説明

注出口栓及び液体用包装容器

【課題】開封直後に開封刃から容易に取り外すことができ、封止フィルムが確実に破断されると共に、破断されたフィルムが容器内に落下することない注出口栓及び液体用包装容器を提供する。
【解決手段】封止フィルム20で封止された注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウト1と、スパウト1を覆うキャップ2と、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃3とからなる注出口栓であって、開封刃3の突起刃3bは、複数枚の三角板状刃からなり、円筒部3aの下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、下方への螺旋状回転運動によって、突起刃3bの先端が封止フィルム20を破断し、三角板状刃の刃先がフィルムの破断を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料などを充填する液体用包装容器及びその注出口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などを充填する液体用包装容器の注出口栓は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップに回転開封運動に連動して逆に注出孔へ下方へ運動する開封刃とからなるものがある。(特許文献1、2、3及び4参照)
【0003】
【特許文献1】特開平11−310231号公報
【特許文献2】特開2001−106248号公報
【特許文献3】実用新案全文平3−008130号
【特許文献4】特開2004−067195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップに回転開封運動に連動して逆に注出孔へ下方へ運動する開封刃とからなる注出口栓及びその液体用包装容器は、開封直後に、連動する開封刃から容易に離脱して取り外すことができなくてはならない。
小児などの非力な消費者であっても、注出口栓を容易に簡単に開封できることが切望されている。また、封止フィルムが確実に破断されると共に、破断されたフィルムが容器内に落下することなく注出孔に残留することが望ましいい。
【0005】
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、開封直後に開封刃から容易に取り外すことができ、封止フィルムが確実に破断されると共に、破断されたフィルムが容器内に落下することない注出口栓及び液体用包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決する本発明の注出口栓は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
キャップには、開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
キャップの内周面とスパウトの注出筒の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる螺合部がそれぞれ設けられ、
開封刃には、スパウトの注出筒の内周面に設けられた螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下方中心に設けら突起刃と、円筒部内面から突起刃を支持しかつ液体用通路を有するフレーム部とを備え、
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
突起刃は、複数枚の三角板状刃からなり、円筒部の下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、
下方への螺旋状回転運動によって、突起刃の先端が先ず封止フィルムを破断し、三角板状刃の刃先がフィルムの破断を拡大し、円筒部の下縁端がフィルムを注出孔の端縁面にに押しつけることを特徴とする。
【0007】
この発明の液体用紙容器は、破断可能な封止フィルムで封止された注出孔を有する液体用紙容器であって、
注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓を注出孔に有し、
キャップには、開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
キャップの内周面とスパウトの注出筒の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる螺合部がそれぞれ設けられ、
開封刃には、スパウトの注出筒の内周面に設けられた螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下方中心に設けら突起刃と、円筒部内面から突起刃を支持しかつ液体用通路を有するフレーム部とを備え、
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
突起刃は、複数枚の三角板状刃からなり、円筒部の下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、
下方への螺旋状回転運動によって、突起刃の先端が先ず封止フィルムを破断し、三角板状刃の刃先がフィルムの破断を拡大し、円筒部の下縁端がフィルムを注出孔の端縁面にに押しつけることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
この発明における液体用包装容器は、破断可能な封止フィルムで封止された注出孔を頂部に有する。その容器は、紙などの積層包装材料より形成され、その包装材料が容器頂部で穿孔されて注出孔が形成されている。その注出孔がバリア性プラスチックフィルムなどで封止されている。
そのスパウトの基部は、容器頂部であって注出孔の近傍に接合され、注出栓を容器に固着し支持する。スパウトの注出筒は、容器内容物の液体を注ぎ出す通路を形成する。
その開封刃は、スパウトに内蔵され、キャップの開封時の螺旋状上運動に連動して螺旋状に下方運動する。その結果、その開封刃は、注出孔の破断可能な封止フィルムを破断する。
【0009】
キャップは、スパウトを覆い、注出孔を保護するとともに、開封時にキャップの回転運動が開封刃のフィルム破断力を生む。そのキャップには、複数の第1係合フィンが設けられている。その第1係合フィンがキャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、開封刃に回転力を伝動する。
キャップの内周面と前記スパウトの注出筒の外周面とに、螺旋状に上下させる螺合部、すなわち、ネジ、若しくは、ネジ状突条/溝が、それぞれ設けられている。キャップを回転させることにより、螺合部に沿って螺旋状に上下に滑動する。キャップを開閉することができる。
スパウトには、その注出筒の内周面に設けられた螺合部を有する。開封刃は、その螺合部と、円筒部の外周面の螺合部とで螺合する。その螺合により、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する、すなわち、キャップの上昇により、開封刃が下降する。円筒部の下方中心に設けらる突起刃が、先ず、注出孔の封止フィルムの概中央付近の局所を容易に破断する。
【0010】
突起刃は、複数枚の三角板状刃からなるフレーム部に設けられ、円筒部の下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、下方への螺旋状回転運動によって、突起刃の先端が先ず封止フィルムを破断し、三角板状刃の刃先がフィルムの破断を拡大し、円筒部の下縁端がフィルムを注出孔の端縁面にに押しつける。
このフレーム部は、円筒部内面から突起刃を機械的に支持するとともに、液体用通路を有するので、開封後に注出時に容器内容物の液体が通過させる。
下方への螺旋状回転運動によって、突起刃の先端が先ず封止フィルムを破断し、三角板状刃の刃先がフィルムの破断を拡大し、円筒部の下縁端がフィルムを注出孔の端縁面にに押しつけ、注出孔の端部を押し曲げて、更に注出面積を拡大する。しかも、その押し曲げにより、液体の流出を障害する破断フィルム片も押し退けることができる。
【0011】
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に設けられた第2係合フィンは、キャップの係合フィンとキャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動するが、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない。その結果、キャップが開封時に上昇回転すると同時に、確実に、開封刃が下方に回転し、フィルムを破断する。開封が終了し、キャップがスパウトから離脱すると、第1係合フィンと第2係合フィンとがいずれも上下垂直に設けられているので、万が一にも、開封刃がスパウト若しくは容器に係合していても、双方が、容易に、上下に離脱する。
好ましくは、注出孔の直径がスパウト注出筒の内径より小さいとき、開封刃の中央の突起刃が注出孔のフィルムに位置する限り、容易に、開封機能を発揮することができるので、注出栓を正確に位置決めをする必要が無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施の形態である注出栓を示す分解側面図である。
図2は、この実施形態の注出栓の分解断面図である。
図3は、この実施形態の注出栓の分解斜視図である。
図4は、本発明の一実施の形態である注出栓の開封作用を説明する概略断面図である。
図5は、この実施形態の注出栓の開封刃の概略正面図である。
図6は、この実施形態に使用される包装容器(A)と、注出栓を有する包装容器(B)の外観斜視図である。
【0013】
図1、図2に、この発明の一実施の形態である注出栓を示す。図1、図2において注出栓10は、破断可能な封止フィルム20で封止された液体用紙容器の注出孔21に設けられ、注出筒1aと基部1bとからなるスパウト1と、スパウト1を覆うキャップ2と、スパウト1に内蔵され、キャップ2の螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃3と、からなる。
【0014】
図3は、この実施形態の注出栓の分解斜視図である。
キャップ2には、開封刃3に回転力を伝動する複数(4本)の第1係合フィン2aが、キャップ2の天板下面から実質的に垂直に設けられている。
キャップ2の内周面とスパウト1の注出筒1aの外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる螺合部がそれぞれ設けられている。
開封刃3には、スパウト1の注出筒1aの内周面に設けられた螺合部と螺合して、キャップ2の螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する螺合部を外周面に有する円筒部3aと、円筒部の下方中心に設けらる突起刃3bと、円筒部3a下縁端から突起刃3bを支持しかつ液体用通路を有するフレーム部3cとを備える。
【0015】
開封刃3の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィン2aと、キャップ2の螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップ2から開封刃3に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィン3dが設けられている。開封刃の概略正面図である図5に示す様に、この形態では、4本のフィン3dが形成されている。図2は、この実施形態の注出栓の分解断面図である。
フレーム部3cは、この形態では、2枚の三角形状板がお互いに直交した構造を有する。
【0016】
この形態の注出栓の作用機能を説明する。
図4は、注出栓の開封作用を説明する概略断面図である。図5は、開封刃の概略正面図である。
開封刃3は、スパウト1に内蔵され、キャップ2の開封時の螺旋状上方運動に連動して螺旋状に下方運動する。その結果、その開封刃3は、注出孔の封止フィルム20を破断する。
すなわち、キャップ2の上昇により、開封刃3が下降する。円筒部3aの下方中心に設けらる突起刃3bが、先ず、注出孔の封止フィルム20の概中央付近を容易に破断する。
フレーム部3cは、突起刃3bを機械的に支持するとともに、液体用通路を有する。液体用通路3eから、開封後に注出時に容器内容物の液体が通過する。
突起刃3bは、複数枚の三角板状刃からなるフレーム部3cに設けられ、円筒部の下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、下方への螺旋状回転運動によって、突起刃3bの先端が先ず封止フィルム20を破断し、三角板状刃の刃先がフィルム20の破断を拡大し、円筒部3aの下縁端がフィルムを注出孔21の端縁面にに押しつける。
【0017】
開封刃3の円筒部3aの内周面に上下垂直に設けられた第2係合フィン3dは、キャップの係合フィン2aとキャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動する。しかし、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない。キャップ2が開封時に上昇回転すると同時に、確実に、開封刃3が下方に回転し、フィルムを破断する。開封が終了し、キャップ2がスパウト1から離脱すると、第1係合フィン2aと第2係合フィン3dとがいずれも上下垂直に設けられているので、開封刃3がスパウト1若しくは容器に係合していても、双方が、容易に、上下に離脱する。
注出孔21の直径がスパウト1注出筒の内径より小さいばあい、開封刃の中央の突起刃3bが注出孔21のフィルム20に位置する限り、容易に、開封機能を発揮することができる。この形態では、注出栓を正確に位置決めをする必要が無い。
【0018】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装充填する液体用包装容器の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施の形態である注出栓を示す分解側面図
【図2】この実施形態の注出栓の分解断面図
【図3】この実施形態の注出栓の分解斜視図
【図4】本発明の一実施の形態である注出栓の開封作用を説明する概略断面図
【図5】この実施形態の注出栓の開封刃の概略正面図
【図6】この実施形態に使用される包装容器(A)及び注出栓を有する包装容器(B)の外観斜視図
【符号の説明】
【0021】
1 ・・・スパウト
2 ・・・キャップ
3 ・・・開封刃
3a ・・円筒部
3b ・・突起刃
3c ・・フレーム部
20 ・・封止フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、該スパウトを覆うキャップと、該スパウトに内蔵され、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
前記キャップには、前記開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、前記キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
前記キャップの内周面と前記スパウトの注出筒の外周面とに、該キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる螺合部がそれぞれ設けられ、
前記開封刃には、前記スパウトの注出筒の内周面に設けられた螺合部と螺合して、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する螺合部を外周面に有する円筒部と、該円筒部の下方中心に設けら突起刃と、該円筒部内面から該突起刃を支持しかつ液体用通路を有するフレーム部とを備え、
前記開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、前記キャップの係合フィンと、前記キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力を該キャップから該開封刃に伝動し、該キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
前記突起刃は、複数枚の三角板状刃からなり、該円筒部の下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、
下方への螺旋状回転運動によって、前記突起刃の先端が先ず前記封止フィルムを破断し、前記三角板状刃の刃先が該フィルムの破断を拡大し、前記円筒部の下縁端が該フィルムを前記注出孔の端縁面にに押しつける
ことを特徴とする注出口栓。
【請求項2】
破断可能な封止フィルムで封止された注出孔を有する液体用紙容器であって、
注出筒と基部とからなるスパウトと、該スパウトを覆うキャップと、該スパウトに内蔵され、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓を該注出孔に有し、
前記キャップには、前記開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、前記キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
前記キャップの内周面と前記スパウトの注出筒の外周面とに、該キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる螺合部がそれぞれ設けられ、
前記開封刃には、前記スパウトの注出筒の内周面に設けられた螺合部と螺合して、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する螺合部を外周面に有する円筒部と、該円筒部の下方中心に設けら突起刃と、該円筒部内面から該突起刃を支持しかつ液体用通路を有するフレーム部とを備え、
前記開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、前記キャップの係合フィンと、前記キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力を該キャップから該開封刃に伝動し、該キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
前記突起刃は、複数枚の三角板状刃からなり、該円筒部の下方中心から外下方に刃先が向くように配列され、
下方への螺旋状回転運動によって、前記突起刃の先端が先ず前記封止フィルムを破断し、前記三角板状刃の刃先が該フィルムの破断を拡大し、前記円筒部の下縁端が該フィルムを前記注出孔の端縁面にに押しつける、
ことを特徴とする飲料用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−143626(P2010−143626A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324810(P2008−324810)
【出願日】平成20年12月20日(2008.12.20)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】