説明

活物質層形成装置、活物質層形成方法及び電池製造方法

【課題】従来に比べて簡易な工程及び装置構成で、高アスペクト比で厚膜の活物質層を形成でき、充放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を製造できる技術を提供する。
【解決手段】正極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第一吐出口と、第一吐出口と同一面上で第一方向において互いに隣接しており、負極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第二吐出口と、第一吐出口に連通しており、正極活物質層形成用材料を貯蔵するための第一バッファ空間と、第二吐出口に連通しており、負極活物質層形成用材料を貯蔵するための第二バッファ空間と、第一バッファ空間に正極活物質層形成用材料を供給するための第一供給口と、第二バッファ空間に負極活物質層形成用材料を供給するための第二供給口と、を有する活物質層形成用ノズルを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質層間に固体電解質層を介在させてなるリチウムイオン二次電池等の活物質層形成装置、活物質層形成方法及び電池製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からのリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解質及びセパレータ等で構成されているが、近年、安全性を向上させるために固体化した電解質(固体電解質)を含むリチウム二次電池の開発が盛んに行われている。
【0003】
この固体電解質はリチウムイオン伝導度が低いため、固体電解質を含むリチウム二次電池においては、正極と負極との間隔をできるだけ狭く、かつ、正極及び負極の電極面積をできるだけ大きくすることが重要である。
【0004】
この点に着目し、例えば、特許文献1(特開2006−147210号公報)においては、低コスト、高安全性、高エネルギー密度・高出力を実現する固体電解質二次電池構造を提供することを意図する技術が提案されている。
【0005】
即ち、上記特許文献1においては、表面が平坦な基板上に、正極集電体と負極集電体をそれぞれ対向した櫛歯型形状でパターニングし、この正及び負集電体上に正電極(本発明でいうところの正極活物質)材料及び負電極(本発明でいうところの負極活物質)材料の粒子を集電体面の垂直方向に電子写真方式によりパターニングし、縦型の電極を形成し、正及び負電極間に形成される空隙を固体電解質で充填した平面状櫛歯型形状の二次電池構成が提案されている(特許文献1、要約等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−147210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1において提案されている技術では、電子写真方式を採用しているため、高アスペクト比で厚膜の活物質層を形成しにくく、最終的に得られる電池の性能に劣るという問題があり、また、ここで用いられている電子写真方式は、転写版を用いる転写プロセスであり、当該転写版を帯電させることが必要もあるため、工程及び装置構成が煩雑になるという問題がある。
【0008】
以上の問題点に鑑み、本発明の目的は、従来に比べて簡易な工程及び装置構成で、高アスペクト比で厚膜の活物質層を形成することができ、充放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明者らはまず、工程及び装置構成が煩雑な電子写真方式に代わる活物質層形成方法として、ノズルディスペンス法があることに着目し、図10に示すように、従来の吐出口が一つのノズル300を基材302に対して傾斜させて矢印Zの方向に移動させて正極活物質層304を形成し、その後に吐出口が一つの別のノズルで負極活物質層を形成してみた(なお、図10においては、便宜上ノズルのいわゆるヘッドの部分のみを示している。)。
【0010】
ところが、基板302からのノズル300の高さ(ノズルギャップ)hが約40〜50μmであるのに対し、予め形成した正極活物質層304の厚さtが約100μmであるため、負極活物質層形成時にノズルで正極活物質層を壊してしまうため、正極活物質層304の厚さt、即ちアスペクト比を低くせざるを得ないという問題があった。
【0011】
また、ノズル300の先端を鋭利に加工し、例えば鳥の口ばしのような形状にすることも考えられるが、要求される正極活物質層と負極活物質層との間隔が極めて狭いため、これを満たす程に先端が鋭利なノズルを得ることは困難であり、また、先端を細くし過ぎると、表面張力で活物質層形成用材料を吐出しにくいという問題も生じ得る。
【0012】
そこで、本発明者らは、ノズルディスペンス法に用いるノズルの構造について鋭意研究を行い、上記課題を解決し得る活物質層形成用ノズル、これを用いた活物質層形成装置、活物質層形成方法及び電池製造方法を完成するに至った。
【0013】
本発明は、
正極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第一吐出口、前記第一吐出口と同一面上で第一方向において互いに隣接しており、負極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第二吐出口、前記第一吐出口に前記正極活物質層形成用材料を供給するための第一供給口、及び前記第二吐出口に前記負極活物質層形成用材料を供給するための第二供給口を有する活物質層形成用ノズルと、
活物質層を形成するための基材に対し、前記活物質層用ノズルを、前記第一方向に略直交する面における第二方向にむけて相対移動させる走査手段と、
前記活物質層用ノズルを走査させながら、前記第一吐出口から前記正極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出させるとともに、前記第二吐出口から前記負極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出させ、互いに平行な正極活物質層及び負極活物質層からなる活物質層パターンを形成する制御手段と、
を有すること、
を特徴とする活物質層形成装置を提供する(請求項1)。
【0014】
このような構成を有する活物質層形成用ノズルを含む活物質層形成装置を用いれば、電子写真方式に比べて工程及び装置構成が簡易なノズルディスペンス法により、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料をそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時に吐出することができ、基材の同一面上に、高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0015】
上記本発明の活物質層形成装置は、前記基材と前記活物質形成用ノズルとの間隔Dと前記活物質層の高さHとが、関係式:D<Hを満たすように、前記活物質形成用ノズルの高さを調整するための高さ位置調整手段を有し、前記第一吐出口及び前記第二吐出口からそれぞれ前記正極活物質層形成用材料及び前記負極活物質層形成用材料が、前記活物質形成用ノズルの進行方向の後方側でかつ下方に向けて吐出する位置関係で、前記活物質層形成用ノズル及び前記走査手段が設けられていること、が好ましい(請求項2)。
【0016】
このような構成によれば、形成された正極活物質層及び負極活物質層が、活物質層形成用ノズルが接触することによって破壊されたりその形状を損なったりすることがなく、より確実に、基材の同一面上に、互いに平行で、緻密に隣接した、高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0017】
また、本発明の活物質層形成装置においては、前記活物質層形成用ノズルが、前記第一供給口と前記第一吐出口との間に設けられ、前記正極活物質層形成用材料を貯蔵するための第一バッファ空間と、前記第二供給口と前記第二吐出口との間に設けられ、前記負極活物質層形成用材料を貯蔵するための第二バッファ空間と、を有すること、が好ましい(請求項3)。
【0018】
このような構成を有する活物質層形成用ノズルを含む活物質層形成装置を用いれば、第一バッファ空間及び第二バッファ空間に、それぞれ正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を貯蔵し、電子写真方式に比べて工程及び装置構成が簡易なノズルディスペンス法により、効率よく正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料をそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時に吐出することができ、基材の同一面上に、高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0019】
上記本発明の活物質層形成装置においては、活物質層形成用ノズルにおいては、前記第一吐出口及び前記第二吐出口が、スリット状の形状を有していること、が好ましい(請求項4)。
【0020】
このような構成によれば、正極活物質層形成用インク及び負極活物質層形成用インクをそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時により確実に線状に吐出することができ、基材の同一面上に、互いに平行で、緻密に隣接した、高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で膜厚の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0021】
また、上記本発明の活物質層形成装置においては、前記制御手段が、前記基材上に、互いに間隔をおいて噛み合う櫛歯状の正極活物質層及び負極活物質層を形成するように前記走査手段を制御すること、が好ましい(請求項5)。
【0022】
このような構成によれば、電子写真方式に比べて工程及び装置構成が簡易なノズルディスペンス法により、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料をそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時に吐出することができ、基材の同一面上に、より確実に高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0023】
また、本発明は、基材に対し、正極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第一吐出口、前記第一吐出口と同一面上で第一方向において互いに隣接しており、負極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第二吐出口、前記第一吐出口に前記正極活物質層形成用材料を供給するための第一供給口、及び前記第二吐出口に前記負極活物質層形成用材料を供給するための第二供給口を有する活物質層形成用ノズルを、前記第一方向に略直交する面における第二方向にむけて相対移動させながら、前記第一吐出口から前記正極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出するとともに、前記第二吐出口から前記負極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出し、互いに平行な正極活物質層及び負極活物質層からなる活物質層パターンを形成すること、
を特徴とする活物質層形成方法にも関する(請求項6)。
【0024】
このような構成を有する活物質層形成方法を用いれば、電子写真方式に比べて工程及び装置構成が簡易なノズルディスペンス法により、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料をそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時に吐出することができ、基材の同一面上に、高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0025】
また、本発明の活物質層形成方法においては、前記基材と前記活物質形成用ノズルとの間隔Dと前記活物質層の高さHとが、関係式:D<Hを満たすように、前記活物質形成用ノズルの高さを調整し、前記活物質形成用ノズルのうちの前記第一吐出口及び前記第二吐出口から、それぞれ前記正極活物質層形成用材料及び前記負極活物質層形成用材料を、前記活物質形成用ノズルの進行方向の後方側でかつ下方に向けて吐出させること、が好ましい(請求項7)。
【0026】
このような構成によれば、形成された正極活物質層及び負極活物質層が、活物質層形成用ノズルが接触することによって破壊されたりその形状を損なったりすることがなく、より確実に、基材の同一面上に、互いに平行で、緻密に隣接した、高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0027】
また、上記本発明の活物質層形成方法においては、前記基材上に、互いに間隔をおいて噛み合う櫛歯状の正極活物質層及び負極活物質層を形成すること、が好ましい(請求項8)。
【0028】
このような構成によれば、電子写真方式に比べて工程及び装置構成が簡易なノズルディスペンス法により、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料をそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時に吐出することができ、基材の同一面上に、より確実に高容量の電池を実現し得る高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。
【0029】
更に、本発明は、上記活物質層形成方法により正極活物質層及び負極活物質層を形成し、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に固体電解質層を形成して電池を作製すること、を特徴とする電池製造方法にも関する(請求項9)。
【0030】
このような構成を有する電池製造方法を用いれば、電子写真方式に比べて工程及び装置構成が簡易なノズルディスペンス法により、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料をそれぞれ第一吐出口及び第二吐出口から同時に吐出することができ、基材の同一面上に、高アスペクト比で厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を形成することができるため、高容量の電池用電極を備えた電池が得られる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、従来に比べて簡易な工程及び装置構成で、高アスペクト比で厚膜の活物質層を形成することができ、充放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができる活物質層形成用ノズル、これを用いた活物質層形成方法、電極製造装置、電極製造方法及び電極製造装置を実現できる。また、このような本発明によれば、リチウムイオン二次電池を短時間で大量生産することができ、生産効率が向上し、リチウムイオン二次電池を安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態において製造されるリチウムイオン二次電池の概略縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態において用いられる、基材の表面に正極集電体及び負極集電体が形成された積層体の概略斜視図である。
【図3】本発明の活物質層形成用ノズルの一実施形態の概略正面図である。
【図4】図3に示す本発明の活物質層形成用ノズル50の一実施形態の概略底面図である。
【図5】図3に示す本発明の活物質層形成用ノズル50の、矢印Xの方向からみた、概略側面図である。
【図6】図3に示す本発明の活物質層形成用ノズル50の、Y−Y線切断面を示す概略縦断面図である。
【図7】図3に示す本発明の活物質層形成用ノズル50の分解図である。
【図8】本発明の一実施形態のノズルディスペンス法に用いる塗布ユニットの構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の変形例において製造されるリチウムイオン二次電池の概略上面図である。
【図10】従来のノズルディスペンス法におけるノズルを用いて活物質層を形成する様子を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の活物質層形成装置、活物質層形成方法及び電極製造方法の実施形態の一例について説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであり、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0034】
本実施形態では、図1に示す構造のリチウムイオン二次電池を製造する場合について本発明を説明する。図1は、本実施形態において製造されるリチウムイオン二次電池の概略縦断面図である。また、図2は、図1において、正極領域2及び負極領域4を形成する前の状態を示しており、本実施形態において用いられる、基材の表面に正極集電体及び負極集電体が形成された積層体の概略斜視図である。
【0035】
(1)リチウムイオン二次電池の構造
図1に示すリチウムイオン二次電池1は、絶縁性の基材10の表面に、正極領域2及び負極領域4が固体電解質層6を隔てて交互に並べられた構成を有しており、全体を保護層8が覆っている。正極領域2には、基材10の表面に設けられた正極集電体12と、正極集電体12の表面に設けられた正極活物質層14と、の積層体からなる正極構造体16が形成されている。
【0036】
図2に示すように、正極集電体12は、所定間隔で複数の歯を備えた櫛歯状の形状を有しており、それぞれの歯が正極領域2に位置し、端部12aは正極タブを構成している。正極集電体12の全体は1つの金属層(膜)であり、複数の正極領域2に形成された正極集電体12は互いに電気的に接続されている。
【0037】
負極領域4には、同様に、基材10の表面に設けられた負極集電体18と、負極集電体18の表面に設けられた負極活物質層20と、の積層体からなる負極構造体22が形成されている。図2に示すように、負極集電体18は、所定間隔で複数の歯を備えた櫛歯状の形状を有しており、それぞれの歯が負極領域4に位置し、端部18aは負極タブを構成している。負極集電体18の全体は1つの金属層(膜)であり、複数の負極領域4に形成された負極集電体18は互いに電気的に接続されている。
【0038】
また、正極集電体12及び負極集電体18の櫛歯の間隔(ピッチ)は略同一であり、双方の櫛歯が反対側から延びて交互に平行に位置するように(間隔をおいて噛み合うように)、正極集電体12及び負極集電体18が相対向して設けられている。
【0039】
基材10の表面のうちの正極集電体12の櫛歯と負極集電体18の櫛歯との間の隙間A(図2参照)は、図1に示す固体電解質層6が設けられる電解質領域である。この電解質領域には、固体電解質の材料を含む固体電解質形成用材料が、ノズルディスペンス法により塗布され、固体電解質6が形成される。
【0040】
保護層8は、正極領域2に形成された正極活物質層14、負極領域4に形成された負極活物質層20、及び固体電解質層6の表面を連続的に覆うように設けられている。この保護層8を構成する材料としては、例えば、固体電解質層6と同じものを用いることができる。
【0041】
(2)リチウムイオン二次電池の製造
本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、概して、
(i)絶縁性の基材10への正極集電体12及び負極集電体18の形成、
(ii)正極活物質層14及び負極活物質層20の同時形成、
(iii)固体電解質層6の形成、
(iv)保護層8の形成、
という工程により製造することができる。
【0042】
(i)絶縁性の基材への正極集電体及び負極集電体の形成
まず、絶縁性の基材10の表面に正極集電体12及び負極集電体18を形成する。基材10としては絶縁性材料で形成された平板状部材を用いればよく、かかる絶縁性材料としては、例えば樹脂、ガラス又はセラミックス等が挙げられる。また、基材10は可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。
【0043】
本実施形態においては、基材10の表面に、フォトリソグラフィ方式によって正極集電体12及び負極集電体18を形成する。まず基材10の表面に化学蒸着(CVD)法又はスパッタリング法によって正極集電体12を構成する金属(例えばアルミニウム)で金属膜を形成する。ついで、当該膜の上にフォトレジスト(感光性材料)を塗布してレジスト膜を形成し、当該レジスト膜の表面を櫛歯状のパターンを有する正極集電体12の形状に露光する。続いて、現像処理によってレジスト膜の露光部分(又は非露光部分)を除去し、残ったレジスト膜をマスクとして金属膜のエッチングを行う。その後、全てのレジスト膜を除去することにより、櫛歯状の形状を有する正極集電体12を基材10の表面に形成することができる。
【0044】
同様にして、櫛歯状の形状を有する負極集電体18も形成することができる。本実施形態においては、先に形成した正極集電体12をマスキングし、負極集電体18を構成する金属(例えば銅)で金属膜を形成すればよい。正極集電体12のマスクとしては、上記の現像処理後に残ったレジスト膜をそのまま用いてもよい。
【0045】
この時点で、図2に示す基材10の表面に正極集電体12及び負極集電体18が形成された積層体が得られる。図2に示すように、正極集電体12及び負極集電体18の双方の櫛歯が、一定の間隔(ピッチ)で、互いに反対側から延びて交互に平行に位置するように(間隔をおいて噛み合うように)、正極集電体12及び負極集電体18が相対向して設けられている。
【0046】
正極集電体12及び負極集電体18を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス等を用いることができるが、正極集電体12と負極集電体18との間の電位差、及び導電性の観点から、本実施形態のように、正極集電体12をアルミニウムで構成し、負極集電体18を銅で構成するのが好ましい。なお、正極集電体12及び負極集電体18の厚さは特に限定されるものではなく適宜選択すればよいが、例えば5μm〜20μmとすることができる。
【0047】
正極集電体12及び負極集電体18の形成方法は、上記のようなフォトリソグラフィ法に限定されるものではなく、所定の形状を有する金属膜を形成し得る従来公知の種々の方法を用いることができる。例えば、インクジェット印刷法、インプリント技術、電子写真方式の他、後述するノズルディスペンス法も用いることができる。
【0048】
(ii)正極活物質層及び負極活物質層の同時形成
次に、本実施形態においては、図3〜図7に示す本発明の活物質層形成用ノズルの一実施形態に係る活物質層形成用ノズル50を用いて、本発明の活物質層形成方法の一実施形態を実施して、正極活物質層14及び負極活物質層20を同時に形成する。
【0049】
ここで、図3は、本実施形態において用いる活物質層形成用ノズル50の概略正面図であり、図4は、図3に示す活物質層形成用ノズル50の概略底面図である。また、図5は、図3に示す活物質層形成用ノズル50の、矢印Xの方向からみた、概略側面図であり、図6は、図3に示す活物質層形成用ノズル50の、Y−Y線切断面を示す概略縦断面図である。
【0050】
ノズル50は、図4に示すように、正極活物質層形成用材料を吐出するための4つの第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)と、第一吐出口58と同一面上で第一方向(矢印Dの方向)において互いに隣接しており、負極活物質層形成用材料を吐出するための4つの第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)と、を有している。リチウムイオン二次電池1では、一般的に正極領域2及び負極領域4の数は同じであるため、第一吐出口58及び第二吐出口68の数も同じであるのが好ましい。
【0051】
これら第一吐出口58及び第二吐出口68は、上記の正極集電体12と負極集電体18の櫛歯のピッチと同じ間隔で、同一面上に設けられており、その開口形状はスリット形状(略長方形状)で、それらの幅はそれぞれ正極領域2及び負極領域4の幅と略同一に設計されている。そのため、第一吐出口58及び第二吐出口68から、それぞれ正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を同時に吐出することにより、正極集電体12と負極集電体18の櫛歯上に、正極活物質層14及び負極活物質層20を同時に形成することができる。隣接する第一吐出口58及び第二吐出口68のピッチ(間隔)は、例えば、50μm〜600μmに設定することができ、開口の幅は、例えば、40μm〜200μmに設定することができる。
【0052】
また、ノズル50は、図5に示すように、第一吐出口58は、流路56で、正極活物質層形成用材料を貯蔵するための空洞からなる第一バッファ空間52と連通しており、第二吐出口68は、流路66で、負極活物質層形成用材料を貯蔵するための空洞からなる第二バッファ空間62と連通している。
【0053】
より具体的には、図4に示す正極活物質層形成用材料を吐出する第一吐出口58(58a、58b、58c)は、図3に示すように、流路56(56a、56b、56c、56d)によって、第一バッファ空間52に連通しており、図4に示す負極活物質層形成用材料を吐出する第二吐出口58(68a、68b、68c、68d)は、図示していないが、4本の流路66(図5参照)によって、第二バッファ空間62に連通している。
【0054】
なお、ノズル50に設ける第一吐出口58及び第二吐出口68の個数は特に限定されるものではなく、正極集電体12と負極集電体18の櫛歯の数に応じて適宜選択してもよく、櫛歯の数に比べて少ない数であっても、ノズル50の制御により櫛歯の数に応じた正極活物質層14及び負極活物質層20の形成は可能である。
【0055】
第一バッファ空間52には、正極活物質層形成用材料を供給するための第一供給口54が設けられており(図3及び図5参照)、第二バッファ空間62には、負極活物質層形成用材料を供給するための第二供給口64が設けられている(図5参照)。図8を参照して後述するように、これら第一供給口54及び第二供給口64には、それぞれ正極活物質層形成用材料用のタンク及び負極活物質層形成用材料用のタンクが制御弁を介して接続されており、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の吐出の開始又は停止を互いに独立して制御することができる。
【0056】
本実施形態におけるノズル50は、例えばステンレス鋼、セラミックス又は石英ガラス等で構成することができ、例えば図7に示すように3つの部材をそれぞれ別個に作製し、それらを溶接等により接合・一体化して単一部材とすることにより作製することができる。図7は、本実施形態のノズル50を構成する部材を示す分解図である。
【0057】
また、ノズル50は従来公知の他の方法によっても作製することができる。例えば第一吐出口及び第二吐出口がそれぞれ1つずつ備えるノズルのように、図3〜図7に示す本実施形態のノズル50の構造に比べて簡易な構造のノズルを作製する場合には、鋳造等によってノズルを作製することも考えられる。
【0058】
図7に示すように、正極活物質層形成用材料を供給する側の部材50a、負極活物質層形成用材料を供給する側の部材50c、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の吐出口を有する部材50bで、ノズル50を構成してもよい。なお、流路56及び流路66は、部材50bに形成しなくても、それぞれ部材50a及び部材50cに形成することも可能である。
【0059】
次に、このノズル50を用いたノズルディスペンス法に用いる活物質層形成用塗布ユニットの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図8は、本実施形態のノズルディスペンス法に用いる塗布ユニットの構成を示す図である。図8には、方向関係を明確にするために、Z1軸方向を鉛直方向とし、X平面を水平面とするX直交座標系を付している。
【0060】
この塗布ユニット100には、基台102上にステージ移動機構104が設けられており、基材10を保持するステージ106が、ステージ移動機構104によって水平方向(X平面内)で移動可能な構成を有している。即ち、本実施形態においては、固定設置されたノズル50に対して、基材10を保持するステージ106が水平面内で移動することにより、ノズル50が基材10の表面に対して相対的に移動することができる。したがって、本実施形態においては、ステージ移動機構104がノズル50を基材10に対して走査させる走査手段に相当する。
【0061】
ステージ移動機構104は、下段からステージ106をX方向に移動させるX方向移動機構108、X方向と直交するY方向に移動させるY方向移動機構110、及び鉛直方向(Z方向)に沿った軸を中心に回転させるθ回転機構112を備えている。
【0062】
方向移動機構108は、モータ114に接続されたボールネジ116と、Y方向移動機構110に固定されるとともにボールネジ116に螺合されているナット118と、で構成されている。ボールネジ116の上方にはガイドレール120が固定され、モータ114が回転すると、ナット118とともにY方向移動機構110がガイドレール120に沿ってX方向に滑らかに移動する。
【0063】
方向移動機構110は、モータ122、ボールネジ機構及びガイドレール124を有し、モータ122が回転すると、ボールネジ機構によってθ回転機構112がガイドレール124に沿ってY方向に移動する。そして、θ回転機構112は、モータ126によってステージ106をZ方向に沿った軸を中心に回転させる。
【0064】
このような構成により、ノズル50は、ステージ移動機構104によって基材10の表面に対して、X方向及びY方向に自在に相対的に移動させることができ、基材10に対する姿勢も変更可能となっている。なお、基材10とノズル50との距離(基材10に対するノズル50の高さ位置)を調整するための高さ位置調整手段は、特に図示していないが、ノズル50に設けられている。
【0065】
塗布ユニット100に固定設置されたノズル50の第一供給口54には、供給管128の一端が接続されており、供給管128の途中には逆止弁130が接続されている。また、供給管128の他端は2つの管に分岐されており、一方は第一ポンプ132に接続され、他方は制御弁134を介して正極活物質層形成用材料を貯留するタンク136に接続されている。
【0066】
また、塗布ユニット100に固定設置されたノズル50の第二供給口64には、供給管138の一端が接続されており、供給管138の途中には逆止弁140が接続されている。また、供給管138の他端は2つの管に分岐されており、一方は第二ポンプ142に接続され、他方は制御弁144を介して負極活物質層形成用材料を貯留するタンク146に接続されている。
【0067】
ステージ移動機構104の各モータ、第一ポンプ132、第二ポンプ142、制御弁134及び制御弁144は、制御手段である制御部148に電気的に接続されている(各モータへの電気的接続の図示は省略)。これにより、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の吐出の開始又は停止は互いに独立して制御することができる。
【0068】
制御部148のハードウェアとしての構成は一般的な電子計算機(コンピュータ)と同様であればよい。即ち、制御部148は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM、及び制御用ソフトウェア及びデータ等を記憶しておく磁気ディスク等を、具備している。
【0069】
このような構成を有する制御部148のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、塗布ユニット100のステージ移動機構104の各モータ、第一ポンプ132、第二ポンプ142、制御弁134及び制御弁144が制御部148に制御され、それぞれ正極領域2及び負極領域4に対する正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の塗布が実行される。
【0070】
以上のような構成を有する塗布ユニット100によって正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を塗布する場合の動作について説明する。まず、櫛歯状の正極集電体12及び負極集電体18が形成された基材10を、例えばクランプ機構(図示せず)によってステージ106の上面に固定して設置する(図2参照)。ここでは、基材10の櫛歯状の正極集電体12及び負極集電体18の長手方向がX方向に沿うように固定されている。
【0071】
その後、制御部148により、ステージ移動機構104の各モータを駆動制御して、ステージ106に固定された基材10の姿勢や位置を調整し、塗布開始位置に移動させる。塗布開始位置は、ノズル50の第一吐出口58及び第二吐出口68がそれぞれ正極領域2及び負極領域4の鉛直方向上側となる位置である。この塗布開始位置への移動が終わった後に、ノズル50から正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の吐出が開始され、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料がそれぞれ正極活物質層14及び負極活物質層20が同時に形成される。
【0072】
ノズル50からの正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の吐出は、図8に示す逆止弁130、逆止弁140、第一ポンプ132、第二ポンプ142、制御弁134及び制御弁144によって行われる。まず、制御部148の制御により制御弁134及び制御弁144が開放された状態で、第一ポンプ132及び第二ポンプ142が吸引動作を行う。このとき、逆止弁130及び逆止弁140によって、ノズル50からの正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の逆流が防止されるため、タンク136及びタンク146から、それぞれ第一ポンプ132及び第二ポンプ142へと、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料が吸引される。
【0073】
次に、制御部148の制御により、制御弁134及び制御弁144が閉止され、第一ポンプ132及び第二ポンプ142が押出動作を行う。これにより、第一ポンプ132及び第二ポンプ142からノズル50に正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料が供給される。
【0074】
ノズル50に供給された正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料は、それぞれ第一供給口54及び第二供給口64から第一バッファ空間52及び第二バッファ空間62に送り込まれた後、複数の第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)及び複数の第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)から下方に向けて吐出される(図4参照)。即ち、図10に示した従来技術と同様に、図8に示すように、第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)及び第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)からそれぞれ正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料が、ノズル50の進行方向(図10では矢印Zの方向に対応)の後方側でかつ下方に向けて吐出する位置関係で、ノズル50及び走査手段であるステージ移動機構104が設けられている。
【0075】
ここで、ノズル50は、図示しない高さ位置調整手段により、図10に示すような位置関係、即ち、上述したような基材10とノズル50の間隔D(図10におけるhに対応)と、形成される活物質層の高さH(図10におけるtに対応)とが、関係式:D<Hを満たすような位置関係、を充足しており、この条件下において、高アスペクト比を有する厚膜の正極活物質層及び負極活物質層を狭い間隔で形成することができる。
【0076】
このように、ノズル50では、バッファ空間を介して正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を吐出しているため、図4において矢印Dで示される方向に並列している複数の第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)及び複数の第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)から、均一な流量で正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を吐出し易い。なお、複数の吐出口からの吐出に対して圧力が足りない場合を考慮して、ノズル50にシリンジポンプを設けてもよい。
【0077】
第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)及び第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)からの正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の吐出を開始すると同時に、制御部148が、ステージ移動機構104を制御してステージ106の移動を開始する。本実施形態においては、ノズル50が複数の第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)及び複数の第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)から、それぞれ正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を連続的に吐出しつつ、ステージ106が一方向に移動して、正極領域2及び負極領域4に直線状に正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を塗布する。
【0078】
このとき、それぞれ複数の吐出口から正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を同時に吐出しているため、互いに平行な複数の直線形状の正極活物質層14及び負極活物質層20を一回のノズル走査で形成することができる。また、正極集電体12及び負極集電体18の上にそれぞれ正極活物質層14及び負極活物質層20を厚膜に形成することができ、正極活物質層14と負極活物質層20との間隔(即ち、正極活物質層14と負極活物質層20との間に設けられる固体電解質層の幅)を小さくすることができる。
【0079】
ここで、正極活物質層形成用材料は、リチウムイオン二次電池の正極活物質層を形成するために用いられる従来公知の材料を常法により混合して調製することができ、少なくとも正極活物質を含む粘性を有するペースト状の塗布液であればよく、インクとも呼ばれる。この正極活物質層形成用材料は、種々の粘度を有することができ(例えば、せん断速度1s−1で、下限1mPa・s又は20Pa・s、上限100Pa・s又は2000Pa・s程度)、また、溶媒、導電助剤、結着剤等を含んでいてよい。また、各成分は溶媒に溶解していても分散していてもよい(一部が溶解して残部が分散している場合も含む。)。
【0080】
正極活物質としては、例えば、リチウム含有複合金属酸化物、カルコゲン化合物、二酸化マンガン等が挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物又は該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。ここで、異種元素としては、例えば、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、B等が挙げられ、Mn、Al、Co、Ni、Mg等が好ましい。異種元素は1種でも又は2種以上でもよい。これらのなかでも、リチウム含有複合金属酸化物を好ましく使用できる。リチウム含有複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−y、LiCo1−y、LiNi1−y、LiMn、LiMn2−y、LiMPO、LiMPOF(前記各式中、例えば、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種。0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)、LiMeO(式中、Me=MxMyMz;Me及びMは遷移金属、x+y+z=1)等が挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、例えば、LiNi1/3Mn1/3Co1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05等が挙げられる。ここで、上記各式中リチウムのモル比を示すx値は、充放電により増減する。また、カルコゲン化合物としては、例えば二硫化チタン、二硫化モリブデン等が挙げられる。正極活物質は1種を単独で使用でき2種以上を併用してもよい。
【0081】
導電助剤としては本発明の技術分野で常用されるものを使用でき、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウム等の金属粉末類、酸化亜鉛等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、フェニレン誘導体等の有機導電性材料等が挙げられる。導電剤は1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
【0082】
結着剤としても、本発明の技術分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルホン、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンジエン共重合体、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエン等から選ばれるモノマー化合物の共重合体を結着剤として用いてもよい。結着剤は1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
【0083】
溶媒としては、固体電解質層を構成する六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等を分解しないように、水を除く有機溶媒を用いるのが好ましい。かかる有機溶媒としては、本願発明の技術分野で常用されるものを使用でき、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアミン、アセトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。有機溶媒は1種を単独で使用でき又は2種以上を混合して使用できる。
【0084】
また、負極活物質層形成用材料は、リチウムイオン二次電池の負極活物質層を形成するために用いられる従来公知の材料を常法により混合して調製することができ、少なくとも負極活物質を含むペースト状の塗布液であればよく、種々の粘度を有することができ(例えば、せん断速度1s−1で、下限1mPa・s又は20Pa・s、上限100Pa・s又は2000Pa・s程度)、また、溶媒、導電助剤、結着剤等を含んでいてよい。また、各成分は溶媒に溶解していても分散していてもよい(一部が溶解して残部が分散している場合も含む。)。
【0085】
負極活物質としては本発明の技術分野で常用されるものを使用でき、例えば、金属、金属繊維、炭素材料、酸化物、窒化物、珪素、珪素化合物、錫、錫化合物、各種合金材料等が挙げられる。これらのなかでも、容量密度の大きさ等を考慮すると、酸化物、炭素材料、珪素、珪素化合物、錫、錫化合物等が好ましい。酸化物としては、例えば、式:Li4/3Ti5/3−xFe(0≦x≦0.2)で表されるチタン酸リチウム等が挙げられる。炭素材料としては、例えば、各種天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、各種人造黒鉛、非晶質炭素等が挙げられる。珪素化合物としては、例えば、珪素含有合金、珪素含有無機化合物、珪素含有有機化合物、固溶体等が挙げられる。珪素化合物の具体例としては、例えば、SiO(0.05<a<1.95)で表される酸化珪素、珪素とFe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn及びTiから選ばれる少なくとも1種の元素とを含む合金、珪素、酸化珪素又は合金に含まれる珪素の一部がB、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素で置換された珪素化合物又は珪素含有合金、これらの固溶体等が挙げられる。錫化合物としては、例えば、SnO(0<b<2)、SnO、SnSiO、NiSn、MgSn等が挙げられる。負極活物質は1種を単独で用いてもよく、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
溶媒、導電助剤、結着剤等については、正極活物質層形成用材料について上述した各材料を用いることができる。
【0087】
ここで、本実施形態において、正極活物質層14及び負極活物質層20のアスペクト比を高くして厚さを確保するためには、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料に、熱硬化剤又は光硬化剤を添加してもよい。これによれば、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料を塗布した後、直ちに紫外光等の光照射又はヒータ等による加熱を行うことにより、正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料が流れていない塗布直後の高アスペクト比の状態で、迅速に硬化させて正極活物質層及び負極活物質層を形成することができる。もちろん正極活物質層形成用材料及び負極活物質層形成用材料の粘度を高くしてもよい。
【0088】
このようにして、本実施形態においては、正極活物質層14及び負極活物質層20のアスペクト比(高さH/幅W)を、0.4〜1.6と高くすることができる。また、正極活物質層14及び負極活物質層20の高さHは、例えば12μm〜480μmとすることができ、正極活物質層14及び負極活物質層20の幅Wは、例えば30μm〜300μmとすることができる。
【0089】
正極活物質層14及び負極活物質層20のアスペクト比(高さH/幅W)を高くすることができるため、正極領域2、個体電解質層6及び負極領域4の間において充放電反応に寄与する電極面積を十分に確保でき、充放電容量に優れるリチウムイオン二次電池を実現可能である。
【0090】
(iii)固体電解質層の形成
次に、上記のようにして正極集電体12及び負極集電体18の上にそれぞれ正極活物質層14及び負極活物質層20を形成した後、図2における隙間(電解質領域)Aに固体電解質層6を形成する。この固体電解質層の形成方法は、特に制限はなく、種々の方法を用いることができる。
【0091】
例えば、固体電解質層形成用材料を調製し、これを用いて、インクジェット法、スクリーン印刷法、又は、上記正極活物質層及び負極活物質層と同じノズルディスペンス法により、固体電解質層6を形成してもよい。
【0092】
固体電解質層形成用材料は、固体電解質、支持塩及び溶媒を混合して調製することができる。固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキシド及び/又はポリスチレン等の樹脂等の高分子電解質材料が挙げられ、支持塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)及びリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)等が挙げられ、溶媒としては、ジエチレンカーボネート等が挙げられる。もちろん、本発明の硬化を損なわない範囲で、種々の添加剤を混合してもよい。
【0093】
固体電解質層6の幅Wは10μm〜100μmであるのが好ましい。固体電解質層6は、液体の電解質に比べてイオン伝導度が低く、良好な充放電容量を得るためには、固体電解質層6の幅Wは狭いほうが好ましいため、固体電解質層6の幅Wは、100μm以下であるのが好ましく、より良好な充放電容量を確保するために、50μm以下であるのが更に好ましい。また、固体電解質層6の幅Wは狭過ぎると、正極領域2と負極領域4とが短絡するおそれがあるため、固体電解質層6の幅Wは10μm以上であるのが好ましい。
【0094】
次に、固体電解質層6の高さHは、正極活物質層14及び負極活物質層20の高さHよりも高くなるように設定すればよい。図1に示すように、固体電解質層6の上面の高さ位置が、正極活物質層14及び負極活物質層20の上面よりも低いと、正極活物質層14と負極活物質層20との間で短絡を生じるおそれがあるため、固体電解質層6の高さH及び正極活物質層14及び負極活物質層20の高さHを、式:(高さH)≧(高さH)、好ましくは式:(高さH)>(高さH)を満たすように設定する。
【0095】
(iv)保護層の形成、
上記のように形成された正極活物質層14、負極活物質層20及び固体電解質層6を覆うように、保護層形成用材料を塗布して、保護層8を形成する。ここで用いる保護層形成用材料は、固体電解質層形成用材料と同じ成分を含むものであってよく、薄く均一な膜を形成するという観点から、低粘度であるのが好ましい。
【0096】
また、保護層8を形成するための保護層形成用材料の塗布方法としては、インクジェット法、スクリーン印刷法、又は、上記正極活物質層及び負極活物質層と同じノズルディスペンス法を用いることができる。また、正極集電体12の端部12a及び負極集電体18の端部18aをマスクした上で、スピンコート法により保護層8を形成してもよい。
【0097】
以上のようにして得られるリチウムイオン二次電池1は、種々の形態の筐体等に適宜収納した状態で最終製品として使用すればよい。このように、本実施形態においては、本発明の活物質層形成用ノズル、これを用いた活物質層形成方法、及び電極製造方法により、高アスペクト比の正極活物質層及び負極活物質層を有する高容量のリチウムイオン二次電池を製造することができる。
【0098】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内で種々の設計変更が可能であり、これらは全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0099】
例えば、上記実施形態においては、図1に示す構造を有するリチウムイオン二次電池を製造する場合について説明したが、本発明によれば、例えば図9に示すような他の構造を有するリチウムイオン二次電池も製造することができる。図9は、本発明の実施形態の変形例において製造されるリチウムイオン二次電池の概略上面図である(上記実施形態でいう保護層8は省略している。)。
【0100】
この変形例のリチウムイオン二次電池200は、基材210上において、正極活物質層214、固体電解質層206及び負極活物質層220からなる充放電反応部212が、集電体208を介して3つ直列に接続された電池である。
【0101】
このような構造のリチウムイオン二次電池200に関しても、まず、基材210上に上記実施形態の正極集電体12及び負極集電体18と同様にして集電体208を形成し、ついで、基材210に対し、上記ノズル50を、図4において矢印Dで示される方向と図9において矢印Dで示される方向とが一致するように、相対移動させながら、第一吐出口58(58a、58b、58c、58d)から正極活物質層形成用材料を基材210上に線状に吐出するとともに、第二吐出口68(68a、68b、68c、68d)から負極活物質層形成用材料を基材201上に線状に吐出し、互いに平行な正極活物質層214及び負極活物質層220からなる活物質層パターンを形成することができる。
【0102】
以上のようにして、本実施形態の変形例においても、本発明の活物質層形成用ノズル、これを用いた活物質層形成方法、及び電極製造方法により、高アスペクト比の正極活物質層及び負極活物質層を有する高容量のリチウムイオン二次電池を製造することができる。
【0103】
他にも本発明は種々の形態を採り得る。例えば、上記実施形態においては、正極集電体12及び負極集電体18が、直線状の歯を有する櫛歯状パターンで形成されている場合について説明したが、櫛歯の各歯の形状は直線状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。例えば、歯の形状が曲線状や折れ線状であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、正極集電体12をアルミニウムで形成し、負極集電体18を銅で形成する場合について説明したが、これら以外の金属を用いることも可能である。正極集電体12及び負極集電体18を同じ金属(例えば金)で形成することもでき、この場合は、フォトリソグラフィ法によって正極集電体12及び負極集電体18を同時に形成することもできる。
【0105】
また、上記実施形態においては、保護層8を設ける場合について説明したが、リチウムイオン二次電池としての機能を発揮する上で、保護層8は必須構成要件ではないため、これは省略してもよい。
【0106】
また、上記実施形態で説明した正極集電体、負極集電体、正極活物質、負極活物質、固体電解質等の材料は、一例に過ぎず、本発明はこれらのみに限定されるものではない。また、本発明は、リチウムイオン二次電池だけでなく、リチウムイオン一次電池及びアルカリ電池その他の電気化学素子の製造にも適用することができる。
【0107】
また、上記実施形態においては、ステージ移動機構104が移動可能で、ステージ移動機構104がノズル50を基材10に対して相対移動させる走査手段に相当する場合について説明したが、ノズル側に、固定された基材に対して当該ノズルを相対移動させる走査手段を設け、固定された基材に対してノズルが移動するような構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1・・・リチウムイオン二次電池、
2・・・正極領域、
4・・・負極領域、
6・・・固体電解質層、
8・・・保護層、
10・・・基材、
12・・・正極集電体、
14・・・正極活物質層、
16・・・正極構造体、
18・・・負極集電体、
20・・・負極活物質層、
22・・・負極構造体、
50・・・ノズル、
52・・・第一バッファ空間、
54・・・第一供給口、
56(56a、56b、56c、56d)・・・流路、
58(58a、58b、58c、58d)・・・第一吐出口、
62・・・第二バッファ空間、
64・・・第二供給口、
66(66a、66b、66c、66d)・・・流路、
68(68a、68b、68c、68d)・・・第二吐出口、
100・・・塗布ユニット、
102・・・基台、
104・・・ステージ移動機構、
106・・・ステージ106、
108・・・X方向移動機構、
110・・・Y方向移動機構、
112・・・θ回転機構112、
114・・・モータ、
116・・・ボールネジ、
118・・・ナット、
120・・・ガイドレール、
122・・・モータ、
124・・・ガイドレール、
126・・・モータ、
128・・・供給管、
130・・・逆止弁、
132・・・第一ポンプ、
134・・・制御弁、
136・・・正極活物質層形成用材料のタンク
138・・・供給管、
140・・・逆止弁、
142・・・第二ポンプ、
144・・・制御弁、
146・・・負極活物質層形成用材料のタンク、
148・・・制御部、
200・・・リチウムイオン二次電池、
206・・・固体電解質層、
208・・・集電体、
210・・・基材、
212・・・充放電反応部、
214・・・正極活物質層、
220・・・負極活物質層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第一吐出口、前記第一吐出口と同一面上で第一方向において互いに隣接しており、負極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第二吐出口、前記第一吐出口に前記正極活物質層形成用材料を供給するための第一供給口、及び前記第二吐出口に前記負極活物質層形成用材料を供給するための第二供給口を有する活物質層形成用ノズルと、
活物質層を形成するための基材に対し、前記活物質層用ノズルを、前記第一方向に略直交する面における第二方向にむけて相対移動させる走査手段と、
前記活物質層用ノズルを走査させながら、前記第一吐出口から前記正極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出させるとともに、前記第二吐出口から前記負極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出させ、互いに平行な正極活物質層及び負極活物質層からなる活物質層パターンを形成する制御手段と、
を有すること、
を特徴とする活物質層形成装置。
【請求項2】
前記基材と前記活物質形成用ノズルとの間隔Dと前記活物質層の高さHとが、関係式:D<Hを満たすように、前記活物質形成用ノズルの高さを調整するための高さ位置調整手段を有し、
前記第一吐出口及び前記第二吐出口からそれぞれ前記正極活物質層形成用材料及び前記負極活物質層形成用材料が、前記活物質形成用ノズルの進行方向の後方側でかつ下方に向けて吐出する位置関係で、前記活物質層形成用ノズル及び前記走査手段が設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の活物質層形成装置。
【請求項3】
前記活物質層形成用ノズルが、前記第一供給口と前記第一吐出口との間に設けられ、前記正極活物質層形成用材料を貯蔵するための第一バッファ空間と、前記第二供給口と前記第二吐出口との間に設けられ、前記負極活物質層形成用材料を貯蔵するための第二バッファ空間と、を有すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の活物質層形成装置。
【請求項4】
前記第一吐出口及び前記第二吐出口が、スリット状の形状を有していること、
を特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の活物質層形成装置。
【請求項5】
前記制御手段が、前記基材上に、互いに間隔をおいて噛み合う櫛歯状の正極活物質層及び負極活物質層を形成するように前記走査手段を制御すること、
を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の活物質形成装置。
【請求項6】
基材に対し、正極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第一吐出口、前記第一吐出口と同一面上で第一方向において互いに隣接しており、負極活物質層形成用材料を吐出するための少なくとも1つの第二吐出口、前記第一吐出口に前記正極活物質層形成用材料を供給するための第一供給口、及び前記第二吐出口に前記負極活物質層形成用材料を供給するための第二供給口を有する活物質層形成用ノズルを、前記第一方向に略直交する面における第二方向にむけて相対移動させながら、前記第一吐出口から前記正極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出するとともに、前記第二吐出口から前記負極活物質層形成用材料を前記基材上に線状に吐出し、互いに平行な正極活物質層及び負極活物質層からなる活物質層パターンを形成すること、
を特徴とする活物質層形成方法。
【請求項7】
前記基材と前記活物質形成用ノズルとの間隔Dと前記活物質層の高さHとが、関係式:D<Hを満たすように、前記活物質形成用ノズルの高さを調整し、
前記活物質形成用ノズルのうちの前記第一吐出口及び前記第二吐出口から、それぞれ前記正極活物質層形成用材料及び前記負極活物質層形成用材料を、前記活物質形成用ノズルの進行方向の後方側でかつ下方に向けて吐出させること、
を特徴とする請求項6に記載の活物質層形成方法。
【請求項8】
前記基材上に、互いに間隔をおいて噛み合う櫛歯状の正極活物質層及び負極活物質層を形成すること、
を特徴とする請求項6又は7に記載の活物質層形成方法。
【請求項9】
請求項6〜8のうちのいずれかに記載の活物質層形成方法により正極活物質層及び負極活物質層を形成し、
前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に固体電解質層を形成して電池を作製すること、
を特徴とする電池製造方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−195061(P2012−195061A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56163(P2011−56163)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】