説明

活性剤を細胞内に輸送するためのカチオン性脂質の新規なクラス

本発明の対象は、カチオン性脂質の新規なファミリーの開発、及び生理活性剤のインビトロ(in vitro)、エクスビボ(ex vivo)及びインビボ(in vivo)での輸送のためのベクターとしてのこれらの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、カチオン性脂質の新規なファミリー、及び生理活性剤、特に核酸、ペプチド、タンパク質、多糖類及び脂質の、組織、器官並びに/又はヒト、動物及び/若しくは植物である生命体における生細胞への、インビトロ(in vitro)、エクスビボ(ex vivo)及びインビボ(in vivo)での輸送のためのベクターとしてのこれらの使用である。
【背景技術】
【0002】
生理活性剤の細胞内輸送は、生物学から医学に渡る多数の分野で応用される。生物学では、核酸(遺伝子又はプラスミド、直鎖状のコーディングDNA、人工染色体、メッセンジャーRNA、干渉RNA、低分子ヘアピン型RNA等の二本鎖RNA)の細胞への導入(トランスフェクション)、アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞への導入、リボザイムの細胞への導入は、特に遺伝子の発現の制御の研究のために又はそれらの機能を解明するために使用することが可能である。
【0003】
同様に、ペプチド、タンパク質、多糖類、脂質及びその他の生物学的活性分子の細胞内の輸送により、基礎的で生物学的なメカニズムを理解し研究することが可能となる。医学の分野では、とりわけ代謝不全、遺伝性疾患又は感染症を治療する目的で、ペプチド又は治療用タンパク質、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイム(アンチセンス治療)、siRNA及び遺伝子(遺伝子治療)の輸送のために、これらの技術は開発されている。
【0004】
核酸の細胞内への導入のために多数の方法が存在し、3つのカテゴリー:物理的、生化学的及び生物学的な方法、に分類することが可能である。生物学的な方法は、ウイルス或いは細菌等の感染性微生物を利用する。物理的アプローチは、特に電気穿孔法、顕微注入法、ソノポレーション又はマグネトフェクションを含む。最後に、トランスフェクションの生化学的な方法は、試薬を核酸と混合させる(Conwell、C.G. et al.(2005)Adv. Genet. 53、1-18)。
【0005】
リン酸カルシウム又はDEAEデキストランが共沈法で使用される一方で、リガンドで置換された又は非置換のカチオン性重合体、組織化された又はされていないシステムの形態(リポソーム、単層の又は多重膜の小胞、六方晶相、ミセル)でのカチオン性脂質、及び/或いはこれらの相違する構成要素の混合が、静電相互作用を介して核酸と共に複合体(ポリプレックス、リポプレックス又はリポポリプレックス)を形成し、そしてそれらが細胞膜を通過することができる。
【0006】
主要な既知のカチオン性脂質の中で、限定的な形で及び例として下記のものを特に言及することができる。
中性脂質と組み合わせて販売されるDOTMA(N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)(Felgner、P.L. et al.(1987)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(21)、7413−7417)、リポフェクチン(Lipofectin(商標登録))という名称でのDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン);DOTAP(1,2−ジオレオイ−3−トリメチルアンモニウムプロパン)等の代謝可能なDOTMAの類似物(Leventis、R. and Silvius、J.R.(1990)Biochim. Biophys. Acta 1023、124-132);DMRIE(Felgner、J.H. et al.(1994)、J. Biol. Chem. 269(4)、2550-2561);又はトランスフェクテース(TransfectACE)(商標登録)という名称で中性脂質と組み合わせて販売されるDDAB(ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド)等の第4級アンモニウム塩の形態での一価のカチオン性脂質;
SAINT−2(N−メチル−4−(ジオレイル)メチルピリジニウムクロリド)等のピリジニウム塩の形態での一価のカチオン性脂質(Ruiters、M.H.J.、PCT WO2006/043809);
【0007】
トランスフェクタム(Transfectam(商標登録))及びリポフェクタミン(Lipofectamine(商標登録))という各々の商標名で提供されるDOGS(5−カルボキシスペルミルグリジン−ジオクタデシルアミン)(Behr、J.-P. et al.(1989)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86(18)、6982−6986)、及びDOSPA(2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキシアミド)エチル]−N,N−ジメチル−プロパンアンモニウムトリフルオロ酢酸)等のリポスペルミンの形態での多価のカチオン性脂質;
【0008】
リポポリリジン(Zhou、X. et al.(1991)Biochem. Biophys Acta. 1065、8−14)の形態での多価のカチオン性脂質;
DC−Chol(3β[N−(N’−N’,−ジメチルアミノメタン)−カルバモイル]コレステロール)等のカチオン性コレステロール誘導体(Gao、X. & Huang、L.(1991)Biochem. Biophys. Res. Commun. 179(1)、280-285)
【0009】
製剤化されたカチオン性脂質による核酸の輸送(リポフェクション)は、ウイルス性因子とは異なり免疫原性はなく、使用が容易であり、サイズ制限なしに核酸の輸送が可能であり、そして多量に生産することが可能である、等の多数の利点を有する。さらに、リポフェクションは、使用勝手の良さのために、血清の有無に関係なく、各種の細胞型に対する、特に接着細胞に対する有効性のために、さらに核酸の輸送に対する多用途性のために、研究所においてインビトロで核酸を細胞にトランスフェクトする目的で最も使用される方法である。
【0010】
しかしながら、これらの合成ベクターは、特定の細胞型、特にリンパ球、幹細胞、初代細胞(非分裂)等の懸濁液中の細胞のトランスフェクションには有効性が不十分であるか又は全く有効ではない。懸濁液中の細胞株等の特定の細胞のトランスフェクションにおけるカチオン性脂質の有効性の低下は、これらの細胞の表面へ付着するリポプレックスの性能の低さによって説明される。実際、接着細胞とは異なり、後者は原形質膜上へのリポプレックスの固定のための重要なポイントであるヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPGs)等のポリアニオン系膜貫通タンパク質をほとんど保有しない(Kopatz、I.et al.(2004)J Gene Med 6、769-776;Wiethoff、C.M. et al.(2001)J. Biol. Chem. 276、32806-32813; Mislick K.A. et al.(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93、12349-12354)。
【0011】
それにもかかわらず、トランスフェリン(Kursa、M.(2003)Bioconjugate Chem.14、222-231; Kakudo、T. et al.(2004)Biochemistry 43、5618-5628)、上皮細胞増殖因子(EGF)、モノクローナル抗体(Guillem、V.M. et al.(2002)J Controlled Released 83、133-146; Guillem、V.M. et al.(2002)J. Gene Med. 4、170-182; Puls、R.L. et al.(1999)Gene Ther. 6、1774-1778; Thurnher、M. et al.(1994) Glycobiology 4 (4)、429-435)、或いはカチオン性脂質で製剤されたカチオン性重合体又は共脂質で結合又は合成されたペプチド(Wagner、E.(1999) Adv. Drug Deliv. Rev. 38(3)、279-289; Uduehi A. et al.(2003)Biotechnol. Appl. Biochem. 38、201-209)等の特別なリガンドを用いた様々なアプローチは、成功裏に試験されてきた。
【0012】
静止細胞もまた、リポフェクションを使用してトランスフェクトすることは非常に困難であるが、これは核局在配列等の核を標的とするための手段を欠くため、細胞質に存在する複合体は核膜孔を透過することが困難であり、従って転写されることが困難だからである。ヒストン、ペプチド核局在配列に基づく三重複合体(リポプレックス:カチオン性脂質及び核酸さらに核の標的因子)を使用した様々なアプローチが、この問題を回避するために研究されてきた(Khalil I.A.(2006)Pharmacol. Rev. 58、32-45; Medina-Kauwe、L.K.(2005)Gene Ther.12、1734-1751; Escriou、V. et al.(2003)Adv. Drug Deliv. Rev. 55 (2)、295-306; Ma、H. et al.(2001)Curr. Pharm. Biotechnol. 2(1)、1-17; Hagstrom、J.E.(1996)Biochim. Biophys. Acta 1284(1)、47-55)。
【0013】
しかしながら、これらの標的因子のカチオン性脂質への付加は、複合体の形成及び調製を困難にし、従ってそれらの使用は非常に限定される。さらに、インビトロ及びインビボでのそれらの有効性は不明なままである。
結果的に、同一分子内に核酸の複合体化機能及び標的化機能を包含する新たなカチオン性脂質の開発は、更なる標的因子(細胞膜及び核)の使用の省略を可能とし、そしてこれらの主要な障害を解決するであろう。
【0014】
さらに、リポフェクションのインビボでの有効性は非常に低いままであり(Evans、C.H. et al.(2006)Adv. Drug Deliv. Rev. 58、243-258)、そして新規で有効性の高い脂質が必要である。それらのインビボでの利用は、複合体の酵素分解、それらの薬効薬理によって、並びにトランスフェクションを積極的に抑制する体液及び粘液中のタンパク質及び多糖類の存在によって制限される。リポプレックスのトランスフェクションの有効性に影響を及ぼす主要なパラメータは、広く研究されてきた(Solodin、I. et al.(1995)Biochemistry 34(41)、13537-13544; Templeton、N. S. et al.(1997)Nat. Biotech. 15(7)、647-652; Thierry、A. R. et al.(1995)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92(21)、9742-9746; Li、S. et al.(1997)Gene Ther. 4(9)、891-900; Liu、Y. et al.(1997)Nat. Biotechnol. 15(2)、167-173; Liu、F. et al.(1997)Gene Ther. 4(6)、517-523; Song、Y. K. et al.(1997)Hum. Gene Ther. 8 (13)、1585-1594; Hong、et al.(1997)FEBS Letters 400(2)、233-237)。これらの研究は、インビボでの遺伝子発現の最適なレベルが、比較的高い脂質/核酸の比率を使用しながら得られることを表している。
それにもかかわらず、カチオン性脂質又はリポプレックスの非常に過剰な使用は頻繁に顕著な毒性を伴う。
【0015】
従って、インビトロ及びインビボいずれにおいても、カチオン性脂質の細胞毒性は依然としてこの方法の主要な欠点の1つのままである。それは、細胞では自然に存在しないカチオン性脂質の生分解性の低さが主として原因である。これを対処するために、様々な努力が行われてきた。それ故に、Schermanのチームは、それらの代謝を促進するために、還元性媒体(medium)に対して感受性の高い結合を脂肪鎖に有する脂質を開発した(WO9938821)。一方で、Boomer等は、エンドソームの酸性媒体における脂質の迅速な切断を誘発するために、pHに対して感受性がある、そして特に酸性媒体に対してより感受性があるビニルエーテル基を、カチオン性脂質のスペーサーアームに取り込んだ。この切断は、エンドソームの細胞膜に組み込まれるリポプレックスの構造の不安定化へと繋がり、そして後者がヌクレアーゼによって分解される前にエンドソームから細胞質へのDNAの早期放出を可能とする(Boomer、J.A.(2002)Gene Transfer Pharm. Res. 19(9)、1292-1301)。
【0016】
同じ目的で、Szokaのチームは、生理的pHで安定であり、酸性pHで加水分解される直鎖状の又は環式のオルトエステル基を含有するスペーサーアームが供給されるカチオン性脂質のファミリーを構築した(Chen、H. et al.(2007)、J. Med. Chem. 50(18)、4269-4278)。内因性のエステラーゼによってエステル基は容易に切断されるため、最終的に、カチオン性脂質におけるエステル基の存在は、細胞における後者の生分解性を高めることを可能にする。エステル基を含有するカチオン性脂質には様々な例があり、その中でNantzのチームによって合成されたDMTM(Gly)及びDOTM(Gly)テトラエステルを挙げることができ、細胞毒性の減少に対するこれらの影響が研究されてきた(Aberle、A.M. et al.(1998)Biochemistry 37(18)、6533-6540)。
【0017】
非常に低い細胞毒性を誘起しているこれらの脂質は全て、細胞内媒体において良好な生分解性を示す。それにもかかわらず、これらの構成要素は前述の標的因子を包含しないので、従って懸濁液中の非有糸分裂細胞においては有効性が低下する。このような理由により、細胞で完全に生分解可能であり、そして上述の標的因子を含有する新規な脂質をデザインする必要がある。
現在、核酸の輸送のために特別に開発された様々な市販のカチオン性脂質(トランスフェクション試薬)がある。これらの試薬を使用するトランスフェクション手段は、大抵の生物医学研究所において一般的に使用される。興味深いことに、かなりのリソースがペプチド、抗体、抗原及び組み換え型タンパク質の分離及び評価に投下されているにもかかわらず、ペプチド及びタンパク質等の他の生体分子の輸送専用の試薬のデザインに関して進歩はそれほどなされていない。
【0018】
実際、臨床目的のために現在使用される組み換え型タンパク質及びモノクローナル抗体は全て、細胞外の、細胞内ではない標的へ向けられる(Krejsa、C. et al.(2006)Nat Rev Drug Discov 5、507-521)。もし細胞内にペプチド、タンパク質又はその他の生体分子を輸送するための効果的な方法があれば、分泌される分子又は膜分子に対する治療のための潜在的な候補物質を限定する必要はないであろう。細胞へのペプチド及び/又はタンパク質の直接的な導入は、細胞周期の制御、アポトーシスの調節、免疫及び転写制御等の様々な分野において有益となり得る。従って、このアプローチにより、研究者は、輸送される分子の機能を研究し、生細胞内での細胞内機能を遮断又は誘起し、新たなワクチンを開発するだけでなく、ガン、炎症及び感染症といった多数の多様な疾患に対して治療上有望なこれらの使用を開発することが可能になる。
【0019】
例えば、モノクローナル抗体の細胞内への輸送は、特に細胞内の標的を遮断するために使用することが可能である。このアプローチは、既に抗体のためのDNAコードのトランスフェクション(「細胞内抗体」)によって実証されている(Mhashilkar、A. M. et al.(1997)J Virol 71、6486-6494; Chen、S. Y. et al.(1994)Hum Gene Ther 5、595-601; Shaki-Loewenstein、S. et al. (2005)J Immunol Methods 303、19-39; Williams、B. R. et al.(2006)Curr Med Chem 13、1473-1480)。しかしながら、この戦略は時間がかかり重労働であり、そしてこれらの抗体は大量に産生することが特に容易なため、遺伝子組み換え型抗体の直接的な輸送の方がはるかに魅力的な方法であるということが判明するかもしれない。
【0020】
ペプチド、タンパク質及び他の機能生体分子の細胞内へ輸送するための各アプローチが、研究されている。顕微注入法及び電気穿孔法は、成功の度合いは様々だが機能タンパク質の細胞内への導入のために使用されている(Marrero、M. B. et al.(1998)J. Biol. Chem. 270、15734-15738; Fenton、M. et al.(1998)J. Immunol. Methods 212、41-48; Abarzua、P. et al.(1995)Cancer Res. 55、3490-3494)。高分子、ペプチド又はタンパク質の細胞内への輸送のために最も研究されているアプローチは、いわゆる形質導入メカニズムによって細胞膜を通過する能力を有するペプチド及び/又はタンパク質の特別なクラスを使用する(Schwarze、S. R. et al.(2000)Trends Cell Biol. 10、290-295; Murriel、C. L. et al.(2006)Expert Opin Drug Deliv 3、739-746)。
【0021】
これは実際には、PTD(「Protein Transduction Domain」「タンパク質形質導入ドメイン」)又はCPP(「Cell-Penetrating Peptides」「細胞透過性ペプチド」)と呼ばれる、塩基性残基(基本的にリジン及びアルギニン)を多くに含む短ペプチド配列であり、細胞壁を通り抜けて移動しそして細胞核へ到達する特性をこれらのタンパク質に付与する。PTDの主たる3つの例は、HIV−1 TTA(Trans-activating transcriptional activator、トランス活性化転写活性化因子)タンパク質:(Green、M. et al.(1988)Cell 55、1179-1188; Frankel、A. D. et al.(1988)Cell 55、1189-1193)、HSV−1 VP22(Herpes Simple Virus Type I VP 22 Transcription Factor、単純ヘルペスウイルスタイプI VP 22転写因子)(Elliott、G. et al.(1997)Cell 88、223-233)及びAntp(Drosophile Antennapedia Homeotic Transcription Factor、ショウジョウバエアンテナペディアホメオティック転写因子)(Joliot、A. et al.(1991)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88、1864-1868)である。
【0022】
しかしながら、PTDの使用の主たる制限の1つは、化学的経路によってか、又はクローニングによって、PTD配列と注目の分子との間に共有結合を形成させるという必要性であるが、これは後者の生物学的活性への影響がないわけではない。例えば、これはタンパク質の構造の変更へと繋がったり、また立体障害によってその機能を妨げる可能性がある。
さらに、これらのシステムの有効性は、輸送される分子の構造及びサイズに大きく依存している。構造的多様性を示すペプチド又は水溶性の小タンパク質の場合にはそれらは非常に効果的であるが、複合体及び多重結合のシステムの場合には制限される。
【0023】
従って、カチオン性脂質とは異なり、DNAの輸送にはPTDは効果的ではない。そのため現在科学者は生物学的活性分子の細胞内の輸送のために、高度で、時間がかかりさらにそれらの利用が制限される方法を使用しなければならない。現在のところ、タンパク質のためのDNAコードをトランスフェクトすることからなる間接的な方法は、細胞内でこのタンパク質を得るために最も使用される方法のままである。
従って、ペプチド、タンパク質、抗体及び他の生体分子の細胞内の輸送のために、トランスフェクション剤と同様に単純で且つ頑強な輸送のシステムを開発することが極めて重要である。
【0024】
実際、サイズ制限なく又は機能を変更することなく、タンパク質と他の分子とを迅速に非共有結合させ、生物環境から後者を保護し、そしてそれらを細胞内に輸送することを可能にする脂質製剤は、細胞生物学、ゲノム学、機能ゲノム学及びプロテオミクスのあらゆる側面において優れた利益をもたらすであろう。今日、トランスフェクションで使用されるカチオン性脂質の大部分は、他の生体分子の細胞内への輸送に対して完全に効果がないことが判明している。それにもかかわらず、細胞内へのタンパク質の輸送のためのカチオン性脂質の使用についていくつかの例が報告されている(Debs、R. J. et al.(1990)、J. Biol. Chem. 265、10189-10192; Baubonis、W. et al.(1993)Nucleic Acids Res 21、2025-2029; Huang、L. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 217、761-768; Farhood、H. et al.(1995) Anal. Biochem. 225、89-93; Guillaume、C. et al.(2000)、J. Pharm. Sci. 89、639-645; Sells、M. A. et al.(1995)BioTechniques 19、72-78; Walker、C. et al.(1992)Natl. Acad. Sci. USA 89、7915-7918; Zelphati、O. et al.(2001)J Biol Chem 276、35103-35110; Dalkara、D. et al.(2004)Mol Ther 9、964-969)。リポフェクション、DC-Chol及びTrans ACEは、タンパク質と結合されたDNAの共輸送のために使用されている(Baubonis et al.(1993); Debs et al. (1990); Farhood et al.(1995))。
【0025】
しかしながら、それらの有効性は非常に低いままであり、そしてリソソーム指向性因子を添加することが必要とされている(Debs et al.(1990))。さらに、使用されるタンパク質がそれら自体で細胞に進入することができるため、これらのカチオン性脂質の役割は疑問である(Farhood et al.(1995); Huang et al.(1995))。ウォルカー等はまた、細胞内への抗原の輸送のためにカチオン性脂質(DOTAP)を使用しているが、細胞の内側又は外側の抗原の提示を識別するのは困難であり、そして輸送されるタンパク質の機能は実証されていない(Walker et al.(1992))。ホスホノカチオン性脂質(GLB73及びGLB43)もまた、インビトロ及びインビボでβ−ガラクトシダーゼの輸送のために使用されているが、β−ガラクトシダーゼ−陽性の細胞の数に関する脂質の影響は実証されておらず、他の機能性タンパク質はさらに検証されていない(Guillaume et al.(2000))。
【0026】
上述の例の大抵において、輸送の有効性は細胞の固定及び透過処理の後に評価されており、それは結果の解釈を複雑にしている。最近になってZelphati等は、タンパク質の細胞内ベクター化(vectorization)のためにトリフルオロアセチル化カチオン性脂質を開発した(Zelphati et al.(2001))。後者は、一定数の生物活性タンパク質の生細胞への輸送を可能にし、そして数々の市販のカチオン性脂質よりもより効果的なことが判明している。そして同様の研究が、脂質DOGS及びChol−Sperを用いて実施された(Dalkara、D. et al.(2006)J Control Release 116、353-359; Dalkara et al.(2004))。今までのところ、カチオン性脂質の使用は、核酸の輸送よりもタンパク質の輸送に適さないように思われるが、これはとりわけ血清存在下でタンパク質の輸送が可能な既知の脂質システムが未だないからである。
従って、核酸は別として、タンパク質、ペプチド及び他の分子の細胞内ベクター化は、非常に隔絶され且つ制限されたアプローチのままである。
【0027】
培養下において細胞内への核酸の輸送に効果的であるカチオン性脂質に基づく一定数の市販製品があり、タンパク質の輸送のためにさらに顕著に開発されたものもあるが、これらの中で血清存在下において生体分子の全タイプの輸送に適合するものはない。さらに、これらのトランスフェクション剤は、懸濁液中の初代細胞においては比較的無効であり、さらにインビボでのそれらの作用を制限する高い毒性を頻繁に伴う。
【発明の概要】
【0028】
本発明の対象は、カチオン性脂質の新規で万能なファミリーを供給することであり、それらは血清の存在と適合し且つ毒性がなく、インビトロ、エクスビボ及びインビボでの核酸、ペプチド、タンパク質、多糖類及び脂質等の生体分子の全タイプの生細胞内への効果的な輸送を可能にする。
【0029】
実際に、これらの新規なカチオン性脂質の革新的な構造により、以下を組み合わせることが可能となる:
1.標的に向けた活性分子の輸送及びベクター化を可能にする組織化された構造(リポソーム、ミセル等)を形成するためのカチオン性脂質の両親媒性特性、負に帯電する核酸との非共有の複合体(リポプレックス)を形成するそれらの特性、及び細胞膜を不安定化させるそれらの特性。
【0030】
2.PTDに存在する塩基性アミノ酸により構成され、細胞に接着する能力及び核バリアを含む膜貫通バリアを通過するそれらの能力で知られるカチオン性ヘッドの特性。さらに、塩基性アミノ酸のこれらの配列は、核酸、ペプチド及びタンパク質を含む数種類の生体分子と当然に相互作用し、そして完全に無毒である。さらに、これらの新規な化合物は、血清媒体の成分との相互作用に関する能力が低いために、血清の存在下で非常に有効に細胞をトランスフェクトすることが可能である。
【0031】
3.親油性部分と、その環境(pH、酸化還元、酵素等)に対して感受性が高く、細胞内媒体で切断され得る結合を包含する官能基が備えられたカチオン性ヘッドとの間のスペーサーアームの存在のために、細胞内媒体で迅速に分解される能力。分解に由来して結果として生じる化合物は、天然分子(脂肪酸、天然アミノ酸)であり、これらは細胞によって容易に代謝される。これらの分子の生分解可能特性は、結果としてこれらを非細胞毒性化する。
【0032】
この目的を達成するために、本発明の対象は式(I):
【化1】

(式中、
Rは、親油性領域を表し、
-1又は複数の分岐状又は直鎖状であり、不飽和又は飽和であり、任意にフッ素化されているアルキル鎖であり、6〜24個の炭素元素を含んでなり、好ましくは10〜18個の炭素元素を含んでなるアルキル鎖;或いは
【0033】
-親油性であることが知られている1又は複数の環式又は多環式の基であって、ステロイド基(例えば、コレステロール誘導体)、ポリ芳香族基(例えば、ナフタレン、ダンシル、又はアントラセン誘導体)、又はアルカロイド誘導体基等である環式又は多環式の基;或いは
-天然又は合成の脂質;
を含むことができ、Rは、これらの異なる基の組み合わせによって任意に構成することができる。Rは、1又は複数のヘテロ原子を含むことができる。
【0034】
Eは、直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表し、1〜15個の、好ましくは1〜8個の炭素原子を含むことができ、そして1又は複数のヘテロ原子を任意に含むことができ;
mは、0又は1に等しい整数であり;
AAは、アミノ酸ラジカルを表し;
nは、0又は1に等しい整数であり;
W1及びW2は、同一であるか又は相違する、直鎖状又は分岐状の炭化水素基であって、1〜15個の、好ましくは1〜6個の炭素原子を含むことができ、そして1又は複数のヘテロ原子を任意に含むことができる炭化水素基を表し;
【0035】
Lは、その環境に対して感受性がある結合を少なくとも1つ包含することができる官能基であって、細胞外媒体において安定であり、そして
-刺激であって、pHの低下等の刺激に対して感受性がある(例えば、ビニルエーテル、又はアシルヒドラゾン基は、酸性媒体に対して感受性がある)、又は酸化還元電位における変化等の刺激に対して感受性がある(例えば、還元性媒体で切断されるジスルフィド結合);
-酵素に対して感受性がある(例えば、内因性のエステラーゼによって切断されるエステル結合);或いは
-光放射に対して感受性がある(例えば、有している感光性基);
ため、細胞内媒体で迅速に切断される官能基を表し、
【0036】
Pは、0又は1に等しい整数であり;
Yは、分岐状の炭化水素基であって、1〜20個の、好ましくは1〜12個の炭素原子を含むことができ、さらに/又は1若しくは複数のヘテロ原子を含むことができ、そして一方でW2又はAA又はE又はR基と、そして他方では少なくとも2つのY及び/又はZ基と任意に共有結合することができる炭化水素基であり;
qは、0〜8の、好ましくは0〜3の整数であり;
Zは、塩基性アミノ酸又はセリンを表し;
rは、1〜16の、好ましくは1〜8の整数であって、ただしqが1に等しい場合には、rは少なくとも2であり、そしてrが1より大きい場合には、Z基は同一であっても相違していてもよい、と理解することができる整数であり;
sは、1又は2の整数である)
のカチオン性両親媒性の化合物、及びその生理的に認容される付加塩である。
【0037】
上記及び下記において、他に指定のない限り、「ヘテロ原子」は、窒素、酸素、硫黄及び例えば臭素、ヨウ素、塩素及びフッ素等のハロゲンから選択される原子を意味する。
W1及びW2に関して、これらは同一である又は相違する場合、これらは直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表し、1〜15個の、好ましくは1〜6個の炭素原子を含むことができ、1又は複数のヘテロ原子を含むことができ、この1又は複数のヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄及び例えば臭素、ヨウ素、塩素及びフッ素等のハロゲンから選択することができ、好ましくは窒素、硫黄及び例えば臭素、ヨウ素、塩素及びフッ素等のハロゲンから選択することができる。
【0038】
同様に、「アミノ酸ラジカル」は、後者が、一方でE又はR基と、そして他方で1又は複数のW1又はY又はZ基と共有結合する場合、このアミノ酸を構成する原子の基を意味する。
同様にまた、「炭化水素基」は、1又は複数の水素原子へ任意に結合された、1又は複数の炭素原子を含んでなるいずれかの基を意味する。
【0039】
本発明の第一に好まれる態様に従うと、式(I)において、Rは好ましくは式(II):
【化2】

(式中:
R1及びR2は、同一である又は相違し、直鎖状の、分岐状の及び/又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素基を表し、これは6〜24個の、好ましくは10〜18個の炭素原子を含んでなり、
A及びBは、同一である又は相違し、−C(O)−O−;−O−C(O)−;−CO−NH−;−NH−CO−;−NH−又はO−基を表し、
aは、1〜6の整数であって、好ましくはaは、1又は2に等しい整数であり、
bは、0〜6の整数であって、好ましくはbは、0又は1に等しい整数であり、
Dは、−NH−、−CO−、−O−又はS−基を表す)
に相当する。
【0040】
式(II)に相当する構造の中で、Rは、好ましくは、式(III)(以下の実施例I.1):
【化3】

【0041】
又は式(IV)(以下の実施例I.8):
【化4】

(式中、R1及びR2は、既に記載する同様の意味を有する)に相当する。
式(III)及び(IV)において、R1及びR2は好ましくは、C12〜C18のアルキル、アルケニル又はアルキニル鎖を表す。
【0042】
本発明の他に好まれる態様に従うと、式(I)において、Eは不存在とする又はスペーサーアームとして機能することができ、そして式(V):-G1−X1−G1−、(式中、X1は、1〜8個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むことができる架橋アルキレン基を表し、さらに、G1は、−CO−又はNH−基を表すことができる)に相当する。
本発明に記載の化合物の中で、Eは好ましくは式CO−X−COに相当し、式中、X1は、上記と同じ意味を有し、そして、一方において親油性領域Rと、そして他方においてAAラジカルと又は直接W1又はY又はZ基とアミド結合によって結合する。
【0043】
本発明によると、アミノ酸、式(I)においてAAで表されるそのラジカルは、好ましくは20個のアミノ酸、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン及びバリンから選択することができ、これらはタンパク質を構成する。特にAAは、アスパラギン酸、グルタミン酸、イソロイシン、ロイシン、リジン及びフェニルアラニンから、特に好ましくはアスパラギン酸(実施例I.14)、グルタミン酸(実施例I.15)及びリジン(実施例I.12)から選択することができる。
【0044】
しかしながら、このアミノ酸はまた、例えば、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、α-アミノアジピン酸、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、フェニルセリン、α、ε-ジアミノピメリン酸、オルニチン及びその他の修飾アミノ酸、当然のことながら、1つがカルボン酸であり他方がアミンである2つの官能基であり、一方はスペーサーアームE又はRと、そして他方は、少なくとも1つがW1又はY又はZ基と共有結合することができる官能基を含むため適当である任意のアミノ酸等のさらにレアなアミノ酸から選択することができる。アミノ酸の選択は、sが2と同等とすることができるようにそれが少なくとも3つの官能基を含まなければならず、さらに1と等しいsを有するにはそれは2つの官能基だけを含んでなることで十分である範囲内において、式(I)中のsへ付与することが望まれる値に特に依存する。本発明によると、AAがアミノ酸ラジカルであり、L型の1つであることが好まれる。しかしながら、AAがD型のアミノ酸ラジカルであることもまた可能である。
【0045】
本発明の他の好ましい態様によると、式(I)において、W1は式(VI):−G−X−、に相当することができ、そしてW2は式(VII):−X−G−に相当することができ、式中、X2及びX3は同一である又は相違し、1〜8個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでなる架橋アルキレン基を表すことができ、さらにG2及びG3は、同一である又は相違し、−CO−、−NH−又はO−基を表すことができる。W1は、一方でAA、E又はR基と共有結合を形成し、そして他方でL基と共有結合を形成し、さらにW2は、一方でL基と共有結合を形成し、そして他方でY又はZ基と共有結合を形成する。
【0046】
本発明の他の好ましい態様によると、式(I)において、Lはエステル(−CO−O−)、ジスルフィド(−S−S−)、ビニルエーテル(−O−C=C−)、アシルヒドラゾン(−CO−NR−N=CR’R”)基を、特に好ましくはそのエステル(実施例I.1)及びジスルフィド基(実施例I.6)を表すことができる。これらの基は一方でW1基と、そして他方でW2基と共有結合を形成する。
【0047】
本発明の他の好ましい態様によると、式(I)において、Yが、好ましくは式(VIII):−CO−X4−NH−X5−N−[X6−NH]2−、又は式(IX):−NH−X5−N−[X6−NH]2−、に相当し、式中X4、X5及びX6は、同一であるか又は相違し、1〜8個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含むことができる架橋アルキレン基を表すことができる。式(VIII)及び(IX)において、X4は好ましくはメチレンを表し、さらにX5及びX6は好ましくは、1〜4個の、さらに好ましくは2個の炭素原子を含んでなる架橋アルキレン基を表すことができる。したがってYは、一方で任意にW2又はAA又はE又はRと共有結合を形成し、そして他方で少なくともY及び/又はZ基と共有結合を形成することを可能にする3つの官能基を有する。
【0048】
本発明の他の好ましい態様によると、式(I)において、Zは好ましくはリジン(実施例I.1)、オルニチン(実施例I.6)、アルギニン(実施例I.7)、ヒスチジン(実施例I.4)から選択される塩基性アミノ酸を表す。かかるアミノ酸Zは、一方でY又はW2又はAA又はE又はRと任意に共有結合を形成することができるカルボン酸官能基、及び他方で1又は2つの他のZ基と任意に共有結合を形成することができる1又は2つの塩基性の反応性官能基(アミン、アルコール等)を有する。本発明によると、塩基性アミノ酸はL型に属することが好ましい。しかしながら、D型に属することもまた可能である。
【0049】
本発明によると、式(I)のカチオン性両親媒性の化合物は、溶液中に塩の形態で存在することができる;そして、その対イオンは、生理的に認容される有機又は無機のアニオンとすることができ、有利にはCFCOO及びCHCOO等の有機アニオン又はBr、Cl、I及びF等の無機アニオンから選択される。
【0050】
本発明の目的に適当な式(I)の化合物の中で、以下の式の化合物が限定的に挙げられる:
I.1
【化5】

I.2
【化6】

I.3
【化7】

【0051】
I.4
【化8】

I.5
【化9】

I.6
【化10】

【0052】
I.7
【化11】

I.8
【化12】

I.9
【化13】

【0053】
I.10
【化14】

I.11
【化15】

I.12
【化16】

【0054】
I.13
【化17】

I.14
【化18】

I.15
【化19】

【0055】
I.16
【化20】

I.17
【化21】

I.18
【化22】

【0056】
I.19
【化23】

I.20
【化24】

【0057】
本発明に関するこれらの化合物は、当業者に周知の合成及び精製方法を使用して、商業的に容易に入手することができる出発物質から調製することができる。本発明の特定の好ましい化合物の調製のための反応図は、図1〜3で説明されており、そしてこれらの化合物の調製方法は、以下の実施例で詳細に説明する。さらに、固体支持体上の合成方法(Byk G. et al.(1997)Tetrahedron Lett. 38(18)、3219-3222)は、本発明の化合物の調製のために、合成中間生成物としての特定の塩基性アミノポリ酸の調製のために使用されてきた。この方法は、以下の実施例の1つにおいて詳細に説明され、そして反応図は図3で説明される。
【0058】
本発明の目的に適当な化合物は、標準的な技術で調製することができる塩の形態で得られ、例えば図1及び2の反応図で説明される。これらの実施例では、トリフルオロ酢酸塩の形成の段階もまた、本発明の化合物によって生じる塩基性アミノ酸のアミン及び/又はグアニジン官能基の脱保護の段階に相当する。
本発明の他の主題は、少なくとも式(I)に相当する1つの化合物を含んでなる組成物、特に化粧品用の及び/又は医薬用の組成物、又は実験用の試薬に関連する。
【0059】
本発明のさらにもう1つの主題は、上記に定義し、そしてまた輸送剤と呼ばれる式(I)に相当する化合物、及び少なくとも1つの核酸又はポリヌクレオチドを含んでなる組成物に関連する。好ましくは、これらの輸送剤及び核酸が、核酸の負電荷に対するかかる薬剤の正電荷の割合が0.1〜50であり、好ましくは0.5〜20である量で存在し得る。この割合は、使用される薬剤、核酸、トランスフェクトされる細胞のタイプに応じて当業者によって容易に調製されることができる。本発明によると、有利には、かかる組成物は、核酸1μg当たり1〜12ナノモル、そして好ましくは1〜9ナノモルの輸送剤の量を含むことができる。
【0060】
本発明の目的のために、核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボヌクレオチド酸(RNA)、又はペプチド核酸(PNA)、モルフォリンオリゴヌクレオチド又はアプタマー等の組み換え核酸とすることができる。その由来が天然であるか又は人工であるかは重要ではない。それは、動物、人間、植物、細菌又はウイルス性の由来とすることができる。治療用薬剤としてのその機能は、宿主細胞において注目するポリペプチド及び/又はタンパク質をコードする遺伝子、又は遺伝子の発現、RNAへのその転写、又はタンパク質へのその翻訳を制御するアンチセンス機能とすることができる。それはまた、遺伝子の発現を有するリボザイム又は干渉RNA(siRNA又はshRNA又はmiRNA)としても機能することができる。
【0061】
何らかの面において、核酸は医薬的に注目のポリペプチドのために効果的な方法でエンコードし、宿主細胞でのその発現中に、治療を受けている生命体の機能不全を治療することを可能にする。結果として、本発明に記載の組成物は、インビトロ(in vitro)及びインビボ(in vivo)での研究及び開発において、又はインビボ及びエクスビボ(ex vivo)での遺伝子治療において有効である。核酸はまた、人間又は動物においてそれに対する免疫応答を示すことが可能な又は免疫応答を誘発することが可能なポリペプチドを、効果的な方法でエンコードすることができる。結果として、本発明に記載の組成物は、特に遺伝子治療、ワクチン及び免疫療法の分野に応用され、その目的は特に癌或いは細菌又はウイルスの感染症の治療又は予防である。
【0062】
遺伝子治療、ワクチン及び免疫療法の分野における使用のために、核酸は有利にはDNAであり、そして核酸は好ましくは、標的細胞において活性を有する1又は複数のプロモーター及び転写のターミネーターの制御下で、注目のポリペプチドをエンコードしているDNAの1又は複数の配列によって構成される発現カセットを含んでなる。それはまた、siRNAタイプのRNA又はアンチセンス・オリゴヌクレオチドとすることもできる。
【0063】
本発明の他の主題は、上記に定義する式(I)に相当する輸送剤、及び少なくとも1つのポリペプチド又はタンパク質を含んでなる組成物に関連する。好ましくは、かかる輸送剤及びポリペプチド、又はタンパク質は、輸送剤(式(I)の化合物)の量がポリペプチド1μg当たり本発明に記載の輸送剤1〜10ナノモル、好ましくは1〜3ナノモルとすることができる量で存在することができる。
【0064】
本発明の目的のために、かかるポリペプチドは、医薬的に注目のペプチド又はタンパク質とすることができる。ポリペプチドの細胞内へのかかる輸送は、癌、炎症性の及び遺伝性の疾患、感染症及び糖尿病等の代謝欠陥等の多数の疾患に対して向けられる新規な治療用のアプローチを開発するための、遺伝子治療の代替手段を表す。これらの注目のペプチド及びこれらのタンパク質の中で、例えば、抗体、抗原、リンフォカイン、インターロイキン、ネクローシス及びアポトーシス因子、インターフェロン、成長因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、ファクターVIII:c、赤血球増加因子、インスリン、カルシトニン、チミジンキナーゼ等を挙げることができる。本発明に記載のかかる組成物はまた、複合体分子メカニズムの解明のためにプロテオミクスの研究の新規分野を開拓する。例えば、アポトーシス現象に関与するタンパク質の細胞内への輸送は、プログラムされた細胞死メカニズムを解明することに寄与することができる。
【0065】
本発明の他の主題は、上記に定義する式(I)に相当する輸送剤、及び核酸又はポリペプチド以外の生物学的に活性な分子を少なくとも1つを含んでなる組成物に関連する。これは、活性成分、多糖類、脂質、ペプトイド等であり得る。例えば、ペプトイドは、治療用の注目のペプチドの類似物としてうまく使用することができる。
かかる組成物は、式(I)に相当する化合物と、生物学的に活性な分子と又は輸送剤/生物学的に活性な分子の複合体と結合することができ、さらにそのトランスフェクトするパワー及び薬効薬理を改善することができるアジュバントもまた含むことができる。従って、本発明に記載のかかる組成物は、アジュバントとして1又は複数の中性の(双性である又はイオン電荷がない)、アニオン性の又はカチオン性の脂質を含むことができる。
【0066】
好ましくは、使用されるかかる脂質が、2つの脂肪鎖、コレステロール、又はコレステロール誘導体を有する中性の脂質である。それらは、より詳細には、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(Farhood H. et al、Biochim Biophys. Acta(1985)、1235-1289)、オレオイルパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジステアロイル−、ジパルミトイル−、ジミリストイル−、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE、DPPE、DMPE、DLPE)、及びこれらの1〜3回のNメチル化誘導体(DOPC、DPPC、DMPC)、フォスファチジルグリセロール、グリコシルジアシルグリセロール、セレブロシド(特にガラクトセレブロシド等)、スフィンゴ脂質(特にスフィンゴミエリン等)、アシアロガングリオシド(特にアシアロGM1及びGM2等)、又は脂質エーテル、から選択することができる。
【0067】
単脂肪鎖を含んでなる脂質もまた使用することができ、これにはリゾホスファタイド、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルセリン又はリゾホスファチジン酸が含まれる。これらの異なる脂質は、天然又は合成とすることができる。
【0068】
本発明に記載の組成物に含まれることができるかかるアジュバントは、1又は複数の天然の又は合成の重合体、共重合体及び/又はデンドリマーとすることもできる。これらの重合体は、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリオルニチン、又はポリブレン及びキトサンも含むポリアミン等のカチオン性のものとすることができる。かかる重合体はまた、ポリグルタミン酸、ポリプロピルアクリル酸、ヒアルロン酸及びポリ乳酸-co-グリコール酸(PGLA)等のアニオン性のもの、又はポリエチレングリコール(PEG)又はガラクトマンナン等の特定の多糖類等の中性のものとすることができる。
【0069】
本発明に記載の組成物はまた、アジュバントとして、ナノ粒子、特に磁性粒子、有機又は無機化合物に基づく粒子もまた含むことができる。かかるアジュバントはまた、ポリペプチド、タンパク質、単糖、グリセロール、シクロデキストリン、ヒストン、デオキシコール酸及び輸送の有効性及び薬効薬理を改善するその他の「活性化因子」(「エンハンサー」)とすることができる。
【0070】
かかる組成物はまた、細胞の表面及び/又は細胞内の決定因子を特に標的とすることができるアジュバントを含むことができる。これらの標的因子は、式(I)に相当する化合物又は式(I)の化合物を含んでなる組成物に含まれるその他の分子へ共有結合又は非共有結合することができる。これらの標的因子は、標的細胞の表面で発現される受容体のリガンド、例えば糖、葉酸、トランスフェリン、インスリン、ホルモン、ペプチド、抗体、代謝生成物、ビタミン又は細胞外の受容体を認識することができるその他の分子とすることができる。
【0071】
それらはまた、例えば核の又はミトコンドリアの局在化シグナル等である、ミトコンドリア、核又は細胞質等の特定の区画を標的とするための細胞内ベクター化の因子とすることができる。一般的に、標的因子は、糖、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、リガンド又はリガンドフラグメントとすることができる。アジュバントはまた、ローダミン、フルオレセイン又はビオチン等の蛍光色素分子とすることができる。
【0072】
本発明に記載の組成物はまた、例えばレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス等のウイルス、及び/又は例えば細菌、イースト、菌類又は寄生虫等の単細胞生物を含むことができる。
本発明に記載の組成物は、好ましくは、0〜20の、より好ましくは0.5〜3のアジュバント/輸送剤のモル比を有する。
【0073】
本発明はまた、上記に定義され、そして核酸、ポリペプチド又はその他の生物学的に活性な分子をトランスフェクトするものとして知られる1又は複数の他の薬剤を含んでなる任意の組成物にまで及ぶ。
本発明の他の主題は、核酸、ポリペプチド又はその他の生物学的に活性な分子の細胞内への導入のための、上記に定義される輸送剤の使用に関連する。生物的に注目の分子の輸送が必要ないずれの分野でも、これを使用することができる。これは、特に化粧品及び/又は医薬の分野、又は実験用の試薬に適用する。
【0074】
本発明はまた、核酸、ポリペプチド又はその他の生物学的に活性な分子の細胞内への導入を目的とする、組成物の調製のための式(I)の化合物の使用に関連する。
本発明はまた、核酸、ポリペプチド又はその他の生物学的に活性な分子の細胞内への導入のために、少なくとも式(I)の化合物を1つ含んでなる組成物の使用に関連する。
【0075】
本発明に記載の輸送剤を含んでなる組成物は、局所的な、皮膚性の、経口的な、直腸内の、膣内の、非経口的な、鼻腔内の、静脈内の、筋肉内の、皮下の、眼内の、経皮的な、気管内の、腹腔内のルート等による投与のために製剤化されることができる。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、注入可能な製剤のための、特に目的とする器官内への直接的な注入のための、又は局所的なルートによる投与のための医薬的に認容されるビヒクル(vehicle)を含む。これらは、特に滅菌の、等張性の溶媒、又は乾燥した、特に冷凍乾燥した組成物とすることができ、これは場合に応じて滅菌水又は生理的血清を添加することによって、注入可能な溶媒の形成を可能にする。注入及び投与の数に応じて使用される核酸、ポリペプチド又はその他の生物学的に活性な分子の用量は、異なるパラメータの作用に応じて、そして特に使用される投与方法、関与する病理、発現される遺伝子、又は治療の求められる期間に応じて適合させることができる。より詳細には投与方法に関しては、これは、組織内へ又は循環ルート内への直接的な注入か、或いは、その後に注入又は移植による再移植が続く培養中の細胞の処理とすることができる。
【0076】
本発明はまた、生物学的に注目の分子の細胞内への導入方法に関連し、これは:
1.活性分子/輸送剤複合体を形成するために生物学的に注目の分子を、上記に定義される式(I)に相当する輸送剤と、又は既に定義される組成物と接触させる段階
2.細胞を、1で形成された複合体と接触させる段階
を含んでなる。
【0077】
本発明によると、段階2において、細胞及び/又は複合体の添加の順序は重要ではない。
好ましくは、この方法はインビトロで及び/又は既に単離された細胞を用いて実行される実験で及び/又はインビボで使用される。
【0078】
1又は複数の他のトランスフェクション剤及び/或いは1又は複数のアジュバントを含んでなる組成物の場合、本発明に記載の方法はまた、別のトランスフェクション剤及び/或いは1つのアジュバント又は複数のアジュバントとの接触の、1又は複数の段階もまた含むことができる。本発明によると、有利には、式(I)の化合物の他のトランスフェクション剤及び/或いは1つのアジュバント又は複数のアジュバントとの接触の段階が、段階1より先行することができる。
【0079】
本願に記載の輸送剤/生物学的に活性な分子の複合体は、2つの溶媒を混合することによって形成され、かかる溶媒は一方が、1又は複数のアジュバント及び/或いは1又は複数の他のトランスフェクション剤の有無に関わらず、本発明に記載の輸送剤に基づく組成物を1つ含み、そして他方は、1又は複数のアジュバント及び/或いは1又は複数の他のトランスフェクション剤の有無に関係なく運ばれる生物学的に活性な分子を含む。複合体は、数秒のうちに形成され、そして輸送される分子に添加される脂質の量にもとづき、負に、正に、又は中性に帯電させることが可能である。
【0080】
細胞を複合体と接触させることは、細胞のかかる複合体との培養(インビトロ又はエクスビボでの使用)によって、或いは複合体を生命体へ注入すること(インビボでの使用)によって実行することができる。培養は、好ましくは例えば106細胞あたり0.01〜1000μgの生物学的に注目の分子の存在下で実行される。インビボでの投与に関しては、0.01〜10mgの範囲の活性分子の用量を使用することができる。
【0081】
本発明に記載の輸送剤は、生物学的に活性な分子の初代細胞又は樹立株への導入におけるそれらの使用に特に有効である。これらは、内皮の、上皮の、線維芽の、肝臓の、造血(リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、等)の、筋の、神経(ニューロン、グリア細胞、アストロサイト)の細胞等の、真核細胞とすることができる。それらはまた、原核(細菌)の及び植物の細胞、昆虫の、イーストの又は寄生虫の細胞とすることができる。それらは、分化した又は多能性のある形態で存在することができる。
【0082】
本発明の対象はまた、少なくとも式(I)の化合物を1つ、又は少なくとも式(I)の化合物を1つ含んでなる組成物を1つ、そして任意に生体物質の導入の実行に有効な他の溶液を含んでなる生体物質の導入のためのキットである。
本発明に記載の化合物の有効な特性により、組成物、特にワクチンでの特にアジュバントとしての使用等の他の多くの使用を予想することができるようになる。
以下の記述は、この開示において頻繁に使用される特定の語の理解を促進するために提供される:
【0083】
「生物学的に活性な分子」又は「活性分子」又は「生理活性剤」又は「生物学的に注目の分子」又は「活性成分」とは、細胞において特定の活性を有しそして細胞生物学から医学の範囲の数々の分野において使用されるいずれの分子又は高分子のことである。これらは、核酸(DNA、RNA等)、ポリペプチド、タンパク質、活性成分、多糖類、ペプトイド等とすることができる。
「ポリペプチド」とは、サイズに関係なくいずれのアミノ酸鎖も意味する。従って、この用語は特にペプチド及びタンパク質を含む。
【0084】
上記の態様を除いて、本発明はまた以下の実施例及び図によって表される他の特徴及び利点を含んでなり、そしてこれらは範囲を限定することなく本発明を説明していると見なさなければならない。
特に、出願人は、本発明に記載の輸送剤の調製のために使用することが可能である制限のない様々な操作プロトコル、及び反応中間体を提案する。もちろん、これらのプロトコル又は中間生成物によって、同様の化合物を生産するための類似する方法を開発することが誘導されることは、当業者の技術範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1:181GSCO 1d(式I.6の化合物)の合成のための反応図であって、各段階で使用される試薬及び条件は: i)連続して a.N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N-ヒドロキシサクシンイミド(NHS)、ジクロロメタタン/N,N’-ジメチルホルムアミド(CH2Cl2/DMF)、周囲温度(AT)(最大25°C); b.シスタミン二塩酸塩、トリエチルアミン(TEA)、DMF、AT; ii)連続して a.ジオレオイルグリセロサクシネート(DOGS)、DCC、NHS、CH2Cl2/DMF、AT; b.TEA、CH2Cl2、AT; iii)トリフルオロ酢酸(CF3COOH)、CH2Cl2、ATである。
【0086】
【図2】図2:181GSGlu(CO)2 4e(式I.15の化合物)の合成のための反応図であって、使用される試薬及び条件は: i)連続して a.N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、CH2Cl2/DMF、AT; b.ジ-tertブチルL-グルタメート(H-Glu(OtBu)-OtBu)、CH2Cl2、AT; ii)CF3COOH、CH2Cl2、AT iii)連続して a.DIC、HOBt、CH2Cl2/DMF、AT; b.Boc−Orn(Boc)-NH-(CH22-S-S-(CH22-NH2 1b、TEA、CH2Cl2、AT; iv)CF3COOH、CH2Cl2、ATである。
【0087】
【図3】図3:ビス-リジン5eの固体支持体上での合成のための反応図であって、それは181GSCL2 5f(式I.18の化合物)の調製のための合成の中間生成物として使用されるものであって、各段階で使用される試薬及び条件は: i)ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、CH2Cl2、AT; ii)トリス-(2-アミノエチル)アミン、CH2Cl2、AT; iv)Nα,Nε-ジ-tertブチルオキシカルボニル-L-リジン(Boc-Lys(Boc)-OH)、DIC、HOBt、CH2Cl2、AT; v)CF3CH2OH、CH2Cl2、ATである。
【0088】
【図4A】図4A:脂質製剤181GSCO(式I.6の化合物)のインビトロでの輸送活性度(トランスフェクトされた細胞の%)/細胞株(Vero、NiH3-T3、A549、PC-12)内へDNA(pCMV-EGFP)を輸送するためのDOPE、を表しているヒストグラム。
【0089】
【図4B】図4B:DNAの量(μg)及び製剤化された脂質の量(0.5、1、2μl)に応じた、脂質製剤181GSCO(式I.6の化合物)のインビトロでの輸送活性度(β−ガラクトシダーゼの量)/Vero細胞内へDNA(pCMV−LacZ)を輸送するためのDOPE、を表しているヒストグラム。
【0090】
【図5】図5:DNAの量及び製剤化された脂質の量に応じた、NiH3-T3細胞内へのDNA(pCMV−EGFP)の輸送のための、DOPE又はコレステロールを用いて製剤化される181GSCR(式I.7の化合物)のインビトロでの輸送活性度(蛍光強度)、を表しているヒストグラム。
【0091】
【図6】図6:Hela−GFP細胞内へのsiRNA(抗GFP)の輸送のためのDOPEの異なる割合を用いて又は用いないで製剤化される脂質製剤181GSCO(式I.6の化合物)の、インビトロでの輸送活性度(GFPの発現の抑制%)を表しているヒストグラム。
【0092】
【図7】図7:siRNA濃度(in nM)及び時間で示される培養時間に応じた、脂質製剤181GSCR(式I.7の化合物)のインビトロでの輸送活性度(GFPの発現の抑制%)/Hela−GFP細胞内へのsiRNA(抗GFP)の輸送のためのDOPE、を表しているヒストグラム。
【0093】
【図8A】インビトロでの製剤:-181GSCO(式I.6の化合物)/DOPE(これは、NiH3-T3細胞内へのフルオレセイン標識ヤギIgGの輸送(図.8A)Vero細胞内へのR-フィコエリスリンの輸送(図.8B)Hela細胞内へのβ-ガラクトシダーゼの輸送(図.8C)のためのものである。)、-181GSCR(式I.7の化合物)/DOPE(これは、NiH3-T3細胞内へのフルオレセイン標識ヤギIgGの輸送(図.8D)のためのものである。)、そして-181GluO2(式I.11の化合物)/DOPE(これは、Hela細胞内へのR-フィコエリスリンの輸送(図.8E)のためのものである。)の輸送活性度を表している写真。
【0094】
【図8B】図8Aに同じ。
【0095】
【図8C】図8Aに同じ。
【0096】
【図8D】図8Aに同じ。
【0097】
【図8E】図8Aに同じ。
【0098】
【図9A】図9A:製剤181GSCO(式I.6の化合物)のインビトロでの輸送活性度/NiH3-T3細胞内へフルオレセイン標識ヤギIgG抗体を輸送するためのDOPE、を表す曲線。輸送活性度は、培養時間に応じた、蛍光細胞の%(図.9A)及び細胞内へ取り込まれたタンパク質の量(図.9B)として判定される。
【0099】
【図9B】図9Aに同じ。
【0100】
【図10A】図10A:製剤化される脂質の量(μl)に応じた、脂質製剤181GluO2(式I.11の化合物)のインビトロでの輸送活性度/懸濁液中であるJurkat細胞内へDNA(pCMV-EGFP)を輸送するためのDOPE、を表しているヒストグラム。輸送活性度は、細胞内で発現されるGFPの量(図.10A)、及び蛍光細胞の%(図.10B)として判定される。
【0101】
【図10B】図10Aに同じ。
【0102】
【図11】図11:懸濁液中のJurkat細胞内への蛍光siRNAの細胞内の輸送のためのDOPEを用いて製剤化される脂質181GSCR(式I.7の化合物)及び181GSGlu(CO)2(式I.15の化合物)のインビトロでの輸送活性度(蛍光強度)を表しているヒストグラム。
【0103】
【図12】図12:製剤181GSCO(式I.6の化合物)のインビトロでの輸送活性度/懸濁液中のJurkat細胞内へTRITC標識タンパク質(BSA)を輸送するためのDOPE、を表している写真。
【0104】
【図13】図13:製剤181GluO2(式I.11の化合物)のインビトロでの輸送活性度/初代神経細胞内へのDNA(pCMV-EGFP)の輸送のためのDOPE、を表している写真。
【0105】
【図14】図14:DOPE(μM)を用いて製剤化される脂質I.6、I.7及びI.11の量に応じた、Hela細胞によって発現されるタンパク質の総質量(μg)を表しているヒストグラム。細胞は、96ウェルのプレートで脂質と共に或いはなしで48時間培養され、そして1ウェルあたりのタンパク質量は、Bradfordテストで判定される。
【実施例】
【0106】
A.本発明に記載される輸送剤の合成
a)材料
主要な試薬及び溶媒は、Merck(Darmstadt、Germany)、VWR Prolabo(Briare、France)、Sigma-Aldrich SARL(Saint Quentin Fallavier、France)及びFluka(Division of Sigma-Aldrich、Saint Quentin Fallavier、France)から得られる。グリセロ脂質誘導体(DOGS、DPGS、DMGS、DLGS)は、Avanti Polar Lipids(Alabaster、AL、USA)から得られる。保護アミノ酸(Boc-Orn(Boc)-OH、Boc-Lys(Boc)-OH、Boc-Arg(Boc)2-OH、H-Glu(OtBu)-OtBu.HCl)は、Bachem Biochimie SARL(Voisin-le-Bretonneux、France)から得られる。全ての無水溶媒は、Sigma-Aldrich及びFlukaから得られ、そしてそのまま用いられる。
【0107】
b)方法
・クロマトグラフィ法
薄膜のクロマトグラフィ法(TLC)は、シリカゲル60F254(Merck)で覆われた5×7.5cmのアルミニウム上で実行される。この化合物は、紫外線(λ=254nm)の下で、ヨードを用いて、第一アミン官能基を有している化合物の場合には、ニンヒドリン展開液(ブタノール中0.2%)へ浸漬され、その後150℃での加熱段階により展開され、或いは硫黄を含む化合物の場合には、セリウム/濃縮モリブデン酸塩(H2O/H2SO4/(NH46Mo7O24.4H2O/Ce(SO42.3H2O展開液: 90/10/15/1)へ浸漬され、その後110℃での加熱段階により展開される。
かかる合成生成物は、シリカ上のクロマトグラフィのカラム上で精製される。フラッシュクロマトグラフィによる分離は、シリカゲル60(230〜400mesh ASTM)(Merck)上で実行される。
【0108】
・マススペクトロメトリー:
サンプルの調製:
分析される生成物は、メタノール/水の混合50/50(v/v)中で、或いは、アセトニトリル/水の混合50/50(v/v)中で溶解され(0.01mg.mL-1)、そして溶液はシリンジポンプ(Harvard Apparatus、Les Ulis、France)によって直接エレクトロスプレーソースの中へ導入される(5μL.min-1)。
【0109】
装置:
質量スペクトルは、空気圧で補助されるエレクトロスプレーイオンソース(Z-spray)が備えられたWaters-Micromass Q−TOF装置(Manchester、U.K.)上で生成される。窒素は、各々250L/h及び50L/hの流速で脱溶媒和ガス及び噴霧ガスとして使用される。そのソース及び脱溶媒和ガスの温度はそれぞれ80及び150℃に固定される。毛細管圧は、±180V(±QD)である。衝突誘起解離(CID)実験のために、5×10-5Torrに設定された分析器圧力及び90Vに調整された衝突エネルギーで、アルゴンが衝突ガスとして使用される。
精密質量測定は、空気圧で補助されるエレクトロスプレーソース(Z-spray)が備えられ、対照化合物(NaI)のためにさらなる噴霧器(Lockspray)が提供されるWaters-Micromass LCT装置(Manchester、U.K.)上で実行される。窒素は、各々500L/h及び20L/hの流速で脱溶媒和ガス及び噴霧ガスとして使用される。ソース及び脱溶媒和ガスの温度はそれぞれ80℃及び120℃に固定される。毛細管圧は±3.0kVであり、コーンプレッシャー(cone pressure)は±100V(±QD)である。
スペクトルは、100〜3500umaの質量範囲となるように、1スキャンが3秒の速度で蓄積される。使用される解像度は、Q-TOFに対して9000 FWHMであり、LCTに対して3000 FWHMである。データ収集及び処理は、program MassLynx V3.5を用いて実行される。
【0110】
・LC/MSカップリング
特定の化合物は、マススペクトロメトリーに加えて高性能液体クロマトグラフィ法(HPLC)(LC/MS)によって析される。HPLCは、Alltech Prevail(商標登録)C18分析カラム(Lexington、KY、USA)が備えられるWaters Alliance 2695装置を用いて実行される。検出は、Waters−Micromass Q−TOF質量分析計によってHPLCカラムのアウトレットで実行される。
【0111】
c)合成
実施例1: ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-シスタミド-オルニチン(化合物1d:(181GSCO))の調製
【0112】
181GSCO、又は式1d
【化25】

の化合物が、Nα,Nε-ジ-Boc-オルニチン 1a(図1)
【化26】

から、3段階で得られる。
【0113】
2.1 段階1: シスタミド(Cystamido)-ジ-Boc-オルニチン(1b)の調製
【化27】

【0114】
Nα,Nε-ジ-Boc-オルニチン1a(1.22mmol; 406mg)が、100mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして20mLの無水CH2Cl2中で攪拌されながら溶解される。新たに再結晶され、そして5mLの無水CH2Cl2中に溶解されるN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1.83mmol; 378mg)、そして5mLの無水DMF中に溶解されるN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)(1.83mmol; 211mg)が、連続してこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度で攪拌及び不活性雰囲気の下で2時間継続される。
【0115】
シスタミン二塩酸塩(6.1mmol; 1.37g)は、25mLのフラスコ内で1mLの水に溶解される。トリエチルアミン(12.2mmol; 1.7mL)、及び10mLのDMFが、攪拌の下でこの溶液へと添加される。この溶液は、50℃で10分間攪拌され、そして直ちに反応溶液へ添加される。周囲温度での24時間の攪拌の後、重要な沈殿物が反応溶液中に形成する。そして混合物は濾過され、ケーキは、CH2Cl2(2×20mL)を用いて洗浄され、そして得られた濾液は、従って混合されそして低真空下で濃縮される。そしてカップリング生成物は、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィ法によって精製される(溶出: CH2Cl2/MeOH 95/5そして8/2(v/v))。このような方法で、260mgの化合物1bは単離され、すなわち46%のの収率である。
TLC: Rf 1b =0.6(CH2Cl2/MeOH 8/2(v/v))
ESI-MS +: [M+H]+としての実測値m/z 467.1は、C19H39N4O5S2の計算値467.2に相当する。
【0116】
2.2 段階2:ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-シスタミド-ジ-Boc-オルニチン(1c)の調製
【化28】

【0117】
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-サクシネート(DOGS)(0.485mmol; 350mg)が、100mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして20mLの無水CH2Cl2中で攪拌されながら溶解される。5mLの無水CH2Cl2中に溶解された新たに結晶化されたDCC(0.727mmol; 150mg)、そして5mLの無水DMF中に溶解されたNHS(0.727mmol; 84mg)は、連続してこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌及び不活性雰囲気の下で2時間継続される。
【0118】
化合物1b(0.535mmol; 250mg)は、10mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして10mLの無水CH2Cl2中に溶解される。トリエチルアミン(0.535mmol; 75μL)は、攪拌の下でこの溶液に添加される。この溶液は、周囲温度で10分間攪拌され、そして反応溶液へ添加される。不活性雰囲気下において周囲温度で24時間攪拌した後、この反応は停止され、そして反応溶液は乾燥するまで低真空下で蒸発される。そして、カップリング生成物はフラッシュクロマトグラフィでシリカゲル上に精製される(溶出勾配は、CH2Cl2中に0〜5%のMeOHである)。このような方法で、414mgの化合物1cが単離され、すなわち73%の収率である。
TLC: Rf 1c=0.8(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v))
ESI-MS +: [M+H]+としての実測値m/z 1169.6は、C62H113N4O12S2の計算値1169.8に相当し、[M+H+Na]2+としての実測値m/z 569.4は、C62H113N4O12S2Naの計算値569.4に相当する。
【0119】
2.3 段階3: 181GSCO(1d)の調製
【化29】

【0120】
化合物1c(0.342mmol; 400mg)は、50mLのフラスコ内で8mLのCH2Cl2に溶解され、そして2mLのトリフルオロ酢酸がこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌の下で1時間継続される。反応溶液は、乾燥するまで低真空下で蒸発される。過剰なトリフルオロ酢酸の痕跡を除去するために、最終残留物は5mLのジクロロメタン中で3度連続して溶解され、そして蒸発乾固される。このような方法で、410mgの化合物1dはトリフルオロ酢酸塩の形態で単離される。この反応は、定量的である。
総合成収率(3段階)は、34%である。
TLC: Rf 1d = 0.1(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v))
HPLC: Rt = 39.73min
(三元勾配 H2O/CH3CN/CH3CN + 10% CH3COOH、流速=1mL/min)
ESI-HRMS(ポジティブモードでの検出を用いた高分解能): [M+H]+としての実測値m/z 969.6739は、C52H97N4O8S2の計算値969.6748に相当する。(偏差: 0.9ppm)
【0121】
実施例2:ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-シスタミド-アルギニン 2d (181GSCR)の調製
181GSCR、又は式2d:
【化30】

の化合物は、Nα,Nω,Nω’-トリス-Boc-L-アルギニン2a
【化31】

から3段階で得られる。
【0122】
2.1 段階 1: シスタミド-トリス-Boc-L-アルギニン(2b)の調製
【化32】

【0123】
Nα,Nω,Nω’-トリス-Boc-L-アルギニン2a(1.21mmol; 875mg)は、250mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、30mLの無水DMF中で攪拌の下溶解される。N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)(1.82mmol; 282μL)、そして5mLの無水DMF中に溶解されたN−ヒドロキシサクシンイミド(NHS)(1.82mmol; 209mg)は、連続して反応溶液へ添加される。そして、この反応は周囲温度での攪拌及び不活性雰囲気の下で2時間継続される。
【0124】
シスタミン二塩酸塩(6.1mmol; 1.37g)は、50mLのフラスコ内で2mLの水に溶解される。トリエチルアミン(12.2mmol; 1.7mL)は、攪拌の下でこの溶液に添加され、そして20mLのDMFが添加される。この溶液は、50℃で5分間攪拌され、そして直ちに反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌の下で24時間継続される。そして、1〜2mLの油性の残留物が得られるまで、この溶媒は低真空下で蒸発される。この残留物は、攪拌の下、50mLのCH2Cl2中で溶解される。そして形成する沈殿物は、濾過及びCH2Cl2(2×10mL)を用いて洗浄される。濾液は、捕集され低真空下で濃縮される。そしてカップリング生成物は、フラッシュクロマトグラフィ法によってシリカゲル上で精製される(溶出: CH2Cl2/MeOH 95/5そして9/1(v/v))。このような方法で、345mgの化合物2bが単離され、すなわち47%の収率である。
TLC: Rf 2b = 0.6(CH2Cl2/MeOH 8/2(v/v))
ESI-MS +: [M+H]+としての実測値m/z 609.2は、C25H49N6O7S2の計算値609.3に相当する。
【0125】
2.2 段階2: ジオレオイル−グリセロ-スクシニル-シスタミド-トリス-Boc-L−アルギニン(2c)の精製
【化33】

【0126】
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-サクシネート(DOGS)(0.33mmol; 240mg)は、250mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして20mLの無水CH2Cl2中で攪拌の下溶解される。新たに再結晶化され5mLの無水CH2Cl2中に溶解されたDCC(0.50mmol;103mg)、そして5mLの無水DMF中に溶解されたNHS(0.50mmol; 58mg)は、連続して反応媒体へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌及び不活性雰囲気の下で2時間継続される。
【0127】
化合物2b(0.50mmol; 305mg)は、50mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして15mLの無水CH2Cl2中に溶解される。トリエチルアミン(0.50mmol; 70μL)は、攪拌の下でこの溶液に添加される。溶液は、周囲温度で10分間攪拌され、そして反応媒体へ添加される。不活性雰囲気下において周囲温度で24時間攪拌した後、この反応は停止されそして反応溶液は乾燥するまで低真空下で蒸発される。そしてカップリング生成物は、フラッシュクロマトグラフィ法によってシリカゲル上に精製される(溶出勾配は、CH2Cl2中に0〜2%のMeOHである)。このような方法で、239mgの化合物2cが単離され、すなわち55%の収率である。
TLC: Rf 2c =0.9(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v))
ESI-MS +: [M+H]+としての実測値m/z 1311.7は、C68H123N6O14S2の計算値1311.9に相当し、[M+H+Na]2+としての実測値m/z 667.4は、C68H123N6O14S2Naの計算値667.4に相当する。
【0128】
2.3 段階3: 181GSCR(2d)の調製
化合物2c(0.17mmol; 220mg)は、50mLのフラスコ内で5mLのCH2Cl2中に溶解され、そして5mLのトリフルオロ酢酸がこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌の下で1時間継続される。反応溶液は、乾燥するまで低真空下で蒸発される。過剰なトリフルオロ酢酸の痕跡を除去するために、最終残留物は3回連続して5mLのジクロロメタン中に溶解され、そして蒸発乾固される。このような方法で、210mgの化合物2dがトリフルオロ酢酸塩の形態で単離される。この反応は定量的である。
総合合成収率(3段階)は、26%である。
TLC: Rf 2d = 0.1(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v))
HPLC: Rt = 39.46分
(三元勾配 H2O/CH3CN/CH3CN + 10% CH3COOH、流速=1mL/min)
ESI-HRMS(ポジティブモードでの検出を用いた高分解能): [M+H]+としての実測値m/z 1011.6984は、C53H99N6O8S2の計算値1011.6966に相当する(偏差:1.8ppm)。
【0129】
実施例3:ジラウロイル-グリセロ-スクシニル-シスタミド-リジン(3)(12GSCL)の調製
【化34】

【0130】
合成手段は、Nα,Nε-ジ-Boc-L-オルニチンの代わりにNα,Nδ−ジ-Boc-L-リジンを使用し、そして1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-サクシネート(DOGS)の代わりに1,2−ジラウロイル-sn-グリセロ-3-サクシネート(DLGS)を使用する以外は、181GSCO(実施例1)の合成と同一である。31%の総収率が得られる。
TLC: Rf 3 =0(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v))
ESI-HRMS(ポジティブモードでの検出を用いた高分解能): [M+H]+としての実測値m/z 819.5356は、C40H77N4O8S2の計算値819.5339に相当する(偏差: 2.1ppm)。
【0131】
実施例4: ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-グルタミド(Glutamido)-ビス-(シスタミド-オルニチン): 181GSGlu(CO)2;(化合物4e: 図2:
181GSGlu(CO)2、又は式4e:
【化35】

の化合物は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-サクシネート(DOGS)4a(図2)
【化36】

から4段階で得られる。
【0132】
4.1 ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-ジ-OtBu-グルタメート(4b)の調製
【化37】

【0133】
1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-サクシネート(DOGS)4a(0.031mmol; 22.5mg)は、10mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして攪拌の下で3mLの無水CH2Cl2中に溶解される。DIC(0.047mmol; 7.3μL)、そして500μLの無水DMF中に溶解されたHOBt(0.047mmol; 6.4mg)は、連続してこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌及び不活性雰囲気の下で2時間継続される。
【0134】
H-Glu(OtBu)-OtBu.HCl(0.047mmol; 14mg)は、もう一つの5mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして500μLの無水CH2Cl2中に溶解される。トリエチルアミン(0.047mmol; 6.6μL)は、この溶液に攪拌の下で添加される。この溶液は、周囲温度で10分間攪拌され、そしてこの反応溶液へ添加される。不活性雰囲気の下で周囲温度で24時間攪拌した後、この反応は終了され、そしてこの反応溶液は乾燥するまで低真空の下で蒸発される。そして、フラッシュクロマトグラフィ法によってシリコンゲル上にカップリング生成物が精製される(溶出勾配は、CHCl3中に0〜1% MeOHである)。このような方法で、28.1mgの化合物4bは単離され、すなわち93%の収率である。
TLC: Rf 4b = 0.9(CHCl3/MeOH/AcOH 95/5/0.2(v/v/v))
ESI-MS +: [M+Na]+としての実測値m/z 984.8は、C56H99NO11Naの計算値984.7に相当する。
【0135】
4.2 ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-グルタメート(4c)の調製
【化38】

【0136】
化合物4b(0.026mmol; 25.5mg)は、10mLのフラスコ内で1.6mLのCH2Cl2中に溶解され、そして400μLのトリフルオロ酢酸がこの反応溶液に添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌の下で1時間継続される。反応溶液は、乾燥するまで低真空の下で蒸発される。過剰なトリフルオロ酢酸の痕跡を除去するために、最終残留物は5mLのジクロロメタン中に連続して3回溶解され、そして蒸発乾固される。このような方法で、24.4mgの化合物4cが単離される。この反応は定量的である。
TLC: Rf 4c =0.1(CHCl3/MeOH/AcOH 95/5/0.2(v/v/v); Rf 4b=0.9)
ESI-MS +: [M+Na]+としての実測値m/z 871.6は、C48H82NO11Naの計算値871.6に相当する。
【0137】
4.3 ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-グルタミド-ジ(シスタミド-ジ-Boc-オルニチン)(4d)の調製
【化39】

【0138】
化合物4c(0.015mmol;12.5mg)は、10mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、3mLの無水CH2Cl2中で攪拌の下溶解される。DIC(0.045mmol; 7.0μL)そして0.5mLの無水DMF中に溶解されたHOBt(0.045mmol; 6.1mg)は、連続してこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌及び不活性雰囲気の下で2時間継続される。化合物1b(実施例1で既に説明した合成)(0.045mmol; 21.0mg)は、もう一つの10mLの乾燥したフラスコ内に不活性雰囲気下であらかじめ入れられ、そして1.5mLの無水CH2Cl2中に溶解される。
【0139】
攪拌下でトリエチルアミン(0.045mmol; 6.2μL)がこの溶液に添加される。溶液は、周囲温度で10分間攪拌され、そしてこの反応溶液へ添加される。不活性雰囲気において周囲温度で24時間攪拌した後、この反応は停止されそして反応溶液は乾燥するまで低真空下で蒸発される。そしてカップリング生成物は、フラッシュクロマトグラフィ法によってシリカゲル上に精製される(溶出勾配は、CH2Cl2中に0〜5%のMeOHである)。このような方法で、20.6mgの化合物4dが単離され、すなわち80%の収率である。
TLC: Rf 4d = 0.35(CH2Cl2/MeOH 95/5(v/v))
ESI-MS +: [M+Na]+としての実測値m/z 1769.2は、C86H155N9O19S4Naの計算値1769.0に相当する。
【0140】
4.4 181GSGlu(CO)2(4e)の調製
化合物4d(0.011mmol; 20mg)は、10mLのフラスコ内で1.6mLのCH2Cl2中に溶解され、そして400μLのトリフルオロ酢酸がこの反応溶液へ添加される。そしてこの反応は、周囲温度での攪拌の下で1時間継続される。反応溶液は、乾燥するまで低真空下で蒸発される。過剰なトリフルオロ酢酸の痕跡を除去するために、最終残留物は5mLのジクロロメタン中に連続して3回溶解され、そして蒸発乾固される。このような方法で、19.5mgの化合物4eはトリフルオロ酢酸塩の形態で単離される。この反応は定量的である。
TLC: Rf 4e = 0(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v); Rf 4d=0.9)
ESI-MS +: [M+H]+としての実測値m/z 1346.9は、C66H124N9O11S4の計算値1346.8に相当し、[M+Na]+としての実測値m/z 1368.9は、C66H123N9O11S4Naの計算値1368.8に相当する。
【0141】
実施例5: ジオレオイル-グリセロ-スクシニル-シスタミド-ビス-リジン(5f)(181GSCL2)の調製
181GSCL2、又は式5f:
【化40】

の化合物は、調製を以下に説明する化合物bis-リジン5eから得られる。
【0142】
5.1 輸送剤の合成前駆物質としての分岐bis-リジンの調製: SPPSによる[Boc−Lys(Boc)-NH-(CH22]2-N-(CH22-NH-CH2-COOH(5e)の合成(図3)
式5e:
【化41】

の化合物は、クロロトリチルクロリド樹脂5a
【化42】

から4段階で得られる(図3)。
【0143】
段階1: 化合物5bを得るための、酸性官能基の高分子支持体5aへの固定
【化43】

【0144】
クロロトリチルクロリド樹脂5a(1.4mmol Cl/g resin;5g)は、SPPSリアクターへ取り込まれ、50mLのCH2Cl2が加えられ、そして混合物は5分間攪拌される。ブロモ酢酸(8.5mmol; 1.2g)が添加され、続いてDIPEA(9mmol; 1.5mL)が添加される。リアクターは、周囲温度で2時間攪拌される。その液体は濾過され、そして樹脂はCH2Cl2及びiPrOH(10×50mL)を用いて、次にMeOH(2×50mL)を用いて連続して洗浄される。最終的に、得られるブロモアセチル-樹脂(化合物5b、図3)は、窒素のフロー下で乾燥される。
【0145】
段階2: 化合物5cを得るための、トリス-(2-アミノエチル)アミンのブロモアセチル-樹脂5bとのカップリング
【化44】

【0146】
トリス-(2-アミノエチル)アミン(70mmol; 10.2g)は、50mLのCH2Cl2中に溶解され、そしてブロモアセチル-樹脂5b(段階1)を含むリアクターへ添加される。リアクターは、周囲温度で2時間攪拌される。溶媒は濾過され除去され、そして樹脂はCH2Cl2及びiPrOH(10×50mL)を用いて連続して洗浄される。最終的に、得られたビス-アミノエチル-樹脂(化合物5c、図3)は、窒素のフロー下で乾燥される。Kaiserテストは陽性である。
【0147】
段階3: 化合物5dを得るための、Nα,Nε-ジ-Boc-L-リジンのビス-アミノエチル-樹脂5cとのカップリング
【化45】

【0148】
Nα,Nε-ジ-BocL-リジン(28mmol; 9.70g)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(30mmol; 4.05g)が、50mLのCH2Cl2/DMF 4/1(v/v)中に溶解される。DIC(30mmol; 5.1mL)は、アミノ酸溶液へ添加され、反応溶液は不活性雰囲気の下で攪拌されながら30分間維持される。そして溶液は、ビス-アミノエチル-樹脂5c(段階2)を含むリアクターへ添加される。リアクターは、18時間周囲温度で攪拌される。溶媒は濾過され除去され、そして樹脂はCH2Cl2及びiPrOH(10×50mL)を用いて、それからMeOH及びエーテル(2×50mL)を用いて連続して洗浄される。最終的に、得られたビス-(ジ-Boc-リジン)-樹脂(化合物5d、図3)は、窒素のフロー下で乾燥される。Kaiserテストは陰性である。
【0149】
段階4: 化合物5eを得るためのビス-(ジ-Boc-リジン)-樹脂5dの切断
【化46】

【0150】
ビス-(ジ-Boc-リジン)-樹脂5d(段階3)は、磁気スターラーが装備された250mLのフラスコへ添加される。50mLのCH2Cl2及び25mLのCF3CH2OHからなる溶液が添加され、そしてこの混合物は周囲温度で2時間攪拌される。溶液は濾過され、樹脂はCH2Cl2(2×10mL)を用いて洗浄され、従って得られる有機相は混合されそして低真空下で濃縮される。そして切断された生成物は、溶出剤としてCH2Cl2/MeOH 9/1(v/v)を用いてフラッシュクロマトグラフィ法によってシリカゲル上で精製される。このような方法で、1.98gの化合物5eが単離され、すなわち、クロロトリチルクロリド樹脂から34%の総収率である。
TLC: Rf 5e = 0.4(CHCl3/MeOH 9/1(v/v))
ESI-MS +: [M+Na]+としての実測値m/z 854.4は、C38H71N8O12Naの計測値854.5に相当する。
【0151】
5.2 181GSCL2(5f)の調製
【化47】

【0152】
合成手段は、Nα,Nε-ジ-Boc-オルニチン(1a)の代わりに化合物5eを使用することを除いて181GSCOの合成(実施例1)と同一である。25%の総収率が得られる。
TLC: Rf 5f =0(CH2Cl2/MeOH 9/1(v/v))
ESI-HRMS(ポジティブモードでの検出を用いた高分解能): [M+H]+としての実測値m/z 1269.9072は、C65H125N10O10S2の計算値1269.9021に相当する(偏差: 4.0ppm)。
【0153】
B.本発明に記載の輸送剤からのサイトフェクタント(CYTOFECTANT)製剤の調製
実施例6: 水中におけるリポソーム、小胞又はミセルの形態での製剤
前記の実施例で説明したカチオン性脂質の1つは、クロロホルム中で所定の濃度で溶解される。一方、共脂質(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン、コレステロール、コレステロール-アミン等)もまた、クロロホルム中で所定の濃度で溶解される。ピルボックス(pill box)でこれらの2つの溶液を異なる量で混合することにより、カチオン性脂質及び共脂質の混合物の異なる組成物を得られる。そして、ピルボックスの壁(wall)に沿って脂質膜を得るために、クロロホルムは低真空下で蒸発される。この膜は、所定量の滅菌の脱イオン水を用いて再水和される。この膜の完全な再水和の後に、小さな単層リポソームを形成するためにこの分散は超音波処理を受ける。
【0154】
例えば、クロロホルム中に181GSCO(実施例1)が10mg.mL-1である溶液600μL(6mg; 5μmol)、及びクロロホルム中にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が10mg.mL-1である溶液372μL(3.72mg; 5μmol)がピルボックス内で混合される。このクロロホルムは、乾燥するまで低真空下で蒸発され、そして得られる脂質膜は5mLの滅菌の脱イオン水中で再懸濁される。4℃で一晩再水和した後に、この分散は15分間超音波処理を受ける。
【0155】
実施例7: 水中でのエタノール注入によるリポソーム、小胞又はミセルの形態での製剤
前記の実施例で説明したカチオン性脂質の1つは、クロロホルム中で所定の濃度で溶解される。一方、共脂質(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン、コレステロール、コレステロール-アミン等)もまた、クロロホルム中で所定の濃度まで溶解される。ピルボックスでこれらの2つの溶液を異なる量で混合することにより、カチオン性脂質及び共脂質の混合物の異なる組成物が得られる。そして、ピルボックスの壁に沿って脂質膜を得るために、クロロホルムは低真空下で蒸発される。そしてこの膜は、少量のエタノール(製剤の最終体積の3〜5%)中で再溶解される。そして、このエタノール溶液は、攪拌下でハミルトンシリンジを使用して所定の体積の脱イオン水の中に迅速に注入される。
【0156】
例えば、クロロホルム中に181GSCO(実施例1)が10mg.mL-1である溶液600μL(6mg; 5μmol)、及びクロロホルム中にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が10mg.mL-1である溶液372μL(3.72mg; 5μmol)がピルボックス内で混合される。このクロロホルムは乾燥するまで低真空下で蒸発され、そして得られる脂質膜は150μLのエタノール中で再溶解される。そしてエタノール溶液は、激しい攪拌下でハミルトンシリンジを使用して5mLの脱イオン水を含むフラスコ内へ迅速に注入される。攪拌は、数分間継続される。
【0157】
実施例8: エタノール溶液中での製剤
前記の実施例で説明したカチオン性脂質の1つは、クロロホルム中で所定の濃度で溶解される。一方、共脂質(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン、コレステロール、コレステロール-アミン等)もまた、クロロホルム中で所定の濃度で溶解される。ピルボックスでこれらの2つの溶液を異なる量で混合することにより、カチオン性脂質及び共脂質の混合物の異なる組成物が得られる。そして、ピルボックスの壁に沿って脂質膜を得るために、クロロホルムは低真空下で蒸発される。そしてこの膜は、激しい攪拌下でエタノール/脱イオン水溶液80/20(v/v)中で再溶解される。
例えば、クロロホルム中に181GSCO(実施例1)が10mg.mL-1である溶液600μL(6mg; 5μmol)、及びクロロホルム中にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)が10mg.mL-1である溶液372μL(3.72mg; 5μmol)がピルボックス内で混合される。このクロロホルムは乾燥するまで低真空下で蒸発され、そして得られる脂質膜は5mLのエタノール/水溶液80/20(v/v)中で再溶解される。
【0158】
C.適用:生細胞内への活性分子の輸送
実施例9: 生細胞内へDNAを輸送するための、本発明に記載の輸送剤の使用
9.1 材料
細胞をトランスフェクトすることを目的とするプラスミドは、pCMV-LacZ、又はpCMV-EGFPである。pCMV-LacZは、酵素であるβ-ガラクトシダーゼをコードする、CMV遺伝子プロモーターの制御下にある遺伝子を含んでなる。細胞で産生されるβ-ガラクトシダーゼの活性は、比色試験を使用して容易に測定することができる。pCMV-EGFPは、タンパク質、GFPをコードする、CMV遺伝子プロモーターの制御下にある遺伝子を含んでなる。細胞で産生されるGFPは、蛍光顕微鏡を用いて観察され、そしてFACSによって定量化される。プラスミドは、細菌培養(E. Coli)から調製され、そしてアフィニティーカラム上で精製される。得られる核酸の溶液は、水で1mg.mL-1に希釈され、そして-20℃で保存される。
【0159】
9.2 トランスフェクションプロトコル
1.細胞の調製
接着不死化細胞(Vero、NIH-3T3、HeLa)は、トランスフェクションテストの前に1日、96ウェルの培養プレートで培養され(100μLのDMEM中で1ウェルにつき15,000細胞)、指数増殖期中であり80%のコンフルエンス状態である間にトランスフェクトされる。
懸濁液中の不死化細胞(Jurkat、K562)は、1mLにつき2〜5×106個の細胞の密度に、トランスフェクションの前日に調製される。トランスフェクションの日には、0.5〜1×105個の細胞が96ウェルの培養プレートで培養される。
DNAの溶液及び実施例6に従って得られる脂質製剤は、トランスフェクションに使用される前に、周囲温度にし、そして溶液を数回ピペッティングし、吸引しそして分注することにより、入念に攪拌される。DNA/脂質製剤の複合体は、次の通り異なるDNA含有量を用いてそして脂質製剤中で調製される。
【0160】
2.脂質製剤の希釈:
脂質製剤は、1.5mLのエッペンドルフチューブ中で培地(DMEM)によって希釈される。異なる脂質製剤濃度で希釈される3つの溶液が調製される(表1)。
【0161】
【表1】

【0162】
3.ストック溶液(1mg.mL-1)は、1.5mLのエッペンドルフチューブ中で培地(DMEM)によって希釈される。DNAの異なる濃度で希釈される3つの溶液(表2)が調製される。
【0163】
【表2】

【0164】
4.DNA/脂質製剤の複合体は、50μLの各希釈DNA溶液と50μLの各希釈脂質製剤溶液を混合することによって、1.5mLのエッペンドルフチューブ内で調製される。この混合物は、溶液を数回ピペッティングし、吸引しそして分注することにより、入念に攪拌され、そして20分間周囲温度で培養される。
【0165】
5.100μLの複合体は、完全培地で培養下の細胞へ添加され(血清存在下でのトランスフェクション)、そしてこの混合物は細胞上で均等に分布するように、細胞培養プレートを攪拌することによりホモジナイズされる。
【0166】
6.細胞は、導入遺伝子の発現が測定されるまで、5%CO2を含む湿度雰囲気において37℃で培養される。プロモーターの活性に応じて、トランスフェクションの有効性はトランスフェクション後24〜72時間で評価することができる。培地の交換は、トランスフェクション後24時間で実行することができる(図4及び9)。
【0167】
実施例10: siRNAの生細胞内への輸送のための本発明に記載の生成物の使用
10.1 材料
細胞をトランスフェクトすることを目的とするプラスミドは、抗EGFP siRNA(Ambion、TX、USA)であり、その配列は、
5’−GCAAGCUGACCCUGAAGUUCUU(センス)
及び
5’−GAACUUCAGGGUCAGCUUGCUU(アンチセンス)である。
細胞で生成されるGFPの抑制におけるかかる配列の有効性は、蛍光顕微鏡を用いて観察され、そしてFACSによって測定される。対照siRNAは、非特異的な抑制の測定のために使用される。RNA溶液は、水中で1μmol.L-1で存在し、そして-20℃で貯蔵される。
【0168】
10.2 トランスフェクションプロトコル
1.細胞の調製
Hela-GFP細胞は、トランスフェクションテストの前に24ウェルの細胞培養プレート(400μLのDMEM中、1ウェルにつき60、000細胞)で1日培養され、そして指数増殖期であり80%のコンフルエンス状態である間にトランスフェクトされる。
【0169】
2.siRNA溶液及び実施例6に従って得られる脂質製剤は、トランスフェクションに使用される前に、周囲温度にし、そして溶液を数回ピペッティングし、吸引しそして分注することにより、入念に攪拌される。
【0170】
3.siRNAのストック溶液(1μmol.L-1)は、1.5mLのエッペンドルフチューブ中で培地(DMEM)によって総体積50μLに希釈される。いくつかの最終濃度(1nM、10nM及び20nM)におけるプラスミドの抑制の有効性をテストするために、一連の希釈溶液が調製される(表3)。
【0171】
【表3】

【0172】
4.脂質製剤は、1.5mLのエッペンドルフチューブ中で培地(DMEM)によって総体積50μLに希釈される。siRNAの各最終濃度のために、一連の希釈溶液が調製される(表4)。
【0173】
【表4】

【0174】
5.siRNA/脂質製剤の複合体は、50μLの希釈されたプラスミド溶液を50μLの希釈された脂質製剤溶液に添加することによって調製される。この混合物は、溶液を数回ピペッティングし、吸引しそして分注することにより、入念に攪拌され、そして20分間周囲温度で培養される。
【0175】
6.100μLの複合体は、完全培地で培養下の細胞へ添加され(血清存在下でのトランスフェクション)、そしてこの混合物は細胞上で均等に分布されるように、細胞培養プレートを攪拌することによりホモジナイズされる。
【0176】
7.細胞は、5%CO2を含む湿度雰囲気において37℃で72時間培養される。そして細胞はトリプシン処理され、そして抑制の有効性は、電子顕微で観察されさらに/又はFACSによって定量的に分析される(図5及び6)。
【0177】
実施例11: 細胞内へのタンパク質の輸送のための本発明に記載の生成物の使用
11.1 材料
細胞内へ輸送することを目的とするポリペプチドは、予めフルオレセインで標識された精製ヤギIgG(Sigma-Aldrich SARL、Saint Quentin Fallavier、France)、R-フィコエリトリン(インビトロジェン、San Diego、CA、USA)及びβ-ガラクトシダーゼ(Merck KGaA、Darmstadt、Germany)である。このポリペプチドは、PBS中に100μg.mL-1の濃度で溶解して使用される。標識されたポリペプチドの細胞内への輸送の有効性は、蛍光顕微鏡で観察されそしてFACSで定量化される。細胞で生成されるβ−ガラクトシダーゼの活性は、比色試験を用いて容易に測定される。
【0178】
11.2 手段
1.細胞の調製
接着不死化細胞(Vero、NIH-3T3、HeLa)は、実験中に指数増殖期であり80%のコンフルエンス状態であるように、ポリペプチド、タンパク質又は抗体の輸送テストの前に24ウェルの細胞培養プレート(400μLのDMEM中、1ウェルにつき75、000細胞)で1日培養される。
懸濁液中の不死化細胞(Jurkat、K562)は、トランスフェクションの前日に1mLにつき2〜5×106個の細胞の密度に調製される。トランスフェクションの日には、1.5〜5×105個の細胞が96ウェルの培養プレートで培養される。
【0179】
2.ポリペプチド溶液及び実施例8に従って得られる脂質製剤は、輸送テストのために使用される前に、周囲温度にし、そして溶液を数回ピペッティングし、吸引しそして分注することにより、入念に攪拌される。
3.2μLの脂質製剤は、1.5mLのエッペンチューブの底面へ添加される。
【0180】
4.そして、1μgのポリペプチドは、脂質製剤を含んでいるこのチューブへ添加される。この混合物は、溶液を数回ピペッティングし、吸引しそして分注することにより、入念に攪拌され、そして周囲温度で10分間培養される。
5.そして、100μLの培地(DMEM)は、ポリペプチド/脂質製剤の混合物へ添加され、そして溶液は数回ピペッティングされ、吸引されそして分注されることにより、入念に攪拌される。
【0181】
6.そして複合体は、直ちに完全培地で培養下の細胞へ添加され(血清存在下でのトランスフェクション)、そして混合物は細胞上で均等に分布されるように、細胞培養プレートを攪拌することによりホモジナイズされる。
7.細胞は、標準条件下で5%CO2を含む湿度雰囲気において37℃で培養される。ポリペプチド又はタンパク質又は抗体の細胞内の輸送の有効性は、3〜48時間の培養後に分析される(図7、8及び10)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中
Rは、親油性領域を表し、
- 1又は複数のアルキル鎖であって、6〜24個の、好ましくは10〜18個の炭素原子を含んでなり、分岐状又は直鎖状であり、不飽和又は飽和であり、任意にフッ素化されているアルキル鎖;或いは
- 親油性であることが知られている1又は複数の環式又は多環式の基であって、ステロイド基(例えば、コレステロール誘導体)、ポリ芳香族基(例えば、ナフタレン、ダンシル、又はアントラセン誘導体)、又はアルカロイド誘導体基等である環式又は多環式の基;或いは
- 天然又は合成の脂質;
から選択される1又は複数の基を含むことができ、
Eは、直鎖状又は分岐状の炭化水素基であって、1〜15個の、好ましくは1〜8個の炭素原子を含むことができ、そして1又は複数のヘテロ原子を任意に含むことができる炭化水素基を表し;
mは、0又は1に等しい整数であり;
AAは、アミノ酸ラジカルを表し;
nは、0又は1に等しい整数であり;
W1及びW2は、同一であるか又は相違する、直鎖状又は分岐状の炭化水素基であって、1〜15個の、好ましくは1〜6個の炭素原子を含むことができ、1又は複数のヘテロ原子を任意に含むことができる炭化水素基を表し;
Lは、その環境に対して感受性がある結合を少なくとも1つ包含することができる官能基であって、細胞外媒体において安定であり、そして
- 刺激であって、pHの低下等の刺激に対して感受性がある(例えば、ビニルエーテル、又はアシルヒドラゾン基は、酸性媒体に対して感受性がある)、又は酸化還元電位における変化等の刺激に対して感受性がある(例えば、還元性媒体で切断されるジスルフィド結合);
- 酵素に対して感受性がある(例えば、内因性のエステラーゼによって切断されるエステル結合);或いは
- 光放射に対して感受性がある(例えば、有している感光性基);
ため、細胞内媒体で迅速に切断される官能基を表し、
Pは、0又は1に等しい整数であり;
Yは、分岐状の炭化水素基であって、1〜20個の、好ましくは1〜12個の炭素原子を含むことができ、さらに/又は1若しくは複数のヘテロ原子を含むことができ、そして一方でW2又はAA又はE又はR基と、そして他方では少なくとも2つのY及び/又はZ基と任意に共有結合することができる炭化水素基であり;
qは、0〜8の、好ましくは0〜3の整数であり;
Zは、塩基性アミノ酸又はセリンを表し;
rは、1〜16の、好ましくは1〜8の整数であって、ただしqが1に等しい場合には、rは少なくとも2であり、そしてrが1より大きい場合には、Z基は同一であっても相違していてもよい、と理解することができる整数であり;
sは、1又は2の整数である)
のカチオン性の両親媒性化合物、及びその生理的に認容される付加塩。
【請求項2】
前記式中のRが、1又は複数のヘテロ原子を含んでなることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記式中のRが、式(II)
【化2】

(式中:
R1及びR2は、同一である又は相違し、直鎖状、分岐状及び/又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素基であって、6〜24個の、好ましくは10〜18個の炭素原子を含んでなる炭化水素基を表し、
A及びBは、同一である又は相違し、−C(O)−O−;−O−C(O)−;−CO−NH−;−NH−CO−;−NH−又はO−基を表し、
aは、1〜6の整数であって、好ましくはaは、1又は2に等しい整数であり、
bは、0〜6の整数であって、好ましくはbは、0又は1に等しい整数であり、
Dは、−NH−、−CO−、−O−又はS−基を表す)
に相当することを特徴とする、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
前記式中のRが、式(III)
【化3】

又は式(IV)
【化4】

(式中、R1及びR2は、請求項3に記載される意味を有し、好ましくはR1及びR2は、C12〜C18のアルキル、アルケニル又はアルキニル鎖である)
に相当することを特徴とする、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
前記式中のEが、式(V):−G1−X1−x−G1
(式中、
-X1は、1〜8個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでなる架橋アルキレン基を表し、そして、
-G1は、−CO−又はNH−基を表す)
に相当することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
前記式中のEが、式CO−X1−COに相当し、式中X1は、請求項5の記載と同じ意味を有することを特徴とする、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
前記式中のW1が、式−G2−X2−に相当し、そしてW2が式(VII):−X3−G3−に相当し、式中、X2及びX3は、同一である又は相違し、1〜8個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでなる架橋アルキレン基を表し、さらにG2及びG3は、同一である又は相違し、−CO−、−NH−又はO−基を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
前記式中のLが、エステル(−CO−O−)、ジスルフィド(−S−S−)、ビニルエーテル(−O−C=C−)、アシルヒドラゾン(−CO−NR−N=CR’R’’)基を、好ましくはエステル又はジスルフィド基を表すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
前記式中のYが、式(VIII):−CO−X4−NH−X5−N−[X6−NH]2−又は式(IX):−NH−X5−N−[X6−NH]2−、
(式中、X4、X5及びX6は、同一であるか又は相違し、1〜8個の、好ましくは1〜4個の炭素原子を含んでなる架橋アルキレン基を表す)
に相当することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
前記式中のX4が、メチレンを表すことを特徴とする、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
前記式中のX5及びX6が、1〜4個の、好ましくは2個の炭素原子を含んでなる架橋アルキレン基を表すことを特徴とする、請求項9又は10記載の化合物。
【請求項12】
前記式中のZが、塩基性アミノ酸を表し、好ましくはリジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジンから選択されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
前記の生理的に認容される付加塩の対イオンが、有機アニオンから、好ましくはCF3COO-及びCH3COO-から選択され、又は無機アニオンから、好ましくはBr-、Cl-、I-及びF-から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
式:
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に定義される式(I)の化合物を含んでなる、好ましくは化粧品用の又は医薬用の又は実験用の試薬である組成物。
【請求項16】
少なくとも1つの核酸又はポリヌクレオチドを含んでなることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
式(I)の化合物及び核酸が、核酸の負電荷に対する式(I)の化合物の正電荷の割合が、0.1〜50である、好ましくは0.5〜20である量で存在することを特徴とする、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
式(I)の化合物の量が、核酸1μg当たり1〜12ナノモルである、そして好ましくは1〜9ナノモルであることを特徴とする、請求項16又は17記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1つのポリペプチド又はタンパク質もまた含んでなることを特徴とする、請求項5記載の組成物。
【請求項20】
式(I)の化合物及びポリペプチド又はタンパク質が、
式(I)の化合物の量が、ポリペプチド1μg当たり化合物1〜10ナノモル、好ましくは1〜3ナノモルである量で存在することを特徴とする、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
核酸又はポリペプチド以外の、少なくとも1つの生物学的に活性な分子、例えば活性成分、多糖類、脂質、ペプトイド等もまた含んでなることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの以下のようなアジュバント:
- 1又は複数の中性の(双性である又はイオン電荷がない)、アニオン性の又はカチオン性の脂質であって、例えば2つの脂肪鎖、コレステロール、又はコレステロール誘導体を有する中性の脂質であって、より詳細には、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、オレオイルパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジステアロイル−、ジパルミトイル−、ジミリストイル−、ジラウロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE、DPPE、DMPE、DLPE)、及びこれらの1〜3回のNメチル化誘導体(DOPC、DPPC、DMPC)、フォスファチジルグリセロール、グリコシルジアシルグリセロール、セレブロシド(特にガラクトセレブロシド等)、スフィンゴ脂質(特にスフィンゴミエリン等)、アシアロガングリオシド(特にアシアロGM1及びGM2等)、から選択される脂質
- 或いは、脂質エーテル等、又は単脂肪鎖を含んでなる脂質であって、リゾホスファタイド、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジルセリンを含む脂質等、
- 或いは、天然の又は合成のリゾホスファチジン酸等、
- 或いは、1又は複数の重合体、天然の又は合成の、共重合体及び/又はデンドリマー等であって、ポリエチレンイミン、ポリリジン、ポリオルニチン、又はポリブレン及びキトサンも含むポリアミン等のカチオン性のもの、又はポリグルタミン酸、ポリプロピルアクリル酸、ヒアルロン酸及びポリ乳酸-co-グリコール酸(PGLA)等のアニオン性のもの、又はポリエチレングリコール(PEG)又はガラクトマンナン等の特定の多糖類等の中性のもの、
- 或いは、ナノ粒子等、特に磁性粒子、有機又は無機化合物に基づく粒子、又はポリペプチド、タンパク質、単糖、グリセロール、シクロデキストリン、ヒストン、デオキシコール酸及び輸送の有効性及び薬効薬理を改善するその他の「活性化因子」(「エンハンサー」)等
- 或いは、細胞の表面及び/又は細胞内の決定因子を特に標的とすることができる、式(I)に相当する化合物へ又は式(I)の化合物を含んで成る組成物に含まれるその他の分子へ任意に共有結合又は非共有結合するアジュバントであって、例えば標的細胞の表面で発現される受容体のリガンドである、例えば糖、葉酸、トランスフェリン、インスリン、ホルモン、ペプチド、抗体、代謝生成物、ビタミン、又は細胞外の受容体を認識することが可能なその他の分子、又はミトコンドリア、核又は細胞質等の特定の区画を標的とするための細胞内ベクター化の因子等である、例えば核の又はミトコンドリアの局在化シグナル等の、例えば糖、ペプチド、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、リガンド又はリガンドフラグメント等といった、アジュバント、
- 或いは、ローダミン、フルオレセイン又はビオチン等の蛍光色素分子
- 或いは、例えばレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス等のウイルス、及び/又は例えば細菌、イースト、菌類又は寄生虫等の単細胞生物、
もさらに含んでなることを特徴とする、請求項15〜21のいずれか1項記載の組成物。
【請求項23】
核酸、ポリペプチド又はその他の生物活性分子の細部内への輸送のための、請求項1〜14のいずれか1項に定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項24】
核酸、ポリペプチド又はその他の生物活性分子の細胞内への輸送を目的とする組成物の調製のための、請求項1〜14のいずれか1項に定義される式(I)の化合物の使用。
【請求項25】
核酸、ポリペプチド又はその他の生物活性分子の細胞内への輸送のための、請求項15〜22のいずれか1項に定義される、式(I)の少なくとも1つの化合物を含んでなる組成物の使用。
【請求項26】
生物学的に注目の分子を細胞内へ輸送するための方法であって、
1.活性分子/輸送剤複合体を形成するために生物学的に注目の分子を、請求項1〜14のいずれか1項に定義される、式(I)に相当する化合物と、又は請求項15〜22のいずれか1項に定義される組成物と接触させる段階
2.細胞を、1で形成された複合体と接触させる段階
を含んでなる方法。
【請求項27】
使用される細胞が、予め単離された細胞であることを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
インビトロ(in vitro)で又はインビボ(in vivo)で又はエクスビボ(ex vivo)で実施されることを特徴とする、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
式(I)の化合物を、1又は複数の他のトランスフェクション剤及び/或いは1又は複数のアジュバントと接触させる1又は複数の段階もまた含んでなることを特徴とする、請求項26〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
式(I)の化合物を1又は複数の他のトランスフェクション剤と接触させる段階、及び/或いは式(I)の化合物を前記の1つのアジュバント又は複数のアジュバントと接触させる段階が、段階1より先行することを特徴とする、請求項26〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
少なくとも、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)に相当する1つの化合物、又は請求項15〜22の1項記載の組成物を含んでなることを特徴とする、生体物質の輸送のためのキット。
【請求項32】
少なくとも、請求項1〜14のいずれか1項記載の式(I)に相当する1つの化合物、又は請求項15〜22の1項記載の組成物を含んでなることを特徴とする、請求項26〜30のいずれか1項記載の方法の実施のための輸送キット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図8E】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2011−509074(P2011−509074A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538832(P2010−538832)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001755
【国際公開番号】WO2009/106713
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(510171715)
【Fターム(参考)】