説明

洗浄装置

【課題】土や泥を効果的に除去する洗浄ブラシを提供する。
【解決手段】グリップ本体2に洗浄流体の導管3が接続され、洗浄流体を断続する操作装置4がグリップ本体2に取り付けられている形式のものであり、導管3の先端に噴射ノズル5が設けられているとともに、この噴射ノズル5の近傍にブラシ6が配置され、このブラシ6は少なくとも導管3とほぼ同方向に延びる一対の対向部を有し、この対向部の間に噴射ノズル5が開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水や空気のような洗浄流体を、靴やタイヤ等に吹き付けてブラシで擦りながら汚れを落とす洗浄装置に関している。
【背景技術】
【0002】
特許第3513699号公報には、洗浄流体を断続する操作装置が設けられたグリップ本体に、洗浄流体の導管が接続され、この導管の先端に噴射ノズルが設けられ、この噴射ノズルの近傍にブラシが配置されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3513699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載されている技術は、噴射ノズルから靴等の被洗浄物に噴射された洗浄液はブラシの前方に吹き付けられる。したがって、被洗浄物に当たった洗浄液は飛散してしまうため、洗浄液が潤沢に存在する箇所をブラシで擦ることができない。つまり、洗浄液が吹き付けられる箇所とブラシで擦る箇所が離隔しているので、汚れが落ちにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、被洗浄物に洗浄流体が吹き付けられる箇所とブラシの箇所を近接させて、効果的な洗浄が行われる洗浄装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、グリップ本体に洗浄流体の導管が接続され、洗浄流体を断続する操作装置がグリップ本体に取り付けられている形式のものにおいて、前記導管の先端に噴射ノズルが設けられているとともに、この噴射ノズルの近傍にブラシが配置され、このブラシは少なくとも前記導管とほぼ同方向に延びる一対の対向部を有し、この対向部の間に前記噴射ノズルが開口していることを特徴とする洗浄装置である。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、前記ブラシは少なくとも前記導管とほぼ同方向に延びる一対の対向部を有し、この対向部の間に前記噴射ノズルが開口しているので、噴射ノズルから被洗浄物に吹き付けられた洗浄流体とブラシの対向部との距離が短くなる。これにより、洗浄流体が潤沢に吹き付けられている箇所をブラシで擦ることができ、土や泥などの汚れが効果的に洗い落とされる。つまり、洗浄流体で洗い流している箇所にブラシがけをするものであるから、乾燥して固まっている土や泥などは洗浄流体で十分に湿潤し、さらにブラシがけを受けるので、確実に汚れが除去できる。
【0008】
さらに、噴射ノズルは、前記導管とほぼ同方向に延びる一対の対向部の間に開口しているので、対向部の対向方向にブラシを擦りつけることにより、できるだけ多くの洗浄流体が対向部の間にとどまり、同時にその箇所がブラシがけを受けることとなる。したがって、潤沢な洗浄流体のもとで効果的な汚れの除去が可能となる。また、対向部を導管とほぼ同方向に擦りつけることにより、靴の縫い目のような箇所の汚れが、十分な洗浄流体が吹き付けられて確実に落ちるのである。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記一対の対向部の前端側を接続する接続部が設けられている請求項1記載の洗浄装置である。
【0010】
このような構成により、洗浄流体は対向部と接続部によって包囲された箇所に供給されて、洗浄流体はこの包囲された箇所に十分に停滞しているので、洗浄流体による汚れの湿潤が十分に果たされ、さらにその箇所がブラシがけされて、確実な汚れ除去が実行される。また、接続部を配置することにより、真っ直ぐなブラシを湾曲させて例えばU字型に構成することができる。このようにすることにより、所定の形状のブラシを簡単に求めることができて、製作面や原価面で経済的である。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記ブラシは、着脱構造部を介して導管に着脱可能な状態で取り付けられている請求項1または請求項2記載の洗浄装置である。
【0012】
こうすることにより、ブラシが損耗してきたときに着脱構造部によって交換することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記ブラシは、長尺な結束金具で束ねられており、この結束金具が前記着脱構造部において導管に取り付けられている請求項3記載の洗浄装置である。
【0014】
長尺な結束金具でブラシが束ねられているので、結束金具を所要の形状に変形させて、着脱構造部に適した形状とすることができる。例えば、U字型に湾曲することにより、開放側の端部に結合部材を配置して、簡単に着脱構造部を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】洗浄装置の側面図である。
【図2】各部の断面図や斜視図である。
【図3】他の着脱構造部を示す断面図である。
【図4】ブラシの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の洗浄装置を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図4は、実施例1を示す。
【0018】
洗浄装置の概略構造を説明する。
【0019】
図1は、洗浄装置1の側面図である。この洗浄装置1は、グリップ本体2に洗浄流体の導管3が接続され、洗浄流体を断続する操作装置4がグリップ本体2に取り付けられている。前記導管3の先端に噴射ノズル5が設けられているとともに、この噴射ノズル5の近傍にブラシ6が配置されている。前記操作装置4の箇所には洗浄流体の開閉弁(図示していない)が内蔵されており、この開閉弁を操作レバー7で開閉するようになっている。洗浄流体は、水、洗剤、噴射空気等であり、グリップ本体2の端部に液体供給パイプ8と空気供給パイプ9が接続されている。そして、噴射ノズル5の先端に噴口11が開口している。噴口11の開口箇所は、図1に示すように、線材12の先端部から結束金具13側に後退した箇所とされている。こうすることにより、噴射ノズル5の先端部が被洗浄物に接触することがないので、被洗浄物の表面に傷をつけたりすることが防止できる。
【0020】
洗浄装置1は、使い勝手をよくするために、各部の寸法は、グリップ本体2の長さが120mm、導管3の長さが220mm、噴射ノズル5の長さが55mm、ブラシ6の長さが90mm、ブラシ6の幅が40mmとされている。なお、ブラシ線材の先端部の幅は10mm、後述の対向部の間隔は20mmである。また、噴射ノズル5はブラシ6の方へ屈曲させてあり、符号10は屈曲部を示している。
【0021】
つぎに、ブラシについて説明する。
【0022】
ブラシ6は細くて固い線材12を束ねて作ったもので、線材にはポリアミド樹脂やポリプロピレン樹脂のような合成樹脂が使用されている。多数の線材12が、図2(A)、(B)および(E)に示すように、長尺な断面コ字型の結束金具13の中に挿入され、結束金具13をかしめ付けて線材12と結束金具13が一体化されている。この例では、ブラシ6が図2(B)や(E)に示すように、U字型をしているので、真っ直ぐな結束金具13をU字型に湾曲してある。
【0023】
ブラシ6は、直線状の部分が導管3とほぼ同方向に延びており、この部分が一対の対向部14A、14Bを構成している。この対向部14A、14Bの間隔寸法が前述の20mmである。U字型を形成するために、対向部14A、14Bの前端側を、湾曲した接続部15で接続している。
【0024】
屈曲部10によって斜め向きになった噴射ノズル5は、その噴口11が対向部14A、14Bの間に開口している。
【0025】
つぎに、着脱構造部について説明する。
【0026】
着脱構造部16は、ブラシ6を導管3または噴射ノズル5に対して着脱可能な状態で取り付けるものであり、種々な構造を採用することができる。図1の2A−2A断面が図2(A)に示されている。細長いブロック状の部材で支持部材18が構成され、そこにあけた通孔19に導管3が貫通させてある。この通孔19から延びた状態で切り割り20が形成され、ここに固定ボルト21がねじ込んである。固定ボルト21を締め付けると、導管3の外周面が圧迫されて、導管3に支持部材18が固定される。
【0027】
前記支持部材18の端部に四角い座板22が溶接され、その両側に取付け溝23が設けてある。この取付け溝23は座板22の両側を直角に折り曲げて屈曲片24を形成し、その内側に屈曲片25を有する内板26がスポット溶接で固定されている。こうすることにより、屈曲片24と25によって取付け溝23が構成される。取付け溝23は平行な状態で対向しており、その間隔寸法は対向部14A、14Bの間隔寸法と同じである。そして、取付け溝23の幅は、結束金具13を圧入できるような寸法に設定してある。したがって、結束金具13を取付け溝23に押し込むことによって、ブラシ6が導管3に取付けられる。
【0028】
上述のように、着脱構造部16は、支持部材18、座板22、取付け溝23等によって構成されている。なお、通孔19に噴射ノズル5を貫通させるようにしてもよい。
【0029】
着脱構造部16の他の構造例を、説明する。
【0030】
この着脱構造部16は図3に示されている。左右の結束金具13に四角い結合座板28が溶接され、この結合座板18が固定ボルト29によって支持部材18の端部に固定されている。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0031】
つぎに、ブラシ6の変形例を説明する。
【0032】
図4(A)に示したものは、対向部14A、14Bだけで構成されたものである。また、同図(B)に示したものは、エンドレスな長円形の形状である。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0033】
上記実施構造の作用効果は、つぎのとおりである。
【0034】
上記のように、前記ブラシ6は少なくとも前記導管3とほぼ同方向に延びる一対の対向部14A、14Bを有し、この対向部14A、14Bの間に前記噴射ノズル5の噴口11が開口しているので、噴射ノズル5から被洗浄物に供給された洗浄流体とブラシ6の対向部14A、14Bとの距離が短くなる。これにより、洗浄流体が潤沢に供給されている箇所をブラシ6で擦ることができ、土や泥などの汚れが効果的に洗い落とされる。つまり、洗浄流体で洗い流している箇所にブラシがけをするものであるから、乾燥して固まっている土や泥などは洗浄流体で十分に湿潤し、さらにブラシがけを受けるので、確実に汚れが除去できる。
【0035】
さらに、噴射ノズル5は、前記導管3とほぼ同方向に延びる一対の対向部14A、14Bの間に開口しているので、対向部14A、14Bの対向方向にブラシを擦りつけることにより、できるだけ多くの洗浄流体が対向部14A、14Bの間にとどまり、同時にその箇所がブラシがけを受けることとなる。換言すると、洗浄流体が対向部14A、14Bの間で左右にかき寄せられた状態で汚れ落としが進行する。したがって、潤沢な洗浄流体のもとで効果的な汚れの除去が可能となる。また、対向部14A、14Bを導管とほぼ同方向に擦りつけることにより、靴の縫い目のような箇所の汚れが、十分な洗浄流体が吹き付けられて確実に落ちるのである。
【0036】
前記一対の対向部14A、14Bの前端側を接続する接続部15が設けられている。
【0037】
このような構成により、洗浄流体は対向部14A、14Bと接続部15によって包囲された箇所に供給されて、洗浄流体はこの包囲された箇所に十分に停滞しているので、洗浄流体による汚れの湿潤が十分に果たされ、さらにその箇所がブラシがけされて、確実な汚れ除去が実行される。また、接続部15を配置することにより、真っ直ぐなブラシを湾曲させてU字型に構成することができる。このようにすることにより、所定の形状のブラシを簡単に求めることができて、製作面や原価面で経済的である。
【0038】
前記ブラシ6は、着脱構造部16を介して導管3に着脱可能な状態で取り付けられている。
【0039】
こうすることにより、ブラシ6の線材12が損耗してきたときに、着脱構造部16によってブラシ交換をすることができる。
【0040】
前記ブラシ6は、長尺な結束金具13で束ねられており、この結束金具13が前記着脱構造部16において導管3に取り付けられている。
【0041】
長尺な結束金具13でブラシ6が束ねられているので、結束金具6を所要の形状に変形させて、着脱構造部16に適した形状とすることができる。例えば、U字型に湾曲することにより、開放側の端部に結合部材である座板22や結合座板28を配置して、簡単に着脱構造部16を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述のように、本発明の装置によれば、被洗浄物に洗浄流体が吹き付けられる箇所とブラシの箇所が近接させて、効果的な洗浄が行われる洗浄装置であるから、ゴルフ場や学校の靴洗い施設など広い分野で利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 洗浄装置
2 グリップ本体
3 導管
4 操作装置
5 噴射ノズル
6 ブラシ
11 噴口
12 線材
13 結束金具
14A、14B 対向部
15 接続部
16 着脱構造部
23 取付け溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ本体に洗浄流体の導管が接続され、洗浄流体を断続する操作装置がグリップ本体に取り付けられている形式のものにおいて、前記導管の先端に噴射ノズルが設けられているとともに、この噴射ノズルの近傍にブラシが配置され、このブラシは少なくとも前記導管とほぼ同方向に延びる一対の対向部を有し、この対向部の間に前記噴射ノズルが開口していることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記一対の対向部の前端側を接続する接続部が設けられている請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記ブラシは、着脱構造部を介して導管に着脱可能な状態で取り付けられている請求項1または請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ブラシは、長尺な結束金具で束ねられており、この結束金具が前記着脱構造部において導管に取り付けられている請求項3記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−253458(P2010−253458A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121405(P2009−121405)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】