波浪防護構造物
【課題】 鋼材重量等を過度に大きくすることなく効率的に波浪等のエネルギーを吸収できる波浪防護構造物を提供する。
【解決手段】 波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体28と、柱状体28のうち、隣接する柱状体28の各々の間を塞ぐように設置される壁体29とから構成されている。柱状体28はH型鋼よりなり、壁体29は一枚の鋼板よりなる板材より構成される。板材の外面側には全面にシート状の緩衝材が脱着自在に設置されている。波浪等の衝撃が緩衝材に加わると、その緩衝効果によって衝撃が低減され、壁体及び柱状体に伝達される。
【解決手段】 波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体28と、柱状体28のうち、隣接する柱状体28の各々の間を塞ぐように設置される壁体29とから構成されている。柱状体28はH型鋼よりなり、壁体29は一枚の鋼板よりなる板材より構成される。板材の外面側には全面にシート状の緩衝材が脱着自在に設置されている。波浪等の衝撃が緩衝材に加わると、その緩衝効果によって衝撃が低減され、壁体及び柱状体に伝達される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は波浪防護構造物に関し、特に津波や高潮等の波浪から沿海域に設けられた施設等を保護するための波浪防護構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、波浪防護構造物としては、コンクリート製の堤防が建設されているのが一般的である。又、消波ブロックと防波堤とを組み合せた護岸にて津波を防御しようとしたものもある。更には、予め、津波が到来される箇所を限定し、津波が到来しても安全な高さまで地盤を高くし、その上に石油タンク、工場プラント等の重要施設を建設する場合がある。
【0003】
又、特許文献1に記載されているように鋼矢板等の鋼材を鉛直壁として打設する方法も提案されている。
【特許文献1】特開昭59−61605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の堤防や防波堤を建設する方法では、建設するための用地確保等に莫大な時間と作業用地を必要とする。
【0005】
又、上記のような鋼矢板を鉛直壁として打設する方法では、波エネルギーの高い津波や高潮、津波により生じる漂流物から十分に防護しようとする場合、矢板の鋼材強度を大きくする必要がある。そして、鋼材強度を大きくするには例えば鋼材の厚みを大きくしなければならず、その結果、鋼材重量が増し、作業効率が低下する。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、鋼材重量等を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収できる波浪防護構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、壁体の外面のうち、少なくとも波浪を受ける面を覆うように設置される緩衝材とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、波浪や漂流物による力が加わった場合、その力は低減されて壁体及び柱状体に伝達される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、柱状体の各々と壁体との間に設置された止水材を更に備えたものである。
【0010】
このように構成すると、柱状体と壁体との間から海水等の浸入が阻止される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は、一枚の板材よりなるものである。
【0012】
このように構成すると、隣接する柱状体の間のスペースが一枚の板材により覆われる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材からなり、緩衝材は水平部材の表面を被覆するシート体とからなるものである。
【0014】
このように構成すると、壁体と緩衝材とは一体となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、柱状体は柱状体フランジ部を壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に当接するように配置されるものである。
【0016】
このように構成すると、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側の柱状体フランジによって覆われる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の構成において、シート体であって、上下に隣接する水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成されるものである。
【0018】
このように構成すると、シート体に形成された突条体によって隣接する水平部材の間が止水される。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、緩衝材は壁体に対して脱着自在に設置されるものである。
【0020】
このように構成すると、緩衝材は壁体に対して取替え可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、津波や漂流物による力が低減されて柱状体に伝達されるため、柱状体及び壁体の強度を低く設定することが可能となる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、後方への海水等の侵入が阻止されるため、より効果的な波浪防護構造物となる。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、隣接する柱状体の間のスペースが一枚の板材により覆われるので、壁体の設置作業が簡略化する。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、壁体と緩衝材とは一体となるので、壁体の設置作業が簡略化する。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側の柱状体フランジによって覆われるので、波浪等の衝撃が直接接続箇所に加わらないことになり、設置時の信頼性が向上する。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の効果に加えて、突条体によって隣接する水平部材の間が止水されるため、別途止水材を水平部材間に挿入して設置するものに比べて作業効率が向上する。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、緩衝材は取替え可能になるため、波浪及び漂流物に応じた適切な緩衝材を選択することができる。又、緩衝材が損傷した場合にはその緩衝材だけ個別に取り替えれば良いため、効率的な構造物となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1はこの発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【0029】
図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23上に設置された石油タンク24a,石油タンク24bの周囲を囲うように設置されている。そして、津波や高潮等による海面25の変化から石油タンク24a,石油タンク24bを防護している。
【0030】
図2は図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図であり、図4は図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【0031】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で垂直方向に打ち込まれた柱状体28a〜柱状体28cと、これらの間のスペースを覆うように取り付けられた壁体29a,壁体29bとから構成されている。柱状体28はこの実施の形態にあっては、H型鋼を使用しており、壁体29は隣接する柱状体28の間のスペースをほぼ全面に覆う大きさの鋼板よりなる板材54により構成されている。
【0032】
図5は図3で示した“A”部分の拡大図であり、図6は図4で示した“B”部分の拡大図である。
【0033】
これらの図を参照して、板材54の前方側の全面にゴムシート(CR)等からなる緩衝材55が配置されている。すなわち、津波等の波浪を受けたときその衝撃は低減されて板材54に伝達され、緩衝効果を発揮する。緩衝材55のフランジ部53に対応する箇所の外面には、上下方向に延びる細長シート状の鋼材よりなる押え板56が配置されている。板材54と緩衝材55とはフランジ部53と押さえ板56とによって挟まれた状態で、ボルト57a及びナット58aによって柱状体28bに固定されている。尚、緩衝材55は板材54に貼り付けられておらず、脱着自在に取付けられている。又、ボルト57b及びナット58bは、図2に示されているように上下方向に所定間隔で配置され、板材54の柱状体28に対する固定強度を確実に発揮するように取り付けられている。
【0034】
このように構成することによって、波浪等によって緩衝材55に加わった力は、その緩衝効果によって低減させられ板材54及び柱状体28に伝達されることになる。その結果、柱状体28及び壁体29を構成する板材54の鋼材等の重量を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収することが可能となる。又、上述のように緩衝材55は脱着自在に構成されているため、予想される津波や津波による漂流物等の大きさに応じた厚さのものを選択したり、損傷した場合には、損傷した緩衝材55のみを個別に取り替えることができるため合理的な構造となる。
【0035】
ここで、緩衝材55の緩衝効果を説明するための実験例を以下に示す。
【0036】
実験に際しては、鉄板等からなる鋼材(以下「被衝突鋼材」と称す)の表面に厚さの異なる複数のゴムシート(CR)よりなる緩衝材を配置し、これに質量300kgの鋼材(以下「衝突鋼材」と称す)を数種類の衝突速度で衝突させて行う。この実験結果を表したのが下記の表である。
【0037】
【表1】
表にあっては、横軸に衝突鋼材の衝突速度を採り、縦軸に被衝突鋼材が受ける衝撃力を採っている。被衝突鋼材に対しては、ゴムシートを配置していないものと、ゴムシートの厚さを2mm、10mm、20mm、40mmとしたものをそれぞれ配置し、計5種類の被衝突物とした。この5種類の対象物に衝突物である衝突鋼材の衝突速度を変えて、その衝撃力を測定した。
【0038】
この実験結果によると、ゴムシートの厚みを2mmとすると緩衝効果を発揮するが、厚みが10mm以上となると緩衝効果はあまり変らないことが判明する。
【0039】
上記の実験結果から及び緩衝材55には波浪や漂流物が直接衝突するため、緩衝材55にあっては、その厚みを10mm以上とすることが好ましい。
【0040】
図7はこの発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であって、第1の実施の形態による図2に対応した図である。又、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図であり、図9は図7で示したIX−IXラインの断面図であり、図10は図8で示した“C”部分の拡大図であり、図11は図8で示した“D”部分の拡大図である。
【0041】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21を構成する柱状体28の形状等は基本的には第1の実施の形態と同一である。即ち、柱状体28はH型鋼よりなり、所定間隔を置いてコンクリート土台23を介して基礎地盤27に打ち込まれ、上下方向に設置されている。そして、柱状体28bはその(柱状体)フランジ部32a,フランジ部32bを壁体29a,壁体29bの配置方向に平行となるように設置されている。
【0042】
一方、壁体29の構造は第1の実施の形態とは大きく異なっている。すなわち、壁体29は溝型鋼を水平部材31として水平方向に配置し、これを上下に積み重ねて構成している。水平部材31bを構成する部分は、上下方向に伸びる垂直部(ウエブ)38bと、垂直部(ウエブ)38bの上端に接続され水平方向に伸びる上方水平部(フランジ部)41bと、垂直部38bの下端に接続され水平方向に伸びる下方水平部(フランジ部)42bとから構成されている。
【0043】
そして、水平部材31bの上方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31xが、水平部材31bの下方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31yが配置されている。尚、この実施の形態にあっては、各水平部材31の表面の全面に厚さ2mmのゴム(CR)よりなるシート体50(ただし、波浪等が直接衝突する面は厚さが10mm)が壁体29の緩衝材として貼り付けられて覆われている。これによって壁体29の前面側は緩衝効果と共に防サビ効果も発揮する。
【0044】
又、図11に示されているように、水平部材31bの上方水平部41bの上面に貼り付けられているシート体50bには、水平部材31の長手方向に沿って水平方向に伸びる断面台形状の突条体51bが一体的に形成されている。一方、水平部材31bの上方に位置する水平部材31xの下方水平部42xの下面を覆うシート体50xにも同様の突条体51xが水平方向に形成されている。これによって水平部材31bの上に水平部材31xを配置して、ボルト39x及びナット40bによってテーパーワッシャーを介してこれらを接続すると、突条体51bがシート体50xに突条体51xがシート体50bに当接状態となる。その結果、水平部材31bと水平部材31xとの間の隙間に対して止水効果が発揮される。尚、この突条体51b及び突条体51xはシート体50b及びシート体50xに接着剤で貼り付けて形成しても良い。この場合、突条体の材質は、シート体と同様にゴムシート(CR)等の弾性材料を用いれば良い。
【0045】
図10において水平方向に配置された水平部材31a,水平部材31bの各々は、垂直方向に配置された止水材34a,止水材34bの各々を介して柱状体28bのフランジ部32aの内面とフランジ部32bの内面とに各々当接状態となるように設置される。尚、止水材34a,止水材34bの各々は、壁体29の各々のすべての背面に当接するように上下に配置されている。すなわち、柱状体28の地上に出ている範囲にほぼ沿って止水材34a,止水材34bの各々が配置されていることになる。これによって、水平部材31と柱状体28のフランジ部32の内面との間の隙間を通して海水等が後方に進出することが阻止される。
【0046】
図12は、図10、図12で示した止水材34の概略形状を示した断面図である。
【0047】
図を参照して、止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部45と、シート部45の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部45の厚さより大きな直径Hを有する断面円形状の一対の突起部46a,突起部46bとから構成されている。止水材44はこのような断面形状を有しているため、突起部46a,突起部46bの図における上方部及び下方部がフランジ部32の内面と水平部材31の垂直部38を被覆する緩衝材50の後方面とに当接することになり、止水効果を発揮する。
【0048】
尚、上記の各実施の形態では、柱状体、壁体は特定形状の鋼材を用いて構成しているが、他の形状の鋼材であっても良く、あるいは、コンクリートブロック等の他の材料を用いて構成したものにも同様に適用できる。
【0049】
又、上記の第1の実施の形態では、緩衝材は板材に対して脱着自在に設置しているが、板材に貼り付けるようにして設置しても良い。あるいは、緩衝材の背面に鋼製等の係止部材を接着等で一体化しておき、この係止部材を介して緩衝材を板材に取り付けるように構成しても良い。
【0050】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体として表面が平滑で且つ平面状の板材を用いているが、これに代えて表面が凹凸のある板材であっても良く、あるいは波板のような曲面状の板材を用いても良い。この場合、緩衝材は板材に沿う形状であっても良く、あるいは単なる平面シート状であっても良い。
【0051】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体となる板材を柱状体のフランジ部に当接した状態で取付けているが、第2の実施の形態で示したような止水材を介して柱状体に取付ければ止水効果も更に生じる。
【0052】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体を柱状体の前方側のフランジ部に取付けているが、後方側のフランジ部の内面に取付けても良い。
【0053】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体は一枚の鋼鈑より構成されているが、複数枚の鋼鈑をつき合わせるようにして壁体を構成しても良い。
【0054】
更に、上記の第2の実施の形態では、水平部材間を突条体を用いて止水しているが、これらを用いずに水平部材同士が直接接するように構成しても良い。
【0055】
更に、上記の第2の実施の形態では、柱状体を構成するH型鋼の後方側のフランジ部の内面に壁体を取り付けているが、壁体は前方側のフランジの外面に取り付けても良い。
【0056】
更に、上記の第2の実施の形態では、緩衝材となるシート体を水平部材の全面に貼り付けているが、シート体は少なくとも波浪を受ける前面のみを覆うように貼り付けられれば良い。
【0057】
更に、上記の第2の実施の形態では、水平部材と柱状体との間に止水材を設置しているが、この止水材はなくとも良い。
【0058】
更に、上記の各実施の形態では、緩衝材55やシート体50としてCRゴムを用いているが、EPTや天然ゴム等の他のゴムであっても良く、あるいは、ゴム以外で緩衝効果を奏する材料を用いても良い。又、緩衝材にリサイクル材(ゴムチップ、ガラスくず等)を増量材として配合しても良い。それから、止水材34としてゴム(CR)等の弾性材料を用いているが、EPTや天然ゴム等の他のゴムであっても良く、あるいは、ゴム以外で止水効果を奏する材料であれば良い。
【0059】
更に、上記の第2の形態では、止水材は特定断面形状を有しているが、他の断面形状のものであっても良い。
【0060】
更に、上記の第2の実施の形態では、水平部材として同一断面の溝型鋼を用いているが、他の型鋼やほぼ同一断面の他の鋼材を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【図2】図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【図5】図3で示した“A”部分の拡大図である。
【図6】図4で示した“B”部分の拡大図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【図9】図7で示したIX−IXラインの断面図である。
【図10】図12で示した“C”部分の拡大図である。
【図11】図13で示した“D”部分の拡大図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる止水材の概略形状を示した断面図である。
【符号の説明】
【0062】
21…波浪防護構造物
28…柱状体
29…壁体
31…水平部材
32,53…フランジ部
34…止水材
38…垂直部
41…上方水平部
42…下方水平部
50…シート体
51…突条体
54…板材
55…緩衝材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明は波浪防護構造物に関し、特に津波や高潮等の波浪から沿海域に設けられた施設等を保護するための波浪防護構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、波浪防護構造物としては、コンクリート製の堤防が建設されているのが一般的である。又、消波ブロックと防波堤とを組み合せた護岸にて津波を防御しようとしたものもある。更には、予め、津波が到来される箇所を限定し、津波が到来しても安全な高さまで地盤を高くし、その上に石油タンク、工場プラント等の重要施設を建設する場合がある。
【0003】
又、特許文献1に記載されているように鋼矢板等の鋼材を鉛直壁として打設する方法も提案されている。
【特許文献1】特開昭59−61605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の堤防や防波堤を建設する方法では、建設するための用地確保等に莫大な時間と作業用地を必要とする。
【0005】
又、上記のような鋼矢板を鉛直壁として打設する方法では、波エネルギーの高い津波や高潮、津波により生じる漂流物から十分に防護しようとする場合、矢板の鋼材強度を大きくする必要がある。そして、鋼材強度を大きくするには例えば鋼材の厚みを大きくしなければならず、その結果、鋼材重量が増し、作業効率が低下する。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、鋼材重量等を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収できる波浪防護構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、壁体の外面のうち、少なくとも波浪を受ける面を覆うように設置される緩衝材とを備えたものである。
【0008】
このように構成すると、波浪や漂流物による力が加わった場合、その力は低減されて壁体及び柱状体に伝達される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、柱状体の各々と壁体との間に設置された止水材を更に備えたものである。
【0010】
このように構成すると、柱状体と壁体との間から海水等の浸入が阻止される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は、一枚の板材よりなるものである。
【0012】
このように構成すると、隣接する柱状体の間のスペースが一枚の板材により覆われる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、壁体は上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材からなり、緩衝材は水平部材の表面を被覆するシート体とからなるものである。
【0014】
このように構成すると、壁体と緩衝材とは一体となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成において、柱状体は柱状体フランジ部を壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に当接するように配置されるものである。
【0016】
このように構成すると、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側の柱状体フランジによって覆われる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の構成において、シート体であって、上下に隣接する水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成されるものである。
【0018】
このように構成すると、シート体に形成された突条体によって隣接する水平部材の間が止水される。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、緩衝材は壁体に対して脱着自在に設置されるものである。
【0020】
このように構成すると、緩衝材は壁体に対して取替え可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、津波や漂流物による力が低減されて柱状体に伝達されるため、柱状体及び壁体の強度を低く設定することが可能となる。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、後方への海水等の侵入が阻止されるため、より効果的な波浪防護構造物となる。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、隣接する柱状体の間のスペースが一枚の板材により覆われるので、壁体の設置作業が簡略化する。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、壁体と緩衝材とは一体となるので、壁体の設置作業が簡略化する。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の効果に加えて、柱状体と壁体との接続箇所の前方はH型鋼の前方側の柱状体フランジによって覆われるので、波浪等の衝撃が直接接続箇所に加わらないことになり、設置時の信頼性が向上する。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明の効果に加えて、突条体によって隣接する水平部材の間が止水されるため、別途止水材を水平部材間に挿入して設置するものに比べて作業効率が向上する。
【0027】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、緩衝材は取替え可能になるため、波浪及び漂流物に応じた適切な緩衝材を選択することができる。又、緩衝材が損傷した場合にはその緩衝材だけ個別に取り替えれば良いため、効率的な構造物となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1はこの発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【0029】
図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23上に設置された石油タンク24a,石油タンク24bの周囲を囲うように設置されている。そして、津波や高潮等による海面25の変化から石油タンク24a,石油タンク24bを防護している。
【0030】
図2は図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であり、図3は図2で示したIII−IIIラインの断面図であり、図4は図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【0031】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21は、コンクリート土台23を介して基礎地盤27に所定間隔で垂直方向に打ち込まれた柱状体28a〜柱状体28cと、これらの間のスペースを覆うように取り付けられた壁体29a,壁体29bとから構成されている。柱状体28はこの実施の形態にあっては、H型鋼を使用しており、壁体29は隣接する柱状体28の間のスペースをほぼ全面に覆う大きさの鋼板よりなる板材54により構成されている。
【0032】
図5は図3で示した“A”部分の拡大図であり、図6は図4で示した“B”部分の拡大図である。
【0033】
これらの図を参照して、板材54の前方側の全面にゴムシート(CR)等からなる緩衝材55が配置されている。すなわち、津波等の波浪を受けたときその衝撃は低減されて板材54に伝達され、緩衝効果を発揮する。緩衝材55のフランジ部53に対応する箇所の外面には、上下方向に延びる細長シート状の鋼材よりなる押え板56が配置されている。板材54と緩衝材55とはフランジ部53と押さえ板56とによって挟まれた状態で、ボルト57a及びナット58aによって柱状体28bに固定されている。尚、緩衝材55は板材54に貼り付けられておらず、脱着自在に取付けられている。又、ボルト57b及びナット58bは、図2に示されているように上下方向に所定間隔で配置され、板材54の柱状体28に対する固定強度を確実に発揮するように取り付けられている。
【0034】
このように構成することによって、波浪等によって緩衝材55に加わった力は、その緩衝効果によって低減させられ板材54及び柱状体28に伝達されることになる。その結果、柱状体28及び壁体29を構成する板材54の鋼材等の重量を過度に大きくすることなく、効率的に波浪等のエネルギーを吸収することが可能となる。又、上述のように緩衝材55は脱着自在に構成されているため、予想される津波や津波による漂流物等の大きさに応じた厚さのものを選択したり、損傷した場合には、損傷した緩衝材55のみを個別に取り替えることができるため合理的な構造となる。
【0035】
ここで、緩衝材55の緩衝効果を説明するための実験例を以下に示す。
【0036】
実験に際しては、鉄板等からなる鋼材(以下「被衝突鋼材」と称す)の表面に厚さの異なる複数のゴムシート(CR)よりなる緩衝材を配置し、これに質量300kgの鋼材(以下「衝突鋼材」と称す)を数種類の衝突速度で衝突させて行う。この実験結果を表したのが下記の表である。
【0037】
【表1】
表にあっては、横軸に衝突鋼材の衝突速度を採り、縦軸に被衝突鋼材が受ける衝撃力を採っている。被衝突鋼材に対しては、ゴムシートを配置していないものと、ゴムシートの厚さを2mm、10mm、20mm、40mmとしたものをそれぞれ配置し、計5種類の被衝突物とした。この5種類の対象物に衝突物である衝突鋼材の衝突速度を変えて、その衝撃力を測定した。
【0038】
この実験結果によると、ゴムシートの厚みを2mmとすると緩衝効果を発揮するが、厚みが10mm以上となると緩衝効果はあまり変らないことが判明する。
【0039】
上記の実験結果から及び緩衝材55には波浪や漂流物が直接衝突するため、緩衝材55にあっては、その厚みを10mm以上とすることが好ましい。
【0040】
図7はこの発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図であって、第1の実施の形態による図2に対応した図である。又、図8は図7で示したVIII−VIIIラインの断面図であり、図9は図7で示したIX−IXラインの断面図であり、図10は図8で示した“C”部分の拡大図であり、図11は図8で示した“D”部分の拡大図である。
【0041】
これらの図を参照して、波浪防護構造物21を構成する柱状体28の形状等は基本的には第1の実施の形態と同一である。即ち、柱状体28はH型鋼よりなり、所定間隔を置いてコンクリート土台23を介して基礎地盤27に打ち込まれ、上下方向に設置されている。そして、柱状体28bはその(柱状体)フランジ部32a,フランジ部32bを壁体29a,壁体29bの配置方向に平行となるように設置されている。
【0042】
一方、壁体29の構造は第1の実施の形態とは大きく異なっている。すなわち、壁体29は溝型鋼を水平部材31として水平方向に配置し、これを上下に積み重ねて構成している。水平部材31bを構成する部分は、上下方向に伸びる垂直部(ウエブ)38bと、垂直部(ウエブ)38bの上端に接続され水平方向に伸びる上方水平部(フランジ部)41bと、垂直部38bの下端に接続され水平方向に伸びる下方水平部(フランジ部)42bとから構成されている。
【0043】
そして、水平部材31bの上方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31xが、水平部材31bの下方には同一形状の溝型鋼を同一方向に配置した水平部材31yが配置されている。尚、この実施の形態にあっては、各水平部材31の表面の全面に厚さ2mmのゴム(CR)よりなるシート体50(ただし、波浪等が直接衝突する面は厚さが10mm)が壁体29の緩衝材として貼り付けられて覆われている。これによって壁体29の前面側は緩衝効果と共に防サビ効果も発揮する。
【0044】
又、図11に示されているように、水平部材31bの上方水平部41bの上面に貼り付けられているシート体50bには、水平部材31の長手方向に沿って水平方向に伸びる断面台形状の突条体51bが一体的に形成されている。一方、水平部材31bの上方に位置する水平部材31xの下方水平部42xの下面を覆うシート体50xにも同様の突条体51xが水平方向に形成されている。これによって水平部材31bの上に水平部材31xを配置して、ボルト39x及びナット40bによってテーパーワッシャーを介してこれらを接続すると、突条体51bがシート体50xに突条体51xがシート体50bに当接状態となる。その結果、水平部材31bと水平部材31xとの間の隙間に対して止水効果が発揮される。尚、この突条体51b及び突条体51xはシート体50b及びシート体50xに接着剤で貼り付けて形成しても良い。この場合、突条体の材質は、シート体と同様にゴムシート(CR)等の弾性材料を用いれば良い。
【0045】
図10において水平方向に配置された水平部材31a,水平部材31bの各々は、垂直方向に配置された止水材34a,止水材34bの各々を介して柱状体28bのフランジ部32aの内面とフランジ部32bの内面とに各々当接状態となるように設置される。尚、止水材34a,止水材34bの各々は、壁体29の各々のすべての背面に当接するように上下に配置されている。すなわち、柱状体28の地上に出ている範囲にほぼ沿って止水材34a,止水材34bの各々が配置されていることになる。これによって、水平部材31と柱状体28のフランジ部32の内面との間の隙間を通して海水等が後方に進出することが阻止される。
【0046】
図12は、図10、図12で示した止水材34の概略形状を示した断面図である。
【0047】
図を参照して、止水材34は、ゴム(CR)等の弾性材料よりなり、帯状のシート部45と、シート部45の両側縁に沿って一体的に接続され、シート部45の厚さより大きな直径Hを有する断面円形状の一対の突起部46a,突起部46bとから構成されている。止水材44はこのような断面形状を有しているため、突起部46a,突起部46bの図における上方部及び下方部がフランジ部32の内面と水平部材31の垂直部38を被覆する緩衝材50の後方面とに当接することになり、止水効果を発揮する。
【0048】
尚、上記の各実施の形態では、柱状体、壁体は特定形状の鋼材を用いて構成しているが、他の形状の鋼材であっても良く、あるいは、コンクリートブロック等の他の材料を用いて構成したものにも同様に適用できる。
【0049】
又、上記の第1の実施の形態では、緩衝材は板材に対して脱着自在に設置しているが、板材に貼り付けるようにして設置しても良い。あるいは、緩衝材の背面に鋼製等の係止部材を接着等で一体化しておき、この係止部材を介して緩衝材を板材に取り付けるように構成しても良い。
【0050】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体として表面が平滑で且つ平面状の板材を用いているが、これに代えて表面が凹凸のある板材であっても良く、あるいは波板のような曲面状の板材を用いても良い。この場合、緩衝材は板材に沿う形状であっても良く、あるいは単なる平面シート状であっても良い。
【0051】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体となる板材を柱状体のフランジ部に当接した状態で取付けているが、第2の実施の形態で示したような止水材を介して柱状体に取付ければ止水効果も更に生じる。
【0052】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体を柱状体の前方側のフランジ部に取付けているが、後方側のフランジ部の内面に取付けても良い。
【0053】
更に、上記の第1の実施の形態では、壁体は一枚の鋼鈑より構成されているが、複数枚の鋼鈑をつき合わせるようにして壁体を構成しても良い。
【0054】
更に、上記の第2の実施の形態では、水平部材間を突条体を用いて止水しているが、これらを用いずに水平部材同士が直接接するように構成しても良い。
【0055】
更に、上記の第2の実施の形態では、柱状体を構成するH型鋼の後方側のフランジ部の内面に壁体を取り付けているが、壁体は前方側のフランジの外面に取り付けても良い。
【0056】
更に、上記の第2の実施の形態では、緩衝材となるシート体を水平部材の全面に貼り付けているが、シート体は少なくとも波浪を受ける前面のみを覆うように貼り付けられれば良い。
【0057】
更に、上記の第2の実施の形態では、水平部材と柱状体との間に止水材を設置しているが、この止水材はなくとも良い。
【0058】
更に、上記の各実施の形態では、緩衝材55やシート体50としてCRゴムを用いているが、EPTや天然ゴム等の他のゴムであっても良く、あるいは、ゴム以外で緩衝効果を奏する材料を用いても良い。又、緩衝材にリサイクル材(ゴムチップ、ガラスくず等)を増量材として配合しても良い。それから、止水材34としてゴム(CR)等の弾性材料を用いているが、EPTや天然ゴム等の他のゴムであっても良く、あるいは、ゴム以外で止水効果を奏する材料であれば良い。
【0059】
更に、上記の第2の形態では、止水材は特定断面形状を有しているが、他の断面形状のものであっても良い。
【0060】
更に、上記の第2の実施の形態では、水平部材として同一断面の溝型鋼を用いているが、他の型鋼やほぼ同一断面の他の鋼材を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1の実施の形態による波浪防護構造物の設置状態を示した概略斜視図である。
【図2】図1で示した波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図3】図2で示したIII−IIIラインの断面図である。
【図4】図2で示したIV−IVラインの断面図である。
【図5】図3で示した“A”部分の拡大図である。
【図6】図4で示した“B”部分の拡大図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物の外観形状を示した正面図である。
【図8】図7で示したVIII−VIIIラインの断面図である。
【図9】図7で示したIX−IXラインの断面図である。
【図10】図12で示した“C”部分の拡大図である。
【図11】図13で示した“D”部分の拡大図である。
【図12】この発明の第2の実施の形態による波浪防護構造物に用いられる止水材の概略形状を示した断面図である。
【符号の説明】
【0062】
21…波浪防護構造物
28…柱状体
29…壁体
31…水平部材
32,53…フランジ部
34…止水材
38…垂直部
41…上方水平部
42…下方水平部
50…シート体
51…突条体
54…板材
55…緩衝材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、
前記基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、
前記柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、
前記壁体の外面のうち、少なくとも波浪を受ける面を覆うように設置される緩衝材とを備えた、波浪防護構造物。
【請求項2】
前記柱状体の各々と前記壁体との間に設置された止水材を更に備えた、請求項1記載の波浪防護構造物。
【請求項3】
前記壁体は、一枚の板材よりなる、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項4】
前記壁体は、上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材からなり、
前記緩衝材は、前記水平部材の表面を被覆するシート体とからなる、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項5】
前記柱状体は、柱状体フランジ部を前記壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、
前記水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が前記柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に当接するように配置される、請求項4記載の波浪防護構造物。
【請求項6】
前記シート体であって上下に隣接する前記水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成される、請求項4又は請求項5記載の波浪防護構造物。
【請求項7】
前記緩衝材は、前記壁体に対して脱着自在に設置される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の波浪防護構造物。
【請求項1】
基礎地盤上に設置される波浪防護構造物であって、
前記基礎地盤に所定間隔で打ち込まれ、垂直方向に立設する複数の柱状体と、
前記柱状体のうち、隣接する柱状体の各々の間を塞ぐように設置される壁体と、
前記壁体の外面のうち、少なくとも波浪を受ける面を覆うように設置される緩衝材とを備えた、波浪防護構造物。
【請求項2】
前記柱状体の各々と前記壁体との間に設置された止水材を更に備えた、請求項1記載の波浪防護構造物。
【請求項3】
前記壁体は、一枚の板材よりなる、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項4】
前記壁体は、上下に積み上げて構成され、水平方向に伸びるほぼ一定断面の複数の水平部材からなり、
前記緩衝材は、前記水平部材の表面を被覆するシート体とからなる、請求項1又は請求項2記載の波浪防護構造物。
【請求項5】
前記柱状体は、柱状体フランジ部を前記壁体の配置方向に平行に設置したH型鋼よりなり、
前記水平部材は、水平部材フランジ部の部分が上下水平方向になるように配置された溝型鋼よりなり、そのウエブ部が前記柱状体の後方側の柱状体フランジ部の内面に当接するように配置される、請求項4記載の波浪防護構造物。
【請求項6】
前記シート体であって上下に隣接する前記水平部材の各々が接する部分には、水平方向に伸びる少なくとも1条の突条体が形成される、請求項4又は請求項5記載の波浪防護構造物。
【請求項7】
前記緩衝材は、前記壁体に対して脱着自在に設置される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の波浪防護構造物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−184760(P2008−184760A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17346(P2007−17346)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000106955)シバタ工業株式会社 (81)
【Fターム(参考)】
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