、機械要素に連結されたピストンおよびシリンダ、ならびに1つの一方向弁を備え、ピストンが、機械要素の移動に応じてシリンダ内で移動し、これによってシリンダ内の流体を加圧するように配置された流体加圧システムであって、シリンダを一方向弁に接続する流体移送管をさらに含む流体加圧システムと、流体移送管に連通され、各振動周期の一部で機械要素の移動からエネルギーを蓄えるとともに、周期の、少なくとも機械要素の移動の速度が周期の最小値に実質的に等しい部分で、蓄えられたエネルギーを機械要素に放出するよう配置される流体アキュムレータ装置と、を含む波エネルギー変換装置が提供される。
【0036】
この装置は、加圧された流体を電力生成システムへ移送するための一方向弁の下流に流体管をさらに備えることができる。電力生成システムは、タービンおよび付随する発電機を備えることができる。
【0037】
本発明の他の独立した態様において、複数の波エネルギー変換装置を備える波エネルギー変換システムであって、それらの波エネルギー変換装置のそれぞれは、特許請求の範囲または、ここに記載するように、それぞれの一方向弁が共通の流体管に接続されており、それにより、加圧された流体を複数の波エネルギー変換装置から単一の電力生成サブシステムへと移送するシステムが提供される。
【0038】
本発明のさらなる独立した態様において、波動に応じて周期的に繰り返し移動するよう機械要素を配置するステップと、各周期で機械要素の移動の速度が最大値と最小値との間で変化して、機械要素の移動からエネルギーを抽出するステップと、を含み、さらに、周期の最小値に実質的に等しいときの、周期の少なくとも一部で、機械要素の移動を補助するステップを含む波エネルギーの変換方法が提供される。
【0039】
また、添付の図面を参照して、実質的に本明細書に記述したような装置または方法も提供可能である。
【0040】
本発明の一形態のいかなる特性も、任意の適切な組合せにおいて、本発明の他の態様にも適用可能である。例えば、装置の特性は方法の特性に適用可能であり、かつその逆もまた同じである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】波エネルギー変換装置の振動運動を電力に変換するための、波エネルギー変換システムの概略図である。
【図2】図1の実施形態の一部を、より詳細に示した概略図である。
【図3】図1の実施形態の一部を、より詳細に示した概略図である。
【図4】さらなる実施形態における、波エネルギー変換システムの概略図である。
【図5】代替的な実施形態の一部を示す概略図である。
【図6】代替的な実施形態の一部を示す概略図である。
【図7】代替的な実施形態の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施形態を、非限定的な例示として以下に記載するとともに図面に示す。
【0043】
図1に、波エネルギー変換システムを例示する。このシステムは波エネルギー変換装置2を含み、波エネルギー変換装置2は、適切なリンケージおよび駆動ロッド4によって、シリンダ8内で往復する複動式の水圧ラム(ピストン)6に接続されている。
【0044】
シリンダ8は流体回路10の一部を構成しており、流体回路には、シリンダの一端側の入口/出口ポート12、シリンダの他端側の入口/出口ポート14、および逆止弁設備16、18、20、22が連結されている。
【0045】
アキュムレータ7は、シリンダの一端側の入口/出口ポート12と、それに対応する逆止弁18、22との間に設けられる。同様に、アキュムレータ9は、上述したシリンダの他端の入口/出口ポート14と、それに対応する逆止弁16および20との間に設けられる。
【0046】
波エネルギー変換装置2は、海および他の水域の底に固定された基部3と、直立したフラップ部5とを備え、略矩形形状であるこのフラップ部は、ピボット軸まわりに回転するよう基部3に取り付けられる。適切な波エネルギー変換装置2の一例は、例えば、国際公開2006/100436号に記載されている。図1の実施形態では、フラップ部5は幅18mであるが、任意の適切な幅または他の寸法のフラップを用いることが可能である。作動中、フラップ部5は波動の方向を向くように配置され、波動が、フラップ部のピボット軸まわりの振動をもたらし、次いで、ラム6を、シリンダ8内にて前後に駆動する。
【0047】
作動中、波動によって生じるフラップ部5の振動により、前記ラム6はシリンダ8内にて後方および前方へ駆動される。前記ラムの、前方への各ストロークで、注入パイプ17からの低圧海水は、逆止弁16を経由し、ポート14を通ってシリンダ8内に引き込まれ、そして、高圧海水が、シリンダ8からポート12および逆止弁22を通って流体管24に送り出される。また、前記ラムの、後方への各ストロークで、注入パイプ17からの低圧海水は、逆止弁18を経由し、ポート12を通ってシリンダ8内に引き込まれ、そして、高圧海水が、シリンダ8からポート14および逆止弁20を通って流体管24に送り出される。
【0048】
アキュムレータ7、9は、前記ラムがシリンダ内で後方および前方へ可動される際に、充電および放電する。アキュムレータ7、9の充電および放電の効果の詳細については後述する。
【0049】
流体管24は、流体回路10の一部を構成し、シリンダ8の放出口12、14を一対のスピアバルブ26(明瞭さのため、単一のスピアバルブだけを図示する)に接続する。スピアバルブ26をペルトン水車28に整列し、それにより、作動中に、スピアバルブからペルトン水車バケット内に水流が押し出されて、ペルトン水車28を回転駆動する。作動中の流体管24内の平均圧力は、システム圧力と称することがある。
【0050】
図1のシステムの流体回路は、ペルトン水車から放出された海水が、その後に該システムに戻らず、図示しない排水バルブを経て海へ戻されるという点において開回路である。他の実施形態における流体回路は閉回路であり、作動液は、ペルトン水車28からストレージまたはバッファータンクに放出され、そこから、戻り管を経て注入パイプ17へと戻される。またその実施形態の変形例では、それぞれが対応するシリンダ8およびピストンの設備を有する多数の波エネルギー変換装置2は、圧力変動を平滑化することが可能な同一の流体回路10に接続される。
【0051】
空気を含んだ圧力シリンダを備えるアキュムレータ30は、逆止弁20、22とスピアバルブ26との間にある流体管24に接続される。アキュムレータ30の空気量、それの予圧(P)、および、アキュムレータ30の容積(V)は公知である。流体がシリンダ8から流体管24に送り出されるにつれて、ラム6のポンプ作用によって生成される一部の圧力を蓄えるよう、空気が圧縮される。これは、ペルトン水車28に送られる流体管24内の流体圧力(P)の圧力変動を平滑化する効果をもたらす。
【0052】
ペルトン水車28は、フライホイール32に接続されて、そのフライホイール32を駆動する。フライホイール32は、ペルトン水車ユニットからのエネルギーを、フライホイール32に接続する誘導発電機/モータ34によって電力に変換されるまで蓄える。ペルトン水車28、フライホイール32、および、ペルトン水車28とフライホイール32とを繋ぐシャフトは組み合わさって、タービン装置を構成する。誘導発電機34からの出力は、送電網(図示せず)への接続に適した電力回生ドライブ36を経て変換される。
【0053】
コントローラ38(一般にはプログラマブルロジックコントローラ)は、電力回生ドライブ36および発電機34に接続され、発電機34によってフライホイール32に印加されるトルクのレベル、ひいては、発電機34によってフライホイール32から引き出される電力レベルを制御するよう操作可能である。コントローラ38は、オペレータによる、システムのさまざまなパラメータまたは制御操作の、必要に応じた選択および修正を可能にするコンピューターインターフェースを含む。流体管24内の流量および圧力を測定するための流量計40および圧力計42も、コントローラ38に接続されて設けられ、そのような流量計30および圧力計42は、作動中に、流量および圧力の測定値をコントローラ38に提供する。コントローラ38は、コントローラ38により与えられる命令に従って、スピアバルブ26の動作を制御可能なスピアバルブコントローラ44に接続される。
【0054】
図1の実施形態では、波エネルギー変換装置2、シリンダ8、アキュムレータ7、9、および、逆止弁設備14、16、18、20を、沖合に配置する。流量計40の下流にある、システムの他のコンポーネントを陸上に配置する。沖合または海中のコンポーネント数が最小であり、且つ、より繊細な電子コンポーネントが陸上に位置するので、システムの設置およびメンテナンスが容易である。さらに、通常の動作(シャットダウン、スタートアップ、または過度な行為を除く)では、制御およびセンサー信号の、陸上のコンポーネントと沖合のコンポーネントとの間での伝送を必要とせず、それにより、システムが強固なものとなるとともに、それのメンテナンスが比較的容易となる。
【0055】
動作効率および、システムによって抽出される電力量は、卓越波の状態に依存し、また、システムの特性(例えば、システム圧力、フラップの寸法および、フラップ5の移動振幅)は、それらの卓越波の状態に合致する。システムにもたらされる電力が、各波の周期の間に変化することは、波力システムの性質である。例えば、フラップ5が可動範囲の限界に達して静止するか、または静止しそうになるときの、波の周期の一部では、フラップ5によってシステムにもたらされるエネルギーは、ほとんどない。逆に言えば、各波の周期の中頃に、フラップ5がその最大速度または最大速度付近で移動するとき、フラップ5によってシステムに最大エネルギー量がもたらされる。
【0056】
図1のシステムでは、フラップ5が可動範囲の両端で実質的に静止する、波の周期の一部間に、アキュムレータ7およびアキュムレータ9が、フラップの移動を補助する。これによって、システムが流体回路10を通じて大量の水を汲み出し始めるに先立つ、フラップ5の速度を多少増加することが可能となる。そして、システムから得られる出力が増加することが分かっている。アキュムレータ7、9を用いることにより、システム失速の可能性もまた低減される。
【0057】
図2および図3に、アキュムレータ7、9の動作を、更に詳細に示す。図2は、フラップ5、ひいてはピストン6が波の周期の中心付近にあって、ピストン6が、およそその最大速度でシリンダ8の一方の端64に向けて移動している際の、アキュムレータ7、9内の相対的な液面60、62を示している。
【0058】
ピストン6の移動により、ピストン6の、シリンダ8の端64に最も近い側でシリンダ8内の流体が加圧され、これにより、液面60および、アキュムレータ9の内圧が上昇して、一方向弁20が開き、この一方向弁20を通って流体がシリンダ8から流体回路システム10へ流動することが分かる。同時に、システム6の移動により、ピストン6の、シリンダ8の他端66に最も近い側でシリンダ8内の流体が減圧され、これにより、液面62およびアキュムレータ7の内圧が減少して、流体をシリンダ8に引き込むべく、一方向弁18が開く。
【0059】
フラップ5が可動範囲の端に達するとき、ピストン6はシリンダ8の端64またはその近傍で、静止しているか、または静止寸前の状態にある。波動からフラップ5にトルクが加えられると、ピストン6をシリンダ8の他方の端66に向けて押し戻し始める段階となる。アキュムレータ9内の圧力がその最高レベルまたは最高レベル付近の段階にある一方で、アキュムレータ7の圧力はその最低レベルまたは最低レベル付近の段階にあり、アキュムレータ7とアキュムレータ9との間のこの圧力差は、ピストン6に、シリンダ8の他方の端66に向かうための力を与えるよう作用する。それ故に、前記の圧力差は、波動に対するフラップ5の抵抗トルクを低減させるよう作用する。
【0060】
図3は、フラップ5、ひいてはピストン6が、先に述べた場合と同様に波の周期の中心付近にあるが、ここでは、ピストン6が、およそその最大速度でシリンダ8の他方の端66に向けて移動している際の、アキュムレータ7、9内の相対的な液面60、62を示している。アキュムレータ9の液面60が低下した一方で、アキュムレータ7の液面62は上昇していることが分かる。ここで、バルブ18、20が閉じているのに対し、バルブ16、22は開いている。ピストン6がシリンダ8の他方の端に到達するとき、アキュムレータ7とアキュムレータ9との間の圧力差は、再び、フラップ5に生じる抵抗トルクを低減させるよう作用する。
【0061】
図2および図3から分かるように、ピストン6の各ストロークの終わりに、アキュムレータ7、9の一方に蓄えられたエネルギーは、ピストン、ひいてはフラップ5を逆方向に移動させるために用いられる。アキュムレータ7、9の一方の圧力を低下するにつれて、アキュムレータ7、9の他方の圧力が増加することもまた理解できる。
【0062】
アキュムレータ7、9の寸法および予圧は、システムが設置されるであろう場所で予期される通常の卓越波の状態に応じて、一般に、システムの設計または製造の段階で選択される。アキュムレータの寸法および圧力は非常に重要であり、極端に言えば、アキュムレータがあまりに大きい場合は、全てのフラップ移動がアキュムレータの圧力上昇に用いられ、流体システム10に流体が送り出されなくなると理解できる。逆に、アキュムレータがあまりに小さい場合は、それらはほとんど効果を奏し得ない。同様に、アキュムレータの圧力があまりに高い場合は、送り出しが始まる前のフラップ5の移動が殆ど生じず、その逆に、アキュムレータの圧力があまりに低い場合は、汲み出しが始まる前のエネルギー蓄積量が減少し得る。
【0063】
図4に、代替的な実施形態を示す。ここでは、複数の波エネルギー変換システムを流体管24に並列接続し、また、該複数の波エネルギー変換システムを、ペルトン水車28および発電コンポーネント32、34、36を備える動力取出システムに接続する。波エネルギー変換システムのそれぞれは、それぞれの一方向弁16、18、20、22と、それらの一方向弁の上流に位置するそれぞれのアキュムレータ7、9とを有する。従って、各々の波力装置の動作を個々に補助することが可能であり、その上、共通の動力取出システムに対しても動作を補助することができる。図4には、並列に接続された2つの波力システムが示されているが、任意の適切な数のシステムを接続することができる。
【0064】
流体システム10の配管に生じるサージ圧は、それらの流体積の調整にも影響を及ぼすことがあり、このことが、ピストンでポンプ揚げする際の圧力に影響を与えるとともに、そのポンプ圧がアキュムレータ7、9内の流体体積に影響を及ぼす。サージ圧は、単一のフラップ5およびシリンダ8だけの構成の場合に、とくに影響が強い。それは、同一の流体回路10で流体を汲み出している複数のフラップとシリンダの構成間の位相差から生じる流量の平滑作用がなく、相対的なピーク時の流体速度がより大きくなるからである。
【0065】
各波候に対して、最適なアキュムレータ寸法および予圧がある。アキュムレータ寸法および予圧は、通常、歴史的な波候のデータを用いることにより、設計段階で決定され、平均電力出力が最大になるようパラメータが選択される。
【0066】
コンピュータモデルは、標準的な幅18mのフラップを用いて、6つの標準的な海況における波トルクのデータをインプットすることで構築された。波トルクに抵抗するシリンダおよびピストンの構成は、等面積を有すると仮定するとともに、一定レベルのアーム長さで作動すると仮定した。Flowmaster社のソフトウェアを用いてモデルを実行したが、その他の任意の適切なソフトウェアも用いることが可能であった。以下ではTexを用いて海況を表すものとし、ここでのxとは風浪階級のエネルギー周期(1秒あたり)およびメートル表記の長さ(海況の波面長さあたりの平均電力(kW/m))である。
【0067】
配管のサージ効果を除去するため、一定の圧力ソース/シンクが波エネルギー変換装置に、高圧および低圧にて液圧接続されていると想定した。電力変換に対する液圧がモデル化しない代わりに、波エネルギー変換装置によって生成される全水力を測定した。
【0068】
はじめに、それぞれの海況を、ばね型アキュムレータ7および9なしでモデル化した。次いで、アキュムレータ容積、アキュムレータの予圧、およびシステムの作動圧力を調整する反復法を用いることにより、海況Te09Pi20(エネルギー周期9秒、および、波面長さあたりの平均電力20kWm−1)における水力を最大化した。海況Te09Pi20は、その波力と周波数が海面データ範囲の中央にあるという最適化の下で選択した。海況Te09Pi20における水力の最適化をもたらす、選択したアキュムレータ容積および予圧を、その他の全ての海況に対して用いた。この実施例では、アキュムレータ寸法が140リットルであり、また、予圧が25バレルであった。
【0069】
それぞれの海況から得られる水力は、アキュムレータ7、9の有するものと有しないもののそれぞれで、表1および表2のそれぞれに示されている。また表1および表2に、選択したアキュムレータの寸法および予圧における、それらの海況での最適なシステム圧力も示す。それらの表に、算出される水力を得るための各周期の時間の平均と、周期全体を通して得られる平均水力である加重平均水力とを示す。水力は、概して、周期全体を通して連続的に変化し、そして、周期の比率についての、表に示す算出水力は、代表的な計測値であることが理解される。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
この実施例では、フラップの移動の補助をもたらすアキュムレータ7、9の使用により、出力が、考慮した海況の全域を平均して約38%増加していることが分かる。
【0073】
アキュムレータ7、9を用いた場合、いくつかの海況では、最適作動圧力は増加し、また、システム圧力の関数としての動力出力の変化量が減少する点に留意されたい。そもそも低い最適作動圧力を有する海況では、アキュムレータ7、9の利用可能な容積をより良好に利用するため、最適作動圧力を増加させる必要があると考えられる。アキュムレータ7、9を利用した結果、作動圧力の関数としての動力出力の変化量が減少すると、システムの調整をより容易なものとすることができる。
【0074】
図1〜図3の実施形態の特徴の1つは、例えば、ガスの充填不足によるアキュムレータ7、9の故障が、波エネルギー変換システムの作動効率の低下を招くことがあるが、その動作および、エネルギーの生成を妨げない点にある。このことは、アキュムレータへのアクセスが実際にしばしば困難である多くの実際の状況にて、特に有益であり得る。
【0075】
図1〜図3の実施形態の変形例では、複数のシリンダが、それぞれに対応するフラップに接続されて設けられる。各シリンダの出力は、共通の一組の逆止弁14、16、18、20に接続され、また、ただ一対の流体アキュムレータ7、9、すなわち、図2および図3に示すものと同等の構成で、逆止弁16と20との間の一方のアキュムレータ9と、逆止弁18と22との間に位置する他方のアキュムレータ7とが設けられる。他の変形例では、任意の適切な数および構成のアキュムレータまたは、他の移動補助装置を設けることができる。
【0076】
図5〜7に、代替的な実施形態を示す。図5〜7には、この代替的な実施形態におけるシリンダ8が示されている。このシステムにばね型アキュムレータ7および9が含まれないことを除いて、システムの他のコンポーネントは、図1〜3に示すものと同様である。その代わりに、ピストン70は、ばね74を介して駆動ロッド4に接続されている。図5の実施形態では、ばね74が軸ばねであるが、任意の適切な種類のばねを用いることができる。駆動ロッド4の移動方向は、図5〜図7における実線の矢印76、78によって示されている。
【0077】
作動中は、フラップ5が移動し始めると、ばね荷重がピストン70を動かし始めるのに十分になるまで、フラップ5がばね74を圧縮し、それにより、水が、シリンダ8内内に引き込まれるとともにシリンダ8外へ放出し始める。フラップのストロークが終了する際には、ピストンが水をポンプ揚げするのを止め、図6に示されるように、ばね74が拡張してピストンロッド4を動かす。それ故に、フラップ5は逆方向に動き、蓄積されたばねエネルギーをフラップ移動エネルギーに変える。その後、図7に示されるように、フラップ5が逆方向に動く際に、そのエネルギーはばね(引張)エネルギーに戻る。ばねエネルギーは浪費されず、それどころか、ピストンを動かしてフラップ5を移動させる前に、ばね74は、フラップ移動のそれぞれの終了時点でフラップ5を逆方向へ移動させるべく補助する。図5〜7に示された代替的な実施形態では、ばねを、ピストン70と駆動ロッド4との間に配置することに代えて、フラップ、ピストン、およびシリンダ装置間の動力チェーンにおける他の場所、例えば、ピストンロッド4とフラップ5との間に配置する。
【0078】
フラップの移動に対する抵抗を減らすことによってフラップの移動を補助することができるが、それとともに、またはそれに代えて、フラップ移動の方向に力を付与することによってもフラップの移動を補助することができる。例えば、さらなる実施形態では、シリンダ内でのピストンの移動、または、振動フラップ5とシリンダ装置との接続に、制限された量の遊動もしくは反動が組み込まれている。それにより、フラップ5が向きを変える際に、フラップ5が前記遊動を取り除くのに十分に回転するまで、ピストン6およびシリンダ8に抵抗トルクが作用しない。フラップ5が方向を変えて上記の遊動を取り除いているときの、周期の一部の間、フラップ5は通常その移動に対して抵抗するシリンダの構成から効果的に切り離される。この遊動は、ピストン6およびシリンダ8によって荷重(この例では抵抗トルク)が負荷される前に、フラップが動く状態になることを補助する。
【0079】
他の実施形態において、アキュムレータ7、9はフラップ移動の補助に用いられる。フラップの各周期の初期に、アキュムレータ7、9の下流のコンポーネントに起因する、シリンダ内のピストンの移動に対する抵抗が生じないように、アキュムレータ7、9の予圧は十分に低く設定される。このとき、アキュムレータ7および9は、その圧力を増加させながら、エネルギーを蓄積している過程にある。
【0080】
図1〜7に関して上述した実施形態は、振動フラップ形式の波エネルギー変換装置を含む。この波エネルギー変換装置は振動フラップ形式であることに限定されることなく、他の実施形態では、例えば、ブイ装置または表面追従装置(a surface following device)等の、任意の適切な種類の波エネルギー変換装置が用いられる。同様に、図1〜7に関して上述した実施形態は、流体加圧システムを有する動力抽出システムを備え、その流体加圧システムでは、シリンダ内のピストン移動が流体を加圧し、それが、タービンの動作の駆動に用いられるものであるが、任意の適切な種類の動力抽出システムが利用可能である。図1〜6の実施形態では、周期の、フラップ移動の速度が最小である(例えば、フラップが静止している)部分の間における、フラップの移動は、1つ以上のばね型アキュムレータ、機械ばね、または、制限された量の遊動もしくは反動付与によって補助される。しかしながら、他の実施例では、周期の、フラップまたは他の機械要素の移動速度が最小となる部分で、フラップまたは他の機械要素の移動を補助するための、任意の他の適切な装置または構成を用いることができる。
【0081】
以上に述べたところでは、単なる例示として、本発明を説明したものであり、本発明の範囲内で、細部に変更を加えることができることを理解されたい。
【0082】
明細書ならびに、必要に応じて特許請求の範囲および図面において開示した特徴のそれぞれは、単独で、または任意の適切な組合せで設けることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動中に波動に応じて周期的に繰り返し移動するよう配置され、各周期において速度が最大値と最小値との間で変化する機械要素と、
前記機械要素の移動からエネルギーを引き出すよう配置される動力抽出手段と、
前記機械要素の移動速度が、該周期の最小値に実質的に等しい、前記周期の少なくとも一部の間に、前記機械要素の移動を前記波動に応じて補助するよう配置される移動補助手段と、を備え、
前記動力抽出手段は、流体加圧システムを含み、
前記流体加圧システムは、作動中に、前記流体加圧システム内の流体が前記機械要素の移動に応じて加圧されるよう配置されており、加圧された流体を前記流体加圧システムから移送するための少なくとも1つの一方向弁を含み、
前記移動補助手段が前記少なくとも1つの一方向弁の上流に位置することを特徴とする波エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記一方向弁の下流に、加圧された流体を電力生成システムに移送するための流体管を、さらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電力生成システムは、タービンおよび付随する発電機を備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記一方向弁は沖合に位置し、前記発電機は陸上に位置する請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記移動補助手段がエネルギー貯蔵手段を備え、前記エネルギー貯蔵手段は、各振動周期の別の一部で前記機械要素の前記移動からエネルギーを蓄えるとともに、前記機械要素の移動の前記速度が前記周期の前記最小値に実質的に等しい、該周期の前記少なくとも一部で、前記蓄えられたエネルギーを前記機械要素に放出するよう配置される請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵手段の容量は、予測される波の状態によって選択される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵手段は、前記流体加圧システムから流体を蓄えるとともに、前記流体加圧システムへ流体を放出するための少なくとも1つの流体アキュムレータ装置を備える請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記流体加圧システムは、前記機械要素に連結されたピストンおよびシリンダを備え、前記ピストンは、前記機械要素の移動に応じて前記シリンダ内で移動し、それにより、前記前記シリンダ内の流体を加圧するよう配置され、
前記流体加圧システムは、加圧された流体を前記シリンダから移送するべく、前記シリンダを前記一方向弁に接続する流体移送管をさらに備え、および/または、各々の前記流体アキュムレータ装置が前記流体移送管に連通されている請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記流体加圧システムは、第1方向への前記ピストンの移動に応じて流体を前記流体加圧システムから移送するよう配置された第1の一方向弁と、第2方向への前記ピストンの移動に応じて流体を前記流体加圧システムから移送するよう配置された第2の一方向弁と、前記第1の一方向弁の上流に位置する第1のアキュムレータ装置と、前記第2の一方向弁の上流に位置する第2のアキュムレータ装置と、を備える請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記エネルギー貯蔵手段は、前記周期の少なくとも一部で、前記機械要素に連結されたばねを備える請求項5〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記動力抽出手段は、前記機械要素に連結されたピストンおよびシリンダを備え、前記ピストンが前記機械要素の移動に応じて前記シリンダ内で移動するよう配置され、前記ばねが前記シリンダ内の前記ピストンの動きに応じて圧縮または弛緩されるよう配置される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ばねは、前記ピストンの表面または前記シリンダの端に接続される請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ばねは、機械ばねを含む請求項10〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、作動中に前記機械要素の前記移動に対して抵抗を与えるよう構成されており、前記移動補助手段が、前記移動に対する抵抗の減少、または、前記移動の方向への力を負荷によって、前記機械要素の移動を補助するよう配置される請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、前記機械要素の移動に抵抗を与えるよう前記機械要素に連結可能な抵抗手段をさらに備え、前記周期の少なくとも一部で、前記移動補助手段が前記機械要素を前記抵抗手段から切り離すよう動作可能である分離手段を備える請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
波動に応じて周期的に繰り返し移動するよう配置され、各周期において速度が最大値と最小値との間で変化する機械要素と、
前記機械要素に連結されたピストンおよびシリンダ、ならびに、少なくとも1つの一方向弁を備え、前記ピストンが、前記機械要素の移動に応じて前記シリンダ内で移動することで、前記シリンダ内で流体を加圧するよう配置された流体加圧システムであって、加圧された流体を前記シリンダから移送するよう、前記シリンダを前記一方向弁に接続する流体移送管をさらに備える流体加圧システムと、
前記流体移送管に連通され、各振動周期の他の一部で、前記機械要素の前記移動からエネルギーを蓄えるとともに、前記機械要素の前記移動速度が該周期の前記最小値に実質的に等しい、前記周期の前記少なくとも一部で、前記蓄えられたエネルギーを前記機械要素に放出するよう配置されることにより、前記機械要素の前記移動を補助する流体アキュムレータ装置と、を含むことを特徴とする波エネルギー変換装置。
【請求項17】
前記一方向弁の下流に位置して、前記加圧された流体を電力生成システムに移送する流体管をさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記電力生成システムが、タービンおよび付随する発電機を備える請求項17に記載の装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の波エネルギー変換装置を複数備える波エネルギー変換システムであって、前記装置の前記1つ以上の一方向弁が、加圧された流体を前記複数の波エネルギー変換装置から単一の電力生成サブシステムへと移送する共通の単一の流体管に接続されることを特徴とするシステム。
【請求項20】
波動に応じて周期的に繰り返し移動するよう機械要素を配置するステップと、
前記機械要素の前記移動からエネルギーを抽出するステップであって、各周期で前記機械要素の移動の速度が最大値と最小値との間で変化するステップと、を含み、
前記周期の前記最小値に実質的に等しい、前記周期の少なくとも一部で、前記機械要素の前記移動を補助するステップをさらに含むことを特徴とする波エネルギーを変換する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−500420(P2013−500420A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521096(P2012−521096)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001393
【国際公開番号】WO2011/010102
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(511175255)アクアマリン パワー リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】Aquamarine Power Limited
【Fターム(参考)】