説明

活性化可能な粒子、調製、および使用

本発明は、医療分野で使用できる新規な活性化可能な粒子に関する。本発明は、更に詳細には、X線で励起されたときフリーラジカル又は熱を発生させることができる複合粒子に関する。本発明は、また、ヒトへの医療におけるその使用に関する。本発明の粒子は、無機物をベースにする、および所望により有機物をベースにする核を含み、細胞、組織又は器官を標識する又は変化させるため、生体内で活性化することができる。本発明は、また、前記粒子の製造方法に、および、それを含有する医薬又は診断用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療分野で使用できる新規な活性化可能な粒子に関する。本出願は、更に詳細には、X線で励起された場合にフリーラジカル又は熱を発生させ得る複合粒子に、および、医療、特にヒトにおけるその使用に関する。本発明の粒子は、無機物をベースにするおよび所望により有機物をベースにする核を含み、細胞、組織又は器官を標識する又は変化させるため、制御可能な外部励起によって生体内で活性化することができる。本発明は、また、前記粒子の製造方法に、および、それを含有する医薬又は診断用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光線力学的療法(PDT)はこれまでに記載されており、現在、皮膚又は食道の癌などの表在癌を治療するのに使用されている(例えば、非特許文献1を参照されたい)。前記治療は、強い紫外線又はレーザーに曝露中の光感受性分子によるフリーラジカルの生成に基づいている。実際、活性化された分子は、周囲の酸素を、細胞に回復不可能な損傷を与える高反応性種であるフリーラジカルに転換する。攻撃される主な細胞小器官は、ミトコンドリア、細胞膜および核膜、リソソームなどである。
【0003】
光感受性分子は、静脈経路によって注入され、一般に、腫瘍組織に、より高濃度で蓄積する。これは、一定時間後に、健康な組織中より治療されるべき組織中の濃度の方が高くなることを可能にする。前記分子は(好適な波長を有する)光に曝露されると、酸素からフリーラジカルを生成し、その後、フリーラジカルは細胞の重要な成分と反応する。
【0004】
それにもかかわらず、光線力学的療法には幾つかの制限がある。例えば、患者は、光過敏を発現する場合があり、それによって一定の個人における前記療法の投与数が制限される。更に、光感受性分子を励起させるのに使用される低波長の光線は、厚い組織の通過を妨げ、これは、他の組織に対して毒性が低いという利点を有するが、効能が表在癌(皮膚および皮下)に限定される。光線力学的療法の使用に固有の起こり得る他の問題は、光感受性分子の毒性、および、幾つかの場合、治療されるべき組織に「負荷」する酸素の使用の必要性に関連付けられる。
【0005】
TiO粒子を使用する別の手法から、紫外線により励起されている状態の水および酸素分子からフリーラジカルを発生させることが可能であることが分かった[非特許文献2]。この手法は、膀胱癌の試験管内および生体内モデルに使用されてきた。
【0006】
磁場をかけることにより活性化できる粒子の使用に基づく別の手法が、特許文献1に記載されている。本発明は、ナノX線(NanoXray)と称される、光線力学的療法に使用できる新規な種類の粒子を記載する。特に、本発明は、とりわけ、深部組織でもターゲティングして生体内で治療又は診断応答を誘導できる、X線によっておよび/又は紫外線によって活性化可能な新規な粒子を記載する。
【特許文献1】米国特許第6,514,481号明細書
【非特許文献1】マコーガンJ.S.Jr.、薬物と老化、15:49〜68頁(1999年)「光線力学的療法:概説」(McCaughan J.S.Jr.Drugs and Aging.15:49−68(1999)“Photodynamic Therapy: A Review”)
【非特許文献2】シバタら、生物科学、生物工学および生化学62:2306〜2311頁(1998年)(Shibata et al.,Bioscience Biotechnology and Biochemistry 62:2306−2311(1998))
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、治療および/又は診断に(例えば、画像化に)、特にヒトに使用できる新規な化合物を開示する。本発明の粒子は、X線源および/又は紫外線源と組み合わせて、細胞、組織又は器官を、必要に応じてターゲティングして、標識する、変化させる、又は破壊するのに使用できる。本発明の粒子は、任意の哺乳類の有機体の表在又は深部の任意の種類の組織に使用できる。
【0008】
従って、本発明の第1の態様は、X線および/又は紫外線で励起された場合に、フリーラジカルおよび/又は熱を発生させ得る複合粒子又はナノ粒子凝集体に関する。
【0009】
別の態様によれば、本発明は、生体組織又は細胞を特異的にターゲティングするように表面処理することができ、その作用が励起源の作用で生物組織および/又は細胞を障害する又は変化させるものである、(組成の異なる)少なくとも2種類の無機化合物で構成されている任意の粒子又は任意のナノ粒子凝集体に関する。
【0010】
本発明の更に特別な目的は、
− X線を吸収し、紫外−可視エネルギーを放射する第1の無機化合物、および、紫外−可視エネルギーを吸収し、水又は酸素と接触してフリーラジカルを生成する無機又は有機の第2の化合物を含む核、並びに
− 所望により、生体適合性コーティング、
を含む、(X線で励起された場合に、フリーラジカル又は熱を発生させ得る)生体適合性複合粒子又はナノ粒子凝集体に基づく。
【0011】
本発明の別の目的は、前述のような粒子又は凝集体の調製方法に関する。
【0012】
本発明の別の目的は、前述のような、又は前述の方法で得ることができる粒子又は凝集体を含む医薬又は診断用組成物に基づく。
【0013】
本発明の更に別の目的は、細胞、組織又は器官を試験管内、生体外又は生体内で標識又は破壊するための、前述のような組成物、粒子又は凝集体の使用、およびそれに対応する方法に基づく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の趣旨において、複合「粒子」又は「ナノ粒子凝集体」という用語は、サイズの小さい複雑な合成製品を指す。その形状は、例えば、丸、平坦、細長い、球状、および楕円など様々とすることができる。製造方法によりその形状を決定又は制御することができ、所望の用途に応じて当業者はその形状を適応させることができる。
【0015】
粒子の形状は、その特性に、特に、フリーラジカル生成の収率に大きな影響を与えない。しかし、形状は、粒子の「生体適合性」に影響を与え得る。このため、薬物動態学的な理由から、本質的に球状又は丸い形状を有する粒子又はナノ粒子凝集体が好ましい。また、極めて均一な形状を有する粒子又はナノ粒子凝集体が好ましい。
【0016】
好ましい方法では、本発明による粒子又はナノ粒子凝集体のサイズは、典型的には、約4〜250nmである。ヒト又は動物の生体内用途では、4〜100nm、更に好ましくは4〜50nmのサイズを有する粒子又はナノ粒子凝集体が、より好ましい。実際、対象のサイズは、理想的には、本質的にマクロファージ(食作用)によって捕捉されることなく、且つ、著しい障害を引き起こすことなく、それらが体内(組織、細胞、血管など)で拡散できるほど十分小さくなければならない。有利には、100nm未満、好ましくは50nm未満のサイズを有する粒子で、ヒトにおいてかかる効果を得ることができる。
【0017】
本発明による粒子又は凝集体は、生体適合性がなければならない、即ち、それらは、有機体に、典型的には、哺乳類に投与できるものでなければならない。例えば、粒子を構成する化合物の性質によって、および/又は任意選択的なコーティングによって、前記生体適合性を確実にすることができる。
【0018】
前述したように、本発明の粒子は、所望によりコーティングで被覆されている、特定の特性を有する少なくとも2種類の無機化合物を含む。
【0019】
粒子の核を形成する第1の化合物は、X線を吸収し、紫外−可視エネルギーを放射する無機化合物(又は化合物の混合物)である。前記材料の主な機能は、X線を吸収し、紫外−可視エネルギー、特に紫外線を発生させることである。有利には、無機化合物は、好ましくはドーピング剤(doping agent)、好ましくは希土類元素の中から選択されるものがドープされている(doped)酸化物、水酸化物、酸硫化物又は塩の形態で使用される。当業者は、使用されるドーピングの種類、電子配置、および前記ドーピング剤を取り囲む結晶環境、およびその濃度に応じて前記第1の化合物の特性を調整することができる。特に好ましい方法では、ドーピング剤は、希土類元素の中から、好ましくは、固溶体中約15%以下のカチオン濃度(ドーピング剤)となるように選択される。前記パーセンテージは、無機化合物のカチオンに対する希土類カチオンの比に対応する。
【0020】
特定の実施形態では、本発明は、前述のような粒子又はナノ粒子凝集体に関し、ここで、第1の無機化合物は、希土類元素が、好ましくは固溶体中15%未満の濃度でドープされている酸化物および水酸化物、並びに、ドープされている又はドープされていない、好ましくは希土類カチオンの補助でドープされているGe、Hfおよび/又はZrの酸化物の混合化合物の中から選択される。
【0021】
有利には、以下の化合物、即ち、Y、(Y,Gd)、CaWO、GdOS、LaOBr、YTaO、BaFCl、GdS、GdGa12、RbLu(PO、HfGeO、およびCsLu(POからなる群から第1の無機化合物(又は、主化合物)を選択することができる。本発明の範囲で特に好ましい化合物は、酸化物YおよびHfGeOである。
【0022】
有利には、使用されるドーピング剤は、Gd、Eu、Tb、Er、Nb、Pr、およびCeからなる群から選択される希土類元素である。Gd、EuおよびTbは特に好ましいドーピング剤である。
【0023】
本発明の粒子の特定の例では、第1の無機化合物はGd、Eu又はTbがドープされているYの中から選択される。
【0024】
本発明の粒子の第2の具体例では、第1の無機化合物は、ドープされている若しくはドープされていない、好ましくはドープされているHfGeO、又はZrを有する混合溶液中のHfGeO(混合溶液の最大50%までを構成できる)である。
【0025】
当業者は、本発明の粒子を製造するため、他の無機化合物、酸化物、水酸化物、酸硫化物又は塩、およびドーピング剤を想到することができることが分かる。更に、数種類の酸化物、水酸化物、酸硫化物又は塩、および/又はドーピング剤を、同じ本発明の粒子中に混合物として使用することができる。
【0026】
粒子の核を形成する第2の化合物は、紫外−可視エネルギーを吸収し、水又は酸素と接触してフリーラジカルを生成する無機又は有機化合物(又は化合物の混合物)である。前記材料の主な機能は、紫外−可視エネルギー、特に紫外線を吸収し、光触媒型の反応により前記化合物の表面に存在する水(又はO)をフリーラジカルに転換することである。
【0027】
有利には、第2の化合物は、半導体化合物、特に、所望により(第1の無機化合物について記載したように)ドープされている、TiO、ZnO、および非限定的にCdS、CdSe、CdTe、MnTeおよび混合溶液(例えば、CdZnSe、CdMnSeなど)の中から選択できる無機化合物である。
【0028】
特定の実施形態では、第2の無機化合物として、有利にはアナタース型の、および所望によりドープされているTiOを使用する。
【0029】
別の変形の実施形態では、第2の化合物は、紫外領域で吸収し、酸素の存在下でフリーラジカルを発生させる無機分子とすることができる(例えば、光線力学的療法に使用される、ある一定の分子)。しかし、第2の化合物として無機化合物を使用することが好ましい。
【0030】
本発明の粒子の核内で、無機(および、所望により有機)化合物を異なる方法で配置又は構成することができる。
【0031】
例えば、第1の変形の実施形態では、第1の無機化合物は核のコアを形成し、第2の化合物(無機又は有機)はコアの表面の層又はナノ粒子の形態である(図1Aおよび図1Bを参照されたい)。
【0032】
特定の変形の実施形態では、核の2種類の無機化合物が複数の連続した層に配置されており、第1の無機化合物は、好ましくは内部層(コア)を形成する。
【0033】
このようにして、本発明の好ましい実施形態は、核が第2の化合物によって形成される層で取り囲まれている第1の無機化合物で構成されたコアを含む、粒子からなる(図1A)。第1の無機化合物によって形成されている核のコアのサイズは、典型的には、約5〜50nm、例えば、7〜40nmであり、および/又は、コアの表面にある第2の化合物によって形成されている層の厚さは、典型的には、約1〜30nm、例えば、2〜25nmである。
【0034】
別の変形の実施形態では、核の2種類の化合物は、ナノ粒子の混合物の形態で存在する(図1C)。前記ナノ粒子は、様々なサイズと形状を有することができる。一般に、規準として、ナノ粒子のサイズは、約3〜100nm、好ましくは5〜25nmである。
【0035】
更に別の変形の実施形態では、核の2種類の無機化合物は、互いに接触している2つの核の形態で存在する(図1D)。
【0036】
一般に、当業者は、2種類の化合物の相対的な量、2種類の無機化合物の発光スペクトルと吸収スペクトルとの重なり、材料の結晶構造、第2の化合物と水との接触面積、および/又は、第1の化合物と第2の化合物との距離を変更することにより、粒子の効能又は特性を適応させることができる。
【0037】
2種類の化合物の相対的な量に関して、典型的には、2種類の化合物が類似の量で存在する粒子が好ましい。それにもかかわらず、当業者は、第2の化合物に対する第1の化合物の量又は濃度の比を、好ましくは0.1〜10、更に好ましくは0.2〜5の範囲内に調整することができる。
【0038】
更に、本発明者らによって実施された実験から、(コアを形成する)第1の無機化合物の発光スペクトルと第2の化合物の吸収スペクトルとの重なりが大きいほど、粒子のエネルギー収率が高くなることが分かる。
【0039】
同様に、第2の化合物(例えば、TiO)と水との接触面積が大きいほど、エネルギー収率は高くなる。
【0040】
更に、粒子中のエネルギー移動率は、(コアを形成する)第1の無機化合物と第2の化合物との距離にも依存する。この距離が短いほど、および/又は、接触領域が大きいほど、エネルギー移動は効率が高くなり、粒子はより活性になる。
【0041】
従って、当業者は、例えば、計画された用途(診断、治療など)に応じて、前述のパラメータを変えることにより粒子の特性を調整することができる。
【0042】
前述の2種類の化合物に加えて、本発明の粒子は、その安定性、特性、機能、特異性などを改善することが意図された他の分子、化合物又は構造又は表面材料を含み得ることが分かる。
【0043】
このようにして、前述したように、本発明による粒子又はナノ粒子凝集体は、生体組織又は細胞を特異的にターゲティングすることを可能にする表面成分を更に含むことができる。前記表面成分を、任意の手段、好ましくは共有結合で、所望によりリンカーで粒子に結合させることができる。それは、後述のように、無機化合物の1つと、又は、存在する任意のコーティングと結合することができる。
【0044】
表面ターゲティング成分は、ヒト又は動物の身体中に存在する分子に対する親和性を示す、任意の生物学的又は化学的構造とすることができる。例えば、それは、ペプチド、ポリペプチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ホルモン、およびビタミンなど、並びに、一般に、分子の任意のリガンド(例えば、レセプタ、マーカ、抗原など)とすることができる。病的細胞が発現する分子のリガンド、例えば、特に腫瘍抗原のリガンド、ホルモンレセプタ、サイトカインレセプタ又は成長因子レセプタを例証として挙げることができる。
【0045】
ターゲティング成分は、存在する場合、本発明の粒子を目的の細胞、組織又は器官の方に優先的に導き、それによって作用をこれらの組織に限定することを可能にする。粒子が全身的経路で、例えば、深部組織に投与されるとき、前記ターゲティングは、とりわけ有用である。
【0046】
前述したように、本発明による粒子又はナノ粒子凝集体は、更にコーティングを含むことができる。有利には、前記コーティングは、生体内で粒子の一体性を維持し、その生体適合性を確保又は改善し、その機能化(例えば、スペーサー分子、生体適合性ポリマー、ターゲティング剤、蛋白質などで)を容易にする。
【0047】
コーティングは、任意の非晶質又は結晶性構造で構成することができる。本発明の粒子の活性を維持するため、コーティングが小分子およびフリーラジカルの拡散を可能にすることが望ましい。特に、コーティングが水(又はO)、および、変化後のそのラジカルの形態の通過を可能にすることが重要である。これは、多孔質の材料、および/又は、厚さが薄く多孔質のコーティング層を使用することによって達成できる。このため、例えば、典型的には、0.2〜10nmの空隙率を有するコーティングが使用される。更に、コーティングの厚さは、一般に、約0.1〜50nm、例えば、0.2〜40nmである。
【0048】
一般に、コーティングは、非生分解性又は生分解性とすることができる。非分解性コーティングの例には、網状又は網状でない、変性された又は変性されていないシリカ、アガロース、アルミナ、飽和炭素ポリマー又は無機ポリマーからなる群から選択される1種類以上の材料がある(例えば、ポリスチレン)。生分解性コーティングの例には、例えば、変性された若しくは変性されていない、天然若しくは天然でない生体分子、変性された若しくは変性されていない、天然の形状の若しくは天然の形状でない生体分子高分子、又は、ポリ硫酸化された若しくはポリ硫酸化されていない糖類、オリゴ糖、多糖類(例えば、デキストラン)などの生体高分子からなる群から選択される1種類以上の材料がある。前述の材料又は化合物を単独で、又は、複合材料若しくは複合材料でない、共有結合若しくは共有結合でない混合物若しくは集成体中に、所望により他の化合物と組み合わせて使用することができる。更に、天然又は人工の水溶性又は脂溶性である前述の任意の材料を使用することも可能である。
【0049】
コーティングは、好ましくは、シリカ(SiO)、アルミナ、ポリエチレングリコール(PEG)、又はデキストランからなる群から選択される1種類以上の化合物を、所望により混合物の状態で含む。
【0050】
コーティングは、また、目的とする任意の分子が粒子の表面に結合することを可能にする、異なる官能基(又は、リンカーセグメント)を含有することができる。
【0051】
有用な官能基の例には、(CHCOOHがあり、式中、nは1〜10の整数である。
【0052】
例えば、粒子の表面に結合する分子は、
− ターゲティング剤、
− 生体適合性を確保又は改善する分子、又は
− 粒子が免疫系から逃れること(並びに、特にマクロファージおよびSREとの相互作用を回避すること)を可能にする分子、
とすることができる。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明による粒子又はナノ粒子凝集体は、表面ターゲティング成分が、好ましくはリンカーで結合されているコーティングを含む。
【0054】
本発明の好ましい粒子又は凝集体は、第1の無機化合物として、希土類元素がドープされているY、又は、所望によりドープされているおよび/又はZrを有する混合溶液中のHfGeOを;第2の無機化合物として、TiO、および、好ましくはSiO又はデキストランをベースにするコーティングを含む。
【0055】
本発明の趣旨では、特定の粒子又は凝集体は、第1の無機化合物として、Y:Gdを;第2の無機化合物として、アナタース型TiO、および、好ましくはSiOコーティングを含む。
【0056】
本発明の文脈における他の特定の粒子又は凝集体は、第1の無機化合物として、Y:Tbを;第2の無機化合物として、アナタース型TiOを、および、好ましくはデキストランをベースにするコーティングを含む。
【0057】
粒子の特定の例には、次のものがある:
− TiOの層で被覆されているY:Gdを含むコアと、好ましくは機能化されているSiOコーティングとを含む粒子又は凝集体。好ましくは、コアは形状が丸いか又は球状であり、サイズが約5〜50nm(典型的には、約30nm)であり、TiO層の厚さは約5〜30nm(典型的には、約5nm)であり、コーティングの厚さは約1〜50nm(典型的には、約5nm)である。
− Y:Tbのマイクロ粒子とTiOのマイクロ粒子を含む核、および、好ましくは機能化されている、デキストランをベースにするコーティングを含む粒子又はナノ粒子凝集体。
− TiOの層で被覆されているHfGeOを含むコアと、好ましくは機能化されているSiOコーティングとを含む粒子又は凝集体。
【0058】
本発明の別の目的は、
− 粒子又は凝集体を形成するため、前述のような2種類の化合物を混合する工程、および、所望により
− 粒子又は凝集体をコーティングする工程、
を含む、前述のような粒子又はナノ粒子凝集体の製造方法に関する。
【0059】
変形の実施形態では、本方法は、ターゲティング成分を粒子又は凝集体上に添加することを含む機能化工程を更に含む。
【0060】
本発明による粒子又は凝集体を構成する材料は、当業者に既知の様々な技術で製造することができる。当業者は、使用する化合物の性質に応じて、および、粒子又は凝集体中におけるその配置に応じて本方法を適応させることができる。例えば、特定の実施形態では、本方法は、
− 第1の無機化合物を含む粒子コアを調製する工程、
− このようにして形成されるコアを、第2の化合物を含む層で被覆する工程、および、好ましくは、
− このようにして得られた粒子又は凝集体を多孔質材料でコーティングする工程、
を含む。
【0061】
本発明の粒子の製造に使用できる材料の代替の製造方法は、例えば、ネルソン(Nelson)ら、化学材料2003年15、688〜693頁「アルカライド還元によって調製されたナノ結晶Y2O3:Eu蛍光体」(Chem. Mater. 2003, 15, 688−693“Nanocrystalline Y2O3:Eu Phosphors Prepared by Alkalide Reduction”)、又は他に、リュウ(Liu)ら、磁気および磁性材料誌270(2004年)1〜6頁「アミノシラン変性超常磁性シリカナノスフェアの調製およびキャラクタリゼーション」(Journal of Magnetism and Magnetic Materials 270(2004)1−6“Preparation and characterization of amino−silane modified superparamagnetic silica nanospheres”)に記載されている。
【0062】
TiOの層で被覆されているY:Euを含むコアと、SiOコーティングとを含む粒子又は凝集体の製造又は合成を可能にする、実験の項に詳述する特定の実施形態では、本方法は以下の工程を含む:
− 均質な媒体中でYCl、EuClおよびクラウンエーテルと一緒に還元して、Y:Euナノ粒子を製造し、
− 酸性溶液中でTiClを沈殿させることにより、TiO層を加えることができ、その後、
− 塩基性媒体中でケイ酸ナトリウムを沈殿させることにより、任意選択的なシリカ層を得る。
【0063】
TiOの層で被覆されたHfGeOを含むコアと、SiOコーティングとを含む粒子又は凝集体の製造又は合成を可能にする、実験の項に詳述する第2の具体的実施形態では、本方法は、
− ハフニウムと非晶質ゲルマニウム塩の共沈によりコアを合成する工程、
− TiOで被覆する工程、および
− TEOSおよび/又はケイ酸ナトリウムを使用してSiOでコーティングする工程、
を含む。
【0064】
本発明の別の目的は、前述のような、および/又は、前述の方法で得ることができる粒子又は凝集体を含む任意の組成物をベースにする。強制的ではないが、本発明の組成物中の粒子は、有利には、極めて均質なサイズと形状を有する。一般に、組成物は、100ml当たり粒子を0.3〜3000mg含む。組成物は、固体、液体(懸濁液中の粒子)、ゲル、およびペーストなどの形態とすることができる。
【0065】
本発明の特定の目的は、前述のような粒子又はナノ粒子凝集体、および、所望により、医薬上許容可能な賦形剤又はビヒクルを含む医薬組成物に関する。
【0066】
本発明の別の特定の目的は、前述のような粒子又はナノ粒子凝集体、および、所望により、生理学的に許容される賦形剤又はビヒクルを含む診断用又は画像化組成物に関する。
【0067】
使用される賦形剤又はビヒクルは、例えば、食塩水、等張液、滅菌液、および緩衝液などの、この種の用途のための任意の古典的担体とすることができる。それらは、また、安定化剤、甘味剤、および界面活性剤などを含むことができる。それらは、既知の製剤技術を使用して、アンプル、ボトル中に、錠剤、カプセルとして配合できる。
【0068】
本発明の組成物、粒子、および凝集体は、多くの分野で、特にヒト又は獣医学で使用できる。X線の作用でナノ粒子コアは励起され、紫外−可視エネルギー、特に紫外線を作り出す。前記紫外線は、第2の化合物を励起させ、それは、水と接触して、フリーラジカルを発生させる。励起源への曝露持続時間に応じて、粒子はこのようにして組織の破壊(例えば数分の、例えば5分の曝露時間)、又は、単に視覚化(画像化、診断:おおよそ数秒の非常に短い曝露時間)を可能にすることができる。X線の高い透過性のため、本発明の粒子を使用して体内のどの組織も走査することができる。また、表面又は体腔の組織(皮膚、膀胱、肺、結腸など)のため、それらを紫外線励起源と一緒に使用することもできる。
【0069】
従って、本発明の特定の目的は、標的細胞を破壊することが意図された医薬品を製造するための、前述のような組成物、粒子又はナノ粒子凝集体の、X線と組み合わせた使用に基づく。
【0070】
本発明の別の目的は、表在又は体腔の標的細胞を破壊することが意図された医薬品を製造するための、前述のような組成物、粒子又はナノ粒子凝集体の、紫外線と組み合わせた使用に基づく。
【0071】
本発明の別の特定の目的は、標的細胞を前述のような1種類以上の粒子又はナノ粒子凝集体と、粒子又は凝集体が標的細胞の内側に透過することを可能にするのに十分な時間接触させる工程、および、細胞をX線又は紫外線に曝露させる工程であって、前記曝露が前記標的細胞の溶解又は破壊を誘導する又は引き起こす工程を含む、試験管内、生体外、又は生体内で標的細胞の溶解又は破壊を誘導する又は引き起こす方法に基づく。
【0072】
標的細胞は、任意の病的細胞、即ち、病理学的機構に関与する細胞、例えば、腫瘍細胞などの増殖性細胞、狭窄性細胞(平滑筋細胞)、又は免疫系細胞(病的細胞クローン)とすることができる。好ましい用途は、癌細胞の治療(例えば、破壊又は機能変化)に基づく。
【0073】
この点に関して、本発明の特定の目的は、癌の治療が意図された医薬品を製造するための前述のような組成物、粒子又はナノ粒子凝集体の(X線又は紫外線と組み合わせた)の使用に基づく。
【0074】
本発明の別の特定の目的は、癌細胞を前述のような1種類以上の粒子又はナノ粒子凝集体と、粒子又は凝集体が癌細胞の内側を透過することを可能にするのに十分な時間接触させる工程、および、細胞をX線又は紫外線に曝露させる工程であって、前記曝露が前記細胞の溶解又は破壊を誘導する又は引き起こす工程を含む、試験管内、生体外、又は生体内で癌細胞の溶解又は破壊を誘導する又は引き起こす方法に基づく。
【0075】
本発明のもう1つの目的は、癌にかかっている患者に前述のような組成物又は粒子又はナノ粒子凝集体を、粒子又はナノ粒子凝集体が癌細胞の内側を透過することを可能にする条件で投与する工程、および、その後、X線および紫外線の中から選択される励起源の存在下で患者を治療し、患者の癌細胞の変化、障害、又は機能破壊に至らしめ、それによって癌を治療する工程を含む、癌の治療方法に関する。
【0076】
本発明は、任意の種類の癌、特に、転移した又は転移していない固形腫瘍、例えば、肺、肝臓、腎臓、膀胱、乳房、頭頚部、脳、卵巣、前立腺、皮膚、腸、結腸などの癌からなる群から選択される癌の治療に使用できる。
【0077】
現在使用可能な任意の放射線治療又は放射線撮影法のシステムを使用して、粒子の投与後いつでも1回以上、照射を行うことができる。異なる経路で、好ましくは全身的又は局所的注入で、又は経口的に粒子を投与することができる。必要に応じて、繰り返し注入又は投与を行うことができる。
【0078】
一般に且つ非限定的に、様々な場合に以下の光線を当てて粒子を励起させることができる:
− 表面X線(20〜50keV):表面付近のナノ粒子を励起させる(数ミリメートルの透過)。
− 診断用X線(50〜150keV)。
− 6cmの組織厚さまで透過できる200〜500keVのX線(正中電圧)。
− 1000keV〜25,000keVのX線(メガボルト)。例えば、前立腺癌の治療のためのナノ粒子の励起は、15,000keVのエネルギーを有する5つの集束X線で行うことができる。
【0079】
診断の分野では、任意の種類の組織を検出および/又は視覚化するため、本発明の粒子を造影剤として使用することができる。このようにして、本発明の目的は、細胞、組織又は器官の検出又は視覚化が意図された組成物を製造するための、前述のような組成物、粒子又はナノ粒子凝集体の、X線と組み合わせた使用である。
【0080】
本発明の別の目的は、表在又は体腔の細胞、組織又は器官の検出又は視覚化が意図された組成物を製造するための、前述のような組成物、粒子又はナノ粒子凝集体の、紫外線と組み合わせた使用に基づく。
【0081】
「組み合わせ」という用語は、本発明のナノ粒子が一部組み込まれた目的の細胞、組織又は器官が前述の供給源によって励起されるとき、求める効果が得られることを示す。しかし、粒子および光線を同時に投与する必要もなければ、同じプロトコルに従う必要もない。
【0082】
「治療」の用語は、特に、腫瘍又は組織の病的領域のサイズ又は増殖の減少、病的細胞又は組織の抑制又は破壊、病気の進行の緩速化、転移の形成の減少、退縮又は完全な寛解などの病理学的兆候における任意の改善を示す。
【0083】
本発明の粒子は、試験管内又は生体外でも使用することができる。
【0084】
本発明の他の態様および利点は、以下の実施例で明らかになるが、実施例は例証の目的で記載され、限定を目的とするものではない。
【実施例】
【0085】
1.エルビウム又はガドリニウムがドープされているYナノ粒子の製造
機能化された界面活性剤(Y−AOT3、Eu−AOT3、およびGd−AOT3)から、エルビウム又はガドリニウムがドープされているYナノ粒子を合成した。好適な界面活性剤混合物(所望の最終濃度に基づく[Eu−AOT3]/[Y−AOT3]=0.01;0.05;0.1;0.15)をイソオクタン又はシクロヘキサン中に分散させた。ミセル形成を促進するため水を添加した。得られる材料のサイズに影響を与えるミセルサイズを、混合物に添加する水の量で制御した。塩基を添加することにより水酸化物を形成した。次いで、水/エタノール混合物で粒子を洗浄し、乾燥させ、800℃で加熱し、結晶性ナノ粒子を形成した。
【0086】
pH7.5の水50ml中にナノ粒子10mgを分散させた。この分散体1滴を銅/炭素グリッド上に堆積させ、透過型電子顕微鏡で観察した。図3に顕微鏡写真を示す。
【0087】
このようにして製造された化合物は、X線で励起されたとき、紫外蛍光を示した(GdがドープされているYについて)。
【0088】
2.二酸化チタンおよびシリカがコーティングされているHfGeOナノ粒子の製造
水性媒体中におけるハフニウム(HfOCl,8HO)および非晶質ゲルマニウム(GeO)塩の単純な共沈により、コア材料、HfGeOを合成した。1100℃又はそれより低温で4時間〜10時間熱処理した後、HfGeOをナノ粒子の形態で結晶化させた。
【0089】
チタニウム前駆体TiClを使用し、前記粒子をTiOでコーティングした。実際に、それと水酸化ナトリウムとの反応により、HfGeOの表面でTiO(HO)の濃縮が起こった。500℃で1.5時間〜3時間熱処理すると、TiOは、光触媒特性を有するアナタース型結晶形態に転換した。
【0090】
TEOSを使用してシリカのコーティングを行った。アルコールおよびアンモニア媒体中でTEOSの緩速で制御された加水分解を行うことによって、粒子の表面にシリカの層が形成した。
【0091】
3.ナノ粒子の生体適合性
シリカがコーティングされたナノ粒子の生体適合性および試験管内での無毒性を、試験管内で細胞株MCF7、KBおよびUClで試験した。ナノ粒子(粒子30〜1000pg/細胞1000個)を前記細胞と一緒に24時間、48時間、および72時間インキュベートした。細胞生存を以下のように評価した:
【数1】

【0092】
生存率=生細胞の数(粒子有り)/死細胞の数(粒子有り)/生細胞の数(粒子なし)/死細胞の数(粒子なし)
【0093】
図4に示すように、対照と比較して、生存率および細胞分裂において顕著な差異はなかった。
【0094】
4.ナノ粒子ターゲティングおよび内在化
表面レセプタによる細胞内への粒子(表面ターゲティング成分を有する)のターゲティングおよび特異的透過を、共焦点レーザー走査顕微鏡で観察した。(レビー(Levy)ら、化学材料2002年、14(9)、3715頁;ナノケミストリー:「生物学的用途のための多官能性ナノクリニックの合成およびキャラクタリゼーション」(Chem. Mater. 2002, 14(9), pp3715;Nanochemistry:“Synthesis and Characterization of Multifunctional Nanoclinics for Biological Applications”)に記載されるように)ナノ粒子をシリカでコーティングし、化学結合によりLHRHで機能化した。ナノ粒子をMCF7細胞(LHRHレセプタを有する)と一緒に24時間インキュベートし、共焦点レーザー走査顕微鏡で観察した。24時間後に記録された画像に対応する図5は、細胞膜および核中のナノ粒子の蓄積を示す。
【0095】
5.動物での投与および治療のプロトコル
等張液(PBS、塩水)中に1〜20mg/mlの範囲の濃度でナノ粒子を分散させ、0.5mlの容積で、静脈、腫瘍内、又は腹腔内経路で注入した。注入の24時間〜48時間後、以下のように動物をX線に曝露させた:
− 転移の診断又は治療のために全身。標準的なX線撮影装置でX線を発生させることができる。
− 固形腫瘍又は特定の身体部位の治療のために集中(focused)。
【0096】
他の方法を使用することができる。
− 1回注入した後、複数回X線に曝露、
− 複数回(数週間空けて)注入した後、それぞれ1回又は複数回曝露、
− 複数回(数日空けて)注入した後、1回又は複数回曝露。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の粒子構造の説明図である。
【図2】X線源の存在下における本発明の粒子の活性化の方式を示す図である。
【図3】ガドリニウムがドープされているYナノ粒子を示す透過型電子顕微鏡の画像である。
【図4】ナノ粒子と一緒にインキュベートした後の細胞生存率を示す。
【図5】細胞膜中のナノ粒子(スライド中の灰色)の蓄積を示す共焦点レーザー走査顕微鏡の画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線で励起された場合に、フリーラジカル又は熱を発生させ得る、生体適合性複合粒子又はナノ粒子凝集体であって、
X線を吸収し、紫外−可視エネルギーを放射する第1の無機化合物、および、紫外−可視エネルギーを吸収し、水又は酸素と接触してフリーラジカルを生成する第2の無機又は有機化合物を含む核、並びに
所望により、生体適合性コーティング
を含む、粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項2】
サイズが4〜250nm、好ましくは4〜100nm、更により好ましくは4〜50nmであることを特徴とする、請求項1に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項3】
前記第1の無機化合物は、希土類元素が好ましくは固溶体中15%未満のカチオン濃度でドープされている酸化物、水酸化物、酸硫化物又は塩の形態であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項4】
前記第1の無機化合物は、Gd、Eu、Tb、Er、Nb、Pr、およびCeからなる群から選択される希土類元素がドープされているY、(Y,Gd)、CaWO、GdOS、LaOBr、YTaO、BaFCl、GdS、GdGa12、HfGeO、RbLu(PO、およびCsLu(POからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項5】
前記第1の無機化合物が、Gd、Eu又はTbがドープされているYからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項6】
前記第1の無機化合物が、Zrを有する混合溶液中のHfGeOであることを特徴とする、請求項4に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項7】
前記第2の化合物が、半導体化合物、好ましくは、所望によりドープされているTiO、ZnO、CdS、CdSe、CdTe、MnTeおよび混合溶液の群から選択される無機化合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項8】
前記第1の無機化合物が前記核のコアを形成し、前記第2の化合物が前記コアの表面で層又はナノ粒子を形成することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項9】
前記核の2種類の無機化合物が、複数の連続した層に配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項10】
前記第1の無機化合物によって形成される前記核のコアのサイズが、約5〜50nmであり、前記コアの表面に前記第2の化合物によって形成される層の厚さが約1〜30nmであることを特徴とする、請求項9に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項11】
前記コアの2種類の化合物が、ナノ粒子混合物の形態で存在することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項12】
前記第2の化合物に対する前記第1の化合物の量又は濃度の比が、0.2〜5であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項13】
生体組織又は細胞の特異的ターゲティングを可能にする表面成分を更に含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項14】
小分子およびフリーラジカルの拡散を可能にするコーティングを含有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項15】
前記コーティングが、多孔質非晶質又は結晶性構造で構成され、好ましくは、シリカ、アルミナ、PEG、およびデキストランからなる群から選択される化合物を含むことを特徴とする、請求項14に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項16】
生体組織又は細胞の特異的ターゲティングを可能にする前記表面成分が、コーティングに結合していることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項17】
前記表面ターゲティング成分が、ペプチド、ポリペプチド、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ホルモン、およびビタミンなどの、ヒト又は動物の身体中に存在する分子に対する親和性を示す生物学的又は化学的構造であることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項18】
TiOの層で被覆されているY:Gdを含むコアと、SiOをベースにするコーティングとを含むことを特徴とする、粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項19】
:Tbのマイクロ粒子とTiOのマイクロ粒子を含む核、およびデキストランをベースにするコーティングを含むことを特徴とする、粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項20】
形状が本質的に球状であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体。
【請求項21】
粒子又は凝集体を形成するため、請求項1〜20に記載されるような2種類の化合物を混合する工程、および、所望により
前記粒子又は凝集体をコーティングする工程、
を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体の製造方法。
【請求項22】
前記第1の無機化合物を含む前記粒子のコアを調製する工程、
このようにして形成された前記コアを、前記第2の化合物を含む層で、好ましい方法で被覆する工程、
このようにして得られた前記粒子又は凝集体を多孔質材料でコーティングする工程、
を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体を含む医薬又は診断用組成物。
【請求項24】
標的細胞を破壊することが意図された医薬品を製造するための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体、又は請求項23に記載の組成物の、X線と組み合わせた使用。
【請求項25】
表在又は体腔の標的細胞を破壊することが意図された医薬品を製造するための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体、又は請求項23に記載の組成物の、紫外線と組み合わせた使用。
【請求項26】
細胞、組織又は器官を検出又は視覚化することが意図された薬剤を製造するための、請求項1〜20のいずれか一項に記載の粒子又はナノ粒子凝集体、又は請求項23に記載の組成物の、X線又は紫外線と組み合わせた使用。
【請求項27】
前記標的細胞が癌細胞であることを特徴とする、請求項24、25又は26に記載の使用。
【請求項28】
前記光線が、放射線治療又は放射線撮影法のシステムを使用することによって当てられることを特徴とする、請求項24〜27のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−536356(P2007−536356A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512273(P2007−512273)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001145
【国際公開番号】WO2005/120590
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506377178)
【氏名又は名称原語表記】NANOBIOTIX
【Fターム(参考)】