説明

洗濯乾燥機

【課題】簡単な構成でサニタリ空間に抗菌作用及び消臭作用を及ぼすとともに、暖房することができる洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯乾燥機100の筐体1の内側上部には、送風ファン70、イオン発生器74及びヒータ72がユニット化された状態で支持されている。送風ファン70の吐出側には導入管64が連結され、該導入管64の、ヒータ72の少し下流側には導入管64から分岐するように、送出管81が連結されている。送出管81は筐体1の天板に沿って洗濯乾燥機100の前側に延び、筐体1の前面上部に設けられた吹出口83に繋がっている。送出管81の導入管64との連結部には、ダンパ82が設けられている。ダンパ82により導入管64を閉じることで、イオン発生器74によりイオンを発生させられ、ヒータ72により加熱された空気が送出管81を経て吹出口83から吹き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯槽の内部で回転する回転ドラムから空気を吸い込む送風装置、該空気を加熱するヒータ、並びにプラスイオン及びマイナスイオンを発生させるイオン発生装置をが設けられた乾燥風路を備える洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年広く普及しているドラム式の洗濯乾燥機は、有底円筒状の洗濯槽を、横姿勢又は斜め横姿勢で筐体内に支持し、この洗濯槽の内部に、同軸上にて回転する有底円筒状の回転ドラムを収容して構成されている。そして、洗濯乾燥機は洗濯槽及び回転ドラム内に乾燥風を循環させる乾燥風路を備え、該乾燥風路には、回転ドラムの空気を吸い込む送風装置、及び該空気を加熱するヒータが設けられている。
【0003】
洗濯槽及び回転ドラムは、同側に開口する開口部を有しており、洗濯運転時に、洗濯物は、前記開口部を経て回転ドラムの内部に投入され、洗濯槽及び回転ドラムの底部に溜まる洗濯水中に浸され、回転ドラムの回転による持ち上げ及び落下を繰り返し、落下時に回転ドラムの周面に叩きつけられて洗濯される。そして、乾燥運転時に、洗濯物は洗濯運転と同様に回転ドラムの回転による持ち上げ及び落下を繰り返され、乾燥風路を循環する乾燥風と繰り返し接触し、水分を奪われて乾燥させられる。
【0004】
通常、洗濯乾燥機は洗面/脱衣場(以下、サニタリ空間という)に設置される。洗濯乾燥機が設置されるサニタリ空間は、湿気が多く、また、汗、皮脂、及び飲食物等が付着した洗濯物が運び込まれる。従って、サニタリ空間においてはカビが生じ、悪臭が発生し易いという問題がある。
この問題を解決するためには、サニタリ空間の換気及び清掃が有効である。しかしながら、洗濯乾燥機は固定され、動かすことができないこともあり、ユーザがサニタリ空間内の換気及び清掃を十分に行なうことは困難である。
【0005】
この問題の解決を図ったものとして、機外のサニタリ空間に除菌・消臭作用を及ぼすイオンを供給するように構成された洗濯乾燥機が提案されている(例えば特許文献1及び2)。
特許文献1の洗濯乾燥機においては、乾燥風路に、送風装置及びヒータに加えて、プラスイオン及びマイナスイオンを発生させるイオン発生装置が設けられている。乾燥運転時に、乾燥風にイオン発生装置によりイオンが発生させられ、このイオンを含む乾燥風と繰り返し接触することで洗濯物の除菌・消臭が図られるとともに、乾燥風路の除菌・消臭が図られる。この洗濯乾燥機においては、洗濯、脱水若しくは乾燥の運転中、又はこれらの運転の間若しくは乾燥運転終了後の独立した運転として、機外に、イオンを発生させられた空気を送出するイオン風送出運転が行われるように構成されている。
【0006】
特許文献2の洗濯乾燥機は、イオン発生器が発生させたイオンを含む空気を機外へ送風するための送風口を筐体の前面に開設し、該送風口から送風された空気を前記前面に沿って下方へ案内するように構成されている。この洗濯乾燥機によれば、イオンを含む空気は、サニタリ空間の特に汚染されやすい、洗濯乾燥機の手前の床に到達して、集中的に消臭及び抗菌が行われ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4568789号公報
【特許文献2】特許第4698750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サニタリ空間は快適であることが求められているが、冬期は水を扱うこともあってより寒く感じられるという問題がある。
特許文献1及び特許文献2の洗濯乾燥機においては、乾燥運転時に用いられる送風装置を駆動して、サニタリ空間の空気を吸い込み、吹き出すことでイオンを放出しているが、冬場等で吸い込む空気の温度が低い場合、これに対応して低温の空気が吹き出してくることになる。従って、上述の問題を解決することはできない。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でサニタリ空間に抗菌作用及び消臭作用を及ぼすとともに、暖房することができる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る洗濯乾燥機は、洗濯物の投入口が設けられた筐体と、該筐体内に設けられた洗濯槽と、該洗濯槽の内部で回転する回転ドラムと、該回転ドラムの空気を吸い込む送風装置と、該送風装置が吐出した空気を前記回転ドラムへ通流する通流路と、該通流路に設けられており、前記空気にイオンを発生させるイオン発生装置、及び前記空気を加熱するヒータとを備える洗濯乾燥機において、前記イオンを発生させられ、加熱された空気を外部へ送り出す空気送出手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、サニタリ空間にイオンを供給するとともに、温風を供給することができる。従って、サニタリ空間において、黒カビ等の菌の発生を抑制する抗菌作用、及び消臭作用が得られ、同時に暖房を行うことができる。
【0012】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記空気送出手段は、前記イオン発生装置及び前記ヒータの下流側で前記通流路から分岐した送出路と、前記筐体に設けられ、前記送出路を通流する前記空気を吹き出す吹出口と、前記送風装置、前記イオン発生装置、及び前記ヒータを作動させる運転制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、イオン発生装置によりイオンを発生させられ、ヒータにより加熱された空気(以下、イオン温風という)を回転ドラムへ供給する通流路から分岐した送出路を有しており、該送出路によりイオン温風を送り出し、吹出口から機外へ吹き出させる。従って、既存の部品を利用した簡単な構成で、抗菌、消臭、及び暖房効果が得られる。
【0014】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記送出路と、前記通流路の回転ドラムへ導入される部分とに、前記空気を通流させる部分を切り替える切替手段を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、イオン温風の送出先を随意のタイミングで容易に切り替えることができる。
【0016】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記運転制御手段は、前記送風装置のモータの回転数を変えて作動させるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、ルーバー等の風向を変える部品を備えることなく、イオン温風をサニタリ空間の洗濯乾燥機設置場所から遠い部分、及び近い部分に容易に供給することができる。
【0018】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記運転制御手段は、前記送風装置の作動の開始時点から所定の時間が経過するまで、前記回転数を変えて前記送風装置を作動させるのを繰り返すように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、サニタリ空間におけるイオン分布の均一化、及び暖房の安定化が図られる。
【0020】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記モータの設定回転数を受け付ける手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、ユーザの好みにより、モータの運転音を抑制した「弱」モード、イオン温風供給効果を優先した「強」モード、又は「自動設定」モードを選択することができ、利便性が良好である。
【0022】
本発明に係る洗濯乾燥機は、前記空気送出手段は、前記筐体の前記投入口が開いた場合に、前記回転ドラムを作動させず、前記送風装置、前記イオン発生装置、及び前記ヒータを作動させる手段を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、筐体の投入口から機外の空気を吸い込み、イオン温風を機外へ吐出するので、イオン温風を機外へ送り出すための送出路、及び吹出口等を設ける必要がない。また、洗濯物が回転ドラムにない状態でイオン温風を循環させるので、通流路、回転ドラム、及び洗濯槽を乾燥させることができ、イオンにより黒カビの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、簡単な構成でサニタリ空間にイオンを供給するとともに、温風を供給することができ、サニタリ空間に抗菌作用及び消臭作用を及ぼすとともに、暖房することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1に係る洗濯乾燥機の外観を略示する斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る洗濯乾燥機の内部構成を略示する縦断面図である。
【図3】導出ダクト及び導入ダクトの形成態様を示す図である。
【図4】ドラムモータの支持部近傍の拡大断面図である。
【図5】イオン発生器の側面図である。
【図6】送出管と導入管との連結部の拡大図である。
【図7】運転制御部によるイオン温風送出処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】送風ファンのモータの回転数を変更した状態を示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る洗濯乾燥機の内部構成を略示する縦断面図である。
【図10】導出ダクト及び導入ダクトの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る洗濯乾燥機100の外観を略示する斜視図、図2は、洗濯乾燥機100の内部構成を略示する縦断面図である。洗濯乾燥機100は、公知の洗濯運転、脱水運転、及び乾燥運転とともに、ユーザの指示により、機外へイオン温風を送出するイオン温風送出運転、又はイオン風を送出するイオン風送出運転を実行することができるように構成されている。すなわち、機外にイオンを供給するとき、後述するヒータ72への通電を「オン」又は「オフ」に設定でき、イオンを温風で送出する「温風」モード、又はイオンをサニタリ空間の室温の風で送出する「送風」モードを設定できるように構成されている。
【0027】
図2に示すように、洗濯乾燥機100は、外装を構成する筐体1の内部に洗濯槽2及び回転ドラム3を備えている。洗濯槽2は、一端側に全面に亘って設けられた開口部20を有する大径の有底円筒状をなし、筐体1の底面に立設された複数本の支持脚21(1本のみ図示)により、開口部20の側を上向きとし、水平面に対して軸心を傾けた傾斜状態で弾性支持されている。
【0028】
筐体1の前面(図2の左側面)には、洗濯槽2の開口部20を臨む位置に、蓋体10により開閉自在に洗濯物の投入口11が開設してあり、この投入口11と洗濯槽2の開口部20との間は、ベローズ12により液密に封止されている。図1に示すように、筐体1の前面には、蓋体10の近傍にドア開ボタン13が設けられている。蓋体10は、ドア開ボタン13の操作により開放される。
【0029】
回転ドラム3は、洗濯槽2より少し小径の有底円筒状をなし、洗濯槽2の底部中央に固設されたドラムモータ4の出力軸40の端部に底面を固定し、一端側の開口部30を洗濯槽2の開口部20の内側に臨ませた状態で支持されている。このように支持された回転ドラム3は、ドラムモータ4の駆動により、洗濯槽2の内部で回転する。回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が全面に亘って貫通形成されており、また周壁内面には、軸長方向に延びるバッフル33が、周方向に等配をなして複数突設されている。なお図2中には、多数の小孔32のうちの一部と、一つのバッフル33とを図示している。
【0030】
図1に示すように、筐体1の前面上部には、各種の操作のための操作部及び各種の表示のための表示部を備える操作パネル15が設けられている。該操作パネル15は、筐体1の上部内側に設けた運転制御部16(図2参照)に接続されている。洗濯運転、脱水運転、乾燥運転、及びイオン温風送出運転又はイオン風送出運転は、操作パネル15の操作に応じた運転制御部16の動作により実行される。
【0031】
図1に示すように筐体1の後部上面には、水道等の給水源との接続が可能な接続部50が設けられている。図2に示すように接続部50は、筐体1の内側に設けた給水弁51に接続されている。給水弁51は、複数の給水出口を有する多連形の電磁弁であり、運転制御部16の指令に応じて、閉止位置を含む複数の切り替え位置間で切り換え動作する。
【0032】
給水弁51の第1給水出口は、給水管52を介して洗濯槽2の上部周面に開口する給水口に接続されている。給水弁51が第1給水出口に切り替えられた場合、給水源からの水は、給水管52を経て洗濯槽2の内部へ送り込まれる。給水管52は、洗濯槽2の上部に沿って前方に延長し、公知の洗剤ケースに接続され、該洗剤ケース内に予め収容された適量の洗剤を給水と共に洗濯槽2内に送り込むように構成することにしてもよい。
【0033】
給水弁51の第2給水出口は、冷却水管55を介して、洗濯槽2の前下部に連結されている。洗濯槽2には、下部周面に軸長方向に延びる凹溝22が形成されており、該凹溝22の上部を覆うように冷却板23が架設されている。冷却板23は、後部を下として傾斜しており、上表面に複数の凹部が並設されている。
【0034】
凹溝22の後端部には、排水管24が接続されている。該排水管24は、筐体1内側の前下部に固定支持された筒形のフィルタケース25に接続されている。フィルタケース25の内部には、繊維屑等の異物を捕捉するリントフィルタが収容されている。
【0035】
フィルタケース25の後部は、排水弁26を介して筐体1の底面に沿って敷設された排水ホース27に接続されている。フィルタケース25の前側上部には、エアトラップ28が設けられている。エアトラップ28は、フィルタケース25内部に連通する空気室である。エアトラップ28には、上方に延びる導圧管28aが接続されており、該導圧管28aの上端部には水位センサ29が取付けられている。
【0036】
排水弁26が閉じている場合、洗濯槽2の内部に給水される洗濯水は、排水管24を経てフィルタケース25内に入り、該フィルタケース25内を満たした後、排水管24及び洗濯槽2の内部に溜まる。エアトラップ28の内部には、フィルタケース25に洗濯水が充満した後に空気が取り残される。エアトラップ28内の空気圧は、フィルタケース25を底として溜まる洗濯水の水位の上昇に応じて大きくなる。水位センサ29は、導圧管28aを介して伝播するエアトラップ28内の空気圧を検出する圧力センサである。水位センサ29の検出信号は、運転制御部16に与えられる。運転制御部16は、水位センサ29の検出信号に基づいて洗濯水の水位を認識する。
【0037】
洗濯運転は、ユーザにより蓋体10を開放し、投入口11の内側に位置する開口部20,30から回転ドラム3内に洗濯物を投入し、前記蓋体10を閉止した後、運転制御部16が給水弁51を第1給水出口に切り替え、給水管52から洗濯槽2の内部へ給水し、ドラムモータ4を駆動して回転ドラム3を回転させることにより実施される。前述したように回転ドラム3は、多数の小孔32と複数のバッフル33とを備えており、水は小孔32を経て回転ドラム3内に入る。回転ドラム3内の洗濯物は、バッフル33による持ち上げ及び落下が繰り返されて洗濯される。
【0038】
洗濯運転の後に排水弁26が開放される。この開放により洗濯槽2内の洗濯水は、排水管24及びフィルタケース25を経て排水ホース27へ排水される。排水に含まれる繊維屑等の異物は、フィルタケース25内のリントフィルタに捕捉、除去されるので、排水ホース27を経て下水管に排出される虞れがない。
【0039】
そして、給水弁51を第2給水出口に切り替えた場合、この切り替えにより給水源からの給水は、冷却水管55を通って前記冷却板23の前上部に送り込まれ、複数の前記凹部内に順次滞留しながら冷却板23の上表面に沿って後方に流れる。この給水は、後述する乾燥運転において、乾燥風を冷却する冷却水として使用される。
【0040】
洗濯乾燥機100は、乾燥風を循環させる乾燥風路(通流路)を備えている。乾燥風路は、洗濯槽2の底面に沿って延び、該洗濯槽2と一体形成された導出ダクト60及び導入ダクト61を有している。図3は、導出ダクト60及び導入ダクト61の形成態様を示す図である。図3は、洗濯槽2の底面を前方から見た状態を略示しており、図の上下は、図2の上下に対応している。なお、洗濯槽2の外面には、強度確保のための多数のリブが設けてあるが、図3においては、これらのリブの図示を省略している。
【0041】
図3に示すように、導出ダクト60は、洗濯槽2の底面の最下部で周方向に適宜の長さを有して延び、一側端部で斜め上方に立ち上がるように設けられている。図3には、洗濯槽2の下部周面に前述のように形成された凹溝22、及び該凹溝22の上部に架設した冷却板23も図示している。導出ダクト60の下部は、冷却板23の後位置で洗濯槽2内に開口する導出口62に連通している。導出ダクト60の上端部は、洗濯槽2の上部周面に上向きに突設された導出管63に連通している。
【0042】
導入ダクト61は、洗濯槽2の底面中央部に同軸をなして設けた円形部と、該円形部に連続し、斜め上方に立ち上がる直線部とを備えている。直線部の上端部は、洗濯槽2の上部周面に上向きに突設された導入管64に連通している。また円形部の中心位置には、ドラムモータ4の出力軸40が突出しており、この突出部と同軸に、洗濯槽2の内部に向けて開口する円形断面の導入口65が開設されている。
【0043】
図4は、ドラムモータ4の支持部近傍の拡大断面図である。図中に一部を示すドラムモータ4の出力軸40は、軸受41により回転自在に支持され、洗濯槽2の内側に向けて突出しており、この突出端部は、連結ブラケット42を介して回転ドラム3の底面の中心位置に固定されている。連結ブラケット42と回転ドラム3との間には、薄肉の封止板66が挾持固定されている。封止板66の外周には、導入ダクト61の末端の導入口65の内側に対向する鍔部が周設され、該鍔部の外面には、導入口65に内嵌固定されたオイルシール67が当接している。
【0044】
回転ドラム3の底面には、連結ブラケット42の固定部よりも外側の周上に並ぶ複数の導入孔34が開設してあり、これらの導入孔34は、封止板66の対応位置に設けられた連通孔68を介して導入口65に連通している。
【0045】
図2に示すように、洗濯槽2の上部には、乾燥風を起風する送風ファン70が配されている。該送風ファン70は、吸込側のフィルタ71と、吐出側のイオン発生器74及びヒータ72と共にユニット化され、筐体1の内部に固定支持されている。洗濯槽2の上部に突出する導出管63の端部は、送風ファン70の吸込側に連結され、同じく導入管64の端部は、送風ファン70の吐出側に連結されている。
【0046】
図5は、イオン発生器74の側面図である。
イオン発生器74は、2つのイオン発生部741,742と、イオン発生部741,742に給電する給電部(図示せず)と、イオン発生部741,742及び給電部を保持するケース743とを備える。イオン発生部741,742は、放電電極凸部741a,742aと、該放電電極凸部741a,742aを囲繞する誘電電極環741b,742bとを備える。給電部によりイオン発生部741,742に交流高電圧が印加されることによって、イオン発生部741,742がプラズマ放電し、イオン発生部741がプラスイオンを、イオン発生部742がマイナスイオンを発生させる。
【0047】
導入管64の、ヒータ72の少し下流側には導入管64から分岐するように、送出管(送出路)81が連結されている。送出管81は筐体1の天板に沿って洗濯乾燥機100の前側に延び、筐体1の前面上部に、操作パネル15に隣接して設けられた吹出口83に繋がっている。送出管81の導入管64との連結部には、通気口81aが形成されており、通気口81aの端部には、ダンパ82が設けられている。
【0048】
図6は、前記連結部の拡大図である。ダンパ82は、前記連結部の端部に設けられた支持軸82aにより支持され、図示しない駆動手段により、通気口81aを塞ぐ位置(図6A)と、導入管64を塞ぐ位置(図6B)との間で回動されるように構成されている。
図6Aに示す位置においては、送風ファン70が吐出した空気は導入管64に送り出され、図6Bに示す位置においては、送風ファン70が吐出した空気はイオン温風は送出管81のみに送り出される。
【0049】
乾燥運転は、送風ファン70を駆動し、ヒータ72及びイオン発生器74を動作させると共に、ドラムモータ4を駆動し、回転ドラム3を低速度で反復回転させ、さらに、給水弁51を第2給水出口に切り替え、冷却板23上に冷却水を流すことにより行われる。
ダンパ82は図6Aに示す位置に回動され、送風ファン70の吸込側に連結された導出管63から乾燥風が吸い込まれて加圧され、イオン発生器74でイオンを発生させられ、ヒータ72で加熱されて、吐出側に連結された導入管64へ送り出される。導入管64から導入ダクト61内へ送り出された乾燥風は、洗濯槽2の外周から中央に向けて流れて導入口65に達し、連通孔68及び導入孔34を通って回転ドラム3内に導入される。回転ドラム3内に導入された乾燥風は、周壁に形成された多数の小孔32を通って洗濯槽2内に流出し、上述したように形成された導出口62を経て導出ダクト60内へ導出され、送風ファン70に再度吸い込まれる。
【0050】
回転ドラム3の内部の洗濯物は、該回転ドラム3の回転による持ち上げ及び落下を繰り返される。回転ドラム3内に導入される乾燥風は、回転ドラム3内の洗濯物に当たり、該洗濯物の水分を奪って洗濯槽2内に流出し、該洗濯槽2の底面下部に開口する導出口62に向かって流れる。このように流れる乾燥風は、冷却板23上の冷却水と接触して冷却され、含有水分を凝縮除去された低湿の乾燥風となって導出口62に達し、導出ダクト60内に送り出される。なお、凝縮除去された水分は、冷却板23上を冷却水と共に後側に流れ、後端部に達して凹溝22内に流れ落ち、排水管24及びフィルタケース25を通って排水ホース27内へ排水される。
【0051】
一方、低湿の乾燥風は、導出ダクト60内を上昇し、導出管63を経て送風ファン70に吸い込まれて加圧され、イオン発生器74により再度イオンを発生させられ、ヒータ72により再度加熱されて高温、低湿のイオン温風として導入ダクト61内を下降し、回転ドラム3の内部に導入される。回転ドラム3内の洗濯物は、以上のように、冷却及び加熱を伴って循環する乾燥風と接触を繰り返すことで乾燥させられる。
【0052】
この乾燥運転時に、上述したように乾燥風にイオン発生器74によりイオンが発生させられているので、これと接触する洗濯物の除菌・消臭が行われるとともに、乾燥風路の除菌・消臭が行われる。
【0053】
以下に、イオン温風送出処理について詳述する。
図2に示すように、筐体1の後面上部には吸気管53が設けられ、吸気管53は導出ダクト60に接続されている。吸気管53の中途部に設けられた吸気弁54を開くことにより、外気が導出ダクト60内へ吸気されるように構成されている。
イオン温風送出運転においては、運転制御部16は、乾燥運転の終了後、送風ファン70、ヒータ72、及びイオン発生器74を作動させ、吸気弁54を開き、外気を吸気できるようにする。そして、図6Bに示すようにダンパ82により導入管64を閉塞し、送風ファン70が吸気管53から吸い込んだ外気にイオンを発生させ、加熱して得られたイオン温風を送出管81を経て吹出口83へ送り出す。
【0054】
送風ファン70のモータの回転数は変更できるように構成されており、運転制御部16は、以下のように回転数を制御する。ここで、回転数は、「大」と「小」の2段階に設定されているとする。
【0055】
図7は、運転制御部16によるイオン温風送出処理の手順を示すフローチャートである。運転制御部16は図示しないタイマを備えている。
まず、運転制御部16は、イオン温風送出処理の開始時点からの計時を開始し、nを「0」にリセットする(S1)。
次に、運転制御部16は、送風ファン70のモータの回転数を「大」に設定し、この回転数で所定時間(例えば10分間)、送風ファン70を運転する(S2)。
運転制御部16は、送風ファン70のモータの回転数を「小」に設定し、この回転数で所定時間(例えば10分間)、送風ファン70を運転する(S3)。
【0056】
そして、運転制御部16は、nの値をインクリメントする(S4)。
運転制御部16は、所定時間(例えば2時間等)が経過したか否かを判定する(S5)。
所定時間が経過していないと判定した場合(S5:NO)、処理をステップS2へ戻す。
運転制御部16は所定時間が経過したと判定した場合(S5:YES)、送風ファン70のモータの回転数を「大」に設定し、この回転数で所定時間(例えば10分間)、送風ファン70を運転し(S6)、処理を終了する。
【0057】
図8は、送風ファン70のモータの回転数を変更した状態を示す模式図である。
モータの回転数を「大」に設定した場合、強風が生じ、多量のイオン温風が吹出口83から吹き出し、図8の矢符aで示すように、サニタリ空間の洗濯乾燥機100から遠い部分へ流れる。
モータの回転数を「小」に設定した場合、風力は弱く、吹出口83から吹き出すイオン温風の量は少なく、矢符bで示すように、サニタリ空間の洗濯乾燥機100の手前部分へ流れる。
このようにモータの回転数を大小に変更するのを繰り返すことにより、イオン温風がサニタリ空間全体に行き渡り、イオン分布の均一化、及び暖房の安定化が図られる。
なお、モータの回転数の大小は2段階に設定する場合に限定されるものではなく、3段階以上に設定することにしてもよい。例えば3段階に設定した場合、図8の破線矢印で示すように、「大」と「小」の中間位置にイオン温風が流れる。また、段階的ではなく、連続的にモータの回転数を変更することにしてもよい。
【0058】
このイオン温風送出運転時の送風ファン70のモータの回転数は、ユーザにより設定できるように構成してもよい。
この場合、操作パネル15に示される設定画面において、上述したように回転数を大小に変更するのを繰り返す「自動」モードと、回転数が「大」である状態を維持する「強」モードと、回転数が「小」である状態を維持する「弱」モードに対応するボタンが表示され、ユーザが、選択したモードのボタンを押圧することにより、モードが設定されるように構成する。
「弱」モードにより、送風ファン70のモータの運転音を抑制することができ、「強」モードにより、イオン温風を遠くまで流すことができ、利便性が良好である。
【0059】
本実施の形態においては、イオン温風送出運転を行うことにより、サニタリ空間にイオンを供給するとともに、温風を供給することができる。従って、サニタリ空間において、黒カビ等の菌の発生を抑制する抗菌作用、及び消臭作用が得られ、暖房を同時に行うことができる。サニタリ空間は快適な空間となり、積極的に使用され得るようになる。
このイオン温風送出処理は、洗濯、若しくは脱水運転中、又は洗濯、脱水、及び乾燥の運転間に行うことも可能である。イオン温風送出処理をいずれの時点で行うかの指示をユーザより受け付けることにしてもよい。
前記運転時又は運転間にイオン温風送出処理を行うことにより、サニタリ空間を快適な環境に保つことができ、運転時又は運転間にサニタリ空間にユーザが入る場合、及び乾燥運転の終了後にユーザが洗濯物を取り出す場合に、快適な環境下で作業を行うことができる。
さらに、イオン温風送出処理を乾燥運転中に行うことにしてもよい。この場合、運転制御部16はダンパ82を斜め方向に回動させ、イオン温風を送出管81及び導入管64の両方に通流させる。乾燥効率の低下を抑制するために、ダンパ82の傾き、又は送出管81及び導入管64の内径を適宜の値に設定し、導入管64へ通流するイオン温風の量を多くしてもよい。
【0060】
そして、本実施の形態においては、イオン発生器74によりイオンを発生させられ、ヒータ72により加熱されたイオン温風を回転ドラム3へ供給する乾燥風路から分岐した送出管81を有しており、該送出管81を経て吹出口83からイオン温風を機外へ吹き出させるので、乾燥風路を利用した簡単かつ安価な構成で、消臭、抗菌、及び暖房効果が得られる。また、吹出口83にルーバー、それに付随するモータ及び歯車等を備えることなく、送風ファン70のモータの回転数を変えることで、サニタリ空間全体にイオン温風が行き渡るようにして、イオン供給効果及び暖房効果を高めることができる。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、ユーザの好みにより「送風」モード又は「温風」モードを選択できるように構成されているので、室温が高い場合には、「送風」モードにしてイオン風を吹出口83から機外へ送出し、ユーザに心地よい風を供給することができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、送風ファン70の下流側に、イオン発生器74及びヒータ72をこの順に配置した場合につき説明しているが、これに限定されるものではない。また、ユーザの指示によりイオン温風送出処理を実行する場合につき説明しているがこれに限定されるものではなく、運転制御部16が自動的に実行することにしてもよい。
【0063】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係る洗濯乾燥機200の内部構成を略示する縦断面図、図10は導出ダクト60及び導入ダクト61を示す拡大図である。図9において、蓋体10を開けた状態を示している。図9、及び図10中、図2、及び図3と同一部分は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態2に係る洗濯乾燥機200は、イオン温風を外部へ送り出す送出管81、ダンパ82、イオン温風を吹き出す吹出口83、吸気管53、及び吸気弁54を備えないこと、並びに運転制御部16によるイオン温風送出処理が異なること以外は、実施の形態1に係る洗濯乾燥機100と同様の構成を有する。そして、洗濯乾燥機100と同様に、洗濯乾燥機200において、機外にイオンを供給するとき、ユーザにより、イオンをサニタリ空間の室温の風で送風する「送風」モード、及び温風で送風する「温風」モードのいずれかを設定できるように構成されている。
【0064】
洗濯乾燥機200において、乾燥運転の終了後にイオン温風送出運転を行う場合、ユーザは蓋体10を開き、操作パネル15において開始ボタンを押圧する。運転制御部16は、蓋体10が開いていることを検知し、イオン温風送出処理の開始の指示を受け付けたと判定した場合、回転ドラム3は作動させず、送風ファン70、イオン発生器74、及びヒータ72を作動させる。このとき、冷却水管55には水を通流させない。
【0065】
送風ファン70から吐出され、イオン発生器74によりイオンを発生させられ、ヒータ72により加熱されて得られたイオン温風は、矢符で示すように、導入管64及び導入ダクト61を経て導入口65から回転ドラム3内へ導入される。そして、蓋体10が開けられているので、イオン温風は直接開口部20から機外へ吹き出す。また、サニタリ空間の空気は、開口部20から導出口62、導出ダクト60、導出管63を経て送風ファン70に吸い込まれ、イオンを発生させられ、加熱されて、導入ダクト61により回転ドラム3内へ導入される。
【0066】
本実施の形態においては、イオン温風を機外へ送り出すための送出管、吹出口、通風を切り替えるためのダンパ、吸気口等を設けることなく、従来の乾燥風路を活用して、イオン温風を機外へ送出することができる。イオン温風は直接開口部20から機外へ吹き出すので、サニタリ空間が効率良く抗菌化、消臭されるとともに暖房され得る。
また、乾燥風路、洗濯物が存在しない回転ドラム3、及び洗濯槽2を乾燥させることができ、イオンにより黒カビの発生を抑制することができる。
【0067】
そして、蓋体10が閉じており、ユーザからの開始の指示を受け付けていない場合には送風ファン70、イオン発生器74、及びヒータ72を作動させず、ユーザの意思によりイオン温風送出処理を実行するので、使用性及び安全性が良好である。なお、乾燥運転の終了後、運転制御部16が、蓋体10が開いていることを検知し、所定時間が経過した場合にイオン温風送出処理を実行することにしてもよい。
さらに、ユーザにより「送風」モード又は「温風」モードが選択できるように構成されているので、室温が高い場合には、「送風」モードにして、ユーザに心地よい風を供給することができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、イオン温風が導入ダクト61により水槽2の底面中央部へ導入される場合につき説明しているが、これに限定されるものではない。乾燥風の乾燥風路として、回転ドラム3の開口の縁部から乾燥風が導入されるように構成されているものであってもよく、この場合、イオン温風は前記縁部から回転ドラム3へ導入され、回転ドラム3の底面で反射して開口部20から機外へ送出される。
【0069】
また、以上の実施の形態1及び2においては、洗濯槽2及び回転ドラム3が、斜め横姿勢に支持された洗濯乾燥機、所謂、斜めドラム式の洗濯乾燥機について説明したが、本発明は、洗濯槽2及び回転ドラム3が横姿勢又は縦姿勢に支持された洗濯乾燥機にも適用可能であり、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1 筐体
2 洗濯槽
3 回転ドラム
4 ドラムモータ
52 給水管
53 吸気管
54 吸気弁
60 導出ダクト
61 導入ダクト
62 導出口
63 導出管
64 導入管
65 導入口
70 送風ファン
71 フィルタ
72 ヒータ
74 イオン発生器
81 送出管
81a 通気口
82 ダンパ
83 吹出口
100、200 洗濯乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物の投入口が設けられた筐体と、
該筐体内に設けられた洗濯槽と、
該洗濯槽の内部で回転する回転ドラムと、
該回転ドラムの空気を吸い込む送風装置と、
該送風装置が吐出した空気を前記回転ドラムへ通流する通流路と、
該通流路に設けられており、前記空気にイオンを発生させるイオン発生装置、及び前記空気を加熱するヒータと
を備える洗濯乾燥機において、
前記イオンを発生させられ、加熱された空気を外部へ送り出す空気送出手段を備えることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記空気送出手段は、
前記イオン発生装置及び前記ヒータの下流側で前記通流路から分岐した送出路と、
前記筐体に設けられ、前記送出路を通流する前記空気を吹き出す吹出口と、
前記送風装置、前記イオン発生装置、及び前記ヒータを作動させる運転制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記送出路と、前記通流路の前記回転ドラムへ導入される部分とに、前記空気を通流させる部分を切り替える切替手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記運転制御手段は、前記送風装置のモータの回転数を変えて作動させるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記運転制御手段は、前記送風装置の作動の開始時点から所定の時間が経過するまで、前記回転数を変えて前記送風装置を作動させるのを繰り返すように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
前記モータの設定回転数を受け付ける手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記空気送出手段は、
前記筐体の前記投入口が開いた場合に、前記回転ドラムを作動させず、前記送風装置、前記イオン発生装置、及び前記ヒータを作動させる手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−78538(P2013−78538A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221289(P2011−221289)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】