説明

活性化された炭素材料の製造方法

活性化された炭素材料、例えば炭素繊維のテープ又はベルトを製造する方法は、反応チャンバー内で、炭素-含有支持体と、電気アークとの間の、2つの電極間のギャップにおける、あるいは一つの電極と隣接するアーク内を相対的に移動させて、結果として電気アークが該電極と該支持体との間に存在して、該支持体を、該炭素-含有支持体を活性化するのに有効な支持体表面温度、即ち薬、3,750K以上の温度まで加熱する工程を含む。該活性化された材料は、高い吸着率、及び高いキャパシタンス及び導電率を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的電池及びスーパーキャパシタにおける電極として、又は例えば揮発性有機化合物類(VOCs)の吸着剤として使用するのに適した、活性化された炭素材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素材料、例えば炭素繊維材料は、活性化して、その中に孔を生成し、またその結果として該材料の表面積を増大し、該材料を、電池及びスーパーキャパシタにおける電極として及び吸着材としての用途を含む様々な用途に対して有用なものとすることができ、該活性化は、約1,000Kなる温度でのスチーム又は二酸化炭素による「物理的な活性化」又は例えば水性アルカリ溶液による「化学的な活性化」によって行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、我々の国際特許出願WO 03/082733に記載されているような炭素ナノチューブを製造するためのアーク放電法においては、電流は、炭素電極間を流れ、該電極間にアークが形成される。該炭素電極の蒸発は、蒸気-クラスター-ナノ粒子懸濁物を形成し、該懸濁物が凝縮して、ナノスケールの炭素繊維又はナノチューブとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
広い意味において、本発明による一態様は、活性化された材料を製造するための方法を含み、該方法は、反応チャンバー内で、炭素-含有支持体上にナノチューブを生成することなしに該支持体を実質的に活性化するのに有効な温度にて、またそのために有効な期間に渡り、2つの電極間のギャップにおける電気アークを通って、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極のそばを過ぎて、該炭素-含有支持体を移動させる工程を含む。
広い意味において、本発明によるもう一つの態様は、活性化された炭素材料を製造するための方法を含み、該方法は、反応チャンバー内で、2つの電極間のギャップにおける電気アークを通って、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極に隣接して、該炭素-含有支持体を移動させて、該炭素-含有支持体を活性化するのに有効であって、約3,750Kを越える支持体表面温度まで該支持体を加熱する工程を含む。
【0005】
広い意味において、本発明による更なる局面は、活性化された炭素材料を製造するための方法を含み、該方法は、反応チャンバー内で、2つの電極間のギャップにおける電気アークを通って、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極のそばを過ぎて、該炭素-含有支持体を移動させて、該支持体を活性化する工程を含み、ここで前記アークは、該支持体上にナノチューブの生成を生じることなしに、該支持体を実質的に活性化するのに十分な電圧及び/又は電流の脈動を有する。
広い意味において、本発明によるもう一つの局面は、反応チャンバー内で活性化された炭素材料を製造するための方法を含み、該方法は、2つの電極間のギャップにおける電気アークと炭素-含有支持体との間に相対的な移動を起こさせ、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極のそばを過ぎて該電気アークと該炭素-含有支持体との間に相対的な移動を起こさせて、該支持体を活性化する工程を含み、ここで該相対的な移動は、該支持体が、3秒未満の該アーク内での滞留時間を持つような速度、及び/又は3mm/秒を越える速度にて行われる。
【0006】
「活性化」なる用語は、該材料中に、又は該材料の表面上に、典型的にはナノスケールの孔、及び典型的には50nmなる径までの孔、及び同様に典型的には径100nmまでの粗い通路状の孔を生成することを意味し、該孔の生成は、アーク処理によって、また該アーク中で、該炭素材料の幾分かを、及び好ましくは非-グラファイト型炭素、又は該支持体の非-グラファイト型炭素の十分な部分又はその大部分を蒸発又は除去することにより行われる。該内部の孔は、該アークにより堆積される可能性のある、外部のナノ構造によって生成される表面(例えば、ナノチューブ)と区別するために、「内部活性化」と呼ぶことができる。
アークが2つの電極の間に形成され、該アークを通って該支持体が移動するか、あるいは該アークが一つの電極と該支持体との間に存在するか、いずれであっても、該支持体は、最も有利には接地される。もう一つの電極を用いて、該アーク放電を開始することができ、また結果として該電極は、一つの電極と該接地された支持体との間にアークを維持した状態で除去することができる。
【0007】
典型的に、該電極の一方又は両者は、炭素電極、例えばグラファイト電極であるが、該電極の一方又は両者を、炭素以外の材料(該反応器温度にて不純物を生成しないように十分な耐火性を持つ)から作成することも可能であり、また該支持体自体のみが炭素製であってもよい。
該支持体を、該アークを通って実質的に定常的な速度にて、あるいは段階的に移動させることができる。
該支持体は、炭素繊維で作られていてもよく、また例えば炭素繊維から織上げられたテープ又はベルト、あるいは炭素繊維製の紙を含むことができる。好ましい支持体材料は、レーヨン、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、及びピッチ材料由来の炭素繊維を含む。
好ましくは、該支持体は、これが、3秒未満の該アーク内での滞留時間を持つような速度にて移動される。好ましくは、該支持体は、3mm/秒を越える速度にて移動される。
【0008】
好ましくは、本発明の方法は、該反応チャンバー中で、不活性ガスをフラッシングさせる工程、又は冷却の際に該支持体を破壊的に酸化することなしに、他の種、例えば炭素種との反応にとって十分な、低い濃度の酸素を含む不活性ガスをフラッシングさせる工程を含む。最も好ましくは、上記電極の一方又は両方を、及び/又は該支持体を冷却するために、また特に該支持体が該アークを通過した後に、該支持体を冷却するために、ガス流が送られる。低濃度の酸素を含有する該ガスに代えて、該反応器チャンバーを出た後の該支持体を、別の低温加熱段階、例えば抵抗加熱段階において、酸素-含有ガスを通って移動させて、別途に、更なる微小孔活性化処理に付すことも可能である。上記のアーク活性化処理は、酸素-含有ガスを用いた活性化によって達成されるよりも、大きな孔(径が、<2nmなる孔の形成を伴うことなしに)を与え、また多くの用途に対して、該アーク活性化は最適であるが、2nmなる孔をもたらす更なる活性化を行うことが望ましい。
【0009】
該アーク放電は、両電極間の、及び/又は一つの電極と該支持体との間の電子及びイオン流によって起こると考えられる。遊離の電子及びイオンは、これらの電極間の電圧の差によって加速される。該電子がガス原子と衝突し、結果として該原子の励起をもたらし、また輻射光の放出をもたらす。原子及び分子は、該電子の関与する衝突によってイオン化される。該放電を窒素中で行った場合、該アーク中には、主としてN+、N2+、Cn+及びCn-イオンが生じる。これらの衝突は、該アークの温度を高める。該支持体の非-グラファイト型炭素は、グラファイト型炭素を残して蒸発し、結果としてナノスケールの孔が該支持体中に形成され((殆どの場合)非-グラファイト型炭素の喪失による)、該支持体が活性化される。
本発明の方法により製造される活性化された炭素材料は、ガス相において、例えばVOCに対して極めて迅速に利用することのできる吸着性を持つことができ、また電池内の多孔質電極にとって有用な、高い表面キャパシタンスを持つことができることを見出した。同様に、2〜10nmなる範囲及びそれ以上のサイズ分布を持つ、異常に大きな孔が発生する可能性がある。この孔の階層性により、試薬及びイオンが、該炭素繊維の外側表面から該材料の繊維の中心における孔表面まで、容易かつ迅速に(例えば、約5μmの距離に渡り)拡散することが可能となる。
【0010】
本発明の方法により製造された該活性化された炭素材料は、活性化する前の該材料に比して高い導電率を持つことができ、また活性化後には、良好な導電体(多結晶性グラファイトと同様に)となり得る。
広い意味において、本発明の更なる局面は、スーパーキャパシタ又は蓄電池又は燃料電池を含み、これは、上で定義され、かつ本明細書において説明された方法により製造した、活性化された炭素材料を含む、1又はそれ以上の高表面積電極を含む。
「スーパーキャパシタ」なる用語は、少なくとも1ファラッド(1F)のキャパシタンスを収容する容量性エネルギー貯蔵デバイスを意味する。
本明細書に与えられた温度の値は、光温度計を用いて、該支持体のアークと対向する表面を観測することにより測定された、黒体温度の値を意味する。
本明細書において使用する用語「含む(comprising)」とは、「少なくとも部分的には…からなる(consisting at least in part of)」を意味する。従って、この用語「含む(comprising)」を含む、本明細書における各記述を解釈する場合、この用語に続く1又は複数の特徴以外の特徴も存在し得る。この用語と関連する用語、例えば「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」は、同様に解釈すべきである。
以下、本発明を、例示としての添付図面を参照しつつ、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明により、炭素支持体を連続的に又は半-連続的に活性化するための、反応器の一態様を模式的に示したものである。
【図2】図2は、図1の反応器の電極間にある、電極及び支持体通路を示す、拡大模式図である。
【図3】図3は、以下の実施例において記載される、研究に関する試験1及び2において、該支持体として使用した織った炭素繊維テープの顕微鏡写真である。
【図4】図4は、試験1後の炭素繊維の活性化を示す、ドイツ国のカーボニックスGmbH(Carbonics GmbH)社製の、レーヨンを主成分とする織った炭素繊維テープUVIS TR-3/2-22のSEM像を示す図である。
【図5】図5は、試験2後の炭素繊維の活性化を示す、KoTHmexなるブランド名の下に、台湾のタイカーボン(TaiCarbon)社により製造されている、PANを主成分とする織った炭素繊維テープCW1001のSEM像を示す図である。
【図6】図6は、該炭素テープに関する個々の繊維の内部活性化を示す、PANを主成分とする織った炭素繊維テープCW1001の拡大SEM像を示す図である。
【図7】図7は、実験的研究に関する以下の説明において言及する、変動する支持体-カソードアークギャップ、2種のカソード径及び2種のアーク電流に関する、アーク接続中の、該炭素支持体の観測された温度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、参照番号1は反応器チャンバーを示し、該チャンバー内で、該放電アークが生成され、該チャンバーは、黄銅又はステンレススチール又は同様な材料で形成された壁を持つことができる。電極2及び3は、該反応器チャンバー1内に突き出ており、また典型的には、これら電極の一方又は両方は、当分野において公知のモータ駆動式電極-送り機構4を備えており、従ってアノードであり得る電極3及びカソードであり得る電極2の位置(該アノード及びカソードの位置は、逆にすることができる)は、該アークを生成するように調節することができ、また稼働中は、該アークを維持し、あるいは必要ならば該アークを調節するように、制御することができる。各電極は、図示した態様においては、該反応器チャンバー壁内の開口を介する、絶縁カラーを通して該反応器チャンバー内に入る。典型的には、該反応器は、該反応器の側壁において板ガラスで封止された、1又はそれ以上の目視用開口を持ち、オペレータ又は制御センサが、該アーク及び電極位置を監視し、また必要ならば、(石英板を通して)高温計で表面を観測できるようになっている。該反応器チャンバー1は、好ましくは囲繞する水套(図示されていない)を含み、これを通して操作中該反応器チャンバーの壁を冷却するために水が循環されており、あるいはその他の適当な冷却系を含む。加圧水を、該水套の入口を介して送ることができ、その際に該水流はバルブによって制御され、また該加圧水は、出口を介して出てゆく。また、各電極の回りに巻回された銅製チューブのコイルからなる冷却系5を、該電極を冷却するために配置することができ、該コイルを通して水が循環される。
【0013】
炭素支持体8は、図示した如く、該反応器の稼働中、電極2及び3の間及び該アークを通る。この状況は、図2においてより詳細に示されている。該支持体は、該反応器チャンバーのスリット12を貫通して該反応器に入り、またこれら電極の他方の側部において、該反応器チャンバーの同様な出口スリット13を通して該反応器から出ることができる。該反応器チャンバーを通して、該支持体(これは、典型的には高純度の平坦な炭素製テープ又はベルト若しくは同様なものである)を供給するためのメカニズムが、設けられており、これは任意の適当な形状のものであり得る。例えば、該反応器の稼働中に、該支持体は、適当な制御装置と共に電動モータと連結されている、ギアボックスによって駆動されるスプール9からほどかれてもよい。これは、製造運転中に、緩慢な一定速度にて、該支持体を送出すべく、該モータを動作させるように配置され、あるいはこれは、オペレータが、適当な制御装置により該支持体を送り出す該速度を変更することを可能とする。もう一つの配置において、該支持体の送出し装置は、該支持体の送出しを制御する電動モータを段階的に動作させることにより、該支持体が段階的に該アークを通って移動するように配置することができ、その結果該支持体は、数秒間該アーク中で静止し、その後段階的に、該支持体は該アーク内の次の位置に移され、さらに段階的にその位置が移動され、同様な操作が繰返される。該支持体が定常的な速度にて移動されるにしろ、又は段階的に移動されるにしろ、3秒未満の該アーク内での滞留時間にて、該アークを通って、該支持体を移動させる速度が、適当であることが分かった。受取スプールにトルクを印加することによって、該支持体が該反応器を通過する際に、該支持体は、穏やかな張力下に維持される。該支持体の移動する方向は、好ましくは良好なアークの安定性を確保するために、上向きであるが、下向きであってもよい。
【0014】
作動中、該反応器の内側は、好ましくは大気圧下又は僅かにこれを越える圧力下にあり、またスリット12及び13を介して該反応器を出る該ガス流は、換気フード又は同様な手段によって抜出される。例えば、窒素、アルゴン又はヘリウム等の不活性ガスが、3〜10L/分なる範囲の速度にて該反応器チャンバーにフラッシングされ、またこのフラッシングは、制御されたガス流を、該反応器の底部における開口11の一つを通して、該反応器チャンバー1内に導入することによって行うことが好ましい。さらに又は上記方法の代わりに、タングステンチューブ7を通り多孔質炭素製アノード3を経由してガス流を流し、該アーク処理中に炭素蒸気を排除し、及び/又は該支持体を冷却することも可能である。
多孔質炭素3通るこの冷却は、アーク放電中の、該支持体の焼失回避及び過剰な炭素蒸気の除去を助け、一方で他方の入口11の操作は、酸化の制御に役立つ。
該アノード並びに該テープを駆動する該スプールは、好ましくは接地されている。該反応器チャンバーを通過した後の該支持体を集めるためのあらゆる引取装置も、好ましくは接地されており、また反応器シェルも同様である。
【0015】
図2を参照すると、模式的に図示されているように、該支持体が該電極を通過する際に、該支持体が当該電極に引っ張られるような影響を該支持体8に与えるように、本図においてアノード3となっている一つの電極を配置することが好ましいであろう。該支持体を冷却するためのガス流10(その流量は0〜0.6L/分なる範囲にある)は、タングステンチューブ7上に固定された、円筒状の炭素製アノード支持体6内に収容されている、該炭素製アノードプラグ3を通して導かれる。この装置は、該反応器のアノードを含む。
該支持体は、任意の所望のものであり得るが、最良の結果は、炭素繊維で構成された支持体、例えば炭素繊維で織り上げられたテープ又はベルト、又は例えば炭素繊維製の紙でできた支持体を用いて達成できる。好ましくは、該支持体及び該電極は、高い炭素純度を持つ。というのは、あらゆる不純物が、該反応器内部の温度にて蒸発又は部分的に蒸発されるであろうからである。特に、該繊維を急速加熱した際に、該繊維を破壊する恐れのある、極端に多量の炭化水素不純物の発生を回避することが望ましい。典型的には、該電極及び支持体は、少なくとも95%及び好ましくは99%を越える炭素純度を持つべきである。
幾つかの態様において、該電極間間隔、即ち電極間ギャップは、5mm未満又は8mm以上の大きさを持つものであり、また該ギャップは、2〜5mmなる範囲、あるいは8〜12mmなる範囲のものであり得る。
【0016】
上記電流密度は、該支持体に対する構造上の損傷(即ち、該支持体のグラファイト型部分に影響する、従ってその構造の保全性に影響を与えるであろう損傷)を実質的に回避するのに十分に低い値とすべきであるが、非-グラファイト型炭素の大部分(しかし、グラファイト型炭素のほんの僅かな部分のみ)を蒸発し、かつ該支持体を活性化するのに十分な、該支持体上の該アークの接触点における電流密度を達成するのに十分なものであるべきである(該支持体上の該接触点において該アークは拡散する傾向にある)。幾つかの態様において、該アーク電流は、16A以下又はそれ以上の値、より好ましくは16A以上乃至約20Aなる範囲、又は約10Aから16A以下なる範囲にある。幾つかの態様において、該電流密度は、例えば1A/mm2以上である。本発明の方法にとって、該アークが、該支持体全体に広がる傾向を持つことが有利であり、これは、非-破壊的な方法で、できる限り広い該支持体の面積を活性化する上で有利である。高度に破壊的なアークモードへの変化が、ある電流以上において起り、このような電流は、該支持体に依存して16A又は20Aであり得る。
該反応器チャンバーにフラッシングされるガスは、冷却の際に該炭素繊維を破壊的に酸化することなしに、存在する他の炭素種との反応にとって十分な酸素を含むことが好ましい。約800〜6,000ppmなる酸素濃度が有効であることが分かった。
【0017】
本発明の方法は、導入された触媒の存在下で行うことができる。適当な触媒は、金属触媒、例えばNi-Co、Co-Y、Ni-Y触媒あるいはまたより低コストの金属触媒、例えばFe又はB触媒であり得る。
幾つかの態様において、該アークは、該支持体上でのナノチューブの生成を引起すことなしに、実質的に該支持体を活性化するのに十分な、電圧及び/又は電流の脈動を持つ。好ましくは、電源は、1Vを越える及び/又は0.5Aを越える、ピーク対ピークの脈動を持つべきである。ナノチューブが、低レベルの脈動によって形成されることが分かった。該電源が、該支持体上でのナノチューブの生成を引起すことなしに、該支持体を活性化するのに十分な脈動を持つこれら態様において、該アークは、該炭素-含有支持体を活性化するのに有効な任意の支持体表面温度にて、典型的には約3,600Kを越える任意の温度にて発生するように動作させることができる。また、この温度範囲は、安定なアーク動作を達成することによって縮小される。
幾つかの態様において、3mm/秒を越える速度での該支持体(又はアーク)の移動及び/又は該支持体が3秒未満の該アーク内での滞留時間を持つような該支持体の移動が、任意の支持体表面温度、典型的には約3,600Kを越える任意の温度にて、該支持体上でのナノチューブの形成を引起すことなしに、該支持体を活性化することが分かった。
【0018】
既に述べたように、本発明の方法によって製造される、活性化された炭素材料は、例えばVOCに対して高い、かつ迅速な吸収性を持つことが分かった。また、2〜10nmなる範囲又はそれ以上のサイズ分布を持つ孔を、発生させることができる。これは、試薬及びイオンが、該炭素繊維の外側表面から該材料の繊維の中心における孔表面まで、容易かつ迅速に(例えば、約5μmの距離に渡り)拡散することを可能とする。場合により、該アークで活性化された物質は、引続き、該アーク活性化により生成された上記通路状の孔に、例えば2nm未満の、長さの短い更なる孔をエッチングにより形成するために、CO2又はH2Oによる活性化に付すことができる。
別法においては、該単一の電極2及び3各々を、多数の隣接するアノード及びカソードで置換えて、より大きな幅を持つ支持体を処理するために、相互に隣接する多数のアークを発生させることも可能である。
【0019】
以下、本発明を、以下の実験的研究の説明によりさらに説明する。ここで、該実験的研究は、実施例として与えられるものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1:
ドイツ国のカーボニックスGmbH社(Carbonics GmbH)製の、レーヨンを主成分とする織った炭素繊維製テープUVIS TR-3/2-22を、実験1に対する支持体として用いた。このテープは、交叉織メリヤス生地製であり、このテープの比重量は470g/m2であり、その厚みは1mmであり、平均フィラメント径は8-10μmなる範囲にあり、またこれは99.9%なる炭素含有率を有していた。このテープを、幅25mmを持つストリップに裁断した。
KoTHmexなるブランド名の下に、台湾のタイカーボン(TaiCarbon)社により製造されている、PANを主成分とする織った炭素繊維製テープCW1001を、実験2に対する支持体として使用した。このテープは、織布であり、このテープの比重量は300g/m2であり、その厚みは0.7mmであり、平均フィラメント径は6-7μmなる範囲にあり、またこれは99.98%なる炭素含有率を有していた。このテープを、幅25mmを持つストリップに裁断した。
【0020】
これらのテープストリップを、図1及び2を参照しつつ説明したものと類似する反応器の反応チャンバー1に、スプール9からスリット12を介して供給した。該テープは、出口スリット13を介して、該反応器から出てきた。該電極は、実験1に対しては、夫々7.66mm(アノード)及び7.66mm(カソード)なる径を持つ、グラファイト電極であった。該電極は、実験2に対しては、夫々7.66mm(アノード)及び3mm(カソード)なる径を持つ、グラファイト電極であった。該電極の位置は、該反応器の組立て中に、これを開放した状態で設定した。該電極位置のゼロ位置を設定する際に、該カソード(水平に配置される)は、該カソードが該テープと接触し、かつ該テープに突当るまで、前方に移動させた。該電極チップ間の距離は、実験1に対しては約10〜12mmなる範囲に、また実験2に対しては約5〜6mmなる範囲に設定した。
操作中、該反応器は、窒素又は窒素-空気混合物で、10L/分なる値に設定された速度にてフラッシングし、また冷却水を、該電極支持体の回りの冷却コイルに循環させた。該アークを発生させるために、該カソードを、放電が起るまで前方に移動させ、次いで該カソードを僅かに引込めて、該アークを樹立した。電流は、実験1に対しては約20Aに、また実験2に対しては16Aに設定した。該テープは、各実験において、以下の速度にて供給された:実験1:3mm/秒;実験2:4mm/秒。
【0021】
追加の冷却ガスを、多孔質炭素製アノード3を介して導入して、(図1に示されたような)アーク付属装置ゾーンに閉じ込められたテープを冷却した。所定の長さの該炭素製テープが、該反応器を走行した後、該電源を遮断することにより該放電を停止した。ガスを、さらに5分間に渡り該反応器を通してフラッシングして、廃ガスを除去した。
該テープサンプルを、LEOレイカ(Leica)走査型電子顕微鏡を用いて調べた。両実験に対して、該支持体は、該テープ上において、ナノスケールの孔を生成することにより活性化されていた(殆ど非-グラファイト型炭素の喪失による)。図4は、実験1からの(レーヨン材料製の)該テープの一部分のSEM像を示すものであり、また図5は、実験2からの(PAN材料製の)該テープの一部分のSEM像を示すものである。これらテープの個々の繊維上の孔の形態は、両実験について同様であり、また図6により一層高い倍率で示されており、図6は、径100nm程の多数の「通路型」孔を示しており、これら孔は、該孔構造への種の拡散に対する迅速な通路を提供している。これらは、該織物繊維への種に対する迅速な通路を与える、最大の孔集団である。実験2の該アーク活性化されたPAN繊維は、空気中の各5ppmのベンゼン、トルエン及びキシレンに対する吸着テストに付され、その結果ガスクロマトグラフィーを用いた脱着量の測定により、3.5×10-6モル/gのベンゼンが吸着されたことが示された。該アーク活性化されたPAN材料のBET測定は、100m2/gに近い値であった。
【0022】
また、該アーク処理されたテープは、(幾分かの炭素が失われたにも関わらず)著しく高い電導性を持つことが分かった。例えば、同様に上記のように処理された厚み0.5mmのPAN-由来の炭素製テープは、約30倍の高い導電率を持ち、シート抵抗は、供給時点における平方当たり約8.5Ωから平方当たり約0.3Ωまで低下した。
実験2の該アーク活性化されたPAN由来の支持体も、実験1の活性化されたレーヨンテープに比して、約15倍も高いキャパシタンスを持つことが分かった。電気化学的な実験は、比キャパシタンスが、165F/g又は2.5F/cm2であることを示した。これらの実験は、水性電解液(5MのKOH)中で行われ、また対電極として未処理の炭素繊維を、また擬Ag/AgCl基準電極を用いた。
【0023】
実施例2:
一連の実験を、実施例1に記載のようなレーヨンを主成分とする炭素繊維テープを、図1及び2を参照しつつ既に説明したものと類似のアーク反応器を介して通すことにより行った。但し、実験間でカソード径及びアークギャップ両者を変更した。図7に示すような炭素ナノチューブの出現を伴う、該アーク(アーク付属装置表面)に面する該テープ表面の温度を測定した。該温度は、表面からの赤色光の狭いバンドを遮断する、光学高温計(ドイツ国、オプティック(Optik)社)を用いて測定した。丁度10nmなる波長の赤色光(中心波長670nm)の透過を可能とする、より一層狭いイーリング電子工学(Ealing ElectroOptics)「ウインドウフィルタ」を、可視光と一致するように配置した。これは、該高温計が測定し得る温度を拡張した。該高温計は、表面像の強度が、基準の強度と等しいものと考えられるように、様々な中性濃度のフィルタを回転することにより使用した。この配置により見出された強度は、3,800Kにおける標準の基準炭素アークを用いて較正した。観測された表面は、黒体輻射体と見做され、またプランクの法則を使用して、670nmにおける赤色光の波長における強度から、該温度を算出した。
【0024】
電流及びカソード径の各組合せに対して、長さ2mのレーヨンテープを、該反応器の供給スプールに装着し、アノード支持体と接触した状態で所定位置にぴんと張り、また該アーク活性化を開始するように該カソードを接触させた。該カソードを、該テープの像が外部表面上に投影され、所定のギャップの存在を示すまで抜出し、また該テープを、該電源にコントロールを設定することにより、3mm/秒なる速度にて、図1のモータ駆動スプール9まで少なくとも200mm供給し、次いで通電を停止した。この手順を、次のギャップの値に調節した後、即座に繰返した。小さなサンプルを、SEM観察の目的で該テープから切り取った。
図7は、3〜8mmなる範囲及び7〜12mmなる範囲の電極ギャップ範囲及び16A及び20Aなる範囲の電流値に対して、該支持体とスタンドオフ電極との間の増大するアークギャップの関数として、該測定された黒体温度を示すものである。ナノチューブの存在も示される。ナノチューブが、該測定温度が約3,750K以下、約3,650Kまで低下する場合においてのみ生成されることを見ることができる。約3,750K以下の温度における、かなり多くのナノ粒子(恐らくグラフェンフラグメント)の存在が、該支持体上でのナノチューブの成長に寄与しているものと考えられる。
以上、本発明を、その好ましい態様を含めて説明したが、当業者には明らかな如く、該態様の変形並びに改良は、添付した特許請求の範囲において規定したような本発明の範囲内に入るものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化された炭素材料の製造方法であって、反応チャンバー内で、炭素-含有支持体と2つの電極間のギャップ内の電気アークとの間に相対的な移動を起こさせ、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極に隣接して該支持体と電気アークとの間に相対的な移動を起こさせて、該炭素-含有支持体を活性化するのに有効な温度であって、約3,750Kを越える支持体表面温度まで該支持体を加熱する工程を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記炭素-含有支持体を、前記電気アークを通って移動させて、該支持体を、約4,200Kまでの支持体表面温度まで加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記炭素-含有支持体を、前記電気アークを通って移動させて、該支持体から、実質的に非-グラファイト型炭素を除去する工程を含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記支持体を、実質的に定常的速度にて、前記アークを通って移動させる工程を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記支持体を、段階的に前記アークを通って移動させる工程を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記電極の少なくとも一つが、炭素-含有電極である、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記支持体が、炭素繊維で構成される、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記支持体が、炭素繊維から織上げられたテープ又はベルトである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記支持体が、炭素繊維製の紙である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記支持体に、前記電極の内のアノード(又はカソード)に対して張力を掛ける工程を含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記支持体(又は前記アーク)を、該支持体が、約3秒未満の該アーク内での滞留時間を持つような速度にて移動させる工程を含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記支持体を、約3mm/秒を越える速度にて移動させる工程を含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記支持体の非-グラファイト型炭素の大部分を蒸発させ、かつ該支持体のグラファイト型炭素の少量のみを蒸発させるレベルに、前記アーク電流を設定する、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記支持体のグラファイト部分に、実質的な構造的損傷を与えることなしに、該支持体の非-グラファイト型炭素の実質的部分を蒸発させるレベルに、前記アーク電流を設定する、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記アークが、約10Aから16Aを越えない範囲の電流を持つ、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アークが、16Aを越えて約20Aまでなる範囲の電流を持つ、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記アークが、5mm未満又は8mmを越える電極間ギャップを持つ電極間にある、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記アークが、2〜5mmなる範囲内の電極間ギャップを持つ、電極間にある、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記アークが、8〜12mmなる範囲内の電極間ギャップを持つ、電極間にある、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記繊維を冷却する際に、該繊維に実質的な損傷を与えるのに十分な酸化を起こすことなしに、他の種との反応を引起すのに十分な酸素を含むガスを、前記反応チャンバーにフラッシングする工程を含む、請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記電極の一方又は両者及び/又は前記支持体を冷却するための、ガス流を誘導する工程を含む、請求項1〜20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記支持体が前記アークを通過した後、ガス流を該支持体上に導いて、該支持体を冷却し及び/又は該支持体から炭素蒸気を除去する工程を含む、請求項1〜21の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記電極及び前記支持体が、95%を越える炭素純度を持つ、請求項1〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記電極及び前記支持体が、99%を越える炭素純度を持つ、請求項1〜22の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
反応チャンバー内で活性化された炭素材料を製造するための方法であって、炭素-含有支持体と2つの電極間のギャップにおける電気アークとの間に相対的な移動を起こさせ、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極のそばを過ぎて該支持体と電気アークとの間に相対的な移動を起こさせて、該支持体を活性化する工程を含み、前記アークは、該支持体上にナノチューブの生成を生じることなしに、該支持体を実質的に活性化するのに十分な電圧及び/又は電流の脈動を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項26】
前記アーク電流を供給する電源が、1Vを越える電圧の脈動及び/又は0.5Aを越える電流の脈動を持つ、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記炭素-含有支持体から実質的に非-グラファイト型の炭素を除去するように、該支持体を、前記電気アークを通して移動させる工程を含む、請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記支持体を、実質的に定常的速度にて、前記アークを通って移動させる工程を含む、請求項25〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記支持体を、段階的に前記アークを通って移動させる工程を含む、請求項25〜27の何れか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記電極の少なくとも一つが、炭素-含有電極である、請求項25〜29の何れか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記支持体が、炭素繊維で構成されている、請求項25〜30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記支持体が、炭素繊維から織上げられたテープ又はベルトである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記支持体が、炭素繊維製の紙である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記支持体に、前記電極の内のアノード(又はカソード)に対する張力を掛ける工程を含む、請求項25〜33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記支持体(又は前記アーク)を、該支持体が、3秒未満の該アーク内での滞留時間を持つような速度にて移動させる工程を含む、請求項25〜34の何れか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記支持体を、3mm/秒を越える速度にて移動させる工程を含む、請求項25〜35の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記アーク電流を、前記支持体の非-グラファイト型炭素の大部分を蒸発させ、かつ該支持体のグラファイト型炭素の少量のみを蒸発させるレベルに設定する、請求項25〜36の何れか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記支持体のグラファイト部分に、実質的な構造的損傷を与えることなしに、該支持体の非-グラファイト型炭素の実質的部分を蒸発させるレベルに、前記アーク電流を設定する、請求項25〜37の何れか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記アークが、約16Aより低いか又はそれを越える電流を持つ、請求項25〜38の何れか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記アークが、約10Aから16Aを越えない範囲の電流を持つ、請求項25〜38の何れか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記アークが、16Aを越えて約20Aまでなる範囲の電流を持つ、請求項25〜38の何れか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記アークが、5mm未満又は8mmを越える電極間ギャップを持つ電極間にある、請求項25〜41の何れか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記アークが、2〜5mmなる範囲内の電極間ギャップを持つ、電極間にある、請求項25〜41の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記アークが、8〜12mmなる範囲内の電極間ギャップを持つ電極間にある、請求項25〜41の何れか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記繊維を冷却する際に、該繊維に実質的な損傷を与えるのに十分な酸化を引起すことなしに、他の種との反応を生じるのに十分な酸素を含むガスを、前記反応チャンバーにフラッシングする工程を含む、請求項25〜44の何れか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記電極の一方又は両者及び/又は前記支持体を冷却するための、ガス流を誘導する工程を含む、請求項25〜45の何れか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記支持体が前記アークを通過した後、ガス流を該支持体上に導いて、該支持体を冷却し及び/又は該支持体から炭素蒸気を除去する工程を含む、請求項25〜46の何れか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記電極及び前記支持体が、95%を越える炭素純度を持つ、請求項25〜47の何れか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記電極及び前記支持体が、99%を越える炭素純度を持つ、請求項25〜47の何れか1項に記載の方法。
【請求項50】
反応チャンバー内で活性化された炭素材料を製造するための方法であって、炭素-含有支持体と2つの電極間のギャップ内における電気アークとの間に相対的な移動を起こさせ、又は一つの電極と該支持体との間に電気アークが存在するように該一つの電極のそばを過ぎて該電気アークと該炭素-含有支持体との間に相対的な移動を起こさせて、該支持体を活性化する工程を含み、該相対的な移動は、該支持体が、3秒未満の該アーク内での滞留時間を持つような速度、及び/又は3mm/秒を越える速度にて行われることを特徴とする、前記方法。
【請求項51】
前記炭素-含有支持体から実質的に非-グラファイト型炭素を除去するように、該支持体を、前記電気アークを通して移動させる工程を含む、請求項50記載の方法。
【請求項52】
前記支持体を、実質的に定常的速度にて、前記アークを通って移動させる工程を含む、請求項50又は51記載の方法。
【請求項53】
前記支持体を、段階的に前記アークを通って移動させる工程を含む、請求項50又は51記載の方法。
【請求項54】
前記電極の少なくとも一つが、炭素-含有電極である、請求項50又は51記載の方法。
【請求項55】
前記支持体が、炭素繊維で構成されている、請求項50〜52の何れか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記支持体が、炭素繊維から織上げられたテープ又はベルトである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記支持体が、炭素繊維製の紙である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記支持体に、前記電極の内のアノード(又はカソード)に対する張力を掛ける工程を含む、請求項50〜57の何れか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記支持体の非-グラファイト型炭素の大部分を蒸発させ、かつ該支持体のグラファイト型炭素の少量のみを蒸発させるレベルに、前記アーク電流を設定する、請求項50〜58の何れか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記支持体のグラファイト部分に、実質的な構造的損傷を与えることなしに、該支持体の非-グラファイト型炭素の実質的部分を蒸発させるレベルに、前記アーク電流を設定する、請求項50〜59の何れか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記アークが、約16Aより低いか又はそれを越える電流を持つ、請求項50〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記アークが、約10Aから16Aを越えない範囲の電流を持つ、請求項50〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記アークが、16Aを越えて約20Aまでなる範囲の電流を持つ、請求項50〜60の何れか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記アークが、5mm未満又は8mmを越える電極間ギャップを持つ、電極間にある、請求項50〜63の何れか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記アークが、2〜5mmなる範囲内の電極間ギャップを持つ、電極間にある、請求項50〜63の何れか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記アークが、8〜12mmなる範囲内の電極間ギャップを持つ、電極間にある、請求項50〜63の何れか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記繊維を冷却する際に、該繊維に実質的な損傷を与えるのに十分な酸化を引起すことなしに、他の種との反応を生じるのに十分な酸素を含むガスを、前記反応チャンバーにフラッシングする工程を含む、請求項50〜66の何れか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記電極の一方又は両者及び/又は前記支持体を冷却するための、ガス流を誘導する工程を含む、請求項50〜67の何れか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記支持体が前記アークを通過した後、ガス流を該支持体上に導いて、該支持体を冷却し及び/又は該支持体から炭素蒸気を除去する工程を含む、請求項50〜68の何れか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記電極及び前記支持体が、95%を越える炭素純度を持つ、請求項50〜69の何れか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記電極及び前記支持体が、99%を越える炭素純度を持つ、請求項50〜69の何れか1項に記載の方法。
【請求項72】
請求項1〜71の何れか1項に記載の方法により形成されたものであることを特徴とする、活性化された炭素材料。
【請求項73】
請求項1〜71の何れか1項に記載の方法によって形成された、活性化された炭素材料を含む、1又はそれ以上の高表面積電極を含むことを特徴とする、スーパーキャパシタ又は蓄電池又は燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−510419(P2012−510419A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538582(P2011−538582)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/NZ2009/000271
【国際公開番号】WO2010/062203
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511129498)アークアクティブ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】