説明

注出口具

【課題】注出口具を傾けた状態から元の状態に戻したときに、逆止弁の上部に多量の内容物が溜まることを抑制できる注出口具を提供する。
【解決手段】液体状の内容物を収容する容器に取り付けられる注出口具1は、流路を形成する注出部2と、注出部2から突出形成され、容器を取り付けるための取付部3と、注出部2の流路内に配置される逆止弁30とを備えている。逆止弁30は、筒状の基部31と、基部31の開口を閉鎖する閉位置及び基部31の開口を開放する開位置の間で回動可能なフラップ部32とを備えている。フラップ部32の周縁には、少なくとも一部が基部31の開口に沿うように形成される切欠部32bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体状の内容物を収容する容器に取り付けられる注出口具に関し、詳しくは、流路を形成する注出部と、注出部から突出形成され、容器を取り付けるための取付部と、注出部の流路内に配置される逆止弁とを備る注出口具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋等の容器の開口部分に取り付けられる注出口具において、内域に形成される流路を通じた容器内への外気の流入を抑制するように構成された注出口具が知られている。たとえば、特許文献1には、注出部内に易破断可能な隔壁を形成し、この隔壁によって注出部内の流路を塞いだ注出口具が開示されている。この特許文献1の注出口具によれば、注出部内に隔壁が存在することによって、注出部の流路を通じた容器内への外気の流入を抑制することができる。なお、この注出口具は開封時に注出部内の隔壁を破断することにより、注出部の流路が開放されて内容物を注出することが可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−87786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の注出口具は、開封前の保管時においては、隔壁によって注出部の流路を通じた容器内への外気の流入を抑制することができるが、隔壁を破断して開封した後においては、容器内への外気流入を抑制することができなくなる。そこで、本発明者らは、開封の有無にかかわらず、容器内への外気流入を抑制することができる注出口具として、注出部の流路内に逆止弁を配置し、注出部から内容物が外部へ注出されるときにのみ流路が開放される構成の注出口具を開発した。
【0005】
ここで、製造の容易性や製造コスト等の観点から、逆止弁は、全体を弾性変形可能な合成樹脂材料により一体に形成してなり、筒状の基部と、基部の開口を閉鎖する閉位置と開口を開放する開位置との間で回動可能なフラップ部とからなるスイング型の逆止弁を用いることが好ましい。しかしながら、上記スイング型の逆止弁を採用した場合には、液体状の内容物を注出した後、注出口具を傾けた状態から元の状態に戻したときに、逆止弁の上部に内容物が溜まりすぎるといった状態が生じ得る。つまり、注出口具を傾けた状態から元の状態に戻すに際して、逆止弁が完全に閉じるまでの間においては、逆止弁の上部側(下流側)に残った内容物は逆止弁の基部とフラップ部との間の隙間を通って下部側(上流側)へと戻っていくが、この内容物の戻り量が少なすぎると、逆止弁の上部に内容物が溜まりすぎることになる。逆止弁の上部に内容物が多量に溜まってしまうと、例えば、キャップをする際に内容物が溢れる、僅かに傾けただけで内容物がこぼれるというような使用時の使い勝手が悪くなる。
【0006】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、注出口具を傾けた状態から元の状態に戻したときに、逆止弁の上部に多量の内容物が溜まることを抑制できる注出口具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の注出口具は、液体状の内容物を収容する容器に取り付けられる注出口具であって、流路を形成する注出部と、該注出部から突出形成され、前記容器を取り付けるための取付部と、前記注出部の流路内に配置される逆止弁とを備え、前記逆止弁は、筒状の基部と、前記基部の開口を閉鎖する閉位置及び前記基部の開口を開放する開位置の間で回動可能なフラップ部と、前記基部に対して前記フラップ部を回動可能に接続するヒンジ部とを備え、前記フラップ部の周縁には、前記基部の上面に係止されるフランジ部と、少なくとも一部が前記基部の開口に沿うように形成される切欠部とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
一般的なスイング型の逆止弁においては、フラップ部の周縁全体にフランジ部を設け、フラップ部を基部の開口よりも大きく形成することによって、基部内へのフラップ部の潜り込みを規制するように構成されている。しかしながら、フラップ部に設けられるフランジ部は、逆止弁が完全に閉じるまでの間に内容物が逆止弁の上部側から下部側へと戻るための流路(戻り流路)を狭めてしまう。そして、この点が注出口具を傾けた状態から元の状態に戻す際における内容物の戻り量を少なくする要因となっていると考えられる。
【0009】
そこで、上記構成においては、フラップ部の周縁に、基部の開口形状に沿った切欠部、即ちフランジ部の存在しない部分を設けている。これにより、逆止弁が完全に閉じるまでの間において、切欠部が設けられた部分では、上記戻り流路がより大きく確保されて逆止弁の下部側へより多くの内容物を戻すことができるようになる。そして、逆止弁の上部に内容物が多量に溜まることを抑制できる。
【0010】
請求項2に記載の注出口具は、請求項1に記載の発明において、前記切欠部は、前記フラップ部の周縁における前記ヒンジ部との接続部位の反対側に設けられていることを特徴とする。フラップ部の周縁におけるヒンジ部との接続部位の反対側の部分は、逆止弁が開位置から閉位置へ移る際に最後に閉じられる部分である。そのため、この部分に切欠部を設けることにより、上記戻り流路を大きく確保することができるという効果を、逆止弁が完全に閉じるまで得ることができる。
【0011】
請求項3に記載の注出口具は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記フラップ部が閉位置にある前記逆止弁の縦断面において、前記フラップ部の前記切欠部と前記基部とが一点で接触する部分が存在するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、フラップ部が閉位置に位置して逆止弁が完全に閉じた後であっても、逆止弁の上部に多量の内容物が溜まって逆止弁に大きな圧力が作用している状況であれば、上記一点で接触する部分を通じて、内容物が滲み出すようにして逆止弁の下部側へ戻ることも可能になる。そのため、逆止弁の上部に内容物が多量に溜まることを更に効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の注出口具によれば、内容物を注出した後に注出口具を傾けた状態から元の状態に戻したときに、逆止弁の上部に多量の内容物が溜まることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は注出口具の斜視図、(b)は注出口具の断面図。
【図2】注出下部の下面図。
【図3】(a)は逆止弁の斜視図、(b)は逆止弁の断面図、(c)は逆止弁の上面図、(d)は別例の逆止弁の上面図。
【図4】(a)は脱落防止部材の斜視図、(b)は脱落防止部材の断面図。
【図5】(a)は開封処理後の注出口具の断面図、(b)は逆止弁周辺の部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の注出口具を図面に基づいて説明する。
図1(a)及び(b)に示すように、注出口具1は、内部に流路を形成する注出部2を備えている。この注出部2は注出下部10と注出上部20の2つの部材を上下に組み合わせることによって構成されている。
【0016】
注出部2の下側部分を構成する注出下部10は、上端側が開放されるとともに、下端側が閉塞壁11によって塞がれた有底円筒状に形成されている。図1及び図2に示すように、注出下部10の外周面(側面)の下部位置には、注出口具1を包装袋の開口部分に取り付けるための取付部3が突設されている。取付部3は注出下部10から側方に突出する略菱形板状の取付上壁3aと同取付上壁3aの周縁に沿って垂下される取付側壁3bとから形成され、その内部が中空状となっている。そして、中空状の取付部3内には、取付部3の先端から注出下部10の外周面へ延びる補強部3cが設けられている。また、注出下部10の外周面の中央位置には環状のフランジ12が設けられるとともに、同外周面の上部位置には、注出上部20との係合部位としての雄螺子13が設けられている。
【0017】
図1(b)及び図2に示すように、注出下部10の下端を塞ぐ閉塞壁11には、閉塞壁11の上面(内面)側から溝を形成することによって形成される破断誘導部としての薄肉部11aが設けられている。薄肉部11aは、一部が膨出した略円形状(水滴形状)をなす環状に形成されている。そして、薄肉部11aにおける膨出した部分の内側位置には、引張部14が設けられている。引張部14は閉塞壁11から上方に延びる軸体14bと、軸体14bの上端に形成される把持部としての引張リング14aとから構成されている。引張部14の高さ、即ち引張リング14aの高さ位置は、注出下部10の上端と略同位置又はそれよりも上方位置となるように設定されている。
【0018】
図1(b)に示すように、注出部2の上側部分を構成する注出上部20は、下端側が開放されるとともに、上端側が上壁21によって塞がれた有蓋円筒状に形成されている。注出上部20の上壁21は、その外周位置に平面部22が形成されるとともに、その中央部分に、上方に向かって膨出するドーム状の膨出部23が形成されている。そして、膨出部23の頂点となる中央位置には略円筒状の注出口24が設けられている。注出口24の内周面は先端から基端に向かって縮径する逆テーパ状に形成されている。そして、注出口24の先端部分は、周方向に高さが異なるように傾斜状に形成されるとともに、外側に向かって広がるように形成されている。また、膨出部23外面側における注出口24の周囲には、液ダレを防止するための環状の周壁25が立設されている。
【0019】
注出上部20の内周面には注出下部10との係合部位としての雌螺子26が設けられている。また、上壁21の下面(内面)の外周側には、注出下部10の雄螺子13と注出上部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出下部10の内周面に接して同内周面を支持する挟持壁27が立設されている。挟持壁27は注出下部10と同一中心の環状をなす環状壁であり、注出下部10の雄螺子13と注出上部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出下部10の内周面と引張リング14aの外周面との間に収容されるように、その形成位置が設定されている。
【0020】
また、上壁21における膨出部23の下面(内面)には、注出口24を中心とする環状の支持壁28が立設されている。支持壁28と挟持壁27とは同一中心の環状をなし、支持壁28は挟持壁27の内側に位置している。また、支持壁28は注出下部10の雄螺子13と注出上部20の雌螺子26とを係合させた際に、注出下部10に設けられる引張部14の引張リング14aの内側に収容されるように、その形成位置が設定されている。
【0021】
支持壁28の内周面には二つの段部(第1段部28a、第2段部28b)が形成され、支持壁28は両段部において内周面が先端側に向かって段階的に拡径する形状となっている。そして、支持壁28の内域における第1段部28aと第2段部28bとの間に位置する領域には逆止弁30が取り付けられるとともに、第2段部28bと先端部との間に位置する領域には、逆止弁30の脱落を防止するための脱落防止部材40が取り付けられている。また、支持壁28の内周面における第2段部28bと先端部との間の部位には、脱落防止部材40と係合する係合溝が設けられている。
【0022】
図3(a)〜(c)に示すように、逆止弁30は、内域に流路を形成する筒状の基部31と、基部31の上端開口を閉鎖するフラップ部32と、基部31及びフラップ部32を接続するヒンジ部33とからなるスイング型の逆止弁である。そして、この逆止弁30は弾性変形可能な軟質の合成樹脂材料(例えば、シリコンゴム)、又は天然ゴムにより一体に形成されている。なお、逆止弁30を構成する合成樹脂材料の硬度は、フラップ部32の開閉動作の正確性確保という観点から、JIS−K6253に準拠したタイプAデュロメータによる測定値において、A10/S〜A90/Sの範囲であることが好ましい。
【0023】
基部31は断面欠円状の流路を内域に形成する円筒部材であり、基部31の外径は注出上部20の支持壁28における第1段部28aと第2段部28bとの間の部位の内径よりも僅かに小さくなっている。フラップ部32は断面欠円状をなすブロック状の蓋部材であり、その周縁部分においてヒンジ部33を介して基部31に接続されている。
【0024】
図3(a)〜(c)に示すように、フラップ部32の上部周縁には側方に突出するフランジ部32aが設けられている。そして、フラップ部32は、フランジ部32aが設けられる上部において基部31の流路断面よりも大きく、且つ下部側は流路断面よりも小さくなるように形成され、その側面は上部側から下部側に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されている。なお、フランジ部32aとは、フラップ部32における基部31の流路断面よりも大きい部分(後述する基部31の弁座部31aに係止され得る部分)に対応する概念である。また、フラップ部32の上部周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側の位置には、フランジ部32aを直線状に切り欠いたような形状をなす切欠部32bが設けられている。図3(b)及び(c)に示すように、切欠部32bは、基部31の軸線方向(図3(b)における上下方向)において、その一部が基部31の上端開口に沿うように形成されている。
【0025】
図3(b)に示すように、ヒンジ部33は、フラップ部32における一側面(欠円の直線部分をなす面)の上部と基部31の上端部分とを接続するように設けられている。そして、このヒンジ部33を基点として、フラップ部32は基部31の上端開口を閉鎖する閉位置と上端開口を開放する開位置との間で回動動作することができるようになっている。
【0026】
上記閉位置は、基部31の弁座部31a(上端開口縁全体)とフラップ部32のフランジ部32aとが接触して係止される状態となる位置であり、上記開位置は、ヒンジ部33を基点としてフラップ部32が上方に回動して、基部31の弁座部31aから離間した状態となる位置である。図3(b)に示すように、フラップ部32が閉位置にあるとき、フラップ部32の切欠部32bの一部(基部31の上端開口に沿う部分)は、逆止弁30の縦断面において、基部31に対して一点で接触する状態となる。また、フラップ部32が閉位置にあるとき、フラップ部32の下面は基部31の内域(流路内)に位置している。
【0027】
図1(b)に示すように、支持壁28の内域における第1段部28aと第2段部28bとの間に位置する領域において、逆止弁30は、ヒンジ部33が形成されている側が、注出口24の先端部分の高い側(図中左側)に位置するようにして取り付けられる。また、支持壁28の内域における第1段部28aの上方部分には、逆止弁30のフラップ部32の回動を許容するための空間Sが確保されている。この空間Sの高さ、即ち膨出部23の下面から第1段部28aまでの距離は、フラップ部32の最大回動角度(閉位置を基準として、フラップ部32が膨出部23の下面に当接して回動が規制される角度)が10〜60度の範囲となるような距離に設定することが好ましい。なお、上記最大回動角度を過度に小さく設定すると、フラップ部32が開位置にある場合に好適な通過面積を確保することが難しくなる。
【0028】
図4(a)及び(b)に示すように、脱落防止部材40は内域に流路を形成する円環状の部材である。脱落防止部材40の外径は注出上部20の支持壁28における第2段部28bと先端部との間の部位の内径よりも僅かに小さくなっている。脱落防止部材40の外周面には、支持壁28の内周面に設けられた係合溝に係合する係合突部41が設けられている。また、脱落防止部材40の内周部分には、対向する内周面間を接続する架橋壁42が設けられるとともに、架橋壁42の上部中央位置には上方へ向かって延びる規制手段としての規制突起43(突出部)が設けられている。
【0029】
図1(b)に示すように、逆止弁30は、支持壁28の第1段部28aに対して基部31の上端部分を当接させた状態として、支持壁28の内域における第1段部28aと第2段部28bとの間の領域に収容される。一方、脱落防止部材40は、支持壁28の第2段部28b、及び逆止弁30の基部31下端部分に対して、その上面を当接させた状態として、支持壁28の内域における第2段部28bと先端部との間の領域に収容される。このとき、脱落防止部材40の外周面に設けられた係合突部41と支持壁28の内周面に設けられた係合溝とが係合することによって、脱落防止部材40は支持壁28内に固定される。支持壁28内に逆止弁30及び脱落防止部材40が共に収容された状態において、脱落防止部材40に設けられる規制突起43は、逆止弁30の基部31の内域に位置するとともに、その先端が閉位置にあるフラップ部32の下面に当接するようになっている。
【0030】
図1(a)及び(b)に示すように、注出上部20にはヒンジ51を介してキャップ部50が取り付けられている。キャップ部50はヒンジ51を基点として、上壁21の膨出部23を覆う閉位置と同膨出部23を露出させる開位置との間で回動することが可能になっている。注出上部20におけるヒンジ51の形成位置は、逆止弁30のヒンジ部33が形成される側と反対側、即ち注出上部20の中心軸線を挟んで逆止弁30のヒンジ部33に対向する位置に設定されている。
【0031】
なお、注出上部20におけるヒンジ51の形成位置は、注出口具1から内容物を注出する際における注出口具1の傾け方向を規定する。つまり、注出時にはヒンジ51の形成位置の反対側を下に向けて傾けるようにして使用される。したがって、逆止弁30は、ヒンジ部33が形成される側が注出時に下側に位置するように取り付けられることになる。そして、注出口24は、先端部分の高い側(図中左側)が注出時に下側に位置するように形成されていることになる。
【0032】
また、図1(b)に示すように、キャップ部50の上部内面には、キャップ部50を閉位置に位置させたときに注出口24に挿入されて注出口24を塞ぐ挿入突起52が設けられている。なお、符号は省略するが、キャップ部50の内周面及び上壁21の膨出部23の外周面には、互いに係合してキャップ部50を閉じた状態で保持するための突起状の係合部がそれぞれ設けられている。
【0033】
ところで、キャップ部50と注出上部20とを接続するヒンジ51は、キャップ部50の開閉動が繰り返し行われることにより伸びてしまうことがある。ヒンジ51に伸びが生じると、キャップ部50を正しい閉位置に位置させることができなくなり、閉位置においてキャップ部50及び膨出部23の各係合部を係合させてキャップ部50を保持することが困難になる場合がある。そこで、本実施形態では、上壁21の平面部22上面におけるヒンジ51の近傍位置に位置決め突起29を設けている。この位置決め突起29は、キャップ部50を閉位置に位置させたときにキャップ部50の内周面に当接して、キャップ部50の位置を位置決めする。これにより、キャップ部50を正しい閉位置に位置させることができ、閉位置におけるキャップ部50と膨出部23との係合関係を好適に形成させることができる。
【0034】
なお、上述した注出口具1における逆止弁30以外の部位(取付部3、注出下部10、注出上部20、キャップ部50、及び脱落防止部材40)には、スパウト等の注出口具に一般に使用される公知の合成樹脂材料を用いることができる。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0035】
また、図1(b)に示すように、注出下部10の下面全体にはガスバリア層としてのガスバリアフィルム60が貼り付けられている。ガスバリアフィルム60としては、例えば、アルミニウム箔層、エチレンビニル−アルコール共重合体層、セラミック蒸着フィルム層等をガスバリア層として有する多層樹脂シートを用いることができる。また、ガスバリアフィルム60において、注出下部10の閉塞壁11に形成される薄肉部11aの下側に位置する部位には、薄肉部11aと同形状のハーフカット61が形成されている。なお、図2においてはガスバリアフィルム60の図示を省略している。
【0036】
ここで、注出下部10に対するガスバリアフィルム60の貼り付け方法の一例を以下に記載する。ガスバリアフィルム60としては、基材層と、基材層の下面側に積層されたガスバリア層と、基材層の上面側に積層された熱融着層とからなる3層構造の多層樹脂シートを用いる。上記多層樹脂シートは長尺状をなし、ロール状に巻き取られた状態で配置されている。上記ロールから繰り出された多層樹脂シートは、接着工程及び切出工程を経て注出口具1の注出下部10に備えられる。
【0037】
接着工程おいては、まず、熱融着層を下側にした状態で多層樹脂シートを製造ラインへ供給する。また、多層樹脂シートの下方位置には、複数の注出口具1を注出下部10の閉塞壁11側を上に向けた状態で保持することのできる受け治具を配置する。そして、受け治具に複数の注出口具1を保持させた状態とし、シールバー等の熱溶着手段を用いて各注出口具1の下面部分(具体的には、注出下部10の閉塞壁11の下面、及び取付部3における取付側壁3bの下縁)と多層樹脂シートとを同時に熱溶着する。
【0038】
切出工程においては、注出口具1が熱溶着された多層樹脂シートに対して、各注出口具1の取付部3の縁に沿ってレーザーを照射して、外周部分をカットする。さらに、多層樹脂シートにおける、注出下部10の閉塞壁11に設けられた薄肉部11aに対応する位置に出力の小さいレーザーを照射してハーフカット61を形成する。切出工程の後、多層樹脂シートの巻き取り処理を行うことによって、受け治具内には、ハーフカット61を有する多層樹脂シート(ガスバリアフィルム60)が貼り付けられた注出口具1が残る。
【0039】
次に、本実施形態の作用について以下に記載する。
本実施形態の注出口具1は、液体状の内容物を収容する所定の容器(例えば、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋)の開口部に取り付けて使用される。そして、注出口具1を取り付けた包装袋においては、注出口具1部分を通過して包装袋内に流入しようとする酸素等の外気が、閉塞壁11及び取付部3の下面に貼り付けられたガスバリアフィルム60によって遮断又は低減される。
【0040】
そして、次のような開封処理を行うことによって注出口具1は包装袋内から内容物を注出可能な状態となる。まず、注出上部20を回転させて注出上部20及びキャップ部50を注出下部10から取り外す。これにより、引張部14の引張リング14a部分が注出下部10の上部開口から露出されて、引張リング14aを容易に把持することができる状態となる。そして、引張リング14aを把持して上方に引っ張ることにより、閉塞壁11の薄肉部11a及びガスバリアフィルム60のハーフカット61を引き裂いて注出下部10の下端を開口させる。その後、注出上部20及びキャップ部50を注出下部10に取り付けることにより、図5に示す開封状態となる。
【0041】
開封状態とした注出口具1のキャップ部50を開けて包装袋を傾けると、図5に示すように、包装袋内の内容物は注出下部10内の流路及び脱落防止部材40内の流路を通過して逆止弁30に達する。そして、内容物の注出圧が逆止弁30のフラップ部32に作用すると、内容物に押圧されてフラップ部32が閉位置から開位置へ回動して逆止弁30は内容物の通過を許容する状態となり、注出口24から内容物が注出される。
【0042】
また、包装袋を傾けた状態から元の状態に戻すと、逆止弁30のフラップ部32に対する内容物による押圧状態が解消されて、逆止弁30は開位置から閉位置に戻る。このとき、逆止弁30のフラップ部32の下面は、基部31の内域にて、脱落防止部材40に設けられた規制突起43の先端に当接して、それ以上の基部31内へのフラップ部32の潜り込みが規制される。そして、フラップ部32に対して内容物の注出圧が作用しない通常の載置状態においては、フラップ部32は基部31内の流路を閉鎖する閉位置に位置するようになる。
【0043】
なお、注出口具1を傾けた状態から元の状態に戻すに際して、逆止弁30が完全に閉位置に移行するまでの間においては、逆止弁30の上部側の空間Sに残った内容物は逆止弁30の基部31とフラップ部32との間の隙間(戻り流路A)を通って下部側へと戻ることができる。このとき、図5(b)に示すように、逆止弁30のフラップ部32の周縁に切欠部32bを設けた部分においては、内容物が逆止弁30の上部側から下部側へと戻るための戻り流路Aが大きく確保される。そして、戻り流路Aが大きく確保されることにより、空間Sに残った内容物を逆止弁30の下部側へ効率よく戻すことができる。
【0044】
また、逆止弁30が完全に閉位置に移行した後において、内容物が十分に戻りきらずに逆止弁30の上部側の空間Sに多量に残った場合には、逆止弁30の上部に内容物の質量に基づく圧力が作用する。このとき、上記圧力が所定の値を超えると、逆止弁30の縦断面において、フラップ部32の切欠部32bと基部31とが一点で接触する部分X(図3(b)及び(c)参照)を通じて、内容物が滲み出すようにして逆止弁30の下部側へと戻っていく。このように、本実施形態においては、逆止弁30のフラップ部32に切欠部32bを設けることにより、空間Sに残った内容物を逆止弁の下部側へ効率よく戻すことができ、空間Sに多量の内容物が溜まり難い構成となっている。
【0045】
次に、本実施形態における効果について以下に記載する。
(1)筒状の基部31と、基部31の開口を閉鎖する閉位置及び基部31の開口を開放する開位置の間で回動可能なフラップ部32と、基部31に対してフラップ部32を回動可能に接続するヒンジ部33とを備えるスイング型の逆止弁30を、注出部2の流路内に配置している。そして、注出口具1を取り付けた容器を傾けて逆止弁30のフラップ部32に内容物の注出圧が作用したときにフラップ部32が閉位置から開位置に回動して逆止弁30が開いた状態となり、内容物の注出時を除いてはフラップ部32が閉位置にあって逆止弁30が閉じた状態となる。上記構成によれば、開封の有無にかかわらず、内容物の注出時を除いて閉じた状態にある逆止弁30が注出部2の流路内に存在することになり、注出部2の流路を通じた容器内への外気の流入を逆止弁30によって好適に抑制することができる。
【0046】
(2)フラップ部32の周縁に、基部31の上面に係止されるフランジ部32aと、一部が基部31の開口に沿うように形成される切欠部32bとを設けている。上記構成によれば、逆止弁30が完全に閉じるまでの間において、切欠部32bが設けられた部分では上記戻り流路Aがより大きく確保されて逆止弁30の下部側へより多くの内容物を戻すことができるようになる。そのため、逆止弁30の上部に多量の内容物が溜まることを抑制できる。なお、上記「基部31の開口に沿う」という概念は、切欠部32b(の一部)が完全に基部31の開口に沿って形成されている状態のみに限らず、多少、フランジ部32aの極一部が残存しているような状態も許容する概念である。
【0047】
(3)フラップ部32の周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側に切欠部32bを設けている。フラップ部32の周縁におけるヒンジ部33との接続部位の反対側の部分は、逆止弁30が開位置から閉位置へ移る際に最後に閉じられる部分である。そのため、上記構成によれば、上記戻り流路Aをより大きく確保することができるという効果を、逆止弁30が完全に閉じるまで得ることができる。
【0048】
(4)フラップ部32が閉位置にある逆止弁30の縦断面において、フラップ部32の切欠部32bと基部31とが一点で接触する部分Xが存在するように構成している。上記構成によれば、逆止弁30が完全に閉じた後であっても、逆止弁30の上部に多量の内容物が溜まって逆止弁30に大きな圧力が作用する状況であれば、上記一点で接触する部分Xを通じて、内容物を逆止弁30の下部側へ戻すことも可能になる。
【0049】
そして、逆止弁30の上部に残る内容物が少量となると、上記一点で接触する部分Xを通じて戻ることなく逆止弁30の上部に残ったままとなる。しかしながら、逆止弁30の上部に少量の内容物が残ることにより、その内容物(の液膜)がガスバリア層として機能して、外気の流入を抑制するという効果を得ることができる。
【0050】
(5)注出部2(注出上部20)の流路内において、逆止弁30の基部31の弁座部31aよりも流路上流側位置に、フラップ部32の下面に当接してフラップ部32の基部31内への潜り込みを規制する規制突起43を設けている。
【0051】
フラップ部の周縁全体にフランジ部を設けた一般的な逆止弁の構成と比較して、フラップ部32の周縁に切欠部32bを設けた構成とすると、フランジ部32aのない切欠部32bが存在するために、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制する力が低下する場合がある。そこで、規制突起43を設けることによって、フラップ部32の周縁全体にフランジ部を設けた構成と同等以上に、基部31内へのフラップ部32の潜り込みを規制することができるようになる。
【0052】
(6)逆止弁30とは別の部材である脱落防止部材40に対して規制手段としての規制突起43を設けている。上記構成によれば、逆止弁30の構成が簡略化される。また、規制手段を逆止弁30とは別の材料(例えば、逆止弁30を形成する軟質の合成樹脂材料よりも硬い材料)により形成することが可能になる。
【0053】
(7)脱落防止部材40に設けられる規制突起43について、逆止弁30の基部31の内域へ延びるように形成している。上記構成によれば、フラップ部32が薄肉に形成されている場合であっても、フラップ部32の潜り込みを好適に抑制することできる。そのため、フラップ部32の薄肉化が容易に実現できる。
【0054】
(8)注出部2を注出上部20と注出下部10とに分離及び組立可能に構成し、逆止弁30及び規制突起43を備える脱落防止部材40を注出上部20に配置している。上記構成によれば、外気の流入抑制に関する構成である逆止弁30及び規制突起43(脱落防止部材40)を注出上部20に集中して配置することにより、外気の流入抑制に関する構成のない注出下部10側に他機能を付与して注出口具1の多機能化を図ることが容易になる。なお、上記他機能として本実施形態では、内容物が流路から流出することを防止する閉栓機能(閉塞壁11及び引張部14)を注出下部10に付与している。また、注出下部10側に他機能を付与した場合に、機能別に注出上部20と注出下部10とを区分することができ、部材管理が容易である。
【0055】
(9)注出下部10の下端に流路を塞ぐ閉塞壁11を設けるとともに、閉塞壁11の内面に閉塞壁の一部を除去するための引張部14を設けている。そして、閉塞壁11の外面にガスバリア層としてのガスバリアフィルム60を貼り付けている。上記構成によれば、注出口具1の開封前の状態、即ち注出下部10における閉塞壁11を除去する前の状態において、注出口具1を介した容器内への外気の侵入を好適に抑制することができる。また、注出口具1の開封は、引張部14を引っ張ることにより容易に実現できる。
【0056】
(10)引張部14の高さを、注出下部10の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定している。注出口具1を包装袋に取り付ける場合には、包装袋を構成する一対の樹脂シートの周縁間に注出口具1の取付部3を挟み込み、取付部3と樹脂シートの周縁部分とを接着させる方法が採用される。そのため、取付部3には、樹脂シートに接着される接着面としての側面部分を設ける必要があるが、側面部分を形成するために取付部の上下方向の幅を大きくすると、それに応じて注出部2も上下に長く形成しなければならない。注出部2を上下に長く形成した場合、注出部2の奥深くに引張部14が隠れてしまって、開封処理を行う際に注出部2内の引張部14を把持して引っ張ることが困難になることがある。
【0057】
そこで、上記構成では、引張部14の高さを、注出下部10の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定している。そのため、注出部2を注出上部20と注出下部10とに分離したときに、引張部14が注出下部10の上部開口に露出した状態となって、引張部14を容易に把持して引っ張ることができる。
【0058】
(11)注出上部20と注出下部10とを組み立てた際に、注出下部10に設けられる引張部14の引張リング14aの内側に支持壁28が収容されるようになっている。上記構成によれば、引張部14の高さを、注出下部10の上端と同位置又はそれよりも上方位置に設定したことによる注出部2全体の高さの増大を抑制することができる。
【0059】
(12)注出時に注出口具1を所定の傾け方向(ヒンジ51の形成位置により規定される傾け方向)に傾けた際に、ヒンジ部33が形成される側が下側に位置するように逆止弁30を取り付けている。上記構成によれば、フラップ部32に作用する重力が逆止弁30を閉位置とする方向に作用し難くなる。そのため、注出時に内容物が逆止弁30を通過する際の通過抵抗が小さくなって、内容物を好適に流通させることができる。
【0060】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0061】
・ 逆止弁30のフラップ部32の周縁に設けられるフランジ部32a及び切欠部32bの数、形状、大きさ及び各配置位置は、本発明の主旨を変更しない範囲において適宜変更することができる。たとえば、複数箇所に切欠部32bを形成してもよいし、ヒンジ部33との接続部位の反対側以外の部分に切欠部32bを形成してもよい。また、図3(d)に示すように、切欠部32bを所定幅にわたって、基部31の弁座部31a(開口縁)に沿う形状に形成してもよい。この場合、上記一点で接触する部分Xが広範囲に形成されることになる。また、上記実施形態では、切欠部32bの端面は、逆止弁30の軸線に沿った垂直面状に形成されていたが、上側に向かって内方に傾斜する傾斜面状に形成してもよい。
【0062】
・ 逆止弁30の具体的構成は特に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、基部31の上端位置にフラップ部32が設けられていたが、基部31の流路内の中間位置に段差部分を設け、この段差部分を弁座部31aとするフラップ部32を基部31内の中間位置に設ける構成としてもよい。
【0063】
・ ヒンジ51の形成位置によって注出時の傾け方向を規定していたが、注出口24の形状等の別の構成によって注出時の傾け方向を規定するようにしてもよい。
・ 注出口具1に設けられる所定の構成により規定される注出時の傾け方向と、逆止弁30の取付方向(ヒンジ部33の位置)は上記実施形態の関係に限定されるものではない。
【0064】
・ 注出部2を三以上の複数の部材に分離及び組立可能に構成してもよい。また、注出上部20にヒンジ51を介してキャップ部50を取り付けていたが、注出上部20そのものを有蓋筒状のキャップとしてもよい。さらに、注出下部10にヒンジを介してキャップ部を取り付けるようにしてもよい。なお、これらの場合、逆止弁30は注出下部10に取り付けられることになる。
【0065】
・ 規制手段を設ける位置、即ち規制手段と逆止弁30のフラップ部32の当接位置は、基部31の内域に限られるものではなく、弁座部31aよりも流路の上流側の位置であれば上記実施形態と同様の規制作用を得ることができる。
【0066】
・ 上記実施形態では、規制突起43は逆止弁30のフラップ部32の下面に当接するように配置されていたが、テーパ状に形成される側面に当接するように規制突起43を配置してもよい。なお、特許請求の範囲に記載する「フラップ部の下面」は、フラップ部の上面以外の面、たとえば、テーパ状に形成される側面を含む技術概念である。
【0067】
・ 閉位置において、逆止弁30のフラップ部32の下面に必ずしも規制突起43が当接する必要はない。たとえば、閉位置にあるフラップ部32の下面と規制突起43との間に僅かに隙間を設けておき、フラップ部32が閉位置よりもさらに内側に回動したところでフラップ部32の下面と規制突起43とが当接する構成であってもよい。
【0068】
・ 規制突起43の形状は特に限定されるものではない。逆止弁30のフラップ部32の下面に当接して潜り込みを規制可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
・ 規制手段を脱落防止部材40以外の部材に設けてもよい。たとえば、逆止弁30と脱落防止部材40との間に、規制手段を備える別部材を配置してもよいし、逆止弁30の基部31の流路内周面に規制手段としての突起部分や架橋部分を設けてもよい。逆止弁30に設ける場合は、基部31と一体形成されるようにしてもよいし、ピン等の他部材を配置させるようにしてもよい。
【0069】
・ 脱落防止部材40は、注出上部20からの逆止弁30の脱落を防止するものであるが、逆止弁30の位置ずれを抑制するものであってもよい。また、脱落防止部材40を省略してもよい。
【0070】
・ 上記実施形態では、注出下部10の下端位置に閉塞壁11を設けていたが、注出下部10の上端位置や流路内における中間位置に閉塞壁11を設ける構成としてもよい。注出下部10の上端位置に設ける場合には、たとえば、注出下部10と注出上部20との接続長を調整することで可能となる。また、注出下部10の流路内に設ける場合には、たとえば、流路内径が小径となる部分と大径となる部分を形成し、その両部分の段差部分に閉塞壁11を設ければよい。
【0071】
・ 上記実施形態では、閉塞壁11に対して破断誘導部としての薄肉部11aを設けていたが、破断誘導部の構成は特に限定されるものではなく、例えば、ミシン目状の孔であってもよい。
【0072】
・ 閉塞壁11の破断誘導部を省略してもよい。また、ガスバリアフィルム60のハーフカット61も省略してもよい。
・ 引張部14を引っ張って破断される部位は閉塞壁11の一部であってもよいし、閉塞壁11全体であってもよい。閉塞壁11全体を破断する場合には、薄肉部11aを注出下部10の内周面に沿って形成すればよい。
【0073】
・ 閉塞壁11及びガスバリアフィルム60の一方を省略してもよい。また、閉塞壁11及びガスバリアフィルム60の両方を省略してもよい。なお、閉塞壁11を省略した場合には、閉塞壁11に設けられる引張部14も省略される。
【0074】
・ 注出上部20の上端開口、下端開口又は注出下部10の上端開口に対して、その開口を封鎖するガスバリアフィルム60を更に貼り付けた構成としてもよい。この場合、ガスバリアフィルム60は開封処理時に、開封者の手によって除去される。
【0075】
・ 上壁21の構成を適宜変更することが可能である。たとえば、注出上部20の上壁21に設けられる周壁25について、その配置、径、高さを変更するが可能である。また、周壁25の内側に環状の溝を形成してもよい。この場合には液ダレ防止効果が更に向上する。
【0076】
・ 注出上部20と注出下部10とを組み立てた際に、引張部14の引張リング14aの上方に支持壁28が位置するように構成してもよい。
・ 取付部3の中空状の内部について上記実施形態では、補強部3cを備えたが、この構成を変更してもよい。たとえば、補強部3cの延びる方向を取付上壁3aの短手方向に変更してもよいし、取付部3の内部を中実状にすることも可能である。
【0077】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記フラップ部の下面に当接して前記フラップ部の潜り込みを規制する規制手段を、前記弁座部よりも前記流路の上流側に設けた前記注出口具。
【0078】
(ロ)前記注出部を注出上部と注出下部とに分離可能に構成し、前記注出下部に流路を塞ぐ閉塞壁を設けるとともに、前記閉塞壁の下面にガスバリア層を設け、前記閉塞壁の上面に、前記閉塞壁の少なくとも一部を前記ガスバリア層と共に破断して開口させるための引張部を設けた前記注出口具。
【符号の説明】
【0079】
A…戻り流路、1…注出口具、2…注出部、3…取付部、30…逆止弁、31…基部、31a…弁座部、32…フラップ部、32a…フランジ部、32b…切欠部、33…ヒンジ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状の内容物を収容する容器に取り付けられる注出口具であって、
流路を形成する注出部と、該注出部から突出形成され、前記容器を取り付けるための取付部と、前記注出部の流路内に配置される逆止弁とを備え、
前記逆止弁は、筒状の基部と、前記基部の開口を閉鎖する閉位置及び前記基部の開口を開放する開位置の間で回動可能なフラップ部と、前記基部に対して前記フラップ部を回動可能に接続するヒンジ部とを備え、
前記フラップ部の周縁には、前記基部の上面に係止されるフランジ部と、少なくとも一部が前記基部の開口に沿うように形成される切欠部とが設けられていることを特徴とする注出口具。
【請求項2】
前記切欠部は、前記フラップ部の周縁における前記ヒンジ部との接続部位の反対側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の注出口具。
【請求項3】
前記フラップ部が閉位置にある前記逆止弁の縦断面において、前記フラップ部の前記切欠部と前記基部とが一点で接触する部分が存在するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の注出口具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−95487(P2013−95487A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240339(P2011−240339)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(391003794)押尾産業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】