説明

洗浄剤組成物及び洗浄用具

【課題】 洗浄性と安全性に優れるだけでなく、サトウキビ抽出物の使用によって洗浄後にマスキング作用による消臭効果を発揮する洗浄組成物を提供する。水回り箇所や乳幼児のための使用器具だけでなく、自動車の内装表面などの汚れ落しにも好適に用いることのできる洗浄剤組成物及び洗浄用具を提供する。
【解決手段】 界面活性剤とサトウキビ抽出物と水とを組み合わせることを基本とする。必要に応じて、アルコール類、洗浄助剤としてのアルカリ成分又は酸成分、精油などをさらに組み合わせる。サトウキビ抽出物は主として消臭成分として機能する。サトウキビ抽出物は、悪臭物質が完全に消去できていなくてもマスキング効果により高い消臭効果を人に感じさせることができる。洗浄用具は、洗浄剤組成物をシート状のクロスに含浸させることによって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭の台所(キッチン)や洗面所といった水回り箇所、自動車の内装表面などの汚れ落しに用いられる洗浄剤組成物、特に、組成物の構成成分のすべてに食品添加物として認可されている成分を採用することによって安全性を高めてあるだけでなく、対象物(被洗浄物・被洗浄面)に付着している汚れを落としながら、対象物に付着している臭気成分をマスキングすることによって消臭作用を高め、併せて、除菌作用にも優れている洗浄剤組成物に関する。また、本発明は、上記洗浄剤組成物をシート状クロスに含浸させてなる洗浄用具に関する。
【背景技術】
【0002】
キッチンにあるレンジや冷蔵庫といった食品や食器が存在する場所、乳幼児のような小さい子供が使用するベビーチェア、ベビーベット、ベビー用のテーブル、チャイルドシートなどの汚れを洗浄剤で拭き上げて除去しようとした場合、洗浄剤に含浸又は付着している洗浄組成物中の成分が食品に付着したり、拭き上げた後の対象物に成分が残存することが考えられる。そうした場合、乳幼児が残存成分の付着した食品をなめて直接的に経口摂取したり、乳幼児が手足で触れて間接的に残存成分を経口摂取したりしてしまう可能性があるほか、乳幼児の皮膚に残存成分が付着したままになって肌あれを起こしたり皮膚炎を発症したりするといった安全性の問題が付きまとう。
【0003】
そこで、従来は、洗浄組成物を使用せずに水拭きのみで対象物を拭き上げたり、洗浄組成物で拭き上げた対象物を水でもう一度拭き上げたりしていた。
【0004】
しかしながら、洗浄組成物を使用せずに水拭きのみで対象物を拭き上げるだけでは洗浄性に限界があり、対象物に付着している汚れがきれいに拭き取られたか否かについて不安の残ることが多い。特に、対象物に付着している臭気成分や細菌類は、水拭きだけでは除去除菌することのできないことが多い。
【0005】
一方、食品添加物を洗浄成分とし、安全性、洗浄力、除菌力などを付与した台所用液体洗浄組成物についての研究が行われている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1によって提案されている台所用液体洗浄組成物は、HLB値が14〜20であるショ糖脂肪酸エステルを1〜15重量%、HLB値が12〜17であるポリグリセリン脂肪酸エステルを0.5〜10重量%、モノグリセリン脂肪酸エステルを0.3〜3重量%、特定の化学式で表されるリン酸塩を0.1〜3重量%、上記3者の合計量が5〜20重量%、上記リン酸塩と上記3者の重量比が1/20〜1/5である、と規定されている。
【0006】
上記特許文献1によって提案されている洗浄組成物は、安全性を向上させるために食品衛生法で食品添加物に指定されている界面活性剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル)を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−261898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1によって提案されている上記洗浄組成物は液体洗浄組成物であって、食器や台所用品の洗浄に適しているとも云えるが、自動車の内装表面などの汚れ落しに用いる洗浄剤組成物としては不向きである。仮に、自動車の内装表面などの汚れ落しに用いることができたとしても、市販の自動車用洗浄剤に比べると洗浄力が弱くて満足できるものではなく、また、その洗浄組成物自体が高価であるために市販の自動車用洗浄剤に比べると汚れ落しのためのコストが高くつき過ぎるといった問題があった。
【0009】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、衛生管理が重視される一般家庭のキッチンなどの水回り箇所や乳幼児のための使用器具(たとえば、哺乳瓶、食器など)に対する洗浄性と安全性に優れるだけでなく、洗浄後に優れた消臭作用を発揮して、生ゴミや食用油の酸敗臭、乳幼児の排泄物や嘔吐物を消臭することにも役立つ洗浄組成物及び洗浄用具を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記した水回り箇所や乳幼児のための使用器具に対してだけでなく、自動車の内装表面などの汚れ落しにも好適に用いることのできる洗浄剤組成物及び洗浄用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る洗浄剤組成物は、基本的には、界面活性剤と、サトウキビ抽出物と、水とを組み合わせることによって構成され、必要に応じて、アルコール類、洗浄助剤としてのアルカリ成分又は酸成分、精油などをさらに組み合わせることによって構成される。また、本発明に係る洗浄用具は、上記洗浄剤組成物をシート状のクロスに含浸させたものである。
【0012】
界面活性剤の具体例には、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどがある。
【0013】
サトウキビ抽出物は、悪臭物質を化学的に中和ないし分解する作用を発揮すると共に、サトウキビ由来の香気成分によって悪臭を目立たなくする作用を発揮する。具体的には、悪臭物質が完全に消去されていなくても、その悪臭物質に対するマスキング作用を発揮して高い消臭効果を人に感じさせることができる。その上、特定の臭気成分に対する選択性がないので、酸性臭のみやアルカリ臭のみにしか効果がなく、他の臭気成分に対する消臭効果に乏しい、といったことがなくなって、悪臭成分の種類を問わず万遍なく消臭作用を発揮する。また、サトウキビ抽出物はもともとが糖であるので風味がよく、口に入っても他の天然系抽出物に比べても、苦みを感じないし、色も濃くなく、対象物を変色させるといった悪影響を生じさせない。したがって、洗浄剤組成物のクリーナ性能(洗浄性能)をじゃましないという利点を備えている。さらに、他の消臭成分と比べると、界面活性剤などの洗浄成分との相溶性や液安定性に優れていて、長く放置しておいても成分の一部(たとえば無機アルカリ成分など)が析出してくるといった不都合も生じない。
【0014】
本発明に係る洗浄剤組成物は、上記した界面活性剤とサトウキビ抽出物と水とを組み合わせることを基本していて、この構成によって洗浄効果と消臭効果とを両立させることができる。
【0015】
しかしながら、上掲の界面活性剤だけでは十分な洗浄性が得られないこともある。特に台所の油汚れなどに対しては、上掲の界面活性剤に対する油脂分の溶解性に欠けることが考えられるので、その点を勘案すると、アルコール類を添加することが有益である。
【0016】
本発明に係る洗浄剤組成物は、水系処方のため防腐作用も向上する。防腐作用を高めるためには、食品添加物として使用できる防腐剤を添加することも考えられるが、そのような防腐剤は、副作用などを勘案すると、できるだけ使用しないことが望ましい。
【0017】
また、汚れによっては水アカやプラスチック表面に付着したような簡単に落ちない汚れもある。この種の汚れについては、酸成分やアルカリ成分を添加しておくことが有益である。特にアルカリ成分である重曹(炭酸水素ナトリウム)は洗浄剤組成物のPHを向上させて洗浄効果を高める作用を発揮するだけでなく、洗浄剤組成物に含まれる水分が蒸発していくと、重曹微粒子が析出して研磨粒子として働くようになるので、クリーナー性を向上させることに役立つ。
【0018】
水系溶剤は、水系の汚れに対する溶解性を向上させることに役立つ。
【0019】
さらに、精油を添加しておくと、着香作用が向上し、油汚れに対する洗浄性も向上する。
【0020】
本発明に係る洗浄剤組成物において、界面活性剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれ、1つ又は2つ以上の組み合わせで使用される。界面活性剤は洗浄性を出すために必要である。これらの界面活性剤は細菌の活動を抑制する静菌効果を発揮するともいわれている。配合量は、0.5〜10.0wt%、好ましくは1.0〜6.0wt%である。0.5wt%より少ないと洗浄性が不十分であり、10.0wt%を超えると洗浄性としては問題がないが、対象物に残存する量が多くなり、仕上がりが悪くなるので好ましくない。0.5〜10.0wt%であると、洗浄性と仕上がり性の両方を満足させることが可能である。その効果は、配合量が1.0〜6.0wt%であれば顕著に現れる。
【0021】
アルコール類には、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコールなどを使用可能である。アルコール類は、除菌、防腐作用を発揮すると共に、油汚れなどの溶解性を向上させる作用も発揮する。アルコール類の配合量は、5.0〜35.0wt%、好ましくは10.0〜30.0wt%である。5.0wt%より少ないと汚れの溶解性が不十分であり、十分な防腐作用を期待できなくなる。35.0wt%を超えると一部の水溶性成分の溶解性が悪くなり、析出したりするので、液安定性がよくない。5.0〜35.0wt%であれば、汚れの溶解性や十分な防腐作用が発揮され、析出が生じず、液安定性も良好である。特に、この効果は、配合量が10.0〜30.0wt%であれば顕著に現れる。
【0022】
洗浄助剤としての酸成分又はアルカリ成分には、亜硝酸ナトリウム、アンモニア、塩酸、シュウ酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、氷酢酸、過酸化水素、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸、ポリリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リンゴ酸、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、などがあり、汚れの種類によって最適なものを選択する。たとえば油汚れはアルカリ成分、水垢などの汚れに対しては酸成分を選択することが適切である。配合量は、0.05〜6.0wt%、好ましくは0.1〜4.0wt%である。0.05wt%より少ないと添加による洗浄性向上が得られず、6.0wt%を超えると残渣として対象物に残り、仕上がりが悪くなる。0.05〜6.0wt%であると、洗浄性が向上し、残渣も残らない。この効果は、配合量が0.1〜4.0wt%であれば顕著に現れる。
【0023】
水系溶剤には、グリセリン、プロピレングリコールなどがある。これらを配合しておくことにより、水系の汚れの洗浄性が向上し、作業性の向上にも役立つ。配合量は、0.5〜5.0wt%、好ましくは1.0〜3.0wt%である。0.5wt%より少ないと添加による洗浄性向上が得られず、5.0wt%を超えると液剤の乾きが悪くなり、作業性が損なわれる。0.5〜5.0wt%であると、洗浄性が向上し、液剤の乾きが早くなり、作業性の低下も起こらない。特に、配合量が1.0〜3.0wt%であると、洗浄性向上と液剤の速乾性が顕著に現れる。
【0024】
精油には、樹木や果実より抽出されたテルペン系炭化水素類であるオレンジオイル(リモネン)やシトロネラール1,8−シネオールl−メントールなどが含まれる。種類によって、洗浄性の向上及び抗菌性向上などの効果がある。配合量は、0.05〜2.0wt%、好ましくは0.1〜1.0wt%である。0.05wt%より少ないと添加による効果(香り・洗浄性など)が得られにくく、2.0wt%を超えると白濁し透明液が得られなくなり、香り立ちも悪くなる。また基材に対する影響が大きくなり、対象物表面の塗装が溶解したりするので好ましくない。0.05〜2.0wt%であると、香り・洗浄性に富み、基材に対する影響も少ない。特に、配合量が0.1〜1.0wt%であるとその効果が顕著に現れる。
【0025】
サトウキビ抽出物は主として消臭成分として機能する。従来から使用されてきた安全な消臭剤(緑茶エキス、シソエキス、マッシュルーム抽出液など)には、苦味や強いにおい、特有の濃い色を有するといった問題があっただけでなく、悪臭成分に対し消臭効果の選択性が高いために、特定の臭気成分にしか大きな消臭作用が得られないといった問題があった。これに対して、サトウキビ抽出物は化学的に悪臭物質を中和、分解すると共に、サトウキビ由来の香気成分によって悪臭を目立たなくする効果があり、悪臭物質が完全に消去できていなくてもマスキング効果により高い消臭効果を人に感じさせることができるという優れた作用を発揮する。
【0026】
サトウキビ抽出物の配合量は、0.1〜3.0wt%、好ましくは0.5〜2.0wt%である。0.1wt%より少ないと消臭効果が弱く、3.0wt%を超えると十分な消臭効果が得られているため、これ以上の添加は不要である。また、対象物に残る量が増加するため、仕上がりが悪くなる。0.1〜3.0wt%であると、十分な消臭効果が得られ、仕上がりを悪化させることもない。特に、配合量が0.5〜2.0wt%であるとその効果が顕著に現れる。
【0027】
水は、溶媒の作用と水性の汚れを溶解させる作用との両方を発揮する。使用量は界面活性剤・アルコール類・洗浄助剤・水系溶剤・精油・サトウキビ抽出物を除いた残部である。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る洗浄剤組成物は、キッチンや洗面所といった一般家庭の水回り箇所だけにとどまらず、自動車の内装表面などの汚れ落しに好適に用い得るものである。特に、組成物の構成成分のすべてに食品添加物として認可されている成分を採用しているので、衛生面での安全性や消臭性、除菌性に優れる。特に、対象物に付着している臭気成分をマスキングすることによって消臭作用を高めるので、マスキング効果により高い消臭効果を人に感じさせることができるようになるという効果が奏される。本発明に係る洗浄用具は、シート状のクロスに上記洗浄剤組成物を含浸させたものであるから、その使用によって上記同様の効果が奏される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る洗浄剤組成物は、織布や不織布でなるシート状のクロスに含浸させて使用することができる。また、スプレーのように噴霧形態で使用したり、液体の形態で使用したりすることも可能であるけれども、この噴霧形態を採るときには、対象物に洗浄剤組成物を噴霧した後、クロスで対象物を拭き上げることになる。
【0030】
洗浄剤組成物を含浸させておくクロスの種類に特別な制限はないが、たとえば、天然繊維製クロス、合成繊維製クロス、天然繊維製クロスと合成繊維製クロスとを混合した混合繊維製クロスなどが挙げられる。
【0031】
天然繊維製クロスとしては、例えば、コットン製クロス、シルク製クロス、麻製クロス、ウール製クロス、テンセル製クロスなどが挙げられる。これら天然繊維製クロスは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0032】
合成繊維製クロスとしては、例えば、レーヨン製クロス、ポリノジック製クロス、キュプラ製クロス、ポリエチレン製クロス、ポリプロピレン製クロス、ポリブテン製クロス、アセテート製クロス、プロミックス製クロス、ビニロン製クロス、ナイロン製クロス、トリアセテート製クロス、ポリクラール製クロス、アクリル製クロス、ポリウレタン製クロス、ポリエチレンテレフタレート製クロス、ポリエステル製クロス、フッ素系クロス、ビニリデン製クロス、ポリ塩化ビニル製クロスなどが挙げられる。これら合成繊維製クロスは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0033】
混合繊維製クロスとしては、例えば、上記した天然繊維性クロスと上記した合成繊維製クロスとを、任意の混合比で混合したものが挙げられる。
【0034】
クロスとしては、これらの中でも、好ましくは、コットン製クロス、レーヨン製クロス、ナイロン製クロス、アクリル製クロス、ポリエステル製クロスおよびこれらの混合繊維製クロスなどが挙げられ、より好ましくは、コットン製クロスが挙げられる。また、クロスは、撚れがあり、中空断面構造のものを用いることが好ましい。このような構造のクロスを用いることにより、汚れが付着した表面の埃などを効率よく除去することができる。
【0035】
また、クロスは、その縦方向または横方向への引張り強さが15N/5cm以上、好ましくは、20〜500N/5cm、より好ましくは、30〜300N/5cmである。クロスの縦方向または横方向への引張り強さが15N/5cm未満であると、クロスの強度が不足するため、作業時にクロスが破れるおそれがある。
【0036】
また、クロスは、その乾湿強度比が80%以上、好ましくは、100〜120%、より好ましくは、105〜115%である。クロスの乾湿強度比が80%未満であると、ウェット状態のクロスの強度が低下し、特に目付量が低い場合は織糸が脱落したり、クロスが破れたりするおそれがある。
【0037】
また、クロスは、目付け量が40g/m以上、好ましくは、40〜200g/m、より好ましくは、50〜100g/mである。クロスの目付け量が40g/m未満であると、クロスの重量に対する最適な含浸液重量比での含浸液の総量が少なくなるため、洗浄効率が低下して、また、クロス自体の強度も低下する場合がある。
【0038】
さらに、クロスは、その公定水分率が1以上、好ましくは、1〜15、より好ましくは、8〜12である。クロスの公定水分率が1未満であると、クロスの吸水性が低下して、気温が高い環境下での使用において、含浸液の保持性が低下し、クロスがすぐに乾燥してしまう場合がある。
【0039】
クロスに含浸液を含浸させるには、特に制限されないが、例えば、ディップロールコーター法、グラビアロールコーター法、スプレーコート法、リバースロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、キスロールコーター法、インバースナイフコーター法、エアナイフコーター法、オポジットナイフコーター法、ハケ塗り法などの公知の方法を用いることができる。また、クロスの上方からシャワー状に含浸液をかけるシャワー法によって含浸させることもできる。
【0040】
そして、クロスに含浸させる含浸液は、クロスの重量に対して、1.5〜4.0重量倍、好ましくは、1.5〜3.5重量倍、より好ましくは、2.0〜3.0重量倍含浸させることが好ましい。クロスに含浸させる含浸液の含浸量が、クロスの重量に対して、1.5重量倍未満となると、クリーナ効果が低下し、4.0重量倍を超えると、含浸液が対象物表面に過剰に残り、拭ききれない場合がある。
【0041】
上記クロスは、家庭のキッチンや洗面所といった水回り箇所、自動車の内装表面などの汚れ落しに用いることができる。
【実施例1】
【0042】
水95.0wt%にポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート以下、サトウキビ抽出物までを順次溶解させサンプルを得た。
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 2.0wt%
ショ糖ラウリン酸エステル 2.0wt%
サトウキビ抽出物 1.0wt%
水 95.0wt%
100.0wt%
【実施例2】
【0043】
水72.5wt%にポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート以下、エタノールまでを順次溶解させサンプルを得た。
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 2.0wt%
ポリグリセリンオレイン酸エステル 3.0wt%
ショ糖オレイン酸エステル 1.0wt%
サトウキビ抽出物 1.5wt%
エタノール 20.0wt%
水 72.5wt%
100.0wt%
【実施例3】
【0044】
水71.5wt%にポリオキシエチレンソルビタンモノオレート以下、エタノールまでを順次溶解させサンプルを得た。
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 3.0wt%
ポリグリセリンオレイン酸エステル 3.0wt%
サトウキビ抽出物 1.5wt%
炭酸水素ナトリウム 1.0wt%
エタノール 20.0wt%
水 71.5wt%
100.0wt%
【実施例4】
【0045】
水68.5wt%にポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート以下、エタノールまでを順次溶解させサンプルを得た。
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 1.0wt%
ポリグリセリンラウリン酸エステル 3.0wt%
ショ糖オレイン酸エステル 1.0wt%
サトウキビ抽出物 1.5wt%
クエン酸 1.0wt%
グリセリン 2.0wt%
ベンジルアルコール 2.0wt%
エタノール 20.0wt%
水 68.5wt%
100.0wt%
【実施例5】
【0046】
水69.2wt%にポリオキシエチレンソルビタンモノオレート以下、エタノールまでを順次溶解させサンプルを得た。
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 2.0wt%
ポリグリセリンオレイン酸エステル 3.0wt%
ショ糖オレイン酸エステル 1.0wt%
オレンジオイル 0.3wt%
サトウキビ抽出物 1.5wt%
硫酸ナトリウム 0.5wt%
炭酸水素ナトリウム 0.5wt%
プロピレングリコール 2.0wt%
エタノール 20.0wt%
水 69.2wt%
100.0wt%
【0047】
本発明に係る洗浄剤組成物を織布や不織布でなるシート状のクロスに含浸させて使用した事例を、実施例6及び実施例7として以下に示す。
【実施例6】
【0048】
実施例3で作成したサンプル液を、20×30cmにカットしたアクリル繊維100%で構成される不織布(目付け量:60g/m 公定水分率:2.0、引っ張り強さ:70N/5cm、乾湿強度比90%)に、不織布の重量(3.6g)に対して3.0重量倍に相当する含浸液(10.8g)を均一に含浸させてサンプルを得た。
【実施例7】
【0049】
実施例4で作成したサンプル液を20×30cmにカットした、コットン繊維100%で構成される不織布(目付け量:60g/m 公定水分率:8.5、引っ張り強さ:100N/5cm、乾湿強度比115%)に不織布の重量(3.6g)に対して3.0重量倍に相当する含浸液(10.8g)を均一に含浸させてウェット状態のサンプルを得た
【比較例1】
【0050】
水94.0wt%にショ糖ラウリン酸エステルを溶解させサンプルを得た。
ショ糖ラウリン酸エステル 6.0wt%
水 94.0wt%
100.0wt%
【比較例2】
【0051】
水95.0wt%にラウリルアミンオキシド、ラルリルグルコシドを順次溶解させサンプルを得た。
ラウリルアミンオキシド 2.0wt%
ラウリルグルコシド 3.0wt%
水 95.0wt%
100.0wt%
【比較例3】
【0052】
水76.0wt%にサトウキビ抽出物以下、エタノールまでを順次溶解させサンプルを得た。
サトウキビ抽出物 2.0wt%
炭酸水素ナトリウム 2.0wt%
エタノール 20.0wt%
水 76.0wt%
100.0wt%
【比較例4】
【0053】
水93.0wt%にラルリルグルコシド以下、緑茶抽出物を順次溶解させサンプルを得た。
ラウリルグルコシド 5.0wt%
炭酸水素ナトリウム 1.0wt%
緑茶抽出物 1.0wt%
水 93.0wt%
100.0wt%
【0054】
比較例の組成物をクロスに含浸させて使用した事例を、比較例5として以下に示す。
【比較例5】
【0055】
比較例2で作成したサンプル液を、20×30cmにカットしたレーヨン繊維100%で構成される不織布(目付け量:60g/m 公定水分率:11.0、引っ張り強さ:30N/5cm、乾湿強度比60%)に、不織布の重量(3.6g)に対して3.0重量倍に相当する含浸液(10.8g)を均一に含浸させてウェット状態のサンプルを得た。
【0056】
<性能評価試験>
作成したサンプル液の性能評価を実施した。サンプル液の性能評価方法は以下の通りである。
【0057】
・洗浄性
牛脂とサラダ油を重量比2:1で混合した油脂を油溶性赤色色素で着色し、7cm×15cmのステンレス板に0.8gを塗布し、25℃にて24時間乾燥させて油脂汚染板を用意した。
サンプル液0.2gを油脂汚染板に塗布し、乾いたタオルでまんべんなく伸ばし拭き取った。その後、水で濯ぎ、汚れの除去性を目視観察し、下記の基準で評価した。
なお、実施例6及び実施例7、比較例5では、上記の乾いたタオルの代わりに、各実施例で得られたサンプルクロスを用いた。
◎:油脂が残っておらず、綺麗である
○:油脂がほとんど残っておらず、綺麗である
△:油脂が多少残っており、汚れている
×:油脂がほとんど取れず、汚れている
【0058】
・消臭性
一般的な悪臭であるアンモニア・酢酸について消臭性評価試験を行った。まず、3×8×0.5cmのポリエステル100%のマット地に悪臭であるアンモニア(又は酢酸)の1.0%水溶液3.0gを均一に浸み込ませた。悪臭を浸み込ませたマット地にサンプル液1.0gを吹き付け、乾いた綿タオルで10往復拭き上げた後、1000ml三角フラスコに入れ、パラフィルムで口に蓋をし、25℃にて静置した。30分経過後の臭いを調べた。悪臭を浸み込ませたマット地に水1.0gを吹き付けたものをブランクとし、ブランクと比較して評価を行った。官能検査は、専門のパネラー10人で下記に示した基準で評価を行い、平均をとった。なお、実施例6及び実施例7、比較例5では、各実施例で得られたウェット状態のサンプルクロスで悪臭を浸み込ませたマット地を10往復拭いた後、1000ml三角フラスコに入れ、パラフィルムで口に蓋をし、25℃にて静置した。30分経過後の臭いを調べた。評価は上記と同様に行った。
◎:ブランクと比較して完全に臭いが消えた
○:ブランクと比較してかなり臭いが消えた
△:ブランクと比較してわずかに臭いが消えた
×:ブランクと比較して消臭されていない
【0059】
・液安定性
調整した組成物を1 ℃および50℃で1ヶ月静置し、液の透明性・分離・沈殿の有無を目視観察し、下記の基準で評価した。
◎:透明性が保たれ、分離・沈殿のない均一な状態である
○:不透明であるが、分離・沈殿のない均一な状態である
△:透明性は保たれるが、分離または沈殿を生じる状態である
×:不透明であり、分離または沈殿を生じる状態である
<性能評価>
【0060】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1つ又は2つ以上の界面活性剤と、サトウキビ抽出物と、水との組み合わせでなり、
上記界面活性剤が0.5〜10.0wt%含まれ、サトウキビ抽出物が0.1〜3.0wt%含まれ、残部が水であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1つ又は2つ以上の界面活性剤と、アルコール類と、サトウキビ抽出物と、水との組み合せでなり、
上記界面活性剤が0.5〜10.0wt%含まれ、アルコール類が5.0〜35.0wt%含まれ、サトウキビ抽出物が0.1〜3.0wt%含まれ、残部が水であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項3】
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1つ又は2つ以上の界面活性剤と、アルコール類と、洗浄助材としてのアルカリ成分又は酸成分と、サトウキビ抽出物と、水との組み合せでなり、
上記界面活性剤が0.5〜10.0wt%含まれ、アルコール類が5.0〜35.0wt%含まれ、アルカリ成分又は酸成分が0.05〜6.0wt%含まれ、サトウキビ抽出物が0.1〜3.0wt%含まれ、残部が水であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項4】
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1つ又は2つ以上の界面活性剤と、アルコール類と、洗浄助材としてのアルカリ成分又は酸成分と、サトウキビ抽出物と、水系溶剤と、水との組み合せでなり、
上記界面活性剤が0.5〜10.0wt%含まれ、アルコール類が5.0〜35.0wt%含まれ、アルカリ成分又は酸成分が0.05〜6.0wt%含まれ、サトウキビ抽出物が0.1〜3.0wt%含まれ、水系溶剤が0.5〜5.0wt%含まれ、残部が水であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項5】
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1つ又は2つ以上の界面活性剤と、アルコール類と、洗浄助剤としてのアルカリ成分又は酸成分と、サトウキビ抽出物と、水系溶剤と、精油と、水との組み合わせでなり、
上記界面活性剤が0.5〜10.0wt%含まれ、アルコール類が5.0〜35.0wt%含まれ、アルカリ成分又は酸成分が0.05〜6.0wt%含まれ、サトウキビ抽出物が0.1〜3.0wt%含まれ、水系溶剤が0.5〜5.0wt%含まれ、精油が0.05〜2.0wt%含まれ、残部が水であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載した洗浄剤組成物をシート状のクロスに含浸させてなることを特徴とする洗浄用具。

【公開番号】特開2010−248452(P2010−248452A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102323(P2009−102323)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000227331)株式会社ソフト99コーポレーション (84)
【Fターム(参考)】