説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型塗料および保護層の形成方法

【課題】 表面硬度が高く、硬化収縮が少ない硬化塗膜を得ることができ、保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該組成物を含有する塗料及び該塗料を用いた保護層の形成方法を提供すること。
【解決手段】 ノルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを反応させたウレタン(メタ)アクリレートを含有し、該ウレタン(メタ)アクリレートが(a2)と(a3)とを、重量比で99.9/0.1〜83/17となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)である活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該組成物を含有する塗料、該塗料を支持体に塗布し支持体上に該塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射する保護層の形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面硬度が高く、硬化収縮が少ない硬化塗膜を得ることができ、更に保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有する活性エネルギー線硬化型塗料及び該活性エネルギー線硬化型塗料を用いて成形品等の表面に保護層を形成させる保護層の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジニアリングプラスチックをはじめとするプラスチック材料や木工材料は、軽量で、成形加工性、強靱性に優れるため電気関係を主用途として機械、一般工業並びに日用雑貨等の基材として使用されている。しかしながら、プラスチック材料や木材等の基材は硬度が低く、また、耐摩耗性に劣るため、基材表面に塗装を施し、硬化させて表面保護層を設ける場合が多い。
【0003】
前記表面保護層を設けるには、例えば、紫外線、電子線等を照射することによって硬化する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有するコーテイング剤(活性エネルギー線硬化型塗料)が表面保護層時の省エネルギー、作業性向上、生産性の向上などの付加価値と合わせて実用化されてきた。しかしながら、硬度が高い保護層を形成する活性エネルギー線硬化型塗料は、硬化時の収縮(硬化収縮)に起因する基材の変形、硬化塗膜のワレの発生等が起こりやすく、硬度が高く、且つ、硬化収縮が少ない(低硬化収縮)の硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型塗料が求められている。同時に保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型塗料もまた求められている。
【0004】
硬度が高く、且つ、硬化収縮が少ない(低硬化収縮)の硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型塗料を得るために、例えば、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物と、脂肪族系ポリイソシアネート化合物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比(OH/NCO)が1.01〜1.24となる範囲で反応させて得られ、且つ、(メタ)アクリロイル基を平均5個以上有するウレタン(メタ)アクリレート化合物含有する活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、該特許文献1参照に開示されている活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物を用いた活性エネルギー線硬化型塗料でも、硬度が高く、且つ、硬化収縮が少ない(低硬化収縮)の硬化塗膜が得られない。
【0005】
【特許文献1】特開2002−241646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、硬度が高く、低硬化収縮の硬化塗膜が形成でき、更に保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型塗料、該活性エネルギー線硬化型塗料を得るための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び、該活性エネルギー線硬化型塗料を用いた保護層の形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、下記知見を見出した。
(1)前記特許文献1において、脂肪族系ポリイソシアネート化合物としてノルボルナンジイソシアネートを用い、且つ、水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレートとを併用することにより得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、硬度が高く、且つ、低硬化収縮の硬化塗膜が形成できる活性エネルギー線硬化型塗料が得られる。
【0008】
(2)該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得る際にウレタン(メタ)アクリレートとしてペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、重量比で〔(a2)/(a3)〕が99.9/0.1〜83/17となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートを用いる事により保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料が得られる。
【0009】
(3)前記活性エネルギー線硬化型塗料を塗布後、活性エネルギー線を照射する方法により硬度が高く、且つ、低硬化収縮の硬化塗膜が容易に得られること。
本発明は上記知見に基づいて完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、ノルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該ウレタン(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、重量比で〔(a2)/(a3)〕が99.9/0.1〜83/17となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物を含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型塗料を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型塗料を支持体に塗布し支持体上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射することにより該塗料の層を硬化させて保護層を形成することを特徴とする保護層の形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬度が高く、且つ、低硬化収縮の硬化塗膜が形成できる活性エネルギー線硬化型塗料と該活性エネルギー線硬化型塗料が得るための活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供できる。また、硬度が高く、且つ、低硬化収縮の硬化塗膜が容易に形成できる保護層の形成方法も提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)はノルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを反応させて得られるものであり、且つ、前記ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、重量比で〔(a2)/(a3)〕が99.9/0.1〜83/17となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートである必要がある。〔(a2)/(a3)〕が重量比で99.9/0.1を超えると硬化収縮が大きくなることから好ましくない。また、〔(a2)/(a3)〕が重量比で83/17より小さいと高温時や長期保存時に濁りが生じる理由でやはり好ましくない。本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、重量比で〔(a2)/(a3)〕が99.5/0.5〜85/15となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートが表面硬度が高く、硬化収縮が少ない硬化塗膜を得ることができ、更に保存安定性にも優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料が得られることから好ましい。
【0015】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の調製時にはポリイシシアネート化合物として前記ノルボルナンジイソシアネート(a1)のみを用いるのが表面硬度が高く、低硬化収縮の理由から好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で前記ノルボルナンジイソシアネート(a1)以外のポリイソシアネート化合物も使用することができる。ここで、前記ノルボルナンジイソシアネート(a1)以外のポリイソシアネート化合物を使用する場合は、その使用量はノルボルナンジイソシアネート(a1)の100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0016】
前記ノルボルナンジイソシアネート(a1)以外のポリイソシアネート化合物としては、例えば、ノルボルナンジイソシアネート(a1)以外の脂肪族系ポリイソシアネート、芳香族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
前記ノルボルナンジイソシアネート(a1)以外の脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、直鎖状脂肪族系ポリイソシアネート、環式脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0018】
前記直鎖状脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
前記環式脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルシクロヘキサンジイソシアネート2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0020】
前記芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1、5―ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1、4―フェニレンジイソシアネート、1、6―フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
さらに上記脂肪族系ジイソシアネート化合物及び/または芳香族ジイソシアネートと多官能ポリオール化合物から合成されるアダクト型ポリイソシアネート化合物、脂肪族系ジイソシアネート化合物及び/または芳香族ジイソシアネート化合物の3量体からなるイソシアヌレート型ポリイソシアネート等もノルボルナンジイソシアネート(a1)以外のポリイソシアネート化合物として挙げられる。
【0022】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の調製には水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物としてペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを併用する。
【0023】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の調製時には前記ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)以外の水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物を本発明の効果を損なわない範囲で用いても良い。
【0024】
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)以外の水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の3価のアルコールのジ(メタ)アクリレートや、これらジ(メタ)アクリレートの水酸基をε−カプロラクトンで変性したジ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の、4価以上のアルコールの多官能(メタ)アクリレートで水酸基を有するものや、これら多官能(メタ)アクリレートで水酸基を有するものの水酸基の一部をアルキル基やε−カプロラクトンで変性したヒドロキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)以外の水酸基と2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有する(メタ)アクリレート化合物を使用する場合、その使用量はペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)との合計100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0026】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、例えば、ルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、通常のウレタン化反応の反応条件、すなわち20〜100℃、好ましくは40〜80℃で反応させることによって得ることができる。反応は、窒素雰囲気下でも行えるが、(メタ)アクリロイル基が重合を起こさぬよう酸素を含んだ乾燥空気雰囲気化で反応せしめることが好ましい。また、反応時間は通常1〜20時間である。
【0027】
ここで、ウレタン化反応に当たっては、反応を促進するため、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウレート等に代表される通常の有機錫系触媒や、トリエチルアミン等の3級アミン化合物を使用しても良い。また、反応中に(メタ)アクリロイル基の重合が起こることを抑止するために、メトキノン、ハイドロキノン等の重合禁止剤や酸化防止剤を使用しても良い。
【0028】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、ノルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、水酸基/イソシアネート基のモル比(OH/NCO)が1.0〜1.25となる範囲で反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが、ウレタン化反応の際にイソシアネート基が消滅するまでの時間が短く、且つ、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)の残留が少なくなることで硬化収縮が少ない硬化塗膜を得ることができる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料が得られることから好ましく、水酸基/イソシアネート基のモル比(OH/NCO)が1.0〜1.10となる範囲で反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0029】
また、上記ウレタン化反応に当たって、粘度調整のためイソシアネート基と反応する活性水素基を有しない有機溶剤を、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。具体的な例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等が挙げられる。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型樹脂組成物にはウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有すれば良いが、必要に応じてウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)以外のラジカル重合性単量体(B)および/または有機溶剤(C)を本発明の効果を損なわない範囲で含ませることができる。
【0031】
前記ラジカル重合性単量体(B)としては、例えば、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート;
【0032】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレートなどのモノ(メタ)アクリレート;
【0033】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2―ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;
【0034】
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
【0035】
および、上記した(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
これらラジカル重合性単量体(B)は、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。ラジカル重合性単量体(B)の使用量は、得られる塗膜の耐摩耗性の低下をさけるため、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)100重量部に対して100重量部以下であることが好ましく、なかでも10〜70重量部であることが好ましい。
【0037】
前記有機溶剤(C)としては、通常、沸点が50〜200℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性に優れる活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物が得られる点から好ましく、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、またはこれらの混合物類等が挙げられる。
【0038】
本発明で得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料に有機溶剤(C)を含ませた場合は、例えば、本発明の保護層の形成方法において活性エネルギー線硬化型塗料を支持体に塗布し支持体上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射する前に有機溶剤(C)を除去するのが好ましい。有機溶剤(C)を除去する手段としては、例えば、熱風乾燥機等を用いることができる。また、有機溶剤(C)の使用量は、特に限定されないが、通常は塗料の固形分濃度が10〜70重量%となる範囲である。
【0039】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料には、更に、目標とする性能によっては、ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外のウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ビニルウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等に代表される、不飽和二重結合を含有する樹脂の如き各種のエネルギー線硬化型樹脂類等を併用しても問題ない。
【0040】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料には、目的に応じて、光重合開始剤(D)を添加することが出来る。光重合開始剤(D)としては、各種のものが使用できるが、それらのうちでも特に代表的なものを例示すれば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン等の水素引き抜きによってラジカルを発生するタイプの化合物等が挙げられる。これらの化合物は、メチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリブチルアミン等の第三アミンと併用するのが一般的である。
【0041】
別のタイプの光重合開始剤としては、例えば、分子内分裂によってラジカルを発生するタイプの化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ジアルコキシアセトフェノン、アシルオキシムエステル、ベンジルケタール、ヒドロキシアルキルフェノン、ハロゲノケトン等が挙げられる。
【0042】
また、必要により、光重合開始剤(D)と併用して、ハイドロキノン、ベンゾキノン、トルハイドノキノン、パラターシャリーブチルカテコールの如き重合禁止剤類などを添加することもできる。
【0043】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物には、目的に応じて、さらに、顔料、天然ないしは合成高分子物質類、その他の配合剤を使用して、活性エネルギー線硬化型塗料とすることができる。
【0044】
上記顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、紫顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の如き、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の如き溶性アゾ顔料;
【0045】
フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の如き、各種の(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の如き、各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の如き、各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の如き、各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の如き、各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の如き、各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の如き各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0046】
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の如き、各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン等の如き、各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の如き、各種の硫化物ないしはセレン化物;
【0047】
硫酸バリウム、硫酸鉛等の如き、各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の如き、各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の如き、各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫の如き、各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の如き、各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等の如き、メタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0048】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0049】
さらに、プラスチック顔料〔例えば、大日本インキ化学工業(株)製グランドールPP−1000、PP−2000S〕等も使用できる。
【0050】
顔料の使用割合は、顔料の種類、望まれる色相、用いる光重合開始剤の種類等により異なり、特に限定されるものではないが、紫外線により硬化せしめる場合、着色顔料は硬化に必要な紫外線の多くを吸収してしまうため、硬化するのに十分な紫外線がラジカル重合製不飽和2重結合に供給できる範囲が好ましく、通常は樹脂固形分100重量部に対して顔料は30重量部以下となる範囲が好ましい。
【0051】
また、天然ないしは合成高分子物質類としては、他の各種のビニルエステル樹脂類、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシド類、アクリル樹脂類、アルキド樹脂類、尿素樹脂類、メラミン樹脂類、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル系共重合体類、ポリブタジエン系エラストマー、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類、ニトロセルロース類またはセルロースアセテートブチレートの如きセルロース誘導体類;アマニ油、桐油、大豆油、ヒマシ油またはエポキシ化油類の如き油脂類等が挙げられる。
【0052】
その他の配合剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、界面活性剤、スリップ剤、消泡剤等が挙げられる。
【0053】
本発明の保護層の形成方法は、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料を支持体に塗布し支持体上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射することにより該塗料の層を硬化させて保護層を形成することを特徴とする。
【0054】
前記支持体としては、例えば、プラスチック基材等が挙げられる。プラスチック基材としては、例えば、プラスチック成形品やプラスチックフィルム等が挙げられる。プラスチック成形品の例としては、例えば、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびこれらのポリマーアロイ樹脂などから射出成形、押出成形、プレス成形等により製造された成形物等が挙げられる。また、プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリカーボネートなどから製造されたフィルム等が挙げられる。
【0055】
本発明の保護層の形成方法は、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料を支持体に塗布し支持体上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成する工程を含む。この工程において支持体に活性エネルギー線硬化型塗料を直接塗布しても良いが、支持体に、意匠性を施そうとした場合は、支持体にベースコート剤を施した後に、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料をトップコートとして塗装しても良い。また、支持体としてプラスチックフィルムを用いる場合、プラスチックフィルムの表面改質のために、コロナ放電やクロム酸処理等の表面酸化を行ったり、サンドブラストや溶剤処理等の表面の凹凸化を行っても良い。さらに、プラスチックフィルムにヒートシール性や、防湿性、塗料の密着性向上等の性能を付与するために溶液型あるいはエマルジョン型のコーテイング剤をコーテイングした後に、本発明の活性エネルギー線硬化型塗料をトップコートとして塗装しても良い。
【0056】
前記ベースコート剤としては、例えば、アクリル系樹脂と顔料とを含有してなる塗料が挙げられ、特にアクリル系樹脂の組成に限定されるものではないが、なかでもn−ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートとを必須成分として含有する単量体混合物を共重合してなるアクリル系樹脂を用いたものがベースコートと本発明の活性エネルギー線硬化型塗料からなるトップコートとの層間付着性を良好にするため好ましい。
【0057】
ベースコート剤に含有させる顔料としては、例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料で用いる顔料を用いることができる。また、アクリル系樹脂を得るために用いられる単量体混合物としては、前記の通りn−ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレートを必須成分とすることが好ましいが、必要に応じてn−ブチル(メタ)アクリレートおよびメチル(メタ)アクリレート以外の共重合可能な単量体を併用することができる。
【0058】
n−ブチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外の共重合可能な単量体として代表的なものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、マレイン酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、通常のアクリル樹脂に用いられる単量体はいずれも使用可能である。
【0059】
活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成する為の塗装手段としては、例えば、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、リップコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法等が挙げられる。塗装する際には、硬化させた保護層の厚さが0.1〜400μmとなる様に塗装するのが好ましく、なかでも1〜50μmとなる様に塗装するのがより好ましい。
【0060】
本発明の保護層の形成方法において、意匠性を付与する目的で絵柄層を形成させても良い。絵柄層は、例えば、前記硬化性樹脂組成物を塗装する前段階で、支持体上に印刷することにより形成することができる。絵柄層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。絵柄層の形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、リップコート法などのコート法を採用することもできる。絵柄層は、表現したい絵柄に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設ける場合もある。また、絵柄層は、金属蒸着層からなるものや、印刷層と金属蒸着層との組み合わせからなるものでもよい。
【0061】
絵柄層を形成させる際に、前記硬化性樹脂組成物を塗装する前段階で、支持体上に印刷する際にも、この絵柄層と支持体との接着力が十分でない場合には前記支持体と活性エネルギー線硬化型塗料との接着力を向上させるときと同様に絵柄層と支持体の接着性を向上させることができる。
【0062】
活性エネルギー線硬化型塗料として有機溶剤を含有している活性エネルギー線硬化型塗料を用いるときは、支持体に塗布後有機溶剤を除去しても良い。有機溶剤を除去するには、例えば、活性エネルギー線を照射した後でも良いし、活性エネルギー線を照射する前でも良い。除去する方法としては、そのまま放置して揮発するのを待っても良いし、乾燥機等を用いて乾燥させても良いが、有機溶剤を除去する際の温度は通常70〜130℃で10秒〜10分間程度が好ましい。
【0063】
前記方法等で活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、ガンマ線などを挙げることができる。照射条件は、保護層を得るのに用いた活性エネルギー線硬化型塗料の組成に応じて定められるが、紫外線照射の場合、通常積算光量が10〜5000mj/cmとなるように照射するのが好ましく、積算光量が50〜1000mj/cmとなるように照射するのがより好ましい。また、電子線を照射する場合には1〜5Mradの照射量であることが好ましい。
【実施例】
【0064】
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに詳しく説明する。以下において、部および%は特に断りのない限り、すべて重量基準であるものとする。また、NCO%(イソシアネート含有率)は、試料中に含まれるイソシアネート基の含有率を重量基準で表した数値である。
【0065】
合成例1〔ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)の調製〕
撹拌機、ガス導入管、コンデンサーおよび温度計を備えた1リットルのフラスコに、ペンタエリスリトールトリアクリレート 625.3g(2.098モル)、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート 0.6g(0.002モル)、ジブチル錫ラウレート0.1g、スミライザーBHT〔住友化学工業(株)製酸化防止剤〕0.9g、メトキノン〔精工化学工業(株)製重合禁止剤〕0.3gおよび酢酸ブチル208.0gを加え、均一に混合しながら徐々に昇温した。60℃に達したところでノルボルナンジイソシアネート 206.0g(1.0モル)を加えた後、2時間で80℃まで昇温した。その後80℃で5時間反応させ、ウレタンアクリレート(A1)を得た。
【0066】
合成例2〜6(同上)
各原料成分を第1表及び第2表に示す組成比率で用いた以外は合成例1と同様にして反応を行い、ウレタンアクリレート(A2)〜(A6)を得た。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
合成例9〜12(比較対照用ウレタンアクリレートの調製)
各原料成分を第3表に示す組成比率で用いた以外は合成例1と同様にして反応を行い、比較対照用ウレタンアクリレート(a1)〜(a5)を得た。
【0070】
【表3】

【0071】
<第1表、第2表及び第3表の脚注>
NBDi:ノルボルネンジイソシアネート。
IPDi:イソホロンジイソシアネート。
THEIC−DA:トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレート。
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート。
IPDi: IPDi:イソホロンジイソシアネート。
PETA/THEIC−DA重量比:ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレートとの使用割合(重量比)。
OH/NCOモル比:ペンタエリスリトールトリアクリレートとトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジアクリレートの水酸基の総和/ノルボルナンジイソシアネートのイソシアネートの使用割合(モル比)。
【0072】
実施例1〜6および比較例1〜6
合成例で得られたウレタンアクリレート〔(A1)〜(A4)及び(a1)〜(a6))を用い、第4表〜第5表に示す通り、酢酸ブチルを添加して不揮発分濃度が50%になるように希釈した後、イルガキュア#184〔チバ・スペシャリテイー・ケミカルズ(株)製光重合開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル-ケトン〕を配合し、それぞれ、活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X8)及び比較対照用活性エネルギー線硬化型塗料(X1′〜X5′)を調製した。ここで、得られた活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X8)はまた、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物とも言える。得られた活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X8)及び比較対照用活性エネルギー線硬化型塗料(X1′〜X5′)の保存安定性を下記方法に従って評価した。
【0073】
<活性エネルギー線硬化型塗料の保存安定性の評価方法>
活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X8)及び比較対照用活性エネルギー線硬化型塗料(X1′〜X5′)を30mlの蓋付き透明ガラス容器に20ml入れ蓋をした。これらの透明ポリ容器を80℃の環境下に8時間静置した。その後、塗料のにごり等を目視にて評価した。評価結果を第6表及び第7表に示す。
【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
実施例7〜12及び比較例7〜12
活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X6)及び比較対照用活性エネルギー線硬化型塗料(X1′〜X6′)を支持体上に塗布し活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射することにより該塗料の層を硬化させて保護層を形成した。このときの支持体として2mm厚のポリメチルメタクリレート成形板〔スミペックE、住友化学工業(株)社製〕及び100μm厚のPETフィルム〔コスモシャインA−4300(東洋紡(株)社製)を用いた。支持体としてポリメチルメタクリレート成形板を用いて得た保護層については、保護層の硬度と、硬化収縮の一つであるワレを評価した。支持体としてPETフィルムを用いて得た保護層については硬化収縮の一つであるソリを評価した。それぞれの支持体における保護層の形成方法及び評価方法を下記に示す。また、評価結果を第6表及び第7表に示す。
【0077】
<支持体にポリメチルメタクリレート成形板を用いた時の保護層の形成方法及び評価方法>
(1−1)保護層の形成方法
活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X8)及び比較対照用活性エネルギー線硬化型塗料(X1′〜X5′)をそれぞれスミペックEに、乾燥膜厚が20μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、スミペックE上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した。その後、熱風乾燥器を用いて70℃で5分間乾燥を行い、有機溶剤を揮発除去した。次いで、該塗料の層に紫外線照射装置を用いて80W/cmの高圧水銀灯下5m/minの速度で2回通過させて活性エネルギー線を照射することにより該塗料の層を硬化させて保護層を形成した。
【0078】
(1−2)保護層の硬度の評価方法
鉛筆硬度法により保護層の硬度の評価した。具体的には、三菱鉛筆ユニを用いて1kg荷重で引っ掻き試験を5回行い、キズがつかなかった回数を表示した。この回数が少ない程保護層の硬度が高いことを表す。
【0079】
(1−3)保護層のワレの評価方法
保護層を形成した支持体を、80℃で温風乾燥機にて1時間加熱し、室温に30分放置した後、保護層の塗膜外観を目視観察した。ワレが生じていないものを○、ワレが生じたものを×で表示した。
【0080】
<支持体にPETフィルムを用いた時の保護層の形成方法及び評価方法>
(2−1)保護層の形成方法
活性エネルギー線硬化型塗料(X1〜X8)及び比較対照用活性エネルギー線硬化型塗料(X1′〜X5′)をそれぞれコスモシャインA−4300(予めA4サイズにきりだしてあるもの)に、乾燥膜厚が10μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、コスモシャインA−4300上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した。その後、熱風乾燥器を用いて70℃で5分間乾燥を行い、有機溶剤を揮発除去した。次いで、該塗料の層に紫外線照射装置を用いて80W/cmの高圧水銀灯下を5m/minの速度で2回通過させて活性エネルギー線を照射することにより該塗料の層を硬化させて保護層を形成した。
【0081】
(2−2)保護層のソリの評価方法
保護層を形成したコスモシャインA−4300の中心部分を5cm角の大きさで切り出しサンプルとした。このサンプルの反っている面を上向きにして机の天板上に置き、サンプルの4つの角の1つ以上が宙に浮いた状態にした。この状態でサンプルに触れないように天板表面からの支持体の角の高さを定規で測定した。この操作を4つの角についてそれぞれ行い、その平均の高さを算出し、これを保護層のソリの評価結果とした。値が小さいほど保護層のソリが少ないことを表す。尚、第9表において保護層のソリの評価で「×」とあるものは前記平均の高さが20mmを超えてしまったものである。
【0082】
【表6】

【0083】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該ウレタン(メタ)アクリレートがペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、重量比で〔(a2)/(a3)〕が99.9/0.1〜83/17となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ノルボルナンジイソシアネート(a1)とペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを水酸基/イソシアネート基のモル比(OH/NCO)が1.0〜1.25となる範囲で反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)がペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(a2)とトリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートジ(メタ)アクリレート(a3)とを、重量比で〔(a2)/(a3)〕が99.5/0.5〜85/15となる範囲で用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートである請求項2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
更に、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A)以外のラジカル重合性単量体および/または有機溶剤を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物。
【請求項5】
更に、光重合開始剤を含有するものである請求項1〜3のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型塗料用樹脂組成物を含有してなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型塗料。
【請求項7】
請求項6記載の活性エネルギー線硬化型塗料を支持体に塗布し支持体上に活性エネルギー線硬化型塗料の層を形成した後、該塗料の層に活性エネルギー線を照射することにより該塗料の層を硬化させて保護層を形成することを特徴とする保護層の形成方法。

【公開番号】特開2008−222772(P2008−222772A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59948(P2007−59948)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】