説明

注入カテーテルおよびその使用

遠位のシャフトの近端部から遠端部へ延びる注入チューブを備える遠位のシャフトと、注入チューブの内直径と近位のカニューレの内側範囲の間に開口を区画するために、内側範囲および遠位のシャフトの近端部に取り付けられた遠端部を備える近位のカニューレとを有する注入カテーテル。また、ガイドワイヤ・チューブが、内側範囲および遠位のシャフト内に配置され、近位のカニューレの近端部から遠位のシャフトの遠端部へ延びる。注入チューブの内直径、開口、ガイドワイヤ・チューブの外寸法および内側範囲が、近位のカニューレの近端部と対象領域の間に、治療剤が注入されることを可能にするために協働し、かつ十分な断面サイズを区画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
心臓血管注入カテーテル。
【背景技術】
【0002】
治療剤または薬剤などの物質を投与する内科医または外科医が、物質の効果的な投与のために、所望の目標組織を効率的かつ正確に位置確認することができることが、ますます重要になっている。目標部位から離れた位置へ物質を導入したのでは、目標部位で必要とされる物質の濃度を、安全または効果的に達成できないとき、このことは特に正しい。さらに、内科医は、器官または組織の疾患部分のみを治療し、健康な部分を治療することは回避したいであろう。
【0003】
このような局所化された治療は、物質投与のために望ましいだけでなく、心筋血行再建術などの他の治療のためにも必要である。心筋血行再建術は、治療される領域への血流を増加させるために、虚血した心室組織内に「孔」を形成する処置である。組織損傷(たとえば孔)が、治療される領域内の血管の成長を促進すると考えられている。したがって、物質の投与と同様に、心筋血行再建術は、治療を必要とする特定の領域でのみ行われることが望ましい手法である。
【0004】
たとえば、心臓内の組織などの組織の局所化された治療を行うために、内科医や外科医は、カテーテルと閉塞器具を使用する。特に、心臓血管ガイド・カテーテルは一般に、患者の脈管構造を通って対象領域へ進行させるために使用される経皮器具であり、かつそれを通って別のカテーテルまたは器具を挿入することができる器具である。注入または投与カテーテルは一般に、患者の脈管構造内の対象領域へ、治療剤を投与または注入するために使用されるカテーテルであり、通常別のカテーテル(たとえばガイド・カテーテル)を通って挿入されることもある。さらに、バルーンなどの閉塞器具が、脈管構造内の対象領域を閉塞させるために、ガイド・カテーテルまたは注入カテーテルに取り付けられることもある。ガイドワイヤは一般に、患者の脈管構造を通って対象領域へカテーテルをガイドするために使用される器具であり、通常、別のカテーテル(たとえば、イントロデューサおよび/またはガイド・カテーテル)を通って挿入される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
血管(たとえば、人間の心臓を含む、動脈または静脈など)の対象領域へ治療剤を注入するための注入カテーテルまたはカニューレが、開示される。注入カテーテルは、その遠端部の近くにその外側表面に取り付けられたバルーンを有し、バルーンの近位または遠位に注入された治療剤が対象領域から離れて灌流されるの防ぐように血管を閉塞させる。例示的なバルーンは、血管を閉塞させるために膨張できる外直径を有するような材料で、およびそのような寸法で作製されている。
【0006】
特に、注入カテーテルは、遠位のシャフトの近端部から遠端部へ延びる注入チューブを備える遠位のシャフトを有し、かつ注入チューブの内直径と近位のカニューレの内側範囲の間に開口を区画するために、内側範囲と、遠位のシャフトの近端部に取り付けられた遠端部を備える近位のカニューレとを有する。カテーテルはまた、内直径と遠位のシャフト内に配置され、近位のカニューレの近端部から遠位のシャフトの遠端部へ延びるガイドワイヤ・チューブを有してもよい。注入チューブの内直径、開口、ガイドワイヤ・チューブの外寸法、内側範囲が、近位のカニューレの近端部から、注入チューブ内へ遠位に、および対象領域内へと治療剤が注入されることを可能にするために協働し、かつ十分な断面領域を区画する。注入内直径は、より短い遠位のシャフト内にのみ存在する、より制限された注入チューブへ移行する前に、カテーテルの長さの大部分にわたって存在してもよい。より短い遠位のシャフトは、より容易なガイドのため、およびより小さい直径の血管へアクセスするために、さらに減少した外直径を備えるカテーテルの一部分を提供する。オプションで、注入カテーテルが、部分的にまたは完全にそれを通って長手方向に延びる支持マンドレルを有してもよい。
【0007】
注入カテーテルを作製または製造するためのプロセスは、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブを、より短い長さのPebax(登録商標)および/またはナイロンの外層(およびオプションで接着性ポリマーの内層)内に配置するステップを含む。外層とチューブが次に、組立体を形成するために収縮チューブ内に配置される。収縮チューブを収縮させ、チューブと外層とを融合または接合するために、その組立体が加熱される。マンドレルが、加熱の前に、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブ内に配置されてもよい。より短い長さの外層を過ぎて延びる注入チューブの部分が除去され、または製造中に除かれる。ガイドワイヤ・チューブと膨張チューブが、注入チューブと近位のカニューレの内側範囲の間に開口が形成されるように、より大きい直径の近位のカニューレ内に配置されてもよい。ある長さの外層の内部表面が、接着剤、熱接合、またはレーザー接合などによって、ある長さの近位のカニューレの外側表面に取り付けられる。
【0008】
3方向サイド・アーム・アダプタが、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入内側範囲にアクセスするための、ガイドワイヤ、膨張、注入開口を有する近位のカニューレの近端部に取り付けられてもよい。また、注入内腔が、アダプタ内の注入開口と内側範囲の間に挿入されたマンドレルの周囲に接着剤を注入することによって、注入開口と内側範囲の間に形成されてもよい。マンドレルが、器具を形成するために、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブ、注入内腔から取り外される。
【0009】
さらに、注入カテーテルは、注入カテーテルの「オーバー・ザ・ワイヤ」ガイドなどのために、ガイドワイヤがそれを通って延びるためのガイドワイヤ内腔(たとえば、ガイドワイヤ・チューブを通る)を有してもよい。注入カテーテルが、他の設計よりも小さい外直径を有するため、可撓性でありながら、および低いプロファイルを有しながら、注入内腔の近位の部分を区画する別個の内部チューブなしで、注入流を最大にすることが可能である。言い換えれば、注入カテーテルは、(1)カニューレの内腔内でガイドワイヤを導入するまたは引き出す能力を増加させるために、(2)蛍光透視剤を注入するための能力を増加させるために、(3)カテーテルの遠位部分でのバルーンを膨張させる能力を増加させるために、(4)より小さい必要外直径のイントロデューサ/ガイド・カテーテルを使用するために、(5)より少ない挿入部位の複雑性を結果として生じさせるために、より小さい外直径で製造できる。したがって、注入カテーテルは、血管内の対象領域へ、その領域へ治療剤を供給するために、より成功裏にガイドできる。
【0010】
様々な特徴、態様および利点が、以下の詳細な説明、1組の特許請求の範囲、および添付の図面から、より十分に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施形態によると、バルーンは、動脈血管および/または静脈血管などの対象領域内へ治療剤(たとえば生物剤など)を注入するための、血管を通って経皮的に進めるのに適した寸法を有するカニューレまたはカテーテルとともに使用される。たとえば、図1は、血管内の対象領域へ治療剤を注入するための装置を示している。図1は、長さ155を有する遠位のシャフト101、および遠位のシャフト101の近端部105から遠端部106へ延びる注入チューブ125を有する装置100を示している。図1はまた、近位のカニューレ102の遠端部107と近端部104の間の長さ156と内側範囲120を有する近位のカニューレ102を示している。近位のカニューレ102の遠端部107は、開口109が、注入チューブ125の内直径(たとえば内腔)と近位のカニューレ102の内側範囲120の間に形成されるように、「接合部」の所で遠位のシャフト101の近端部105に取り付けられている。
【0012】
長さ156は、50センチメートル、75センチメートル、90センチメートル、100センチメートル、110センチメートル、112センチメートル、114センチメートル、116センチメートル、120センチメートル、130センチメートル、135センチメートル、150センチメートル、175センチメートル、または200センチメートルの長さであることによってなど、60センチメートルと200センチメートルの間の長さであってよい。また、長さ155は、10センチメートル、15センチメートル、20センチメートル、25センチメートル、28センチメートル、30センチメートル、32センチメートル、35センチメートル、40センチメートル、45センチメートル、50センチメートル、または60センチメートルの長さであることによってなど、10センチメートルと60センチメートルの間の長さであってよい。いくつかの実施形態では、長さ156と長さ155は、大腿動脈から、または血管を通り静脈を通って人間の心臓へ装置100を延ばすために適切な長さに対応している。
【0013】
図1は、近位のカニューレ102の内部表面の下にあり、遠端部107の所でまたはその近くで内部表面に取り付けられた、近端部105の所の、またはそれに隣接する遠位のシャフト101の外側表面を示している。遠位のシャフト101は、接着剤、熱接合、またはレーザー接合によって近位のカニューレ102に接着または取り付けられる。本明細書では、「熱接合」が、熱収縮プロセスによって、熱収縮チューブを含むプロセスによって、および/または接着剤、光および/またはレーザーを含むプロセスによって接合することなどを含むことが理解できよう。近位のカニューレ102は、注入経路(たとえば、内側範囲120と注入チューブ125を含む経路)の近位の部分を区画する外部管状部材を有する近位のシャフト・セクションとして記載されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、遠位のシャフト101は、シャフトの遠端部上に、閉塞器具、バルーンまたはフィルタなどの半径方向に拡張可能な部材を有する。たとえば、図1は、バルーン・セクション111の所でまたは遠端部106に隣接して、遠位のシャフト101に軸方向に接続されたバルーン110を有するシャフト101を示している。バルーン110は、高コンプライアンス・バルーンである。たとえば、バルーン110は、選択された膨張ボリュームにまで膨張したとき、バルーンが、本明細書で説明されるように血管を閉塞させるのに十分な外直径にまでサイズを拡張するような特性を備えるバルーンである。一例では、バルーン110は、低デュロメータ材料製の高コンプライアンス・バルーンである。より具体的には、バルーン110は、バルーンを膨張させるために使用される液体(たとえば、水、食塩水、または蛍光透視造影剤を有する流体など)の膨張ボリュームの量を制御することによって制御できる外直径を有するように本明細書で説明されるプロセスによっておよび/または材料で設計される。さらに、実施形態によると、バルーン110は、複数の増加する膨張ボリュームにまで膨張されたとき、バルーンが複数の増加する半径方向外直径を形成し、かつ増加する膨張ボリュームの範囲にわたって圧力が5パーセント未満増加する膨張圧力を有するような特性を有してもよい。このようなバルーンが閉塞器具として使用される。
【0015】
バルーン110は、本明細書で説明されたプロセスによっておよび/または材料で設計され、バルーンの外直径が膨張圧力で制御されるように寸法、特徴、収縮外直径および/または収縮長さを有するとも考えられる。より具体的には、バルーンは、バルーンを膨張させるために使用される液体(たとえば、水、食塩水、または蛍光透視造影剤を有する流体など)の膨張圧力の量を制御することによって制御できる外直径を有するように、本明細書で説明されたプロセスによっておよび/または材料で設計されてもよい。この場合もやはり、このようなバルーンが閉塞器具として使用される。
【0016】
実施形態によると、バルーン110は、遠位のシャフト101と熱接合されても、レーザー接合されても、熱収縮プロセスを使用して接合されても、または接着剤によって付着されてもよい。特に、バルーン110は、バルーン外側表面が、カニューレの軸に対して対称的な形状に膨張するように、バルーンを遠位のシャフト101のバルーン・セクション111に接合するために、バルーンの近端部や遠端部の周囲に1つまたは複数の収縮チューブを備える熱収縮プロセスを使用して接合されてもよい。たとえば、熱収縮プロセスを使用して接合されると、カニューレの軸に対するバルーン・チューブのカニューレへの均一かつ直線的な接合を実現して、本明細書で述べられるような膨張圧力および/またはボリュームの範囲にわたる、バルーンのこのように対称的な膨張に影響を与えることができる。
【0017】
バルーン110は、ブロー成形され、膨張されない形状でバルーンの周囲に折り畳まれた「翼」を有してもよい、または「翼なし」でもよい。バルーン110は、閉塞バルーン、低コンプライアンス・バルーン、および/または高コンプライアンス・バルーンであってよい。また、バルーン110は、血管内のある位置(たとえば対象領域)で、またはその近くで遠端部106を固定する固定バルーンとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、バルーン110の代わりに、フィルタなどの、別の半径方向に拡張可能な部材が、遠位のシャフトの遠端部上に使用されてもよい。
【0018】
さらに、図1は、タングステンまたはバリウム化合物を含む材料またはポリマーのような放射線不透性マーカーなどのマーカー・バンド170を示している。マーカー・バンド170は、遠位のシャフト101の外側表面108の周囲、中または下に、熱収縮プロセスを使用して形成されたまたは成形された材料、押出し成形された材料、融合された材料、機械的に拘束された材料、レーザー接合された材料、熱接合された材料、またはその他の材料であってよい。たとえば、マーカー・バンド170は、遠位のシャフト101を形成している材料の表面108上に配置されたまたは滑動させられた、プラスチックまたはタングステンのある長さの押出し成形されたチューブである。別法として、マーカー・バンド170は、別の材料が遠位のシャフト101を形成することなく、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125、オプションでの膨張チューブ140、オプションでのマンドレル160の周囲に直接配置または滑動されてもよい。いくつかの場合では、マーカー・バンド170が、当技術分野で公知であるかつ/またはブロック730に対して以下で説明される熱収縮プロセスを使用して、遠位のシャフト101、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125、膨張チューブ140(オプション)、および/またはマンドレル160(オプション)を形成している材料の上にまたはそれを覆って、形成されてもよい。たとえば、マーカー・バンド170は、熱収縮チューブを収縮させ、かつバンド170の材料を下の材料に接合、「溶融」、または融合するために、バンド170の周囲に配置された熱収縮チューブを加熱することによって、遠位のシャフトの表面の上にまたはそれを覆ってマーカーを形成するまたは成形するために、熱収縮プロセスを使用して導入された材料であってよい。さらに、マーカー・バンド170は、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125、オプションでの膨張チューブ140、オプションでのマンドレル160を、遠位のシャフト101のバルーン・セクション111内に一緒に保持することを補助するようにしてもよい、またはそのために使用されてもよい。この意味で、バンドは、チューブを互いに保持する溶融/または成形されたプラスチックの一部である。いくつかの場合では、バンド170が、捲縮、接着剤によって、形成されたフィレットなどの手段によって、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125、オプションでの膨張チューブ140、および/またはオプションでのマンドレル160(バルーン・セクション111での外側表面108上など)に取り付けられた、またはその上に拘束された放射線不透性のマーカー・リングで形成されてもよい。
【0019】
また、図1は、人間の血管などの血管を通って遠位のシャフト101の遠端部106をガイドするためのガイドワイヤ133を受けるために適した内側範囲を有し、かつ材料で作製されているガイドワイヤ・チューブ130を示している。ガイドワイヤ133は、.018”から.014”の間の直径であってよく、カニューレ130の内側範囲(内直径すなわち「ID」と慣習的に称される)は通常、ガイドワイヤよりも.002”から.004”直径が大きい。したがって、ガイドワイヤのサイズは、カニューレのIDとほぼ同じ大きさになる。ガイドワイヤ133は、直線状であるために、または重力に応答して緩やかな曲線を形成するために十分剛性であってよい。ガイドワイヤ133はまた、丸みを帯びた、より可撓性の、非外傷性の遠位先端部を有してもよい。ガイドワイヤの先端は、直線状であるか、または小さいカーブまたは屈曲部を有して事前に形成されてもよい。
【0020】
特に、ガイドワイヤ・チューブ130は、ガイドワイヤ・チューブ130を通って延びて、近端部104と遠端部106から出るガイドワイヤ133を使用する「オーバー・ザ・ワイヤ」方式で、動脈、または静脈(たとえば人間の心臓の動脈や静脈を含む)などの血管内の対象領域へ遠端部106をガイドするのに適している。たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130は、ガイドワイヤを受けるように、かつ/またはその中に配置されて、ガイドワイヤ開口132の所で遠端部106から出るガイドワイヤを有するように構成されてもよく、したがって、装置100を、オーバー・ザ・ワイヤ方式で使用することができる、かつ/またはガイドワイヤをそこから取り外すことができる。
【0021】
装置100またはガイドワイヤ・チューブ130の設計は、オーバー・ザ・ワイヤ構成に限定されないことに留意されたい。たとえば、ガイドワイヤ・カニューレは、(たとえば、注入チューブと同じ、遠位のシャフト101の近端部105で)切断され、次に、(熱収縮プロセスの前に、接着剤、接着剤とプラグ、混和ポリマー・プラグまたは接着性ポリマー被覆プラグによって)その近端部を遮蔽してもよい。次に、アクセス孔(通常「RXノッチ」と呼ばれる)が、プラグのすぐ遠位のガイドワイヤ内腔内に切り込まれてもよい。この構成では、ガイドワイヤは、装置100の遠端部と係合するだけであり、「Rapid eXchange」(RX)構成である。
【0022】
図1を参照すると、ガイドワイヤ・チューブ130は、装置100がRapid eXchange方式で使用できるように、近端部104の遠位に配置されたガイドワイヤ近位ポートを有してもよい。通常、このようなガイドワイヤ近位ポートは、一実施形態では、遠端部106のガイドワイヤ開口132から約10cmから約35cmの間の所など、近端部104からかなりの距離に配置される。ガイドワイヤ・チューブ130が、バルーン110の近位に、かつ遠端部106から35センチメートル以内に配置された近位開口を有してもよい。
【0023】
実施形態は、ガイドワイヤとの注入カテーテル係合部(たとえば装置100)が必要とされないアクセス・システム(イントロデューサおよび/またはガイド・カテーテル)を含む。この場合、装置100は、ガイドワイヤ・チューブ(たとえばチューブ130)、プラグとRXノッチを完全に省略することができることを除いて、RX構成に対して上記で特定されたように設計されてもよい。したがって、装置100は、ガイドワイヤまたはそのための係合形状なしで、血管内に移送または配置できる。
【0024】
たとえば、目標脈管構造の近位の部分(たとえば、心門、血管分岐または洞などの対象領域)が、目標脈管構造の近位の部分を二次選択するために、アクセス・ガイド・カテーテルによってアクセスされる。アクセス・ガイド・カテーテルは、通常のガイド・カテーテル(たとえば、本明細書で説明されるようなガイド・カテーテル)と本質的に同じであってよく、従来の方式で近位の脈管構造にアクセスするために使用されてもよい。「レール」カテーテルが次に、アクセスされる目標脈管構造内へ、より遠くにレール・カテーテルを配置するために、および/または目標脈管構造内の対象領域でまたはそれを横切って、より遠位の血管分岐を二次選択するために、アクセス・ガイド・カテーテル内へ進められる。
【0025】
アクセス・ガイド・カテーテルが次に、レール・カテーテルから取り外され、目標脈管構造の対象領域内のまたはそれを横切る位置にレール・カテーテルを置く。投与カテーテルが、レール・カテーテル上をたどる。投与カテーテルは、その遠端部に追加されたより可撓性のセクションを備えることを除いて、アクセス・ガイド・カテーテルと同様の設計である。投与カテーテルのこのより可撓性のセクションが、目標脈管構造(またはその他の脈管構造)の対象領域を横切るようにレール・カテーテル上に配置される。
【0026】
レール・カテーテルは、可変な可撓性を有して製造されてもよい。一実施形態では、レール・カテーテルは、アクセス・ガイド・カテーテルが引き出されている間、または投与カテーテルがレール・カテーテル上で挿入されている間に位置を保持するために、レール・カテーテルのその部分が医師にとってアクセス可能であることを保証するように、アクセス・ガイド・カテーテルまたは投与カテーテルよりもずっと長い(たとえば2倍の長さである)。レール・カテーテルは、ガイドワイヤをその内直径内に収容してもよく、および/または、目標脈管構造の容易な操作と二次選択のために特殊形状にされた遠端部を備えてもよい。
【0027】
また、レール・カテーテルは、アクセス・ガイド・カテーテルまたは投与カテーテルが極めて大きな内直径を有することなく、アクセス・ガイド・カテーテルがレール・カテーテル上から取り外されることや、投与カテーテルがレール・カテーテル上に配置されることを可能にするために、分離可能であるアクセス・ポート(たとえば、分離可能なルアー、回転式止血弁またはその他の類似の構成要素)を備えてもよい。たとえば、レール・カテーテルの近端部が、アクセス・ポート上の遠位の先端上のそれぞれの雄または雌ねじ受け部と相補的である、雄または雌ねじ先端を備えるように構成させることができる。アクセス・ポートは、いったんレール・カテーテルが定位置になった後、アクセス・ガイド・カテーテルがレール・カテーテルから引き出されることを可能にするために分離される。また、分離可能なアクセス・ポートは、投与カテーテルがレール・カテーテル上をたどることを可能にするために分離できる。レール・カテーテルの外直径と投与カテーテルの内直径は互いにかなり近くてもよく、したがって、これらは、レール・カテーテルの外直径と投与カテーテルの内直径の間に過度の空間がなく、互いに対して比較的容易に運動することができる。
【0028】
レール・カテーテルが次に、引き出され、かつ取り外される。装置100が次に、投与カテーテル内へ挿入され、目標脈管構造内や投与カテーテルの可撓性のセクション内の所望の位置に配置される。次に、装置100の所望の部分(たとえばバルーン110など)を、目標脈管構造へまたは目標脈管構造の所で露出させるために装置100の表面108から投与カテーテルが引き出される。
【0029】
また、装置100は、ガイド・カテーテルの遠端部に閉塞器具を備えるガイド・カテーテルを同様に有する、カテーテル・キットの一部であってよい。注入カテーテルが、ガイド・カテーテルの内部空間内で血管内のある位置へガイドされる。注入カテーテルは次に、ガイド・カテーテルの遠端部を越えて血管内の対象領域へ、その領域に治療剤を供給するために延長される。装置100がガイド・カテーテル内にある間、内側範囲120は、血管がバルーンの所で閉塞されているかどうかを判定するために、バルーンに隣接するあるボリュームの造影剤の一部分を視認するために、蛍光透視造影剤、蛍光透視造影媒体、蛍光透視造影液体のうちの1つのあるボリュームがバルーンの近位の血管内に注入されるために十分である。
【0030】
図1はまた、遠位のシャフト101の内側範囲120内に配置され、近端部104からバルーン110へ延びる膨張チューブ140を示している。バルーン110は、遠端部106の所でまたはその近くで遠位のシャフト101の外側表面108に取り付けられて示されている。膨張チューブ140は、近端部104で、あるボリュームの流体を受け、かつあるボリュームの流体にバルーン110を膨張させるために適した内側範囲を有しかつそれに適した材料で作製される。また、膨張チューブ140は、バルーン110を膨張させるための膨張器具またはシリンジと(たとえば、以下で述べられるアダプタ150を介してなど)結合されてもよい。
【0031】
図1に示すように、切れ目190が、近位のカニューレ102の近端部104と遠端部107を分離している。ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140の位置が、切れ目190で切り替えられることに留意することができる。たとえば、切れ目190が、ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140が「交差している」またはカニューレ102が回転、湾曲、屈曲されている、またはそうでない場合、切れ目190に対して遠位で示されているようにガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140の向きを提供する視点A(たとえば図2参照)における長さと同様に、近位のカニューレ102のある長さを表している。別法として、実施形態は、切れ目190および/または図1で互いに対して示されている反対の位置(たとえば入れ替えられた位置)にガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140を有する、遠位のシャフト101に対して遠位にカニューレ102を含む。
【0032】
近位のカニューレ102、注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140などの本明細書で説明されたカニューレやチューブが、カニューレまたはチューブ内の内直径を区画する内腔など、それを通る内腔を有することは分かるであろう。また、内側範囲120が、そのボリュームまたは空間内に他の装置または器具によって占められるボリュームまたは空間を差し引いて、近位のカニューレ102内のボリュームまたは空間(たとえば、壁202の内直径内のボリュームまたは空間など)として記載されてもよい。特に、内側範囲120は、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140および/またはマンドレル160によって区画または占有されたボリュームまたは空間を差し引いて、近位のカニューレ102内のボリュームまたは空間として定義されてもよい。また、内側範囲は、近位のカニューレ102の近端部104と遠端部107の間の長さに沿った点での内側範囲120の断面積とみなしてもよい。
【0033】
図1はまた、近端部104に取り付けられたアダプタ150(たとえば、「ハブ」、スリー・アーム・アダプタ、または3方向サイド・アームなど)を示している。アダプタ150は、接着剤、熱接合、またはレーザー接合を使用して近端部104に取り付けられている。アダプタ150は、ガイドワイヤ・チューブ130の内腔と連通している内直径を有するガイドワイヤ開口153を備える。たとえば、ガイドワイヤ開口153は、ガイドワイヤ・チューブ130を通って延ばされるガイドワイヤ133を受ける。ガイドワイヤ133は、オーバー・ザ・ワイヤ構成などで、開口153から出る。図1は、アダプタの内直径上のガイドワイヤの曲がりまたは擦れ(たとえば、装置100を位置決めすることおよび/または装置100をガイドワイヤに対して移動させることを困難にする)を回避するためのアダプタの中央アームとしてのガイドワイヤ開口153を示している。ガイドワイヤ開口153がアダプタの中央アームでない実施形態も考えられる。
【0034】
アダプタ150は、膨張チューブ140の内腔と連通している内直径を有する膨張開口154も備える。たとえば、膨張開口154は、膨張流体のボリュームが血管を閉塞させるためにバルーン110を膨張させるための流体のボリュームと等しくなる、外側表面108に取り付けられたバルーン110内に流体の膨張ボリュームを押し込む流体のボリュームを受けるのに適した寸法を有している。したがって、チューブ140の内側範囲が、膨張器具がバルーン110を膨張させ、収縮させることができるように、開口154に取り付けられたまたは結合された膨張器具や収縮器具に流体を連通させる。
【0035】
同様に、アダプタ150は、内側範囲120と連通している内直径を有する注入開口152を備える。たとえば、注入開口152は、開口152から近端部104を過ぎて内側範囲120内へ延びる注入内腔124を有している。注入開口152と注入内腔124は、治療剤が注入開口152から内側範囲120内へ注入されることを可能にし、それによって治療剤が、上記で説明されたように近端部104と遠端部106の間に注入できる。開口153は、止血弁と接続するためのポートまたは開口であってよい。開口152は、ばね負荷された圧力シールを有するポートまたは開口であってよい。また、開口154は、それに取り付けられた膨張器具またはシリンジを有するポートまたは開口であってよい。
【0036】
注入内腔124は、射出成形、鋳造、あるいは接着剤またはエポキシ123を注入開口152内に、および注入開口152を通って内側範囲120内へ延びるマンドレルの周囲に注入することによって形成されてもよい。接着剤またはエポキシが次に、自然に乾燥され、マンドレルが開口152を通って取り外されても、または引き出されてもよい。同様に、アダプタ150が、射出成形、成形されたプラスチック、鋳造、鋳造された金属、硬化された接着剤、または硬化された樹脂によって形成されてもよい。注入内腔124が、硬化された接着剤、硬化された樹脂、または成形プラスチックで形成されもよい。
【0037】
実施形態では、膨張チューブ140と注入チューブ125の外側表面が、遠位のシャフト101の少なくとも一セクションに沿って、ガイドワイヤ・チューブ130によって離隔および分離されてもよい。また、膨張チューブ140とガイドワイヤ・チューブ130が、近位のカニューレ102(たとえば、表面108などの外側管状部材によって形成された近位のシャフト・セクション)の長さに沿って隣合せに延びてもよい。遠位のシャフト101が、近位のカニューレ102よりも高い可撓性を有してもよい。最後に、膨張チューブ開口109が、近位のカニューレ102(たとえば表面108内に形成された)の遠端部107で内直径開口と半径方向に位置合せされる。
【0038】
また、図1に示されているように、ガイドワイヤ・チューブ130が、近位のカニューレ102内に配置された同じチューブとして、またはアダプタ150の別個のチューブまたは内腔に取り付けることによって、近端部104を越えてまたはそこから外へ、開口153へ長さLL3の距離に延びている。同様に、注入内腔124が、近位のカニューレ102内に配置された同じチューブとして、またはアダプタ150の別個のチューブまたは内腔に取り付けることによって、近端部104を越えてまたはそこから外へ、開口152へ長さLL2の距離に延びている。次に、膨張チューブ140が、近位のカニューレ102内に配置された同じチューブとして、またはアダプタ150の別個のチューブまたは内腔に取り付けることによって、近端部104を越えてまたはそこから外へ、開口154へ長さLL1の距離に延びている。長さLL1、長さLL2および/または長さLL3は、長さが等しくてもまたは異なっていてもよい。注入チューブ125、内側範囲120、内腔124が、あるボリュームの治療剤を血管の対象領域へ注入するのに、およびあるボリュームの血液および/または治療剤を対象領域から吸引するのに適した寸法(たとえば、近端部104と遠端部106の間の長さに沿った点での断面積を考慮する)であることを理解されたい。同様に、膨張チューブ140は、バルーン110をあるボリュームの気体および/または液体によって適切な膨張圧力まで(たとえば、20秒未満などの適切な時間枠内で)膨張させ、膨張ボリュームおよび/または膨張圧力を少なくとも3分間維持するのに適した寸法を有している。膨張内腔140および開口154は、適切な時間枠(すなわち20秒未満)内でバルーン110を収縮させるのに適した寸法を有してもよい。
【0039】
ガイドワイヤ・チューブ130、内腔124および/または膨張チューブ140は、アダプタ150内へ、またはそれを通って延びても、あるいは近端部104でアダプタ150に取り付けられてもよい。したがって、アダプタ150は、ガイドワイヤ・チューブ130の近端部、膨張チューブ140の近端部および/または内腔124の近端部を備えている。
【0040】
RX構成では、アダプタ150は開口153を必要としない。したがって、RX構成では、アダプタ150は、開口153、または開口153と近位のカニューレ102を接続する内腔を備えていない2つのアーム・アダプタによって置き換えられる。また、この構成では、ガイドワイヤ・チューブ130が、近位のカニューレ102、および/または遠位のシャフト101の部分から除外される。図1に示されているように、この構成は、RX構成を使用したカテーテルの挿入と位置決め中に、ガイドワイヤによって支持されることのないカニューレ102および/または装置100の近位の部分へ支持するために、近位のカニューレ102、アダプタ150および/または遠位のシャフト101内へ近位に延長され、その中に固定された支持マンドレル160を備えてもよい。
【0041】
実施形態によると、装置100は、投与、注入、膨張および/またはガイド・カテーテルまたはカニューレなどのカニューレまたはカテーテルである。たとえば、装置100、カニューレ、チューブ、アダプタ、それらのバルーンが、1つまたは複数の合成または天然のラテックスまたはゴムなどの材料、ポリマー材料など、ポリエーテルアミド、熱可塑性材料、可塑剤なしの熱可塑性エラストマー、熱可塑性混合物、ポリエーテルやポリエステルのブロック・コポリマー、ポリエーテル・ブロック・アミド樹脂などの生体適合性ポリマー、ポリカーボネートまたはアクリロニトリル・ブバジエン・スチレン(ABS)、ポリエーテル・ブロック・アミド樹脂などの生体適合性ポリマー、スチレン・イソプレン・スチレン(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)、ポリエーテルウレタン、エチル・プロピレン、エチレン・ビニル・アセテート(EVA)、エチレン・メタクリル酸、エチレン・メチル・アクリレート、エチレン・メチル・アクリレート・アクリル酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、プラスチック、ポリマー、樹脂、「Teflon」(登録商標)(Teflon(登録商標)は、デラウェア州ウィルミントンのDuPont Dow Elastomersから市販されている)、接着性ポリマー(たとえば、「Primacore」など、Primacore(登録商標)は、ミシガン州、ミッドランドのDow Chemical Compapyから市販されている)、ポリエチレン(たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、または高密度ポリエチレン(HDPE)など)、熱収縮チューブまたはチュービング(たとえば、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)、「Pebax」Pebax(登録商標)は、フランス、ピュトーのAutochem Corporationから市販されている)、ブロック・コポリマー、ポリカーボネート、生体適合性ポリマー、スチレン、ウレタン、アセテート、アシッド、アクリレート、スチレン・ブロック・コポリマーおよびポリウレタンのうちの1つの材料族由来の材料、溶融処理可能ポリマー、低デュロメータ材料、Pebaxとナイロンの混合物、および/またはナイロンを含んでもよい。
【0042】
より具体的には、装置100は、3フレンチ、5フレンチ、6フレンチ、7フレンチ、8フレンチ、10フレンチ、または12フレンチなどの3フレンチから12フレンチの間の範囲の外直径を有するガイド・カテーテル内に受けられるように、および/または滑動自在に配置されるために適合した、または適した寸法および/またはプロファイルを有してもよい。装置100が、動脈血管および/または静脈血管などの対象領域内へ治療剤(たとえば生物剤など)を注入するための、血管を通っての経皮的に進めるのに適した寸法を有してもよい。
【0043】
また、注入チューブ125、開口109、ガイドワイヤ・チューブ130の外寸法、内側範囲120が交差したセクションまたは断面領域を有し、治療剤が、近端部104から内側範囲120(たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140の外寸法の周囲など)を通って、開口109と注入チューブ125を通って、かつ遠端部106で注入開口122から外へ注入されることを可能にする。したがって、媒体、骨髄、幹細胞、治療流体または造影剤などの治療剤を、装置100の近端部104と遠端部106の間に注入することができる。
【0044】
さらに、装置100は、(たとえば、遠位のシャフト101、近位のカニューレ102、注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、内側範囲120などの特定の材料、膨張ボリューム、長さ、直径、材料厚さなどを考慮および/または選択することによって)カニューレまたは注入カテーテルが、(1)(たとえばより小さい力を使用した)カニューレの内腔内へガイドワイヤを導入し、引き出すための増加した能力、(2)(たとえばより小さい噴射圧力を使用して)蛍光透視剤を注入するための増加した能力、(3)(たとえばより小さい膨張圧力を使用して)カテーテルの遠位部分でバルーンを膨張させるための増加した能力、(4)より小さい必要外直径のイントロデューサ/ガイド・カテーテル、(5)より少ない挿入部位の複雑性を有しながら、小さい(たとえばできる限り小さい)選択された外直径を有することを可能にするように設計および/または製造されてもよい。
【0045】
たとえば、装置100の設計と製造が、空間内での(たとえば粘性の放射線不透性造影剤による)流体流の抵抗を低下させ、一方それと同時に、(たとえば注入チューブ125の)薬剤注入内腔、(たとえば膨張チューブ140の)バルーン膨張内腔の有効断面積を最大にするために、装置100の外直径と、装置100がその中に配置される(たとえば血管内を進められるなど)ガイド・カテーテルの内直径との間に、十分大きな有効空間を設けてもよい。このようにして、装置100の設計と製造が、他の設計よりも小さい外直径を有するカニューレまたは注入カテーテルを作成することができ、したがって、装置100が、通常腿の大腿動脈での、刺し傷から生じる術後傷閉鎖の複雑性を最小にするために、より小さい外直径のガイド・カテーテルとともに使用できる。
【0046】
バルーンを膨張させるための膨張チューブを有する実施形態について主に議論してきたが、代替となる実施形態(図示せず)では、バルーン(および添付の膨張チューブ)が省略されている。
【0047】
さらに、ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140が、装置100の近端部104から遠端部106へ延びる単一のチューブから(たとえば、接合されたチューブまたはチュービング・セクションなしで)作製されてもよい。別法として、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125および/または膨張チューブ140が、漏れがなく、かつ注入カテーテルとしての装置100の性能を抑制しないチューブまたはチュービングの2つ以上の接合されたセクションで作製されてもよい。
【0048】
図2は、図1の線Aを通る図1の横断面図を示している。図2は、内側範囲120を包囲する壁202を有する近位のカニューレ102、膨張チューブ140、ガイドワイヤ・チューブ130、断面積またはサイズCSS1を示している。断面サイズCSS1は、内側範囲120(たとえば、壁202の内直径または表面など)、ガイドワイヤ・チューブ130の外寸法、膨張チューブ140の外寸法の間で区画される断面積、空洞空間、またはボリュームである。図2はまた、表面108と外直径POD1を有する近位のカニューレ102を示している。オプションで、近位のカニューレ102は、外直径MOD1を有する支持マンドレル160を有している。断面サイズCSS1、内側範囲120、膨張チューブ140、ガイドワイヤ・チューブ130の外寸法、オプションの支持マンドレル160の外直径が、治療剤が装置100の近端部104から遠端部106へ注入されるとき、それらの間に治療剤を注入するための注入抵抗が、30パーセント、40パーセント、50パーセント、60パーセントまたはそれ以上など、ゼロから100パーセントの間で減少されるようなサイズを有するように考慮される。注入抵抗のこの減少は、近位のカニューレ102が、たとえば、注入チューブ125を延長する代わりに、注入経路として内側範囲120を含むように構成されるときに得られる注入抵抗に少なくとも部分的に帰因する。たとえば、近端部104から、内側範囲120(オプションで内腔124を通って)とカニューレ125を通って遠端部106から出る流体を注入するために必要とされる圧力が、流体の流速と注入抵抗との積として定義されてもよい。
【0049】
いくつかの場合では、内直径がより大きい(したがって、外直径がより大きい)近位のカニューレ102を作製することによって、注入抵抗をさらに減少させることができる。しかし、この設計選択は、装置100をガイドするために使用されるガイド・カテーテルのサイズによって制約される可能性がある。たとえば、カニューレ102の内直径の選択にあたって、血管(たとえば、装置100の近位の部分がこのときガイド・カテーテルの内部にある)を閉塞させるためにバルーン110が十分膨張されるかどうかを見るために、装置100の周囲のガイド・カテーテルの内直径内へ、および血管内へと造影媒体を注入することにおける困難(たとえば、必要とされる圧力、流速、および/または注入抵抗)を考慮することを含む。造影剤が、膨張されたバルーンを通り過ぎることが透視装置上で見られた場合、血管は閉塞されていない。特に、近位のカニューレ102の外直径を減少させる設計上の考慮が、装置100の外直径の周囲のガイド・カテーテルの内直径内への造影剤流の注入の注入抵抗の増加に対する、内側範囲120を含む注入経路の注入抵抗の減少を平衡化させることを含む。
【0050】
実施形態によると、直径POD1は、0.04インチ、0.0472インチ、0.0475インチ、0.0482インチ、0.0492インチ、0.0497インチ、0.0499インチ、0.052インチ、0.055インチ、または0.06インチであることによってなど、0.04インチと0.06インチの間の直径である。
【0051】
壁202は、装置100について上記で説明された材料を含む。たとえば、壁202のために適切な材料は、熱可塑性材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン(たとえば、ナイロン12、ナイロン6,12など)、ポリエチレン(PE)(たとえば、低密度PE(LDPE)、中密度PE(MDPE)、または高密度PE(HDPE))、あるいは「Pebax」(登録商標)72Dなどの高デュロメータ「Pebax」(登録商標)、プラスチック、ポリマー、樹脂、「Teflon」(登録商標)、ブロック・コポリマー、ポリカーボネート、生体適合性ポリマー、スチレン、ウレタン、アセテート、アシッドおよび/またはアクリレートを含む。図2はまた、内直径ID2を有する膨張チューブ140、内直径ID1を有するガイドワイヤ・チューブ130を示している。直径ID1は、0.0145インチ、0.0155インチ、0.0165インチ、0.0175インチ、0.0185インチ、0.0195インチ、0.02インチ、0.025インチ、0.03インチ、0.035インチの直径であることによってなど、0.01インチから0.035インチの間の直径であってよい。末梢血管の用途に対しては、ID1は、0.018インチのガイドワイヤの使用を許すように0.025インチであってよい。直径ID2は、直径ID1と同様の直径であってよい。図2はまた、外直径OD2を有する膨張チューブ140と外直径OD1を有するガイドワイヤ・チューブ130を示している。直径OD1は、0.0125インチ、0.0155インチ、0.0175インチ、0.0185インチ、0.0195インチ、0.0215インチ、0.0225インチ、0.0235インチ、0.025インチ、0.03インチ、0.035インチの直径であることによってなど、0.01インチから0.25インチの間の直径であってよい。いくつかの設計では、OD1は、0.014インチから0.035インチの間であってよい。外直径OD1は直径OD2と同じ直径であってよい。
【0052】
支持マンドレル160が、近位のカニューレ102の近端部104から遠位のシャフト101の遠端部106へ延びている。さらに、支持マンドレル160は、直径0.017インチ未満の外直径など、一定の外直径(たとえば図1〜5に示されているように)を有している。別法として、支持マンドレル160が、直径0.17インチ未満の近端部104での外直径を有し、支持マンドレル160が遠端部106に向かって外直径の小さい方に延びるにつれ支持マンドレル160が直径0.012インチから0.003インチの間の遠位の直径に到達するまで、直径が増減してもよい。支持マンドレル160は、近位のアダプタ150、近端部104、遠端部107、近端部105、バルーン110、バンド170、遠端部106および/または装置100内の他の様々な点に固定される。たとえば、マンドレル160は、端部106から、マンドレル160が固定されているバルーン・セクション111のバンド170まで一定である、直径0.017インチ未満の外直径MOD1を有してもよい。別の例では、支持マンドレル160が、直径0.017インチ未満の近端部104での外直径を有し、支持マンドレル160が遠位のシャフト101に向かって外直径の小さい方に延びるにつれ支持マンドレル160が遠位のシャフト101の近端部105に到達し、かつそれに固定されるまで、直径が増減してもよい。また、マンドレル160が、末梢血管用途のためのカテーテル設計を許すように、0.025インチの直径など、0.017インチを超える直径を有してもよい。
【0053】
支持マンドレル160は、装置がよじれるのを防止するためなど、装置100に剛性を追加するため、および/または装置100を補強するために使用される。支持マンドレル160は、チタニウム、ニッケルチタニウム(NiTi)、ステンレス鋼、プラスチック、ポリマー、樹脂および/または「Teflon」(登録商標)、約50から約70のショアDデュロメータ硬さを有するポリエーテル・ブロック・アミド樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、および/または装置100がよじれるのを防止するのに十分な剛性を有するものなど、その他の適切な材料または金属の1つまたは複数を含んでもよい。このようにして、支持マンドレル160が、装置がガイドワイヤ(たとえば、ガイドワイヤ133またはガイド・カテーテルのガイドワイヤであるなど)によって支持されていないときに、装置100がよじれるのを防止する。また、実施形態によると、マンドレル160は、マンドレル160が装置100を通って延びるときに、円形、楕円形、正方形、矩形、多角形、曲線状断面形状、またはそれらの組合せなど様々な断面形状を有してよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、支持マンドレル160は、設計詳細、製造プロセス、カテーテルの材料選択に応じて、完全に省略されても、カテーテルの全長にわたって走っても(遠端部106に向かう距離とともに減少する直径で)、遠位のシャフト101にのみ主にあっても、近位のカニューレ内にのみ主にあってもよい。たとえば、支持マンドレル160は、完全に除去されてもよく、その支持機能が、遠位のシャフト101(たとえば、その材料/寸法選択)、および/または遠位のシャフト101が装置100のRapid eXchangeまたはオーバー・ザ・ワイヤ設計で係合されるガイドワイヤによって引き継がれてもよい。また、いくつかの実施形態は、支持マンドレル160またはガイドワイヤ・チューブ130のない装置100のバージョンである。
【0055】
図3は、図1の線Bを通る図1の断面図を示している。図3は、外直径DOD1、表面108、材料302を有する遠位のシャフト101を示している。遠位のシャフト101は、膨張チューブ140、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125を備えている。注入チューブ125は、内直径ID3と外直径OD3を有して示されている。内直径ID3は、内直径ID2について上記で説明されたような直径であってよい。外直径OD3は、OD2について上記で説明されたような外直径であってよい。オプションで、遠位のシャフト101は、上記で説明されたように支持マンドレル160を備えている。
【0056】
遠位のシャフト101は、0.025インチ、0.035インチ、0.04インチ、0.0475インチ、0.05インチ、0.052インチ、0.054インチ、0.056インチ、0.058インチ、0.06インチの外直径を有するなど、0.025インチから0.06インチの間の外直径DODIを有してもよい。
【0057】
注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140は、装置100について上記で説明したような材料をそれぞれ含んでよい。さらに、注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140は、熱可塑性プラスチック、ナイロンおよび/または「Pebax」(登録商標)、接着性ポリマー(たとえば、「Primacore」(商標)など、Primacore(商標)は、Dow Plasticsの商標である)、潤滑性のポリエステルの内層、高密度ポリエチレン(HDPE)またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)、プラスチック、ポリマー、樹脂、「Teflon」(登録商標)、ブロック・コポリマー、ポリカーボネート、生体適合性ポリマー、スチレン、ウレタン、アセテート、アシッドおよび/またはアクリレートの1つまたは複数の外層をそれぞれ含んでもよい。特に、注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140は、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)の潤滑性の内層の上に形成された、接着性ポリマー(たとえば、「Primacore」(商標)など、Primacore(商標)は、Dow Plasticsの商標である)の層を覆って形成された、熱接合可能なナイロンおよび/または「Pebax」(登録商標)の外層をそれぞれ含んでもよい。
【0058】
また、材料302は、装置100について上記で説明されたような材料をそれぞれ含んでもよい。特に、材料302は、熱可塑性材料、PEEK、ナイロン(たとえば、ナイロン12、ナイロン6,12など)、ポリエチレン(PE)(たとえば、低密度PE(LDPE)、中密度PE(MDPE)、または高密度PE(HDPE))、あるいは「Pebax」(登録商標)72Dなどの高デュロメータ「Pebax」(登録商標)、プラスチック、ポリマー、樹脂、「Teflon」(登録商標)、ブロック・コポリマー、ポリカーボネート、生体適合性ポリマー、スチレン、ウレタン、アセテート、アシッドおよび/またはアクリレートのうちの1つまた複数を含んでもよい。たとえば、材料302は、当技術分野で公知である、かつ/またはブロック730について以下で説明される熱収縮プロセスを使用してシャフト101内に形成されてもよい。いくつかの場合では、材料302は、別個の材料を覆って配置された熱収縮チューブを加熱することによって、チューブ130、チューブ140、チューブ125、オプションでマンドレル160を覆って配置され、成形されたまたは形成された別個の材料を含んでもよい。特にシャフト101は、接着性ポリマー(たとえば「Primacor」(商標)など)の内層が注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140の周囲に形成された、ナイロンおよび/または「Pebax」(登録商標)のチューブを覆って滑動または配置された熱収縮チューブを加熱することによって形成されてもよい。したがって、材料302は、これらのチューブ(たとえば、その中にマンドレルを有するまたは有さない)それらの内側範囲または内部断面積を保持することを許しながら、注入チューブ125、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140の周囲にまたはそれを含んで中実のシャフトを作成するために、熱収縮プロセスによって形成されたシャフト101の外側の材料、層または表面である。上述したように、材料302はまた、支持マンドレル160を覆ってまたはその周囲に形成されてもよい。別法として、材料302は、別個の外側材料なしで、チューブ130、チューブ140、チューブ125(およびオプションでマンドレル160)の上に配置された熱収縮チューブを加熱することによって、シャフト101内に配置、成形されたまたは形成されたチューブ130、チューブ140、および/またはチューブ125の材料を含んでもよい。
【0059】
図4は、図1の線Cを通る図1の横断面図を示している。図1は、バルーン110、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125を示している。オプションで、支持マンドレル160が、バルーン110内にあってもよい。バルーン110は、図1に示されているように、隣接する遠端部106でまたはそれに隣接して、遠位のシャフト101の外側表面108に軸方向に結合されてもよい。したがって、図4に示されているように、バルーン110を通る遠位のシャフト101の延長部が、直径BOD1など、膨張されないとき小さい外直径を有してもよい。バルーン110は、膨張されたとき、バルーン110が、血管を閉塞するために十分な外直径にまでサイズが拡張するような特性を有してもよい。
【0060】
図5は、図1の線Dを通る図1の横断面図を示している。図5に示されているように、近位のカニューレ102の内側範囲120は、遠位のシャフト101の外直径DOD1にわたって広がっている。特に、遠位のシャフト101の近端部105が、近位のカニューレ102の遠端部107の内側にあり、接着剤、熱接合またはレーザー接合などによってそれに取り付けられてもよい。図5はまた、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、注入チューブ125を示している。また、図5は、注入チューブ125の内側範囲または内直径と、内側範囲120との間に形成された開口109を示している。上述のように、支持マンドレル160が、オプションで図5に存在してもよい。
【0061】
また、実施形態によると、カニューレ102、遠位のシャフト101、内側範囲120、内腔124、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、注入チューブ125は、円形、楕円形、正方形、矩形、多角形、曲線、またはそれらの組合せなど様々な断面形状を有してよい。また、実施形態によると、カニューレ102、遠位のシャフト101、内側範囲120、内腔124、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、バルーン110、注入チューブ125、上記で述べられたその他の構成要素の長さ、直径、材料、その他の特性は、装置100が、急性心筋梗塞(AMI)または心筋損傷による心臓機能の損失のその他の形態を治療するために、治療剤および/または細胞注入を補助すること、またはそのために使用できるように選択されてもよい。
【0062】
たとえば、図6は、血管内での装置100の位置を概略的に示している。図6は、血管の第1のセグメント610内に、近位のカニューレ102と、遠位のシャフト101の近位の部分を示している。図6はまた、血管の第2のセグメント620内の遠位のシャフト101の遠位の部分、バルーン110、遠端部106、ガイドワイヤ133を示している。血管の第1のセグメント610と血管の第2のセグメント620が、単一のまたは2本以上の血管に由来してもよい。図6は、対象領域696に近接する血管690を閉塞させるために膨張されたバルーン110を示している。
【0063】
実施形態によると、装置100は、ガイド・カテーテル(たとえば、ガイド・カテーテル602など)内に挿入され、かつ血管(たとえば、血管690など)の対象領域へガイドされる。次に、装置100が、血管690の対象領域696などの治療ゾーンに向かって延ばされる。次に、十分なボリュームと圧力の治療剤が、内側範囲120内へ(たとえば内腔124および/または開口152を介して近端部104内へ注入されることなどによって)、開口109を通って、かつ溶融チューブ125内へ(たとえば、内側範囲120内へ注入され、かつ内側範囲とその内側範囲120内のガイドワイヤ・チューブ130や膨張チューブ140の外側範囲の周囲を通してなどによって)注入される。このようにして、十分な量の治療剤が、閉塞バルーン110の遠位の血管690の対象領域696を治療するために、装置100内に注入され、かつ注入開口122から出ることができる。
【0064】
また、装置100を挿入できるガイド・カテーテル(たとえばガイド・カテーテル602)が、装置100(たとえば、注入カテーテル)を受けるのに適した内側範囲を有するように選択されてもよく、したがって、ガイド・カテーテルと装置100(たとえば、注入カテーテル)が、血管内の対象領域へ延ばされ、かつ造影剤が装置100の外直径とガイド・カテーテルの内直径の間に注入されると、蛍光透視画像が、ガイド・カテーテルの遠端部の位置を突き止めるために成功裏に撮像される。特に、ガイド・カテーテル602は、血管経路すなわち「ロードマップ」を撮像するために、直径POD1、直径DOD1、ガイド・カテーテル602の内直径または範囲を通って、およびガイド・カテーテル602の遠端部から外へ、十分な量の造影剤が注入されることを可能にするために、外直径POD1および外直径DOD1よりも十分に大きいガイド・カテーテル内直径または範囲を選択できる。したがって、ガイド・カテーテル602は、あるボリュームの造影剤が、血管または血管群の血管ロードマップの蛍光透視撮像を成功裏に行うために、ガイド・カテーテル602の遠端部の遠位の、ある長さの血管または血管群の中へ注入、注入または充填されることを可能にするように、内直径によって選択されてもよく、装置100は、外直径POD1および外直径DOD1によって選択されてもよい。
【0065】
さらに、装置100は、図6を参照にして示され、かつ説明されているように、ガイド・カテーテル602の遠端部を過ぎて延ばされる。特に、遠位のシャフト101ろ近位のカニューレ102は、血管690など(たとえば、人間の心臓の静脈や動脈を含む、人間の静脈または動脈など)の血管を通っての経皮的に進めるのに適した外直径または寸法などの範囲を有してもよい。したがって、装置100が、ガイド・カテーテル602の遠端部を越えて延長され、かつバルーン110が、対象領域696の近傍の血管690などの血管を閉塞させるために膨張されたとき、あるボリュームの造影剤が、ガイド・カテーテルの内側範囲と装置100の外との間に(たとえば、ガイド・カテーテル602の内直径と、外直径POD1と外直径DOD1との間など)注入され、かつ、バルーン110に近接する血管の領域(図6に示されているような領域697など)内に注入されてもよい。ここで、注入される造影剤のボリュームは、血管690がバルーン110によって閉塞されたかどうかを判定するために、領域697で造影剤を成功裏に視認するために十分なものである。血液および/またはその他の流体が、近位のカニューレ102から遠位のシャフト101へ向かう方向に、または逆の方向に(たとえば装置100の血管内へ進み、かつ血管が静脈か動脈かに応じてなど)血管690内を流れてもよい。
【0066】
実施形態によると、図6に示されているような、血管内での装置100の位置が、骨髄および/または血液由来の幹細胞治療剤の注入中または注入後に、冠状動脈内の血栓など心筋梗塞(MI)の前の部位で、または慢性心不全(CHF)によって影響される組織に供給する部位で、冠状動脈を閉塞するために使用されてもよい。たとえば、図6はまた、毛細血管床699に至る、遠位の血管分岐の近位にある、遠位のシャフト101の遠位の部分、バルーン110、遠端部106を示している。
【0067】
したがって、装置100を、バルーン110が膨張され、血管690を閉塞または部分的に閉塞しながら、様々な物質を様々な血管(たとえば、図6に示された端部106の遠位の血管690から分岐している血管)内に注入するために使用することができる。これらの場合、膨張されたバルーン110が、注入された物質が、装置100/バルーン110の遠位へ(たとえば、毛細血管床699に至る遠位の血管分岐など、血管690から分岐している血管内へ)よりよく移動すること、および装置100/バルーン110の近位への注入された物質の移動が停止または阻害されることを確実にすることを助ける。たとえば、バルーン110が膨張されたとき、注入された材料(たとえば、開口122から出る)が影響される血管枝(たとえば、毛細血管床699に至る遠位の血管分岐など、血管690から分岐している血管)、接続された毛細血管(たとえば、毛細血管床699に至る遠位の血管分岐の傍に至る毛細血管)、組織、および/または器官(たとえば心臓)内に、正常な血流でよりも長い時間留まるように、血管690内の血流が停止または阻害される。
【0068】
冠状動脈やその他の動脈(たとえば、血管690が動脈である所など)では、治療剤(たとえば、幹細胞および/または骨髄)を注入した後、ある時間の間(たとえば約3分間)血流を停止させる(閉塞させる)ために、バルーン110が膨張されたまま保持され、それによって、治療剤が、影響される毛細血管床(たとえば、毛細血管床699に至る遠位の血管分岐などの傍に至る毛細血管床)を通って、および心臓(またはその他の器官/組織)から迅速に流されなくなる。別法として、冠状静脈やその他の静脈では(たとえば、血管690が静脈である所など)、膨張されたバルーン110が、注入された治療剤(たとえば、骨髄および/または幹細胞)が、血液にその流れ方向を反転させ、治療剤が、圧力下で影響される毛細血管床(たとえば、毛細血管床699に至る遠位の血管分岐などの傍に至る毛細血管床)内へ押し込まれるようにする。このようにして、毛細血管床699に至る遠位の血管分岐などの傍に至る影響される毛細血管床が、通常圧力よりも高い圧力を受け、かつ注入後バルーン110が膨張されたままである場合、影響される毛細血管内の流力(流速)を減少させることができる。
【0069】
静脈または動脈のいずれにおいても、バルーン110の遠位をさらに閉塞することによって、治療剤の流経路をさらに方向付けることが可能である。たとえば、図6に示されているように、別の閉塞器具またはバルーンが、ガイドワイヤ133の端部634に取り付けられ、バルーン110と端部634に取り付けられたバルーンの間で血管690から分岐する別の血管内へ治療剤を向けるようにしてもよい。分岐血管はその後、治療剤のすべてまたは増加した部分を受け入れる。
【0070】
図7は、血管内の対象領域へ治療剤を注入するための装置(たとえば、装置100など)を作製または製造するためのプロセスの流れ図を示している。ブロック710で、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブが形成される。たとえば、ブロック710は、膨張チューブ140、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125を形成することを記載してもよい。各チューブは、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)の内層を覆って形成された、接着性のポリマー(たとえば、Primacor(商標)など)の層を覆って形成された、Pebax(登録商標)またはナイロンの外層を有する各チューブを3層押出し加工することによって形成されるであろう。接着性ポリマーの層がガイドワイヤ、注入または膨張チューブのポリマー(たとえば、内層ポリエステル、HDPEまたはFEPおよび外層Pebax(登録商標)および/またはナイロン材料)が互いと混和するように選択される、またはエッチングされたそれらの表面を有し、したがって、接着性のポリマーが内層と外層の間で必要とされない所など、いくつかの場合では使用されなくてもよい。チューブが射出成形または圧延によって形成されてもよい。実施形態によると、ブロック710は、PEEKで押出し加工することなどによる、近位のカニューレ102の形成を含む。
【0071】
次に、ブロック720で、マンドレルが、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブ内に挿入される。別法として、ブロック710、720が、1つまたは複数の加熱されたまたは液体の材料の中にマンドレルを浸漬または圧延し、次にチューブを形成するために材料をマンドレル上で乾燥させることによって、チューブが形成されるときなど、チューブを形成している間またはその前に、マンドレルをチューブ内へ挿入するステップを含んでもよい。
【0072】
ブロック730で、材料が、遠位のシャフトを形成するために、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブを覆って熱収縮される。たとえば、ブロック730は、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、注入チューブ125を覆って材料302を形成または成形するために、熱収縮プロセスを使用することによって遠位のシャフト101を形成することに対応する。ブロック730では、カニューレは、その中に配置されたマンドレルを有しても、有さなくてもよい。ブロック730は、熱収縮材料、または形成された遠位シャフトの端部の一方を越えて延びるガイドワイヤ・チューブと膨張チューブのある長さまたは部分を含んでいる。注入チューブが、熱収縮材料または形成された遠位のシャフトの端部を過ぎて延びてもよい。ブロック730は、遠位のシャフトを形成するために、注入チューブ、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブの周囲に接着性ポリマー(たとえば、Primacor(商標)など)の内層をオプションで有する)「Pebax」(登録商標)および/またはナイロン材料を形成または成形するための熱収縮プロセス内でポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)またはフッ化エチレン・プロピレン(FEP)の外層を使用することに対応する。
【0073】
たとえば、ブロック730は、当技術分野で公知のかつ/またはシャフト101について上記で説明された熱収縮プロセスを含んでもよい。いくつかの場合、ブロック730は、熱収縮チューブ(たとえば、ポリエステル、HDPEまたはFEP)の部片が、組立体(たとえば、ガイドワイヤ、注入と膨張チューブ)を覆って配置され、かつ(通常高温空気によって)加熱される通常組立体の端部で開始する熱収縮プロセスを含んでもよい。熱収縮チューブまたはその材料は、それが接触する組立体材料と接合または融合しないように、およびその収縮温度が組立体ポリマーの溶融特性に適合するように選択される。熱収縮チューブがその温度上昇に応答して収縮し始めると、熱収縮チューブが組立体と接触し、次に組立体もまた急速に温度が上昇し始める。熱収縮チューブの収縮内直径は、所望の最終組立体(たとえば、遠位のシャフト101)の外直径よりもわずかに小さいように選択できる。(たとえば、遠位のシャフト101、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、および/または膨張チューブの外側材料を軟化または「溶融」することなどによって)組立体が形成または成形し始めると、熱収縮チューブによって組立体に加えられる力(収縮しようとし続けているため)が、少なくとも、組立体の加熱された部分の一部分(たとえば、遠位のシャフト101の外側材料、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブおよび/または膨張チューブ)を、熱収縮チューブ材料の内直径の内側を一緒に流れさせ、通常、より曲線状の形状にし、かつ空気を組立体の外へ押し出し、このようにして組立体のあらゆる隙間も充填する。加熱された部分が、組立体の所望の部分が互いに融合されるまで、組立体の他方の端部に向かって組立体に沿って移動させられる。組立体が十分冷却されたとき、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブのマンドレル(チューブを保持し、チューブの内直径を開いた曲線状に保持し、形成された組立体を熱収縮プロセスの間直線状に保持するのを助ける)、熱収縮チューブが取り外される。
【0074】
いくつかの例では、ガイドワイヤチューブ、注入チューブ、膨張チューブがそれらのマンドレル(およびオプションで、マンドレル160)とともに、組立体を作成するために(接着性ポリマーの内層を有して、または接着性ポリマーの内層なしで)Pebax、ナイロンまたはPebaxナイロン混合物のチューブ(またはカニューレ)の内部に配置される。この組立体が次に、熱収縮チューブの内部に配置され、加熱、冷却され、かつマンドレル(存在する場合、オプションのマンドレルを除く)と熱収縮チューブが取り外されるなどによって、熱収縮プロセスを受ける。
【0075】
他の実施形態では、遠位のシャフトを形成するとき、外側チューブ(Pebax、ナイロンまたはPebaxナイロン混合物)が省略される。ここで、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブの外直径上の材料は、(たとえば、十分な材料を成形、「溶融」、流動またはそうでない場合、加熱中に遠位のシャフト外側表面を形成させることによって)形成するのに(たとえば、シャフトの長さに沿ったボリュームで)十分である。このような場合、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブのうちの1つが、遠位のシャフトを形成するために余分の材料を有する場合(他と比べて)、過度の材料が、注入チューブの材料内にあってもよい(たとえば、加熱の前に注入チューブを構成する材料が、他のものよりも厚くてもよい)。これによって、ガイドワイヤと膨張チューブが、その外直径がより小さいくなり、近位のカニューレ102の外直径を最小にすることを可能にする。より小さいシャフト外直径は、カテーテルの使用において多くの利点を有する(すなわち、改善された造影剤流のガイド、より小さい必要とされるイントロデューサ/より少ない挿入部位の複雑性など)。
【0076】
ブロック730で、熱収縮プロセスの温度と滞留時間(遠位のシャフト101の特定の部分が加熱を受ける時間)が、3つのチューブ(たとえば、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブ)の内層(たとえば、内側のHDPE層)が顕著な程度で流動しないように選択される。したがって、これら3つのチューブの内直径が、(たとえばHDPEの)所望の潤滑と圧力抵抗特性を保持する。3つのチューブのHDPE内直径が、Pebax(ナイロンおよび/またはPebaxナイロン混合物)の層によって包囲され、かつHDPEとPebaxが混和性でない(互いに接合/融合しない)ため、接着性ポリマーの極めて薄い層が、3つのチューブのそれぞれのHDPEとPebaxの間に押し出され、HDPEとPebaxを接合しかつより強いチューブとより強い遠位のシャフトを形成することができる。
【0077】
たとえば、ブロック710で、接着性ポリマーが、3層共押出しプロセス(たとえば、接着性ポリマーがHDPEを覆って押し出され、かつPebaxが接着性ポリマーを覆って押し出される押出しプロセス)でHDPEとPebaxの間に押し出されてもよい。したがって、流動するのは、実質上Pebax、ナイロンまたはPebax―ナイロン混合物カニューレ層である。接着性ポリマー層は、非常に薄く押し出され、かつHDPEに非常によく接合できるので、熱によって感知できるほどには流動しない。
【0078】
また、いくつかの設計では、遠位のシャフトを形成するために、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブの外側表面を形成するためのポリマー(たとえば、外層Pebax(登録商標)および/またはナイロン材料)および/またはガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブの周囲の材料を形成するためのポリマーが、接着性のポリマーがチューブと周囲の材料の間で必要とされないように、互いに混和性であるように、またはエッチングされたそれらの表面を有するように選択される。たとえば、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブは、HDPEと低密度ポリエチレン(LDPE)の2層共押出し、内直径上のHDPEと外直径上のLDPEで作製できる。別の例では、チューブの内直径が、薄いペルフルオロカーボン(すなわち、PTFE、FEP)であり、その外直径がエッチングされ、かつチューブの外直径がナイロン、Pebax、Pebax―ナイロン混合物であってよい。たとえば、近位のカニューレは、アセタール、ポリイミド、HDPE、中密度ポリエチレン(MDPE)またはポリエチレンテレフタレート(PET)であってよい。使用できる他のプロセスは、たとえば多内腔押出しや加熱加圧成形である。
【0079】
ブロック710、720、および/または730が、多内腔押出しプロセスによって、膨張チューブ140、ガイドワイヤ・チューブ130、注入チューブ125、および/または遠位のシャフト101を形成するステップを含んでもよい。
【0080】
ブロック740で、遠位のシャフトの端部を過ぎて延びる注入チューブの部分が取り外される。たとえば、ブロック740は、図1に示されているような、遠位のシャフト101の遠端部107の遠位に延びる注入チューブ125の一部分を取り外すことに対応している。したがって、ブロック740は、遠位のシャフト101が近位のカニューレ102に取り付けられるとき、注入チューブ125と内側範囲120の間に開口109を形成するステップを含んでもよい。注入チューブ125の一部分が、終点が望まれる所で、切削、溶融、捲縮、またはスライシングによって除去される。また、ブロック740は、図1に示されているように注入開口122とガイドワイヤ開口132を形成するためなどに、遠位のシャフト101の遠端部でチューブの部分を除去するステップを含んでもよい。別法として、ブロック740が、注入チューブ125がすでに所望の長さを有している、および/または遠位のシャフト101の遠端部107の遠位に延びていない実施形態などでは、スキップされる。
【0081】
ブロック750で、ガイドワイヤ・チューブと膨張チューブが、近位のカニューレ102内に配置される。たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140が、内側範囲120内に配置されてもよい。ブロック750が、近位のカニューレ102の遠端部107から近端部104までカニューレを延長するのに十分に、膨張チューブ140とガイドワイヤ・チューブ130を内側範囲120内に配置するステップを含んでもよい。さらに、チューブが、アダプタ150を通り開口153、154までの延長などのために、近端部104を越えて延長されてもよい。
【0082】
ブロック760で、遠位のシャフト101が、近位のカニューレ102に取り付けられる。たとえば、ブロック760が、図1〜5に関して上記で説明したように、遠位のシャフト101の近端部105を近位のカニューレ102の遠端部107に取り付けることに対応する。特に、近位のカニューレ102の遠端部107が、遠位のシャフト101の近端部105を覆って延びて、接着剤接合、熱接合またはレーザー接合によってそれに取り付けられてもよい。このような接合は、(たとえば、当技術分野で公知のようにおよび/またはブロック730について上記で説明されたように)熱収縮プロセスによって、熱収縮チューブを含むプロセスによって、および/または接着剤、光および/またはレーザーを含むプロセスによって接合することを含んでもよい。
【0083】
ブロック770で、3方向サイド・アーム・アダプタなどのアダプタが、近位のカニューレに取り付けられてもよい。たとえば、ブロック770は、図1に関して上記で説明したように、アダプタ150を近位のカニューレ102の近端部104に取り付けることに対応する。したがって、ブロック770は、長さLL2に沿っておよび内側範囲120内にマンドレルを開口152内に挿入することや、上記で説明したように内腔124を形成するために開口152内へおよび内側範囲120へ接着剤を注入することを含んでもよい。ブロック770はまた、内腔124が形成されるようにそのマンドレルを取り外すことを含んでもよい。
【0084】
次に、ブロック780で、マンドレルが、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブから取り外される。ブロック780は、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、注入チューブ125からマンドレルを取り外すことに対応する。ブロック780は、アダプタ150の開口152、153、154を介してマンドレルを取り外すことを含む。特に、一実施形態では、注入チューブ125と内腔124内に配置されたマンドレルが、開口152を通って注入された接着剤が内腔124を形成するように、開口152を通ってそれを引張ることによって取り外される。
【0085】
実施形態によると、図7に関して上記で説明されたブロックとそのプロセスが、それらの間の追加のプロセスとともに、および上記で説明されたあるブロックのためのプロセスなしで様々な順序で行われてもよい。たとえば、図7のプロセスは、ブロック720、730、750、780なしで行われてもよい。別の実施形態では、ブロック770、780の順序が、ブロック780がブロック770の前に行われるように、切り替えられてもよい。また、ブロック770が、図7の他のブロックの前または後に行われてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、血管内の対象領域に治療剤を注入するための装置(たとえば、装置100など)を作製または製造するためのプロセスが、以下のものを含んでいる。(1)ガイドワイヤ内腔チューブ(たとえば、約130cmの長さであるガイドワイヤ・チューブ130)内へマンドレル(たとえば約160cmの長さ)を挿入することによって、(2)膨張内腔チューブ(たとえば、約130cmの長さである膨張チューブ140)内へマンドレル(たとえば約160cmの長さ)を挿入することによって、(3)注入内腔(たとえば、約40cmの長さである注入チューブ125)内へマンドレル(たとえば約160cmの長さ)を挿入することによって、装置の遠位の部分(たとえば、遠位のシャフト101)を作製する。3本のマンドレルを挿入することは、ブロック720について上記で説明したプロセスを含んでもよい。
【0087】
次に、遠位の外部部材チューブ(たとえば遠位のシャフト101)内へこれらの組立体を挿入する。次に、遠位の内腔(たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、注入チューブ125)を遠位の外部部材チューブへ熱収縮させるために熱融合を使用する。組立体を挿入することや融合させることが、ブロック730について上記で説明したプロセスを含んでもよい。
【0088】
遠位の組立体(たとえば、遠位のシャフト101)が次に、近位のシャフト・チューブ(たとえば、PEEK製の近位のカニューレ102)の内部に滑動され、次に接着剤を使用して遠位の組立体を近位のシャフト・チューブと接合してもよい。遠位の組立体を滑動させることが、ブロック750について上記で説明したプロセスを含んでもよく、接合することが、ブロック760について上記で説明したプロセスを含んでもよい。
【0089】
ここで、膨張内腔チューブ(たとえば、膨張チューブ140)の遠端部をバルーン(たとえば、バルーン110)の近端部の近くで位置合せする。遠位のシャフト(たとえば、遠位のシャフト101)をバルーンの近端部内へ挿入し、近端部をレーザー・シールする(たとえば、バルーン110の近端部を遠位のシャフト101に対して密封する)。次に、バルーンの遠端部を、ガイドワイヤ内腔チューブと注入内腔チューブにレーザー・シールする(たとえば、バルーン110の遠端部を、ガイドワイヤ・チューブ130と注入チューブ125にレーザー・シールする)。
【0090】
ここで、すべてのマンドレルが、組立体から取り外されてもよい(たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130、膨張チューブ140、注入チューブ125から取り外される)。取り外すことは、ブロック780について上記で説明したプロセスを含んでもよい。
【0091】
次に、ガイドワイヤの近端部と膨張内腔内へ(たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140内へ)、2つのマンドレル(たとえば、約40cmの長さ)を装填する。ここで、ガイドワイヤ内腔チューブ・マンドレルと膨張内腔チューブ・マンドレルの近端部を、3方向サイド・アーム(たとえばアダプタ150)内の適切な開口へ滑動させる。Teflonビーディング(たとえば約5cmの長さ)をサイド・アームの注入ポート内と近位のシャフト・チューブの内部へ(たとえばPEEK製の近位のカニューレ102の内部へ)、およびガイドワイヤ内腔チューブと膨張内腔チューブの外部へ(ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140の外部へ)挿入する。
【0092】
(1)近位のシャフト・チューブ(たとえば、PEEK製の近位のカニューレ102の内部)がサイド・アームと密接に接合する(たとえば、化学的または原子的に融合される、接合される、または混和可能である)ように、サイド・アーム(たとえば、アダプタ150)の適切なポート内へ接着剤(たとえば、紫外線(UV)硬化性接着剤)を注入する。(2)ガイドワイヤ内腔チューブ(たとえばガイドワイヤ・チューブ130)が、サイド・アームと密接に接合される。(3)膨張内腔チューブ(たとえば膨張チューブ140)が、サイド・アームと密接に接合される。(4)Teflonビーディングが、近位のシャフト・チューブとガイドワイヤ内腔チューブと膨張内腔チューブの外部の間に作成された空間(たとえば、近位のカニューレ102の内部とガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140の外部との間の内側範囲120)に対して別個の注入チャネル(たとえば注入内腔124)を作成する。最後に、接着剤を硬化させ、ガイドワイヤ内腔チューブと膨張内腔チューブから(たとえば、ガイドワイヤ・チューブ130と膨張チューブ140から)マンドレル(たとえば、約40cmの長さのマンドレル)を取り外す。装填すること、近端部へ滑動させること、ビーディングを挿入すること、注入すること、硬化させることは、ブロック770について上記で説明したプロセスを含むことに留意されたい。また、取り外すことは、ブロック780について上記で説明したプロセスを含む。
【0093】
上記の説明では、特定の実施形態が説明されている。しかし、様々な修正および変更が、特許請求の範囲で記載したような実施形態のより広義の精神および範囲を逸脱することなくそれに対して行われてもよい。明細書および図面は、したがって、限定的な意味でなく例示とみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】血管内の対象領域に治療剤を注入するための装置を示す図である。
【図2】図1の線Aを通る図1の横断面図である。
【図3】図1の線Bを通る図1の断面図である。
【図4】図1の線Cを通る図1の断面図である。
【図5】図1の線Dを通る図1の断面図である。
【図6】血管内での図1の装置の位置の概略図である。
【図7】血管内の対象領域へ治療剤を注入するための装置を製造するためのプロセスのフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)近位のシャフト・セクション、遠位のシャフト・セクション、注入内腔を有すると共に、膨張内腔を区画する膨張チューブとガイドワイヤ内腔を区画するガイドワイヤ・チューブを有する細長いシャフトと、
b)前記膨張内腔と流体的に連通している膨張可能な内部を有する前記遠位のシャフト・セクション上のバルーンとを備え、
c)前記近位のシャフト・セクションが、前記注入内腔の近位の部分を区画する外側管状部材を備え、かつ前記注入内腔内に延びる前記ガイドワイヤ・チューブの近位の部分と前記注入内腔内に延びる前記膨張チューブの近位の部分を有し、
d)前記遠位のシャフト・セクションが、前記ガイドワイヤ・チューブの遠位の部分、前記膨張チューブの遠位の部分、前記注入内腔近位の部分に流体的に連通している前記注入内腔の遠位の部分を区画する注入チューブを備え、前記膨張、ガイドワイヤ、注入チューブが、前記遠位のシャフト・セクションに沿って固定された外側表面を有する
カテーテル。
【請求項2】
前記注入チューブが、前記バルーンの膨張可能な内部の遠位に配置された遠位の注入ポートへ延びている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガイドワイヤ・チューブが、前記バルーンの膨張可能な内部の遠位に配置されたガイドワイヤ遠位ポートへ延びている請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記膨張チューブ、ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブの前記外側表面が、Pebax、ナイロン、Pebaxナイロン混合物、接着性ポリマー内層のうちの1つによって互いに固定されている請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記膨張および注入内腔の外側表面が、前記近位のシャフト・セクションの少なくとも1つのセクションに沿って前記ガイドワイヤ内腔によって離隔および分離されている請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記膨張およびガイドワイヤ内腔が、前記近位のシャフト・セクションの長さに沿って隣合せに延びている請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記膨張チューブが、近位の部分、および前記近位の部分よりも高い可撓性を有する遠位の部分を備える請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記膨張チューブの近位の部分が、前記遠位の部分とは異なる材料で形成され、かつ接合点を形成するために前記遠位の部分の近端部と融合または接着接合された遠端部を有する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記外側管状部材の遠端部が、前記遠位のシャフト・セクションの外側表面と融合または接着接合され、かつ前記膨張チューブ開口が、前記外側管状部材の遠端部開口と半径方向に位置合せされている請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ガイドワイヤ・チューブが、単一の、一体型チューブを備える請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記遠位のシャフト・セクションが、前記ガイドワイヤ・チューブに流体的に連通している前記ガイドワイヤ内腔の遠位の部分と、前記膨張チューブに流体的に連通している前記膨張内腔の遠位の部分と、前記注入内腔近位の部分に流体的に連通している前記注入内腔の遠位の部分とを形成している、複数の内腔を有する押出し成形されたチューブを備える請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記近位のシャフト・セクションが、100センチメートルから130センチメートルの間の長さ、および0.0472インチから0.052インチの間の内直径を有し、前記遠位のシャフト・セクションが、20ミリメートルから40ミリメートルの間の長さ、および0.052インチ未満の外直径を有し、かつ前記ガイドワイヤ・チューブと前記注入チューブが、0.0155インチから0.0185インチの間の内直径、および0.0125インチから0.0235インチの間の外直径を有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記近位のシャフト・セクションと前記遠位のシャフト・セクション内に延びる支持マンドレルをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記支持マンドレルが、前記近位のシャフト・セクションの近端部と前記遠位のシャフト・セクションの近端部で、近位のアダプタの少なくとも1つに固定されている請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記注入チューブ、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブがそれぞれ、高密度ポリエチレンの内層の上に形成された接着性ポリマーの層を覆って形成されたPebaxまたはナイロンの外層を備え、
前記近位のシャフト・セクションが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含み、
前記遠位のシャフト・セクションが、Pebax、ナイロンまたはPebaxナイロン混合物のうちの1つの層を含み、かつ接着性ポリマー内層が熱収縮プロセスによって、注入チューブ、ガイドワイヤ・チューブと膨張チューブの周囲に形成され、
前記遠位のシャフト・セクションの近端部が接着剤で前記近位のシャフト・セクションの遠端部に取り付けられている請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記近位のシャフト・セクションの近端部に取り付けられたアダプタであって、前記ガイドワイヤ・チューブを通って延びるようにガイドワイヤを受けるためのガイドワイヤ開口と、前記遠位のシャフト・セクションの外側表面に取り付けられた閉塞バルーン内へ押し込まれる流体を受けるために適した寸法を有する膨張開口を含むアダプタと、注入開口から前記近位のシャフト・セクションの近端部を過ぎて内側範囲に延びる注入チューブとをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記アダプタが、成形プラスチックで形成され、前記注入チューブが、硬化された接着剤、硬化された樹脂または成形プラスチックで形成されている請求項16に記載の装置。
【請求項18】
ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブ、注入チューブを覆って遠位のシャフト材料を形成するために熱収縮プロセスを使用するステップであって、ガイドワイヤ・マンドレルが前記ガイドワイヤ・チューブ内に配置され、注入マンドレルが前記注入マンドレル内に配置され、膨張マンドレルが前記膨張マンドレル内に配置され、前記ガイドワイヤ・チューブ、注入チューブ、膨張チューブが、前記遠位のシャフトの近端部を越えて延びているステップと、
前記遠位のシャフトの近端部に近接する前記注入チューブの一部分を除去するステップと、
近位のカニューレの遠端部から近端部へ延びるように、前記近位のカニューレの内側範囲内に前記膨張チューブと前記ガイドワイヤ・チューブを配置するステップと、
前記近位のカニューレの遠端部が前記遠位のシャフトの近端部を越えて延びるように、前記近位のカニューレの遠端部を前記遠位のシャフトの近端部に取り付けるステップと、
を含む方法。
【請求項19】
ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)のうちの1つの内層の上に形成された接着性ポリマーの層を覆って形成されたPebaxまたはナイロンの外層によって、前記注入チューブ、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブを3層押出し成形するステップと、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)によって前記近位のカニューレを押出し成形するステップと、
前記遠位のシャフトを形成するために前記注入チューブ、ガイドワイヤ・チューブ、膨張チューブの周囲にPebax、Pebaxナイロン混合物、ナイロン、接着性ポリマーのうちの1つの層を形成するために熱収縮プロセスを使用するステップと、
前記近位のカニューレの遠端部を前記遠位のシャフトの近端部へ接着するステップと、
をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記近位のカニューレの近端部にアダプタを取り付けるステップと、
前記アダプタの注入開口内へ、および前記注入マンドレルの周囲の前記近位のカニューレの近端部内へ接着剤を注入するステップと、
前記ガイドワイヤ・マンドレルを前記ガイドワイヤ・チューブから取り外すステップと、
前記膨張マンドレルを前記膨張チューブから取り外すステップと、
前記注入マンドレルを前記注入開口に注入された接着剤から、および前記注入チューブから取り外すステップと、
をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記遠位のシャフトと前記近位のカニューレをガイド・カテーテル内へ挿入するステップと、
前記ガイド・カテーテルの遠端部を血管の第1の対象領域へガイドするステップと、
血管の治療ゾーンに近接する前記遠位のシャフトの遠端部を延長するステップと、
対象領域を治療するために、前記近位のカニューレの近端部から、前記ガイドワイヤ・チューブと前記膨張チューブの周り、および遠位のシャフトの遠端部の遠位の対象領域へ、十分なボリュームと圧力の治療剤を注入するステップと、
をさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
注入カテーテルが、近位のカニューレの内直径とその近位のカニューレの内直径から遠位のシャフトの遠端部へ延びる注入内腔との間に開口を区画するように、前記遠位のシャフトの近端部に取り付けられた遠端部を有する前記近位のカニューレと、その近位のカニューレの内直径と前記遠位のシャフト内に配置されたガイドワイヤ・チューブとを備え、ガイド・カテーテルの内側範囲とその内側範囲内に配置された前記注入カテーテルの外寸法の間に、あるボリュームの造影剤を注入するステップを含む方法。
【請求項23】
血管の対象領域へ前記ガイド・カテーテルの遠端部をガイドするステップと、
前記遠位のシャフトの遠端部を前記ガイド・カテーテルの遠端部を越えて延ばすステップと、
血管を閉塞させるために前記遠位のシャフトの遠端部でまたはその近くで遠位のシャフトの外部に取り付けられたバルーンを膨張させるステップと、
前記血管が前記バルーンの所で閉塞されたかどうかを判定するために蛍光透視によって前記バルーンに隣接する当該ボリュームの造影剤の一部分を視認するステップと、
をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
注入カテーテルを受けるのに適した内側範囲を有するガイド・カテーテルと、
近位のカニューレに取り付けられた遠位のシャフトを有し、前記近位のカニューレがある外寸法とある内側範囲を有し、前記遠位のシャフトがある外寸法を有し、かつ、注入チューブが、前記近位のカニューレの内側範囲から前記遠位のシャフトの遠端部へ延びている注入カテーテルと、
対象領域で血管を閉塞するために膨張されるように、前記遠位のシャフトの遠端部でまたはその近くで前記遠位のシャフトの外部に取り付けられたバルーンと
を備えるキットであって、
前記ガイド・カテーテルの内側範囲と前記近位のカニューレの内側範囲および前記遠位のシャフトとの間の空間が、あるボリュームの蛍光視造影剤が、前記バルーンの近傍の血管内へ注入されることを可能にするのに十分であるキット。
【請求項25】
前記バルーンの近傍の空間内と血管内へ注入される、あるボリュームの蛍光透視造影剤、蛍光透視造影媒体、蛍光透視造影液体のうちの1つと、
前記血管が前記バルーンの所で閉塞されたかどうかを判定するために、前記バルーンに隣接する当該ボリュームの造影剤の一部分を視認するための蛍光透視装置とをさらに備える請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記近位のカニューレの内直径と前記遠位のシャフト内に配置されたガイドワイヤ・チューブをさらに備える請求項24に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−526306(P2008−526306A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549438(P2007−549438)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/045629
【国際公開番号】WO2006/073741
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(307020763)アボット・カーディオヴァスキュラー・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】