説明

活性物質を含む徐放性マイクロカプセル及びマイクロスフェア

溶媒としての酢酸エチルを含むエマルジョン液滴からの内部相分離による、大量の殺生物剤を含む、オイルコアを有する小さなポリマーマイクロカプセル及び中実マイクロスフェアの調製のための製造方法が提供される。マイクロカプセル及びマイクロスフェアのサイズは、直径0.2〜20μmの間の高精度で制御することができる。この微粒子は、殺生物剤を使用して微生物に対して保護すべき、塗料、ラッカー及び木材防腐剤などのコーティング、並びに、直接の、即ち、この微粒子をコーティング材料と組み合わせない表面保護に特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、殺生物剤を含むポリマーマイクロカプセル及びマイクロスフェア並びにそれらの調製に関する。より詳しくは、本発明は、制御されたサイズを有し、大量の様々な殺生物剤を含むマイクロカプセル及びマイクロスフェアに関する。
【背景技術】
【0002】
殺生物剤は、微生物の増殖を防止する化合物である。現在、殺生物剤は、微生物の増殖を防止するために、コーティング、木材防腐剤及び作物などの一連の製品に使用されている。殺生物剤の使用は、しばしば、多くの問題を伴う。一般的な問題は、殺生物剤は拡散し、製品若しくは適用位置からあまりにも速く洗い落とされ、これによって保護が消失すること、周囲との反応による殺生物剤の化学分解が起こること又は殺生物剤との反応による製品の化学分解が起こることである。殺生物剤及び製品が保護されるのと同時に殺生物剤の放出を引き延ばすための選択肢は、マイクロカプセル化である。
【0003】
本明細書で使用される「殺生物剤」という用語は、細菌、菌類、藻類、汚損生物などの生物種及び/又は微生物種の増殖を阻害し、且つ/又はそれらを死滅させるそれらの能力のために使用される、殺菌剤(germicide)、殺菌剤(bactericide)、殺真菌剤、殺藻剤などの薬剤を意味するものと理解されたい。
【0004】
マイクロカプセルは、それらの周囲に均一な壁を有する小さな球体である。マイクロカプセル内の物質は、コアと称され、壁は、しばしばシェルと称される。本明細書でマイクロカプセルは、球状のポリマーシェル及び油のコアを有し、このコアに殺生物剤は位置する。マイクロスフェアは、殺生物剤が均一に分布している球状のポリマーマトリックスである。しかし、マイクロカプセル及びマイクロスフェアという用語は、しばしば、同義語として使用される。マイクロカプセル及びマイクロスフェアの両方を含む本明細書における一般名は、微粒子である。
【0005】
相分離、溶媒蒸発、乳化、及び噴霧乾燥は、微粒子を生成するために現在使用されている様々な技術の例である。エマルジョン液滴からの内部相分離による微粒子の生成は、知られている技術である。この技術によれば、殺生物剤及びポリマーが溶解している有機溶媒のエマルジョン液滴は、界面活性分子及び共溶媒を含む水性媒体中に分散している。有機溶媒の蒸発の間に、安定な微粒子が形成される。この技術は、文献に既に報告されており、環境に有害な溶媒であるDCM(ジクロロメタン)(1)、同じく環境に有害な共溶媒の使用を必要とするある化合物を使用している。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0053950号は、藻及び菌類の攻撃からコーティング材料の寿命を増加させるための、殺生物剤、特にイルガロール(Irgarol)(殺藻剤)及び亜鉛ピリチオン(殺菌剤)を含むマイクロカプセルの組成物を記載している。特許請求されている封入ポリマーは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン−コ−スチレン、ポリアミド、ポリエステル、エチルセルロース及びポリウレタンである。さらに、この文献は、2〜20重量%の約5〜15μmの粒径を有するマイクロカプセルであるコーティング材料を記載している。
【0007】
国際公開第2007/039055 A2号は、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)に基づくマイクロカプセルの水性懸濁液中の製剤を教示している。マイクロカプセルは、1〜30μm、好ましくは、2から20μmのサイズを有し、好適な共配合剤(共力剤)と混合された殺生物活性剤の液だめ、及び外壁を含む。この壁は、in situの界面重合によって得られる水に不溶性のポリマー膜によって形成される。殺生物剤は水性懸濁液中でわずか8時間後に放出される。
【0008】
米国特許第7,429,392号は、湿気又は水の影響に曝される表面上の微生物の侵入に対する保護のためのコーティング材料に関する。このコーティング材料は、担体材料中の固体粒子に結合しており、そこから遅れて放出される殺生物剤を含むことを特徴とする。特に好ましい壁の材料は、ホルムアルデヒド−メラミン樹脂である。いくつか他の材料が言及され、それらの中にPMMAがある。特許請求されている封入される殺生物剤は、IPBC、1H−ベンズイミダゾール−2−イルカルバメート(カルベンダジム)、2−ピリジンチオール1−オキシド亜鉛(亜鉛ピリ−チオン)、OIT、及びDCOITであり、特許請求されている殺藻剤には、トリアジン及びN,N−ジアメチル尿素が含まれ、特に好ましいマイクロカプセル壁材料は、ホルムアルデヒド−メラミン樹脂である。
【0009】
米国特許出願公開第2006/0246144号は、イルガロール及び亜鉛ピリチオンなどの様々な殺生物剤を含み、1〜100μmの範囲の粒径分布を有するが、好ましくは2〜50μmであるポリマーマイクロカプセルを開示している。このマイクロカプセルは、低沸点溶媒を使用したポリマー溶液中に溶解状態又は分散状態のいずれかで活性薬剤を含む有機相を、乳化剤を含む水相に分散させ;この乳濁液を、25〜27℃において毎分800〜1200回転で3〜5時間撹拌して、低沸点溶媒を蒸発させ、これによりマイクロカプセルの形成を可能にし;マイクロカプセルを分離し;水で洗浄し25〜35℃の間の温度でマイクロカプセルを乾燥することによる、溶媒蒸発技術を使用して調製される。封入ポリマーは、PMMA、ポリスチレン、ポリ(ビニルピリジン−コ−スチレン)などの共重合体及びエチルセルロースなどの有機ポリマーからなる群から選択される。殺生物剤の放出の速度についての情報はない。この参照文献は、マイクロカプセルを生成する方法における追加の溶媒としての酢酸エチルの使用に言及しているが、EAは、水に混和性であるため、この方法で得られるマイクロカプセルは、肉眼で見えるプラスチック粒状物を有する。
【0010】
2つの異なる参照文献(Loxley A.ら、Journal of Colloid and Interface Science、1998年。208巻(1号):49〜62頁。及びDowding PJら、Langumir、21巻(12号)、5278〜5284頁、(2005年))が、少量(0.5〜1重量%)の有機化合物の封入を可能にする、ポリマーシェル及び内部の液体油を有するコア−シェルマイクロカプセルの形成を記載している。ジクロロメタンは、使用される好ましい溶媒であり、紫外線活性な有機分子が、乳化前に油相に添加される。さらに、ほとんど全ての封入された薬剤が、水性懸濁液にわずか数時間後又は数日後に放出される制御放出法の教示もある。
【0011】
この分野の多数の特許及び他の文献にも関わらず、極めて緩慢な速度で放出される大量の殺生物剤を封入し得る極めて小さなマイクロカプセルを得る方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
先行技術の欠点の少なくともいくつかを解消すること、及び極めて緩慢な放出速度を有する、大量の活性物質を含む小さなマイクロカプセル及びマイクロスフェアをもたらす製造方法を提供することが本発明の目的である。本発明の別の目的は、殺生物剤の極めて緩慢な放出によって塗料、コーティング及び木材防腐剤などの長期間使用可能な製品の保護を引き延ばすことである。本発明の別の目的は、望ましくないプラスチック粒状物を形成せずに、エマルジョン液滴技術からの内部相分離の乳化調製ステップにおける有機溶媒として酢酸エチルを使用することである。活性物質が固体マイクロスフェア中に分散されているか又は活性物質が、オイルコアを含むマイクロカプセル中に分散されている微粒子が生成される。本発明の目的及び特徴は、以下の開示からより完全に明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
マイクロスフェアのサイズは、直径0.2〜20μmの間の高精度で制御することができる。本発明は、エマルジョン液滴からの内部相分離によるマイクロカプセル及びマイクロスフェアの調製方法、並びにあらゆる肉眼で見えるプラスチック粒状物の形成を抑制するためのエマルジョン中の酢酸エチルの使用を提供する。本発明は、殺生物剤を使用して微生物に対して保護すべき、塗料、ラッカー及び木材防腐剤などのコーティングに特に好適である。有害な昆虫に対する植物の苗の保護は、別の用途である。本発明は、直接の、即ち、マイクロカプセル又はマイクロスフェアをコーティング材料と組み合わせない表面保護にも特に好適である。
【0014】
本発明は、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】マイクロカプセル(オクタデカンのコア)からのIPBCの緩慢な放出を示しているグラフである。
【図2】マイクロスフェアからのIPBCの極めて緩慢な放出を示したグラフである。水性懸濁液中で、放出を、1カ月当たり0.5重量%もの低さとすることができ、換言すれば、15年を超える期間殺生物剤含量が存在し、これは、コーティングの全寿命にわたって続くのに十分である。
【図3】浸水させたプレートの塗面からのメデトミジンの放出を示しているグラフである。各点は、各実験グループに対応する三重反復測定の平均を表している。四角の点は、コーティング中に遊離している殺生物剤を含む水性塗料の放出結果を意味し、丸い点は、封入された殺生物剤を含む水性塗料からの試料を意味し、三角の点は、遊離している殺生物剤を含む油性塗料の結果を示しており、逆三角形の点は、マイクロカプセル化されたメデトミジンを含むこと以外は同じ試料である。微粒子の効果は、放出速度減少に関して強い。軸のlog−log目盛りに留意されたい。
【図4】塗面からのIPBC放出の結果を示しているグラフである。各点は、各実験グループに対応する三重反復測定の平均を示している。四角の点は、殺生物剤を含まない(封入されていない)塗料試料を意味し、三角の点は、25重量%添加の封入された殺生物剤を含む試料を意味し、丸い点は、10重量%添加の封入された殺生物剤を含む試料を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第一の態様において、少なくとも1種の活性物質を含む徐放性の微粒子が提供され、該微粒子は、水及び乳化剤を含む水相、並びに有機溶媒、微粒子壁を形成するためのポリマー、及び活性物質を含む別個の有機相からエマルジョンを形成することによって調製される。
【0017】
第二の態様において、少なくとも1種の活性物質を含む微粒子を調製する方法が提供され、前記方法は、水相及び有機相を別々に調製するステップを含み、ここで、水相は、水、及び乳化剤を含み、有機相は、有機溶媒、微粒子壁を形成するためのポリマー、及び活性物質を含む。
【0018】
マイクロカプセルは、殺生物剤の放出速度を引き延ばすための理想的な送達システムである。緩慢な放出は、塗料、コーティング、木材防腐剤、及び植物保護などの長い予想耐用年数を有する製品の保護に関して非常に重要である。例えば、殺生物剤は、コーティング材料の全寿命を通して、即ち、10〜15年間放出されることが望ましい。通常、微粒子の全般的な特徴は、活性成分の放出速度論に影響を与える。したがって、微粒子からの殺生物剤の放出速度は、いくつかある要因の中で特に、マイクロカプセルシェル壁の化学的性質、シェル壁の厚さ及び形態、コア中の溶媒(単数又は複数)及び粒径によって制御することができる。
【0019】
殺生物剤の制御放出以外に、小さな微粒子を使用するための別の相当な理由は、ラッカーの性質に関係する。小さなサイズの微粒子を使用する場合、クリヤラッカーにおける重要な性質である外観に関して、光散乱は、最小化し得る。
【0020】
直接の表面保護、即ち、微粒子を水性塗料又は溶剤系塗料などのコーティング材料と組み合わせない場合、純粋な微粒子系の水性分散液を、例えば、木材に直接噴霧することができる。小さなサイズの微粒子は、大きな微粒子に比べてはるかに容易に木材に浸透し得る。
【0021】
現在一般的に使用されている木材含浸法は、十分な活性物質を木材の中に十分に深く含浸させるために高温及び/又は高圧の使用に依存する。小さなサイズの微粒子を使用することによって、菌類の増殖から木材を保護する方法は、長続きする保護をさらに可能にしつつ、はるかにより安価でより速い。
【0022】
一般的に、マイクロカプセル化技術は、広範囲の用途において有用であり得る。例えば、マイクロカプセルは、船舶用コーティング配合又は塗料中の殺生物剤の送達に使用することができる。小さな有機殺生物剤を使用することに関する現在の船舶用塗料における問題の1つは、それらが、あまりにも急速にコーティングから激減して防汚有効性の早期喪失をもたらすことである。マイクロカプセル化によって、殺生物剤は、コーティングを通して拡散するのを妨げられ、それにより、コーティングの防汚有効性は、はるかにより長期間にわたって続くようになる。
【0023】
他方では、生長する植物の苗の昆虫に対する有効な保護は、摂食阻害物質、即ちBHTが組み込まれたポリマーコーティングマトリックスの施用である。後者の緩やかな放出は昆虫の攻撃を阻止する。マイクロカプセル及びマイクロスフェアの使用によって、摂食阻害物質の放出は、制御され引き延ばされ得る。
【0024】
本発明は、ここで、新規な特別に開発されたポリマーマイクロカプセル及びマイクロスフェアを提供することによって、現在の方法の欠点を克服し、広範囲の用途に役立つ。前記微粒子の小さな制御されたサイズは、生成方法及び選択される化合物及び配合の使用と共に、殺生物剤の極めて緩慢な放出を可能にし、低い生産コストを与える。これらの望ましい効果は、塗料の物理的及び機械的性質に影響を与えることなく達成される。
【0025】
したがって、その詳細な説明が、より良く理解され、当技術分野への本発明の寄与が、より良く認識されるために、本発明のより重要な特徴が、やや大まかに概説されてきた。本明細書で以下に記載される本発明のさらなる特徴がある。
【0026】
この点において、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は図面に示される構成の詳細及び成分の組合せに限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践され実施され得る。同様に、本明細書で使用される語法及び専門用語は、説明の目的のためであり、限定的にみなされるべきではないことは理解されたい。
【0027】
本発明は、活性物質を含むマイクロカプセル及びマイクロスフェア及びそれらの調製を含む。本発明は、殺生物剤の極めて緩慢な放出を通して、塗料、コーティング及び木材防腐剤などの寿命の長い製品の保護を引き延ばすために好適である。緩慢な放出は、殺生物剤の寿命及び保護時間を引き延ばす。本発明は、活性物質として、それだけには限らないが、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)又はオクチル−イソチアゾリノン(OIT)又は4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾリノン(DCOIT)又はトリルフルアニド(TF)又は4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−3H−イミダゾール(メデトミジン)、又はそれらの組合せを含み、壁材料が、それだけには限らないが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン−コ−スチレン、ポリアミド、ポリエステル、エチルセルロース及びポリウレタンを含むマイクロカプセル及びマイクロスフェアを提供する。
【0028】
これによって使用される生成方法は、エマルジョン液滴からの内部相分離であり、これは、活性物質及び壁材料と相まって、活性物質の放出を制御するために重要であるサイズ及び厚さの高精度を可能にする。小さなサイズの微粒子を有することは、コーティング材料の物理的/機械的性質の変化を防ぐことにおいても重要である。本発明は、エマルジョン液滴からの内部相分離から、有機溶媒が排除されている、代わりの生成方法を提供する。現行方法で使用される必要な溶媒が、より安価でより環境に優しい溶媒である酢酸エチルによって代替されるので、この代わりの生成方法は、非常に低コストでの微粒子の生成を可能にする。
【0029】
内部相技術を用いるDCMの代わりの溶媒としての酢酸エチル(EA)の使用は、望ましくない肉眼で見えるプラスチック粒状物をもたらすことが当技術分野で知られている。したがって、本発明者らは、内部相分離技術を用いて、酢酸エチルを使用する、微粒子を生成するための方法の先行技術におけるいかなる教示も見出すことができなかった。
【0030】
予想外に、ここで、本発明者らは、エマルジョン中の大量の酢酸エチルの使用が、肉眼で見えるプラスチック粒状物の形成を抑制するために極めて重大であることを見出した。エマルジョン中の高濃度のEAの使用は、驚くべきことに、共溶媒、即ち、アセトンの使用が必要ではないことも示した。したがって、本発明は、EAの使用及び乳化ホモジナイザーの高剪断速度を用いる内部相分離技術を組み合わせた、非常に小さな微粒子の生成法を提供する。これは、同様に、殺生物剤の放出を制御するために重要である、粒径及びシェル厚さの高精度を可能にする。
【0031】
したがって、本明細書で本発明の生成方法によって生成されたマイクロカプセル及びマイクロスフェアは、当該マイクロカプセル及びマイクロスフェアを通した物質のそれらの極めて緩慢な放出、それらを非常に丈夫にするそれらの固体構造、並びに0.2〜20μmの間、好ましくは0.2〜10μmの間の範囲のそれらの小さなサイズによって、先に知られているマイクロカプセル又は類似の技術と区別することができる。本発明は、同様に、特定の殺生物剤について、マイクロカプセルの総重量に対して少なくとも25重量%までの濃度を有する殺生物剤を(殺生物剤のタイプに応じた)微粒子に加えることを可能にする。
【0032】
緩慢な放出は、マイクロカプセルコア及びポリマーシェルの浸透性の形成を通して達成される。所望の放出速度は、微粒子のサイズ、壁の厚さ及びコア物質を制御することによって達成される。固体マイクロスフェア中に分散された活性物質又はオイルコアを含むマイクロカプセル中に分散された活性物質のいずれかを含む微粒子が生成される。得るべき放出速度に応じて、特定の粒子が好まれる。マイクロスフェアは、同じサイズのマイクロカプセルと比べてより緩慢な放出をもたらす。
【0033】
塗料若しくはラッカーなどのコーティング、又は木材防腐剤の最適な保護を達成するために、マイクロカプセル及びマイクロスフェアを、様々な微生物への効果を有する殺生物剤のブレンドと混合する必要がある。
【0034】
一実施形態において、本発明は、壁材料としてポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を提供する。他の可能な壁材料の例には、それだけには限らないが、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ乳酸、ポリスチレン及びポリビニルピリジン−コ−スチレンが含まれる。
【0035】
本発明は、それだけには限らないが、活性物質として3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートを含み得る。他の可能な活性物質の例には、それだけには限らないが、1H−ベンズイミダゾール−2−イルカルバメート(カルベンダジム)、2−ピリジンチオール1−オキシド亜鉛(亜鉛ピリチオン)、irgarol、OIT、DCOIT、トリルフルアニド、メデトミジン、トリアジン、N,N−ジアメチル尿素などの殺生物剤;BHTなどのフェロモン;殺虫剤;化粧品;及び香料が含まれる。
【0036】
オイルコアマイクロカプセルの場合、本発明は、それだけには限らないが、油としてトウモロコシ油又はオクタデカンを含み得る。他の可能な油の例には、それだけには限らないが、ドデカン、ヘキサデカン、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、及びパーム油が含まれる。
【0037】
本発明の微粒子は、水性塗料及び溶剤系塗料と相溶性があり、制御された緩慢な放出が望ましい分野に好適である。このような分野には、それだけには限らないが、塗料、コーティング及び木材防腐剤における殺生物剤の放出並びに昆虫から作物及び森林を保護するためのフェロモンの放出が含まれる。他の使用の分野には、それだけには限らないが、医薬品及び化粧品が含まれる。
【0038】
コーティング材料は、好ましくは塗料又はラッカーである。
【0039】
生成:
微粒子は、エマルジョン液滴から内部相分離によって生成される。水相及び有機相は別々に調製される。水相は、水、乳化剤、時にわずかな有機溶媒を含む。有機相は、有機溶媒、油(オイルコアを含むマイクロカプセル用)、壁を形成するポリマー、活性物質、時に共溶媒を含む。オイルコアを含まない中実のマイクロカプセルの場合、油は生成に使用されない。例えば、油を含むマイクロカプセルは、稠密な微粒子に比べてより速い放出をもたらす。
【0040】
生成方法は、好ましくは3つの基本的なステップを含む。
【0041】
200〜20000rpmにおけるホモジナイザーによる正確な撹拌下で、有機相を、水相の一部に、等量でゆっくりと添加する。この第一のステップは、0.2〜20μm、好ましくは0.2〜10μmの液滴サイズを有するエマルジョンをもたらす。全体で、エマルジョンを1時間撹拌する。より高い剪断速度は、より小さな粒子及びより狭い粒径分布を生じる。高いポリマー含有量は、高い粘度をもたらし、それによって、大きな粒子及び広い粒径分布をもたらす。
【0042】
エマルジョンを水相のさらなる一部と混合する。次いで、エマルジョンを蒸発させて有機溶媒及び可能な共溶媒を除去する。溶媒が蒸発する時に、ポリマー相が分離し、このポリマー相は、油の周りに形成する高密度のシェルをもたらすか、又は球状のマトリックスをもたらす。専門的に言うと、この段階において、エマルジョンは懸濁液に変化している。
【0043】
最終的に、懸濁液を、遠心分離するか又は水相から沈殿させて、形成された微粒子を集める。
【0044】
下記の実施例に示されるように、水相中の酢酸エチルの使用は、有機相中の酢酸エチルの減少が望まれる場合に必要である。これは、水相に添加する必要のあるEAの量は、有機相における所望の減少を得るために有機相から除去する必要のある量に比べてかなり劣るという事実によるものである。
【0045】
ポリビニルアルコール(PVA)は、EA相が水から分離しないようエマルジョン液滴を安定に保つ乳化剤又は界面活性剤である。物理的特性及びその特定の機能的用途は、重合度及び加水分解の程度によって決まる。加水分解の程度は、エマルジョン液滴及び取り巻く水の間の表面張力及び安定性に影響を与える。
【0046】
本発明者らは、驚くべきことに、95%の加水分解の程度のPVAを使用しながら、少なすぎる酢酸エチルを使用する場合、プラスチックの形成が起こることがあることを見出した。例えば88%へのPVAの加水分解度の減少は、エマルジョン中のプラスチックの形成を防止する助けとなる。PVA加水分解度のこの減少は、有機相中のEAの量の減少をさらに可能にし、水相におけるその存在は、もはや必要ではない。いくつかある要因の中で特に前述の物質の剪断速度及び濃度は、殺生物剤を含む微粒子のサイズ及び形態を制御するために変更することができる。
【0047】
下記の実施例において、当技術分野で知られているように、マイクロカプセルサイズの多分散性を減少させ、したがってエマルジョンの形成を促進するために、アセトンが使用されている。しかし、塗料用途などのいくつかの用途において、配合物中のその存在が回避されることがあることは留意される必要がある。
【0048】
実験室での研究が、微粒子からの殺生物剤の極めて緩慢な放出を明らかにする。水性懸濁液において、放出を、1カ月当たり0.5重量%もの低さとすることができ、これは、コーティングの全寿命(図1)に近い15年を超える期間続く殺生物剤含有量と解釈される。したがって、本発明の微粒子の水性分散液は、持続的保護を提供するための、例えば木材の直接表面保護に使用することができる。
【0049】
本発明の用途及び操作の様式のさらなる考察について、それらは、上記の説明から明らかなはずである。したがって、用途及び操作の様式に関するさらなる考察は提供されない。
【0050】
上記の説明に関して、本発明の特徴のための最適な寸法関係が、サイズ、材料、形状、形態、操作の機能及び様式、生成並びに使用における変動を含むために、当業者には容易に認められ明らかであるとみなされることを理解されたい。
【0051】
したがって、前述のものは、本発明の原理の例証としてのみ考えられる。さらに、多数の変更及び変化を、当業者は容易に思いつくので、示され記載された厳密な組成及び用途に本発明を制限することは望ましくなく、したがって、用いられ得る全ての好適な変更及び等価物は、本発明の範囲に含まれる。
【0052】
本発明は、以下の生成の実施例によってさらに例証される。
【実施例】
【0053】
(例1)
水相にEAを含まない、PMMAシェル、16重量%IPBC、及びドデカンコアを含むマイクロカプセルの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、4gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、90mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)、5mlのドデカン(Fluka、98%)及び1.50gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0054】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて9.4gの形成されたマイクロカプセルを抽出する。マイクロカプセルのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロカプセルの大部分のサイズは、直径が、1〜6の間であるが、ほとんどの場合、2及び4μmの間である。マイクロカプセルは、PMMAシェル、IPBC、及びドデカンコアを含む。
【0055】
(例2)
水相にEAを含まない、PMMAシェル、16重量%IPBC、及びヘキサデカンコアを含むマイクロカプセルの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、4gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、90mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)、5mlのヘキサデカン及び1.51gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0056】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて9.4gの形成されたマイクロカプセルを抽出する。マイクロカプセルのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロカプセルの大部分のサイズは、直径が、1〜7の間であるが、ほとんどの場合、3〜5μmの間である。マイクロカプセルは、PMMAシェル、IPBC、及びヘキサデカンコアを含む。
【0057】
(例3)
水相にEAを含む、PMMA及び16重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、57mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)及び1.51gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0058】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加し、ここで、9mlの酢酸エチルを添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて9.5gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20の間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、1〜7の間であるが、ほとんどの場合、3〜5μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0059】
(例4)
水相にEAを含まない、PMMA及び16重量%IPBCを含むマイクロスウェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、90mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)及び1.5gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0060】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて9.5gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2及び10μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、2〜6の間であるが、最も頻繁には、4〜5μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0061】
(例5)
水相にEAを含まない、PMMA及び16重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度88%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、57mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)及び1.5gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0062】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて9.5gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2及び10μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、2〜6の間であるが、ほとんどの場合、4〜5μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0063】
(例6)
水相にEAを含む、PMMA及び25重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、57mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)及び2.67gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0064】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加し、ここで、9mlの酢酸エチルを添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて10.7gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、3〜9の間であるが、大部分は4〜7μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0065】
(例7)
より大きなバッチのための生成方法は安定であることを示す、PMMA及び25重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、1000mlの水中の20gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、40gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、285mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、19mlのアセトン及び13.35gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0066】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、400mlの水相にゆっくりと添加し、ここで、45mlの酢酸エチルを添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて53.4gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、3〜10の間であるが、最も頻繁には、4〜6μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0067】
(例8)
水相にアセトンを含みEAを含まない、PMMA及び25重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、90mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)及び2.67gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0068】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて10.7gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、2〜7の間であるが、大部分は3〜6μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0069】
(例9)
水相にアセトンを含まずEAを含まない、PMMA及び25重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、100mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、2.7gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解する。
【0070】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて10.7gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、2〜8の間であるが、主として4〜6μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0071】
(例10)
水相にアセトンを含まずEAを含まない、PMMA及び25重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度88%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、57mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、2.7gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解する。
【0072】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて10.7gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、2〜8の間であるが、大部分は4〜6μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0073】
(例11)
水相にEAを含む、PMMA及び10重量%メデトミジンを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、8gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、57mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)及び0.89gの3メデトミジンを添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0074】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加し、ここで9mlの酢酸エチルを添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて8.9gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、2〜8の間であるが、最も頻繁に、4及び7μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にメデトミジンがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0075】
(例12)
水相にEAを含まない、PMMAシェル、16重量%BHT、及びヘキサデカン含むマイクロカプセルの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、200mlの水中の4gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度88%)を混合することによって、水相を調製する。撹拌下で、4gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、57mlの酢酸エチル(EA)(Acros Organics、=99.6%)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、3.8mlのアセトン(Merck、=99.5%)、5mlのヘキサデカン及び1.51gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0076】
Silent Crusher M tool 22Fのタイプ(Heidolph Instruments製)のホモジナイザーで、5000rpmで撹拌しつつ15分かけて、油相を、80mlの水相にゆっくりと添加する。次いで、この混合物を、この剪断速度で45分間撹拌する。形成されたエマルジョンを、250rpmで撹拌しながら残りの水相に添加する。このエマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて9.4gの形成されたマイクロカプセルを抽出する。マイクロカプセルのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロカプセルの大部分のサイズは、直径が、1〜7の間であるが、ほとんどの場合、3〜5μmの間である。マイクロカプセルは、PMMAシェル、IPBC、及びヘキサデカンコアを含む。
【0077】
(例13)
インラインの均質化が機能することを示す、PMMA及び25重量%IPBCを含むマイクロスフェアの調製
撹拌及び60〜95℃への加熱下で、1200mlの水中の24gのポリ(ビニルアルコール)(加水分解の程度95%)を混合することによって、水相を調製する。次いで、100ml酢酸エチル(Acros Organics、=99.6%)を水相に添加する。撹拌下で、48gのポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Aldrich、MW350,0000)を、540mlの酢酸エチル(EA)と混合することによって、油相を調製する。PMMAが溶解した時、22.8mlのアセトン及び16.2gの3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)(Aldrich、97%)を添加する。EAはPMMAを溶解し、アセトンはエマルジョンの形成を促進する。
【0078】
水相を、15000rpm(約7 l/分)で、ホモジナイザー(タイプMTG 30/4ジェネレーターを備えたKinematica Megatron MT3000)を通して再循環する。次いで、有機相を9分かけてゆっくりとローターに注入する。形成されたエマルジョンを2分間再循環する。エマルジョンを蒸発させ、最後に遠心分離にかけて64gの形成されたマイクロスフェアを抽出する。マイクロスフェアのサイズは、0.2〜20μmの間であり、マイクロスフェアの大部分のサイズは、直径が、3〜10の間であるが、大部分は3〜8μmの間である。マイクロスフェアは、その内部にIPBCがあるPMMA中実スフェアを含む。
【0079】
(例14)
マイクロカプセルからのIPBC放出の調査
水性懸濁液(20ml)中のマイクロカプセル(オクタデカンコア)を、透析膜(M12〜14.000)に浸し、100mlの脱イオン水を入れたフラスコに置いた。このフラスコを、中程度の速度(90min−1)で機械的撹拌機に置いた。外側の水相を検査し、異なる時間間隔に新しい水で完全に置き換えた。ジクロロメタン中への分離後、各試料のGC測定によってIPBC濃度が提供され、これを、放出された重量パーセントに変換し、時間に対してプロットして放出曲線を得た。図1は、各時間間隔についての三重反復測定のデータを示している。1カ月後、7重量%のIPBCが放出されている。
【0080】
(例15)
マイクロスフェアからのIPBC放出の調査
マイクロスフェア水性懸濁液(20ml)を、透析膜(M12〜14.000)に浸し、100mlの脱イオン水を入れたフラスコ中に置いた。このフラスコを、中程度の速度(90min−1)における機械的撹拌機に置いた。外側の水相を検査し、異なる時間間隔に新しい水で完全に置き換えた。ジクロロメタン中への分離後、各試料のGC測定によってIPBC濃度が提供され、これを、放出された重量パーセントに変換し、時間に対してプロットして放出曲線を得た。三重反復測定からの平均が図2に示されている。1カ月後、3.5重量%のIPBCが放出されている。
【0081】
(例16)
塗面からのメデトミジン放出の調査
4種の異なる30gの塗料の試料を調製した。試料の2つは、殺生物剤を含まない水性の標準の白色外壁塗料に基づき、別の2つの他の試料は、殺生物剤を含まない、有機溶剤系の標準の白色外壁塗料に基づいた。遊離形態又はマイクロスフェアの形態のいずれかのメデトミジンを各試料に添加した。14C標識物質は、全てのメデトミジンの2.3重量%であった。湿った塗料は、全部で0.4重量%のメデトミジンを含んだ。電気ミキサーで塗料を撹拌することによって、添加された物質の均一な分散を確実にした。放出の調査について、約1g(乾燥状態)の塗料系を、塗布装置を用いてポリ(プロピレン)プレートに塗布した。乾燥及び重量計測後、プレートを覆う2000mlの水を入れた密閉容器中に、各プレートを垂直に置いた。容器を機械式振とう機に置いた。様々な時点で、1000μlの水を各系からピペットで取り、20mlチューブに移した。10mlのULTIMA GOLD(商標)の添加後、放射活性、したがって放出された量を、液体シンチレーション計数器(1219 RackBeta、LKB Wallac、Finland)で記録した。結果は図3に示されている。水性塗料中の遊離メデトミジンの放出は、マイクロスフェアからのそれと比べて約2倍速い。溶剤系塗料について、同様の比較は、マイクロスフェアからに比べて10倍速い遊離メデトミジンからの放出を明らかにしている。
【0082】
(例17)
塗面からのIPBC放出の調査
3種の異なる10gの塗料の試料を調製した。試料は、殺生物剤を含まない水性の標準の白色外壁塗料に基づいた。重量に関して(i)10重量%添加及び(ii)25重量%添加の遊離形態又はマイクロスフェアの形態のいずれかのIPBCを各試料に添加する。特定の割合のIPBCは、14C標識物質であった。湿った塗料は、全部で0.1重量%のIPBCを含んだ。塗料を撹拌することによって、添加物質の均一な分散を確実にした。放出調査について、約0.2g(乾燥状態)の塗料系を、塗布装置を用いてポリ(プロピレン)プレートに塗布した。乾燥及び重量計測後、プレートを覆う250mlの水を入れた密閉容器中に、各プレートを垂直に置いた。容器を機械式振とう機に置いた。様々な時点で、1000μlの水を各系からピペットで取り、20mlチューブに移した。4mlのULTIMA GOLD(商標)の添加後、放射活性、したがって放出された量を、液体シンチレーション計数器(1219 RackBeta、LKB Wallac、Finland)で記録した。結果は図4に示されている。遊離IPBCの放出は、マイクロスフェアからのそれと比べて約3倍速い。
【0083】
(例18)
船舶用塗料におけるメデトミジン及びカプセル化メデトミジンを用いた現地試験
PMMAテストパネル1dmに、3種の異なる殺生物剤を含まない市販の船舶用塗料を、ブラシによって塗布した。3mlの塗料を各層に使用し、各パネル上に2層が塗布された。これらのパネルは対照として使用した。異なる缶中の同じ塗料に、0.1重量%のメデトミジン又はマイクロスフェアに封入された等量のメデトミジンを添加した。塗料混合物を、対照塗料として同じ種類のテストパネルに塗布した。全てのパネルを3通り作成し、スウェーデン西海岸(Tjarno Marine Biological Laboratory)の海中へ沈めるためのフレーム上に無作為に取り付けた。沈めて6カ月及び10カ月後(2009年6月から12月まで及び2010年4月まで)に、それらを検査した。全ての対照パネルは、フジツボ及び他の汚損生物で多かれ少なかれ覆われていた。メデトミジン又は封入されたメデトミジンを含む塗料を有するテストパネル上には、塗装面に付着したフジツボ又は棲管虫は存在しなかった。これは、メデトミジンが封入されている場合でも、塗料表面からの放出が、フジツボの付着を防止するために十分高いことを証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の活性物質を含む徐放性微粒子であって、前記微粒子が、水及び乳化剤を含む水相、並びに有機溶媒、微粒子壁を形成するためのポリマー、及び前記活性物質を含む別個の有機相からエマルジョンを形成することによって調製される上記微粒子。
【請求項2】
前記水相が、有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載の微粒子。
【請求項3】
前記有機溶媒が、酢酸エチルである、請求項2に記載の微粒子。
【請求項4】
前記微粒子が、オイルコアを有し、前記有機相が、油をさらに含み、前記活性物質が、前記オイルコア中に分散している、請求項1に記載の微粒子。
【請求項5】
前記油が、トウモロコシ油、オクタデカン、ドデカン、ヘキサデカン、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、及びパーム油からなる群から選択される、請求項4に記載の微粒子。
【請求項6】
前記有機相が、共溶媒をさらに含む、請求項1に記載の微粒子。
【請求項7】
0.2〜20μmの間の直径を有する、請求項1に記載の微粒子。
【請求項8】
0.2〜10μmの間の直径を有する、請求項1に記載の微粒子。
【請求項9】
前記活性物質が、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、オクチル−イソチアゾリノン(OIT)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾリノン(DCOIT)、トリルフルアニド(TF)、4−[1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル]−3H−イミダゾール(メデトミジン)、1H−ベンズイミダゾール−2−イルカルバメート(カルベンダジム)、2−ピリジンチオール1−オキシド亜鉛(亜鉛ピリチオン)、イルガロール(irgarol)、トリアジン、N,N−ジアメチル尿素、フェロモン、BHT、殺虫剤、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の微粒子。
【請求項10】
前記活性物質が、メデトミジンである、請求項9に記載の微粒子。
【請求項11】
前記微粒子壁を形成するためのポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリスチレン、ポリビニルピリジン−コ−スチレン、ポリアミド、ポリエステル、エチルセルロース、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ尿素、ポリ乳酸、及びポリビニルピリジン−コ−スチレンからなる群から選択される、請求項1に記載の微粒子。
【請求項12】
前記微粒子壁を形成するためのポリマーが、ポリ(メチルメタクリレート)である、請求項11に記載の微粒子。
【請求項13】
長寿命製品の保護を引き延ばすために好適な配合物中にある、請求項1に記載の微粒子。
【請求項14】
前記配合物が、塗料、コーティング及び木材防腐剤からなる群から選択される、請求項13に記載の微粒子。
【請求項15】
前記塗料が、水性塗料及び溶剤系塗料からなる群から選択される、請求項14に記載の微粒子。
【請求項16】
前記活性物質が、前記微粒子の総重量に対して少なくとも25重量%までの濃度を有する殺生物剤である、請求項1に記載の微粒子。
【請求項17】
前記活性物質が、中実ミクロスフェア中に分散している、請求項1に記載の微粒子。
【請求項18】
前記乳化剤が、ポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の微粒子。
【請求項19】
少なくとも1種の活性物質を含む微粒子を調製する方法であって、水相及び有機相を別々に調製するステップを含み、前記水相が、水、及び乳化剤を含み、前記有機相が、有機溶媒、微粒子壁を形成するためのポリマー、及び前記活性物質を含む上記方法。
【請求項20】
前記溶媒が、酢酸エチルである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
大量の酢酸エチルが、肉眼で見えるプラスチック粒状物の形成をもたらすことなく前記エマルジョン中で使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記エマルジョン中の酢酸エチルの量が、前記乳化剤の加水分解度を変更することによって調節可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
酢酸エチルが、前記エマルジョン中の溶媒として前記水相中で使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
a)正確な撹拌下で、水相の一部に等量の有機相をゆっくりと添加するステップ、
b)前記エマルジョンを、前記水相のさらなる部分と混合し、前記エマルジョンを蒸発させて有機溶媒及び存在し得る共溶媒を除去し、ポリマー相の分離及び懸濁液の形成をもたらすステップ、及び
c)前記懸濁液から形成された微粒子を集めるステップ
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記微粒子が、前記懸濁液を遠心分離することによって集められる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記微粒子が、前記懸濁液の水相からの沈殿によって集められる、請求項25に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−527421(P2012−527421A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511248(P2012−511248)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056735
【国際公開番号】WO2010/133548
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511281534)カペコ エービー (1)
【Fターム(参考)】