説明

注出具付き包装袋

【課題】包装袋内の内容物のバリア性、衛生性を向上させる共に、複数の分室間の仕切り手段を容易かつ確実に開放し、未混合による誤使用を防止し、また、注出具の取り付け部に発生し易いピンホールによる内容物の漏洩を防止できる注出具付き包装袋を提供する。
【解決手段】少なくとも内層がヒートシール性を有する樹脂からなる積層フィルムを対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして周縁シール部15,16が形成され、収納部5の内層間にプラスチック射出成形物からなる注出具9が固着されている注出具付き包装袋1において、注出具9と包装袋の収納部5との間を隔てる隔離シール部20が形成され、隔離シール部20が、弱シール部からなり、かつ、注出具9の固着部の近傍に周縁シール部23と隔離シール部20とで囲まれた空室22を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出具付き包装袋に関するものであり、さらに詳しくは、収納する内容物のガスバリアー性、耐ピンホール性を付与し、かつ、複数の収納室の連通しやすい注出具付き包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂製のフィルムを用いた袋体に注出具を設けた注出具付き袋体が広く知られている。
前記の注出具付き包装袋には、内容物として液状やゼリー状のジュース、コーヒー、お茶、コーヒー飲料、牛乳、健康飲料等の飲料、栄養剤等の輸液、調味料、油等を収納して市販されているものである。
上記の注出具付き包装袋に収納する内容物の中でも、例えば、ビタミンCのような物質を含んだ飲料等のように、特に酸素により酸化や褐変し易い内容物を収納する注出具付き包装袋には、通常アルミニウム箔等を用いた積層フィルムから構成された包装袋が使用され、酸素により酸化や褐変し易い物質を保護することにより長期保存可能としている。
従来の注出具付き包装袋として、基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、光遮断性層と、ヒートシール性樹脂層との3層を順次に積層した積層材から構成されるバリア性を付与した注出具付き包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の注出具付き包装袋として、熱可塑性樹脂製フィルムからなる袋体に、異なる成分の液剤が収容される複数の分室と、前記複数の分室の一つに連通して前記異なる成分の液剤の混合液剤を排出する排出口が形成された医療用容器において、前記複数の分室は仕切り手段により液密に仕切られ、かつ前記排出口と前記排出口に連通する分室の間は閉鎖手段により液密に閉鎖されており、これらの仕切り手段および閉鎖手段は前記袋体の外面の少なくとも一部を押圧して生じる内圧によって解除され、かつ、前記閉塞手段は、前記仕切り手段を解除させる内圧と同等またはそれ以上の内圧で解除されることを特徴とする医療用容器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−276773号公報
【特許文献2】特開平9−327498号公報
【0004】
しかしながら、特許文献1の注出具付き包装袋では、注出具自体に酸素等のガスバリア性が付与されていないため、注出具の部分から包装袋内の内容物が酸化して変質してしまうという問題点があった。
また、特許文献2の注出具付き包装袋では、複数の分室間の仕切り手段と、排出口と前記排出口に連通する分室の間は閉鎖手段とは、いずれも熱シールにより形成されているが、同一の熱可塑性樹脂製フィルム層同士をヒートシールバーにより熱シールすると、ヒートシール装置の連続稼動で表面温度の振れ幅が大きいので、前記の閉塞手段が、前記の仕切り手段と同じかそれ以上の熱シール強度になるように、ヒートシールバーの表面温度を保持して制御することは、実質的に設計上、困難であるという問題点がある。
また、従来の注出具付き包装袋では、図7、図8に示すように、注出具9が立体的な形状を平面的な包装袋を屈曲させて注出具を固着させるため、屈曲させた部分24にピンホールが発生しやすく、流通過程において、特に低温下における輸送で、外部からの衝撃により内容物の漏洩する恐れがあるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、包装袋内の内容物のバリア性、衛生性を向上させる共に、複数の分室間の仕切り手段を容易かつ確実に開放し、未混合による誤使用を防止し、また、注出具の取り付け部に発生し易いピンホールによる内容物の漏洩を防止できる注出具付き包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究を重ねた結果、本発明に係る注出具付き包装袋は、ヒートシール性を有する樹脂からなる単層フィルム、または、少なくとも内層がヒートシール性を有する樹脂からなる積層フィルムの当該内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして周縁シール部が形成され、内容物が収納される包装袋に、当該包装袋のヒートシール部の内層間に、プラスチック射出成形物からなる注出具がヒートシールにより固着されている注出具付き包装袋において、当該注出具と当該包装袋の収納部との間を隔てる隔離シール部が形成され、当該隔離シール部が、隣接する収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離する弱シール部からなり、かつ、当該注出具の固着部の近傍に、当該周縁シール部と当該隔離シール部とで囲まれた空室を備えることを特徴とする注出具付き包装袋である。
【0007】
上記の本発明に係る注出具付き包装袋において、前記の包装袋を構成する積層フィルムが、バリア層を有することを特徴とする注出具付き包装袋である。
【0008】
また、前記の包装袋の収納部が、区分シール部により複数の異なる成分の内容物が収容される複数の収納室を備え、前記の区分シール部が、隣接する収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離する弱シール部からなることを特徴とする注出具付き包装袋である。
【0009】
また、前記の隔離シール部の形状が、前記空室に対し、凸形状であることを特徴とする注出具付き包装袋である。
【0010】
また、前記の包装袋の収納部が、区分シール部により複数の異なる成分の内容物が収容される複数の収納室を備え、前記の区分シール部が、隣接する収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離する弱シール部からなる注出具付き包装袋において、前記の区分シール部の形状が、一方の収納部に対し、少なくとも一箇所の凸形状を有することを特徴とする注出具付き包装袋である。
【0011】
また、前記の注出具が、前記の包装袋の外側にある部分を袋状体で被覆するように構成されていることを特徴とする注出具付き包装袋である。
【0012】
また、前記の包装袋の内容物を注出するための器具類が、前記の注出具の先端に接合された状態で、前記の袋状体に収納されていることを特徴とする注出具付き包装袋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の注出具付き包装袋は、上記のような構成とすることにより、注出具の取付部に発生しやすい包装袋のピンホールから内容物が漏洩することを防止することが可能であり、注出具付き包装袋を構成する注出具にバリア性のないものを使用しても、包装袋内の内容物の酸化や変色を防止し、内容物の保存安定性に優れ、隔離シール部、および区分シール部が、流通過程において、外部からの衝撃により開放されにくく、弱シールで仕切った複数室に収納した注出具付き包装袋の場合、未混合のまま注出口から排出することなく、区分シール部が開放されて複数の内容物を混合後、隔離シール部が開放され、また、注出具先端にチューブ等の器具を接続した状態で流通可能なので、器具の接続忘れ、接続の間違い、接続時の感染、器具の紛失を防止可能であり、また、必要に応じて、複数の収納室に注出具を接続し、更に、各注出具に器具を取り付けて、各収納室内の内容物を時間差を付けて排出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係る注出具付き包装袋の実施例を示す平面図であり、図2は本発明に係る注出具付き包装袋の第2実施例を示す平面図であり、図3は本発明に係る注出具付き包装袋の実施例を示す平面図であり、図4は本発明に係る区分シール部の形状例を示した図であり、図5は本発明に係る注出具付き包装袋の実施例を示す平面図であり、図6は本発明に係る注出具付き包装袋の実施例を示す平面図である。
【0015】
本発明に係る注出具付き包装袋1は、図1に示すように、単層フィルムまたは積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして収納部5を形成し、包装袋の角部で注出具9を狭持してヒートシールにより固着され、更に、注出具9と包装袋の収納部5との間を隔てる隔離シール部20が形成され、注出具9の固着部の近傍に、周辺シール部と隔離シール部20とで囲まれた空室22を備える構成からなる。
隔離シール部20は、注出口から収納部5を分離しておき、注出口に隣接する収納部5内を加圧したときに少なくとも一部が剥離し、収納部の内容物を容易に注出口から排出するための弱シール部からなることが必要である。
また、隔離シール部20は、強シール部からなる周縁シール部の内側に形成されることが流通過程において外部からの衝撃に耐えるために必要である。隔離シール部20の外側に強シール部からなる周辺シール部を形成せず、隔離シール部20を周縁部まで形成すると、流通過程において、漏れの恐れがあるため好ましくない。
なお、包装袋の注出具固着部と対角の角部にフックに吊り下げるための把手用開口孔4を設けてもよい。
また、図示しないが、注出具付き包装袋1を構成する包装袋本体は、チューブ状フィルムから製袋されてもよい。
また、注出具の固着位置は、角部に限定されず、下辺の中央位置でもよい。そして、図2に示すように、注出具の固定位置と反対側の辺に自立性を持たせて自立性袋体の場合、注出口を開封後、注出口からチューブを安定して挿入することができ、チューブからポンプ等により内容物を容易に吸引排出できるので便利である。
また、隔離シール部20の形状は、直線状、曲線状のいずれでも構わないが、内容物側に対して凸形状であると、内圧が一点に集中するのでより開放されやすくなり、内容物側に対して凹形状であると、流通過程において外部からの衝撃により、隔離シール部20から開放されにくくなり、直線状は両者の中間となる。このため、包装体の輸送条件、内容物の容量、その他物理的諸条件に応じて、隔離シール部20のシール形状を設計することができる。
また、内容物を注出口から取り出す際、収納部5を両側から摘んで引っ張るか、手で押さえつけて隔離シール部20を開放することにより達成される。
本発明の注出具付き包装袋1は、上記のような構成とすることにより、流通過程において、外部からの衝撃、圧力によって、隔離シール部20から剥離し難く、注出具の取り付け部と収納部5とを隔離シール部20で隔離するので、注出具の取り付け部において屈曲疲労によるピンホールの発生を防止できる。
更に、本発明の注出具付き包装袋1を構成する積層フィルムがバリア性を有する場合、注出具9自体にバリア性を有しなくても、注出具9と収納部5とが隔離シール部20により隔離されているため、注出具9の部分から酸素が収納部5に侵入することを防止することができ、特に酸素ガスによる酸化や変色し易い物質を含んでいる内容物の保存安定性に優れるものである。
【0016】
本発明に係る注出具付き袋体1は、図3に示すように、単層フィルムまたは積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして収納部5を形成し、更に、区分シール部18により複数の収納部5を備え、包装袋の下辺中央部で注出具9を狭持してヒートシールにより固着され、更に、注出具9と包装袋の収納部5との間を隔てる隔離シール部20が形成され、注出具9の固着部の近傍に、周縁シール部と隔離シール部20とで囲まれた空室22を備える構成からなる。
また、図3に示すように、各収納室5の内寸について、仕切り部18の凸部先端から周縁シール部までの距離Lを、収納室5の幅Wより長くすることが好ましい。このことによって、流通過程において、区分シール部18の開放を防止することができる。
また、流通過程において、外部からの衝撃、圧力によって、隔離シール部20から剥離し難く、注出具の取り付け部と下方の収納部5とを隔離シール部20で隔離するので、注出具の取り付け部に屈曲疲労によるピンホールの発生で内容物が漏洩することを防止できると共に、注出具付き包装袋1を構成する積層フィルムがバリア性を有する場合、注出具9自体にバリア性を有しなくても、注出具9と下方の収納部5とが隔離シール部20により隔離されているため、注出具9の部分から酸素が収納部5に侵入することを防止することができ、特に酸素ガスによる酸化や変色し易い物質を含んでいる内容物の保存安定性に優れるので好ましい。
【0017】
図4は本発明に係る区分シール部18の形状例を示した図である。
区分シール部18は、上方の収納部の内容物と下方の収納部の内容物を分離して収納しておき、上方の収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離し、上方の収納部の内容物と下方の収納部の内容物とを容易に混合するための弱シール部からなることが必要である。
図4(a)に示すように、本発明に係る区分シール部18の形状は、一方の収納部に対し、少なくとも一箇所の凸形状を形成するものであればよく、凸形状の形状は、直線状であっても、曲線状であってもよい。
本発明に係る区分シール部18の形状を一方の収納部に対し少なくとも一箇所の凸形状を形成することによって、区分シール部に収納部に対する内圧が一点に集中するのでより区分シール部が開放されやすくなる点で、好ましい。
また、図4(b)に示すように、本発明に係る区分シール部18の形状は、凸形状を複数形成してもよく、図4(c)に示すように、凸形状を曲線状に形成してもよく、図4(d)に示すように、直線状と曲線状とを組み合わせた凸形状をに形成してもよい。
上記において、区分シール部18の形状は、注出口から排出する側の収納部5に対して凸形状であると、上側の収納部5が外圧により容易に開放されるので内容物が混合されやすく、また、区分シール部18が開放されて内容物を混合した後に隔離シール部が開放されるので、複数成分を混合後に注出口から排出される点で好ましい。
【0018】
図5は本発明に係る注出具付き包装袋の実施例を示す平面図である。
図5に示すように、本発明に係る注出具付き包装袋1は、図3の注出具付き包装袋を構成する注出具のうち下方の注出具9と、収納用包装袋と、袋状体2とから構成されるものである。
本発明に係る注出具付き包装袋1を構成する袋状体2は、少なくとも内層がヒートシール性を有する積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせてその周縁部をヒートシールして構成されるものであり、中間層にバリア層を積層させたものを使用してもよい。
なお、図示しないが、包装袋1および袋状体2を構成するフィルムとして、単層または共押し出しのチューブ状フィルムを用いても良い。
袋状体2は、チューブ12を用いて接続した滴下部11等の医療器具全体を被覆すると共に、注出具を固着する包装袋の下辺シール部のフィルム間に挟み込んでヒートシールするために使用するものである。
なお、本発明に係る袋状体2のヒートシール部には、開封用切欠(ノッチ)3を設けると、鋏等の器具を用いずに袋状体2を開封できるため便利である。
本発明に係る注出具付き包装袋1は、上記の構成を採ることによって、輸送中の注出具9の汚染を防止して衛生性に優れると共に、注出具9に医療器具の接続忘れを防止可能であり、災害現場等野外における医療器具接続時の汚染防止等の面で優れ、例えば、ピンチコック等、輸送中に内容物が医療器具内に侵入することを防止する器具が不要となり、また、包装袋を構成する積層フィルムにバリア性を付与することによって、外部から酸素を完全に遮断可能であり、袋状体2内に脱酸素剤を封入しなくても良く経済的であるという利点を有する。
【0019】
図6は本発明に係る注出具付き包装袋の実施例を示す平面図である。
本発明に係る注出具付き袋体1は、図6に示すように、区分シール18と仕切りシール部14によって複数の注出具9を別々の収納部5に夫々ヒートシールにより固着する構成としてもよい。
上記の構成を採ることによって、各収納部の内容物を分離して収納しておき、収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離し、上方の収納部の内容物と下方の収納部の内容物とが容易に混合され、更に、複数の注出具9をチューブ12と嵌合部13を用いて接続することによって、複数の注出具9から別個に内容物を滴下することが可能な注出具付き包装袋1を作製することができる。
そして、本発明に係る注出具付き袋体1は、各注出具9と収納部5との間に隔離シール部20(弱シール)が形成され、隔離シール部20と注出具9の固着部の近傍に、周縁シール部と隔離シール部20とで囲まれた空室22を備える構成からなることが必要である。
上記の構成を採ることによって、注出口から収納部5を分離しておくことが可能であり、
収納部5内を加圧することにより、隔離シール部20の一部が剥離し、混合した内容物を容易に注出口から排出することができる。
また、図示しないが、複数の収納部5にそれぞれ装着した注出具9を別々の袋状体2で被覆することも可能であり、更に、別々の袋状体2内に、注出具9の先端に、収納部5の内容物を注出するための器具類を接合した状態で収納することも可能である。
【0020】
上記の本発明について、以下に更に詳しく説明する。
まず、上記の本発明において、注出具付き包装袋1の内層として使用するヒートシール性を有する樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し、ヒートシール条件(温度、圧力、時間)により、強シールと弱シールをコントロールできるものであれば、特に限定されない。
ヒートシール性を有する樹脂として、中でも、例えば、ポリプロピレン樹脂にエラストマーを添加した樹脂から製膜されたフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとポリスチレンの特殊ポリマーアロイからなるイージーピールシーラントフィルム、外層としてヒートシール性を有する層と、内層としてイージーピール性を有するヒートシール層の薄い膜とからなる共押しフィルム共押しフィルム等を使用することができる。
上記のポリプロピレン樹脂にエラストマーを添加した樹脂から製膜されたフィルムは、シール圧力とシール時間のシール条件を一定にした条件下で横軸をシール温度、縦軸をシール強度としたシールカーブの傾きが小さいため、強シールと弱シールをコントロールがしやすい樹脂として好ましいものである。
上記の特殊ポリマーアロイからなる構成をもつフィルムは、接着・非接着樹脂をミクロ分散しているので、シール温度、シール圧をコントロールすることにより、強シールと弱シールをコントロールがしやすい樹脂なので好ましい。
上記の外層としてヒートシール性を有する層と、内層としてイージーピール性を有するヒートシール層の薄い膜とからなる共押しフィルムは、シール温度をイージーピール性ヒートシール層が、熱によって十分溶融する温度でシール圧をかけてヒートシールすることにより、薄い膜からなるイージーピール性ヒートシール層が流動し、イージーピール性ヒートシール層の外側のヒートシール性を有する層が露出して、ヒートシール圧をかけた部分が強シールとなるので、強シールと弱シールをコントロールがしやすい樹脂なので好ましい。
上記のヒートシール層の厚さとしては、15μm〜300μmのものを使用できる。
尚、ガスバリア性単体フィルムとして、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等の樹脂をフィルム化したシートまたは筒状フィルムを使用することができ、その厚さとしては、30〜300μmが適当である。
【0021】
また、包装袋1および袋状体2を構成する外層として使用する合成樹脂製のフィルムとしては、包装袋を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂を用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の樹脂を用いることができる。
また、これらの樹脂を用いたフィルムとしては、未延伸フィルムあるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができ、フィルムの厚さとしては基本基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、12μm〜25μm程度のものを使用できる。
上記の膜厚が、厚すぎるとコストが上昇するという欠点があり、膜厚が薄すぎると、強度、剛性等が低下するので好ましくない。
また、外層として使用する合成樹脂製のフィルムは、必要に応じて、ポリ塩化ビニリデンが塗工されたフィルムやアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層が形成されたフィルムを使用してバリア性を付加したフィルムを使用してもよい。
また、外層として使用する合成樹脂製のフィルムは、合成樹脂製フィルムの表面または裏面に印刷を施してもよく、この場合、印刷適性の点から、1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムを使用することが好ましい。
なお、袋状体2に用いる積層フィルムの外層としては、注出具付き袋体1の内層側のフィルム間に、袋状体2の一部を挟み込んでヒートシールする場合、注出具付き袋体1の内層とヒートシール性があることが必要である。
【0022】
更に、本発明において、包装袋1および袋状体2を構成する外層と内層との間には、中間層を設けることができる。
中間層は、外層と内層に新たな機能を付加する場合に設けられるものである。
中間層の機能としては、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等がある。
中間層として用いられる素材としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、ポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、アルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルム、またはポリ塩化ビニリデン等のフィルム等の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
中間層の厚さとしては、そのフィルムの厚さとしては、5μm〜100μm位を使用することが可能である。
【0023】
袋状体2に用いる積層フィルムの内層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂層を使用することができ、注出具9とヒートシール性のある樹脂であれば、特に限定されず、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂からなる熱溶融性樹脂層を使用することができる。
本発明において、上記のような樹脂の中でも、特に、ポリエチレン樹脂による溶融押出し樹脂層が、前記の中間層との接着性に優れるため好ましく、特に、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン樹脂層が、低温ヒートシール性、低温熱間シール性、噛み込みヒートシール性等に優れるため、高速充填包装適性を有し、内容物の液漏れ等がなく、十分なシール強度を有するため、より好ましいものである。
本発明において、袋状体2に用いる積層フィルムの内層の厚さとしては、10μm〜150μm位が好ましく、15μm〜80μm位がより好ましい。
【0024】
上記の樹脂には、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0025】
袋体の前記の基材層、中間層、内層を積層する方法としては、熱接着性樹脂を用いてTダイ押し出しラミネーション法によってラミネートしても良いし、また、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法によってラミネートしても良いし、また、共押し出しによる複層フィルムを用いても良い。
Tダイ押し出しラミネーション法の場合は必要に応じてアンカーコート剤を用いることができる。
特に、内容物がレトルト殺菌する必要のある場合には、前記の2液硬化型のウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法によってラミネートするか、または、変性ポリオレフィン樹脂を用いた熱ラミネートを併用することが望ましい。
【0026】
本発明の注出具付き袋体1および袋状体2の袋の形態としては、筒状タイプ、三方シールタイプ、四方シールタイプ、スタンディングパウチ、ガセットタイプ、封筒貼りシールタイプ、ピロータイプ等を使用することが可能であり、特に限定されるものではない。
また、ヒートシールの方法としては、たとえば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の周知の方法で行うことができる。
なお、袋状体2のヒートシール部には易開封性手段として開封用Vノッチ、Iノッチを設けてもよい。
【0027】
本発明ににおいて、注出具9は、上記の内層に用いるヒートシール性を有する樹脂と熱によって溶融し相互に融着し得るものであって、射出成形し得るものであればよく、上記内層に用いる樹脂により選択する必要があるが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ヒートシール性ポリエステル等を使用することができる。なお、注出具9は必要に応じて顔料等で着色されていてもよい。
さらに、内容物が加熱加圧殺菌を要する場合、内容物の殺菌時の加熱加圧によってもパウチとの接着部における剥離等がなく、成形品としての変形のない材料を使用する必要がある。
次に、本発明において、注出具9の形成方法としては、周知のインジェクション成形方法で形成することができる。インジェクション成型品の厚さは30μm〜1500μmであることが好ましい。
また、注出具9の形態としては、先端折り欠き方式、スクリューキャップ方式等、特に限定されないが、注出具の先端にチューブを接続する場合は開放型を用い、注出口導管部材外面には脱落防止の段差を設けると良い。
【0028】
本発明にかかる注出口付き包装袋1は、例えば、飲食品、試薬、粉末薬、輸液等を充填可能であり、外部の酸素や水蒸気等が、袋内に進入することを防止可能であり、内容物が、酸素による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れ、また、包装袋から内容物が漏洩することを防止可能であり、隔離シール部と区分シール部が、流通過程において、外部からの衝撃により開放されにくく、未混合のまま注出口から排出することなく区分シール部が開放されて複数の内容物を混合後、隔離シール部が開放され、また、注出具先端にチューブ等の器具を接続した状態で流通可能なので、器具の接続忘れ、接続の間違い、器具の紛失を防止可能であり、必要に応じて、複数の収納室に注出具を接続し、更に、各注出具に器具を取り付けて、各収納室内の内容物を時間差を付けて排出することができるものである。
【実施例1】
【0029】
次に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(包装袋1の製造)
本発明にかかる注出具付き袋体を構成する包装材は、外側から順に、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムからなる外層と、厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルムからなる中間層(1)と、厚み9μmのアルミニウム箔からなる中間層(2)と、厚み60μmのハイレトルト用未延伸ポリプロピレンフィルムからなる内層とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを作製した。
上記で得られた積層フィルム2枚(縦240mm×横200mm)をカットした。しかる後、未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルム2枚を重ね合わせ、下辺を残し、両側および上辺をシール幅10mmで、ヒートシール温度、190℃、ヒートシール圧、0.2MPa、ヒートシール時間、2秒でシールした後、下辺の一方の角部から70mmの位置で、45度の角度で切り落とした後、幅10mmのヒートシールバーを用いて、前記シール条件と同じ条件で、注出具を挿入する部分(高さ25mm×幅30mm)を残して幅25mmでヒートシールし、下辺部に開口部を有する包装袋を作製した。
(注出具9の製造)
一方、注出具としては、ポリプロピレン(融点200℃)を用いて射出成形により、注出具取付部材7と注出具導管部材8からなり、注出具取付部材7と注出具導管部材8が面一となるように接合された注出具9を成形した。
また、注出具導管部材7の先端には折り欠き部を形成した。
なお、注出具導管部材7の形状は、直径:4.5mm、肉厚0.75mm、長さ20mm、前記注出具取付部材の直径:8mm、長さ10mm、肉圧0.8mmとなるように成形した。
(注出具付き包装袋の製造)
注出具シール機で、包装袋の内面と注出具の注出具取付部材7の接着面とを合わせ、包装袋1の両外側よりヒートシールして、注出具取付部材7に包装袋をシール幅8mmで加熱接着して包装袋の角部に設けた空室に固着した後、空室の上方をシール幅10mmで、ヒートシール条件165℃、ヒートシール圧、0.2MPa、ヒートシール時間、2秒でシールして隔離シール部20を形成し、下辺部に開口部を有し、下辺角部に注出具を固着する、図1に示す注出具付き袋体を作製した。
(注出具付き包装体の製造)
上記で得られた注出具付き包装袋を用いて、開口部より、蒸留水(300ml)を充填して、下辺部をヒートシールして密封した後、121℃、20分間、レトルト殺菌処理を行なった。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装体は、内容物を取り出す時までは注出具の部分が内容物と接触しておらず、また、袋体を構成する包装材に酸素バリア性が付与されているため、酸素が、注出具から袋体本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れ、また、隔離シール部20の近傍の収納部を両手で摘んで引き剥がすことにより隔離シール部20が容易に開放され、内容物を注出口から排出できた。
【実施例2】
【0030】
(包装袋の製造)
実施例2の注出具付き袋体を構成する包装材は、実施例1と同じ包装材として、層構成、外側から2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを用いた。
次に、上記で作製した積層フィルムで、製袋機を用いて、縦210mm×横120mm、底材折り込み高さ35mm、側部シール幅5mmの積層フィルムを未延伸ポリプロピレンフィルムが内面となるようにし、上部を開口部とするスタンディングパウチを作製した。
上記で得られた包装袋に内容物として蒸留水(250ml)を充填後、開口端から15mmの位置にシール幅10mmで、ヒートシール温度、165℃、ヒートシール圧、0.2MPa、ヒートシール時間、2秒の条件で弱シールで密封した後、該弱シール部の中央部30mmを残して、該弱シール部を更に、シール幅、10mm、ヒートシール温度、190℃、ヒートシール圧、0.2MPa、ヒートシール時間、2秒で重ねて強シールすると共に、これと直交する方向で、両側端から45mmに夫々シール幅、10mm、ヒートシール温度、190℃、ヒートシール圧、0.2MPa、ヒートシール時間、2秒で強シールして包装体を作製した。
(注出具9の製造)
注出具9は、実施例1と同じく、ポリプロピレン(融点200℃)を用いて射出成形により、注出具取付部材7と注出具導管部材8からなり、注出具取付部材7と注出具導管部材8が面一となるように接合された注出具9を成形した。
(注出具付き袋体の製造)
上記で得られた包装体の注出具の取付部に注出具の取付部材を挿入し、注出具シール機で、内面と注出具の注出具固着部材7の接着面とを合わせ、注出具を狭持した状態でシール幅8mmでヒートシールして、上端に注出具を固着する、図2に示す自立性注出具付き包装体を作製した。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装体は、内容物を取り出す時までは注出具の部分が内容物と接触しておらず、また、袋体を構成する包装材に酸素バリア性が付与されているため、酸素が、注出具から袋体本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れ、また、隔離シール部20の近傍の収納部を両手で摘んで引き剥がすことにより隔離シール部20が容易に開放され、更に、注出具の固定位置と反対側を底部として包装体を起立させることができるので、注出口を開封後、注出口からチューブ12を安定して挿入することができ、チューブからポンプ等により内容物を安定して容易に吸引排出できた。
【実施例3】
【0031】
(包装袋の製造)
実施例3の注出具付き袋体を構成する包装材は、実施例1と同じ包装材として、層構成、外側から2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを用いた。
上記で得られた袋体を構成する積層フィルム2枚をカットし、しかる後、未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルム2枚を重ね合わせ、トレーシーラーを用いて、注出具の取り付け位置を残して、図3に示すように、上辺シール部、側部シール部、下辺シール部の内側にRを設けて所定の形状に一体で強シールし、周囲をトリミングして縦200mm×横150mmの包装袋を製造した。
なお、上記のヒートシール条件は、ヒートシール温度、190℃、ヒートシール時間、2.5秒の条件でシールした結果、周辺シール部のシール強度は、45N/15mmであった。
更に、トレーシーラーの熱板を交換し、図3に示すような区分シール部18を幅5mmの波形形状で形成した。
なお、上記のヒートシール条件、ヒートシール温度、160℃、ヒートシール時間、2.0秒の条件でシールした結果、区分シール部18の直線部のシール強度は、12N/15mmであった。
(注出具9の製造)
注出具9は、実施例1と同じく、ポリプロピレン(融点200℃)を用いて射出成形により、注出具取付部材7と注出具導管部材8からなり、注出具取付部材7と注出具導管部材8が面一となるように接合された注出具9を成形した。
(注出具付き包装体の製造)
上記で得られた袋体を用いて、上端の注出具取付用未シール部から蒸留水(100ml)を充填した後、該未シール部に注出具を挿入し、注出具シール機で、シール幅8mmでヒートシールした。
しかる後、下端の注出具取付用未シール部から蒸留水(100ml)を充填した後、該未シール部より10mm下にインパルスシーラーを用いて0.5秒でヒートシールしてシール幅5mm、シール強度10N/15mmの弱シールを施し、その後該未シール部に注出具を挿入し、注出具シール機で、シール幅8mmでヒートシールした結果、図3に示す本発明に係る注出具付き包装体を作製した。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装体の下部収納室5は、内容物を取り出す時までは注出具の部分が内容物と接触しておらず、また、袋体を構成する包装材に酸素バリア性が付与されているため、酸素が、注出具から袋体本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れ、また、上方の収納室を手で押さえれば、下方の隔離シール部より先に、区分シール部の凸部から剥離して開放されるため、二つの収納室内の内容物を混合して使用するに際し、誤って下側収納室の内容物のみ取り出すことを防止できた。
【実施例4】
【0032】
(包装袋の製造)
実施例4の注出具付き包装袋を構成する包装材は、実施例1と同じ包装材として、層構成、外側から2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを用いた。
上記で得られた袋体を構成する積層フィルム2枚をカットし、しかる後、未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルム2枚を重ね合わせ、トレーシーラーを用いて図5に示すように、区分シール部18および隔離シール部20を形成した。
なお、区分シール部18および隔離シール部20のヒートシール条件は、ヒートシール温度、160℃、ヒートシール時間、2秒の条件でシールした結果、区分シール部18および隔離シール部20のシール強度は、12N/15mmであった。
更に、トレーシーラーの熱板を交換し、図5に示すように、上辺シール部16、側部シール部15、下辺シール部17の内側にRを設け、下辺シール部の袋状体を挟み込むための未シール部および注出具の取り付け位置、および左側部シール部を残して所定の形状に一体で強シールし、周囲をトリミングして縦200mm×横150mmの包装袋を製造した。
なお、上記の周縁シール部のヒートシール条件は、ヒートシール温度、190℃、ヒートシール時間、2.5秒の条件でシールした結果、周辺シール部のシール強度は、45N/15mmであった。
(注出具9の製造)
注出具は、実施例1と同じく、ポリプロピレン(融点200℃)を用いて射出成形により、注出具取付部材7と注出具導管部材8からなり、注出具取付部材7と注出具導管部材8が面一となるように接合された注出具9を成形した。
(袋状体2の製造)
実施例4の袋状体2を構成する包装材は、外側から順に、厚み40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムからなる外層と、厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルムからなる中間層と、厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムからなる内層とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、外側から、未延伸ポリプロピレンフィルム(40μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを作製した。
上記で得られた積層フィルム(縦120mm×横120mm)を2枚カットし、内層の未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルムを2枚重ね合わせ、上端部を残してシール幅6mmでヒートシールして、上辺に開口部を有する袋状体2を作製した。
(注出具付き包装袋の製造)
上記で得られた袋状体2を用いて、先端の切欠部からカットして開封した注出口導管部材8に、滴下部等の器具を装着したチューブ12を取り付け、はんだごてを用いて注出口取付部材の表裏を2個所ずつスポット状に加熱して仮溶着した後、袋状体2の上方を包装袋の下辺の未シール部のフィルム間に挟持した状態で、包装袋の外側から注出口シール機で注出口取付部分を幅8mmでヒートシールして包装袋に固着後、包装袋の下辺未シール部と上辺未シール部を夫々、幅6mmでヒートシールして、本発明に係る注出具付き包装袋を作製した。
(注出具付き包装体の製造)
上記で得られた袋体を用いて、上下の収納室に左側部の未シール部から蒸留水(50mlずつ)を充填した後、当該未シール部をシール幅6mmで加熱接着した。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装体は、内容物を取り出す時までは注出具の部分が内容物と接触しておらず、また、袋体を構成する包装材に酸素バリア性が付与されているため、袋状体に用いる積層フィルムにバリア性がなくとも、酸素が注出具から袋体本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れ、袋状体内に脱酸素剤を封入する必要もなくなり、経済性にも優れ、また、上方の収納室を手で押さえれば、下方の隔離シール部より先に、区分シール部の凸部から剥離して開放されるため、二つの収納室内の内容物を混合して使用するに際し、誤って下側収納室の内容物のみ取り出すことを防止できると共に、注出具とその先端に内容物を滴下するための器具が、袋状に包装された状態で一体化されているため、輸送中に注出具が汚染する心配が無く、かつ、器具類の装着ミス、および器具装着時の汚染を防止できるものであった。
【0033】
(比較例1)
比較例1の注出具付き袋体を構成する包装材は、実施例1と同じ包装材として、層構成、外側から2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルムを用いた。
次に、上記で作製した積層フィルムで、製袋機を用いて、縦210mm×横120mm、底材折り込み高さ35mm、側部シール幅5mmの積層フィルムの未延伸ポリプロピレンフィルム同士を内面となるようにして、上部を開口部とするスタンディングパウチを作製した。
次に、上記で得られたスタンディングパウチに蒸留水(250ml)を充填し、開口部をシール幅8mmでヒートシールして、図7に示す如き上端に注出具を固着した自立性を有する注出具付き包装体を作製した。
【0034】
〔落下試験の実施〕
実施例2および比較例1で得られた注出具付き包装袋(各10袋)を冷蔵庫で、内容物温度が3℃で2日間保存後、庫内から取り出し後、コンクリート床に2mの高さから底材を下にして5回落下させ、ピンホール発生の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0035】
〔酸素透過度の測定〕
実施例2および比較例1で得られた注出具付き包装袋を用いて、注出具付き包装袋としての酸素透過度を、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。結果を表1に示す。なお、酸素透過度の単位は、〔cc/袋/day・23℃・90%RH〕である。
【0036】
〔酸素侵入位置の測定〕
実施例2および比較例1で得られた注出具付き包装袋の角部を切り落して蒸留水を廃棄し、内容物として蒸留水の替わりにメチレンブルーとハイドロサルファイトナトリウムを添加した2重量%の寒天溶液(200ml)を充填し、気泡を抜いて前記角部を密封した後、40℃にて3週間保存し、開封して包装袋の外部からの酸素が侵入して青色に変色した箇所を検査した。結果を表1に示す。
【0037】
(実験結果)
【表1】

【0038】
表1に示した評価結果から明らかなように、実施例2の注出具付き包装袋は、同一形態の、従来の注出具付き包装袋である比較例1と比較して酸素透過度において、顕著なバリアー性が認められ、酸素によって変色、変質する内容物に対しては非常に効果がある注出具付き包装袋であることが確認された。
また、酸素透過によりメチレンブルーが青色に変化した部位について、実施例2の注出具付き包装袋では発色が認められなかったが、比較例1の注出具付き包装袋では、注出口導管部材内部の全体および注出口取付部において、酸素透過によりメチレンブルーの青色に変色していた。この結果、本発明に係る実施例2の包装袋は、酸素バリア性の低い注出具と内容物とを接触させないことの有効性を証明することができた。
また、従来の注出具付き包装袋である比較例1には、外観を図7に、断面を図8に示したように、注出具固着部の内容物側の包材が円錐状に膨らんだ部分があって、この付け根部分の、平面的なヒートシール部に立体的な注出具を固着することにより生じる包材の変曲点と言うべき部分は、輸送中の振動や衝撃により袋体が膨らもうとする応力を、内容物を介して点で受けるため、ピンホールまたは接着層の剥がれによる破袋が非常に発生し易く、落下試験によりピンホールが発生した箇所は、全てこの変曲点の部分であった。しかしながら、本発明に係る実施例2の注出具付き包装袋においては、この変曲点に内容物が接触しておらず、かつ、収納部内周縁が直線のみにより形成されているため、落下等の衝撃、輸送中の振動が内容物を伝わった応力を点で受ける箇所がなく、ピンホールや破袋の発生を防止することができた。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る注出具を有する包装用袋1の用途は、例えば、飲食品、輸液バッグ、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種々の液状物品の充填包装用袋として使用可能であり、特に制限は無い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る注出具付き包装袋の第1実施例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る注出具付き包装袋の第2実施例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る注出具付き包装袋の第3実施例を示す平面図である。
【図4】本発明に係る仕切り弱シール形状を例示する平面図である。
【図5】本発明に係る注出具付き包装袋の第4実施例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る注出具付き包装袋の1実施例を示す平面図である。
【図7】従来の注出具付き包装袋の1実施例を示す平面図である。
【図8】図7のA−A´線における袋体の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 注出具付き包装袋
1´ 従来の注出具付き包装袋
2 袋状体
3 ノッチ
4 把手用開口孔
5 収納部(収納室)
6 テーパー部
7 注出口取付部材
8 注出口導管部材
9 注出具
10 脱酸素剤
11 滴下部
12 チューブ
13 嵌合部
14 仕切りシール部
15 側部シール部
16 上辺シール部
17 下辺シール部
18 区分シール部
19 突起シール部
20 隔離シール部
21 弱シール保護強シール部
22 空室
23 角部シール部
24 変曲点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール性を有する樹脂からなる単層フィルム、または、少なくとも内層がヒートシール性を有する樹脂からなる積層フィルムの当該内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして周縁シール部が形成され、内容物が収納される包装袋のヒートシール部の内層間に、プラスチック射出成形物からなる注出具がヒートシールにより固着されている注出具付き包装袋において、
当該注出具と当該包装袋の収納部との間を隔てる隔離シール部が形成され、当該隔離シール部が、隣接する収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離する弱シール部からなり、
かつ、当該注出具の固着部の近傍に、当該周縁シール部と当該隔離シール部とで囲まれた空室を備えることを特徴とする注出具付き包装袋。
【請求項2】
前記の包装袋を構成する積層フィルムが、バリア層を有することを特徴とする請求項1記載の注出具付き包装袋。
【請求項3】
前記の包装袋の収納部が、区分シール部により複数の異なる成分の内容物が収容される複数の収納室を備え、前記の区分シール部が、隣接する収納部内を加圧したときに少なくとも一部が剥離する弱シール部からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の注出具付き包装袋。
【請求項4】
前記の隔離シール部の形状が、前記空室に対し、凸形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注出具付き包装袋。
【請求項5】
前記の区分シール部の形状が、一方の収納部に対し、少なくとも一箇所の凸形状を有することを特徴とする請求項3のいずれかに記載の注出具付き包装袋。
【請求項6】
前記の注出具が、前記の包装袋の外側にある部分を袋状体で被覆するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5記載の注出具付き包装用袋。
【請求項7】
前記の包装袋の内容物を注出するための器具類が、前記の注出具の先端に接合された状態で、前記の袋状体に収納されていることを特徴とする請求項6記載の注出具付き袋体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−217052(P2007−217052A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42867(P2006−42867)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】