説明

活性薬剤リザバの中への逆流を防止するための浸透圧送達システムにおける毛細管モデレーター

本発明は、有用薬剤を分注する浸透圧送達システムの中への逆流を防止するための装置および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、全体が引用により本明細書に組み込まれている、2004年2月10日出願の米国特許暫定出願番号60/543、423および2005年2月7日出願の米国特許出願番号(・・・)の特典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、有用薬剤を分注する浸透圧送達システムの中への逆流を防止するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有用薬剤の比較的長期に制御される送達は種々の方法により実施可能である。一つの優れた方法は移植可能な浸透圧送達システム(「ODS」)を使用することを伴う。一般に、ODSは、周囲の環境からの流体を一方のポートから取り込み、そしてもう一方のポート(「出口ポート」)から相当する量の有用薬剤を放出することにより作動する。圧力は浸透圧ポンプ、通常吸水剤により生じ、これによって出口ポートからのこの有用薬剤の信頼性のある、一定の送達速度が引き起される。
【0004】
外部流体は汚染、不安定化、希釈、あるいは他の態様での有用薬剤の配合の変動などによりこの有用薬剤の有用性に悪影響を及ぼし得るので、理想的には、この出口ポートはODSの中への外部流体の拡散または還流を防止しなければならない。更には、逆流は、有用薬剤の送達速度に多数の方法で悪影響を及ぼす可能性がある。更には、外部流体は有用薬剤の送達速度にも悪影響を及ぼす可能性のある出口ポートの詰まりを引き起こし得る。
【0005】
出口ポートにおける逆流は、スリットオリフィス((特許文献1)を参照)またはスライディングピストン((特許文献2)を参照)、ならびに単一の出口チャンネル付きの流れモデレーターを付加することにより対応された。長い真っ直ぐな出口チャンネル付きの系は、移植物のサイズを著しく増大させるために移植用途には非実用的である。移植物は可能な限り小さな断面を有するということが望まれるので、比較的短い軸方向の寸法の流れモデレーターが価値がある。過去には、単一の出口チャンネルが充分な通路長さを生じるようにハウジングからくねくねと彎曲されて、材料の内部への流速を阻止したが、当然のことながらこれは比較的複雑な製造条件を必要とする。
【特許文献1】米国特許第6,217,906号
【特許文献2】米国特許第6,508,808号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
逆流が本発明の毛細管モデレーターをこの出口ポートに付加することにより制御可能であることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
入口と出口を有するハウジング、このハウジング中に配設される有用薬剤のリザバおよびこの有用薬剤のリザバの中への逆流を防止するための、この出口中に配設される毛細管モデレーターを含んでなる、有用薬剤を分注するための浸透圧送達システムが述べられている。一つの態様においては、この毛細管モデレーターは疎水性に被覆された微小チャンネルを含む。
【0008】
環境とこの有用薬剤のリザバの間に毛細管モデレーターを設けることを含んでなる、浸透圧送達システムの有用薬剤のリザバの中への逆流を防止するため方法が述べられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、有用薬剤を分注する浸透圧送達システムの中への逆流を防止するための装置および方法に関する。
【0010】
浸透圧送達システム10はハウジング12を含んでなる。ハウジング12は、サイズまたは形状の変化無しで内容物の膨張に耐える充分剛直ないかなる材料からも作製され得る。ハウジング12が生体内で通常見出される流体および気体に不透過性であるということは理解される。
【0011】
入口ポート14と出口ポート16がハウジング12中に配設される。入口ポート14は流体がハウジング12に入るのを可能とするための半透膜を含み得る。図2を参照しながら更に詳細に述べられるように、出口ポート16は疎水性に被覆されている微小チャンネルを含む。
【0012】
ピストン18がハウジング12中にスライド可能なように配設され、そしてこのハウジングを2つの小室、すなわちポンプ小室20と送達小室22に分割して、その間を封止し、そして規定する。ポンプ小室20は水との接触時に膨潤する浸透剤を受け取る。この浸透剤は、例えば非揮発性の水溶性オスマジェント(osmagent)、またはオスモポリマー(osmopolymer)、またはこれらの混合物であり得る。膨潤時、この浸透剤はピストン18を出口ポート16に動かす力を及ぼし、それによって送達小室22中の圧力を増加させる。
【0013】
送達小室22は送達対象の有用薬剤を受け取る。ピストン18からの圧力を増加させることは、出口ポート16から環境中に有用薬剤を分注する。
【0014】
本発明の他の態様によれば、系10は異なる形をとり得る。例えば、ピストン18は、ダイアフラム、仕切り、パッド、平らなシート、回転楕円体、または剛直な金属合金などの可撓性部材により置き換えられ、そしていかなる数の不活性材料からも作製され得る。更には、この浸透剤/流体添加物とこの有用薬剤の界面を単純に有する系10はこのピストン無しで機能し得る。
【0015】
図2〜4に移ると、複数の微小チャンネル26を有する出口ポート16(図1)は毛細管モデレーター24を含んでなる。毛細管モデレーター24は複数の微小チャンネル26を有する。微小チャンネル26は毛細管モデレーター24を通って延び、そしてアレイ中に配設される。微小チャンネル26によって流体が環境から有用薬剤のリザバへと流れないようにする。
【0016】
一般に、微小チャンネル26は約10μm〜約100μmの範囲の直径を有する。好ましくは、微小チャンネル26は約15μm〜約50μmの範囲の直径を有する。更に好ましくは、微小チャンネル26は約15μm、約30μm、および約50μmから選択される直径を有する。
【0017】
微小チャンネル26は毛細管モデレーター24を通って延びて、この微小チャンネルの長さはこの毛細管モデレーターの厚さに依存する。一つの態様においては、微小チャンネル26は約150μm〜約400μmの範囲の長さを有する。好ましくは、微小チャンネル26は約300μmの長さを有する。
【0018】
一つの態様においては、微小チャンネル26は円形の断面である。理論に拘束されるのを望むのではないが、この円形の断面はチャンネルの断面中の面積に対する縁の比を最大とし、流体の表面エネルギーの効果が最大になると考えられる。
【0019】
一つの態様においては、微小チャンネル26は小円鋸歯状(crenulated)である。
【0020】
一つの態様においては、微小チャンネル26は20℃で30dyn/cm未満の界面張力を有し、低表面エネルギーをもたらすポリマーまたはこの混合物により被覆される。好ましくは、このポリマーは気体とされ、そして慣用のプラズマ被覆による塗布能力がある。
【0021】
一つの態様においては、微小チャンネル26は疎水性ポリマー、好ましくは疎水性フルオロポリマーにより被覆される。
【0022】
一つの態様においては、微小チャンネル26は、ポリ(1,1−ジヒドロ−ペルフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(1,2−ブタジエン)、ポリイソブチレン、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリプロピレン、ポリ(t−ブチルスチレン)、ポリ(ヘキサフルオロエチレン)およびポリ(テトラフルオロエチレン)を含むハロゲン化炭化水素、ポリ((ヘプタフルオロイソプロポキシ))エチレンを含むビニルポリマー、ポリ(エチルアクリレート)を含む非フッ素化アクリルポリマー、ポリ((1−クロロジフルオロメチル)テトラフルオロエチルアクリレート))、ポリ(ジ(クロロジフルオロメチル)フルオロメチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(5−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)ペンチルアクリレート)、ポリ(11−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2−ヘプタフルオロプロポキシ)エチルアクリレート、およびポリ(ノナフルオロイソブチルアクリレート)を含むフッ素化アクリルポリマー、ポリ(イソブチルメタクリレート)およびポリ(t−ブチルメタクリレート)を含む非フッ素化メタクリルポリマー、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロテトラフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロテトラフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(t−ノナフルオロブチルメタクリレート)を含むフッ素化メタクリルポリマー、ポリ(オキシイソブテン)−ジオールを含むポリエーテル、ポリ((ベンゾイルイミノ)エチレン)、ポリ((ブチリルイミノ)エチレン)、ポリ(ドデカノイルイミノ)エチレン)、ポリ((ヘプタノイルイミノ)エチレン)、ポリ((ヘキサノイルイミノ)エチレン)、ポリ(((3−メチル)ブチリルイミノ)エチレン)、ポリ((ペンタデカフルオロオクタデカノイルイミノ)エチレン)、およびポリ((ペンタノイルイミノ)エチレン)を含むポリ(イミン)、およびポリ(オキシジエチルシリレン)およびポリ(オキシジメチルシリレン)を含むポリ(シロキサン)の少なくとも1つにより被覆される。
【0023】
一つの態様においては、このポリマーは慣用のプラズマ被覆により塗布される。この微小チャンネル中の被膜の厚さは約0.50μm〜約2μmの範囲で変動し(varies)、好ましくは約1μmである。
【0024】
一つの態様においては、モデレーター24の作製は300μmの厚さを有する4”シリコンウエハーから開始する。次に、このウエハーはPiranha Cleanにより清浄化される。7μm厚のポジ型ホトレジストがこのウエハー上にスピンコートされる。微小チャンネルを所望する領域をパターニングするために、マスクが使用される。この微小チャンネルは、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)を適用することによりウエハーからエッチングされる。次に、このウエハーは酸素プラズマにより処理されて、ホトレジストを除去し、そして表面をクリーニングする。微小チャンネルを含むウエハー表面を被覆するために、4th State,Inc.(Belniont,California,USA)により実施可能なものなどのフルオロポリマープラズマ処理が使用される。
【0025】
ハウジング12に使用され得る材料は、移植時に受ける応力下で、あるいは操作時に生じる圧力による応力下でこのハウジングが確実に漏洩、ひび割れ、破壊あるいは変形しないほど充分に強くなければならない。ハウジング12は、当分野で既知の化学的に不活性で生体適合性な、天然あるいは合成材料から形成され得る。ハウジング12の材料は、好ましくはチタンなどの使用後患者中に残る非生体侵蝕性材料である。しかしながら、別法としては、ハウジング12の材料は、この有用薬剤の分注の後環境中で生体侵蝕する生体侵蝕性材料であり得る。一般に、ハウジング12用の好ましい材料はヒト移植物に受け入れ可能であるものである。一般に、本発明によるハウジング12に好適な通常の構築材料は、非反応性ポリマーまたは生体適合性金属あるいは合金を含む。このポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマーなどのアクリロニトリルポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーなどのハロゲン化ポリマー;ポリイミド;ポリスルホン;ポリカーボネート;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリビニルクロリド−アクリルコポリマー;ポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン;ポリスチレンなどを含む。ハウジング12に有用な金属材料は、ステンレススチール、チタン、白金、タンタル、金、およびこれらの合金、ならびに金メッキ鉄合金、白金メッキ鉄合金、コバルト−クロム合金および窒化チタン被覆のステンレススチールを含む。
【0026】
一般に、ピストン18での使用に好適な材料は、上掲の非反応性ポリマー、ならびにポリウレタンとポリアミド、塩素化ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、およびクロロプレンゴムなどの弾性体一般を含む弾性体材料である。
【0027】
この浸透剤は、この有用薬剤の流れの駆動に使用される流体吸引剤である錠剤であり得る。この浸透剤はオスマジェント、オスモポリマー、またはこの2つの混合物であり得る。オスマジェント、すなわち水に可溶であり、水の浸透圧流入を駆動する浸透圧勾配を作り出す非揮発性種のカテゴリーの中に入る種は巾広く異なる。例は当業界でよく知られ、そして硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、d−マンニトール、ソルビトール、イノシトール、尿素、コハク酸マグネシウム、酒石酸、ラフィノース、およびスクロース、グルコース、ラクトース、フラクトース、およびデクストラン、ならびにこれらの種々の種のいずれかの混合物などの種々のモノサッカライド、オリゴサッカライドおよびポリサッカライドを含む。オスモポリマーのカテゴリーの中に入る種は水との接触時に膨潤する親水性ポリマーであり、そしてこれらも広範に異なる。オスモポリマーは植物あるいは動物起源のもの、あるいは合成品であり得、そしてオスモポリマーの例は当分野でよく知られている。例は、30,000〜5,000、000の分子量のポリ(ヒドロキシ−アリルメタクリレート)、10,000〜360,000の分子量のポリ(ビニルピロリドン)、アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル、高分子電解質コンプレックス、グリオキサル、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドにより場合によっては架橋され、そして200〜30,000の重合度を有する低酢酸残基を有するポリ(ビニルアルコール)、メチルセルロースの混合物、架橋された寒天およびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物、N−ビニルラクタムのポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル、ポリオキシブチレン−ポリエチレンブロックコポリマーゲル、カロブガム(carob gum)、ポリアクリルゲル、ポリエステルゲル、ポリ尿素ゲル、ポリエーテルゲル、ポリアミドゲル、ポリペプチドゲル、ポリアミノ酸ゲル、ポリセルロースゲル、250,000〜4,000,000の分子量を有するカルボポル(carbopol)酸性カルボキシポリマー、Cyanamerポリアクリルアミド、架橋インデン−マレインアンハイドライドポリマー、80,000〜200,000の分子量を有するGood−Riteポリアクリル酸、100,000〜5,000,000の分子量を有するPolyoxポリエチレンオキシドポリマー、でんぷんグラフトコポリマー、およびAqua−Keepsアクリレートポリマーポリサッカライドを含む。
【0028】
本発明の一つの態様においては、小室22に入れられた有用薬剤は、液体、懸濁液、またはスラリーなどの流動性組成物であり、そして浸透剤とピストン18を挿入した後ハウジング12の中に注がれる。別法としては、このような流動性組成物は、針によりポート中のスリットから注入され得、これによって、空気泡無しで充填することが可能となる。本発明は、いかなる生理学的あるいは薬理学的に活性な物質を含む有用薬剤一般の投与にもあてはまる。この有用薬剤は、薬剤、薬物、ビタミン、栄養剤などの既知の薬剤のいずれでもあり得る。この有用薬剤は、プール、タンク、リザバなどの他のタイプの水性環境に送達される薬剤でもあり得る。この説明に合致する薬剤のタイプのなかには、殺生物剤、滅菌剤、栄養剤、ビタミン、食品サプリメント、性滅菌剤、受精能阻害剤および受精能促進剤が含まれる。本発明により送達され得る薬剤は、末梢神経、アドレナリン作用性受容体、コリン作用性受容体、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シノプシス部位、神経効果器接合部位、エンドクリンおよびホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、自能性薬物系、栄養および排泄系、ヒスタミン系および中枢神経系に対して作用する薬剤を含む。好適な薬剤は、例えば、タンパク、酵素、ホルモン、ポリヌクレオチド、ヌクレオタンパク、ポリサッカライド、グリコタンパク、リポタンパク、ポリペプチド、ステロイド、鎮痛剤、局部麻酔剤、抗生剤、抗炎症性コルチコステロイド、眼薬剤およびこれらの種の合成類似体から選択され得る。本発明による系により送達され得る薬剤の例は、限定ではないが、プロクロルペルジンエジシル酸塩、硫酸第二鉄、アミノカプロン酸、メカミルアミン塩酸塩、プロカインアミド塩酸塩、アンフェタミン硫酸塩、メタアンフェタミン塩酸塩、ベンザアンフェタミン塩酸塩、イソプロテレノール硫酸塩、フェンメトラジン塩酸塩、ベタネコール塩化物、メタコリン塩化物、ピロカルピン塩酸塩、アトロピン硫酸塩、スコポラミン臭化物、イソプロパミドヨウ化物、トリジヘキセチル塩化物、ペンフォルミン塩酸塩、メチルフェニデート塩酸塩、テオフィリンコリン酸塩、セファレキシン塩酸塩、ジフェニドール、メクリジン塩酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩、フェノキシベンザミン、チエチルペルジンマレイン酸塩、アニシンドン、ジフェナジオンエリスリチル四硝酸塩、ジゴクシン、イソフルロフェート、アセタゾールアミド、メタゾールアミド、ベンドロフルメチアジド、クロロプロマイド、トラザミド、クロルマジノン酢酸塩、フェナグリコドル、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフィゾキサゾール、エリスロマイシン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチコステロン酢酸塩、コルチゾン酢酸塩、ベタメタソンなどのデキサメタソンとその誘導体、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−S−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニソロン、17−ヒドロキシプロゲステロン酢酸塩、19−ノル−プロゲステロン、ノルゲストレル、ノレチンドロン、ノレチステロン、ノレチエデロン、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノレチノドレル、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダック、インドプロフェン、ニトログリセリン、イソソルビド二硝酸塩、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドーパ、クロルプロマジン、メチルドーパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラック、乳酸鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアザム、ミルリノン、カプロプリル、マンドール、クアンベンツ、ヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide)、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェヌフェン、フルプロフェン、トルメチン、アルクロフェナック、メフェナミック、フルフェナルニック、ジフイナル、ニモオジピン(nimodipine)、ニトレンジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン(lidoflazine)、チアピミル、ガロパミル、アモルジピン、ミオフラジン、リシノールプリル、エナラプリル、エナラプリラト、カプトプリル、ラミプリル、ファモチジン(famotidine)、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テトラトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム(diazepam)、アミトリプチリン、およびイミプラミンを含む。更なる例は、限定ではないが、インスリン、コルシシン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン、副甲状腺および下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロフィン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトトロピン、オキシトシン、バソプレシン、GRF、プロラクチン、ソマトスタチン、リプレシン、パンクレオジミン(pancreozymin)、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRHの作用薬および拮抗薬、ロイプロリド、インターフェロン、インターロイキン、ヒト生長ホルモン、ウシ生長ホルモンおよびブタ生長ホルモンなどの生長ホルモン、プロスタグランジンなどの受精能阻害剤、受精能促進剤、生長因子、凝固因子、ヒト膵臓ホルモン放出因子、これらの化合物の類似体および誘導体、およびこれらの化合物の医薬的に許容され得る塩、またはこれらの類似体または誘導体を含むタンパクおよびペプチドである。この有用薬剤は、固体、液体およびスラリーなどの広範で、多様な化学的および物理的な形で本発明に存在することができる。分子レベルで、この種々の形は、非荷電分子、分子状コンプレックス、および塩酸塩、臭化水素酸、硫酸塩、ラウリル酸塩、オレイン酸塩およびサリシル酸塩などの医薬的に許容され得る酸付加および塩基付加の塩を含み得る。酸性化合物に対しては、金属の塩、アミンまたは有機カチオンが使用され得る。エステル、エーテルおよびアミドなどの誘導体も使用可能である。活性薬剤は単独で、あるいは他の活性薬剤と混合されて使用可能である。
【0029】
有用薬剤の投与のためには、本発明の系は、皮下で、あるいは腹腔内に、あるいは浸透圧エンジンの活性化のために水性体液が使用可能である生物学的環境における任意の他の個所に移植され得る。本発明の系は生理学的あるいは水性環境の外の環境においても有用である。例えば、この系は、有用薬剤を送達するために静脈内系中で使用(例えば、IVポンプまたはバッグに、あるいはIV瓶に結合されて)され得る。これらは、例えば血液酸素付加装置、腎臓透析および電気泳動においても使用され得る。加えて、本発明の系は、細胞培養物に栄養剤または生長調整化合物の送達などの生物工学分野において使用され得る。
【実施例】
【0030】
試験においては、50μmおよび30μmの微小チャンネルの付いた本発明のモデレーターは、0.4psiおよび0.8psiの外側圧力を成功裏に阻止した。図5は50μmの被覆された微小チャンネルについての流れ速度に対する圧力のプロットを示す。
【0031】
この明細書中で引用あるいは記述された各特許、特許出願、および刊行物の開示は、引用により本明細書に全体で組み込まれている。
【0032】
各主張されている範囲は、すべての範囲の組み合わせおよび下位組み合わせ、ならびにその中に含まれる特定の数字を含む。
【0033】
この明細書で述べられたものに加えて、本発明の種々の改変は、当分野の専門家には前出の説明から明白になるであろう。このような改変も添付の特許請求の範囲内に入るように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】移植可能な浸透圧送達システムの概略断面図である。
【図2】本発明の毛細管モデレーターの概略斜視図である。
【図3A】本発明の毛細管モデレーターのSEM顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図3B】本発明の小円鋸歯状微小チャンネルのSEM顕微鏡写真のデジタル画像である。
【図4】本発明の微小チャンネルの概略図である。
【図5】50μmの被覆された微小チャンネルについての流れ速度に対する圧力のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と出口を有するハウジング;
このハウジング中に配設される有用薬剤のリザバ;および
この有用薬剤のリザバの中への逆流を防止するための、この出口中に配設される毛細管モデレーター
を含んでなる、有用薬剤を分注するための浸透圧送達システム。
【請求項2】
有用薬剤の制御された放出を引き起こすようにされた浸透圧ポンプを更に含んでなる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
毛細管モデレーターが環境と有用薬剤のリザバの間に配設される複数の微小チャンネルを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
微小チャンネルによって流体が環境から有用薬剤のリザバへと流れないようにされる請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
微小チャンネルが約10μm〜約100μmの範囲の直径を有する請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
微小チャンネルが約15μm〜約50μmの範囲の直径を有する請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
微小チャンネルが約15μm、約30μm、および約50μmから選択される直径を有する請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
微小チャンネルが約150μm〜約400μmの範囲の長さを有する請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
微小チャンネルが約300μmの長さを有する請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
微小チャンネルが小円鋸歯状である請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
微小チャンネルが疎水性ポリマーにより被覆されている請求項3に記載のシステム。
【請求項12】
微小チャンネルが疎水性フルオロポリマーにより被覆されている請求項3に記載のシステム。
【請求項13】
ポリマーがポリ(1,1−ジヒドロ−ペルフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(1、2−ブタジエン)、ポリイソブチレン、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリプロピレン、ポリ(t−ブチルスチレン)、ポリ(ヘキサフルオロエチレン)およびポリ(テトラフルオロエチレン)を含むハロゲン化炭化水素、ポリ((ヘプタフルオロイソプロポキシ))エチレンを含むビニルポリマー、ポリ(エチルアクリレート)を含む非フッ素化アクリルポリマー、ポリ((1−クロロジフルオロメチル)テトラフルオロエチルアクリレート))、ポリ(ジ(クロロジフルオロメチル)フルオロメチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(5−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)ペンチルアクリレート)、ポリ(11−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2−ヘプタフルオロプロポキシ)エチルアクリレート、およびポリ(ノナフルオロイソブチルアクリレート)を含むフッ素化アクリルポリマー、ポリ(イソブチルメタクリレート)およびポリ(t−ブチルメタクリレート)を含む非フッ素化メタクリルポリマー、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロテトラフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロテトラフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(t−ノナフルオロブチルメタクリレート)を含むフッ素化メタクリルポリマー、ポリ(オキシイソブテン)−ジオールを含むポリエーテル、ポリ((ベンゾイルイミノ)エチレン)、ポリ((ブチリルイミノ)エチレン)、ポリ(ドデカノイルイミノ)エチレン)、ポリ((ヘプタノイルイミノ)エチレン)、ポリ((ヘキサノイルイミノ)エチレン)、ポリ(((3−メチル)ブチリルイミノ)エチレン)、ポリ((ペンタデカフルオロオクタデカノイルイミノ)エチレン)、およびポリ((ペンタノイルイミノ)エチレン))を含むポリ(イミン)、およびポリ(オキシジエチルシリレン)およびポリ(オキシジメチルシリレン)を含むポリ(シロキサン)の少なくとも1つから選択される請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
微小チャンネル中の被膜の厚さが約0.50μm〜約2μmの範囲で変動する請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
微小チャンネル中の被膜の厚さが約1μmである請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
環境と有用薬剤のリザバの間に毛細管モデレーターを設けることを含んでなる、浸透圧送達システムの有用薬剤のリザバの中への逆流を防止するため方法。
【請求項17】
毛細管モデレーターがこの中を延びる複数の微小チャンネルを有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
微小チャンネルが小円鋸歯状である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
微小チャンネルを疎水性ポリマーにより被覆することを更に含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
このポリマーがポリ(1,1−ジヒドロ−ペルフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(1,2−ブタジエン)、ポリイソブチレン、ポリ(ビニルフルオリド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリプロピレン、ポリ(t−ブチルスチレン)、ポリ(ヘキサフルオロエチレン)およびポリ(テトラフルオロエチレン)を含むハロゲン化炭化水素、ポリ((ヘプタフルオロイソプロポキシ))エチレンを含むビニルポリマー、ポリ(エチルアクリレート)を含む非フッ素化アクリルポリマー、ポリ((1−クロロジフルオロメチル)テトラフルオロエチルアクリレート))、ポリ(ジ(クロロジフルオロメチル)フルオロメチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルアクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート)、ポリ(5−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)ペンチルアクリレート)、ポリ(11−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)エチルアクリレート)、ポリ(2−ヘプタフルオロプロポキシ)エチルアクリレート、およびポリ(ノナフルオロイソブチルアクリレート)を含むフッ素化アクリルポリマー、ポリ(イソブチルメタクリレート)およびポリ(t−ブチルメタクリレート)を含む非フッ素化メタクリルポリマー、ポリ(1,1−ジヒドロペンタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタデカフルオロオクチルメタクリレート)、ポリ(ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロテトラフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(1,1−ジヒドロテトラフルオロプロピルメタクリレート)、ポリ(1−ヒドロヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(t−ノナフルオロブチルメタクリレート)を含むフッ素化メタクリルポリマー、ポリ(オキシイソブテン)−ジオールを含むポリエーテル、ポリ((ベンゾイルイミノ)エチレン)、ポリ((ブチリルイミノ)エチレン)、ポリ(ドデカノイルイミノ)エチレン)、ポリ((ヘプタノイルイミノ)エチレン)、ポリ((ヘキサノイルイミノ)エチレン)、ポリ(((3−メチル)ブチリルイミノ)エチレン)、ポリ((ペンタデカフルオロオクタデカノイルイミノ)エチレン)、およびポリ((ペンタノイルイミノ)エチレン)を含むポリ(イミン)、およびポリ(オキシジエチルシリレン)およびポリ(オキシジメチルシリレン)を含むポリ(シロキサン)の少なくとも1つから選択される請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−521887(P2007−521887A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552373(P2006−552373)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/004277
【国際公開番号】WO2005/077334
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】