説明

洗浄用途のためのフッ素化オレフィンを含む共沸組成物

本発明は、式E−またはZ−CCH=CHCを有するフッ素化オレフィンと、少なくとも1種のアルコール、ハロゲン化炭素、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテルまたはアルカンおよびそれらの組み合わせとを含む共沸組成物または共沸様組成物に関する。一実施形態において、アルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボン、アルカンからなる群から選択された1種の化合物は、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、n−プロパノール、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、n−プロピルブロミド、COCH、COC、HFC−43−10mee、HFC−365mfc、ヘプタンまたはそれらの組み合わせのいずれかである。別の実施形態において、これらの組成物は、表面から油および/または他の残渣を除去するための脱脂剤またはフラックス除去剤として洗浄用途において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2007年8月23日出願の米国仮特許出願第60/XXX,XXX号(代理人整理番号FL1354PRV)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、フッ素化オレフィンと、少なくとも1種のアルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボンまたはアルカンおよびそれらの組み合わせとを含む組成物に関する。これらの組成物は共沸または共沸様であり、フラックス除去剤として洗浄用途において、および表面から油または残渣を除去するために有用である。
【背景技術】
【0003】
フラックス残渣は、ロジンフラックスを用いて組み立てられたマイクロエレクトロニクスコンポーネント上に常に存在する。近代の電子回路基板が増加した回路密度およびコンポーネント密度に向けて進化するにつれて、半田付け後の完全な基板洗浄は重要な処理工程になっている。半田付け後、フラックス残渣は、しばしば有機溶媒で除去される。洗浄される基材を破壊せずにフラックスおよびフラックス残渣を除去できるように、フラックス除去溶媒は不燃性であり、低い毒性を有するとともに高い溶解力を有するべきである。更に、油およびグリースなどの残渣の他のタイプは、使用における最適性能のためにこれらの素子から効率的に除去されなければならない。
【0004】
モントリオール議定書の結果としての以前のほぼすべてのCFCおよびHCFCの排除以来、代替非オゾン層破壊溶媒が利用できるようになってきた。溶媒混合物を調製することにより、沸点、可燃性および溶解力の特性をしばしば調節できる一方で、これらの混合物が使用中に望ましくない程度に分別するので、これらの混合物は、不満足であることが多い。こうした溶媒混合物は溶媒蒸留中にも分別し、それは、元の組成の溶媒混合物を回収することを実質的に不可能にする。
【0005】
共沸溶媒混合物は、これらのフラックス除去・脱脂用途のために必要とされる特性および他の洗浄剤の必要なものを保有し得る。共沸混合物は、最高沸点または最低沸点のいずれかを示し、沸騰すると分別しない。沸騰条件下での組成の固有の不変性は、混合物の個々の成分の比が使用中に変化しないことおよび溶解力特性も一定のままであることを確実なものにする。
【0006】
一実施形態において、本発明は、半導体チップおよび回路基板の洗浄プロセス、フラックス除去プロセスおよび脱脂プロセスにおいて有用な共沸組成物または共沸様組成物を提供する。本組成物は不燃性であり、本組成物が分別しないので、本組成物は使用中に可燃性の組成を生成しない。更に、使用済み共沸溶媒混合物を組成の変化を伴わずに再蒸留し、そして再使用してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロオクト−4−エンと、アルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボン、アルカンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1種の化合物とを含む共沸組成物または共沸様組成物に関する。一実施形態において、少なくとも1種の化合物は、
n−プロピルブロミド、
トランス−1,2−ジクロロエチレン、
シス−1,2−ジクロロエチレン、
メタノール、
エタノール、
n−プロパノール、
イソプロパノール、
OCH
OC
HFC−43−10mee、
HFC−365mfc、
ヘプタン
およびそれらの組み合わせ
からなる群から選択される。
【0008】
更に、本発明は、集積回路素子などの表面を洗浄する方法および集積回路素子などの表面から残渣を除去する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願人は、この開示中のすべての引用参考文献の全体の内容を参照により特に援用する。更に、量、濃度もしくは他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲または好ましい上方値と好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられる時、これは、範囲が別個に開示されているかどうかにかかわらず、あらゆる上方範囲限界または好ましい上方値とあらゆる下方範囲限界または好ましい下方値のあらゆる対から形成されたすべての範囲を本質的に開示しているとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書において挙げられる時、別段に指定されない限り、その範囲は、範囲の終点、範囲内のすべての整数および端数を含むべく意図されている。範囲を定めるとき、挙げられた特定の値に本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0010】
一実施形態において、本発明は、式E−またはZ−RCH=CHR(式I)(式中、RおよびRは、Cパーフルオロアルキル基である)を有す化合物と、少なくとも1種のアルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボンまたはアルカンおよびそれらの組み合わせとを含む組成物に関する。R基およびR基の例としては、n−Cおよびi−Cが挙げられるが、それらに限定されない。例示的な非限定的な式Iの化合物を表1において示している。
【0011】
【表1】

【0012】
式Iの化合物は、式RIのパーフルオロアルキルヨージドを式RCH=CHのパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンに接触させて、式RCHCHIRのトリヒドロヨードパーフルオロアルカンを生成させることにより調製してもよい。その後、このトリヒドロヨードパーフルオロアルカンを脱ヨウ化水素化してRCH=CHRを生成させることが可能である。あるいは、オレフィンRCH=CHRは、式RCHICHのトリヒドロヨードパーフルオロアルカンの脱ヨウ化水素化によって調製してもよく、そして次に式RCHICHのトリヒドロヨードパーフルオロアルカンは、式RIのパーフルオロアルキルヨージドを式RCH=CHのパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンと反応させることにより生成する。
【0013】
パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンとの前記接触は、反応温度で反応体と生成物の自原性圧力下で動作できる好適な反応容器内で反応体を組み合わせることによりバッチ様式で行ってもよい。好適な反応容器としては、特にオーステナイト型のステンレススチール、およびMonel(登録商標)ニッケル銅合金、Hastelloy(登録商標)ニッケル系合金およびInconel(登録商標)ニッケルクロム合金などの周知された高ニッケル合金から製作された反応容器が挙げられる。あるいは、反応は、反応温度でポンプなどの好適な添加装置によってパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィン反応体をパーフルオロアルキルヨージド反応体に添加する半バッチ様式で行ってもよい。
【0014】
パーフルオロアルキルヨージド対パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの比は、約1:1〜約4:1の間、好ましくは約1.5:1〜2.5:1であるのがよい。1.5:1未満の比は、Jeanneauxら,in Journal of Fluorin Chemistry Vol.4,pages261−270(1974)によって報告されたように大量の2:1付加体をもたらす傾向がある。
【0015】
前記パーフルオロアルキルヨージドと前記パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンとの接触のための温度は、好ましくは、約150℃〜300℃、好ましくは約170℃〜約250℃、最も好ましくは約180℃〜約230℃の範囲内である。前記パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンへの前記パーフルオロアルキルヨウジドの接触のための圧力は、好ましくは、反応温度における反応物の自生圧力である。
【0016】
パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの反応のために好適な接触時間は、約0.5時間〜18時間、好ましくは約4〜約12時間である。
【0017】
パーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの反応によって調製されたトリヒドロヨードパーフルオロアルカンを脱ヨウ化水素工程で直接用いてもよいか、または好ましくは、脱ヨウ化水素工程の前に回収し、蒸留によって精製してもよい。
【0018】
なお別の実施形態において、パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンへのパーフルオロアルキルヨージドの接触は、触媒の存在下で行われる。一実施形態において、好適な触媒は、第VIII族遷移金属錯体である。代表的な第VIII族遷移金属錯体は、限定はされないが、零価NiL錯体を含む。式中、配位子Lは、ホスフィン配位子、ホスフィット配位子、カルボニル配位子、イソニトリル配位子、アルケン配位子またはそれらの組み合わせであることが可能である。こうした一実施形態において、Ni(0)L錯体はNiL(CO)錯体である。特定の一実施形態において、第VIII族遷移金属錯体は、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)ジカルボニルである。一実施形態において、パーフルオロアルキルヨージド対パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの比は、約3:1〜約8:1の間である。一実施形態において、触媒の存在下での前記パーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンへの前記パーフルオロアルキルヨージドの接触のための温度は、約80℃〜約130℃の範囲内である。別の実施形態において、温度は約90℃〜約120℃である。
【0019】
一実施形態において、触媒の存在下でのパーフルオロアルキルヨージドとパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの反応のための接触時間は、約0.5時間〜約18時間である。別の実施形態において、接触時間は約4時間〜約12時間である。
【0020】
脱ヨウ化水素工程は、トリヒドロヨードパーフルオロアルカンを塩基性物質に接触させることにより行われる。好適な塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)、アルカリ金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)、アルカリ土類金属酸化物(例えば、酸化カルシウム)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシドまたはナトリウムエトキシド)、水性アンモニア、ナトリウムアミド、あるいはソーダ石灰などの塩基性物質の混合物が挙げられる。好ましい塩基性物質は水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0021】
トリヒドロヨードパーフルオロアルカンと塩基性物質との前記接触は、好ましくは両方の反応体の少なくとも一部を溶解させることができる溶媒の存在下で液相中で行ってもよい。脱ヨウ化水素工程のために好適な溶媒としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールおよびt−ブタノール)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルまたはアジポニトリル)、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチピロリジノンまたはスルホランなどの1種以上の極性有機溶媒が挙げられる。溶媒の選択は、基本基材の溶解度、パーフルオロアルキルヨージドの溶解度およびパーフルオロアルキルトリヒドロオレフィンの溶解度ならびに生成物の沸点および精製中の生成物からの微量の溶媒を分離する容易さに応じて異なる。典型的には、エタノールまたはイソプロパノールは反応のために良好な溶媒である。生成物からの溶媒の分離は、蒸留、抽出、相分離または3つの組み合わせによって行ってもよい。
【0022】
典型的には、脱ヨウ化水素反応は、好適な反応容器内で反応体の一方(塩基性物質またはトリヒドロヨードパーフルオロアルカンのいずれか)の他方の反応体への添加によって行ってもよい。前記反応容器は、ガラス、セラミックまたは金属から製作してもよく、好ましくはインペラまたは他の攪拌機構により攪拌される。
【0023】
脱ヨウ化水素反応のために好適な温度は、約10℃〜約100℃、好ましくは約20℃〜約70℃である。脱ヨウ化水素反応は、大気圧、減圧または高圧で行ってもよい。式Iの化合物が生成するにつれて、式Iの化合物を反応容器から蒸留除去する脱ヨウ化水素反応は注目される。
【0024】
あるいは、脱ヨウ化水素反応は、相間移動触媒の存在下でアルカン(例えば、ヘキサン、ヘプタンまたはオクタン)、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン、四塩化炭素またはテトラクロロエチレン)、またはエーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジグリムまたはテトラグリム)などのより低い極性の1種以上の有機溶媒中のトリヒドロヨードパーフルオロアルカンの溶液に前記塩基性物質の水溶液を接触させることにより、行ってもよい。好適な相間移動触媒としては、第四アンモニウムハロゲン化物(例えば、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヒドロスルフェート、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドおよびトリカプリリルメチルアンモニウムクロリド)、第四ホスホニウムハロゲン化物(例えば、トリフェニルメチルホスホニウムブロミドおよびテトラフェニルホスホニウムクロリド)、またはクラウンエーテル(例えば、18−クラウン−6および15−クラウン−5)として当該技術分野で知られている環式エーテル化合物が挙げられる。
【0025】
あるいは、脱ヨウ化水素反応は、1種または複数種の固体塩基性物質または液体塩基性物質にトリヒドロヨードパーフルオロアルカンを添加することにより溶媒の存在しない状態で行ってもよい。
【0026】
脱ヨウ化水素反応のために好適な反応時間は、反応体の溶解度に応じて約15分〜約6時間以上である。典型的には、脱ヨウ化水素反応は迅速であり、完了のために約30分〜約3時間しか必要としない。
【0027】
式Iの化合物は、場合により水の添加後の、相分離によって、蒸留によってまたはそれらの組み合わせによって脱ヨウ化水素反応混合物から回収してもよい。
【0028】
別の実施形態において、式Iの化合物は、式E−またはZ−RCCl=CClR(式II)(式中、RおよびRは、上で定義された通りである)の化合物を還元剤に接触させることによっても調製してよい。この経路は、RとRの両方がn−Cである時に特に有用である。式IIの化合物E/Z−n−CCCl=CCl−n−Cは、米国特許第5,162,594号明細書およびJournal of Fluorine Chemistry,Volume77,頁117−126(1996年)においてKrespanによって開示された方法によって調製してもよい。その教示は参照により援用される。
【0029】
式IIの化合物の式Iの化合物への転化のために好適な還元剤としては、ジフェニル錫ジヒドリド、トリフェニル錫ヒドリド、トリブチル錫ヒドリドおよびジブチル錫ジヒドリドなどの有機錫ヒドリドが挙げられる。一実施形態において、有機錫ヒドリドは、商業的な幾つかの供給業者から入手できるトリ−n−ブチル錫ヒドリド(トリブチルスタナン)である。有機化学における還元剤としての有機錫ヒドリド(すなわち、スタナン)の使用は、「Reductions in Organic Chemistry」,Ellis Horwood,Chichester,UK,1984年においてHudlickyによって論じられている。
【0030】
一実施形態において、トリ−n−ブチル錫ヒドリドなどの有機錫ヒドリドへの式II化合物の前記接触は、反応物の自生圧力下で作動できる好適な反応容器中の反応物と生成物を反応温度で組み合わせることによりバッチ方式で行ってもよい。好適な反応容器としては、ガラス、セラミックまたはステンレススチールから製作された反応容器が挙げられる。別の実施形態において、反応は、反応温度でポンプなどの好適な添加装置によって式IIの化合物が有機錫ヒドリド反応物に添加される半バッチ方式で行われる。あるいは、有機錫ヒドリドを式IIの化合物に添加してもよい。
【0031】
一実施形態において、有機錫ヒドリド対式IIの化合物のモル比は約1:1〜約3:1の間である。別の実施形態において、有機錫ヒドリド対式IIの化合物のモル比は約2:1〜約2.5:1である。2:1未満の比は、中間化合物E−またはZ−RCCl=CHR(式III)もしくはE−またはZ−R−CH=CClR(式IIIa)(式中、RおよびRは、上で定義された通りである)の形成をもたらす傾向がある。故意にまたは反応副生物として形成された場合、前記式III化合物は、追加の量の有機錫ヒドリドとの反応によって式Iの化合物に転化され得る。
【0032】
一実施形態において、前記有機錫ヒドリドへの前記式IIの化合物(または式III/IIIa化合物)の接触のための温度は約30℃〜150℃の範囲内である。別の実施形態において、前記有機錫ヒドリドへの前記式IIの化合物(または式III/IIIa化合物)の接触のための温度は約40℃〜約120℃である。なお別の実施形態において、前記有機錫ヒドリドへの前記式IIの化合物(または式III/IIIa化合物)の接触のための温度は約50℃〜約100℃である。反応は、典型的には大気圧で行われる。
【0033】
一実施形態において、式IIの化合物(または式III/IIIa化合物)と前記有機錫ヒドリドの反応のための好適な接触時間は約0.5時間〜18時間である。別の実施形態において、式IIの化合物(または式III/IIIa化合物)と前記有機錫ヒドリドの反応のために好適な接触時間は約1〜約10時間である。
【0034】
式IIの化合物と有機錫ヒドリドの反応は、ラジカル開始剤化合物の存在しない状態でまたは存在する状態で、もしくは紫外線の存在下で行ってもよい。好適なラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイルまたは過酸化t−ブチルなどの過酸化物またはAIBNなどのアゾ化合物が挙げられる。有機錫ヒドリド還元のためのこうした開始剤の使用は有機合成の技術分野において周知である。式IIの化合物と有機錫ヒドリドの反応が開始剤の存在しない状態で行われる場合、主たる生成物は、典型的には式IIIまたはIIIaの化合物である。式IIの化合物と有機錫ヒドリドの反応が開始剤の存在下で行われる場合、主たる生成物は、典型的には式Iの化合物である。開始剤の存在下での式IIIまたはIIIaの化合物と有機錫ヒドリドの反応は対応する式Iの化合物を与える。
【0035】
一実施形態において、式IIの化合物と有機錫ヒドリドの反応は、溶媒の存在しない状態で行われる。別の実施形態において、式Iの化合物もしくはテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、グリムまたはジグリムなどのエーテルなどの溶媒を用いてもよい。
【0036】
一実施形態において、式Iまたは式IIIの化合物を相分離によって反応混合物から回収してもよい。有機錫クロリド副生物が生成物中で殆ど溶解度をもたないからである。別の実施形態において、式Iの化合物を大気圧でまたは任意に真空下で反応混合物から蒸留によって、または相分離と蒸留の組み合わせによって回収してもよい。
【0037】
なお別の実施形態において、本発明は、フッ素化オレフィンと、アルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボンおよびアルカンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物とを含む共沸組成物または共沸様組成物を用いる表面を洗浄する方法に関する。
【0038】
一実施形態において、表1のフルオロオレフィンは、本発明の組成物を形成させるために表2に記載された化合物と組み合わされる。
【0039】
【表2】

【0040】
表2に記載された化合物は化学品供給業者から市販されている。COCHおよびCOCは3M(登録商標)(St.Paul,MN)から入手できる。HFC−43−10meeは、E.I.DuPont De Nemours & CO(Wilmington,DE)から入手できる。HFC−365mfcは、Solvay−Solexisから入手できる。本明細書において用いられるトランス−1,2−ジクロロエチレンは、シス−1,2−ジクロロエチレン約20重量%以下を含有する混合物を意味するべく意図されている。
【0041】
本発明の組成物は、個々の成分の所望の量を組み合わせることにより便利なあらゆる方法によって調製してもよい。好ましい方法は、所望の成分量を秤量し、その後、適切な容器内で成分を組み合わせることである。望むならば、攪拌を用いてもよい。
【0042】
一実施形態において、本発明の組成物は、表1に記載されたフルオロオレフィンの1種およびトランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、n−プロピルブロミド、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、COCH、COC、HFC−43−10mee、HFC−365mfc、ヘプタンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された化合物の少なくとも1種を含有する組成物を含む。一実施形態において、本組成物は共沸または共沸様である。
【0043】
本明細書において用いられる共沸組成物は、混合物が実質的な組成の変化を伴わずに蒸留し、定沸点組成物として挙動する2種以上の物質の定沸点液体混合物である。共沸として特徴付けられる定沸点組成物は、同じ物質の非共沸混合物の沸点と比べた時に最高沸点または最低沸点のいずれかを示す。本明細書において用いられる共沸組成物は、液体の部分蒸発または蒸留によって生じた蒸気が液体と同じ組成を有する点で単一物質として挙動する2種以上の物質の液体混合物である均質共沸混合物を含む。本明細書において用いられる共沸組成物は、液相が2つ以上の液相に分かれる不均一共沸混合物も含む。これらの実施形態において、共沸点で、気相は2つの液相と平衡にあり、すべての3つの相は異なる組成を有する。不均一共沸混合物の2つの平衡液相を組み合わせ、全体の液相の組成を計算する場合、これは、気相の組成と同じであろう。
【0044】
時には「近共沸組成物」とも呼ばれる本明細書において用いられる「共沸様組成物」という用語は、単一物質として挙動する2つ以上の物質の定沸点液体混合物または実質的に定沸点の液体混合物を意味する。共沸様組成物を特徴付ける1つの方法は、液体の部分蒸発または蒸留によって生じた蒸気が、蒸発または蒸留された液体と実質的に同じ組成を有することである。すなわち、混合物は、組成の実質的な変化を伴わずに蒸留/還流する。共沸様組成物を特徴付ける別の方法は、特定の温度における組成物の泡立ち点蒸気圧および組成物の露点蒸気圧が実質的に同じであることである。組成物の50重量%が蒸発または沸騰などにより除去され、元の組成物と、元の組成物の50重量%が蒸発または沸騰によって除去された後に残る組成物との間の蒸気圧の差が10%未満である場合、本明細書において、組成物は共沸様である。
【0045】
蒸気脱脂装置またはフラックス除去装置などの洗浄装置内で、シャフトシール、ホース継手、半田付け継手および破線における漏れを通して、運転中に洗浄組成物の多少の損失が起きる場合がある。加えて、使用組成物は、装置に関する保守手順中に大気に放出される場合がある。組成物が純粋な化合物、共沸組成物、共沸様組成物でない場合、装置から大気に漏れたか、または放出された時、組成が変化する場合がある。それは、装置中に残る組成物を可燃性になるようにさせるか、または許容できない性能を示すようにさせる場合がある。従って、漏れるかまたは沸騰すると、無視できる程度に分別する単一フッ素化炭化水素もしくは共沸組成物または共沸様組成物を洗浄組成物として用いることが望ましい。
【0046】
本発明の一実施形態の共沸組成物を表3に記載する。
【0047】
【表3】

【0048】
更に、別の実施形態において、本発明の共沸組成物は、表2からの化合物を含む三元強沸組成物および4元共沸組成物を含んでもよい。これらのより高い次元の共沸組成物の非限定的な例を、組成物に関する大気圧沸点に加えて表4において例示する。
【0049】
【表4】

【0050】
別の実施形態において、本発明の二元共沸様組成物を表5に記載している。
【0051】
【表5】

【0052】
なお別の実施形態において、前の表の二元共沸様組成物に加えて、より高い次元(三元または四元)の共沸様組成物を本発明に含める。三元共沸様組成物またはより高い次元の共沸様組成物の非限定的な例を表6に示している。
【0053】
【表6】

【0054】
本発明のなお別の実施形態において、本発明の組成物は、エアロゾル噴射剤を更に含んでもよい。エアロゾル噴射剤は、エアロゾル状で貯蔵容器から表面に本組成物を送出するのを手助けし得る。エアロゾル噴射剤は、任意に、全組成物の25重量%以下において本組成物中に含まれる。代表的なエアロゾル噴射剤は、空気、窒素、二酸化炭素、ジフルオロメタン(HFC−32、CH)、トリフルオロメタン(HFC−23、CHF)、ジフルオロエタン(HFC−152a、CHFCH)、トリフルオロエタン(HFC−143a、CHCFまたはHFC−143、CHFCHF)、テトラフルオロエタン(HFC−134a、CFCHF;HFC−134、CHFCHF)、ペンタフルオロエタン(HFC−125、CFCHF)、ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea、CFCHFCHF、HFC−236fa、CFCHCF;HFC−236cb、CFCFCHF)、ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea、CFCHFCF)、ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa、CFCHCHF)、n−ブタン、イソ−ブタン、プロパン、ジメチルエーテル(CHOCH)またはそれらの混合物を含む。
【0055】
本発明の実施形態において、本発明の共沸組成物は、効果的な洗浄剤、フラックス除去剤および脱脂剤である。特に、本発明の共沸組成物は、フリップチップ、μBGA(ボールグリッドアレイ)およびチップスケールまたは他の先進高密度パッケージングコンポーネントなどのコンポーネントを有する回路基板をフラックス除去する時に有用である。フリップチップ、μBGAおよびチップスケールは、半導体産業において用いられる高密度パッケージングコンポーネントを表現する用語であり、当業者によって良く理解されている。
【0056】
別の実施形態において、本発明は、表面または基材から残渣を除去する方法であって、表面または基材を本発明の組成物に接触させ、本組成物から表面または基材を回収することを含む方法に関する。
【0057】
本発明のプロセス実施形態において、表面または基材は、集積回路素子であってもよく、この場合、残渣はロジンフラックスまたは油を含む。集積回路素子は、フリップチップ、μBGAまたはチップスケールパッケージングコンポーネントなどの種々のタイプのコンポーネントを有する回路基板であってもよい。表面または基材は、更に、ステンレススチールなどの金属表面であってもよい。ロジンフラックスは、RMA(穏やかに活性化されたロジン)、RA(活性化されたロジン)、WS(水溶性)およびOA(有機酸)を含むが、それらに限定されない集積回路素子の半田付けにおいて一般に用いられるあらゆるタイプであってもよい。油残渣としては、鉱油、モーター油およびシリコーン油が挙げられるが、それらに限定されない。
【0058】
本発明方法において、表面または基材を接触させる手段は重要でなく、組成物を含有する浴に素子を浸漬するか、組成物を素子に噴霧するか、または組成物で濡らした基材により素子を拭き取ることにより実行してもよい。あるいは、組成物は、こうした残渣除去のために設計された蒸気脱脂装置または蒸気フラックス除去装置中で用いてもよい。こうした蒸気脱脂装置または蒸気フラックス除去装置は、特に、Forward Technology(Crest Group(Trenton,NJ)の系列会社)、Trek Industries(Azusa,CA)およびUltronix,Inc.(Hatfield,PA)などの種々の供給業者から入手できる。
【0059】
表面から残渣を除去するために効果的な組成物は、少なくとも約10、好ましくは約40、なおより好ましくは約100のカウリブタノール価(Kb)を有する組成物であろう。所定の組成物のためのカウリブタノール価(Kb)は、種々の有機残渣(例えば、機械潤滑剤および従来の冷凍潤滑剤)を可溶化する前記組成物の能力を反映している。Kb価は、ASTM−D−1133−94によって決定してもよい。
【0060】
以下の特定の実施例は本発明を単に例示するものであり、いかにしても限定されるものではない。
【実施例】
【0061】
実施例1
蒸気漏れの影響
容器に指定温度で初期組成物を投入し、組成物の初期蒸気圧を測定する。50重量%の初期組成物が除去されるまで、温度を一定で保持しつつ組成物を放置して容器から漏れさせる。50重量%の初期組成物が除去された時点で、容器に残る組成物の蒸気圧を測定する。結果を以下の表7においてまとめている。
【0062】
【表7】

【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
実施例2
1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテンの調製
米国特許第5,162,594号明細書においてKrespanによって開示された通り、85℃で4gのアルミニウムクロロフルオリドの存在下で2,3−ジクロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(69.6g、0.300モル)をテトラフルオロエチレン(65g、0.65モル)と反応させることにより、E−およびZ−4,5−ジクロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテンの混合物を調製した。得られた反応混合物を2回蒸留(120−124mBar、ヘッド温度80−81℃)して、97%のGC純度を有するE/Z−4,5−ジクロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテンを得た。
【0066】
ポリ(テトラフルオロエチレン)被覆攪拌棒を含有し、コンデンサ、添加漏斗および熱電対鞘を備えた500mL三ツ口フラスコにトリ−n−ブチル錫ヒドリド(135.0g、0.463モル)を投入した。フラスコを窒素でパージし、71℃に加熱した。その後、E/Z−4,5−ジクロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン(100.0g、0.231モル)を1.5時間の過程にわたり添加漏斗を介してフラスコに添加した。温度は、この時間中に最高で95℃に上昇した。添加が完了した後、混合物を93−96℃で追加の1.5時間にわたり加熱した。
【0067】
冷却後、下方層を集め、3N HClおよび水性ホスフェート緩衝液で洗浄し、モレキュラーシーブ上で乾燥させた。生成物(76.7g)をガスクロマトグラフィによって分析し、1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン(23.8%)および4−クロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン(61.8%)を含有することを決定した。12インチ充填塔を用いてこの生成物を大気圧で蒸留して、1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン(ヘッド温度93.8−96℃、純度93%)および4−クロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン(ヘッド温度110−119℃、純度97%)を得た。1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン:H NMR(CDCl):δ6.49(m=CH)。19F NMR(CDCl):δ−82.95(t,J=9.3Hz、−CF)、−117.44(m、−CF−)、−130.13(br、−CF−)。4−クロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン:H NMR(CDCl):δ6.54(t、J=12.4Hz、=CH)。19F NMR(CDCl):δ−81.03(t,J=8.7Hz、−CF)、−81.07(t,J=9.2Hz、−CF)、−111.84(m、−CF−)、−113.09(m、−CF−)、−125.77(br、−CF−)、−128.16(br、−CF−)。
【0068】
4−クロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテンの1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテンへの変換
210mLのHastelloy(商標)Cチューブに−クロロ−1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテン(40.0g、0.0924モル)、トリ−n−ブチル錫ヒドリド(35.0g、0.12モル)およびt−ブチルペルオキシド(1.46g、0.010モル)を投入した。チューブを密封し、ドライアイス中で冷却し、排気し、窒素でパージした。チューブを130−131.5℃で4時間にわたり振とうした。チューブを排出した後、ガスクロマトグラフィによる底層の分析は、1,1,1,2,2,3,3,6,6,7,7,8,8,8−テトラデカフルオロ−4−オクテンへの殆ど完全な変換を示した。
【0069】
実施例3
フラックス除去
本発明の組成物は、表面からイオン汚れを洗浄するために有効である。表面清浄度を決定するために用いられる試験は以下の工程を含んでいた。
1.ロジンフラックスをFR−4試験ボード(錫メッキ銅製のトレーシングを有するエポキシ印刷配線板)上に自由に印刷する。
2.その後、このように処理されたボードを約1〜2分にわたり約175℃でオーブン内で加熱して、ロジンフラックスを活性化する。
3.その後、約200℃で約10秒にわたり半田(Sn63、63/37Sn/鉛半田)にボードを浸漬する。
4.その後、約3分にわたり沸騰洗浄組成物に浸漬し、ボードの静かな移動を提供することにより、ボードを洗浄する。その後、ボードを洗浄組成物のできたての室温浴に浸漬して、約2分にわたりリンスする。
5.その後、Omega Meter600SMDイオン分析装置によりボードの残留イオンを試験する。
【0070】
フラックスの沈着の前のボード、フラックスの沈着後のボードおよびその後の洗浄手順後のボードを秤量することにより洗浄性能を決定する。結果を表8において示している。
【0071】
【表10】

【0072】
実施例4
金属洗浄
非磨き表面を提供するためにグリットブラストされたステンレススチール(タイプ316)2インチ×3インチクーポンを予備洗浄し、オーブンで乾燥させて一切の残留汚れを除去する。各クーポンの自重を0.1mgと決定する。少量の鉱油を綿棒で被着させ、その後、クーポンを再秤量して「負荷」重量を得る。その後、沸騰洗浄組成物に1分にわたり浸漬することによりクーポンを洗浄し、30秒にわたり蒸気中に保持し、その後、1分にわたり空気乾燥させる。その後、クーポンを再秤量し、記録された3つの重量を用いて除去された汚れの%を計算する。結果を表9において示している。
【0073】
【表11】

【0074】
結果は、本発明の組成物によるステンレススチール表面からの鉱油残渣の効率的な除去を示している。
【0075】
実施例5
金属洗浄
非磨き表面を提供するためにグリットブラストされたステンレススチール(タイプ316)2インチ×3インチクーポンを予備洗浄し、オーブンで乾燥させて一切の残留汚れを除去する。各クーポンの自重を0.1mgと決定する。少量のDC200シリコーンを綿棒で被着させ、その後、クーポンを再秤量して「負荷」重量を得る。その後、沸騰洗浄組成物に1分にわたり浸漬することによりクーポンを洗浄し、30秒にわたり蒸気中に保持し、その後、1分にわたり空気乾燥させる。その後、クーポンを秤量し、記録された3つの重量を用いて除去された汚れの%を計算する。結果を表10において示している。
【0076】
【表12】

【0077】
結果は、本発明の組成物によるステンレススチール表面からのシリコーン残渣の効率的な除去を示している。
【0078】
実施例6
金属洗浄の効力
非磨き表面を提供するためにグリットブラストされたステンレススチール(タイプ316)2インチ×3インチクーポンを予備洗浄し、オーブンで乾燥させて一切の残留汚れを除去する。各クーポンを4箇所で秤量して自重を得る。少量の鉱油を綿棒で被着させ、その後、クーポンを秤量して「負荷」重量を得る。その後、沸騰洗浄組成物に1分にわたり浸漬することによりクーポンを洗浄し、30秒にわたり蒸気中に保持し、その後、1分にわたり空気乾燥させる。その後、クーポンを秤量し、記録された3つの重量を用いて除去された汚れの%を計算する。結果を表11において示している。
【0079】
【表13】

【0080】
結果は、本発明の組成物によるステンレススチール表面からの鉱油残渣の効率的な除去を示している。
【0081】
実施例7
金属洗浄の効力
非磨き表面を提供するためにグリットブラストされたステンレススチール(タイプ316)2インチ×3インチクーポンを予備洗浄し、オーブンで乾燥させて一切の残留汚れを除去する。各クーポンを4箇所に対して秤量して自重を得る。少量のDC200シリコーンを綿棒で被着させ、その後、クーポンを秤量して「負荷」重量を得る。その後、沸騰洗浄組成物に1分にわたり浸漬することによりクーポンを洗浄し、30秒にわたり蒸気中に保持し、その後、1分にわたり空気乾燥させる。その後、クーポンを秤量し、記録された3つの重量を用いて除去された汚れの%を計算する。結果を表12において示している。
【0082】
【表14】

【0083】
実施例8
26.8重量%のF33Eと73.2重量%の1,2−トランス−ジクロロエチレン(t−DCE)の混合物を調製し、10:1の還流比で5プレート蒸留装置に入れる。蒸留ヘッドでの温度を記録し、蒸留された材料の数留分を経時的に除去する。蒸留された材料をガスクロマトグラフィによって分析する。データを以下の表13において示している。組成および温度は実験全体を通して安定なままであり、よって、この混合物の共沸挙動を示している。
【0084】
【表15】

【0085】
実施例9
26重量%のF33E、69.8重量%の1,2−トランス−ジクロロエチレン(t−DCE)および4.2重量%のエタノールの混合物を調製し、10:1の還流比で5プレート蒸留装置に入れる。蒸留ヘッドでの温度を記録し、蒸留された材料の数留分を経時的に除去する。蒸留された材料をガスクロマトグラフィによって分析した。データを以下の表14において示している。組成および温度は実験全体を通して安定なままであり、よって、この混合物の共沸挙動を示している。
【0086】
【表16】

【0087】
実施例10
86重量%のF33Eと14.0重量%のエタノールの混合物を調製し、10:1の還流比で5プレート蒸留装置に入れる。蒸留ヘッドでの温度を記録し、蒸留された材料の数留分を経時的に除去する。蒸留された材料をガスクロマトグラフィによって分析した。データを以下の表15において示している。組成および温度は実験全体を通して安定なままであり、よって、この混合物の共沸挙動を示している。
【0088】
【表17】

【0089】
実施例11
84重量%のF33Eと16.0重量%のメタノールの混合物を調製し、10:1の還流比で5プレート蒸留装置に入れる。蒸留ヘッドでの温度を記録し、蒸留された材料の数留分を経時的に除去する。蒸留された材料をガスクロマトグラフィによって分析した。データを以下の表16において示している。組成および温度は実験全体を通して安定なままであり、よって、この混合物の共沸挙動を示している。
【0090】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式E−またはZ−CCH=CHCを有するフッ素化オレフィンと、アルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボン、アルカンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの化合物とを含む共沸組成物または共沸様組成物。
【請求項2】
アルコール、ハロゲン化炭素、フルオロアルキルエーテル、ヒドロフルオロカーボンおよびアルカンからなる群から選択された少なくとも1つの化合物が、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、n−プロパノール、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、n−プロピルブロミド、COCH、COC、HFC−43−10mee、HFC−365mfc、ヘプタンまたはそれらの組み合わせのいずれかである請求項1に記載の共沸組成物または共沸様組成物。
【請求項3】
組成物が、
約63〜約94質量%のF33Eおよび約6〜約37質量%のメタノール、
約60〜約93質量%のF33Eおよび約7〜約40質量%のイソプロパノール、
約64〜約94質量%のF33Eおよび約6〜約36質量%のエタノール、
約17〜約73質量%のF33Eおよび約27〜約83質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン
約32〜約80質量%のF33Eおよび約68〜約20質量%のn−プロピルブロミド、
約1〜約99質量%のF33Eおよび約99〜約1質量%のCOC2
約28〜約79質量%のF33Eおよび約21〜約72質量%のシス−1,2−ジクロロエチレン、
約1〜約99質量%のF33Eおよび約1〜約99質量%のヘプタン、
約1〜約70質量%のF33E、約30〜約85質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約30質量%のメタノール、
約1〜約70質量%のF33E、約30〜約85質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約25質量%のエタノール、
約1〜約70質量%のF33E、約30〜約80質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約70質量%のCOCH
約1〜約70質量%のF33E、約30〜約80質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約70質量%のCOC2
約1〜約70質量%のF33E、約20〜約60質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約80質量%のHFC−43−10mee、
約1〜約60質量%のF33E、約10〜約60質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約80質量%のHFC−365mfc、
約1〜約80質量%のF33E、約1〜約95質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび約1〜約99質量%のシス−1,2−ジクロロエチレン
からなる群から選択された共沸組成物または共沸様組成物を含む請求項1に記載の共沸組成物または共沸様組成物。
【請求項4】
組成物が、
約58.4℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する79.3質量%のF33Eおよび20.7質量%のメタノール、
約70.3℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する79.8質量%のF33Eおよび20.2質量%のイソプロノール、
約67.6℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する81.5質量%のF33Eおよび18.5質量%のエタノール、
約44.5℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する30.9質量%のF33Eおよび69.1質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレン、
約62.9℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する51.8質量%のF33Eおよび48.2質量%のn−プロピルブロミド、
約54.5℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する45.4質量%のF33Eおよび54.5質量%のシス−1,2−ジクロロエチレン、
約89.8℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する74.8質量%のF33Eおよび25.2質量%のヘプタン、
約38.8℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する30.2質量%のF33E、62.1質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび7.7質量%のメタノール、
約43.1℃の温度で約14.7psia(101kPa)の蒸気圧を有する31.4質量%のF33E、64.4質量%のトランス−1,2−ジクロロエチレンおよび4.2質量%のエタノール
からなる群から選択された共沸組成物または共沸様組成物を含む請求項1に記載の共沸組成物または共沸様組成物。
【請求項5】
洗浄する方法であって、
a.残渣を含む表面を請求項1に記載の組成物に接触させる工程と、
b.組成物から表面を回収する工程と、
を含む方法。
【請求項6】
エアロゾル推進剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
エアロゾル推進剤が、空気、窒素、二酸化炭素、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロプロパン、n−ブタン、イソ−ブタンおよびプロパンからなる群から選択される請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
残渣が油を含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
残渣がロジンフラックスを含む請求項5に記載の方法。
【請求項10】
表面が集積回路デバイスである請求項5に記載の方法。

【公表番号】特表2010−536985(P2010−536985A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521822(P2010−521822)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/018898
【国際公開番号】WO2009/025647
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】