説明

活性物質として白金錯体を含有する医薬組成物およびその製造方法

本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤を有する混合物中、活性物質として式(I)の白金錯体(式中A、A’、B、B’、X、およびX’は特定の意味を有する)を含有する医薬組成物であって、水で湿らせた式(I)の四価白金の白金錯体、少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物の湿式造粒により調製される、粒径が0.5mmより小さい顆粒でできており、随意にカプセルまたは袋に含まれているか、または随意に圧縮されて錠剤の形態になっており、顆粒、カプセル、または錠剤の表面は、腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質および/または活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層で随意にコーティングすることを特徴とする医薬組成物に関する。本発明はまた、この医薬組成物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍疾患を治療するのに使用可能であり活性物質として四価白金錯体を含有する固体医薬組成物に関する。この医薬組成物は、活性物質の高い安定性、ならびにその腸溶性および/またはコントロールされた放出を保証する。本発明はまた、上記の医薬組成物の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
白金錯体が多くの腫瘍疾患の治療に用いられる広範な抗腫瘍作用を有することは一般に知られている。二価白金錯体、特にシスプラチン、カルボプラチン、またはオキサリプラチンが、治療的応用にこれまで用いられてきた。これらの二価白金錯体は、胃腸管で不安定であり、および/または吸収が困難である。この事実により、経口剤形(患者にとってより適している)での二価白金錯体の使用が不可能になっている。その後、四価白金錯体によっては上記の欠点が無く、かつ経口で投与されたとしてもその抗腫瘍効能を保つことが見いだされた。これらの四価白金錯体は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に、経口使用される新規化合物として記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、四価白金錯体は、概して水にほぼ不溶性であり(約0.03g/100g)、約0.2g/mlの低いかさ密度、約0.4g/mlの低いタップ密度、および非常に高い静電荷を有する。これらの物性は、固体医薬組成物の調製において顕著な問題を引き起こす。また、四価白金錯体は、金属または多くの一般に用いられる薬学的賦形剤と接触した場合に、化学的に不安定である。この事実により、医薬組成物中の活性物質の安定性は低下してしまう。上記問題は、特許文献3で部分的に首尾よく解決されており、当該文献には、四価白金錯体とシクロデキストリンとの溶解性包接錯体の形でのその固体医薬組成物の調製、およびそれに続くその凍結乾燥が記載されている。しかしながら、この調製はかなり複雑で費用のかかるものである。また、シクロデキストリンの容積は、上記包接錯体中に存在する白金錯体の含量を顕著に減少させる。
【0004】
良好な安定性および十分な活性物質含量を有する四価白金錯体の固体医薬組成物の調製はいまだ首尾よく解決されていないことは、関連する先行技術から明らかである。
【特許文献1】RP0 0328274号
【特許文献2】欧州特許第0423707号
【特許文献3】国際特許出願PCT/CZ99/00015
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物中、活性物質として式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、
AおよびA’は、互いに独立して、NH基または1〜18個の炭素原子を含有するアミンもしくはジアミン基であり、
BおよびB’は、互いに独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはCOORもしくはCOOR’基(式中、RおよびR’は、互いに独立して、水素原子または1〜10個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルキルアミンもしくはアルコキシル基、またはこれらの官能性誘導体である)であり、
XおよびX’は、互いに独立して、ハロゲン原子または1〜20個の炭素原子を含有するモノカルボン酸基であるか、
XおよびX’は共に2〜20個の炭素原子を含有するジカルボン酸基を形成する)
の白金錯体を含有する医薬組成物であって、水で湿らせた式(I)の四価白金白金錯体、少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物の湿式造粒により調製され、粒径が0.5mmより小さい顆粒で形成されていることを特徴とする医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明による医薬組成物は、式(I)の白金錯体、常に顆粒の総重量に対して、少なくとも5重量%に等しい量での少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも2重量%に等しい量での少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物の湿式造粒により調製された顆粒で形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明による医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容可能な放出剤および/または少なくとも1種の薬学的に許容可能なスリップ物質を含有することが好ましい。
【0010】
本発明による医薬組成物は、活性物質として、(OC−6−43)−ビス(アセタト)−(1−アダマンチルアミン)−アミン−ジクロロ白金錯体を含有することが好ましい。
【0011】
湿式造粒を意図した混合物は、中性糖類として、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、グルコースおよび/またはショ糖を含有することが好ましい。
【0012】
湿式造粒を意図した混合物は、天然および/または変性多糖類として、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、および/またはジャガイモデンプンを含有することが好ましい。
【0013】
本発明による医薬組成物は、カプセルまたは袋中に含まれるか、または錠剤形態にプレスされることが好ましい。
【0014】
顆粒、カプセルまたは錠剤の表面は、腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、および/または活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層でコーティングされることが好ましい。
【0015】
顆粒または錠剤の表面は、少なくとも1種の中性糖類、例えばショ糖から成る不活性封止層により、および/または少なくとも1種の天然および/または変性多糖類、例えば天然または変性トウモロコシデンプン、コムギデンプン、またはジャガイモデンプン、またはゼラチン、またはアラビアゴムにより、腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層および/または活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層と分離されることが好ましく、不活性封止層の重量は顆粒または錠剤の総重量に対して15重量%を超えない。
【0016】
活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層は、エチルセルロースおよび/またはメタクリル酸および/またはその化合物、有利にはメタクリル酸の重合体および/または共重合体で形成されていることが好ましく、層の重量は顆粒、カプセル、または錠剤の重量に対して40重量%以下である。
【0017】
腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層は、酢酸セルロース、および/またはアセチルフタル酸セルロース、および/またはアセトコハク酸セルロース、および/またはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および/またはコハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および/またはポリビニルアルコールフタレート、および/またはサリチル酸ベンゾフェニル、および/またはマレイン酸とスチレンの共重合体、および/またはセラック、および/またはメタクリル酸、および/またはその化合物、好ましくはメタクリル酸の重合体および/または共重合体で形成され、層の重量は顆粒、カプセル、または錠剤の重量に対して15重量%以下である。
【0018】
本発明はまた、水で湿らせた式(I)の白金錯体、少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物が、粒径が0.5mmより小さい粒子から成る顆粒を得るように湿潤条件下造粒されることを特徴とする医薬組成物の製造方法に関する。
【0019】
湿式造粒は、粒子の90%が2.0mmより小さい粒径であり、かつ粒子の20%以下が0.09mmより小さい粒径であるような粒径分布を有する顆粒を得るように行われることが好ましい。
【0020】
湿式造粒は、造粒混合物と接触する表面が混合物に対して不活性である装置で行われることが好ましい。
【0021】
顆粒は、カプセルまたは袋に充填されるか、または少なくとも1種の放出剤および/または少なくとも1種のスリップ剤が顆粒に加えられた後に圧縮されて錠剤になることが有利である。
【0022】
カプセルおよび袋への充填および錠剤作成は、カプセルまたは袋に充填される混合物、あるいは錠剤作成が意図された混合物と接触する表面が混合物に対して不活性である装置で行われることが好ましい。
【0023】
顆粒表面、袋に充填される顆粒の表面、錠剤表面、およびカプセルに充填される顆粒の表面、および/またはカプセルの表面は、腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、および/または活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層でコーティングされることが好ましい。
【0024】
腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、および/または活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層でコーティングされる前に、顆粒表面、袋に充填される顆粒の表面、カプセルに充填される顆粒の表面、および錠剤表面に、少なくとも1種の中性糖類、例えばショ糖、および/または少なくとも1種の天然および/または変性多糖類、例えば天然または変性トウモロコシデンプン、コムギデンプン、またはジャガイモデンプン、またはゼラチン、またはアラビアゴムで形成されている不活性封止層が設けられることが好ましい。
【0025】
不活性封止層、腸でのみ活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、または活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層での顆粒および錠剤のコーティングは、顆粒または錠剤と接触する表面が予め不活性封止層を形成する材料でコーティングされている装置で行われることが好ましい。
【0026】
式(I)の四価白金の一例は、特許文献3に記載されている式(II)
【0027】
【化2】

【0028】
の(OC−6−43)−ビス(アセタト)−(1−アダマンチルアミン)−アミン−ジクロロ白金錯体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
式(I)の白金錯体は、充填剤(例えば、リン酸塩、硫酸塩、または炭酸塩)、標準スリップ剤、結合剤、および膜形成物質(例えば、アクリル酸のエステルおよびその共重合体、エーテル、エステル、および共重合体シリーズのセルロース誘導体、またはビニルエステル)などの多くの大量生産された賦形剤と接触した場合に、不安定であることが、本発明の枠組み内で見いだされた。充填剤として用いられる中性糖類、結合剤として用いられる天然および/または変性多糖類、または場合によりスリップ剤として用いられるステアリン酸マグネシウム、ならびに顆粒外放出剤として用いられる天然および/または変性多糖類は、式(I)の白金錯体と適合性があり、かつ、それらの存在下で上記錯体が安定である、構成賦形剤となることが見いだされた。
【0030】
次いで、得られる顆粒、錠剤、またはカプセルは、活性物質の腸溶性および/またはコントロールされた放出を保証する膜形成物質の少なくとも1層でコーティングされることが有利である。活性物質と多くの一般に用いられる膜形成物質との不適合性のため、この膜形成物質でコーティングされる前の顆粒および錠剤は、活性物質をその分解から保護し、かつ膜形成物質が顆粒または錠剤核中へ移動することを回避する不活性封止層から成るコーティングで保護されることが有利である。中性糖類(例えば、ショ糖)、および/または天然および/または変性多糖類(天然または変性トウモロコシデンプン、小麦デンプン、もしくはジャガイモデンプン、またはゼラチン、またはアラビアゴム、あるいは場合により水性もしくは水性-アルコール性ハイドロゲルの形態である様々な比でのそれらの混合物が、不活性封止層用材料として用いられ得る。この封止層により、腸溶性コーティングおよび/または活性物質のコントロールされた放出を可能にするコーティングから活性物質を保護すること可能になる。不活性封止層の乾燥重量は、顆粒または錠剤の総重量に対して、15重量%を超えず、好ましくは、4〜12重量%が有利である。ゼラチンカプセルは、そのような保護を必要としない。なぜならカプセルの材料自体が、膜形成物質の悪影響から活性物質を有効に保護するからである。
【0031】
胃内部のかなり酸性である環境から活性物質を保護するために、および/または活性物質の吸収点を胃腸管のより深くへ移動させることでTmaxの値を増加させるために、不活性封止層でコーティングされた顆粒および不活性封止層でコーティングされた錠剤またはカプセルは、腸溶性コーティングの組成に従って、小腸でのみ、すなわち4.5〜8の範囲のpH値を有する環境でのみ、活性物質の放出を可能にする、耐酸性、すなわち腸溶性コーティングでコーティングされる。この方法を用いて調製された医薬組成物は、欧州薬局方および/または米国薬局方による改正された腸溶性剤形の試験の必要条件に従う。酢酸セルロース(CA)、アセチルフタル酸セルロース(CPA)、アセトコハク酸セルロース(CAS)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(MPMCP)、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCS)、ポリビニルアルコールフタレート(PVAP)、サリチル酸ベンゾフェニル(BPS)、マレイン酸とスチレンの共重合体、セラック、またはメタクリル酸共重合体(例えば、オイドラギット(Eudragid)L、オイドラギット−55、およびオイドラギットS、すなわち、それらの可塑化水性分散液(オイドラギットL30DまたはL−5530DおよびオイドラギットS30D)の形態で、または有機もしくは水性−アルコール性溶液(オイドラギットL12.5およびオイドラギットS12.5)の形態での両方)、あるいは場合によっては様々な比でのそれらの混合物が、例えば、膜形成物質として用いられ得るが、腸溶性層の乾燥重量は、顆粒、カプセル、または錠剤の重量に対して15重量%を超えず、8〜10重量%が好ましい。不活性封止層でコーティングされた顆粒または不活性封止層でコーティングされた錠剤はまた、すでに腸溶性塗布で処理されたカプセル中に直接充填され得る。
【0032】
医薬組成物を1回使用した約1時間後に活性物質の短時間高血漿濃度が生じ、続いて速やかに減少することが、イヌおよびブタで行われた実験の間に判明した。医薬組成物の個々の使用間隔を広げることを可能にする活性物質のより安定した血漿中レベルを達成するために、また即時放出を伴う医薬組成物の使用後に生じる活性物質の比較的高濃度かつ短時間で作動する血漿中レベルから生じる副作用を減少させるために、不活性封止層で保護された顆粒または不活性封止層で保護された錠剤またはカプセルは、さらに、活性物質のコントロールされた放出を可能にする層でコーティングされ得る。上記のように処理された医薬組成物からの活性物質の放出は、USPに準拠したパドル法に定められた以下の条件下での溶解試験により定められる時間あたりの活性物質放出量に従う2つの制限、AおよびBに従う:溶解媒体:0.1MのHCl;溶解媒体容積:900ml;パドル回転数:100rpm;溶解媒体温度:37℃。所定の場合での「A」制限は、30分以内で5%〜25%、60分以内で15%〜65%、120分以内で40%〜85%、そして180分以内で少なくとも85%である。一方「B」制限は、60分以内で5%〜25%、180分以内で15%〜65%、360分以内で40%〜85%、そして720分以内で少なくとも85%である。エチルセルロース(EC)またはその水性分散液(SurreleaseまたはAquacoat)あるいはアクリル酸共重合体(例えば、オイドラギットNEまたはオイドラギットRLまたはオイドラギットRS、それらの可塑化水性分散液(オイドラギットNE30D、オイドラギットRD30D、オイドラギットRL30D)の形態、およびそれらの有機溶液(オイドラギットRS12.5およびオイドラギットRL12.5)の形態の両方で)、あるいは場合によっては様々な比でのそれらの混合物が、例えば、活性物質のコントロールされた放出を可能にする層の場合に膜形成物質として用いられ得る。活性物質のコントロールされた放出を可能にする層の乾燥重量は、顆粒、カプセル、または錠剤の総重量に対して40重量%を超えず、8〜30重量%が好ましい。
【0033】
活性物質のコントロールされた放出のための層でコーティングされた顆粒または活性物質のコントロールされた放出のための層でコーティングされた錠剤はまた、すでに腸溶性を与えるために処理されたカプセル中に直接充填され得るか、または腸溶性層でさらにコーティングすることができる。驚くべきことに、固体医薬組成物の処理および製造を目的とした製薬技術装置が通常製造される金属の表面で、不利な化学反応が生じることが、本発明による医薬組成物の湿潤顆粒の調製中に判明した。この事実は、金型での必要な表面処理なしに、標準的な製造技法、例えば、顆粒製造または錠剤作成中の成形できないことを意味する。したがって、本発明による医薬組成物の湿潤顆粒は、顆粒化混合物と接触する装置の表面はこの混合物に対して不活性である装置内で処理されることが好ましい。ガラス、磁器、テフロン(登録商標)、またはホウロウは、それら自身が適した不活性材料である。
【0034】
顆粒または錠剤が不活性封止層でコーティングされていない場合、あるいは顆粒または錠剤が上述した層でコーティングされており、顆粒または錠剤を腸溶性および/またはコントロールされた放出を可能にする層でコーティングする手順の間に、顆粒または錠剤中の活性物質を活性物質の腸溶性および/またはコントロールされた放出を可能にする層の材料の影響から保護することを意図した不活性封止層が損傷する場合、金属表面を有する一般的なコーティング装置(例えば、ドラム型コーティング装置、上部供給式流動ドライヤー(fluidization driers with upper feed)、ウルスター(wusters)、またはロートプロセッサー(rotoprocessors))が用いられるとしたら、活性物質は金属と接触することになる。しかしながら、処理される医薬組成物と接触する装置表面が、同時に不活性封止層の材料を形成する不活性材料の層でコーティングされるようにすれば回避され得る。不活性層、腸溶性層および/またはコントロールされた放出を目的とした層でのコーティングが同一装置内で行われる場合、上記装置の表面は、不活性封止層がつけられる前にすでにコーティングしてもよい。
【0035】
本発明による医薬組成物のベースを形成する顆粒の調製に用いられる方法は、湿式造粒であり、この間、式(I)の白金錯体と少なくとも1種の天然糖類および少なくとも1種の天然および/または変性多糖類とを一緒にした混合物を水で湿らし、適した速度で適した時間、適したミキサーで混合する。次いで、得られた顆粒は、真空下または大気圧下で乾燥される。顆粒を溶解する速度が個々の顆粒の粒径と間接的に比例するため、粒子の90%が2.0mmより小さくかつ粒子の20%以下が0.09mmより小さいような粒径分布となるよう、顆粒を破砕することが好ましいことが判明した。このような破砕は、例えば、ボールミル内での粉砕により、または適したデバイスでの手動もしくは自動粉砕により行われる。
【0036】
顆粒をカプセルに充填することを意図した装置、または顆粒をプレスして錠剤にすることを意図した錠剤作成プレス機は、すでに上記に記載したとおり、接触表面において上記の顆粒に不活性であるはずである。
【0037】
本発明による医薬組成物は、40℃の温度および75%の相対湿度で良好な安定性を有することを特徴とする。これは、上記の時間が経過した後、式(II)の白金錯体の開始重量に対して、2重量%を超える不純物の相対的増加が6か月間報告されなかったこと、および個々の未知の不純物がどれも0.1重量%を超えないことにより裏付けられる。式[PtCl(ac)(am)(NH)]を有する(アセタト)−(1−アダマンチルアミン)−アミン−トリクロロ白金錯体である式(II)の白金錯体の既知の不純物の増加は見られない。
【0038】
本発明を、本発明の実際の実施形態である実施例でより詳細に説明するが、記載される実施例は単なる例示であり、特許請求の範囲および明細書で明白に定義される本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0039】
(式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の組成および製造方法)
実施例における重量は、重量部で与えられる。
【0040】
【表1】

【0041】
手順
・高速ミキサーで番号1〜3の化合物を混合する。
・72〜84重量部の水を加える。
・高速ミキサーで2分間混合物を混合する。
・2%〜4%の水分含有量になるまで、顆粒を70℃の温度で乾燥させる。
・乾燥顆粒を、粒子の100%が粒径0.5mmより小さくなるまで、例えばジャーミルで破砕する。
・番号4〜5の化合物を加えてキュービックミキサーで15分間混合する。
【実施例2】
【0042】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、000の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填する。充填した顆粒の重量は、815.85mgであり、これは350mgの活性化合物に相当する。
【実施例3】
【0043】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、00または000の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、582.75mgであり、これは250mgの活性化合物に相当する。
【実施例4】
【0044】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、00または0の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、466.20mgであり、これは200mgの活性化合物に相当する。
【実施例5】
【0045】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、0または1の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、349.65mgであり、これは150mgの活性化合物に相当する。
【実施例6】
【0046】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、1または2の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、233.10mgであり、これは100mgの活性化合物に相当する。
【実施例7】
【0047】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、2または3の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、174.825mgであり、これは75mgの活性化合物に相当する。
【実施例8】
【0048】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例1に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.6g/mlおよび0.5g/ml〜0.7g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、3または4の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、116.55mgであり、これは50mgの活性化合物に相当する。
【実施例9】
【0049】
(式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の組成および製造方法)
実施例における重量は、重量部で与えられる。
【0050】
【表2】

【0051】
手順
・高速ミキサーで番号1〜3の化合物を混合する。
・80〜120重量部の水を加える。
・高速ミキサーで2分間混合物を混合する。
・2%〜4%の水分含有量になるまで、顆粒を70℃の温度で乾燥させる。
・乾燥顆粒を、粒子の90%が粒径2.0mmより小さく、かつ粒子の20%以下が0.09mmより小さくなるまで、例えばジャーミルで破砕する。
・番号4の化合物を加えてキュービックミキサーで15分間混合する。
【実施例10】
【0052】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、000または00の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、815.85mgであり、これは350mgの活性化合物に相当する。
【実施例11】
【0053】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、000〜0の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、582.75mgであり、これは250mgの活性化合物に相当する。
【実施例12】
【0054】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、00〜0の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、466.20mgであり、これは200mgの活性化合物に相当する。
【実施例13】
【0055】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、0〜2の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、349.65mgであり、これは150mgの活性化合物に相当する。
【実施例14】
【0056】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、1〜3の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、233.10mgであり、これは100mgの活性化合物に相当する。
【実施例15】
【0057】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、2〜4の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、174.825mgであり、これは75mgの活性化合物に相当する。
【実施例16】
【0058】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の充填方法)
実施例9に従って得られた、それぞれ0.4g/ml〜0.7g/mlおよび0.5g/ml〜0.8g/mlの範囲のかさ密度およびタップ密度を有する顆粒を、手作業でまたは自動で、3〜5の大きさの硬質、通常、または腸溶性のゼラチンまたはHPMCカプセル中に充填するか、またはそれをプレスして錠剤にする。充填した顆粒の重量は、116.55mgであり、これは50mgの活性化合物に相当する。
【実施例17】
【0059】
(実施例9に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒に、流動床で封止層をつける方法)
装置:ウルスター
顆粒投入量:0.50kg
吸気温度:50℃〜70℃
排気温度:30℃〜50℃
注入速度:6〜25g/分
ノズル直径:0.8mm
コーティング層の重量:4〜20重量%
コーティング層の要求重量に相当する標的顆粒重量に達するまで注入を行う。
64重量%のショ糖溶液、または冷条件下で溶解した変性トウモロコシデンプンから、もしくは70℃の温度で溶解した天然トウモロコシデンプンから調製した8重量%のデンプンハイドロゲルを用いる。あるいは、4重量%のアラビアゴムと5重量%のゼラチンAまたはBとの混合物の水性ハイドロゲルを用いる。
上記のような調製に、標準ドラム型コーティング装置もまた用いられ得る。
【実施例18】
【0060】
(実施例2〜16に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒に、流動床で封止層をつける方法)
装置:ウルスター
核投入量:0.50kg
吸気温度:50℃〜70℃
排気温度:40℃〜60℃
注入速度:6〜18g/分
ノズル直径:0.8mm
コーティング層の重量:4〜8重量%
コーティング層の要求重量に相当する標的顆粒重量に達するまで注入を行う。
64重量%のショ糖溶液、または冷条件下で溶解した変性トウモロコシデンプンから、もしくは70℃の温度で溶解した天然トウモロコシデンプンから調製した8重量%のデンプンハイドロゲルを用いる。あるいは、4重量%のアラビアゴムと5重量%のゼラチンAまたはBとの混合物の水性ハイドロゲルを用いる。
上記のような調製に、標準ドラム型コーティング装置もまた用いられ得る。
【実施例19】
【0061】
(実施例17に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒に、流動床で腸溶性層をつける方法)
装置:ウルスター
顆粒投入量:0.50kg
吸気温度:50℃〜70℃
排気温度:24℃〜50℃
注入速度:6〜25g/分
ノズル直径:0.8mm
コーティング層の重量:8〜12重量%
コーティング層の要求重量に相当する標的顆粒重量に達するまで注入を行う。
20重量%のオイドラギットL水性分散液または10重量%のHPMCP水性分散液を用いる。
上記のような調製に、標準ドラム型コーティング装置もまた用いられ得る。
【実施例20】
【0062】
(実施例18に従って(錠剤)、および実施例2〜16に従って(カプセル)調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の錠剤およびカプセルに、流動床で腸溶性層をつける方法)
装置:ウルスター
核投入量:0.50kg
吸気温度:50℃〜70℃
排気温度:25℃〜60℃
注入速度:6〜18g/分
ノズル直径:0.8mm
コーティング層の重量:8〜10重量%
コーティング層の要求重量に相当する標的顆粒重量に達するまで注入を行う。
20重量%のオイドラギットL水性分散液または10重量%のHPMCP水性分散液を用いる。
上記のような調製に、標準ドラム型コーティング装置もまた用いられ得る。
【実施例21】
【0063】
(実施例17に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒に、流動床でコントロールされた放出を意図した層をつける方法)
装置:ウルスター
顆粒投入量:0.50kg
吸気温度:50℃〜70℃
排気温度:24℃〜50℃
注入速度:6〜25g/分
ノズル直径:0.8mm
コーティング層の重量:10〜30重量%
コーティング層の要求重量に相当する標的顆粒重量に達するまで注入を行う。
塗布用に、15重量%のエチルセルロース水性分散液(Surrelease)を用いる。あるいは、20%(重量/重量)の可塑化オイドラギットRSまたはRP水性分散液またはそれらの適した比の混合物が用いられ得る。
上記のような調製に、標準ドラム型コーティング装置もまた用いられ得る。
【実施例22】
【0064】
(実施例18に従って(錠剤)、および実施例2〜16に従って(カプセル)調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の錠剤およびカプセルに、流動床でコントロールされた放出を意図した層をつける方法)
装置:ウルスター
核投入量:0.50kg
吸気温度:50℃〜70℃
排気温度:24℃〜50℃
注入速度:4〜18g/分
ノズル直径:0.8mm
コーティング層の重量:8〜20重量%
コーティング層の要求重量に相当する標的顆粒重量に達するまで注入を行う。
塗布用に、15重量%のエチルセルロース水性分散液(Surrelease)を用いる。あるいは、20%(重量/重量)の可塑化オイドラギットRSまたはRP水性分散液またはそれらの適した比の混合物が用いられ得る。
上記のような調製に、標準ドラム型コーティング装置もまた用いられ得る。
【実施例23】
【0065】
実施例21および22に従って調製された顆粒および錠剤は、腸での放出用に処理された硬質ゼラチンカプセル中に充填され得る。
【実施例24】
【0066】
実施例21に従って調製されたコントロールされた放出を意図した層でコーティングされた顆粒は、さらに、実施例19に従って腸溶性放出を意図した層でコーティングされ得る。
【実施例25】
【0067】
実施例22に従って調製されたコントロールされた放出を意図した層でコーティングされた錠剤は、さらに、実施例20に従って腸溶性放出を意図した層でコーティングされ得る。
【実施例26】
【0068】
(実施例1に従って調製した式(II)の白金錯体の医薬組成物の顆粒の安定性試験)
実施例4および実施例8に従う手順を用いて調製されたカプセルを、HDPE容器中に充填し、これを温度40℃および相対湿度75%で6か月間貯蔵して、安定性試験に用いた。最初の式(II)の白金錯体に対して、未知の不純物の合計は上記の期間中2重量%を超えず、かつ個々の未知の不純物で0.1重量%を超えるものはなかった。
【実施例27】
【0069】
(実施例4および実施例8に従って調製された硬質ゼラチンカプセルの形態を有する医薬組成物からの活性物質の放出の時間経過)
USP、パドル法に準拠した溶解試験の条件
媒体:0.1MのHCI、900ml
速度:100rpm
媒体温度:37℃
放出された活性物質の量は重量%で与えられる。
【0070】
【表3】

【実施例28】
【0071】
(医薬品のコントロールされた放出を意図して実施例21および22に従って調製された顆粒、硬質ゼラチンカプセル、および錠剤の形態を有する医薬組成物からの活性物質の放出についての、時間制限AおよびB)
USP、パドル法に準拠した溶解試験の条件
媒体:0.1MのHCI、900ml
速度:100rpm
媒体温度:37℃
【0072】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の薬学的に許容可能な賦形剤との混合物中、活性物質として式(I):
【化1】

(式中、
AおよびA’は、互いに独立して、NH基または1〜18個の炭素原子を含有するアミンもしくはジアミン基であり、
BおよびB’は、互いに独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはCOORもしくはCOOR’基(式中、RおよびR’は、互いに独立して、水素原子または1〜10個の炭素原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルキルアミンもしくはアルコキシル基、またはこれらの官能性誘導体である)であり、
XおよびX’は、互いに独立して、ハロゲン原子または1〜20個の炭素原子を含有するモノカルボン酸基であるか、
XおよびX’は共に2〜20個の炭素原子を含有するジカルボン酸基を形成する)
の白金錯体を含有する医薬組成物であって、水で湿らせた式(I)の四価白金白金錯体、少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物の湿式造粒により調製され、粒径が0.5mmより小さい顆粒で形成されていることを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
式(I)の白金錯体、常に前記顆粒の総重量に対して、少なくとも5重量%に等しい量での少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも2重量%に等しい量での少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物の湿式造粒により調製された顆粒で形成されている請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の薬学的に許容可能な放出剤および/または少なくとも1種の薬学的に許容可能なスリップ物質を含有する請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記活性物質として、(OC−6−43)−ビス(アセタト)−(1−アダマンチルアミン)−アミン−ジクロロ白金錯体を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
湿式造粒を意図した前記混合物が、中性糖類として、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、グルコースおよび/またはショ糖を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
湿式造粒を意図した前記混合物が、天然および/または変性多糖類として、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、および/またはジャガイモデンプンを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
カプセルまたは袋中に含まれるか、または錠剤形態にプレスされる請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記顆粒、前記カプセルまたは前記錠剤の表面が、腸でのみ前記活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、および/または前記活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層でコーティングされる請求項1〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記顆粒または前記錠剤の表面が、少なくとも1種の中性糖類、例えばショ糖から成る不活性封止層により、および/または少なくとも1種の天然および/または変性多糖類、例えば天然または変性トウモロコシデンプン、コムギデンプン、またはジャガイモデンプン、またはゼラチン、またはアラビアゴムにより、腸でのみ前記活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層および/または前記活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層と分離され、前記不活性封止層の重量が、顆粒または錠剤の総重量に対して、15重量%を超えない請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層が、エチルセルロースおよび/またはメタクリル酸および/またはその化合物、有利にはメタクリル酸の重合体および/または共重合体で形成され、前記層の重量は前記顆粒、前記カプセル、または前記錠剤の重量に対して40重量%以下である請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
腸でのみ前記活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層が、酢酸セルロース、および/またはアセチルフタル酸セルロース、および/またはアセトコハク酸セルロース、および/またはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および/またはコハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および/またはポリビニルアルコールフタレート、および/またはサリチル酸ベンゾフェニル、および/またはマレイン酸とスチレンの共重合体、および/またはセラック、および/またはメタクリル酸、および/またはその化合物、有利にはメタクリル酸の重合体および/または共重合体で形成され、前記層の重量は前記顆粒、前記カプセル、または前記錠剤の重量に対して15重量%以下である請求項8〜10のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
水で湿らせた式(I)の白金錯体、少なくとも1種の中性糖類、および少なくとも1種の天然および/または変性多糖類の混合物が、粒径が0.5mmより小さい粒子から成る顆粒を得るように湿潤条件下造粒される請求項1〜11のいずれかに記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項13】
前記湿式造粒が、粒子の90%が2.0mmより小さい粒径であり、かつ、前記粒子の20%以下が0.09mmより小さい粒径であるような粒径分布を有する顆粒を得るように行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記湿式造粒が、前記造粒混合物と接触する表面が該混合物に対して不活性である装置で行われる請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記顆粒が、カプセルまたは袋に充填されるか、または少なくとも1種の放出剤および/または少なくとも1種のスリップ剤が前記顆粒に加えられた後に圧縮されて錠剤になる請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
カプセルおよび袋への充填および錠剤作成が、カプセルまたは袋に充填される前記混合物、あるいは錠剤作成が意図された前記混合物と接触する表面が前記混合物に対して不活性である装置で行われる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記顆粒表面、袋に充填される前記顆粒の表面、前記錠剤表面、および前記カプセルに充填される前記顆粒の表面、および/または前記カプセルの表面が、腸でのみ前記活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、および/または前記活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層でコーティングされている請求項12〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
腸でのみ前記活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、および/または前記活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層でコーティングされる前に、前記顆粒表面、前記袋に充填される前記顆粒の表面、前記カプセルに充填される前記顆粒の表面、および前記錠剤表面に、少なくとも1種の中性糖類、例えばショ糖、および/または少なくとも1種の天然および/または変性多糖類、例えば天然または変性トウモロコシデンプン、コムギデンプン、またはジャガイモデンプン、またはゼラチン、またはアラビアゴムで形成されている不活性封止層が設けられる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記不活性封止層、腸でのみ前記活性物質の腸溶性溶解を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の層、または前記活性物質のコントロールされた放出を可能にする少なくとも1種の薬学的に許容可能な物質の前記層での前記顆粒および前記錠剤のコーティングが、前記顆粒または前記錠剤と接触する表面が予め前記不活性封止層を形成する材料でコーティングされている装置で行われる請求項17または18に記載の方法。

【公表番号】特表2006−521300(P2006−521300A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504221(P2006−504221)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【国際出願番号】PCT/CZ2004/000017
【国際公開番号】WO2004/087126
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(500522390)プリヴァ−ラケマ,エー.エス. (10)
【Fターム(参考)】