説明

洋風便器装置

【課題】第1の目的は、簡易な構成により便器洗浄手段を作動させて、便器内部を自動洗浄する洋風便器装置を提供することにあり、更に、第2の目的は、便器洗浄手段作動中において、便器外部への洗浄水の飛散を低減できる洋風便器装置を提供する。
【解決手段】便器本体19に開閉自在に形設された便蓋13及び便座14と、便器内部に洗浄水を噴出する便器洗浄手段21とを備えた洋風便器装置10であって、前記便器本体は、前記便蓋の状態を検知する検知手段11を備えており、前記便器洗浄手段は、前記検知手段から前記便蓋の閉状態信号を受信したときには、前記便器内部の洗浄を開始する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋風便器装置に関し、詳しくは、便蓋の閉状態やロック状態を検知して、便器内部を自動洗浄する機能を備えた洋風便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洋風便器装置では、便器内部のボウル部に排泄された排泄物を水洗レバーの操作、あるいは自動水洗システムによる水洗動作によりボウル部の下方に位置する排水口より流し出す構成となっている。
ボウル部への給水には、通常、便器本体の上端に周設されるリム部よりボウル部に向けて水洗用水を放出する構成が多用されており、前記リム部の形状は、便器本体の外壁上端付近(スカート部上端付近)から水平方向に上辺と底辺を突設させ、該上辺と該底辺とに連結される内辺とで、断面視略矩形状に形成され、前記水洗用水を該底辺の所定の箇所に設けられた複数のリム孔から放出する構成となっている。
【0003】
前記構成のようなリム部の場合、前記内辺及び前記底辺に、便器内部から飛散する尿などの汚れが付着しやすく、また、それらには水洗用水が放出されない、すなわち、水洗用水が触れないため、前記のような水洗動作では、このような箇所に付着した汚れを除去することは困難であった。
【0004】
前記のような問題を解決するものとして、特許文献1では、図7に示すように、便蓋3と便座4を閉じた状態で、便器内部5を洗浄する洗浄ノズル2を備え、使用者が便蓋3を閉めて、操作部(不図示)のスイッチを入にすると、洗浄ノズル2から洗浄水を吐出し、便器内部を清掃できる大便器1が提案されている。
【特許文献1】特開2000−144846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1で提案されている大便器1では、洗浄ノズル2による洗浄動作を操作部のスイッチ操作により作動する構成、あるいはタイマーなどと連動し定期的に清掃する構成とされており、使用者にとって、そのスイッチ操作やタイマー設定が煩わしく使い勝手の悪いものであった。
また、洗浄ノズル2による洗浄水の噴出により便蓋がわずかに開き、便器本体上端部と便蓋との間に空隙が形成され、そこから洗浄水が飛散する恐れがあった。
【0006】
本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、第1の目的は、簡易な構成により便器洗浄手段を作動させて、便器内部を自動洗浄する洋風便器装置を提供することにあり、更に、第2の目的は、便器洗浄手段作動中において、便器外部への洗浄水の飛散を低減できる洋風便器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の洋風便器装置は、便器本体に開閉自在に形設された便蓋及び便座と、便器内部に洗浄水を噴出する便器洗浄手段とを備えた洋風便器装置であって、前記便器本体は、前記便蓋の状態を検知する検知手段を備えており、前記便器洗浄手段は、前記検知手段から前記便蓋の閉状態信号を受信したときには、前記便器内部の洗浄を開始することを特徴とする。
ここに、便器内部とは、便蓋が閉じられた状態で形成される空間の便器洗浄手段により洗浄される部分を指し、ボウル部のみを指すものではなく、少なくともリム部の一部も含まれるものである。
【0008】
請求項2では、請求項1において、前記便器本体は、前記便蓋の閉状態を保持するロック手段を更に備えており、前記便器洗浄手段は、前記検知手段から前記便蓋のロック状態信号を受信したときには、前記便器内部の洗浄を開始することを特徴とする。
ここに、ロック手段による便蓋の閉状態の保持は、少なくとも前記便器洗浄手段からの洗浄水の噴出により便蓋が開状態とならない程度の保持を含むものである。
【0009】
請求項3では、請求項1又は2において、前記便蓋は、前記便器内部の洗浄時に該便器内部で噴出される洗浄水の前記便座の着座面への付着を防ぐ着座面防水手段を設けていることを特徴とする。
【0010】
請求項4では、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記便蓋と前記便器本体の上端周辺との隙間には、シール部材を介在させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1乃至4に記載の洋風便器装置によれば、便蓋の状態を検知する検知手段からの信号により便器内部の洗浄を開始する構成としているので、スイッチ操作やタイマー設定などの操作を行う必要がなく、便蓋の状態に応じて、自動的に洗浄が行われ、使い勝手の良いものとなる。
【0012】
請求項2では、ロック手段を設け、便蓋のロック状態を検知したときに便器内部の洗浄を開始する構成としているので、ロックの有無により自動洗浄を制御することが可能となり、使用の都度、自動洗浄を行う構成に比べて、節電、節水が図れる。
また、ロック手段を設けているので、便器洗浄手段からの洗浄水の噴出により便蓋がわずかに開くことがなく、洗浄水が便器外部へ飛散することを低減できる。
【0013】
請求項3では、便蓋に着座面防水手段を設けているので、便器内部の洗浄時に噴出される洗浄水が、便座の着座面に付着することがなく、洗浄直後でも不快感を伴うことなく使用が可能な洋風便器装置となる。
【0014】
請求項4では、便蓋と便器本体の上端周辺との隙間にシール部材を介在させているので、便蓋を閉じると、便蓋と便器本体の上端周辺との間に空隙が形成されず、便器洗浄手段から噴出される洗浄水が便器外部へ飛散することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る洋風便器装置を示す概略斜視図である。
【0016】
図1に示す洋風便器装置10では、便器本体19の後部に水洗タンクを備えていない、水道配管直結方式、いわゆるタンクレスタイプのものを図示しているが、水洗タンクを備えたものにも適用可能である。
図例の便器本体19は、ボウル部15と、ボウル部15の上端に周設されたリム部12と、ボウル部15の外周に形設されたスカート部16と、便器本体19の後方に位置する便蓋・便座設置部17に開閉自在に枢着された便座14及び便蓋13と、スカート部16の後方位置に各種装置やボウル部15への水洗用水を供給する吐出口などを内包するサイドカバー18を備えている。
尚、詳述は省略するが、洋風便器装置10は、ボウル部15に排泄された排泄物を流すための給水システム及び排水システムなどの便器装置として必要な他の構成を備えていることは当然である。
【0017】
また、本実施形態に係る洋風便器装置10は、便器内部に洗浄水を噴出する便器洗浄ノズル(便器洗浄手段)21を備えている。
便器洗浄ノズル21は、ボウル部15の後方から便器内部の空間の略中央に、その便器内部用の噴出口21aが位置するように、便蓋・便座設置部17内の便器洗浄ノズル駆動機構(不図示)により伸長駆動され、洗浄水を便器内部に向けて噴出する構成となっている。
本実施形態では、便器洗浄ノズル21は、洗浄ノズル20の一部をなし、洗浄ノズル20は、人体局部に向けて洗浄水を噴出する人体局部用の噴出口22aと、便器内部に向けて洗浄水を噴出する便器内部用の噴出口21aを有し、図示のような二段構成とし、人体局部用の噴出口22aを先端とする局部洗浄ノズル22と、それに回転及び伸縮自在に内装され、便器内部用の噴出口21aを先端とする便器洗浄ノズル21から構成されている。
【0018】
このように構成された洗浄ノズル20は、人体局部を洗浄する際には、局部洗浄ノズル22のみが、便器後方から伸長され、人体局部用の噴出口22aのみより洗浄水を噴出し、また、便器内部を洗浄する際には、局部洗浄ノズル22とともに便器洗浄ノズル21も伸長され、便器内部用の噴出口21aより洗浄水を噴出する構成となっている。
更に、便器洗浄ノズル21は、洗浄水の噴出中には、回転作動、伸縮作動するように構成されており、これにより、便器内部の全体に洗浄水が噴出されるようになっている。
【0019】
さらに、便器本体19は、便蓋13の状態を検知する検知手段11を備えており、本実施形態では、閉状態検知センサ11が検知手段を構成している。
詳しくは、閉状態検知センサ11は、赤外線センサなどから構成され、便蓋13が閉状態となった場合に、便蓋13により遮蔽される便器本体19の所定位置に配設されている。
尚、閉状態検知センサ11としては、図例のものに限られず、便蓋13の閉状態を検知できる便器本体19の所定位置に配設すればよく、また、磁気センサなどから構成してもよい。
【0020】
前記のように構成された洋風便器装置10では、CPUなどからなる制御手段(不図示)の制御により、以下のような動作を行う。
使用者が便蓋13を閉じると、閉状態検知センサ11が、便蓋13の閉状態を検知し、便器洗浄ノズル21は、閉状態検知センサ11からの閉状態信号を受信すると、前記したように、便器洗浄ノズル21を所定の位置に伸長駆動し、便器内部に洗浄水を噴出し、便器内部の洗浄を開始する。
【0021】
前記のように構成された洋風便器装置10によれば、使用者は、便蓋13を閉じるだけで、便器洗浄ノズル21を作動させることができるので、スイッチ操作やタイマー設定などの必要がなく、簡易な構成により便器洗浄ノズル21を作動させることができ、便器内部の洗浄を行うことができる。
【0022】
尚、便器洗浄手段としては前記した便器洗浄ノズル21に限られず、局部用ノズル22とは別体として便器洗浄ノズル21を設けてもよく、また、便器洗浄ノズルではなく、例えば、洗浄水を微粒子状にしたミストを発生させるミスト発生器をサイドカバー18内などに設け、ファンにより便器内部全体をミストにより洗浄する構成としてもよい。このような構成によれば、便器内部の隅々にまでミストが行き渡り十分な洗浄をすることができる。
【0023】
また、便器洗浄手段による便器内部の洗浄中は、ボウル部からの汚物や水洗用水を排出する際に作動させるトラップ部(不図示)、例えばターントラップ方式のトラップ部を、水洗動作時同様に作動させてもよい。これにより、ボウル部に洗浄水が貯水されることなく排出されるため、ボウル部下方まで十分に洗浄を行え、また、洗浄水がボウル部に満水となることなく便器外部へも溢水することがない。
【0024】
さらに、便器洗浄手段による便器内部の洗浄後は、例えば、温風乾燥装置により便器内部を乾燥させる構成としてもよい。温風乾燥装置としては、公知の人体局部の洗浄後に人体局部を乾燥する装置などを便器内部の乾燥装置として兼用してもよく、このような構成によれば、カビの発生などを抑制することができる。
さらにまた、便器洗浄手段による便器内部の洗浄中は、洗浄中であることをブザーやランプにより報知する構成としてもよい。
【0025】
次に、本実施形態に係る洋風便器装置10が備える検知手段の変形例について、図2を参照しながら説明する。
図2は、便器本体19が備える便蓋・便座設置部17に便蓋13及び便座14が枢着されている内部の拡大斜視図である。
図例では、便蓋13が開いた状態(開状態)、便座14が閉じた状態(閉状態)を示している。
詳しくは、便座14は、便座枢軸14aにより便蓋・便座設置部17に形設された枢着部に枢着されており、便蓋13も同様に、便蓋枢軸13aにより枢着されている。
また、便蓋枢軸13aの外側端には、回転体13cが連設されており、回転体13cには回転突起13bが突設されている。
【0026】
さらに、便蓋・便座設置部17には、便蓋13を閉じた状態で、回転突起13bが近接する位置に、便蓋検知突起17aが突設されており、便蓋検知突起17aの背面側(後方側)には、検知手段を構成する閉状態検知センサ11Aが配設されている。
このように構成された洋風便器装置10では、使用者が、便蓋13を閉じると、便蓋枢軸13a及び回転体13cとともに、回転突起13bも回転し、便蓋・便座設置部17の便蓋検知突起17aに近接し、閉状態検知センサ11Aが、便蓋13が閉じられたことを検知する、すなわち、便蓋13の閉状態を検知する構成としている。
便蓋13の閉状態を検知すると前述のように便器洗浄ノズル21が作動され、便器内部の洗浄が行われる。
尚、他の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、第2実施形態に係る洋風便器装置の要部拡大斜視図である。
第1実施形態との相違点は、ロック手段を更に備えている点、及び検知手段の構成であり、他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0028】
本実施形態に係る洋風便器装置10Aは、便蓋13の閉状態を保持するロック手段を更に備えている。
ロック手段は、本実施形態では、便蓋13の張出部13d(図1参照)の枢着部近傍(開状態における下部近傍)に断面視略台形状に形設されたロック溝23aに摺動自在に挟持されたスライドロック23と、便蓋・便座設置部17の前方側下部近傍、すなわち、便蓋13の閉状態でスライドロック23に対応する位置に、ロック溝23aと同形状に形設されたスライド溝17bとで構成されており、更に、スライド溝17bのスライド方向前端側(便器後方側)に、検知手段を構成するロック状態検知センサ11Bが配設されている。
【0029】
前記のように構成されたロック手段は、使用者が便蓋13を閉じると、スライドロック23とスライド溝17bとが同一直線上に位置し、スライドロック23をスライド溝17bに向けてスライドさせることにより、便蓋13の閉状態を保持するロック手段として機能する(図4(b)も参照)。
【0030】
前記のように構成された洋風便器装置10Aでは、CPUなどからなる制御手段(不図示)の制御により、以下のような動作を行う。
使用者が、便蓋13を閉じて、前記したように、スライドロック23をスライド方向前端側までスライドさせると、ロック状態検知センサ11Bが、便蓋13のロック状態を検知し、便器洗浄ノズル21(図1参照)は、ロック状態検知センサ11Bからのロック状態信号を受信すると、前記したように、便器洗浄ノズル21を所定の位置に伸長駆動し、便器内部に洗浄水を噴出し、便器内部の洗浄を開始する。
【0031】
前記のように構成された洋風便器装置10Aによれば、使用者は、スライドロック23をスライドさせることにより自動洗浄を制御することが可能となり、使用の都度、自動洗浄を行う構成に比べて、節電、節水が図れる。
また、ロック手段を設けているので、便器洗浄ノズル21からの洗浄水の噴出により便蓋がわずかに開くことがなく、洗浄水が便器外部へ飛散することを低減できる。
さらに、本実施形態では、ロック手段としてスライド式のものを適用しているので、便器本体19Aから突出する部分がなく、美観を損なわずにロック手段を設けることができる。
【0032】
尚、ロック手段は、本実施形態で例示したものに限られず、例えば、スライドロックを便蓋・便座設置部17側に設け、スライド溝を便蓋13側に設ける構成や、便蓋・便座設置部17の上面に回動自在に軸支された押え板などで、便蓋13が閉じられた状態の上面を押える構成や、本実施形態と同様の箇所に、掛けフックとフック止めなどをそれぞれ設けて、便蓋13の閉状態を保持する構成などとしてもよい。
また、ロック状態検知センサも本実施形態で例示したものに限られず、ロック手段の構成に合わせて種々のものが適用可能である。
【0033】
次に、本発明に係る更に他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は、第3実施形態に係る洋風便器装置を示し、(a)は、便蓋の斜視図、(b)は、一部破断側面図である。
第2実施形態との相違点は、便蓋13に着座面防水手段を設けている点であり、他の構成は第2実施形態と同様であるため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0034】
本実施形態に係る洋風便器装置10Bは、便蓋13に、便器内部の洗浄時に便器内部で噴出される洗浄水の便座14の着座面14aへの付着を防ぐ着座面防水手段を設けている。
詳しくは、着座面防水手段は、本実施形態では、便座14の開口部に応じた環状壁部24を、便蓋13の裏面に突設した構造、すなわち、便座14の開口部の形状に併せて、略楕円形の環状に突設させ、その突設高さは、図4(b)に示すように、便蓋13の閉状態で、環状壁部24の外周面が、便座14の開口部の内周縁に当接するような高さとされている。
【0035】
前記のように構成された環状壁部24は、便蓋13の閉状態では、便座14の開口部に嵌入されて、前記のような便器洗浄ノズル21による便器内部の洗浄時に便器内部で噴出される洗浄水の便座14の着座面14aへの付着を防ぐ着座面防水手段として機能する。
すなわち、図4(b)に示すように便器洗浄ノズル21の噴出口21aより洗浄水が噴出されると、ボウル部15の全体、リム部12の底辺や内辺、上辺の一部及び便座14の裏面の一部などは十分に洗浄水の噴出により洗浄されるが、便座14の着座面14aは、環状壁部24により便器内部と便座14の着座面14aとの間に空隙が形成されず洗浄水が付着しない構成となっている。
【0036】
前記構成によれば、簡易な構成により便座14の着座面14aへの洗浄水の付着を防止することができるので、洗浄直後でも不快感を伴うことなく使用が可能な洋風便器装置となり、また、前記したような乾燥装置を備えなくとも洗浄直後に不快感を伴うことなく使用が可能なので、簡易な構成により便器内部を自動洗浄する機能を備えた洋風便器装置を提供できる。
尚、環状壁部24として、本実施形態では、ゴムなどの弾性体により形成されたものを適用しているが、どのようなものでもよく、例えば、熱可塑性の合成樹脂材で形成されたものでもよい。また、シール性のない合成樹脂材で形成する場合は、便座14の開口部との当接部位にシール部材を設けることが好ましい。これにより、確実に便器内部から便座14の着座面14aへの洗浄水の付着を防止することができる。
また、本実施形態では、第2実施形態と同様に、ロック手段を設けた構成としているが、第1実施形態にて説明した洋風便器装置にも適用可能である。
【0037】
次に、本実施形態に係る洋風便器装置10Bが備える着座面防水手段の変形例について、図4を参照しながら説明する。
図4は、本変形例に係る洋風便器装置を示し、(a)は、便蓋の斜視図、(b)は、要部拡大縦断面図である。
第3実施形態との相違点は、着座面防水手段の構成であり、他の構成は第3実施形態と同様であるため、同一符号を付し、説明を省略する。
【0038】
詳しくは、本変形例の着座面防水手段は、便座14の開口部の形状に併せて、略楕円形に形成された便座開口部閉塞体25を、下方(便蓋13の閉状態における下方)に付勢されたスプリング25aを介して便蓋13の裏面に取り付けた構成としており、便蓋13の閉状態で、便座14の開口部の内周縁の全周に便座開口部閉塞体25の少なくとも一部が当接するように形成されている。
【0039】
前記構成によれば、下方に付勢されたスプリング25aの押圧力により便座14へ確実に便座開口部閉塞体25を当接させることができ、便座14の着座面14aへの洗浄水の付着を防止することができ、また、軽量かつ簡易な構成により着座面防水手段を構成することができる。
尚、本変形例では、下方に付勢されたスプリング25aを介して便座開口部閉塞体25を便蓋13の裏面に取り付ける構成としているため、前記したロック手段を設けたものに適用することが好ましい。これにより、ロック手段で、便蓋13の閉状態を保持し、洗浄水の便器外部への飛散を低減することができるとともに、便座開口部閉塞体25で、便座14の着座面14aへの洗浄水の付着を防止することができる。
【0040】
また、便座開口部閉塞体25としては、どのようなものでもよく、例えば、熱可塑性の合成樹脂材で形成されたものでもよい。また、シール性のない合成樹脂材で形成する場合は、便座14の開口部との当接部位にシール部材を設けることが好ましい。これにより、確実に便器内部から便座14の着座面14aへの洗浄水の付着を防止することができる。
【0041】
次に、本発明に係る洋風便器装置の変形例を図6に基づいて説明する。
図6は、本変形例を示し、図4(b)における一点鎖線で示した部分の要部拡大縦断面図である。
尚、本変形例は、前記した第1実施形態乃至第3実施形態に適用可能であるが、これに限られず、本発明に係る他の実施の形態にも適用可能である。
【0042】
詳しくは、本変形例では、便蓋13と便器本体19の上端周辺との隙間には、シール部材26を介在させている。
シール部材26は、便蓋13を閉じた状態で、便蓋13の下方に突設した張出部13dの下端(便蓋13を閉じた状態における下端を指す)に沿って周状に配設されており、便蓋13を閉じると、シール部材26が、便器本体19の上端、すなわち、本変形例では、リム部12の上辺の略全周に亙って当接し、便蓋13と便器本体19との間に空隙が形成されないように構成されている。
【0043】
前記構成によれば、便器洗浄ノズル21による便器内部の洗浄時にも洗浄水が便器外部に飛散しない構成となる。
すなわち、便器洗浄ノズル21から噴出された洗浄水は、前述のようにボウル部15の全体、リム部12の底辺や内辺、上辺の一部及び便座14の裏面の一部などは十分に洗浄水の噴出により洗浄されるが、便器外部へは洗浄水が飛散しない構成となる。
また、前記したロック手段を備えた構成の洋風便器装置に本変形例を適用すれば、ロック手段により、便蓋13の閉状態を保持できるので、シール部材26のシール性を向上させることができ、便器外部への洗浄水の飛散を確実に防止することができる。
さらに、前記した着座面防水手段を備えた構成の洋風便器装置に本変形例を適用すれば、便座14の着座面14aにも洗浄水が付着せず、更に、便器外部へも洗浄水が飛散しない構成となる。
さらにまた、特に寒冷地等では、便蓋13を閉じると便器内部の空間の密封性、保温性が増すため、ボウル部15に常時溜められている溜水の凍結を防止することができる。
【0044】
また、本変形例のように張出部13dの下端にシール部材26を配設する構成とし、便蓋13とスカート部16とに段差が形成されないような構成とすれば、便蓋13の閉状態では、すっきりとした清潔感に溢れるデザイン性の良い洋風便器装置となるとともに、便蓋13の閉状態で使用者が便蓋13やスカート部16の外面の清掃を行い易いものとなる。
【0045】
尚、シール部材としては、水密性のある部材であればどのようなものでもよく、また、配設箇所としては、本変形例に示したものに限られず、例えば、便蓋13の形状をスカート部16よりも大、例えば、張出部13dの内径をスカート部16の外径よりも大となるように形成し、張出部13dの下方への突出高さを更に高く形成して、その内周端縁にシール部材を配設する構成として、スカート部16の上端外周部に該シール部材が当接するような構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る洋風便器装置の同実施形態における検知手段の変形例を示す要部拡大斜視図である。
【図3】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の他例を示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明に係る洋風便器装置の実施形態の更に他例を示し、(a)は、便蓋の斜視図、(b)は、一部破断側面図である。
【図5】本発明に係る洋風便器装置の同実施形態の変形例を示し、(a)は、便蓋の斜視図、(b)は、便蓋を閉じた状態の要部拡大縦断面図である。
【図6】本発明に係る洋風便器装置の変形例を示し、図4(b)における一点鎖線で示した部分の要部拡大縦断面図である。
【図7】従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10、10A、10B 洋風便器装置
11、11A 閉状態検知センサ(検知手段)
11B ロック状態検知センサ(検知手段)
13 便蓋
14 便座
17b スライド溝(ロック手段)
19、19A、19B 便器本体
21 便器洗浄ノズル(便器洗浄手段)
23 スライドロック(ロック手段)
24 環状壁部(着座面防水手段)
25 便座開口部閉塞体(着座面防水手段)
26 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に開閉自在に形設された便蓋及び便座と、便器内部に洗浄水を噴出する便器洗浄手段とを備えた洋風便器装置であって、
前記便器本体は、前記便蓋の状態を検知する検知手段を備えており、
前記便器洗浄手段は、前記検知手段から前記便蓋の閉状態信号を受信したときには、前記便器内部の洗浄を開始することを特徴とする洋風便器装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記便器本体は、前記便蓋の閉状態を保持するロック手段を更に備えており、
前記便器洗浄手段は、前記検知手段から前記便蓋のロック状態信号を受信したときには、前記便器内部の洗浄を開始することを特徴とする洋風便器装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記便蓋は、前記便器内部の洗浄時に該便器内部で噴出される洗浄水の前記便座の着座面への付着を防ぐ着座面防水手段を設けていることを特徴とする洋風便器装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記便蓋と前記便器本体の上端周辺との隙間には、シール部材を介在させていることを特徴とする洋風便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−50898(P2008−50898A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230130(P2006−230130)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】