洗濯乾燥機
【課題】乾燥行程において、洗濯槽内に投入される洗濯物の重量に応じて乾燥動作シーケンスを選択、実行し、乾燥効率を向上させるようにした洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機100は、筐体1と、筐体1内に吊り下げ支持された水槽2と、水槽2内に回転自在に設けられた洗濯脱水槽3と、洗濯脱水槽3の底部に、回転自在に設けられたパルセータ4と、洗濯脱水槽3及びパルセータ4の駆動を制御する制御手段とを備え、制御手段は、洗濯脱水槽3内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて洗濯脱水槽3及びパルセータ4の駆動を制御する。
【解決手段】洗濯乾燥機100は、筐体1と、筐体1内に吊り下げ支持された水槽2と、水槽2内に回転自在に設けられた洗濯脱水槽3と、洗濯脱水槽3の底部に、回転自在に設けられたパルセータ4と、洗濯脱水槽3及びパルセータ4の駆動を制御する制御手段とを備え、制御手段は、洗濯脱水槽3内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて洗濯脱水槽3及びパルセータ4の駆動を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルセータ方式を採用し、衣類等の洗濯物の洗浄、脱水及び乾燥を行う洗濯乾燥機に関し、特に乾燥行程において乾燥効率の向上を図るようにした洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パルセータ方式を採用し、洗濯物の洗浄、脱水及び乾燥を自動的に行う全自動洗濯乾燥機(以下、単に洗濯乾燥機と称する)が存在する。パルセータ方式は、洗濯槽(洗濯脱水乾燥槽に同じ)の底部に配置されたパルセータを回転駆動させることによって発生する摩擦または振動等の機械的作用と、洗剤による化学的作用と、によって洗濯物の汚れを除去するようにしたものである。パルセータ方式の乾燥運転は、洗濯槽内に温風を吹き込みながらパルセータまたは洗濯槽自体を回転することによって実行することが一般的となっている。
【0003】
そのようなものとして、「外槽と、前記外槽内に弾性的に吊支された受筒と、前記受筒内で回転可能に支持され、乾燥のための洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽の内側底部で回転可能に支持された略なべ型のパルセータと、前記パルセータを駆動するモータと、前記洗濯槽内の洗濯物を加熱して水分を蒸発させるヒータと、前記ヒータからの温風を前記洗濯槽内に送風する送風機と、洗濯物の乾燥度合いを検知する乾燥検知手段とを備え、乾燥時は、前記洗濯槽を固定した状態で、前記パルセータを間欠駆動させて洗濯物を撹拌し、乾燥が進行するに従って徐々に単位時間当たりの前記パルセータの駆動時間を長くして停止時間を短くするとともに、単位時間当たりの前記パルセータの駆動時間を停止時間より短く設定した洗濯乾燥機」が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3815144号公報(第1−2図、第4−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、パルセータを間欠駆動させ、洗濯物を撹拌し、乾燥が進行するに従って単位時間当たりの駆動時間を徐々に増加させて、乾燥運転開始直後の洗濯物を強く攪拌することを防止している。洗濯物の乾燥性能を向上させるためには、洗濯物の入れ替わりを大きくし、全部の洗濯物に満遍なく温風を接触させることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、投入される洗濯物の重量に関わらず、パルセータの駆動時間がパルセータの停止時間よりも短くなるようにパルセータを間欠動作させるために、攪拌による洗濯物の入れ替わりが小さく、結果として乾燥性能が低くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、乾燥行程において、洗濯槽内に投入される洗濯物の重量に応じて乾燥動作シーケンスを選択、実行し、乾燥効率を向上させるようにした洗濯乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗濯乾燥機は、筐体と、前記筐体内に吊り下げ支持された水槽と、前記水槽内に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底部に、回転自在に設けられたパルセータと、前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御する制御手段とを備えた洗濯乾燥機であって、前記制御手段は、前記洗濯脱水槽内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る洗濯乾燥機は、制御手段が、洗濯脱水槽内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて洗濯脱水槽及びパルセータの駆動を制御するので、投入された洗濯物の重量の多少に関わらず、乾燥効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機100の概略構成を示す縦断面図である。この洗濯乾燥機100は、水槽2に投入された洗濯物の一連の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図の左側を洗濯機前方とし、右側を洗濯機後方として説明するものとする。
【0010】
洗濯乾燥機100は、水槽2を断面矩形の筒状(略直方体に同じ)の筐体1内に吊り棒10及び吊り棒11で吊り下げ、傾斜配置させた構成となっている。水槽2は、天面が開放され、底面が閉塞された筒状として構成されている。この水槽2の内部には、衣類等の洗濯物を収容し、その洗濯物の洗浄や脱水、乾燥等を行なう洗濯脱水槽3が回転自在に配置されている。この水槽2は、脱水時に洗濯脱水槽3から飛散する水を受ける役目を果たすようになっている。洗濯脱水槽3の底部には、表面(上面)が傾斜し、洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する裏面(下面)に水のポンプアップ作用を果たす裏羽根4Bを少なくとも1つ有したパルセータ4が、洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して回転自在に配置されている。
【0011】
水槽2の底部外側には、DCモータ等で構成されたモータ5が配置されており、そのモータ5の回転を伝達する回転伝達軸6がパルセータ4の回転中心と、洗濯脱水槽3の底部の回転中心とに連結または連結可能とされていて、パルセータ4や洗濯脱水槽3の回転駆動源となっている。なお、パルセータ4は、洗い行程、すすぎ行程、乾燥行程等において、正転(たとえば、左回転)と反転(たとえば、右回転)とを交互に所定の回数繰り返して、洗濯脱水槽3内の水や洗濯物を攪拌する役目を果たすようになっている。
【0012】
水槽2は、筐体1に固定された吊り板9から吊した吊り棒10及び吊り棒11を利用し、水槽2の下部に設けた吊り棒受け部12にて、吊り棒10及び吊り棒11の下端部に設けられたバネ等の弾性支持部13を支持させることにより、筐体1内で傾動可能になっている。この実施の形態では、水槽2の後側に配した吊り棒11を上下に移動させることで水槽2を傾動させることができるようになっている。なお、この実施の形態で、吊り棒10は水槽2の前方の吊り棒を、吊り棒11は水槽2の後方の吊り棒をそれぞれ表している。また、吊り棒10及び吊り棒11の本数を特に限定するものではなく、たとえば2本ずつ設けるようにすればよい。
【0013】
また、水槽2の外周には、洗濯脱水槽3の底部から出た空気を上方へ流す風路20を備えており、その風路20の内側には、風路20内を流れる空気を除湿する除湿板21が配置されている。この実施の形態では、図1に示すように、風路20は、洗濯脱水槽3とともに空気の循環風路の一部を構成するようになっており、その循環風路の風路20と洗濯脱水槽3との間には、乾燥フィルター22、ファン・モータ23及びヒータ24が配置されている。このファン・モータ23及びヒータ24で、洗濯物を乾燥させる乾燥手段を構成している。
【0014】
筐体1の上面前側部には、洗濯物の出し入れを実行可能な出し入れ口が形成されており、それは扉30で開閉自在となっている。筐体1の上面中間部には、洗剤を入れるための洗剤ケース31が形成されている。筐体1の上面後側部には、給水口32が設けられており、給水口32から取り入れられた水は、分岐弁33で、洗濯脱水槽3内または除湿板21へ切り替えられる。筐体1の底部には、底枠40が配置され、それに遮音板41やゴム足42等が取り付けられている。
【0015】
洗濯脱水槽3の脱水槽側板3Bには、水を排出するための脱水槽孔3aが複数形成されている。また、洗濯脱水槽3の脱水槽側板3Bの上部には、洗濯脱水槽3の回転時におけるバランスをとるための流体バランサー3bが設けられている。この流体バランサー3bの内周で囲まれた範囲が、洗濯物を出し入れするための投入口となっている。さらに、洗濯脱水槽3の脱水槽側板3Bの内側には、水路50が形成されている。この水路50は、パルセータ4の回転時、裏羽根4Bのポンプ作用により押し出された洗濯脱水槽3の底部の水を上方に導くようになっている。
【0016】
図2は、パルセータ4の概略構成を示す斜視図である。図2に基づいて、洗濯乾燥機100に設置可能なパルセータ4の好ましい構成例について詳細に説明する。このパルセータ4は、上述したように、洗濯脱水槽3の底部に回転自在に配置され、投入された洗濯物及び注水された水を攪拌する機能を果たすようになっている。なお、パルセータ4は、図2で示すものに限定するものではない。また、パルセータ4の回転駆動は、モータ5を介して、制御手段により制御されるようになっている。
【0017】
このパルセータ4は、その上面の一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が表面(上面)4Aに形成された円盤状のベース部4aと、このベース部4aの傾斜面から突出してその傾斜面の傾斜方向に沿って延び、ベース部4a中央部を横断する形状の翼部4bとを備え、翼部4bのベース部4a傾斜面からの突出高さを、ベース部4aの高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにしている。また、パルセータ4は、ベース部4a傾斜面の角度を、翼部4bを挟んで相違させている。その場合、一方を洗濯物に対して周方向の力を作用させる急斜面4sに、他方を洗濯物に対して上下方向の力を作用させる緩斜面4gにするとよい。
【0018】
このように、パルセータ4を構成することで、パルセータ4の体積を小さく保ちつつ、洗濯物を上下動させるのに十分な傾斜面を確保することができる。これにより、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータ4を駆動するモータ5の負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができる。また、パルセータ4に形成した水抜き穴4cは、ベース部4aの高さが高い側よりも低い側の領域に多く設けるようにしている。これにより、水がたまりやすい高さの低い部分からの排水量が増えるため、洗濯脱水槽3からの排水効率が向上する。
【0019】
図3は、パルセータ4の作用を説明するための説明図である。パルセータ4の回転(正転及び反転)時において、急斜面4sは、洗濯物51を水平方向に押し出す力を与えるように作用し(実線矢印A)、緩斜面4gは、洗濯物51を上下移動させるのに作用するようになっている(実線矢印B)。したがって、急斜面4sは、特に洗濯物51の洗い時やすすぎ時に効果を発揮するようになり、緩斜面4gは、特に洗濯物51の乾燥時に効果を発揮するようになっている。
【0020】
パルセータ4は、ベース部4aと翼部4bとが一体成型された一体成型品であってもよく、またベース部4aと翼部4bとを別部材として、それらを結合して構成した組立品であってもよい。また、ベース部4aと翼部4bとを樹脂等により一体成型すれば、部品点数や組み立て作業性の点からコストの低減を図ることが可能になる。一方、ベース部4aと翼部4bと別部品とすれば、乾燥性能の観点から熱伝導性のよい金属材料(たとえば、ステンレススチール等)や、意匠性の観点から適宜に部材を選択することが可能になる。なお、パルセータ4には、翼部4bを1列設けたが、状況に応じて翼部4bを複数列としてもよい。
【0021】
なお、筐体1内には、モータ5の回転数やヒータ24の駆動、ファン・モータ23の駆動、水槽2の傾動等を制御するための図示省略の制御手段が設けられている。この制御手段は、ユーザからの指示に基づいて洗濯乾燥機100全体の動作(洗浄行程や脱水行程、乾燥行程)を統括制御するようになっており、たとえばマイクロコンピュータ等で構成するとよい。また、筐体1内には、洗濯脱水槽3内の洗濯物が乾燥したかどうかを検知するための乾燥検知手段が設けられている。つまり、制御手段は、乾燥検知手段からの乾燥情報に基づいて、乾燥運転の終了を判断するようになっているのである。
【0022】
図4は、洗濯乾燥機100が実行する一連の処理の流れを示す概略フローチャートである。図4に基づいて、洗濯乾燥機100の一連の処理の流れについて説明する。この洗濯乾燥機100は、ユーザによって洗濯脱水槽3に投入された洗濯物の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とが実行可能なものである。すなわち、洗濯乾燥機100は、ユーザが適宜選択した「運転コース」に応じて、各行程を実行するようになっているのである。
【0023】
(a)初期行程において、洗濯乾燥機100の制御手段は、電源スイッチが投入(ON)されると、洗濯脱水槽3を傾斜させる。そして、制御手段は、ユーザから「運転コース」が設定されると、スタートスイッチを投入(ON)する。
(b)設定された「運転コース」に洗い行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に応じて、洗濯脱水槽3を傾斜させるかどうかを決定する。たとえば、制御手段は、投入された洗濯物が多い場合には、洗濯脱水槽3を直立させた状態で洗う「直立洗い」を実行し、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で洗う「傾斜洗い」を実行する。
【0024】
(c)設定された運転コースにすすぎ行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯脱水槽3を直立させた状態で「直立すすぎ」を実行する。
(d)設定された運転コースに脱水行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯脱水槽3を直立させた状態で脱水する「直立脱水」を実行する。
【0025】
(e)設定された運転コースに乾燥行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に応じて、洗濯脱水槽3を傾斜させるかどうかを決定する。たとえば、制御手段は、投入された洗濯物が多い場合には、洗濯脱水槽3を直立させた状態で乾燥する「直立乾燥」を実行し、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で乾燥する「傾斜乾燥」を実行する。
(f)終期行程において、制御手段は、自動的に電源スイッチを切り(OFF)、洗濯脱水槽3を傾斜させる。そして、洗濯物の取り出しが完了して扉30が閉じられると、制御手段は、洗濯脱水槽3を直立させ、一連の行程を終了させる。なお、洗濯脱水槽3を傾斜させたままにしてもよい。
【0026】
図5〜図10は、洗濯乾燥機100が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。図5〜図10に基づいて、この実施の形態の特徴事項である乾燥動作シーケンスについて詳細に説明する。この洗濯乾燥機100は、複数の乾燥動作シーケンスが予め設定されており、洗濯脱水槽3内に投入された洗濯物の重量に応じて、乾燥動作シーケンスを選択し、実行するようになっている。ここでは、洗濯物の重量を3段階(定格量程度、中間量程度、少量程度)で、乾燥動作シーケンスを選択する場合を例に説明する。
【0027】
洗濯乾燥機100(制御手段)が実行する乾燥動作シーケンスは、洗濯物が洗濯脱水槽3の側面に張り付かない程度の速度で洗濯脱水槽3及びパルセータ4を同時に一方向に所定のタイミングで回転駆動させる「槽回転乾燥モード」、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正逆交互に回転させる「攪拌乾燥モード」、及び、洗濯脱水槽3を固定し、洗濯物を上下に入れ替える「ほぐしモード」の3つの運転モードを組み合わせ1つの「セット」とし、その「セット」を所定の回数繰り返す「乾燥運転パターン」で構成されている。
【0028】
「槽回転乾燥モード」は、洗濯物に与える機械力が小さいために、洗濯物の布傷みを抑えた乾燥が実現できるようになっている。また、「攪拌乾燥モード」は、図3で説明したように、緩斜面4gの回転が大きいために、洗濯物を上下方向に揺動させる力がより大きく作用し、この上下方向に揺動する力によって洗濯物の間に空間ができ、この空間に温風を送りこむ乾燥が実現できるようになっている。さらに、「ほぐしモード」は、洗濯物の上下を入れ替えることによって、洗濯物の全体に満遍なく温風を接触させることができ、乾燥ムラを低減した乾燥が実現できるようになっている。
【0029】
そして、各運転モードに設定する洗濯脱水槽3及びパルセータ4の回転時間及び停止時間を、洗濯脱水槽3に投入される洗濯物の重量に応じ相違させることによって、複数の「乾燥運転パターン」が設定されている。つまり、各乾燥動作シーケンスは、「乾燥運転パターン」を組み合わせて構成されているのである。このように、乾燥動作シーケンスを複数用意しておくことによって、洗濯物の重量に応じて最適な乾燥行程が実現でき、洗濯乾燥機100の乾燥効率を更に向上させることができるのである。
【0030】
まず、図5及び図6に基づいて、定格量程度の洗濯物が洗濯脱水槽3に投入された場合における乾燥動作シーケンスについて説明する。この場合の乾燥動作シーケンスは、図5及び図6に示すように、3種類の「乾燥運転パターン」で構成されている。つまり、定格量程度の洗濯物が投入された場合には、洗濯乾燥機100は、洗濯脱水槽3を直立させた状態で、乾燥行程を3段階の「乾燥運転パターン」で実行するようになっているのである。なお、図5及び図6では、前半の「乾燥運転パターン」をパターン1とし、中間の「乾燥運転パターン」をパターン2とし、後半の「乾燥運転パターン」をパターン3として示している。
【0031】
パターン1は、たとえば、洗濯脱水槽3を10分間隔で20秒間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.5s(秒)」、停止1「1.4s」、反転「1.5s」、停止2「1.4s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。このようにすれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができる。
【0032】
パターン2は、たとえば、洗濯脱水槽3を20分間隔で40秒間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「3.0s(秒)」、停止1「1.7s」、反転「3.0s」、停止2「1.7s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。このようにすれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができるとともに、パターン1の「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の駆動時間及び停止時間よりも長くすることができる。
【0033】
パターン3は、たとえば、洗濯脱水槽3を30分間隔で60秒間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転3)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「3.0s(秒)」、停止1「1.7s」、反転「3.0s」、停止2「1.7s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。このようにすれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができるとともに、パターン1の「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の駆動時間及び停止時間よりも長くすることができる。
【0034】
以上のように、各パターンにおける洗濯脱水槽3及びパルセータ4の駆動時間及び停止時間を設定すれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができるので、定格量程度の洗濯物が投入された場合においても、攪拌によって洗濯物の入れ替わりを大きくすることができ、乾燥効率が向上する。また、各セットの最後に「ほぐしモード」を実行することによって、洗濯物に上下方向の動きを与えることができるので、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0035】
すなわち、定格量程度の洗濯物が投入された場合には、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加(槽回転1〜槽回転3)するとともに、2種類の「攪拌乾燥モード」を段階的に実行することによって、各モードの有する効果を活用でき、乾燥行程全体の効率を向上させているのである。なお、洗濯脱水槽3を直立状態で乾燥行程を実行する場合に限定するものではなく、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で、乾燥行程を実行するようにしてもよい。また、パターン2とパターン3では、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3を回転させるタイミングのみが異なっている。さらに、乾燥行程の終了は、制御手段が乾燥検知手段からの情報に基づいて判断するようにしておくとよい。
【0036】
次に、図7及び図8に基づいて、中間量程度の洗濯物が洗濯脱水槽3に投入された場合における乾燥動作シーケンスについて説明する。この場合の乾燥動作シーケンスは、図7及び図8に示すように、3種類の「乾燥運転パターン」で構成されている。つまり、中間量程度の洗濯物が投入された場合には、洗濯乾燥機100は、洗濯脱水槽3を直立または傾斜させた状態で、乾燥行程を3段階の「乾燥運転パターン」で実行するようになっているのである。なお、図7及び図8では、前半の「乾燥運転パターン」をパターン1とし、中間の「乾燥運転パターン」をパターン2とし、後半の「乾燥運転パターン」をパターン3として示している。
【0037】
パターン1は、たとえば、洗濯脱水槽3を10分間隔で1分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s(秒)」、停止1「2.0s」、反転「0.7s」、停止2「2.0s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0038】
パターン2は、たとえば、洗濯脱水槽3を20分間隔で2分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「2.5s(秒)」、停止1「4.0s」、反転「1.4s」、停止2「4.0s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0039】
パターン3は、たとえば、洗濯脱水槽3を30分間隔で3分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転3)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「4.0s(秒)」、停止1「6.0s」、反転「2.0s」、停止2「6.0s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0040】
以上のように、投入される洗濯物が中間量程度であれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも短くすることで、乾燥効率を更に向上させることができる。また、ベース部4aに緩斜面4g及び急斜面4sを設けているようなパルセータ4を使用する場合には、緩斜面4g側の方向の回転時間(図8では正転時間)を急斜面4s側方向の回転時間(図8では反転時間)よりも長くすれば、洗濯物を高効率で上下方向に揺動させることができ、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0041】
したがって、洗濯乾燥機100は、中間量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスを定格量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスとは異なる乾燥運転パターンで構成することによって、投入された洗濯物の重量に応じた乾燥動作シーケンスを実現できる。また、各セットの最後に「ほぐしモード」を実行することによって、洗濯物に上下方向の動きを与えることができるので、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0042】
すなわち、中間量程度の洗濯物が投入された場合には、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加(槽回転1〜槽回転3)するとともに、「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の回転時間及び停止時間をデューティ比一定の割合で増加(攪拌1〜攪拌3)することによって、各モードの有する効果を活用でき、乾燥行程全体の効率を向上させているのである。また、乾燥行程の終了は、制御手段が乾燥検知手段からの情報に基づいて判断するようにしておくとよい。
【0043】
最後に、図9及び図10に基づいて、少量程度の洗濯物が洗濯脱水槽3に投入された場合における乾燥動作シーケンスについて説明する。この場合の乾燥動作シーケンスは、図9及び図10に示すように、3種類の「乾燥運転パターン」で構成されている。つまり、少量程度の洗濯物が投入された場合には、洗濯乾燥機100は、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で、乾燥行程を3段階の「乾燥運転パターン」で実行するようになっているのである。なお、図9及び図10では、前半の「乾燥運転パターン」をパターン1とし、中間の「乾燥運転パターン」をパターン2とし、後半の「乾燥運転パターン」をパターン3として示している。
【0044】
パターン1は、たとえば、洗濯脱水槽3を10分間隔で1分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.0s(秒)」、停止1「1.4s」、反転「0.6s」、停止2「1.4s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0045】
パターン2は、たとえば、洗濯脱水槽3を20分間隔で2分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「2.0s(秒)」、停止1「2.8s」、反転「1.2s」、停止2「2.8s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0046】
パターン3は、たとえば、洗濯脱水槽3を30分間隔で3分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転3)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「3.0s(秒)」、停止1「4.2s」、反転「1.8s」、停止2「4.2s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0047】
以上のように、投入される洗濯物が少量程度であれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも短くすることで、乾燥効率を更に向上させることができる。また、ベース部4aに緩斜面4g及び急斜面4sを設けているようなパルセータ4を使用する場合には、緩斜面4g側の方向の回転時間(図10では正転時間)を急斜面4s側方向の回転時間(図10では反転時間)よりも長くすれば、洗濯物を高効率で上下方向に揺動させることができ、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0048】
したがって、洗濯乾燥機100は、少量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスを定格量程度の洗濯物が投入された場合、及び中間量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスとは異なる乾燥運転パターンで構成することによって、投入された洗濯物の重量に応じた乾燥動作シーケンスを実現できる。また、各セットの最後に「ほぐしモード」を実行することによって、洗濯物に上下方向の動きを与えることができるので、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0049】
すなわち、少量程度の洗濯物が投入された場合には、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加(槽回転1〜槽回転3)するとともに、「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の回転及び停止時間をデューティ比一定の割合で増加(攪拌1〜攪拌3)することによって、各モードの有する効果を活用でき、乾燥行程全体の効率を向上させているのである。また、乾燥行程の終了は、制御手段が乾燥検知手段からの情報に基づいて判断するようにしておくとよい。なお、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で乾燥行程を実行する場合に限定するものではなく、洗濯脱水槽3を直立させた状態で、乾燥行程を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】パルセータの概略構成を示す斜視図である。
【図3】パルセータの作用を説明するための説明図である。
【図4】洗濯乾燥機が実行する一連の処理の流れを示す概略フローチャートである。
【図5】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図6】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図7】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図8】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図9】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図10】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 筐体、2 水槽、3 洗濯脱水槽、3A 底面、3B 脱水槽側板、3a 脱水槽孔、3b 流体バランサー、4 パルセータ、4A 上面、4B 裏羽根、4a ベース部、4b 翼部、4c 水抜き穴、4g 緩斜面、4s 急斜面、5 モータ、6 回転伝達軸、9 吊り板、10 吊り棒、11 吊り棒、12 吊り棒受け部、13 弾性支持部、20 風路、21 除湿板、22 乾燥フィルター、23 ファン・モータ、24 ヒータ、30 扉、31 洗剤ケース、32 給水口、33 分岐弁、40 底枠、41 遮音板、42 ゴム足、50 水路、51 洗濯物、100 洗濯乾燥機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルセータ方式を採用し、衣類等の洗濯物の洗浄、脱水及び乾燥を行う洗濯乾燥機に関し、特に乾燥行程において乾燥効率の向上を図るようにした洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パルセータ方式を採用し、洗濯物の洗浄、脱水及び乾燥を自動的に行う全自動洗濯乾燥機(以下、単に洗濯乾燥機と称する)が存在する。パルセータ方式は、洗濯槽(洗濯脱水乾燥槽に同じ)の底部に配置されたパルセータを回転駆動させることによって発生する摩擦または振動等の機械的作用と、洗剤による化学的作用と、によって洗濯物の汚れを除去するようにしたものである。パルセータ方式の乾燥運転は、洗濯槽内に温風を吹き込みながらパルセータまたは洗濯槽自体を回転することによって実行することが一般的となっている。
【0003】
そのようなものとして、「外槽と、前記外槽内に弾性的に吊支された受筒と、前記受筒内で回転可能に支持され、乾燥のための洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽の内側底部で回転可能に支持された略なべ型のパルセータと、前記パルセータを駆動するモータと、前記洗濯槽内の洗濯物を加熱して水分を蒸発させるヒータと、前記ヒータからの温風を前記洗濯槽内に送風する送風機と、洗濯物の乾燥度合いを検知する乾燥検知手段とを備え、乾燥時は、前記洗濯槽を固定した状態で、前記パルセータを間欠駆動させて洗濯物を撹拌し、乾燥が進行するに従って徐々に単位時間当たりの前記パルセータの駆動時間を長くして停止時間を短くするとともに、単位時間当たりの前記パルセータの駆動時間を停止時間より短く設定した洗濯乾燥機」が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3815144号公報(第1−2図、第4−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の洗濯乾燥機は、パルセータを間欠駆動させ、洗濯物を撹拌し、乾燥が進行するに従って単位時間当たりの駆動時間を徐々に増加させて、乾燥運転開始直後の洗濯物を強く攪拌することを防止している。洗濯物の乾燥性能を向上させるためには、洗濯物の入れ替わりを大きくし、全部の洗濯物に満遍なく温風を接触させることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載の洗濯乾燥機では、投入される洗濯物の重量に関わらず、パルセータの駆動時間がパルセータの停止時間よりも短くなるようにパルセータを間欠動作させるために、攪拌による洗濯物の入れ替わりが小さく、結果として乾燥性能が低くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、乾燥行程において、洗濯槽内に投入される洗濯物の重量に応じて乾燥動作シーケンスを選択、実行し、乾燥効率を向上させるようにした洗濯乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗濯乾燥機は、筐体と、前記筐体内に吊り下げ支持された水槽と、前記水槽内に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽の底部に、回転自在に設けられたパルセータと、前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御する制御手段とを備えた洗濯乾燥機であって、前記制御手段は、前記洗濯脱水槽内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る洗濯乾燥機は、制御手段が、洗濯脱水槽内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて洗濯脱水槽及びパルセータの駆動を制御するので、投入された洗濯物の重量の多少に関わらず、乾燥効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機100の概略構成を示す縦断面図である。この洗濯乾燥機100は、水槽2に投入された洗濯物の一連の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とを実行するものである。なお、洗い行程とすすぎ行程とをまとめて「洗濯行程」と称する場合がある。また、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図の左側を洗濯機前方とし、右側を洗濯機後方として説明するものとする。
【0010】
洗濯乾燥機100は、水槽2を断面矩形の筒状(略直方体に同じ)の筐体1内に吊り棒10及び吊り棒11で吊り下げ、傾斜配置させた構成となっている。水槽2は、天面が開放され、底面が閉塞された筒状として構成されている。この水槽2の内部には、衣類等の洗濯物を収容し、その洗濯物の洗浄や脱水、乾燥等を行なう洗濯脱水槽3が回転自在に配置されている。この水槽2は、脱水時に洗濯脱水槽3から飛散する水を受ける役目を果たすようになっている。洗濯脱水槽3の底部には、表面(上面)が傾斜し、洗濯脱水槽3の底面3Aと対向する裏面(下面)に水のポンプアップ作用を果たす裏羽根4Bを少なくとも1つ有したパルセータ4が、洗濯脱水槽3の底面3Aと隙間を有して回転自在に配置されている。
【0011】
水槽2の底部外側には、DCモータ等で構成されたモータ5が配置されており、そのモータ5の回転を伝達する回転伝達軸6がパルセータ4の回転中心と、洗濯脱水槽3の底部の回転中心とに連結または連結可能とされていて、パルセータ4や洗濯脱水槽3の回転駆動源となっている。なお、パルセータ4は、洗い行程、すすぎ行程、乾燥行程等において、正転(たとえば、左回転)と反転(たとえば、右回転)とを交互に所定の回数繰り返して、洗濯脱水槽3内の水や洗濯物を攪拌する役目を果たすようになっている。
【0012】
水槽2は、筐体1に固定された吊り板9から吊した吊り棒10及び吊り棒11を利用し、水槽2の下部に設けた吊り棒受け部12にて、吊り棒10及び吊り棒11の下端部に設けられたバネ等の弾性支持部13を支持させることにより、筐体1内で傾動可能になっている。この実施の形態では、水槽2の後側に配した吊り棒11を上下に移動させることで水槽2を傾動させることができるようになっている。なお、この実施の形態で、吊り棒10は水槽2の前方の吊り棒を、吊り棒11は水槽2の後方の吊り棒をそれぞれ表している。また、吊り棒10及び吊り棒11の本数を特に限定するものではなく、たとえば2本ずつ設けるようにすればよい。
【0013】
また、水槽2の外周には、洗濯脱水槽3の底部から出た空気を上方へ流す風路20を備えており、その風路20の内側には、風路20内を流れる空気を除湿する除湿板21が配置されている。この実施の形態では、図1に示すように、風路20は、洗濯脱水槽3とともに空気の循環風路の一部を構成するようになっており、その循環風路の風路20と洗濯脱水槽3との間には、乾燥フィルター22、ファン・モータ23及びヒータ24が配置されている。このファン・モータ23及びヒータ24で、洗濯物を乾燥させる乾燥手段を構成している。
【0014】
筐体1の上面前側部には、洗濯物の出し入れを実行可能な出し入れ口が形成されており、それは扉30で開閉自在となっている。筐体1の上面中間部には、洗剤を入れるための洗剤ケース31が形成されている。筐体1の上面後側部には、給水口32が設けられており、給水口32から取り入れられた水は、分岐弁33で、洗濯脱水槽3内または除湿板21へ切り替えられる。筐体1の底部には、底枠40が配置され、それに遮音板41やゴム足42等が取り付けられている。
【0015】
洗濯脱水槽3の脱水槽側板3Bには、水を排出するための脱水槽孔3aが複数形成されている。また、洗濯脱水槽3の脱水槽側板3Bの上部には、洗濯脱水槽3の回転時におけるバランスをとるための流体バランサー3bが設けられている。この流体バランサー3bの内周で囲まれた範囲が、洗濯物を出し入れするための投入口となっている。さらに、洗濯脱水槽3の脱水槽側板3Bの内側には、水路50が形成されている。この水路50は、パルセータ4の回転時、裏羽根4Bのポンプ作用により押し出された洗濯脱水槽3の底部の水を上方に導くようになっている。
【0016】
図2は、パルセータ4の概略構成を示す斜視図である。図2に基づいて、洗濯乾燥機100に設置可能なパルセータ4の好ましい構成例について詳細に説明する。このパルセータ4は、上述したように、洗濯脱水槽3の底部に回転自在に配置され、投入された洗濯物及び注水された水を攪拌する機能を果たすようになっている。なお、パルセータ4は、図2で示すものに限定するものではない。また、パルセータ4の回転駆動は、モータ5を介して、制御手段により制御されるようになっている。
【0017】
このパルセータ4は、その上面の一端側を低くし、それに対向する他端側を高くしたことによる傾斜面が表面(上面)4Aに形成された円盤状のベース部4aと、このベース部4aの傾斜面から突出してその傾斜面の傾斜方向に沿って延び、ベース部4a中央部を横断する形状の翼部4bとを備え、翼部4bのベース部4a傾斜面からの突出高さを、ベース部4aの高さの低い側から高い側に向かってより高くなるようにしている。また、パルセータ4は、ベース部4a傾斜面の角度を、翼部4bを挟んで相違させている。その場合、一方を洗濯物に対して周方向の力を作用させる急斜面4sに、他方を洗濯物に対して上下方向の力を作用させる緩斜面4gにするとよい。
【0018】
このように、パルセータ4を構成することで、パルセータ4の体積を小さく保ちつつ、洗濯物を上下動させるのに十分な傾斜面を確保することができる。これにより、洗濯/乾燥容量や使用できる水量の減少をできるだけ少なくし、かつパルセータ4を駆動するモータ5の負荷の増大もできるだけ低減しつつ、洗濯物の乾燥性能を向上させることができる。また、パルセータ4に形成した水抜き穴4cは、ベース部4aの高さが高い側よりも低い側の領域に多く設けるようにしている。これにより、水がたまりやすい高さの低い部分からの排水量が増えるため、洗濯脱水槽3からの排水効率が向上する。
【0019】
図3は、パルセータ4の作用を説明するための説明図である。パルセータ4の回転(正転及び反転)時において、急斜面4sは、洗濯物51を水平方向に押し出す力を与えるように作用し(実線矢印A)、緩斜面4gは、洗濯物51を上下移動させるのに作用するようになっている(実線矢印B)。したがって、急斜面4sは、特に洗濯物51の洗い時やすすぎ時に効果を発揮するようになり、緩斜面4gは、特に洗濯物51の乾燥時に効果を発揮するようになっている。
【0020】
パルセータ4は、ベース部4aと翼部4bとが一体成型された一体成型品であってもよく、またベース部4aと翼部4bとを別部材として、それらを結合して構成した組立品であってもよい。また、ベース部4aと翼部4bとを樹脂等により一体成型すれば、部品点数や組み立て作業性の点からコストの低減を図ることが可能になる。一方、ベース部4aと翼部4bと別部品とすれば、乾燥性能の観点から熱伝導性のよい金属材料(たとえば、ステンレススチール等)や、意匠性の観点から適宜に部材を選択することが可能になる。なお、パルセータ4には、翼部4bを1列設けたが、状況に応じて翼部4bを複数列としてもよい。
【0021】
なお、筐体1内には、モータ5の回転数やヒータ24の駆動、ファン・モータ23の駆動、水槽2の傾動等を制御するための図示省略の制御手段が設けられている。この制御手段は、ユーザからの指示に基づいて洗濯乾燥機100全体の動作(洗浄行程や脱水行程、乾燥行程)を統括制御するようになっており、たとえばマイクロコンピュータ等で構成するとよい。また、筐体1内には、洗濯脱水槽3内の洗濯物が乾燥したかどうかを検知するための乾燥検知手段が設けられている。つまり、制御手段は、乾燥検知手段からの乾燥情報に基づいて、乾燥運転の終了を判断するようになっているのである。
【0022】
図4は、洗濯乾燥機100が実行する一連の処理の流れを示す概略フローチャートである。図4に基づいて、洗濯乾燥機100の一連の処理の流れについて説明する。この洗濯乾燥機100は、ユーザによって洗濯脱水槽3に投入された洗濯物の洗い行程と、すすぎ行程と、脱水行程と、乾燥行程とが実行可能なものである。すなわち、洗濯乾燥機100は、ユーザが適宜選択した「運転コース」に応じて、各行程を実行するようになっているのである。
【0023】
(a)初期行程において、洗濯乾燥機100の制御手段は、電源スイッチが投入(ON)されると、洗濯脱水槽3を傾斜させる。そして、制御手段は、ユーザから「運転コース」が設定されると、スタートスイッチを投入(ON)する。
(b)設定された「運転コース」に洗い行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に応じて、洗濯脱水槽3を傾斜させるかどうかを決定する。たとえば、制御手段は、投入された洗濯物が多い場合には、洗濯脱水槽3を直立させた状態で洗う「直立洗い」を実行し、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で洗う「傾斜洗い」を実行する。
【0024】
(c)設定された運転コースにすすぎ行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯脱水槽3を直立させた状態で「直立すすぎ」を実行する。
(d)設定された運転コースに脱水行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に関係なく、洗濯脱水槽3を直立させた状態で脱水する「直立脱水」を実行する。
【0025】
(e)設定された運転コースに乾燥行程が含まれている場合には、制御手段は、投入された洗濯物の量に応じて、洗濯脱水槽3を傾斜させるかどうかを決定する。たとえば、制御手段は、投入された洗濯物が多い場合には、洗濯脱水槽3を直立させた状態で乾燥する「直立乾燥」を実行し、投入された洗濯物の量が少ない場合には、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で乾燥する「傾斜乾燥」を実行する。
(f)終期行程において、制御手段は、自動的に電源スイッチを切り(OFF)、洗濯脱水槽3を傾斜させる。そして、洗濯物の取り出しが完了して扉30が閉じられると、制御手段は、洗濯脱水槽3を直立させ、一連の行程を終了させる。なお、洗濯脱水槽3を傾斜させたままにしてもよい。
【0026】
図5〜図10は、洗濯乾燥機100が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。図5〜図10に基づいて、この実施の形態の特徴事項である乾燥動作シーケンスについて詳細に説明する。この洗濯乾燥機100は、複数の乾燥動作シーケンスが予め設定されており、洗濯脱水槽3内に投入された洗濯物の重量に応じて、乾燥動作シーケンスを選択し、実行するようになっている。ここでは、洗濯物の重量を3段階(定格量程度、中間量程度、少量程度)で、乾燥動作シーケンスを選択する場合を例に説明する。
【0027】
洗濯乾燥機100(制御手段)が実行する乾燥動作シーケンスは、洗濯物が洗濯脱水槽3の側面に張り付かない程度の速度で洗濯脱水槽3及びパルセータ4を同時に一方向に所定のタイミングで回転駆動させる「槽回転乾燥モード」、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正逆交互に回転させる「攪拌乾燥モード」、及び、洗濯脱水槽3を固定し、洗濯物を上下に入れ替える「ほぐしモード」の3つの運転モードを組み合わせ1つの「セット」とし、その「セット」を所定の回数繰り返す「乾燥運転パターン」で構成されている。
【0028】
「槽回転乾燥モード」は、洗濯物に与える機械力が小さいために、洗濯物の布傷みを抑えた乾燥が実現できるようになっている。また、「攪拌乾燥モード」は、図3で説明したように、緩斜面4gの回転が大きいために、洗濯物を上下方向に揺動させる力がより大きく作用し、この上下方向に揺動する力によって洗濯物の間に空間ができ、この空間に温風を送りこむ乾燥が実現できるようになっている。さらに、「ほぐしモード」は、洗濯物の上下を入れ替えることによって、洗濯物の全体に満遍なく温風を接触させることができ、乾燥ムラを低減した乾燥が実現できるようになっている。
【0029】
そして、各運転モードに設定する洗濯脱水槽3及びパルセータ4の回転時間及び停止時間を、洗濯脱水槽3に投入される洗濯物の重量に応じ相違させることによって、複数の「乾燥運転パターン」が設定されている。つまり、各乾燥動作シーケンスは、「乾燥運転パターン」を組み合わせて構成されているのである。このように、乾燥動作シーケンスを複数用意しておくことによって、洗濯物の重量に応じて最適な乾燥行程が実現でき、洗濯乾燥機100の乾燥効率を更に向上させることができるのである。
【0030】
まず、図5及び図6に基づいて、定格量程度の洗濯物が洗濯脱水槽3に投入された場合における乾燥動作シーケンスについて説明する。この場合の乾燥動作シーケンスは、図5及び図6に示すように、3種類の「乾燥運転パターン」で構成されている。つまり、定格量程度の洗濯物が投入された場合には、洗濯乾燥機100は、洗濯脱水槽3を直立させた状態で、乾燥行程を3段階の「乾燥運転パターン」で実行するようになっているのである。なお、図5及び図6では、前半の「乾燥運転パターン」をパターン1とし、中間の「乾燥運転パターン」をパターン2とし、後半の「乾燥運転パターン」をパターン3として示している。
【0031】
パターン1は、たとえば、洗濯脱水槽3を10分間隔で20秒間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.5s(秒)」、停止1「1.4s」、反転「1.5s」、停止2「1.4s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。このようにすれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができる。
【0032】
パターン2は、たとえば、洗濯脱水槽3を20分間隔で40秒間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「3.0s(秒)」、停止1「1.7s」、反転「3.0s」、停止2「1.7s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。このようにすれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができるとともに、パターン1の「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の駆動時間及び停止時間よりも長くすることができる。
【0033】
パターン3は、たとえば、洗濯脱水槽3を30分間隔で60秒間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転3)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「3.0s(秒)」、停止1「1.7s」、反転「3.0s」、停止2「1.7s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。このようにすれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができるとともに、パターン1の「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の駆動時間及び停止時間よりも長くすることができる。
【0034】
以上のように、各パターンにおける洗濯脱水槽3及びパルセータ4の駆動時間及び停止時間を設定すれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも長くすることができるので、定格量程度の洗濯物が投入された場合においても、攪拌によって洗濯物の入れ替わりを大きくすることができ、乾燥効率が向上する。また、各セットの最後に「ほぐしモード」を実行することによって、洗濯物に上下方向の動きを与えることができるので、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0035】
すなわち、定格量程度の洗濯物が投入された場合には、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加(槽回転1〜槽回転3)するとともに、2種類の「攪拌乾燥モード」を段階的に実行することによって、各モードの有する効果を活用でき、乾燥行程全体の効率を向上させているのである。なお、洗濯脱水槽3を直立状態で乾燥行程を実行する場合に限定するものではなく、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で、乾燥行程を実行するようにしてもよい。また、パターン2とパターン3では、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3を回転させるタイミングのみが異なっている。さらに、乾燥行程の終了は、制御手段が乾燥検知手段からの情報に基づいて判断するようにしておくとよい。
【0036】
次に、図7及び図8に基づいて、中間量程度の洗濯物が洗濯脱水槽3に投入された場合における乾燥動作シーケンスについて説明する。この場合の乾燥動作シーケンスは、図7及び図8に示すように、3種類の「乾燥運転パターン」で構成されている。つまり、中間量程度の洗濯物が投入された場合には、洗濯乾燥機100は、洗濯脱水槽3を直立または傾斜させた状態で、乾燥行程を3段階の「乾燥運転パターン」で実行するようになっているのである。なお、図7及び図8では、前半の「乾燥運転パターン」をパターン1とし、中間の「乾燥運転パターン」をパターン2とし、後半の「乾燥運転パターン」をパターン3として示している。
【0037】
パターン1は、たとえば、洗濯脱水槽3を10分間隔で1分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s(秒)」、停止1「2.0s」、反転「0.7s」、停止2「2.0s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0038】
パターン2は、たとえば、洗濯脱水槽3を20分間隔で2分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「2.5s(秒)」、停止1「4.0s」、反転「1.4s」、停止2「4.0s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0039】
パターン3は、たとえば、洗濯脱水槽3を30分間隔で3分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転3)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「4.0s(秒)」、停止1「6.0s」、反転「2.0s」、停止2「6.0s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0040】
以上のように、投入される洗濯物が中間量程度であれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも短くすることで、乾燥効率を更に向上させることができる。また、ベース部4aに緩斜面4g及び急斜面4sを設けているようなパルセータ4を使用する場合には、緩斜面4g側の方向の回転時間(図8では正転時間)を急斜面4s側方向の回転時間(図8では反転時間)よりも長くすれば、洗濯物を高効率で上下方向に揺動させることができ、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0041】
したがって、洗濯乾燥機100は、中間量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスを定格量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスとは異なる乾燥運転パターンで構成することによって、投入された洗濯物の重量に応じた乾燥動作シーケンスを実現できる。また、各セットの最後に「ほぐしモード」を実行することによって、洗濯物に上下方向の動きを与えることができるので、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0042】
すなわち、中間量程度の洗濯物が投入された場合には、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加(槽回転1〜槽回転3)するとともに、「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の回転時間及び停止時間をデューティ比一定の割合で増加(攪拌1〜攪拌3)することによって、各モードの有する効果を活用でき、乾燥行程全体の効率を向上させているのである。また、乾燥行程の終了は、制御手段が乾燥検知手段からの情報に基づいて判断するようにしておくとよい。
【0043】
最後に、図9及び図10に基づいて、少量程度の洗濯物が洗濯脱水槽3に投入された場合における乾燥動作シーケンスについて説明する。この場合の乾燥動作シーケンスは、図9及び図10に示すように、3種類の「乾燥運転パターン」で構成されている。つまり、少量程度の洗濯物が投入された場合には、洗濯乾燥機100は、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で、乾燥行程を3段階の「乾燥運転パターン」で実行するようになっているのである。なお、図9及び図10では、前半の「乾燥運転パターン」をパターン1とし、中間の「乾燥運転パターン」をパターン2とし、後半の「乾燥運転パターン」をパターン3として示している。
【0044】
パターン1は、たとえば、洗濯脱水槽3を10分間隔で1分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.0s(秒)」、停止1「1.4s」、反転「0.6s」、停止2「1.4s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌1)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0045】
パターン2は、たとえば、洗濯脱水槽3を20分間隔で2分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「2.0s(秒)」、停止1「2.8s」、反転「1.2s」、停止2「2.8s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0046】
パターン3は、たとえば、洗濯脱水槽3を30分間隔で3分間回転させる「槽回転乾燥モード」(槽回転3)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「3.0s(秒)」、停止1「4.2s」、反転「1.8s」、停止2「4.2s」で回転及び停止させる「攪拌乾燥モード」(攪拌2)と、洗濯脱水槽3を固定し、パルセータ4を正転「1.3s」、停止1「1.0s」、反転「2.6s」、停止2「1.0s」で回転及び停止させる「ほぐしモード」とによって構成するとよい。
【0047】
以上のように、投入される洗濯物が少量程度であれば、「攪拌乾燥モード」及び「ほぐしモード」におけるパルセータ4の駆動時間を停止時間よりも短くすることで、乾燥効率を更に向上させることができる。また、ベース部4aに緩斜面4g及び急斜面4sを設けているようなパルセータ4を使用する場合には、緩斜面4g側の方向の回転時間(図10では正転時間)を急斜面4s側方向の回転時間(図10では反転時間)よりも長くすれば、洗濯物を高効率で上下方向に揺動させることができ、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0048】
したがって、洗濯乾燥機100は、少量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスを定格量程度の洗濯物が投入された場合、及び中間量程度の洗濯物が投入された場合における乾燥動作シーケンスとは異なる乾燥運転パターンで構成することによって、投入された洗濯物の重量に応じた乾燥動作シーケンスを実現できる。また、各セットの最後に「ほぐしモード」を実行することによって、洗濯物に上下方向の動きを与えることができるので、乾燥効率を更に向上させることができる。
【0049】
すなわち、少量程度の洗濯物が投入された場合には、「槽回転乾燥モード」における洗濯脱水槽3の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加(槽回転1〜槽回転3)するとともに、「攪拌乾燥モード」におけるパルセータ4の回転及び停止時間をデューティ比一定の割合で増加(攪拌1〜攪拌3)することによって、各モードの有する効果を活用でき、乾燥行程全体の効率を向上させているのである。また、乾燥行程の終了は、制御手段が乾燥検知手段からの情報に基づいて判断するようにしておくとよい。なお、洗濯脱水槽3を傾斜させた状態で乾燥行程を実行する場合に限定するものではなく、洗濯脱水槽3を直立させた状態で、乾燥行程を実行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る洗濯乾燥機の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】パルセータの概略構成を示す斜視図である。
【図3】パルセータの作用を説明するための説明図である。
【図4】洗濯乾燥機が実行する一連の処理の流れを示す概略フローチャートである。
【図5】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図6】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図7】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図8】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図9】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【図10】洗濯乾燥機が実行する乾燥動作シーケンスを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 筐体、2 水槽、3 洗濯脱水槽、3A 底面、3B 脱水槽側板、3a 脱水槽孔、3b 流体バランサー、4 パルセータ、4A 上面、4B 裏羽根、4a ベース部、4b 翼部、4c 水抜き穴、4g 緩斜面、4s 急斜面、5 モータ、6 回転伝達軸、9 吊り板、10 吊り棒、11 吊り棒、12 吊り棒受け部、13 弾性支持部、20 風路、21 除湿板、22 乾燥フィルター、23 ファン・モータ、24 ヒータ、30 扉、31 洗剤ケース、32 給水口、33 分岐弁、40 底枠、41 遮音板、42 ゴム足、50 水路、51 洗濯物、100 洗濯乾燥機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に吊り下げ支持された水槽と、
前記水槽内に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽の底部に、回転自在に設けられたパルセータと、
前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御する制御手段とを備えた洗濯乾燥機であって、
前記制御手段は、
前記洗濯脱水槽内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御する
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記乾燥動作シーケンスを、
洗濯物が前記洗濯脱水槽の側面に張り付かない程度の速度で前記洗濯脱水槽及び前記パルセータを同時に一方向に回転駆動させる槽回転乾燥モードと、
前記洗濯脱水槽を固定し、前記パルセータを正逆交互に回転駆動させる攪拌乾燥モードと、
前記洗濯脱水槽を固定し、洗濯物を上下に入れ替えるほぐしモードと、を組み合わせたセットを所定の回数繰り返す乾燥運転パターンで構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥運転パターンは、
前記槽回転乾燥モードにおける前記洗濯脱水槽の駆動タイミングと、
前記攪拌乾燥モードにおける前記パルセータの駆動時間及び停止時間とを、前記洗濯脱水槽に投入される洗濯物の重量に応じ、相違させることによって設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記制御手段は、
定格量程度の洗濯物が前記洗濯脱水槽に投入された場合、
前記槽回転乾燥モードにおける前記洗濯脱水槽の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加させるとともに、
前記攪拌乾燥モード及び前記ほぐしモードにおける前記パルセータの駆動時間を、前記パルセータの停止時間よりも長く設定した
ことを特徴とする請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記制御手段は、
中間量程度または少量程度の洗濯物が前記洗濯脱水槽に投入された場合、
前記槽回転乾燥モードにおける前記洗濯脱水槽の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加させるとともに、
前記攪拌乾燥モード及び前記ほぐしモードにおける前記パルセータの駆動時間及び停止時間をそれぞれデューティ比一定の割合で増加させる
ことを特徴とする請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に吊り下げ支持された水槽と、
前記水槽内に回転自在に設けられた洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽の底部に、回転自在に設けられたパルセータと、
前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御する制御手段とを備えた洗濯乾燥機であって、
前記制御手段は、
前記洗濯脱水槽内に投入される洗濯物の重量に応じて、予め設定されている複数の乾燥動作シーケンスの中から所定の乾燥動作シーケンスを選択し、この乾燥動作シーケンスに基づいて前記洗濯脱水槽及び前記パルセータの駆動を制御する
ことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記乾燥動作シーケンスを、
洗濯物が前記洗濯脱水槽の側面に張り付かない程度の速度で前記洗濯脱水槽及び前記パルセータを同時に一方向に回転駆動させる槽回転乾燥モードと、
前記洗濯脱水槽を固定し、前記パルセータを正逆交互に回転駆動させる攪拌乾燥モードと、
前記洗濯脱水槽を固定し、洗濯物を上下に入れ替えるほぐしモードと、を組み合わせたセットを所定の回数繰り返す乾燥運転パターンで構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記乾燥運転パターンは、
前記槽回転乾燥モードにおける前記洗濯脱水槽の駆動タイミングと、
前記攪拌乾燥モードにおける前記パルセータの駆動時間及び停止時間とを、前記洗濯脱水槽に投入される洗濯物の重量に応じ、相違させることによって設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記制御手段は、
定格量程度の洗濯物が前記洗濯脱水槽に投入された場合、
前記槽回転乾燥モードにおける前記洗濯脱水槽の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加させるとともに、
前記攪拌乾燥モード及び前記ほぐしモードにおける前記パルセータの駆動時間を、前記パルセータの停止時間よりも長く設定した
ことを特徴とする請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記制御手段は、
中間量程度または少量程度の洗濯物が前記洗濯脱水槽に投入された場合、
前記槽回転乾燥モードにおける前記洗濯脱水槽の駆動時間をデューティ比一定の割合で増加させるとともに、
前記攪拌乾燥モード及び前記ほぐしモードにおける前記パルセータの駆動時間及び停止時間をそれぞれデューティ比一定の割合で増加させる
ことを特徴とする請求項3に記載の洗濯乾燥機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−264209(P2008−264209A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−111381(P2007−111381)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】
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