説明

洗剤用ラックを有する厨房家具

【課題】シンク縁まわりの水栓部分での余計な突起をなくしてシンクでの作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えを向上させ、また、天板部が洗剤で汚れることのない洗剤用ラックを有する厨房家具を提供する。
【解決手段】洗剤用ラック9を有する対面式キッチン1は、天板部3に設けられたシンク5の内壁18に壁出し水栓金具4が取付けられている。シンクのほぼ前側縁30からほぼ後側縁31まで至る洗剤用ラック9を、壁出し水栓金具の基部に着脱可能に装着し、この洗剤用ラックの上端縁を天板部の上面より若干下げて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板部に設けられたシンクの内壁に壁出し水栓金具が取付けられ、この壁出し水栓金具の基部に洗剤用ラックが装着された、洗剤用ラックを有する厨房家具に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンなど厨房家具では、天板面(カウンター面)から一段落とし込んだシンク縁まわりの平面部に水栓金具が取付けられていることが多い。この水栓金具が取付けられた平面部に洗剤用ラックを置くと、水栓金具や洗剤用ラックの周囲に水垢が溜まりやすくなり、また、水栓金具が邪魔になって清掃がし難く見栄えもよくない。
特許文献1(特開平5−192261号公報)には、水栓に装着される装着部と、この装着部に支持されてシンクの内壁に沿うかご本体とを有する収納かごが記載されている。
【特許文献1】特開平5−192261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の収納かごは、シンクの内部に吊り下げられた格好で取付けられるとともにシンクの内壁から突出している。そのため、シンクで作業を行うときに収納かごが邪魔になり、また、その周囲の清掃がし難い上に見栄えの点も課題があった。
また、別の従来技術として、突起物を備えた吸盤をシンクの内壁に貼り付け、突起物に洗剤用ラックを掛けて、これをシンク内側に収めるタイプの洗剤用ラックも知られているが、吸盤が衝撃によって外れ易く、洗剤用ラックがシンクでの作業の邪魔になり、見栄えも悪かった。
【0004】
さらに他の従来の洗剤用ラックとしては、シンクの縁のまわりに予め取付けられた取付け部品に洗剤用ラックを係合させ、この洗剤用ラックがシンクの内側に着脱可能な状態で収まるように設計されているものも知られている。
この取付け部品は、シンクの上面から上方に突出しているので、この取付け部品の周囲に水垢が溜まり易く、また、水栓金具,洗剤用ラックおよび取付け部品などによってシンク縁まわりの平面部が雑然として清掃し難い上に見栄えもよくなかった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、シンク縁まわりの水栓部分での余計な突起をなくして、シンクでの作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えを向上させることができ、また、天板部が洗剤で汚れることのない、洗剤用ラックを有する厨房家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる洗剤用ラックを有する厨房家具は、厨房家具の天板部に設けられたシンクの内壁に壁出し水栓金具が取付けられた厨房家具であって、前記シンクのほぼ前側縁からほぼ後側縁まで至る洗剤用ラックを、前記壁出し水栓金具の基部に着脱可能に装着し、前記洗剤用ラックの上端縁を前記天板部の上面より若干下げて配置している。
前記洗剤用ラックには平面視でU字状の切欠き部を形成し、この切欠き部を前記壁出し水栓金具の筒状の本体部に着脱可能に係合させるとともに、この本体部の下部に設けられている前記基部に前記切欠き部の周縁部を載置して前記洗剤用ラックを位置決めするのが好ましい。
また、前記洗剤用ラックが前記壁出し水栓金具に装着された状態で、前記洗剤用ラックのシンク側露出面は前記基部の露出面とほぼ面一になっているのが好ましい。
他の好ましい実施態様として、前記洗剤用ラックには平面視でコ字状の切欠き部を形成するとともに、この切欠き部の対向する両内面には係合部をそれぞれ形成し、前記壁出し水栓金具の前記基部の両外面には被係合部をそれぞれ形成し、前記洗剤用ラックを水平移動させてこの洗剤用ラックの前記係合部を前記壁出し水栓金具の前記被係合部に係合させることにより、前記洗剤用ラックの前記切欠き部で前記基部を囲うようにしている。
この場合、前記係合部は、前記洗剤用ラックの前記対向する両内面に水平方向に延びてそれぞれ形成された凸状部であり、前記被係合部は、前記壁出し水栓金具の前記基部の前記両外面に水平方向に延びてそれぞれ形成されて前記凸状部が係合可能な凹状溝部であるのが好ましい。
前記厨房家具は対面式キッチンであり、平面視で左右方向の中心軸線上にまたはこの中心軸線の近傍に沿って、前記壁出し水栓金具とシンクと少なくとも一つのコンロバーナとを配置し、前記天板部には、前方側に位置して左右方向に延びた前方側作業領域と、後方側に位置して左右方向に延びた後方側作業領域とを確保しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる洗剤用ラックを有する厨房家具は、上述のように構成したので、シンク縁まわりの水栓部分での余計な突起をなくしてシンクでの作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えを向上させることができ、また、天板部が洗剤で汚れることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
下記の実施例にかかる洗剤用ラックを有する厨房家具は、天板部に設けられたシンクの内壁に壁出し水栓金具が取付けられている。シンクのほぼ前側縁からほぼ後側縁まで至る洗剤用ラックを、壁出し水栓金具の基部に着脱可能に装着し、この洗剤用ラックの上端縁を天板部の上面より若干下げて配置している。
これにより、シンク縁まわりの水栓部分での余計な突起をなくしてシンクでの作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えを向上させることができ、また、天板部が洗剤で汚れることのないようにするという目的を実現している。
【0009】
本発明における厨房家具は、台所やダイニングルームなどに設置されるキッチン(たとえば、複合厨房家具の一種であるシステムキッチン,セクショナルキッチン)が一般的である。
下記の実施例では、厨房家具が対面式キッチンである場合を例にとって説明する。なお、本発明は、対面式キッチン以外のキッチン、たとえば、前方側のみでユーザーが調理など作業を行うようにしたキッチンにも適用可能である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明にかかる実施例を図1ないし図8を参照して説明する。
図1ないし図4は本発明の第1の実施例を示す図で、図1は、対面式キッチンの斜視図、図2は、洗剤用ラックを取付ける手順を示す斜視図、図3は洗剤用ラックの斜視図、図4は、図2(C)のIV−IV線部分断面図である。
図5ないし図8は本発明の第2の実施例を示す図で、図5は対面式キッチンの斜視図、図6は、洗剤用ラックを取付ける手順を示す斜視図、図7は洗剤用ラックの斜視図、図8は、図6(C)のVIII−VIII線部分断面図である。
なお、説明の便宜上、各図中の符号D1,D2,D3,D4で示す各方向を、それぞれ対面式キッチンの左方,右方,前方,後方とする。
【0011】
図1,図5に示すように、厨房家具としての対面式キッチン1は、全体的に左右方向に延びた所定の形状(ここでは、矩形状)をなして、台所やダイニングルームに設置されている。対面式キッチン1は、左右方向に延びた矩形状のキャビネット2と、キャビネット2の上部を覆って取付けられた天板部3とを有している。
対面式キッチン1は、平面視で左右方向の中心軸線CL上に(または、この中心軸線CLの近傍に沿って)、壁出し水栓金具4とシンク5と少なくとも一つの(ここでは、二つの)コンロバーナ6とが配置されている。壁出し水栓金具4は、シンク5の垂直な内面すなわちシンク内壁18に取付けられる水栓の一種である。
天板部3には、前方側に位置して左右方向に延びた前方側作業領域7と、後方側に位置して左右方向に延びた後方側作業領域8とが、積極的に確保されている。前方側作業領域7と後方側作業領域8の各奥行き寸法(前後方向の寸法)Eはたとえば150mm以上であり、この十分な奥行き寸法Eにより、調理用の作業スペースが十分に確保されている。
【0012】
したがって、二人のユーザーは、対面式キッチン1の前方側と後方側で、相手に邪魔されず且つ相手の邪魔にならず、調理などにおける同一または異なる各種作業をそれぞれ独立して同時に行うことができる。
天板部3に前方側作業領域7と後方側作業領域8を確保したので、シンク5やコンロバーナ6の各前方や後方の作業領域7,8に調理道具や食材などを置くことができ、天板部3の中央の調理スペースを常に整然とした状態に保つことができる。
壁出し水栓金具4,シンク5および複数(ここでは、二つ)のコンロバーナ6は、中心軸線CL上に配置されているので、前方のユーザーと後方のユーザーのいずれからも近いところに位置することになり、二人のユーザーは、これら壁出し水栓金具4などに容易に手を伸ばして作業することができる。
対面式キッチン1の前方側では一人のユーザーが作業し、後方側では他の一人のユーザーが作業を行うので、対面式キッチン1の間口Lが短くなる。その結果、対面式キッチン1を使用するユーザーが一人でも二人でも、作業時の身体の動線が短くてすみ、ユーザーにとって作業の負担が軽減される。
【0013】
前方側作業領域7と後方側作業領域8は、それぞれ対面式キッチン1の間口Lのほぼ全体に設定されている。したがって、前方のユーザーは、広い前方側作業領域7を使って各種作業を自在に且つ快適に行うことができ、また、後方のユーザーも、広い後方側作業領域8を使って各種作業を自在に且つ快適に行うことができる。この作業を行う際に、ユーザー同士は、相手に邪魔されず且つ相手の邪魔にならない。
前方側作業領域7と後方側作業領域8は、それぞれ前方側のユーザーと後方側のユーザーのすぐ近くに配置されているので、各ユーザーは各作業領域7,8で、力を要する作業(たとえば、食材を切ったり、混ぜたり、こねたりする作業)を容易に且つ能率よく行うことができ、使い勝手がよい。
【0014】
本実施例では、対面式キッチン1は、左右方向の中心軸線CLに対して前後対称の構造を有し、壁出し水栓金具4,シンク5およびコンロバーナ6は、この中心軸線CL上に配置されている。
その結果、壁出し水栓金具4やコンロバーナ6の配置、およびシンク5やコンロ13の構造を共通化することができ、キャビネット2,天板部3の設計,製造および各種部品の在庫管理が容易になる。
【0015】
キャビネット2の前面(前方D3側の面)には、少なくとも引き出し(たとえば、複数の引き出し15,16,17など)が、引き出し収納自在に設けられ、被収納物を収納可能になっている。キャビネット2の後面(後方D4側の面)にも、少なくとも他の引き出しが引き出し収納自在に設けられ、被収納物を収納可能になっている。
これにより、対面式キッチン1の前方側で作業を行うユーザーと、後方側で作業を行う他のユーザーは、反対側にわざわざ移動しなくても、被収納物を引き出しに対して出し入れして、調理などの作業を独立して同時に行うことができる。
キャビネット2の前面と後面には、コンロ13のコンロバーナ6を操作するためのコンロ操作部12がそれぞれ設けられている。その結果、各ユーザーは、わざわざ反対側に移動しなくても、コンロ操作部12を操作して各コンロバーナ6を他のユーザーから独立して同時に使用することができる。
【0016】
天板部3は、天板部3の外周部を構成して前方側作業領域7と後方側作業領域8とを有するワークトップ(すなわち、外周側天板)10と、平面視でこのワークトップ10に囲まれて内方に配置され、壁出し水栓金具4,シンク5およびコンロバーナ6が少なくとも設けられた中央側天板11とを有している。
天板部3を、ワークトップ10と中央側天板11の二つの部材に分割したので、ワークトップ10と中央側天板11をそれぞれ最適な素材で構成することができる。
たとえば、中央側天板11は、壁出し水栓金具4とシンク5とコンロ13とが設けられているので、耐熱性に優れて傷が付きにくいステンレス製板により構成されている。他方、ワークトップ10は、人造大理石により構成すれば、高熱に弱く傷が付きやすいが外観的に美しく高級感があり且つ耐久性に優れている点で好ましい。
【0017】
天板部3の上面全体を平面状にするために、ワークトップ10の上面と中央側天板11の上面はほぼ面一になっている。これにより、天板部3の上面に段差がなくなって、調理器具や食器類を天板部3上のどこに置いても安定するので好ましい。
前記構成の天板部3の上面(すなわち、シンク5,コンロバーナ6を除いた平面状の上面)は、段差がないので広い調理台として使用することができ、特に、コンロバーナ6のすぐ近くまで調理スペースとして使用することができるので、使い勝手がよい。
【0018】
シンク5は天板部3に設けられおり、壁出し水栓金具4は、シンク5の内壁18に取付けられている。壁出し水栓金具4は、シンク内壁18に直接取付けられている基部25と、基部25に固定された筒状(ここでは、円筒状)の本体部26とを有している。基部25は平面視でほぼ矩形をなしており、その中心部には本体部26が上方に突出して設けられている。
本体部26は、水や温水の出口部27を有して水平面内で揺動可能なシャワーヘッド28と、水と温水との切り換え,流量調節および温度調節を行うための操作レバー29とを有している。
【0019】
図1ないし図4に示すように、第1の実施例にかかる対面式キッチン1では、シンク5のほぼ前側縁30からほぼ後側縁31まで至る洗剤用ラック9が、壁出し水栓金具4の基部25に着脱可能に装着されている。洗剤用ラック9の上端縁は、天板部3の上面より若干下げて配置されている。洗剤用ラック9には、洗剤の容器や洗浄用のスポンジなどが収納される。
これにより、シンク縁まわりの水栓部分(壁出し水栓金具4のところ)での余計な突起をなくして、シンク5での作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えを向上させることができ、また、天板部3が洗剤で汚れることがない。
【0020】
洗剤用ラック9は、合成樹脂製で全体が一体成形されており、洗剤用ラック9には、平面視でU字状の切欠き部35が形成されている。洗剤用ラック9には、切欠き部35を挟んで両側に一対の凹部40が形成され、この各凹部40に洗剤の容器やスポンジなどを収納するようになっている。
切欠き部35は、壁出し水栓金具4の筒状の本体部26に着脱可能に係合するようになっている。そして、本体部26の下部に設けられている基部25に、切欠き部35の周縁部36が載置されて、洗剤用ラック9が位置決めされるようになっている。
切欠き部35の下方には、互いに平行で対向する平面状の一対の対向面37が形成され、この一対の対向面37が、基部25の外側に形成された平行な一対の外面38に摺接するようになっている。
また、洗剤用ラック9が基部25にセットされた状態で、洗剤用ラック9の裏面39がシンク5の左側の内壁18に当接するようになっている。
【0021】
したがって、洗剤用ラック9が基部25に装着されてセットされると、切欠き部35の周縁部36が基部25に載置されるので、洗剤用ラック9の下方向への移動が規制されて位置決めがなされる。また、洗剤用ラック9の一対の対向面37が基部25の一対の外面38に密着するので、洗剤用ラック9は前後方向に動かないように規制されて位置決めされる。
さらに、切欠き部35が壁出し水栓金具4の本体部26に係合し、且つ、洗剤用ラック9の裏面39が、シンク5の左側の内壁18に当接する。これにより、洗剤用ラック9は、壁出し水栓金具4とシンク内壁18とにより左右方向に挟まれた状態になるので、左右方向に動かないように位置決めされる。
こうして、洗剤用ラック9は、下方向,前後方向,左右方向に関して動かないように規制されて、しっかりと位置決め保持される。
【0022】
洗剤用ラック9を装着する場合には、図2(A)に示すように、洗剤用ラック9を壁出し水栓金具4の左側に位置させ、切欠き部35が本体部26に近づくように、洗剤用ラック9を矢印B1に示すように右方向に水平移動させる。
図2(B)に示すように、やがて切欠き部35が本体部26に係合した後、洗剤用ラック9を矢印B2に示すように押し下げる。
そうすると、図2(C)に示すように、切欠き部35の周縁部36が基部25の上面に当接する。これにより、洗剤用ラック9は、下方向,前後方向,左右方向に関して動かないように規制されて位置決め保持される。
【0023】
こうして、洗剤用ラック9が壁出し水栓金具4に装着されると、洗剤用ラック9のシンク側露出面41は、基部25の露出面42とほぼ面一になる。これにより、余計な突起がなくなってシンク5での作業の邪魔になることがなく、清掃性と見栄えも向上する。
また、洗剤用ラック9の上面が天板部3の上面より若干下げて配置されているので、洗剤用ラック9に収納されている洗剤を使用したとき、この洗剤はシンク5内に落ちるので、天板部3が洗剤で汚れる恐れがない。
【0024】
図5ないし図8に示すように、第2の実施例にかかる対面式キッチン1では、洗剤用ラック9aの形状が若干異なっているが、他の構成は第1の実施例と同じ構成である。したがって、同じ構成の部分には同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
この第2の実施例にかかる対面式キッチン1では、シンク5のほぼ前側縁30からほぼ後側縁31まで至る洗剤用ラック9aが、壁出し水栓金具4の基部25に着脱可能に装着されている。そして、洗剤用ラック9aの上端縁は、天板部3の上面より若干下げて配置されている。
これにより、シンク縁まわりの水栓部分(壁出し水栓金具4のところ)での余計な突起がなくなるので、シンク5での作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えが向上し、また、天板部3が洗剤で汚れる恐れがなくなる。
【0025】
洗剤用ラック9aには、平面視でコ字状の切欠き部35aが形成されている。洗剤用ラック9aには、切欠き部35aを挟んで両側に凹部40が形成されている。この各凹部40に洗剤の容器やスポンジなどが収納される。
切欠き部35aの対向する両内面37aには、一対の係合部43がそれぞれ形成されている。壁出し水栓金具4の基部25の両外面38には、一対の被係合部44がそれぞれ形成されている。そして、洗剤用ラック9aを、矢印C1に示すように水平移動させて、洗剤用ラック9aの係合部43を、壁出し水栓金具4の被係合部44に係合させることにより、洗剤用ラック9aの切欠き部35aで基部25を囲うようにしている。
これにより、洗剤用ラック9aは、上下方向,前後方向および左方向に関して動かないように規制されて位置決め保持される。
【0026】
第2実施例では、洗剤用ラック9aに形成された係合部は、洗剤用ラック9aの対向する両内面37aに水平方向に延びてそれぞれ形成された一対の凸状部43である。また、壁出し水栓金具4に形成された被係合部44は、基部25の両外面38に水平方向に延びてそれぞれ形成され、一対の凸状部43が係合可能な一対の凹状溝部44である。
そして、洗剤用ラック9aを矢印C1(図6(A))に示すように水平に移動させれば、凸状部43が凹状溝部44に係合しながらスライドするので、洗剤用ラック9aは基部25にスムーズに装着される。
【0027】
洗剤用ラック9aを壁出し水栓金具4に取付ける場合には、図6(A)に示すように、洗剤用ラック9aを矢印C1に示すように水平移動させる。すると、洗剤用ラック9aの凸状部43が、壁出し水栓金具4の凹状溝部44に係合する(図6(B))。
さらに、洗剤用ラック9aを矢印C1に示す方向にスライドさせると、図6(C)に示すように、基部25に切欠き部35aが係合する。これにより、洗剤用ラック9aが、壁出し水栓金具4に対して装着されて位置決め保持される。
このように、洗剤用ラック9aは、壁出し水栓金具4の右側から左側に水平方向にスライド式に嵌め込めばよいので、極めて簡単な操作により、洗剤用ラック9aを壁出し水栓金具4に対して着脱することができる。
また、凸状部43が凹状溝部44に係合するので、洗剤用ラック9aは上下方向に動かないように拘束されることになり、よりしっかりと壁出し水栓金具4に位置決め保持される。
【0028】
洗剤用ラック9aが壁出し水栓金具4に装着されると、洗剤用ラック9aのシンク側露出面41aは、シンク5のほぼ前側縁30からほぼ後側縁31に至るまで全体が平面状をなして基部25を覆っている。したがって、基部25とシンク側露出面41aとの間に段差や余計な突起が生じることはなく、清掃性と見栄えが向上する。
このように、第2実施例においても、シンク縁まわりの水栓部分(壁出し水栓金具4のところ)での余計な突起がなくなるので、シンク5での作業の邪魔にならず、清掃性と見栄えが向上し、また、洗剤用ラック9aに収納された洗剤で天板部3が汚れる恐れもない。
【0029】
二つの実施例にかかる洗剤用ラック9,9aは、壁出し水栓金具4の基部25の全体の寸法よりも一回り大きい寸法を有している。したがって、洗剤用ラック9,9aを壁出し水栓金具4に装着すれば、基部25の大部分を洗剤用ラック9,9aで覆い隠すことができ、壁出し水栓金具4と洗剤用ラック9,9aまわりの見栄えが向上する。
【0030】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形,付加などが可能である。
なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、天板部に設けられたシンクの内壁に壁出し水栓金具が取付けられ、且つ洗剤用ラックを装着可能な厨房家具に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1ないし図4は本発明の第1の実施例を示す図で、図1は対面式キッチンの斜視図である。
【図2】洗剤用ラックを取付ける手順を示す斜視図である。
【図3】洗剤用ラックの斜視図である。
【図4】図2(C)のIV−IV線部分断面図である。
【図5】図5ないし図8は本発明の第2の実施例を示す図で、図5は対面式キッチンの斜視図である。
【図6】洗剤用ラックを取付ける手順を示す斜視図である。
【図7】洗剤用ラックの斜視図である。
【図8】図6(C)のVIII−VIII線部分断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 対面式キッチン(厨房家具)
3 天板部
4 壁出し水栓金具
5 シンク
6 コンロバーナ
7 前方側作業領域
8 後方側作業領域
9,9a 洗剤用ラック
25 基部
26 本体部
30 前側縁
31 後側縁
35 U字状の切欠き部
35a コ字状の切欠き部
36 周縁部
37a 内面
38 基部の外面
41 シンク側露出面
42 基部の露出面
43 凸状部(係合部)
44 凹状溝部(被係合部)
CL 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨房家具の天板部に設けられたシンクの内壁に壁出し水栓金具が取付けられた厨房家具であって、
前記シンクのほぼ前側縁からほぼ後側縁まで至る洗剤用ラックを、前記壁出し水栓金具の基部に着脱可能に装着し、
前記洗剤用ラックの上端縁を前記天板部の上面より若干下げて配置したことを特徴とする洗剤用ラックを有する厨房家具。
【請求項2】
請求項1に記載の洗剤用ラックを有する厨房家具であって、
前記洗剤用ラックには平面視でU字状の切欠き部を形成し、この切欠き部を前記壁出し水栓金具の筒状の本体部に着脱可能に係合させるとともに、この本体部の下部に設けられている前記基部に前記切欠き部の周縁部を載置して前記洗剤用ラックを位置決めするようにしたことを特徴とする洗剤用ラックを有する厨房家具。
【請求項3】
請求項2に記載の洗剤用ラックを有する厨房家具であって、
前記洗剤用ラックが前記壁出し水栓金具に装着された状態で、前記洗剤用ラックのシンク側露出面は前記基部の露出面とほぼ面一になっていることを特徴とする洗剤用ラックを有する厨房家具。
【請求項4】
請求項1に記載の洗剤用ラックを有する厨房家具であって、
前記洗剤用ラックには平面視でコ字状の切欠き部を形成するとともに、この切欠き部の対向する両内面には係合部をそれぞれ形成し、
前記壁出し水栓金具の前記基部の両外面には被係合部をそれぞれ形成し、
前記洗剤用ラックを水平移動させてこの洗剤用ラックの前記係合部を前記壁出し水栓金具の前記被係合部に係合させることにより、前記洗剤用ラックの前記切欠き部で前記基部を囲うようにしたことを特徴とする洗剤用ラックを有する厨房家具。
【請求項5】
請求項4に記載の洗剤用ラックを有する厨房家具であって、
前記係合部は、前記洗剤用ラックの前記対向する両内面に水平方向に延びてそれぞれ形成された凸状部であり、
前記被係合部は、前記壁出し水栓金具の前記基部の前記両外面に水平方向に延びてそれぞれ形成されて前記凸状部が係合可能な凹状溝部であることを特徴とする洗剤用ラックを有する厨房家具。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかの項に記載の洗剤用ラックを有する厨房家具であって、
前記厨房家具は対面式キッチンであり、平面視で左右方向の中心軸線上にまたはこの中心軸線の近傍に沿って、前記壁出し水栓金具とシンクと少なくとも一つのコンロバーナとを配置し、
前記天板部には、前方側に位置して左右方向に延びた前方側作業領域と、後方側に位置して左右方向に延びた後方側作業領域とを確保していることを特徴とする洗剤用ラックを有する厨房家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−106595(P2009−106595A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283008(P2007−283008)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】