説明

活性汚泥処理テスト装置ユニット及びこれを用いたテスト装置

【課題】小規模の活性汚泥テスト機において、同じ処理方式で運転条件が異なる比較処理テストが可能な装置であり、且つ異なる複数の処理方式に、簡単な変更で対応可能であるテスト装置を提供する。
【解決手段】装置ユニット1は、活性汚泥混合液をいれる容器本体2と、活性汚泥性能測定を行うための付属操作装置4と、により構成されている。付属操作装置4は、原水添加部5と、曝気部6と、汚泥返送部7と、処理水排出部8と、フラッシング兼撹拌部9と、制御部10、とを主要構成として備えている。容器本体2は斜円柱形状をなし、着脱可能な平板により構成される仕切板2aの装着により2つの空間に区画される。仕切板2aは、第一槽2bと第二槽2cを連通可能とする連通部2fを備えている。連通部2fは、貫通口2g、連通管2i、フード2h、により構成されている(図12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性汚泥を基本とする好気性微生物を利用した廃水処理の種々の処理テストをおこなう、実験室規模のテストに適した小型活性汚泥試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃水処理の代表的なプロセスとして好気性微生物を利用する廃水処理がある。代表的なプロセスに活性汚泥があり、活性汚泥処理装置にもいろいろな方式がある。代表的な活性汚泥は、曝気槽と沈殿槽により構成される標準活性汚泥に代表される連続処理方式であるが、比較的小規模な場合には、曝気槽と沈殿槽を1つの水槽で行う回分式活性汚泥方式も用いられる。またBODと同時に窒素を除去するプロセスして、嫌気処理と好気処理を組み合わせた硝化脱窒方式がある。嫌気と好気の組み合わせ方などにより、単槽式嫌気好気脱窒方式や直流型硝化脱窒装置や硝化液循環硝化脱窒方式が主な方式である。さらにリンを除去する連続式嫌気好気法(以下AO方式)、窒素とリンを除去する方式として、嫌気・無酸素・好気法(以下A2O方式)が広く普及している。上記のいろいろな処理方式の共通ベースは活性汚泥処理であり、これらの方式は、曝気槽や沈殿槽の配置や好気・嫌気状態による汚泥の働きの違いなどを組み合わせることにより、微生物のいろいろな機能を活用するものである。
【0003】
上記、種々の好気性微生物処理方式の装置設計や適切な運転管理のためには、いろいろなレベルでの処理テストが必要となる。テスト装置は、テスト装置規模により要求される機能が異なるが、活性汚泥混合液の収納容量が0.3リットルから10リットル程度の実験室レベルの小規模なテスト装置では、微生物の性状の変化による処理性能の差異を調べることが最重要事項となる。このため、比較の対象となる装置と条件変更した比較装置との対比が極めて重要であり、比較テストを可能とするため同一仕様のテスト装置が複数必要となる場合が多い。さらに処理方式による性能差を比較することが求められる場合もあり、異なる処理方式に柔軟に対応できる機能も必要となる。従って、テスト装置には目的とする条件以外はできるだけ運転処理条件を同一にできる装置であるとともに、簡単な変更でいろいろな処理方式に対応できることが求められる。
【0004】
しかしながら、従来、小規模の活性汚泥テストは、テスト目的に合わせて、手作りのテスト装置をその都度製作してテストを行うことが多い。また、市販されているテスト装置は、それぞれの処理方式に対応した単機能の装置が一般的であり、1つの装置で多方式に対応できる装置は見当たらない。
特許文献においても、公開されている情報は少なく、わずかに特許文献1において、各槽の容量や滞留時間を自由に変えたり、活性汚泥法と汚泥培養法を比較するテスト装置が公開されている程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−155483
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較テストを行うには、同一仕様の装置が最低2台、好ましくは3乃至4台必要となる。また台数が多くなると、使用原水量や設置スペースなど取り扱い易さの観点から、1台の装置容量を小さくする必要がある。活性汚泥で取り扱う液体は、スラリーなので、装置を小さくすると詰まりや壁面への付着など生じやすく、安定してテストを行うためには、それなりの工夫が必要になる。
以上述べたように、小規模の活性汚泥テスト機において、同じ処理方式で運転条件が異なる比較処理テストが可能な装置であり、且つ、異なる複数の処理方式に簡単な変更で対応可能であるテスト装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は鋭意研究の結果、上記目的を達成できる以下の発明を完成させた。すなわち、本発明に係る活性汚泥による廃水処理における性能測定のための活性汚泥処理テスト装置ユニットは、
(1)底部を傾斜面に構成した筒形状の試験容器本体と、試験容器本体内部に着脱可能であり、取り付けた状態で底部傾斜面の下側空間の第一槽と上側空間の第二槽とに区画し、第一槽と第二槽とを連通可能に構成した仕切板と、曝気部と、原水添加部と、汚泥返送部と、処理水排出部と、フラッシング兼撹拌部と、を含む付属操作装置と、
付属操作装置の作動を任意に制御可能とする制御部と、を備えて成ることを特徴とする。
本発明において、「筒形状」とは、底面形状が円に限らず、楕円、方形、多角形等のものも含む概念である。
【0008】
また、本発明に係る活性汚泥処理テスト装置ユニット(以下、装置ユニットという)を用いた活性汚泥処理テスト装置は、
(2)前記仕切板を取り付けた状態で、前記第一槽を曝気槽とし、前記第二槽を沈殿槽として用いることにより、連続活性汚泥装置として機能可能とし、前記仕切板を取り外した状態で、曝気槽及び沈殿槽として用いることにより、回分活性汚泥装置として機能可能とし、仕切板を取り付けた状態で、前記第一槽を好気槽又は嫌気槽とし、前記第二槽を沈殿槽として用いることにより、単槽式嫌気好気活性汚泥装置として機能可能とし、たことを特徴とする。
【0009】
(3)上記装置ユニットを2台連結して用いた活性汚泥処理テスト装置であって、第一の装置ユニットの仕切板を取り外し、処理水排出部の吐出先を第二の装置ユニットの試験容器本体内部に供給するように構成し、第二の装置ユニットの返送汚泥部の吐出先を第一の装置ユニットに供給するように構成し、かつ、第一の装置ユニットを硝化槽として用い、第二の装置ユニットの前記第一槽の曝気部を停止状態にして脱窒槽として用いることにより、直流型硝化脱窒装置として機能可能に構成し、第一の装置ユニットの仕切板を取り外し曝気部を停止状態にして脱窒槽として用い、第二の装置ユニットの前記第一槽を曝気槽及び第二槽を沈殿槽として用いることにより、連続式嫌気好気活性汚泥(AO)装置として機能可能に構成し、第一の装置ユニットの仕切板を取り外し曝気部を停止状態にして脱窒槽として用い、かつ、汚泥返送部の吸引口を第二の装置ユニットの曝気槽から吸引し吐出先を第一の装置ユニットに変更し、第二の装置ユニットの前記第一槽を稼動状態にして曝気槽及び第二槽を沈殿槽として用いることにより、硝化液循環式硝化脱窒装置として機能可能に構成し、たことを特徴とする。
本発明の装置ユニットを複数、連結して用いる場合には、制御部の一部又は全部について一の装置ユニットのものを用い、他のユニットの制御部については遊んだ状態、又は取り外した状態とすることができる。
【0010】
(4)上記装置ユニットを3台連結した活性汚泥処理テスト装置であって、第一の装置ユニットと第二の装置ユニットの仕切板を外し、かつ、それぞれの前記第一槽の曝気部を停止状態とし、第一の装置ユニットの処理水排出部の吐出先を第二の装置ユニットに、第二の装置ユニットの処理水排出部の吐出先を第三の装置ユニットの好気槽に、第三の装置ユニットの返送汚泥部の吐出先を第一の装置ユニットに、それぞれ変更し、さらに、第二の装置ユニットの汚泥返送部の吸引口を第三の装置ユニットの好気槽から吸引に変更することで、第一の装置ユニットを嫌気槽、第二の装置ユニットを無酸素槽、第三の装置ユニットを好気槽と沈殿槽にして機能させることにより、嫌気・無酸素・好気法(A2O法)の処理テストの操作を可能に構成したことを特徴とする。
【0011】
(5)上記活性汚泥処理テスト装置において、さらに各前記原水添加部、前記汚泥返送部、前記処理水排出部は、それぞれ吐出用ポンプを備え、各吐出用ポンプの吐出量の制御を、一定間隔で一定時間作動させる間欠作動方式とし、かつ、作動間隔及び作動時間を任意に設定可能に構成したことを特徴とする。
【0012】
(6)上記(2)乃至(4)において、前記フラッシング兼撹拌部は、曝気槽として機能させる場合には空気により、脱窒槽、嫌気槽又は無酸素槽として機能させる場合には窒素ガスにより、それぞれフラッシング又は撹拌を行い、フラッシング又は撹拌のタイミングを間欠作動方式とし、かつ、作動間隔及び作動時間を任意に設定可能に構成したことを特徴とする。
(7)前記装置ユニットを4台配置し、上記(2)乃至(4)に記載の各処理テストを適宜組み合わせた比較テストを可能に構成したことを特徴とする。
【0013】
上記各発明において、原水添加ポンプ、汚泥返送ポンプ、処理水排出ポンプには、定量ポンプを使用することができる。特に、取り扱う液体が活性汚泥混合液というスラリーであり、また腐食性のある液体、かつ、吐出量が少ないことを考慮して、チューブポンプなどを好適に使用することができる。
テストを目的とするため、広い吐出量に対応する必要があるが、微量の吐出量の定量ポンプは高価なうえ、ポンプ自体に微量から多量までの広い流量調節機能をもたせると非常に高価になる。定量ポンプを一定間隔で一定時間作動させる方式として、作動間隔および作動時間を、制御用コンピュータにより自由に設定することにより、吐出量の大きな安価な定量ポンプで、簡便に広い吐出量に対応可能となる。また、連続添加すると非常に吐出量が小さいポンプが必要になり、活性汚泥のようなスラリーを取り扱うと詰まりが生じ、安定運転に大きな懸念がある。これに対し、間欠運転であれば、大きな吐出量の定量ポンプにすることができ、詰まりに対し非常に有利となる。活性汚泥の処理特性を考慮すれば、15分程度の間欠作動は、少量を連続添加する場合と同等に扱って全く支障ない。
【0014】
フラッシング兼撹拌部は、フラッシングとして使用するときは、もっぱら強い流動で曝気槽内を撹拌し、底面に滞留した汚泥や壁面に付着した汚泥を均一混合液に戻し、撹拌として使用するときは、混合液を流動させ均一に混合させる装置である。フラッシング兼撹拌部は同じ装置で構成することができ、フラッシング時は作動時間を長く、撹拌時は作動時間を短くすることにより使い分ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、テスト機一式を用意するのみで、例えばMLSSや原水BOD負荷量やpHなど、同一処理方式で目的とする条件のみが異なる比較テストが可能になる。
さらに、活性汚泥をベースにしたいろいろな方式の微生物処理の比較テストが、簡単な配管変更や作動条件変更で可能となり、微生物処理の技術向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る活性汚泥処理テスト装置ユニット1の構成を示す図である。
【図2】装置ユニット1の容器本体2を示す図である。
【図3】容器本体の他の形態例を示す図である。
【図4】連続活性汚泥処理テスト装置20の構成を示す図である。
【図5】回分式活性汚泥処理テスト装置30の構成を示す図である。
【図6】単槽式嫌気好気活性汚泥処理テスト装置40の構成を示す図である。
【図7】直流型硝化脱窒処理テスト装置50の構成を示す図である。
【図8】連続式嫌気好気活性汚泥(AO)装置60の構成を示す図である。
【図9】硝化液循環式脱窒処理テスト装置70の構成を示す図である。
【図10】嫌気・無酸素・好気法テスト装置80の構成を示す図である。
【図11】比較テスト装置90の構成を示す図である。
【図12】仕切板2aの詳細構造を示す図である。
【図13】仕切板2aの設置形態と汚泥返送態様の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る活性汚泥処理テスト装置の実施形態について、図1乃至11を参照して説明する。重複説明を回避するため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。また、使用しない付属装置部は図示を省略してある。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0018】
<テスト装置ユニット>
図1を参照して本実施形態に係る装置ユニット1は、活性汚泥混合液を入れる容器本体2と、活性汚泥性能測定を行うための付属操作装置4と、により構成されている。付属操作装置4は、原水添加部5と、曝気部6と、汚泥返送部7と、処理水排出部8と、フラッシング兼撹拌部9と、制御部10、とを主要構成として備えている。
図2を参照して、容器本体2は斜円柱形状をなし、平板により構成される仕切板2aの装着により2つの空間に区画される。円柱母線の長いほうの空間を第一槽2bとし、母線の短いほうの空間を第二槽2cとする。仕切板2aは、図12に示すように、第一槽2bと第二槽2cを連通可能とする連通部2fを備えている。連通部2fは、同図(b)に示すように、貫通口2g、連通管2i、フード2h、により構成されている。フード2hを備えることにより、第一槽2b側の気泡の第二槽2c側への混入、また、第一槽2b側の激しい流動の第二槽2c側への影響、を防止することができる。斜円柱の斜底部2dは、連通部2fを介して第二槽2cから流入する汚泥が、第一槽2b下端部に溜まるように傾斜を設けである。
なお、容器本体は斜円柱形状に限らず他の形状、例えば図3に示すように斜角柱容器3であってもよく、この場合には長垂直辺3f側を第一槽2bとし、短垂直辺3g側を第二槽とする。
【0019】
原水添加部5は、サンプリング原水を貯蔵する原水貯蔵容器5a、貯蔵容器5a内の原水を第一槽2bに注入するための原水添加ポンプ5b及び接続配管5c、5dにより構成されている。
曝気部6は、エアポンプ6a、散気管6b、接続配管6cにより構成され、エアポンプ6aにより吸込んだエアを散気管6bから放散させて、原水貯蔵容器5aから第一槽2bに供給される原水と活性汚泥混合液を曝気する。仕切板2aは、底部2dにほとんど密着するように装着する。
汚泥返送部7は、汚泥返送ポンプ7a及び接続配管7b、7cにより構成され、第二槽2c側の沈殿汚泥層から、第一槽2bに送液する。返送汚泥ポンプにより増加した第一槽2bの混合液は、仕切板の連通部2fから第二槽2cに戻る。
図13を参照して、仕切板2aの設置形態と汚泥返送態様の関係について説明する。ここでは、第一槽2bを曝気槽、第二槽2cを沈殿槽として用いる場合を想定している。
第一の態様は、同図(a)に示すように、沈殿槽2cに沈殿する汚泥を返送汚泥ポンプ7aにより吸引して曝気槽2bに戻す。曝気槽2b内の混合液は、貫通口2gから沈殿槽2cに流入する。
また、第二の態様は、同図(b)に示すように、貫通口2gに栓2kをして、仕切板を底部に対して若干の隙間δを設けて装着する。この場合、仕切板2aと底部2dとの隙間δが、曝気槽2b側と沈殿槽2c側の連通部2jとして機能する。返送汚泥ポンプ7aは、曝気槽2b内の活性汚泥混合液を沈殿槽2cに送液することにより、連通部から沈殿槽2jの沈殿汚泥を曝気槽2bに戻してもよい。両者の違いは、沈殿槽2cでの沈殿汚泥の流動性により使い分けるもので、流動性のよい沈殿汚泥の場合は(a)、流動性の悪い沈殿汚泥の場合はよりスムーズに沈殿汚泥を曝気槽2bに返送可能とするため、(b)の態様が有利となる。
処理水排出部8は、処理水排出ポンプ8a及び接続配管8bにより構成され、第二槽2c内の処理済の処理水を系外に排出する。
【0020】
フラッシング兼撹拌部9は、エアポンプ9aによる空気撹拌、窒素ボンベ9bと電磁弁9cによる窒素ガス撹拌、及び接続配管9dにより構成され、第一槽2bを曝気槽や硝化槽や好気槽として使用するときは空気を、嫌気槽や無酸素槽や脱窒槽として使用するときは窒素ガスを、切り替えて使用する。また、フラッシングと撹拌は、作動時間の長さで使いわける。
フラッシング兼撹拌部9としては、機械的な撹拌機やマグネティックスターラーで容器内を強撹拌する方式、バブリングで容器内を強撹拌する方式、混合液循環流で容器内を強撹拌する方式、気泡と混合液循環流を併用する方式などを用いることができる。
また活性汚泥は強撹拌を長時間継続すると汚泥が損傷するため、ポンプやバブリングの作動は、一定間隔で、一定時間作動させる形式とし、作動間隔および作動時間は制御部10により自由に設定でき、フラッシング時は作動時間を長く、撹拌時は作動時間を短くすることにより使い分けることができる。
制御部10は、付属操作装置4の各部の作動を指令するPC10a、制御盤10bを備え、PC10aの指令により、PCカードを介してリレーにより付属操作装置の作動を自由に設定制御可能に構成されている。
【0021】
テスト装置ユニット1は以上のように構成され、以下に説明するようにテスト装置ユニット1を単独又は複数組み合わせることにより、各種活性汚泥処理テスト装置として機能させることができる。以下、使用部分を明確にするため、使用しない機器および配管ラインについては図示を適宜省略する。
【0022】
<連続活性汚泥処理テスト装置>
図4を参照して、連続活性汚泥処理テスト装置20は、テスト装置ユニット1の仕切板2aを装着した状態で、第一槽を曝気槽21として、第二槽を沈殿槽22として用いるものである。さらに、制御部10により付属操作装置4各部の作動シーケンスを目的に即して設定することにより、連続活性汚泥処理テスト機として機能させることができる。なお、曝気槽21と沈殿槽22の容積割合は、処理水排出ポンプ8aの吸込口高さを変えることにより調節可能である。
【0023】
表1は図4の曝気槽21容量が900ccで、沈殿槽22容量が450cc時の連続式活性汚泥の場合の作動例である。テスト装置ユニット1に活性汚泥混合液を1350ccチャージし、PC10aを表1のように設定し、作動開始する。曝気エアポンプ6aは作動中連続運転なので、曝気槽21は常に曝気される。原水添加ポンプ5aは作動間隔120秒ごとに10秒間作動し、原水が曝気槽21に添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり40.0cc添加される。返送汚泥ポンプ7aと排出ポンプ8aは、原水添加ポンプの作動と同じ120秒ごとに作動し、返送汚泥ポンプは10秒間作動し、原水添加の約1倍量を曝気槽内の活性汚泥混合液を沈殿槽へ送液し、排出ポンプ8aは作動し原水添加ポンプよりやや長く13秒間作動して、原水添加ポンプにより添加された液量を確実に系外に排出し、槽の液面レベルを一定にする。フラッシングエアポンプは、90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、曝気槽内を空気でフラッシングする。
【0024】
テスト終了後、活性汚泥混合液の活性や沈降性の変化や微生物の状態観察、処理液のCODやBODなどの水質等を測定することにより、処理能力や活性汚泥への影響などの評価が可能となる(以下の各テスト装置においても同様)。
なお、表1の各容量、作動間隔、作動時間等は例示であって、目的に即して最適な数値を選択することができる(以下の実施形態においても同様)。
【0025】
【表1】

【0026】
<回分式活性汚泥処理テスト装置>
次に、図5を参照して、回分式活性汚泥処理テスト装置30は、テスト装置ユニット1の仕切板2aを外した状態で、容器内を曝気槽兼沈殿槽22として用いるものである。なお、この場合、汚泥返送部7は遊んだ状態(図示を省略)となる。さらに、制御部10により付属操作装置4各部の作動シーケンスを、目的に即して設定することにより、回分式活性汚泥処理テスト機として機能させることができる。
表2は図5の曝気槽兼沈殿槽22に活性汚泥混合液を1050ccチャージしたときの回分式活性汚泥の作動例である。排出ポンプ8aの吸い込み配管のレベルは、1050ccの液面の高さに設置する。
コンピュータ10aを表2のように設定し、作動開始する。処理サイクルは、曝気処理サイクルが480分(8.0時間)で、曝気処理のあいだは、原水を添加しながら曝気し廃水を処理する。曝気処理後は沈殿処理サイクルが180分(3時間)で、沈殿処理のあいだは、原水の添加や曝気は停止し、活性汚泥混合液を静置し、沈殿汚泥と上澄み液に分離する。沈殿処理後は処理水排出サイクルが60分(1.0時間)で、原水添加で増加した活性汚泥混合液の上澄み液を系外へ排出し、曝気槽兼沈殿槽22の液量を1050ccにする。処理水排出サイクルが終了すると、曝気処理サイクルに戻る。
【0027】
曝気処理サイクル中は、曝気エアポンプ6aは作動時間が連続運転なので、曝気槽兼沈殿槽22は常に曝気される。原水添加ポンプ5aは作動間隔120秒ごとに12秒間作動し原水が曝気槽兼沈殿槽22に添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり48.0cc添加される。返送汚泥ポンプ7aと排出ポンプ8aは作動しない。フラッシングエアポンプは90秒ごとに2秒間(3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、曝気槽兼沈殿槽22内を空気でフラッシングする。沈殿処理サイクル中は、曝気エアポンプ、原水添加ポンプ、返送汚泥ポンプ、排出水ポンプ、フラッシングエアポンプは作動しない。処理水排出サイクル中は、排出水ポンプのみ60分間連続作動し、槽内の増加した上澄み液を排出する。吸い込みレベルまで排出後は、空運転となる。
【0028】
【表2】

【0029】
<単槽式嫌気好気活性汚泥処理テスト装置>
次に、図6を参照して、単槽式嫌気好気活性汚泥処理テスト装置40は、テスト装置ユニット1の仕切板2aを容器本体2の底部にほとんど密着するように取り付けた状態で、第一槽を嫌気槽兼好気槽41として、第二槽を沈殿槽42として用いるものである。さらに、制御部10により付属操作装置4各部の作動シーケンスを目的に即して設定することにより、単槽式嫌気好気活性汚泥処理テスト機として機能させたものである。
表3は嫌気槽兼好気槽41の容積が900ccで沈殿槽42の容量が450cc時の、単槽式嫌気好気活性汚泥の場合の作動例である。
PC10aを表3のように設定し、作動開始する。処理サイクルは、曝気処理サイクルが60分(1.0時間)で、曝気処理の間は、原水を添加しながら曝気し廃水を処理する。曝気処理後は嫌気処理サイクルが30分(0.5時間)で、嫌気処理のあいだは、曝気エアポンプは停止し、嫌気状態で脱窒などの処理をおこなう。嫌気処理サイクル後は曝気処理サイクルに戻る。
曝気処理サイクル中は、曝気エアポンプ6aは連続運転なので、嫌気槽兼好気槽41は常に曝気される。原水添加ポンプ5aは作動間隔120秒ごとに8秒間作動し原水が嫌気槽兼好気槽41に添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり32.0cc添加される。
【0030】
返送汚泥ポンプ7aと排出ポンプ8aは、原水添加ポンプの5a作動と同じ120秒ごとに作動し、返送汚泥ポンプは8秒間作動し、原水添加の約1倍量を曝気槽内の活性汚泥混合液を沈殿槽へ送液し、排出ポンプ8aは10秒間作動して、原水添加ポンプ5aにより添加された液量は確実に系外に排出され、槽内の液面レベルを一定にする。
フラッシング兼撹拌は、曝気処理時にはフラッシングエアポンプ9aを90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、曝気槽内を空気でフラッシングする。また、嫌気処理時は、窒素ボンベからの窒素ガスで嫌気槽兼好気槽41内を撹拌する。
【0031】
【表3】

【0032】
<直流型硝化脱窒テスト装置>
次に、図7を参照して、直流型硝化脱窒処理テスト装置50は、テスト装置ユニット1を2セット直列に配置し(第一ユニット51、第二ユニット52)、制御部10を用いて、付属操作装置4各部の作動シーケンスを目的に即して設定することにより、直流型硝化脱窒処理テスト機として機能させたものである。制御部10はそれぞれのPC10aで設定してもよいが、あらかじめ制御盤10bに2ユニット分の付属操作装置への配線をしておけば、どちらかのPCで統合的に制御することも可能である。
本実施形態では、第一ユニット51の仕切板を外して硝化槽51aとして用いる。また、第二ユニット52の仕切板52aを容器本体の底部にほとんど密着するように取り付けて、脱窒槽52b、沈殿槽52cとして用いる。また、第一ユニット51側の処理水排出ポンプ51b出の処理水を、脱窒槽52bに注入させるように配置する。また第二ユニット52の返送汚泥ポンプ52eは、汚泥の吸い込み口を沈殿槽52cの沈殿汚泥層とし、吐出側を第一ユニット51の硝化槽51aに変更する。なお、第一ユニット51の返送汚泥ポンプは使用しない。硝化槽51aと脱窒槽52bの容量バランスは、硝化槽51aの処理水排出ポンプ51bの吸い込み口の高さの調節により、通常の設計範囲は調節可能である。
【0033】
表4は硝化槽1350cc、脱窒槽900cc、沈殿槽容量450ccの場合の作動例である。第二ユニット52の脱窒用のBOD源添加には、原水添加ポンプ52dを使い、原水またはメタノールなどの別の廃液を脱窒槽52bに添加する。
PC10aを表4のように設定し、作動開始する。第一ユニット51の曝気エアポンプ51dは連続運転なので、曝気槽51aは常に曝気される。原水添加ポンプ51cは作動間隔120秒ごとに10秒間作動し、原水が硝化槽51aに添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり40.0cc添加される。返送汚泥ポンプ52eは、120秒ごとに7秒間作動し、第二ユニットの沈殿槽の沈殿汚泥層から汚泥を、平均時間あたり28.0cc第一ユニットの硝化槽51aに送液する。排出ポンプ51bは、原水添加ポンプ51cの作動と同じ120秒ごとに22秒間作動し、平均すれば時間あたり88.0cc送液する。これにより、添加された液量と返送汚泥量は確実に第二ユニットの脱窒槽52bに移液される。フラッシングエアポンプ51fは、90秒ごとに2秒間作動して槽内を撹拌し、180秒ごとに6秒間作動し、硝化槽51a内をフラッシングする。
第二ユニット52の曝気エアポンプ(図示せず)は停止し、槽内は嫌気状態に保たれる。第二ユニット52の原水添加ポンプ52dは作動間隔120秒ごとに2秒間作動し、脱窒用BOD源を脱窒槽52bに添加する。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり8.0cc添加される。
【0034】
返送汚泥ポンプ52eと排出ポンプ52fは、原水添加ポンプ52dの作動と同じ120秒ごとに作動し、返送汚泥ポンプ52eは19秒間作動し、第一ユニットの原水添加量と第二ユニットの原水添加量の合計量の約70%量(返送率70%の場合)を沈殿槽52cから硝化槽51aに送液する。排出ポンプ52fは原水添加ポンプ51c、52dの合計よりやや長く15秒間作動して、添加された液量は確実に系外に排出される。
第二ユニット52のフラッシング兼撹拌は窒素ガスでおこない、フラッシング電磁弁9cは90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、槽内をフラッシングする。
【0035】
【表4】

【0036】
<連続式嫌気好気活性汚泥(AO)テスト装置>
次に、図8を参照して、直流型硝化脱窒処理テスト装置60は、テスト装置ユニット1を2セット直列に配置し(第一ユニット61、第二ユニット62)、両方の制御部10を用いて、付属操作装置4各部の作動シーケンスを目的に即して設定することにより、連続式嫌気好気活性汚泥(AO)テスト機として機能させたものである。
本実施形態では、第一ユニット61の仕切板を外して嫌気槽61aとして用いる。また、第二ユニット62の仕切板62aを容器本体の底部にほとんど密着するように取り付けて、好気槽62b、沈殿槽62cとして用いる。また、第一ユニット61側の処理水排出ポンプ61b出の処理水を、好気槽62bに注入させるように配置する。また第二ユニット62の返送汚泥ポンプ62dは、汚泥の吸い込み口を沈殿槽62cの沈殿汚泥層とし、吐出側を第一ユニット61の嫌気槽61aに変更する。なお、第一ユニット61の返送汚泥ポンプは使用しない。嫌気槽61aと好気槽62bの容量バランスは、嫌気槽61aの処理水排出ポンプ61bの吸い込み口の高さの調節により、通常の設計範囲は調節可能である。
【0037】
表5は、各槽の容量を嫌気槽700cc、好気槽900cc、沈殿槽450ccとしたときの連続式嫌気好気活性汚泥(AO)法の場合の作動例である。第一ユニット61と第二ユニット62のPC10aを表5のように設定し、作動開始する。第一ユニット61の曝気エアポンプ(図示せず)は停止し、槽内を嫌気環境にする。原水添加ポンプ5aは作動間隔120秒ごとに12秒間作動し、原水が嫌気槽61aに添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり48.0cc添加される。返送汚泥ポンプ62dは、120秒ごとに8秒間(返送率67%の場合)作動し、第二ユニット62の沈殿槽62cの沈殿汚泥層から汚泥を、平均時間あたり32.0ccを第一ユニット61の嫌気槽61aに送液する。排出ポンプ61bは、原水添加ポンプ5bの作動と同じ120秒ごとに作動し、26秒間作動して、添加された液量と返送汚泥量は確実に第二ユニットの脱窒槽62bに移液される。第一ユニット61のフラッシング兼撹拌は窒素ガスでおこない、フラッシング電磁弁9cは90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、嫌気槽61a内をフラッシングする。
【0038】
第二ユニット62の曝気エアポンプ6aは連続運転なので、好気槽62aは常に曝気される。原水添加ポンプは使用しない。排出ポンプ62eは16秒間作動して、原水添加ポンプ5bにより添加された第一ユニット61からの液量は確実に系外に排出される。フラッシングエアポンプ9aは、90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、好気槽62b内をフラッシングする。
【0039】
【表5】

【0040】
<硝化液循環式硝化脱窒テスト装置>
次に、図9を参照して、硝化液循環式脱窒処理テスト装置70は、テスト装置ユニット1を2セット直列に配置し(第一ユニット71、第二ユニット72)、両方の制御部(図示せず)による上述の各実施形態と同様の制御により、直流型硝化脱窒処理テスト機として機能させたものである。
本実施形態では、第一ユニット71の仕切板を外して脱窒槽71aとして用いる。第二ユニット72の仕切板72aを容器本体の底部にほとんど密着するように取り付けて区画し、硝化槽72b、沈殿槽72cとして用いる。第一ユニット71側の処理水排出ポンプ71b出の処理水を、硝化槽72bに注入させるように構成する。さらに、第一ユニット71の返送汚泥ポンプ71cは、吸い込みを第二ユニット72の硝化槽72bからとし、吐出側を第一ユニット71の脱窒槽71aに変更して、硝化槽72bから混合液を吸い込み脱窒槽71aに戻すことで硝化液を循環する。また第二ユニット72の返送汚泥ポンプ72dは、汚泥の吸い込み口を第二ユニット72の沈殿槽72cの沈殿汚泥層とし、吐出側を第一ユニット71の脱窒槽71aに変更する。第二ユニット72の原水添加ポンプは使用しない。なお、第一ユニット71の脱窒槽71aと第二ユニット72の硝化槽72bとの容積比は、処理水排出ポンプ71bの吸い込み口の高さを低くすることで変えることができる。
【0041】
表6は、各槽の容量を脱窒槽700cc、硝化槽900cc、沈殿槽450ccとしたときの、硝化液循環式硝化脱窒法の場合の作動例である。
第一ユニット71と第二ユニット72のPC10aを表6のように設定し、作動開始する。第一ユニット71の曝気エアポンプ(図示せず)は停止し、槽内を嫌気環境にする。原水添加ポンプ5bは作動間隔120秒ごとに10秒間作動し、原水が脱窒槽71aに添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり40.0cc添加される。返送汚泥ポンプ71cは作動間隔120秒ごとに40秒間作動し、第二ユニット72の硝化槽72bから硝化液を160cc循環する。第二ユニット72の返送汚泥ポンプ72dは、沈殿槽72cの沈出汚泥を脱窒槽71aに返送する。排出ポンプ71bは、120秒ごとに60秒間作動し、原水添加ポンプ5bにより添加された液量及び返送汚泥ポンプ71cによる硝化液循環量と返送汚泥ポンプ72dによる返送汚泥量を、確実に第二ユニット72の脱窒槽72bに移液する。第一ユニット71のフラッシング兼撹拌は窒素ガスでおこない、フラッシング電磁弁9cは90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、曝気槽内をフラッシングする。
第二ユニット72の曝気エアポンプ6aは連続運転なので、硝化槽72bは常に曝気される。
返送汚泥ポンプ72dと排出ポンプ8aは120秒ごとに作動し、かつ、返送汚泥ポンプ72dは7秒間作動する(返送率70%の場合)。排出ポンプ8aは13秒間作動して、原水添加ポンプ5bにより第一ユニット71に添加された液量は確実に系外に排出される。フラッシングエアポンプ9aは、90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、硝化槽72b内をフラッシングする。
【0042】
【表6】

【0043】
<嫌気・無酸素・好気法テスト装置>
次に、図10を参照して、嫌気・無酸素・好気法テスト装置80は、テスト装置ユニット1を3セット直列に配置し(第一ユニット81、第二ユニット82、第三ユニット83)、付属操作装置各部の作動シーケンスを適宜設定することにより、嫌気・無酸素・好気法テスト機として機能させたものである。第一ユニット81、第二ユニット82の仕切板を取り外し、それぞれ嫌気槽81a、無酸素槽82aとして用いている。
第二ユニット82の汚泥返送ポンプ82bの吸い込み口を第三ユニット83の好気槽からに変更し、第三ユニット83の好気槽83aから活性汚泥混合液を吸い込み、第二ユニット82の無酸素槽82aに戻すことにより硝化液を循環させる。また、第三ユニットの返送汚泥ポンプ83dの吐出先を第一ユニットの嫌気槽81aに変更し、沈殿汚泥を返送する。なお、第一ユニット81の嫌気槽81a、第二ユニット82の無酸素槽82b、第三ユニット83の好気槽83aの容積比は、第一ユニット81および第二ユニット82の処理水排出ポンプ81b、82cの吸い込み口の高さを調節することで変えることができる。
表7は、各槽の容量を嫌気槽650cc、無酸素槽700cc、硝化槽900cc、沈殿槽450ccとしたときの嫌気・無酸素・好気法の場合の作動例である。
各ユニットのPC10aに表7のように設定し、作動開始する。第一ユニット71の曝気エアポンプ(図示せず)は停止し、槽内を嫌気環境にする。原水添加ポンプ5bは作動間隔120秒ごとに16秒間作動し、原水が脱窒槽71aに添加される。間欠供給であるが、平均すれば時間あたり53.6cc添加される。返送汚泥ポンプ(図示せず)は使用しない。排出ポンプ81bは、原水添加ポンプ5bの作動と同じ120秒ごとに70秒間作動し、添加された液量を、確実に第二ユニット82の無酸素槽82aに移液する。第一ユニット81のフラッシング兼撹拌は窒素ガスでおこない、フラッシング電磁弁81cは180秒ごとに3秒間作動して槽内を撹拌し、900秒ごとに15秒間作動し、槽内をフラッシングする。
【0044】
第二ユニット82の曝気エアポンプ(図示せず)は停止し、槽内を無酸素環境にする。原水添加ポンプ(図示せず)は使用しない。返送汚泥ポンプ82bは、作動間隔120秒ごとに48秒間作動し、第三ユニット83から硝化液を第二ユニット82に循環する。排出ポンプ82cは、120秒ごとに70秒間作動し、第一ユニットに添加された液量及び返送汚泥ポンプ82bによる硝化液循環量を確実に第三ユニット83の好気槽83aに移液する。第二ユニット82のフラッシング兼撹拌は窒素ガスでおこない、フラッシング電磁弁82dは90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、槽内をフラッシングする。
第三ユニット83の曝気エアポンプは連続運転なので、好気槽83aは常に曝気される。第三ユニットの原水添加ポンプ(図示せず)は使用しない。
返送汚泥ポンプ83dと排出ポンプ83cは、120秒ごとに作動し、かつ、返送汚泥ポンプ83dは7秒間作動する(返送率70%の場合)。排出ポンプ83cは20秒間作動して、原水添加ポンプ5bにより第一ユニット81に添加された液量は確実に系外に排出される。フラッシングエアポンプ9aは、90秒ごとに2秒間(但し、3回に1回(180秒ごと)は6秒間)作動して曝気槽内を撹拌し、好気槽83a内をフラッシングする。
【0045】
【表7】

【0046】
<比較テスト装置>
次に図11を参照して、テスト装置ユニット1を4セット用いることにより、上記各処理の比較テストを効果的に可能とする実施形態について説明する。
本実施形態に係る比較テスト装置90は、ユニット装置91乃至94と、各ユニットの付属操作装置各部の作動シーケンスを制御する統合制御部95と、を備えている。そして、ユニット装置91乃至93の3ユニットによる嫌気・無酸素・好気法(A2O法)処理テスト部90aと、ユニット装置94による比較対照用のテスト部90bと、を組み合わせた比較テスト装置として構築したものである。なお、本実施形態では、曝気用の窒素ガスを共通の窒素ボンベ96から供給する形態としている。
4ユニットを装置単位とすることにより、上記態様のみならず、2ユニットで構成される直流型硝化脱窒装置、連続式嫌気好気活性汚泥(AO)装置、硝化液循環式硝化脱窒装置の各処理テストを2セット構成することもできる。さらに、ユニットごとに独立の比較テスト装置として構成することも可能である。
このように、ユニット数を4とすることにより、同種又は異種の処理方式の比較テストを効果的に行うことができ、本発明の目的である比較テストとして最も効率的に運用させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・・・活性汚泥処理テスト装置ユニット
2・・・・・容器本体
2a・・・・仕切板
2b・・・・第一槽
2c・・・・第二槽
2d・・・・斜底部
2e、2f・・・・仕切板と斜底部の連通部
4・・・・・付属操作装置
5・・・・・原水添加部
6・・・・・曝気部
7・・・・・汚泥返送部
8・・・・・処理水排出部
9・・・・・フラッシング兼撹拌部
10・・・・制御部
20・・・・連続活性汚泥処理テスト装置
30・・・・回分式活性汚泥処理テスト装置
40・・・・単槽式嫌気好気活性汚泥処理テスト装置
50・・・・直流型硝化脱窒処理テスト装置
60・・・・連続式嫌気好気活性汚泥(AO)テスト装置
70・・・・硝化液循環式脱窒処理テスト装置
80・・・・嫌気・無酸素・好気法(A2O)テスト装置
90・・・・比較テスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥による廃水処理における性能測定のための活性汚泥処理テスト装置ユニットであって、
底部を傾斜面に構成した筒形状の試験容器本体と、
試験容器本体内部に着脱可能であり、取り付けた状態で底部傾斜面の下側空間の第一槽と上側空間の第二槽とに区画し、かつ、第一槽と第二槽とを連通可能に構成した仕切板と、
曝気部と、原水添加部と、汚泥返送部と、処理水排出部と、フラッシング兼撹拌部と、を含む付属操作装置と、
付属操作装置の作動を任意に制御可能とする制御部と、
を備えて成ることを特徴とする活性汚泥処理テスト装置ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の活性汚泥処理テスト装置ユニット(以下、装置ユニットという)を用いた活性汚泥処理テスト装置であって、
前記仕切板を取り付けた状態で、前記第一槽を曝気槽とし、前記第二槽を沈殿槽として用いることにより、連続活性汚泥装置として機能可能とし、
前記仕切板を取り外した状態で、曝気槽及び沈殿槽として用いることにより、回分活性汚泥装置として機能可能とし、
前記仕切板を取り付けた状態で、前記第一槽を好気槽又は嫌気槽とし、前記第二槽を沈殿槽として用いることにより、単槽式嫌気好気活性汚泥装置として機能可能とし、
たことを特徴とする前記装置ユニットを用いた活性汚泥処理テスト装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置ユニットを2台連結して用いた活性汚泥処理テスト装置であって、
第一の装置ユニットの仕切板を取り外し、処理水排出部の吐出先を第二の装置ユニットの試験容器本体内部に供給するように構成し、
第二の装置ユニットの返送汚泥部の吐出先を第一の装置ユニットに供給するように構成し、かつ、
第一の装置ユニットを硝化槽として用い、第二の装置ユニットの曝気部を停止状態にして前記第一槽を脱窒槽として用いることにより、直流型硝化脱窒装置として機能可能に構成し、
第一の装置ユニットの曝気部を停止状態にして前記第一槽を脱窒槽として用い、第二の装置ユニットの前記第一槽を曝気槽として用い、前記第二槽を沈殿槽として用いることにより、連続式嫌気好気活性汚泥(AO)装置として機能可能に構成し、
第一の装置ユニットの曝気部を停止状態にして前記第一槽を脱窒槽として用い、汚泥返送部の吸引口を第二の装置ユニットの曝気槽から吸引し吐出先を第一の装置ユニットに変更し、第二の装置ユニットの前記第一槽及び前記第二槽をそれぞれ曝気槽及び沈殿槽として用いることにより、硝化液循環式硝化脱窒装置として機能可能に構成し、
たことを特徴とする前記装置ユニットを用いた活性汚泥処理テスト装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置ユニットを3台連結した活性汚泥処理テスト装置であって、
第一の装置ユニットと第二の装置ユニットの仕切板を外し、かつ、それぞれの曝気部を停止状態とし、第一の装置ユニットの処理水排出部の吐出先を第二の装置ユニットに、第二の装置ユニットの処理水排出部の吐出先を第三の装置ユニットの好気槽に、第三の装置ユニットの返送汚泥部の吐出先を第一の装置ユニットに、それぞれ変更し、
さらに、第二の装置ユニットの汚泥返送部の吸引口を第三の装置ユニットの好気槽から吸引に変更して、第一の装置ユニットを嫌気槽、第二の装置ユニットを無酸素槽、第三の装置ユニットを好気槽及び沈殿槽として機能させることにより、嫌気・無酸素・好気法(A2O法)の処理テストの操作を可能に構成したことを特徴とする前記装置ユニットを用いた活性汚泥処理テスト装置。
【請求項5】
前記原水添加部、前記汚泥返送部、前記処理水排出部は、それぞれ吐出用ポンプを備え、
各吐出用ポンプの吐出量の制御を、一定間隔で一定時間作動させる間欠作動方式とし、かつ、作動間隔及び作動時間を任意に設定可能に構成したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の活性汚泥処理テスト装置。
【請求項6】
前記フラッシング兼撹拌部は、曝気槽として機能させる場合には空気により、脱窒槽、嫌気槽又は無酸素槽として機能させる場合には窒素ガスにより、それぞれフラッシング又は撹拌を行い、
フラッシング又は撹拌のタイミングを間欠作動方式とし、かつ、作動間隔及び作動時間を任意に設定可能に構成したことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の活性汚泥処理テスト装置。
【請求項7】
前記装置ユニットを4台配置し、請求項2乃至4に記載の各処理テストを適宜組み合わせた比較テストを可能に構成したことを特徴とする活性汚泥処理テスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−125755(P2012−125755A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34255(P2011−34255)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(591067185)株式会社 小川環境研究所 (10)
【Fターム(参考)】