説明

洗剤パック

液体組成物及びそれを包むフィルム材料から構成される悪臭を発生する水溶性洗浄パウチとそのための包装容器との組み合わせを含む洗剤パックであり、
a)前記液体組成物は第1の香料を含み;及び
b)前記包装容器はその内壁に付着されたホットメルト接着剤を含み、前記ホットメルトはアルデヒドを含む香料を含む。
悪臭を発生する水溶性のパウチを収容する包装容器の内部の悪臭を防止又は低減するための方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗剤パックの分野に属する。詳細には、包装容器と水溶性洗浄パウチとの組み合わせを含む洗剤パックに関する。本発明はまた、水溶性のパウチを収容する包装容器の内部の悪臭を防止又は低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄洗剤組成物は通常香りが付けられている。粉末洗浄製品は通常、その粉末上に噴霧された香料を包含する。液体洗浄製品は通常、その中に溶解された/乳化された香料を包含する。従来の製品では、香料の一部が組成物からパッケージのヘッドスペース中に放出されて、そのパッケージが開けられるたびに、又は少なくともその最初の数回に対して、心地良い香りを提供する。消費者はこの心地良い香りを洗浄力と関連付け、包装が開けられるたびに香料を知覚することを期待する。
【0003】
水溶性洗浄パウチ、即ち使用中に溶解する水溶性のフィルムで被包された洗浄組成物は、香料を含有してもよい。ポリビニルアルコールフィルムなどのほとんどの水溶性フィルム材料は、実質的に香料不透過性であり、パウチの内部から包装容器への香料の移動を妨げ又は減少させる。
【0004】
通常、水溶性フィルム材料は水分に弱い。フィルム及び封入された組成物を保護するために、パウチは周囲環境からパウチの内部への、及びその逆の水分の移動を低減させる包装容器中に保存される。PCT国際公開特許WO03/047998は、洗剤組成物を含有する水溶性カプセルとそのカプセルを収容するパッケージとの組み合わせを開示している。そのパッケージは、38℃及び相対湿度90%で0.25g/m2/日〜10g/m2/日の水蒸気移動速度を有する材料から形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水溶性洗浄パウチは、主に製造プロセスに由来するフィルム材料の不純物から生ずる悪臭を発生する場合があることが、今では判明している。これらの悪臭はパッケージの限定されたヘッドスペース中に蓄積し、そのパッケージを開けたときに知覚され易い。これが消費者と製品との相互作用の最初の瞬間である。製品の受け入れは大いにこの瞬間に基づく。消費者はこれらの悪臭が非常に不快であると感じ、それらをきつい化学物質と関連付ける。このことは消費者からの受け入れに悪影響を及ぼし得る。
【0006】
悪臭は強い又は高濃度の香料で被覆することができるが、しかし、洗浄製品中の強い香料の使用は、特に自動食器洗浄組成物の場合には、消費者にあまり受け入れられない。消費者はこの場合もまた強い香りをきつい化学物質と関連付け、食品と接触されることになる品目において強く香りが付けられた製品を使用するのを好まない。食器洗浄製品で使用するのに許容可能な香料は新鮮さのニュアンスを有している必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、悪臭を発生する水溶性洗浄パウチとそのための包装容器との組み合わせを含む洗剤パックが提供される。パウチは好ましくは液体組成物を含み、好ましい実施形態ではこの液体組成物は香料を含む。包装容器はその内壁に付着されたホットメルト接着剤を含み、そのホットメルトは第1の香料と同じであっても又は異なっていてもよい第2の香料を含んでいる。この第2の香料は洗浄パウチの悪臭の影響を弱めるのに有効であり、及び好ましい実施形態では、アルデヒドを含有する香料である。
【0008】
パックは好ましくは、少なくとも10個のパウチ、より好ましくは少なくとも12個のパウチを収容する。好ましい実施形態では、包装フィルム材料はポリビニルアルコールである。包装容器が最初に開けられる時及びその後包装容器が開けられるたびに、非常に心地良い香りが得られる。
【0009】
「ホットメルト接着剤」とは、溶融され、冷却時に包装容器に送達されて付着される高分子組成物と理解される。組成物はそれ自体が接着剤であり、包装容器に付着するために接着助剤を必要としない。好ましくは、接着剤の融解温度はアルデヒドを含む香料の引火点よりも低く、好ましくは100℃も低く、より好ましくは70℃も低い。
【0010】
特にそれらが限定された空間中に包装されている時に、パウチに関連した「魚の」臭気に似た悪臭が存在することが、今では判明している。包装フィルム材料は、特にその材料がポリビニルアルコールである場合に、この悪臭の主たる原因となると考えられている。本発明はしたがって、包装フィルム材料がそれ自体悪臭を発生する洗剤パウチに特に適用性がある。理論に束縛されるものではないが、悪臭は製造プロセスの間にフィルム中に捕捉されたアミン類又は他の不純物によって引き起こされることがあると考えられている。アミン類及び/又は他の不純物は悪臭を発生するパウチの寿命の間徐々に放出される。悪臭は、容積の小さい限定空間に制限されている場合に特に顕著であり、例えば、悪臭はそれぞれ体積約20mlの12個のパウチを含む、以下の寸法:まち8.9cm、幅15.9cm及び高さ18.1cmのPET/PEラミネート包装容器において容易に感知可能である。アミン類は香料から放出されるアルデヒド類と反応して嗅覚的に心地良い錯体を生ずる場合があることが理論化されている。この心地良い香りは、包装容器が最初に開けられる時だけでなく、包装容器を開けるたびに得られる(包装容器は収容されているパウチの数と同じ回数だけ、即ち約12回開けられることが予想される)。ホットメルト接着剤は香料の持続された放出を提供することができ、毎回包装容器が開けられそしてその後閉じられた後にヘッドスペースの補充を可能にする。
【0011】
洗浄パウチとは、使用中に溶解する水溶性フィルム内に包装された、即ち、洗浄組成物の使用のためにフィルムを除去する必要のない、洗濯、手による又は自動の食器洗浄、等を包含する洗浄で使用するための洗浄組成物、即ち洗剤又は添加剤組成物と理解される。用語「パウチ」とは、本明細書で使用するとき、サッシェ(sachet)、カプセル、及び包まれた部分を包含する。パウチは通常、約40〜約10ml、好ましくは約30〜約20mlの体積を有する。寸法はパウチの幾何学的形状によって変化してよく、矩形、正方形のパウチは約6×6cm2〜約2×2cm2、好ましくは約4×4cm2〜約2.5×2.5cm2のフットプリント、及び約0.5〜約2cm、好ましくは約0.8〜約1.8cmの高さを有していてよい。長円形、楕円形、及び丸形のパウチは、約2〜6cmの範囲の最大直径及び約0.5〜約2cmの高さを有していてよい。
【0012】
好ましい実施形態では、ホットメルトは、その重量基準で以下を含む:
a)エチレンと少なくともヘテロ原子を含む少なくとも別のモノマーとのコポリマー;
b)少なくとも10%の、少なくとも1つのへテロ原子を含む可塑剤;及び
c)約20%〜約70%、好ましくは約30%〜約60%の、アルデヒドを含む香料。
【0013】
ホットメルトは香料の均一な及び持続した放出を与え、毎回パウチが分与された後にヘッドスペースの補充を可能にする。
【0014】
洗浄パウチは単区画又は多区画パウチであることができる。多区画パウチの場合には、液体組成物は、洗浄組成物(即ち、ビルダー等などの洗浄活性成分を含有する)又は純粋に香料、染料等を含有する審美的組成物のどちらであることもできる。
【0015】
用語「液体」とは、本明細書で使用するとき、ゲル、ペースト、及びその中に固体が懸濁された液体組成物も包含する。液体組成物は第1の香料を含む。第1の香料及びアルデヒドを含む香料は同じであることができるが、好ましくはそれらは異なっている。フィルム材料は通常、実質的に香料に対して不透過性である。液体組成物中に含有された香料は主に使用中に放出されることになる。貯蔵及び取扱い中に液体組成物から誘導される香料効果は全く無いか又は無視できる。本発明のパックは、パウチが使用される時ばかりでなく包装容器が開けられる時に心地良い香りを提供する。この手法は2つの類似の又は異なる香料の、1つは取扱い中の及び1つは使用中の送達を可能にし、消費者に、より完全な及び心地良い経験を提供する。通常はパウチの取扱い及び分与中に期待される香料経験は、使用中に期待されるものとは異なり、異なる香料の性質及び強度が必要とされる。本手法は妥協を必要とすることなく2つの瞬間における最適化を可能にする。本手法はまた、液体組成物の香料がその組成物が使用時に放出されるまで損なわれないまま保たれるようにする。
【0016】
好ましい多区画実施形態では、パウチは香料を更に含んでいてもよい粉末組成物を含む。例えば、漂白剤のような気体発生成分を含有するパウチは、貯蔵中に形成される気体を放出するために、気体放出手段、例えばピンホールを有していてもよい。気体放出手段は、少量の香料及び/又は悪臭もまた放出し得る。自動食器洗浄のような特定の用途では、高濃度の香料は受け入れられない。消費者は食器を高濃度の香料と接触させることを好まない。気体放出手段を有するパウチはいくらかの香料を放出し得るが、放出される量はフィルムから生ずる悪臭の問題を克服するのに十分であるとはいえない。粉末組成物中の香料の濃度が増大された場合、これは使用中に過剰な効果を生じて食器に残留の臭気を残し、このことは受け入れられない場合がある。ホットメルト接着剤から放出される香料はまたピンホールを通して粉末組成物から来る悪臭の影響を弱めてもよい。
【0017】
別の好ましい実施形態では、包装容器は、好ましくは自立可能であり及び好ましくは逆止め弁を有する、再閉鎖可能な可撓性バッグである。これはバッグが開けられる前でもバッグが保持されるたびに、単にバッグを押しつぶすことによって、香料の送り出しを可能にする。
【0018】
「可撓性」バッグにより、手で押しつぶすことで容易に変形することができる、好ましくは単なるバッグを保持する動作によって変形されるバッグが理解される。
【0019】
本発明の別の態様によると、洗浄組成物及びそれを包むフィルム材料から構成される悪臭を発生する水溶性パウチを収容する包装容器の内部の悪臭を、前記包装容器にその内壁に付着されたホットメルト接着剤を提供することによって防止する又は低減する方法が提供され、このホットメルト接着剤はアルデヒドを含む香料を含む。
【0020】
好ましい実施形態では、包装フィルム材料はポリビニルアルコールである。この方法はあらゆる種類の悪臭を発生するパウチを収容する包装容器に好適である。悪臭は主にフィルム材料に起因すると考えられているが、この方法は洗浄組成物から生ずることのある他の悪臭に対処することができると思われる。好ましい実施形態では、本発明の方法は、粉末区画及び液体区画を有する2区画パウチを収容する洗剤パックにおいて実施される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、水溶性洗浄パウチを収容し及び分与するための包装容器を含む洗剤パックを想定している。包装容器は、香料を含むホットメルト接着剤を内壁に付着されている。ホットメルトはゆっくりと香料を放出し、包装容器が開けられるたびに心地良い香りを提供する。好ましい実施形態は、パックが取り扱われるたびに(それが開けられる前でも)心地良い香りを提供する。洗浄組成物はまた、使用中に放出される香料も含んでいる。本発明はまた、パウチを収容する包装容器の内部の悪臭を、その包装容器にアルデヒドを含む香料を含むホットメルト接着剤を提供することによって、防止する又は低減するための方法も想定している。
【0022】
水溶性洗浄パウチは当該技術分野において周知である。例えば、PCT国際公開特許WO02/42400、WO02/42401、WO02/16541、及びWO02/16222は水溶性の洗浄パウチを記載している。
【0023】
本明細書で使用するための好適なパウチ材料は、PCT国際公開特許02/42408の22ページ20行〜24ページ8行に記載されている。
【0024】
好ましいパウチ材料としては、米国インディアナ州ゲーリー(Gary)のクリス−クラフト・インダストリアル・プロダクツ(Chris-Craft Industrial Products)により販売されるような商品照会名モノゾル(Monosol)M8630として知られているPVA(ポリビニルアルコール)フィルム、及び同様の溶解特質及び変形特質を有するPVAフィルムが挙げられる。本明細書で使用するのに好適な他のフィルムには、アイセロ社(Aicello)により供給される商品照会名PTフィルム若しくはK−シリーズとして知られるフィルム、又は株式会社クラレ(Kuraray)により供給されるVF−HPフィルムとして知られるフィルムが挙げられる。
【0025】
包装容器
包装容器は、タブ、トレイ、ジャー、ボトル、バッグ、箱等であることができ、好ましくは包装容器は、再閉鎖可能であり、及び好ましくは38℃及び相対湿度90%において0.25g/m2/日未満の水蒸気移動速度を有する。本明細書で使用するのに好適な包装容器としては、PCT国際公開特許WO02/20361に記載されているものが挙げられる。特に好ましい包装容器は、PCT国際公開特許WO03/047998の4ページ6〜26行及び図1に記載されているような、好ましくは逆止め弁を有する、自立型可撓性バッグである。
【0026】
あらゆる逆止め弁を本明細書で使用することができるが、簡単のために、直径約0.1〜約3、好ましくは約0.5〜約1.5mmの非常に小さなスロット又はオリフィスを生ずるがその切断に対応する材料の除去を伴わない、包装容器中の小さな切断が好ましい。
【0027】
第1の香料組成物
液体組成物中の香料の濃度は、液体組成物の約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約5重量%、より好ましくは約0.01〜約1.5重量%の範囲であってよい。本明細書で使用するのに、特に自動食器洗浄の実施において使用するのに好ましい香料は、洗浄される表面に残留臭気を残さない香料である。自動食器洗浄パウチで使用するのに好ましい香料は、PCT国際公開特許WO97/34987で記載されているようなブルーミング香料である。
【0028】
アルデヒドを含む香料
本明細書で使用するのに好適なアルデヒドは、従来香料において使用されているものであり、及び「香料及び風味料化学」第I及びII巻、S.アークタンダー(S. Arctander)、アルレッド・パブリッシング(Allured Publishing)、1994年、ISBN0−931710−35−5に見出すことができる。好適なアルデヒドとしては、C6〜C14脂肪族アルデヒド、C6〜C14非環式テルペンアルデヒド、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本発明の香料構成成分はC8〜C12脂肪族アルデヒド、C8〜C12非環式テルペンアルデヒド、及びこれらの混合物から選択される。より好ましくは、本発明の香料構成成分は、シトラール;ネラール;イソ−シトラール;ジヒドロシトラール;シトロネラール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2−メチルデカナール;メチルノニルアセトアルデヒド;2−ノネンアール(2-nonen al);デカナール;ウンデセナール;ウンデシレンアルデヒド;2,6ジメチルオクタナール;2,6,3,10,トリメチルウンデセン−l−アール(undecen-l-al);トリメチルウンデカナール;ドデセナール;メロナール;2−メチルオクタナール;3,5,5,トリメチルヘキサナール、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、ホットメルトで使用するための香料は、香料組成物の少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、とりわけ少なくとも4重量%のアルデヒドを含んでいる。
【0029】
好ましくは、ホットメルト接着剤に包含される香料は、シトラスの性質、即ちレモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ等に似た香りを有する。シトラス香料は、新鮮さや清潔さと関連付けられ、及び例えば食器洗浄洗剤のようないくつかの洗浄製品において使用するのに好ましい香料である。
【0030】
ホットメルト接着剤
包装容器の内側に配置されるホットメルト接着剤の量は、容器の大きさ、特にヘッドスペースの量、及びそこに収容されるパウチの数及び大きさによって決まる。例えば、約20mlの体積の12個のポリビニルアルコールパウチを収容する包装容器であって、そのパウチがその包装容器の内部容積の40%超過、好ましくは60%超過、より好ましくは70%超過を占める包装容器は、約0.05〜約0.3g、好ましくは約0.1〜約0.2gのホットメルト接着剤(このホットメルトは40%〜60%の、アルデヒドを含む香料を含む)を必要とする。
【0031】
本明細書で使用するのに好ましいホットメルト接着剤の第1の必須構成成分はエチレンと少なくともヘテロ原子を含む少なくとも別のモノマーとのコポリマーである。エチレンと少なくともヘテロ原子を含む少なくとも別のモノマーとの全てのコポリマーが本明細書で使用するのに好適である。
【0032】
「少なくともヘテロ原子を含むモノマー」との用語は、少なくともC−X結合を含む全てのモノマーを包含し、ここでXはC又はHではない。前記C−X結合は好ましくは極性結合である。好ましくは炭素原子はN、S、F、Cl、又はO原子に結合されている。より好ましくは前記極性結合はカルボニル基の、より好ましくはエステル基の一部である。本発明のための好ましい、少なくともヘテロ原子を含むモノマーは、ビニルアセテート、ビニルアルコール、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸及びそれから形成される塩類、メタクリル酸及びそれから形成される塩類、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、及び一酸化炭素である。
【0033】
本明細書に用いるのに好適なコポリマーは、ブロック及び非ブロックコポリマーの両方、グラフトコポリマー、側鎖を有するコポリマー、又は架橋されたコポリマー、及びエチレンモノマーが少なくともヘテロ原子を含むモノマーと無作為に共重合したコポリマーであることができる。
【0034】
好ましいエチレンのコポリマーとしては、エチレン−ビニルエステルコポリマー、エチレン−アクリルエステルコポリマー、エチレン−メタクリルエステルコポリマー、アイオノマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−アクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−メタクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリルエステル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−ビニルエステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−アクリルエステル−グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−グリシジルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0035】
本発明で好適なコポリマー中の少なくともヘテロ原子を含むモノマーは、コポリマーの総重量の10%〜90%、好ましくは少なくとも14%、より好ましくは少なくとも18%に相当する。
【0036】
特に好ましいコポリマーとしては、デュポン(Dupont)により商標名エルバックス(Elvax)(商標)で、アトフィナ(Atofina)によりエバタン(Evathane)(商標)で、エクソン(Exxon)よりエスコレン(Escorene)(商標)で、及びバイエル(Bayer)よりレバプレン(Levapren)(商標)及びレバメルト(Levamelt)(商標)で販売されているもののようなエチレン−ビニルアセテートコポリマー、及びアトフィナ(Atofina)より商標名ロトリル(Lotryl)(商標)で販売されているもののようなエチレン−アクリルエステルコポリマーが挙げられる。
【0037】
本明細書で用いるのに好ましいホットメルト接着剤の第2の必須構成成分は、エチレンと少なくともヘテロ原子を含む少なくとも別のモノマーとのコポリマーと適合性のある、少なくとも1つのへテロ原子を含む可塑剤又は可塑剤の混合物である。用語「少なくともヘテロ原子を含む可塑剤」は、分子中に少なくともC−X結合を含む全ての可塑剤を包含し、ここでXはC又はHではない。前記C−X結合は好ましくは極性結合である。好ましくは、炭素原子はN、S、F、Cl、又はO原子に結合されている。より好ましくは、前記極性結合は、カルボニル基の、より好ましくはエステル基の一部である。
【0038】
本明細書で使用するための好適な可塑剤としては、クエン酸エステル、低分子量ポリエステル、ポリエーテル、液体ロジンエステル、芳香族スルホンアミド、フタレート、ベンゾエート、スクロースエステル、多官能性アルコールの誘導体(ここで多官能性とは2以上のヒドロキシル基を有することを意味する)、アジパート、タータラート、セバケート、リン酸のエステル、脂肪酸及び二酸、脂肪族アルコール及びジオール、エポキシ化植物油等、及びそれらの混合物(mixtyres)が挙げられる。既に上述したように、適合性の異なる可塑剤の異なる極性(当業者に既知のいずれかの方法、例えば水/オクタノール分配係数を用いて測定可能な)は、揮発性物質の極性とのより良好な調和を与えるために、高分子マトリックスの極性を調整するために用いることができる。
【0039】
好ましくは、ホットメルト接着剤組成物は、組成物の5重量%〜75重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%の、エチレンと少なくともヘテロ原子を含む少なくとも別のモノマーとのコポリマー;組成物の10重量%〜60重量%、好ましくは15重量%〜40重量%の、少なくとも1つのへテロ原子を含む適合性の可塑剤又は可塑剤のブレンド、及び20%超過の、好ましくは30%超過の、より好ましくは40%超過の香料を含み;揮発性物質は好ましくは組成物の最大80重量%まで含まれる。
【0040】
高分子ホットメルト接着剤は、さらに、組成物の加工性、及びまたこうした高分子組成物から形成される物体の、機械的特質並びに粘性や光、酸素、及び熱による劣化への抵抗性、視覚的外観等のような他の特質を更に改善するために、追加の任意の構成成分を含んでいてもよい。
【0041】
こうした任意の構成成分は、それらの特性を改善する、例えば基材との接着性又は適合性を向上させるために配合に包含されることができる、他のコポリマーを包含してもよい。この目的のために好ましい任意のコポリマーは、スチレンと少なくとも1つの他のビニル又はアクリルモノマーとのコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)のコポリマー、ポリアミド、ポリエーテルアミドコポリマー、ポリエステルアミドコポリマー、ポリエステル、ポリエーテルエステルコポリマー、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(ビニルピロリドン)のコポリマー、ポリアクリレート、ポリビニルエーテルのコポリマー)等である。
【0042】
ポリマー類の水性エマルション又は分散液を得る技術は当業者には周知である。例えば、選択されたポリマー、可塑剤及び香料を熱可塑性材料として一緒にブレンドすることができる。得られた溶融物はその後、好ましくはその融点を超える温度において、混合することによって水に分散させることができる。当業者に既知の界面活性剤及び/又は安定化系を使用して、得られたエマルション又は分散液を安定化することができる。
【0043】
別の方法としては、予め形成された水性ポリマー分散液又はエマルションを選択された可塑剤及び香料とブレンドすることができる。これは、成分をポリマー分散液若しくはエマルションに直接添加することによって、又は例えば香料及び可塑剤の水性分散液を形成して、これをポリマー分散液若しくはエマルションとブレンドすることによって行うことができる。どちらの手順も、本発明によるポリマー組成物の水性分散液の形成をもたらす。
【0044】
別の方法としては、ポリマー分散液を可塑剤及び/又は香料の存在下で形成することができる。この方法は、分散された揮発性物質及び/又は可塑剤を含有する水中へのモノマー又はプレポリマーの溶液又は分散液を伴うことができる。次いで重合を開始してポリマー分散液を形成することができる。必要ならば、香料又は可塑剤を後で加えて分散されたポリマー組成物を生成することができる。
【0045】
本明細書で用いるのに好ましいホットメルト接着剤組成物は、それらのレオロジー及びそれらの付着特性に起因して、選択された基材上に溶融状態で適用されるのに、及び直接そこに付着されるのに特に有用である。例えば、それらは容器の内側面に容易に適用することができる。こうした適用は容器の製造中に容易に達成することができる。ポリマー組成物は従来のホットメルトデリバリーシステムによって適用することができる。このシステムは典型的に、ホットメルトを加工可能な粘度を有するのに必要な温度に維持する溶融ユニットを包含する。溶融ユニットは典型的に、ホースの長さを通ってグルーガン又はノズルに到達するまでホットメルトを送り出すことができるポンピングシステムを含有する。ノズルはグルーの所望の適用形態(コーティング、ストライプ、ビーズ等)によって異なる幾何学形状を有することができる。典型的な実施形態では、グルーガンとしてスロットノズルを用いることができる。
【0046】
本明細書において言及したすべての文書を参考として組み込む。
【実施例】
【0047】
実施例で使用する略語
実施例では、省略された構成成分の識別表示は、次の意味を有する。
【0048】
【表1】

【0049】
以下の実施例において、全ての濃度は重量パーセント(%)として引用される。
【0050】
パウチ
組成物A及びB(表1)は2区画層状PVA矩形ベースのパウチへと導入される。2区画のパウチを、クリス−クラフトインダストリアルプロダクツ(Chris-Craft Industrial Products)によって供給されるようなモノゾル(Monosol)M8630フィルムから製造する。17.2gの粒子状組成物及び4gの液体組成物をパウチの2個の異なる区画に入れる。2kgの負荷の元でのパウチ寸法を以下に示す:長さ3.7cm、幅3.4cm及び高さ1.5cm。長手方向/横断方向の縦横比はしたがって1.5:3.2又は1:2.47である。
【0051】
【表2】

【0052】
アルデヒドを含む香料
表2及び3は、ホットメルト接着剤の一部を形成するアルデヒドを含む香料組成物を例示している。アルデヒドは太字で強調されている。香料Aはレモンのニュアンスを有する。香料Bは新鮮なスズランのニュアンスを有する。
【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
ホットメルト接着剤
組成物A
24.75部のエルバックス(Elvax)(登録商標)250(デュポン(Dupont)から入手可能な、28重量%のビニルアセテート含量及び25dg/分のメルトフローインデックス(ASTMD1238)を有するポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート))、9.75部のエスコレンウルトラMV(Escorene Ultra MV)02528(エクソンモービルケミカル(ExxonMobil Chemical)より入手可能な、27.5重量%のビニルアセテート含量及び190℃で3100cpsの溶融粘度(エクソンモービル(ExxonMobil)法)を有するポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート))、15部のフォラリンTM(ForalynTM)5020F(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)から入手可能なロジンエステル可塑剤)、及び0.5部のイルガノックスTM(IrganoxTM)B225(チバガイギー(Ciba Geigy)(スイス)から入手可能な酸化防止剤)を、シグマブレードミキサーに加えてポリマーの融点よりも約10〜20℃高い温度(約120℃)に加熱した。前記成分を、均質な塊が得られるまで混合した。次に温度を、混合物がなお溶融されている点まで、典型的には混合物の融点よりも約10〜20℃高い点(本ケースでは約80℃))まで下げた。50部の香料(組成物A又はB、表2又は3)を可塑化されたポリマー混合物に加えた。成分を、均質な混合物が得られるまで混合した。
【0056】
組成物B
39.5部のエスコレンウルトラMV(Escorene Ultra MV)02528、(エクソンモービルケミカル(ExxonMobil Chemical)から入手可能な27.5%のビニルアセテート含量及び190℃で3100cpsの溶融粘度(エクソンモービル(ExxonMobil)法)を有するポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート))、30部のフォラリンTM(ForalynTM)5020F(イーストマンケミカル(Eastman Chemical)から入手可能なロジンエステル可塑剤)、及び0.5部のイルガノックスTM(IrganoxTM)B225(チバガイギー(Ciba Geigy)(スイス)から入手可能な酸化防止剤)を、シグマブレードミキサーに加えてポリマーの融点よりも約10〜20℃高い温度(約80℃)まで加熱した。前記成分を、均質な塊が得られるまで混合した。次に温度を、混合物がなお溶融されている点、典型的には混合物の融点よりも約10〜20℃高い点(本ケースでは約60℃)まで下げた。30部の香料(組成物A又はB、表2又は3)を可塑化されたポリマー混合物に加えた。前記成分を、均質な混合物が得られるまで混合した。
【0057】
0.12gの得られた混合物を、圧迫閉鎖式(press-to-close)ジップロックを有する可撓性PET/PEラミネート自立型折り畳み可能バッグの内壁へと送達し、混合物を室温に冷却する。12個のパウチをバッグ中に導入し、バッグを閉じる。バッグの形状は、PCT国際公開特許WO03/047998の図1に示されているものであり、その寸法はまち8.9cm、幅15.9cm、及び高さ18.1cmである。各実施例で使用されるパウチ、ホットメルト、及び香料組成物を図4に示す。
【0058】
【表5】

【0059】
バッグを48時間後に開け、1つのパウチを取り出してその後バッグを閉じる。このプロセスを11日間毎日繰り返す。バッグを開けるたびに、非常に心地良い香りが知覚される。
【0060】
実施例1〜6を、0.18gのホットメルト接着剤、20個のパウチ、及び以下の寸法:まち8.9cm、幅15.9cm、及び高さ20.1cmのバッグを用いて繰り返す。同様の結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体組成物及びそれを包むフィルム材料から構成される悪臭を発生する水溶性洗浄パウチとそのための包装容器との組み合わせを含む洗剤パックであって、
a)前記液体組成物は第1の香料を含み;及び
b)前記包装容器はその内壁に付着されたホットメルト接着剤を含み、前記ホットメルトはアルデヒドを含む香料を含んでいる、洗剤パック。
【請求項2】
前記包装フィルム材料はポリビニルアルコールである、請求項1に記載の洗剤パック。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤は、
d)エチレンと、少なくともヘテロ原子を含む少なくとも別のモノマーとのコポリマー;
e)少なくとも1つのへテロ原子を含む少なくとも10%の可塑剤;及び
f)約20%〜約70%の、アルデヒドを含む香料、
を含む、請求項1又は2に記載の洗剤パック。
【請求項4】
前記水溶性は、パウチは多区画パウチである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗剤パック。
【請求項5】
前記水溶性のパウチは粉末区画を含む多区画パウチである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗剤パック。
【請求項6】
前記水溶性洗剤パウチは食器洗浄パウチである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗剤パック。
【請求項7】
前記包装容器は再閉鎖可能な可撓性のバッグである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗剤パック。
【請求項8】
前記包装容器は逆止め弁を含む、請求項7に記載の洗剤パック。
【請求項9】
洗浄組成物及びそれを包むフィルム材料から構成される悪臭を発生する水溶性パウチを収容する包装容器の内部の悪臭を、前記包装容器にその内壁に付着されたホットメルト接着剤を提供することによって防止又は低減する方法であって、前記ホットメルト接着剤はアルデヒドを含む香料を含む方法。
【請求項10】
前記包装フィルム材料はポリビニルアルコールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶性のパウチは粉末区画及び液体区画を有する2区画パウチである、請求項9又は10に記載の方法。

【公表番号】特表2008−501591(P2008−501591A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527654(P2007−527654)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/019994
【国際公開番号】WO2005/123895
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】