説明

洗濯物乾燥機の温度制御装置、及び洗濯物乾燥機の温度制御方法

【課題】洗濯物乾燥機の温度制御技術を改良して、加熱空気温度を100°C未満の低温(例えば70°C)に設定してもドレーンに起因する不具合(ウォーターハンマなど)が生じないようにする。
【解決手段】エアヒータ4に設けられている伝熱管4aの出口付近にドレーン収容槽9を接続する。上記ドレーン収容槽9内のドレーン量を水位計10で検出し、検出信号(矢印k)を自動制御装置11に入力させる。該自動制御装置11は指令信号(矢印k)を出力してポンプ駆動モータ13を作動させ、排水ポンプ12によってドレーン収容槽9内のドレーンを排水する。このようにして、伝熱管4a内で発生したドレーンを速やかに排除するので、ドレーンに起因する不具合(ウォーターハンマなど)が未然にかつ完全に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を入れた回転内胴の中に熱風を流通させて、該洗濯物を自然乾燥状態まで乾燥させる技術に係り、特に、洗濯物が熱損傷を被らないように改良した技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は洗濯物乾燥機の従来例を示す模式図である。
外胴1の中に回転する内胴2が設けられていて、この中に洗濯物3が入れられる。
上記外胴1の中に洗剤または溶剤を入れて、内胴2を矢印aのように回転させると洗濯が行なわれる。
次いで水を入れ、回転させて濯ぎ洗いした後、内胴2を回転させながら熱風を流通させて乾燥が行なわれる。
【0003】
前記の熱風は、エアヒータ4により、次のようにして発生せしめられる。
ブロワ駆動モータ7aで回転駆動されるブロワ7が、外胴1内の空気を矢印bのように排気する。これにより、大気が矢印c,c′のようにエアヒータ4を経て吸い込まれ、回転内胴2内を流通する。
上記エアヒータ4に設けられている伝熱管4aは、加熱蒸気弁5を介してボイラ6から蒸気を送給される。蒸気は矢印d,eのように伝熱管4aを流通して、空気流(矢印c,c′)を加熱する。
空気流によって熱を奪われた蒸気の一部は凝縮してドレーンになる。ドレーンを除去するためにドレーントラップ8が設けられている。
【0004】
洗濯物乾燥機に関する最近の技術として、特許文献1に挙げた特開2006−230655号公報「洗濯乾燥機」、特許文献2に挙げた特開2006−217978号公報「洗濯乾燥機」、及び特許文献3に挙げた特開2001−276493号公報「洗濯物の2段乾燥方法、および同装置」が公知である。
上記特開2006−230655号公報に記載された「洗濯乾燥機」は、外郭の過熱を防止するものであり、
特開2006−217978号公報に記載された「洗濯乾燥機」は空気の除湿効力を高めたものである。
特開2001−276493号公報「洗濯物の2段乾燥方法、および同装置」は、洗濯物を移送せずに予備乾燥と本乾燥とを行ない得るようにしたものである。
【特許文献1】特開2006−230655号公報
【特許文献2】特開2006−217978号公報
【特許文献3】特開2001−276493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来一般に乾燥機の運転は、回転内胴2の中に定格量の洗濯物を入れ、130°C〜140°Cの熱風を送給して行われた。
しかしながら最近、定格量に満たない少量の、耐熱性の低い化繊製洗濯物を洗濯乾燥処理する場合が増えてきた。
このような場合、熱風温度を調節することは公知技術を適用して行ない得るが、実際問題としては、加熱蒸気弁5を絞り操作して蒸気流量を調節される(空気流量の調節は容易でないからである)。
【0006】
乾燥機における熱風温度を70°C〜80°Cに調節すると、伝熱管4a内で発生するドレーンの量が増加する。ごく単純に考えると、100°C以上では水蒸気の凝縮は起こらず、100°C未満になると水蒸気が凝縮する。
実際には、伝熱管4a内の温度勾配や、伝熱管4aと空気との間の伝熱抵抗や、伝熱管4aと水蒸気との間の伝熱抵抗や、水蒸気の過冷など、種々の問題が絡むので単純ではない。しかしマクロに見て、熱風温度を下げるとドレーン量は確実に増加する。
【0007】
ドレーン量の増加によって、今まで考えていなかったウォーターハンマという難問が生じた。
水圧機械の分野では、急速で流動していた水流を瞬時的に閉止したとき発生する衝撃波をウォーターハンマと呼ばれているが、当業界においては、「管路が液体で塞がれているとき、気体(蒸気)圧力の急上昇により該液体が吹き飛ばされて壁面に衝突する現象」をウォーターハンマと呼んでいる。
【0008】
ウォーターハンマは騒音や振動を生じる上に、機器に損傷を及ぼす危険が有り、乾燥機の信頼性や商品価値を著しく低下させる。
本発明は以上に述べた事情に鑑みて為されたものであって、その目的は、ウォーターハンマを発生する虞れ無く、広い範囲で温度を制御し得る装置および同方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置の構成について、その1実施形態に対応する図1を参照して説明すると次の通りである。この[課題を解決するための手段]の欄は、図面との対照が容易なように括弧書きで図面符号を付記してあるが、この括弧付き符号は本発明の構成を図面のとおりに限定するものではない。
伝熱管(4a)の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータ(4)と、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴(2)とを具備する洗濯物乾燥機において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁(5)と、
伝熱管の出口付近に接続されたドレーン収容槽(9)と、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測する手段、または同ドレーンの量を算定する手段と、
上記ドレーン量の計測値または算定根拠となる物理料を入力される自動制御装置(11)とを有し、
かつ、上記自動制御装置から出力される指令信号を与えられて作動するポンプ駆動モータ(13)と、
上記ポンプ駆動モータによって駆動され、前記ドレーン収容槽内のドレーンを吸入してドレーン収容槽外へ排出する排水ポンプ(12)とが設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置の構成は(図2参照)、
伝熱管(4a)の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータ(4)と、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴(2)とを具備する洗濯物乾燥機において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁(5)と、
伝熱管の出口付近に接続されたドレーン収容槽(9)と、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測する手段、または同ドレーンの量を算定する手段と、
上記ドレーン量の計測値または算定値を入力される自動制御装置(11)とを有し、
かつ、前記ドレーン収容槽(9)内へ蒸気を送入するエジェクタ蒸気管路(17)、及び
該エジェクタ蒸気管路に介装接続され、前記自動制御装置から出力される指令信号によって制御されるエジェクタ蒸気弁(18)が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置の構成は、前記請求項1または請求項2の発明装置の構成要件に加えて、
(図1、及び図2を併せて参照)前記のドレーンの量を計測する手段が、フロート式または電子式の(10)であることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置の構成は、前記請求項1または請求項2の発明装置の構成要件に加えて、
(図1、及び図2を併せて参照)前記のドレーンの量を計測する手段が、エアヒータ(4)の伝熱管(4a)若しくはその近辺に設置され、かつ前記自動制御装置(11)に接続された温度計(14)、および/または、圧力計(15,16)であることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法は、(図1参照)
伝熱管(4a)の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータ(4)と、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴(2)とを具備する洗濯物乾燥機を制御する方法において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁(5)を設けるとともに、該伝熱管の出口付近にドレーン収容槽(9)を接続し、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、または、同ドレーンの量を算定して、
上記ドレーン収容槽の中に溜まったドレーンの量が、予め定められた量に達したとき、
排水ポンプ(12)によって強制的にドレーン収容槽内のドレーンを槽外へ排水することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法は、(図2参照)
伝熱管(4a)の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータ(4)と、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴(2)とを具備する洗濯物乾燥機を制御する方法において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁(5)を設けるとともに、該伝熱管の出口付近にドレーン収容槽(9)を接続し、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、または、同ドレーンの量を算定し、
上記ドレーン収容槽の中に溜まったドレーンの量が、予め定められた量に達したとき、
前記ドレーン収容槽内へ蒸気を送入(矢印n)することにより、ドレーン収容槽内のドレーンを強制的に槽外へ排水することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法は、前記請求項5の発明方法の構成要件に加えて、
(図1参照)前記ドレーン収容槽(9)内に水位計(10)を設けて、該ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、ドレーン量を表す検出信号を自動制御装置(11)に入力(矢印k)し、
上記自動制御装置から出力された指令信号(矢印g)により、排水ポンプ(12)を駆動するポンプ駆動モータ(13)を制御して、ドレーン収容槽内のドレーンを強制的に槽外へ排水することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法は、前記請求項6の発明方法の構成要件に加えて、
(図2参照)前記ドレーン収容槽(9)内に水位計(10)を設けて、該ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、ドレーン量を表す検出信号(矢印k)を自動制御装置(11)に入力し、
上記自動制御装置から出力された指令信号(矢印m)によって、前記ドレーン収容槽に接続されたエジェクタ蒸気管路(17)に介装されているエジェクタ蒸気弁(18)を制御し、該ドレーン収容槽内に蒸気を送入(矢印n)して、ドレーン収容槽内のドレーンを強制的に槽外へ排水することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置を適用すると、
伝熱管の出口付近にドレーン収容槽が接続されているので、伝熱管内で形成されたドレーンが上記ドレーン収容槽へ流入し、流入したドレーンが排水ポンプによって強制的に排水されるので、エアヒータの加熱空気温度を100°C未満に設定してもウォーターハンマを生じる虞れが無い。
このため、耐熱性の低い少量の化繊製洗濯物を乾燥処理しても、該洗濯物に熱損傷を与える虞れが無く、しかもウォーターハンマを生じないので洗濯物乾燥機を早期に破損させる虞れ無く静粛に運転することができる。
【0018】
請求項2に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置を適用すると、
伝熱管の出口付近にドレーン収容槽が接続されているので、伝熱管内で形成されたドレーンが上記ドレーン収容槽へ流入し、流入したドレーンがエジェクタ蒸気によって強制的に排水されるので、エアヒータの加熱空気温度を100°C未満に設定してもウォーターハンマを生じる虞れが無い。
このため、耐熱性の低い少量の化繊製洗濯物を乾燥処理しても、該洗濯物に熱損傷を与える虞れが無く、しかもウォーターハンマを生じないので洗濯物乾燥機を早期に破損させる虞れ無く静粛に運転することができる。
【0019】
請求項3に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置を、請求項1または請求項2の発明装置に併せて適用すると、
ドレーン収容槽内のドレーン量を遠隔的かつ自動的に計測することができ、計測値を電気的信号として出力させることが可能であるから、自動制御装置を用いてドレーン排水を制御するのに好適である。
【0020】
請求項4に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置を、請求項1または請求項2の発明装置に併せて適用すると、ドレーンの発生量を算定するためのデータを自動的かつ遠隔的に計測することができ、計測値を電気的信号として出力させることが可能であるから、自動制御装置を用いてドレーン発生量を算定したり、ドレーンの排出を制御したりするのに好適である。
【0021】
請求項5に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法を適用すると、
伝熱管の出口付近にドレーン収容槽を接続するので、伝熱管内で形成されたドレーンを上記ドレーン収容槽へ収容することができ、収容したドレーンを排水ポンプによって強制的に排水するので、エアヒータの加熱空気温度を100°C未満に設定してもウォーターハンマを生じる虞れが無い。
このため、耐熱性の低い少量の化繊製洗濯物を乾燥処理しても、該洗濯物に熱損傷を与える虞れが無く、しかもウォーターハンマを生じないので洗濯物乾燥機を早期に破損させる虞れ無く静粛に運転することができる。
【0022】
請求項6に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法を適用すると、
伝熱管の出口付近にドレーン収容槽を接続するので、伝熱管内で形成されたドレーンを上記ドレーン収容槽へ収容することができ、収容したドレーンをエジェクタ蒸気によって強制的に排出させるので、エアヒータの加熱空気温度を100°C未満に設定してもウォーターハンマを生じる虞れが無い。
このため、耐熱性の低い少量の化繊製洗濯物を乾燥処理しても、該洗濯物に熱損傷を与える虞れが無く、しかもウォーターハンマを生じないので洗濯物乾燥機を早期に破損させる虞れ無く静粛に運転することができる。
【0023】
請求項7に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法を前記請求項5の発明方法に併せて適用すると、該請求項5本来の効果を損ねることなく、これに加えて、
ドレーン収容槽内にドレーンが溜まったことを遠隔的かつ自動的に検知し、自動的に排水ポンプを駆動してドレーンを排水することができる。
【0024】
請求項8に係る洗濯物乾燥機の温度制御方法を前記請求項6の発明方法に併せて適用すると、該請求項6本来の効果を損ねることなく、これに加えて、
ドレーン収容槽内にドレーンが溜まったことを遠隔的かつ自動的に検知し、自動的にエジェクタ蒸気を送入してドレーンを排水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置の1実施形態を模式的に描いた系統図である。
本図1に示したエアヒータ4、伝熱管4a、ボイラ6、および加熱蒸気弁5は、それぞれ前掲の図3(従来例)における構成部材に対応する同様ないし類似の部材である。ただし本実施形態における加熱蒸気弁5は電磁駆動式であって、自動制御装置11によって制御されるようになっている。
【0026】
前記伝熱管4aの出口付近にドレーン収容槽9が接続されている。
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量は水位計10によって検出され、検出信号(矢印k)は自動制御装置11に入力される。
前記ドレーン収容槽9に排水ポンプ12が設けられている。符号13を付して示したのはポンプ駆動モータである。
【0027】
自動制御装置11は、水位計10の検出信号(矢印k)を入力されてドレーン収容槽9内のドレーン量を判定し、所定の量に達すると、ポンプ駆動モータ13に指令信号(矢印g)を与えて作動せしめる。
前記エアヒータ4の加熱空気温度が100°C未満に設定されて、伝熱管4aの中にドレーンが形成されても、ドレーン収容槽9の中へ流下し、排水ポンプ12で排水されるので、伝熱管4a内のドレーンに起因するウォーターハンマは発生しない。
【0028】
本図1の実施形態はフロート式の水位計10を描いてあるが、水位計はフロート式に限らず、電子式その他、任意の水位計を選定して用いることができる。ただし、水位を表す電気的信号を出力する方式の水位計であることが望ましい。
ドレーンの発生は、水位計によって直接的に計測することの外、演算によって算出することもできる。
例えば伝熱管4aの出口付近に設けた伝熱管内温度計14の検出信号(矢印j)を自動制御装置11に入力させて算出することもできる。
【0029】
上記と異なる実施形態として、加熱蒸気弁5の上流側に設けた供給蒸気圧力計16の検出信号(i)と、加熱蒸気弁5の下流側に設けた入口蒸気圧力計15の検出信号(h)と
を自動制御装置11に入力させ、該自動制御装置によってドレーン発生量を算出することもできる。
伝熱管4a内における蒸気の挙動を熱力学的に理解している当業者であれば、蒸気の温度、圧力と時間経過からドレーン発生量を算定するプログラムを作って自動制御装置11に与えておくことは可能である。
熱力学的な演算が不得手な同業者であれば、実験的にドレーン発生量を計測してプログラムを作成すれば良い。
【0030】
図2は、前掲の図1と異なる実施形態を示す模式的な系統図である。
前記実施形態(図1)に比して、ドレーン収容槽9を設けるとともに、ドレーン量を計測し又は算定する手段を設けたことは同様である。
前記実施形態(図1)に比して異なるところはドレーンを排水する手段である。以下に説明する。
ボイラ6で発生した蒸気を、前記ドレーン収容槽9の上部空間に導くエジェクタ蒸気管路17と、その途中に介装接続したエジェクタ蒸気弁18とが本実施形態におけるドレーン排水手段である。
【0031】
水位計10により、若しくは伝熱管内温度計14により、又は入口蒸気圧力計15と供給蒸気圧力計16とにより、ドレーン発生量が計測又は算定されることは前記実施形態と同様である。
自動制御装置11がドレーン排水が必要であると判定したとき、エジェクタ蒸気弁18に指令信号(矢印m)を与えて開弁させる。
これにより、蒸気がドレーン収容槽9の上部空間に送入され、内部のドレーンが押し出される形で排水される。
【0032】
前掲の図1に示した実施形態によっても、また図2に示した実施形態によっても、伝熱管4a内に発生したドレーンを自動的にドレーン収容槽9へ流入させ、該ドレーン収容槽に溜まったドレーンを自動的に排水するので、ドレーン発生量が多くてもウォーターハンマを生じる虞れが無い。
すなわち、エアヒータ4の加熱空気温度を低く(100°C未満に)設定しても、ウォーターハンマに起因する不具合(騒音,振動、及び早期破損)を誘発する虞れが無いので。信頼性が高く、しかも静粛に操業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る洗濯物乾燥機の温度制御装置の1実施形態を模式的に描いた系統図である。
【図2】上記と異なる実施形態における洗濯物乾燥機の温度制御装置を模式的に描いた系統図である。
【図3】蒸気を熱源とする従来例の洗濯物乾燥機を示し、模式的に描いた系統図である。
【符号の説明】
【0034】
1…外胴
2…回転内胴
3…洗濯物
4…エアヒータ
4a…伝熱管
5…加熱蒸気弁
6…ボイラ
7…ブロワ
7a…ブロワ駆動モータ
8…ドレーントラップ
9…ドレーン収容槽
10…水位計
11…自動制御装置
12…排水ポンプ
13…ポンプ駆動モータ
14…伝熱管内温度計
15…入口蒸気圧力計
16…供給蒸気圧力計
17…エジェクタ蒸気管路
18…エジェクタ蒸気弁
19…逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータと、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴とを具備する洗濯物乾燥機において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁と、
伝熱管の出口付近に接続されたドレーン収容槽と、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測する手段、または同ドレーンの量を算定する手段と、
上記ドレーン量の計測値または算定値を入力される自動制御装置とを有し、
かつ、上記の自動制御装置から出力される指令信号によって作動するポンプ駆動モータと、
上記ポンプ駆動モータによって駆動され、前記ドレーン収容槽内のドレーンを吸入してドレーン収容槽外へ排出する排水ポンプとが設けられていることを特徴とする、洗濯物乾燥機の温度制御装置。
【請求項2】
伝熱管の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータと、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴(2)とを具備する洗濯物乾燥機において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁と、
伝熱管の出口付近に接続されたドレーン収容槽と、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測する手段、または同ドレーンの量を算定する手段と、
上記ドレーン量の計測値または算定値を入力される自動制御装置とを有し、
かつ、前記ドレーン収容槽内へ蒸気を送入するエジェクタ蒸気管路、及び
該エジェクタ蒸気管路に介装接続され、前記自動制御装置から出力される指令信号によって制御されるエジェクタ蒸気弁が設けられていることを特徴とする、洗濯物乾燥機の温度制御装置。
【請求項3】
前記のドレーンの量を計測する手段が、フロート式または電子式であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載した洗濯物乾燥機の温度制御装置。
【請求項4】
前記のドレーンの量を計測する手段が、エアヒータの伝熱管若しくはその近辺に設置され、かつ前記自動制御装置に接続された温度計、および/または、圧力計であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載した洗濯物乾燥機の温度制御装置。
【請求項5】
伝熱管の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータと、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴とを具備する洗濯物乾燥機を制御する方法において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁を設けるとともに、該伝熱管の出口付近にドレーン収容槽を接続し、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、または、同ドレーンの量を算定し、
上記ドレーン収容槽の中に溜まったドレーンの量が、予め定められた量に達したとき、
排水ポンプによって強制的にドレーン収容槽内のドレーンを槽外へ排水することを特徴とする、洗濯物乾燥機の温度制御方法。
【請求項6】
伝熱管の中に蒸気を流通させるとともに、該伝熱管の外側に空気を流通させるエアヒータと、上記のエアヒータで加熱された空気を流通させる回転内胴(2)とを具備する洗濯物乾燥機を制御する方法において、
前記伝熱管に送給する蒸気を制御する加熱蒸気弁を設けるとともに、該伝熱管の出口付近にドレーン収容槽を接続し、
上記ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、または、同ドレーンの量を算定し、
上記ドレーン収容槽の中に溜まったドレーンの量が、予め定められた量に達したとき、
前記ドレーン収容槽内へ蒸気を送入することにより、ドレーン収容槽内のドレーンを強制的に槽外へ排水することを特徴とする、洗濯物乾燥機の温度制御方法。
【請求項7】
前記ドレーン収容槽内に水位計を設けて、該ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、ドレーン量を表す検出信号を自動制御装置に入力し、
上記自動制御装置から出力された指令信号により、排水ポンプを駆動するポンプ駆動モータを制御して、ドレーン収容槽内のドレーンを強制的に槽外へ排水することを特徴とする、請求項5に記載した洗濯物乾燥機の温度制御方法。
【請求項8】
前記ドレーン収容槽内に水位計を設けて、該ドレーン収容槽内に溜まったドレーンの量を計測し、ドレーン量を表す検出信号を自動制御装置に入力し、
上記自動制御装置から出力された指令信号により、前記ドレーン収容槽に接続されたエジェクタ蒸気管路に介装されているエジェクタ蒸気弁を制御し、該ドレーン収容槽内に蒸気を送入して、ドレーン収容槽内のドレーンを強制的に槽外へ排水することを特徴とする、請求項6に記載した洗濯物乾燥機の温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−188088(P2008−188088A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22819(P2007−22819)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(390027421)株式会社東京洗染機械製作所 (47)
【Fターム(参考)】