説明

洗浄容器において使用された溶液を再生する方法及びシステム

システム内で溶液から汚染物を除去して溶液を再生するための方法及びシステム(100)を提供する。該方法は、洗浄容器(160)からの溶液(165)をストリッピング塔(181)に提供し、前記溶液(165)は、洗浄容器(160)に存在する煙道ガスストリーム(150)から除去された汚染物を含むものであり及びストリッピング塔(181)内で、溶液をスチーム(185)と接触させ、これによって、溶液から汚染物を除去し、溶液を再生することを含んでなる。ストリッピング塔(181)は700 KPa以下の圧力で作動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月21日出願の米国仮特許出願第61/244,191号(発明の名称:洗浄容器において使用した溶液を再生するための方法及びシステム)の優先権を主張するものであり、その全体を参照して本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、煙道ガスストリームから二酸化炭素(CO2)及びアンモニア(NH3)を除去するためのシステム及び方法に係る。さらに詳述すれば、本発明は、煙道ガスストリームからのアンモニアの除去において利用した溶液を再生するためにストリッピング塔を使用するシステム及び方法に係る。
【背景技術】
【0003】
世界で使用されているエネルギーの多くは、石炭、石油及び天然ガスのような炭素及び水素を含有する燃料の燃焼に由来するものである。炭素及び水素に加えて、これらの燃料は、酸素、水分及び灰分、イオウ化合物(しばしば、イオウ酸化物の形(「SOx」と称される))、窒素化合物(しばしば、窒素酸化物の形(「NOx」と称される))、塩素、水銀、及び他の微量元素のような汚染物を含有する。燃焼の間に放出される汚染物の悪影響についての認識は、発電所、製油所及び他の工業プロセスからの放出に関するより厳しい規制の制定の引き金となっている。ゼロに近い汚染物の放出を達成するように、このような設備のオペレーターに対する圧力が増大している。
【0004】
ゼロに近い汚染物の放出を達成するとの要求に対して、多くの方法及びシステムが開発されてきた。システム及び方法は、煙道ガスから汚染物を吸収する1以上の吸収剤の使用と共に、脱硫システム(湿式煙道ガス脱硫「WFGD」)及び乾式煙道ガス脱硫「DFGD」として知られている)、微粒子フィルター(例えば、バグハウス、微粒子コレクター等を含む)を含む(ただし、これらに限定されない)。吸収剤の例としては、活性炭、アンモニア、石灰石等が含まれる(ただし、これらに限定されない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンモニアは、煙道ガスストリームから二酸化イオウ(SO2)及び塩化水素(HCl)のような汚染物と共に、CO2を効果的に除去するものであることが示されている。1つの特別な用途では、アンモニアによる煙道ガスストリームからのCO2の吸収及び除去は、低温、例えば、0−20℃で行われる。システムの効率を保護し、放出基準を遵守するために、煙道ガスストリーム処理システム内におけるアンモニアのメインテナンスが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様によれば、溶液を再生するために、溶液から汚染物を除去する方法であって、該方法は、洗浄容器からの溶液をストリッピング塔に提供し、ここで、溶液は、洗浄容器に存在する煙道ガスストリームから除去された汚染物を含むものであり;及びストリッピング塔内で、溶液をスチームと接触させ、これによって、溶液から汚染物を除去し、溶液を再生することを含んでなり、前記ストリッピング塔を700 KPa以下の圧力で作動する溶液の再生法が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、アンモニア除去溶液からアンモニアを除去する方法であって、該方法は、アンモニア除去溶液をアンモニア含有煙道ガスストリームと接触させ、これによって、アンモニア含有溶液を形成し;アンモニア含有溶液をストリッピング塔に提供し;及びストリッピング塔において、アンモニア含有溶液をスチームと接触させ、これによって、アンモニア含有する溶液からアンモニアを除去することを含んでなり、前記ストリッピング塔を700 KPa以下の圧力で作動するアンモニアの除去法が提供される。
【0008】
本発明のさらに他の態様によれば、溶液からアンモニアを除去するシステムであって、該システムは、アンモニア含有煙道ガスストリーム及びアンモニア除去溶液を受け取るように設定された洗浄容器であって、該洗浄容器において、アンモニア含有煙道ガスストリームをアンモニア除去溶液と接触させて、アンモニア含有溶液及び含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリームを形成する洗浄容器;及び洗浄容器からアンモニア含有溶液を受け取るように設定されたストリッピング塔であって、該ストリッピング塔において、アンモニア含有溶液をスチームと接触させて、アンモニア含有溶液からアンモニアを除去するストリッピング塔を含んでなり、前記ストリッピング塔が700 KPa以下の圧力で作動されるものであるアンモニアの除去システムが提供される。
【0009】
上述の及び他の特徴は、図面及び詳述な記載によって例示される。
【0010】
次に、具体例を例示する図面を参照する(図において、同様の部材については同様の符号によって示す)。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】煙道ガスストリーム中に存在するCO2及びアンモニアの量を低減するために使用するシステムを概略して示す図である。
【図2】図1に示すシステムにおいて使用する吸収システムの1具体例を示す図である。
【図3】図1に示すシステムにおいて使用する洗浄容器の1具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1具体例では、図1に示すように、溶液からアンモニア、二酸化炭素(CO2)及びその組み合わせのような汚染物を除去するためのシステム100は、いくつかの装置及びプロセスを含んでなる。システム100において使用される装置及びプロセスは、煙道ガスストリーム120(発電プラント122における燃料の燃焼によって発生される)からの各種汚染物の除去を容易なものとする。
【0013】
煙道ガスストリーム120は発電プラント122における燃料の燃焼によって発生される。煙道ガスストリーム120は、水銀、塩化水素(HCl)、フライアッシュのような粒状物質、CO2等と共に、イオウ酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)を含む多くの汚染物が含まれる(ただし、これらに限定されない)。図1には示されていないが、煙道ガスストリーム120を、煙道ガスストリームから汚染物を除去するための処理、例えば、煙道ガス脱硫プロセス及び微粒子コレクターによる処理(煙道ガスからSOx及び粒状物質を除去できる)に供することができる。
【0014】
さらに図1を参照すると、煙道ガスストリーム120を、吸収システム130を通過させることによるCO2の除去するための処理に供することもできる。図1には示されていないが、煙道ガスストリーム120を、吸収システム130に導入する前に冷却システムを介して処理してもよい。冷却システムは煙道ガスストリーム120を室温以下の温度に冷却できる。
【0015】
次に、図2(吸収システム130をさらに詳しく図示する)を参照すると、吸収システムは、煙道ガスストリームをアンモニア性溶液又はスラリー140と接触させることによって煙道ガスストリーム120からのCO2の除去を容易なものとする。1具体例では、アンモニア性溶液又はスラリー140は、水溶液中に、溶解したアンモニア及びCO2化学種を含むことができる。他の具体例では、アンモニア性溶液又はスラリー140は、溶解したアンモニア、CO2化学種、及び水に加えて、炭酸水素アンモニウムの析出した固体を含むことができる。
【0016】
1具体例では、吸収システム130は、第1吸収器132及び第2吸収器134を含む。しかし、吸収システム130は、図2に示すよりも多い又は少ない吸収器を含むことができる。
【0017】
図2においてより詳細に示すように、例えば、第1吸収器132又は第2吸収器134において吸収システム130における方向Bの煙道ガスストリームの流れに対向する方向Aで、アンモニア性スラリー又は溶液140を吸収システム130に導入する。アンモニア性スラリー又は溶液140は煙道ガスストリーム120と接触するため、煙道ガスストリーム中に存在するCO2は煙道ガスストリームから吸収、除去され、これによって、CO2リッチストリーム142及びアンモニア含有煙道ガスストリーム150が形成され、ついで、吸収システム130から排出される。生成したCO2リッチストリーム142の少なくとも一部を、吸収システム130から再生塔136(図1)に移し、ここで、CO2リッチストリーム142を再生して、吸収システム130に導入されるアンモニア性スラリー又は溶液140を形成できる。
【0018】
上述のように、アンモニア性スラリー又は溶液140は、吸収システム130からの底部からの使用済みアンモニア性スラリー又は溶液、例えばCO2リッチストリーム142を再循環することによって吸収システム130に提供される。他の具体例では、以下においてさらに詳細に検討するように、アンモニア性スラリー又は溶液140は、システム100内のアンモニア含有煙道ガスストリームから除去したアンモニアを利用することによって吸収システム130に提供される。
【0019】
なお図2を参照すると、1具体例では、吸収システム130は、低温、特に約20℃以下の温度において作動する。他の具体例では、吸収システム130は約0−約20℃の範囲の温度で作動する。さらに他の具体例では、吸収システム130は約0−約10℃の範囲の温度で作動する。しかし、吸収システム130は、ユーザー及び/又は使用する用途によって望まれる又は要求される各種の温度で作動されるため、システムは、この温度範囲に限定されない。
【0020】
図1に示すように、吸収システム130から排出されたアンモニア含有煙道ガスストリーム150を洗浄容器160に導入する。洗浄容器160はアンモニアを含有する煙道ガスストリームを再生する他のシステム及び方法と組み合わせて使用され得る、すなわち、洗浄容器は、吸収システム130を含有しないシステムにおいて使用され得るため、システム100はこれに限定されない。
【0021】
1具体例では、洗浄容器160は、アンモニア含有煙道ガスストリーム150中に存在するアンモニア及び他の汚染物の量を低減し、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170を形成する。含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170は環境に放出される。含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170は、洗浄容器160から直接環境に放出されるが、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170を、環境に放出する前に、さらに処理でき、例えば、直接接触冷却器によって冷却でき、或いは酸性溶液で洗浄して、さらに汚染物含量を低減することができる。
【0022】
さらに、図1には図示されていないが、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170中に存在するアンモニアの量又は濃度を、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリームを洗浄容器160から排出する前に測定することができる。他の具体例では、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170中に存在するアンモニアの量又は濃度を、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリームが洗浄容器160から排出された後に測定することもできる。含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170中に存在するアンモニアの量の測定により、ユーザーは、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170中に存在するアンモニアの量を、環境への放出前又直後においてモニターすることが可能になる。
【0023】
1具体例では、洗浄容器160は、洗浄容器の底部の開口152にて、アンモニア含有煙道ガスストリーム150を受け入れるように設定されている。開口152は洗浄容器160の底部に示されているが、開口は容器の各種の位置に存在でき、位置は用途に応じてシステム毎に変えられる。
【0024】
洗浄容器160は、アンモニア含有煙道ガスストリーム150からのアンモニアの吸収を容易なものとするため、1以上の吸収ステージ(一般的に160で示される)を有することができる。1具体例では、図3に示すように、洗浄容器160は3つの吸収ステージ、すなわち、第1吸収ステージ161a、第2吸収ステージ161b及び第3吸収ステージ161cを含む。洗浄容器160は、ここに図示したもの又は記載したものよりも多い又は少ない吸収ステージを有することができるため、これに限定されない。吸収ステージ160の各々、例えば、第1、第2及び第3吸収ステージ161a、161b及び161cは、物質移動装置162及び溶液送達路163を含むことができる。
【0025】
物質移動装置162は、例えば、ランダム充填物、親水性充填物、及び/又は構造化充填物のような充填物を含むことができる。ランダム充填物は、当分野において知られており、非組織化様式で吸収ステージに導入される充填物質である。ランダム充填物の例としては、各種サイズのプラスチック、金属及び/又はセラミック充填物質、例えば、各種の直径を有する物質が含まれる(ただし、これらに限定されない)。ランダム充填物質にはウールも含まれる。親水性充填物質としてはポリプロピレンバッグが含まれるが、これに限定されない。
【0026】
構造化充填物は、当分野において一般的に知られており、特殊な様式で配置又は組織化されている充填物質であり。代表的には、構造化充填物は、流体が強制的に複雑な経路をとるような様式で配置され、これによって、液体とガスとの間の接触のために、大きい表面積を提供することができる。構造化充填物としては、金属、プラスチック、ウール、木材等からなる構造体が含まれる(ただし、これらに限定されない)。各種の充填物質は、洗浄容器160への液体の各種の流量において、アンモニアの除去又は低減を容易なものとすることができる。さらに、各種の充填物は、洗浄容器160において、より好適な圧力降下を提供できる。
【0027】
なお図3を参照すると、洗浄容器160は、溶液送達路163を通って溶液164を受け取るように設定されたものとして示されている。1具体例では、溶液164は、洗浄容器160内に存在するアンモニア含有煙道ガスストリーム150から汚染物を除去する。特に、溶液164はアンモニア含有煙道ガス150からアンモニアを除去するためのアンモニア除去溶液である。アンモニア含有煙道ガスストリーム150からのアンモニアの除去の結果、アンモニア含有溶液及び含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170の形成が生ずる。
【0028】
1具体例では、溶液164は水である。他の具体例では、溶液164は、アンモニア及び二酸化炭素(CO2)を含む極微量の汚染物(ただし、これらに限定されない)を含有する水である。
【0029】
溶液164は、溶液送達路163を通って洗浄容器160に提供される。図1及び3に示されるように、吸収ステージ161の各々は、各吸収ステージに溶液を提供するための溶液送達路163を有する。
【0030】
特別な1具体例では、図3に示すように、第1吸収ステージ161aに導入される溶液164は溶液164aを含み、例えば、溶液164aは、吸収ステージ161aの底部から供給され、ストリッピング塔181によって提供される水180と合わされる。ここには示されていないが、第1吸収ステージ161aに導入される溶液164aは、第1吸収ステージ161aの底部から再循環されるものではなく、むしろ洗浄容器160の底部から再循環されるもの、すなわち、第3吸収ステージ161cの底部から再循環されるものであってもよい。或いは、第1吸収ステージ161aに導入される溶液164aは、洗浄容器160から再循環されるものではなく、むしろストリッピング塔181によって提供される水であってもよい。
【0031】
第2吸収ステージ161bに導入される溶液164は、吸収ステージ161bの底部から再循環される低濃度のアンモニア及びCO2を含有する水でなる溶液164bを含む。溶液164bは、例えば、第1吸収ステージ161a及び第2吸収ステージ161bを通過する溶液164aと、第1吸収ステージ及び第2吸収ステージを通過する水180と、第2吸収ステージを既に通過した溶液164bとの組み合わせであってもよい。
【0032】
ここには示されていないが、第2吸収ステージ161bに導入される溶液164bは、第2吸収ステージ161bの底部から再循環されるものではなく、むしろ洗浄容器160の底部から再循環されるもの、すなわち、第3吸収ステージ161cの底部から再循環されるものであってもよい。或いは、第2吸収ステージ161bに導入される溶液164bは、洗浄容器160から再循環されるものではなく、むしろストリッピング塔181によって提供される水であってもよい。
【0033】
第3吸収ステージ161cに導入される溶液164は、底部吸収ステージ161cから再循環される低濃度のアンモニア及びCO2を含有する水でなる溶液164cを含む。溶液164cは、例えば、第1吸収ステージ、第2吸収ステージ及び第3吸収ステージ161a, 161b, 161cを通過する溶液164aと、第2吸収ステージ及び第3吸収ステージを通過する溶液164bと、第1吸収ステージ、第2吸収ステージ及び第3吸収ステージを通過する水180と、及び第3吸収ステージを既に通過した溶液164cとの組み合わせであってもよい。
【0034】
ここには示されていないが、第3吸収ステージ161cに導入される溶液164cは、洗浄容器160から再循環されるものではなく、むしろストリッピング塔181によって提供される水であってもよい。
【0035】
図1及び3に示すように、吸収ステージ161の底部から再循環される溶液164は、洗浄容器160に導入される前に、保存タンク166、ポンプ167及び熱交換器168を通過する。
【0036】
溶液164は各吸収ステージ161の頂部で導入される。図3に示すように、溶液164は、洗浄容器160の長さLを方向Cで下方に移動する。方向Cは、アンモニア含有煙道ガスストリーム150が洗浄容器160の長さLを上方に移動する方向Dに対して向流方向である。理解されるように、溶液164は重力によって方向Cで移動し、一方、アンモニア含有煙道ガスストリーム150は、洗浄容器160内の圧力降下を含むいくつかのファクターによって方向Dで移動する。
【0037】
溶液164は方向Cで移動するにつれて、吸収ステージ161の各々において物質移動装置162を通過する。同様に、アンモニア含有煙道ガスストリームは方向Dで移動するにつれて、吸収ステージ161の各々において物質移動装置162を通過する。
【0038】
溶液164が洗浄容器160の長さL又はその一部を方向Cで移動するにつれて、溶液におけるアンモニア濃度が増大し、これによって、アンモニア含有溶液165が形成され、洗浄容器160から排出される。一方、アンモニア含有煙道ガスストリーム150が洗浄容器160の長さ、例えば長さL又はその一部を方向Dで移動するにつれて、アンモニア含有煙道ガスストリーム中のアンモニア濃度が減少し、これによって、含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリーム170が形成され、容器160から排出される。
【0039】
1実施例では、再循環された溶液164aは第1吸収ステージ161a上の洗浄容器160の頂部で導入され、洗浄容器の長さLを方向Cで下方に移動する。第1吸収ステージ161aを出る際の溶液164a中に存在するアンモニアの濃度は、第1吸収ステージ161aに入る際の溶液164のアンモニア濃度より高く、これは、溶液が、洗浄容器の長さLを方向Dで上方に移動するアンモニア含有煙道ガスストリーム150と接触し、アンモニア含有煙道ガスからアンモニアを吸収したためである。この具体例では、溶液164aが「新鮮」である、すなわち、溶液がその最大アンモニア負荷に達していないため、アンモニア含有煙道ガスストリーム150におけるより多い割合のアンモニアが、第1吸収ステージ161aから第2吸収ステージ161bに流動する溶液164によって吸収される。
【0040】
図1及び3に示すように、溶液164は洗浄容器160の底部に落下し、アンモニア含有溶液165として、ここから除去される。図1に示すように、アンモニア含有溶液165をストリッピング塔181(少なくとも1の開口(開口182として示す)を通ってアンモニア含有溶液を受け取るように設定されている)に送る。
【0041】
ストリッピング塔181において、アンモニア含有溶液165から、CO2のような他の汚染物と共にアンモニアを除去して、水180を形成する。水180は単なる水(H2O)であるか、又は例えばアンモニアのような極微量の汚染物を含有する水であってもよい。
【0042】
アンモニア含有溶液165を、ポンプ183及び熱交換器184を通ってストリッピング塔181に提供することができる。熱交換器184では、アンモニア含有溶液165を、ストリッピング塔181からの水を介して加熱する。
【0043】
ストリッピング塔181に提供する前に、アンモニア含有溶液165のサンプルを採取することができる。例えば、図1に示すように、アンモニア含有溶液165のサンプルを位置xで採取して、アンモニア含有溶液165中に存在するアンモニア及びCO2のような汚染物の濃度を測定することができる。汚染物の濃度を測定することによって、ユーザーにとって、システム100又はストリッピング塔181におけるプロセスパラメーターの採用が容易になる。
【0044】
なお図1を参照すると、1具体例では、ストリッピング塔181は、アンモニア含有溶液165から他の汚染物と共にアンモニアを除去して、水を形成する(この水は洗浄容器160に導入される)ために、スチーム185を使用する。1具体例では、スチーム185は、システム100において発生された熱、例えば、炉122において発生された熱を再利用することによって提供される。ストリッピング塔181は、アンモニア含有溶液165からアンモニア及び他の汚染物を除去するために、他のテクノロジー又は技術を利用できるものであるため、システム100はこれに限定されない。
【0045】
アンモニア含有溶液165からアンモニアを除去することによって、溶液164は再生され、水180として洗浄容器に提供される。
【0046】
図1に示すように、スチーム185は、ストリッピング塔の底部の位置でストリッピング塔181に導入される。スチーム185は、ストリッピング塔181の長さZ又はその一部に沿って方向Eで移動する。同時に、アンモニア含有溶液165は、ストリッピング塔181の長さZの少なくとも一部に沿って方向F(スチーム185の移動する方向Eに対向する)で移動する。
【0047】
アンモニア含有溶液165がストリッピング塔181の長さZの少なくとも一部に沿って方向Fで移動するにつれて、ストリッピング塔181の長さZの少なくとも一部に沿って方向Eで移動するストリッピング塔内のスチーム185と共に、ストリッピング塔に配置された物質移動装置181aと接触する。物質移動装置181aは、ランダム充填物又は構造化充填物のような充填物である。ストリッピング塔181は、1以上の物質移動装置181aを含むことができる。図1及び3に示すように、ストリッピング塔181は物質移動装置181a3個を有する。しかし、これよりも多い又は少ない物質移動装置181aを含むことができるため、ストリッピング塔181はこれに限定されない。
【0048】
スチーム185、物質移動装置181aの充填物及びアンモニア含有溶液の間の接触によって、アンモニア含有溶液からアンモニア186が除去されると共に、アンモニアを含有しない(アンモニアフリー)溶液、すなわち水(ストリッピング塔181から排出される)が形成される。
【0049】
1具体例では、システム100においてアンモニア186を再利用する。例えば、図1には図示されていないが、アンモニア186を、アンモニア性スラリー又は溶液140として再利用することもできる。システム100内でのアンモニア186の再利用により、システムから環境へのアンモニアの放出を阻止又は放出量を低減し、これにより、補助的な汚染低減方法の必要性を低減又は排除できる。さらに、システム100内でのアンモニア186の再利用によって、システムにより要求される新鮮なアンモニア、すなわち再循環されていないアンモニアの量を低減できる。
【0050】
1具体例では、ストリッピング塔181を約700 KPa(約101 psigに相当する)以下の圧力で作動する。他の具体例では、ストリッピング塔181を約689.475 KPa(約100 psigに相当する)の圧力で作動する。他の具体例では、ストリッピング塔181を約68.947−約689.475 KPa(約10−約100 psigに相当する)の範囲の圧力で作動する。さらに他の具体例では、ストリッピング塔181を約68.947 KPa(約10 psigに相当する)以下の圧力で作動する。
【0051】
低圧、すなわち約700 KPa以下の圧力でストリッピング塔181を作動させることにより、ストリッピング塔に導入される溶液からの汚染物の除去が容易になる。特に、約700 KPa以下の圧力でストリッピング塔181を作動することによりCO2の除去が増大し、アンモニア含有溶液からアンモニアが除去される能力が増大する。
【0052】
さらに、ストリッピング塔を低圧、すなわち、約700 KPa以下の圧力で作動することによって、アンモニア186を更なる処理に供する、例えば、再生器に送ることよりもむしろ、アンモニア性溶液又はスラリー140として使用するために吸収システム130に直接送ることが容易なものとなる。システム100内でのアンモニア186の使用により、システム100の全体の効率及びコスト効果が増大する。
【0053】
用語「第1」、「第2」等は、順番、量又は重要性を意味するものではなく、むしろ、1つの部材を他の部材から区別するために使用されたものである。
【0054】
本発明をいくつかの好適な具体例を参照して記載したが、本発明の範囲を逸脱することなく、各種の変化をなすことができ、部材を均等物と置き換えることができることは、当業者によって理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、本発明の教示に特別な設定又は物質を適合させるために、多くの変更をなすことができる。従って、本発明は、本発明を実施するために現時点で考えられる最良の形態として開示した特別な具体例に限定されるものではなく、本発明は、特許請求の範囲の範囲に含まれる全ての具体例を含むものであることが理解されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を再生するために溶液から汚染物を除去する方法であって、該方法は、洗浄容器からの溶液をストリッピング塔に提供し、ここで、溶液は洗浄容器に存在する煙道ガスストリームから除去された汚染物を含むものであり;及びストリッピング塔内で、溶液をスチームと接触させ、これによって、溶液から汚染物を除去し、溶液を再生することを含んでなり、前記ストリッピング塔を700 KPa以下の圧力で作動する、溶液の再生法。
【請求項2】
さらに、燃料源を燃焼することによってスチームを発生させることを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
汚染物が、アンモニア、二酸化炭素、又はその組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
除去する汚染物がアンモニアである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
さらに、アンモニアを吸収システムに提供し;二酸化炭素含有煙道ガスストリームを吸収システムに提供し;及び吸収システムにおいて、CO2含有煙道ガスストリームをアンモニアと接触させることによって、CO2含有煙道ガスストリームから二酸化炭素(CO2)を除去することを含んでなる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
溶液が水である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ストリッピング塔を68.947−689.475 KPaの範囲の圧力で作動する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ストリッピング塔を68.947 KPa以下の圧力で作動する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
アンモニア除去溶液からアンモニアを除去する方法であって、該方法は、アンモニア除去溶液をアンモニア含有煙道ガスストリームと接触させ、これによって、アンモニア含有溶液を形成し;アンモニア含有溶液をストリッピング塔に提供し;及びストリッピング塔において、アンモニア含有溶液をスチームと接触させ、これによって、アンモニア含有溶液からアンモニアを除去することを含んでなり、前記ストリッピング塔を700 KPa以下の圧力で作動する、アンモニアの除去法。
【請求項10】
アンモニア除去溶液が水を含んでなる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ストリッピング塔を68.947−689.475 KPaの範囲の圧力で作動する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
ストリッピング塔を68.947 KPa以下の圧力で作動する、請求項9記載の方法。
【請求項13】
さらに、アンモニアを吸収システムに提供し;二酸化炭素含有煙道ガスストリームを吸収システムに提供し;及び吸収システムにおいて、CO2含有煙道ガスストリームをアンモニアと接触させることによって、CO2含有煙道ガスストリームから二酸化炭素(CO2)を除去することを含んでなる、請求項9記載の方法。
【請求項14】
吸収システムを温度0−20℃で作動する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
溶液からアンモニアを除去するシステムであって、該システムは、アンモニア含有煙道ガスストリーム及びアンモニア除去溶液を受け取るように設定された洗浄容器であって、該洗浄容器において、アンモニア含有煙道ガスストリームをアンモニア除去溶液と接触させて、アンモニア含有溶液及び含有するアンモニアが低減された煙道ガスストリームを形成する洗浄容器;及び洗浄容器からアンモニア含有溶液を受け取るように設定されたストリッピング塔であって、該ストリッピング塔において、アンモニア含有溶液をスチームと接触させて、アンモニア含有溶液からアンモニアを除去するストリッピング塔を含んでなり、前記ストリッピング塔が700 KPaの圧力で作動されるものである、アンモニアの除去システム。
【請求項16】
さらに、ストリッピング塔からアンモニアを受け取るように設定された吸収システムを含んでなり、前記吸収システムが、煙道ガスストリームから二酸化炭素(CO2)を除去するためにアンモニアを利用するものである、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
吸収システムが温度0−20℃で作動される、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
アンモニア除去溶液が水である、請求項15記載のシステム。
【請求項19】
ストリッピング塔が68.947−689.475 KPaの範囲の圧力で作動される、請求項15記載のシステム。
【請求項20】
ストリッピング塔が68.947 KPa以下の圧力で作動される、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505131(P2013−505131A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530932(P2012−530932)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048853
【国際公開番号】WO2011/034873
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】