説明

流体の流路の形成

【課題】流体の流路の形成において流体漏れを抑制する。
【解決手段】流体流路形成装置は、針部とガイド部とを備える。針部は、第1の流路部材に配置され、第2の流路部材に配置された流路口に挿入されることにより流路口における流路閉鎖部分を開放する。ガイド部は、第1の流路部材に配置され、針部の軸方向に平行なガイド面を有する。ガイド部は、針部が流路口に挿入される際の第1の流路部材と第2の流路部材との相対移動中において、ガイド面が流路口の軸方向に平行な第2の流路部材の表面と実質的に接した状態となるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流路の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタにおいて、インクを収容したインク袋のインク取出口にインク供給針を挿入して、インク袋内のインクを記録ヘッドへと供給するインク供給流路を形成する構成が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−273909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成では、インク供給針をインク袋のインク取出口に挿入する際にインク取出口とインク供給針との相対的な位置や角度のずれが生じ、インク漏れが発生するおそれがあった。
【0005】
なお、このような問題は、プリンタにおいてインク袋のインク取出口にインク供給針を挿入してインク供給流路を形成する場合に限らず、流体の流路を形成する場合に共通の問題であった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、流体の流路の形成において流体漏れを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]流体の流路を形成する装置であって、
第1の流路部材に配置され、第2の流路部材に配置された流路口に挿入されることにより前記流路口における流路閉鎖部分を開放する針部と、
前記第1の流路部材に配置され、前記針部の軸方向に平行なガイド面を有するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記針部が前記流路口に挿入される際の前記第1の流路部材と前記第2の流路部材との相対移動中において、前記ガイド面が前記流路口の軸方向に平行な前記第2の流路部材の表面と実質的に接した状態となるように構成されている、装置。
【0009】
この装置では、針部が流路口に挿入される際の第1の流路部材と第2の流路部材との相対移動中において、ガイド面が流路口の軸方向に平行な第2の流路部材の表面と実質的に接した状態となる。ここで、ガイド面は針部の軸方向に平行な面である。そのため、この装置では、上記相対移動中に、流路口の軸方向と針部の軸方向とが平行な状態となる。従って、針部を流路口に挿入する際に、針部と流路口との相対的な角度のずれの発生を抑制することができ、流体漏れを抑制することができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記ガイド面が前記針部を挟んで正対する少なくとも1組の点を含むように構成されている、装置。
【0011】
この装置では、上記1組の点の位置におけるガイド面により、上記1組の点を結ぶ直線方向に沿った第2の流路部材の位置決めが可能となる。そのため、針部を流路口に挿入する際に、針部と流路口との相対的な位置ずれの発生を抑制することができ、流体漏れをより良好に抑制することができる。
【0012】
[適用例3]適用例1に記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記ガイド面が、少なくとも、前記針部の軸方向に垂直な所定の平面上における前記針部の位置を内包する三角形の3つの頂点を含むように構成されている、装置。
【0013】
この装置では、上記3つの頂点の位置におけるガイド面により、第2の流路部材の位置決めが可能となる。そのため、針部を流路口に挿入する際に、針部と流路口との相対的な位置ずれの発生を抑制することができ、流体漏れをより良好に抑制することができる。
【0014】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の装置であって、
前記第2の流路部材は、前記流路口の軸方向に平行な前記表面を側面として有する円柱形状部分を有し、
前記ガイド部は、前記ガイド面が、前記円柱形状部分を包含する円柱の側面の少なくとも一部となるように構成されている、装置。
【0015】
この装置では、針部が流路口に挿入される際の第1の流路部材と第2の流路部材との相対移動中において、第2の流路部材の円柱形状部分の側面とガイド面とが実質的に接した状態を形成することができる。
【0016】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記針部の軸方向に沿って前記針部の先端よりも前記第2の流路部材側に位置する前記ガイド面を有する、装置。
【0017】
この装置では、針部が第2の流路部材に接触する前に、第2の流路部材の位置がガイド面によって決められる。そのため、針部を流路口に挿入する際に、針部と流路口との相対的な角度および位置のずれの発生をより良好に抑制することができると共に、針部の損傷や変形の発生を抑制することができる。
【0018】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の装置であって、
複数の流体用の前記第2の流路部材に対応した複数の前記針部および前記ガイド部を備え、
前記複数の第2の流路部材は、互いに異なる形状の上流側係合部を有し、
前記複数のガイド部のそれぞれは、前記ガイド部に対応した前記第2の流路部材が有する前記上流側係合部にのみ係合するように形成された下流側係合部を有する、装置。
【0019】
この装置では、第2の流路部材の流路口に当該第2の流路部材に対応した針部とは異なる針部が挿入される誤接続の発生を抑制できる。
【0020】
[適用例7]適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記針部を覆うカバーを、前記カバーを前記針部に接触させることなく支持可能に構成されている、装置。
【0021】
この装置では、第2の流路部材への針部の挿入前において、針部へのゴミの付着を良好に抑制できる。
【0022】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、流体流路形成方法および装置、流体供給方法および装置、流体噴射方法および装置、流体流路接続方法および装置、印刷方法および装置、上記装置の製造方法等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.変形例:
【0024】
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例としてのプリンタ10の概略構成を示す説明図である。プリンタ10は、記録媒体である印刷用紙900に対してインク滴を噴射して文字や図形を記録するインクジェット式プリンタである。
【0025】
プリンタ10は、印刷用紙900に対してインク滴を吐出する流体吐出部である印刷機構部50を収容する本体筐体20を備える。本体筐体20には、印刷機構部50へと供給される印刷用紙900を本体筐体20の内部に導入する給紙トレイ12と、印刷機構部50から排出された印刷用紙900を本体筐体20の外部に導出する排紙トレイ14とが配設されている。印刷機構部50の詳細な構成については後述する。
【0026】
本体筐体20には、プリンタ10の各部を制御する制御部40が収容されている。本実施例では、制御部40は、セントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、CPU)と、リードオンリメモリ(Read Only Memory、ROM)と、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)などのハードウェアを備えたASIC(Application Specific Integrated Circuits)を含む。制御部40には、プリンタ10の各種機能を実現させるソフトウェアがインストールされている。
【0027】
本体筐体20の上面には、複数のインクパック310を収容する収容ケースである上部筐体30が配設されている。上部筐体30は、回動軸350を中心にして開閉可能に本体筐体20に結合されている。インクの供給源として機能する複数のインクパック310のそれぞれには、互いに異なる色の液体インクが収容されている。なお、インクパック310は、本発明における第2の流路部材に相当する。
【0028】
本実施例では、インクパック310は、可撓性シートにより略楕円断面を有する略長方形平面の扁平な袋として形成され、一方の短辺側に配置されたインクを導出可能なパック口60を有する。パック口60の詳細な構成については後述する。本実施例では、複数のインクパック310は、その一方の長辺側を持ち上げて斜めに重なり合う状態で保持されている。本実施例では、ブラック,シアン,マゼンダ,イエロの四色のインクに対応した四つのインクパック310が上部筐体30に収容されている。なお、インクパック310の数やインクパック310に収容されるインクの色は種々設定可能であり、例えば上記4色にライトシアン,ライトマゼンダを加えた計六色のインクに対応した六つのインクパック310が上部筐体30に収容されるとしてもよい。
【0029】
上部筐体30には、インクパック310のパック口60が接続されるインク供給部330が配設されている。インク供給部330は、本発明における第1の流路部材に相当する。
【0030】
インク供給部330には、インクパック310からインク供給部330に導出されたインクを印刷機構部50に向けて導くインク流路を形成する供給チューブ340が接続されている。供給チューブ340は、4つのインクパック310に対応した4つのインク流路を形成する。供給チューブ340の途中には、継手410が設けられている。供給チューブ340の継手410より印刷機構部50側の部分は、後述するように、湾曲した箇所を有するため、比較的柔軟性の高い材料(例えばポリエチレン系エラストマー)により形成されている。また、供給チューブ340の継手410よりインク供給部330側の部分は、比較的柔軟性の低い材料(例えばポリプロピレン)により形成されている。
【0031】
図2は、上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。図3は、上部筐体30を開けた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。図3に示すように、上部筐体30は、回動軸350を中心にして開閉可能に本体筐体20に結合されている。上部筐体30を開けることによって、本体筐体20に収容された印刷機構部50の上方が露出される。そのため、本実施例のプリンタ10では、インクパック310を配置する位置の自由度を向上させることができると共に、インクパック310を収容する上部筐体30を印刷機構部50のカバーとして利用することができ、本体筐体20に収容された印刷機構部50を容易にメンテナンスすることができる。
【0032】
なお、図2および図3に示すように、上部筐体30の底部(後述の下部ハウジング360)は、インクパック310が設置される部分が下方に突出した形状となっている。これにより、インクパック310の設置のための上部筐体30内部のスペースを増大させることができる。なお、本実施例のプリンタ10は、インクを収容した容器が印刷機構部50のキャリッジから分離して配置された、いわゆるオフキャリッジ方式のプリンタであるため、インク収容容器がキャリッジ上に配置されたいわゆるオンキャリッジ方式のプリンタと比較して、印刷機構部50の高さを低くすることが可能である。そのため、本実施例のプリンタ10では、下部ハウジング360の一部を印刷機構部50に干渉させることなく下方に突出させることが比較的容易に実現可能である。従って、例えば上部筐体30に相当する部分にスキャナ機構を備えた既存のオンキャリッジ方式のプリンタ用の筐体を、些少の変更を行うだけで本実施例のプリンタ10の筐体として流用することが可能である。
【0033】
上部筐体30は、上部筐体30の内側底面を構成する下部ハウジング360と、上部筐体30の内側天井を構成する上部ハウジング370とを備える。下部ハウジング360には、下部ハウジング360によって構成された内側底面の一部である複数のホルダガイド362が、回動軸350に略平行であって相互に略等間隔に配設されている。
【0034】
上部筐体30の内部には、インクパック310を載置した複数のホルダ380が設置されている。ホルダ380は、ホルダガイド362に対して傾斜した傾斜板381を有する。ホルダ380の傾斜板381の上面には、インクパック310の扁平な袋部の一方の平面が当接する状態で、インクパック310が載置されている。本実施例では、インクパック310は、ホルダ380の傾斜板381との当接する面の少なくとも一部分で両面テープによって接着されている。ホルダ380における傾斜板381の下方には、ホルダガイド362に挿嵌可能なベース部382が形成されている。ホルダ380のベース部382は、ホルダガイド362に挿嵌された後、後述するように、締結部材である固定ネジ388,389で下部ハウジング360に締結され固定される。複数のホルダ380は、傾斜板381が傾斜する側で隣り合う他のホルダ380に載置されたインクパック310の上方に、一方のホルダ380の傾斜板381が重なる状態で、下部ハウジング360の内側底面に沿ってずらして並設されている。図2および図3に示すように、ホルダ380の傾斜板381は、上部筐体30の閉状態から開状態を通じて、傾斜角θhだけ下部ハウジング360のホルダガイド362に対して傾斜している。本実施例では、上部筐体30が回動軸350を中心に開閉可能な可動角θcが約45度であるのに対して、ホルダガイド362に対する傾斜板381の傾斜角θhは約40度である。
【0035】
このように、本実施例では、インクパック310の各々がホルダ380の傾斜板381にそれぞれ載置されるため、複数のインクパック310を重ねて効率よく収容しながら、インクパック310の重さが隣接するインクパック310に伸し掛かるのを防止することができる。また、上部筐体30の閉状態から開状態を通じて、インクパック310が下方から保持されるため、インクパック310が自重によって隣接するホルダ380に過度に押し付けられてしまうのを防止することができる。
【0036】
図4は、ホルダ380と下部ハウジング360との接合構成を示す説明図である。図4(a)にはホルダ380の斜視図を示し、図4(b)には下部ハウジング360の斜視図を示し、図4(c)にはホルダ380と下部ハウジング360との嵌合部分(図2のA1部)の断面を示している。図4(a)に示すように、ホルダ380は、ベース部382の位置に2つの接合部395を有している。一方、図4(b)に示すように、下部ハウジング360は、ホルダガイド362の位置に2つの接合部365を有している。ホルダ380は、ホルダ380の接合部395と下部ハウジング360の接合部365とが嵌合するように、横方向にスライドしながら下部ハウジング360に設置される。図4(c)に示すように、ホルダ380が下部ハウジング360に設置された状態では、ホルダ380の接合部395のL字部396と下部ハウジング360の接合部365のL字部366とが嵌合している。この嵌合により、ホルダ380と下部ハウジング360との相対移動が抑制される。そのため、例えばプリンタ10に衝撃が加えられた場合であってもホルダ380が下部ハウジング360から離脱するのを抑制することができる。また、外部の温湿度環境の変化等の影響によるホルダ380や下部ハウジング360の変形を抑制することができる。
【0037】
図2に示すように、ホルダ380における傾斜板381の裏面には、隣接するホルダ380に載置されたインクパック310に沿った板状の裏面補助リブ384が垂設されている。下部ハウジング360の内側底面には、並設された複数のホルダ380のうち傾斜板381が傾斜する側の端に位置するホルダ380における傾斜板381の下方に向けて立設された板状のホルダ補助リブ364が設けられている。本実施例では、ホルダ補助リブ364の上部は、ホルダ380の傾斜板381の裏面に当接する。ホルダ補助リブ364を立設により、傾斜板381が傾斜する方向の力に対してホルダ380を補強することができる。上部ハウジング370の内側天井には、並設された複数のホルダ380のうち傾斜板381が傾斜する側とは反対側の端に位置するホルダ380に載置されたインクパック310の上方に沿った板状の端部補助リブ374が垂設されている。端部補助リブ374により、傾斜板381が傾斜する側とは反対の端に位置するホルダ380に載置されたインクパック310が過度に変形してしまうのを抑制することができる。上部ハウジング370の内側天井には、ホルダ380に載置されたインクパック310の上方のうち、二つのホルダ380間に挟まれた部位に沿って板状の中間補助リブ376が垂設されている。中間補助リブ376により、隣接するホルダの傾斜板381の裏面でサポートされないインクパック310の上方が過度に変形してしまうのを抑制することができる。上部ハウジング370の内側天井には、ホルダ380における傾斜板381の上端部383に係合する係合部373が配設されている。係合部373により、ホルダ380が過度に変形してしまうのを抑制することができる。
【0038】
図5は、上部筐体30の内部構成を示す上面図である。図5に示すように、上部筐体30には、インクパック310が載置された4つのホルダ380が互いに折り重なるように設置され、固定ネジ388,389により下部ハウジング360に固着されている。このときインクパック310のパック口60は、インク供給部330の有するガイド部302の内側にあって、供給針320が挿入された状態となっている。この状態では、供給針320は、インクパック310から印刷機構部50へのインク流路の一部として機能する。なお、インク供給部330には、インクパック310のパック口60との接続部の上方を覆うガードプレート332(図5において一点鎖線で示す)が配設されている。ガードプレート332には、ホルダ380を下部ハウジング360に固定する固定ネジ388を締め付ける工具を挿入可能な開口部333が形成されている。
【0039】
図6は、インク供給部330の構成を示す説明図である。図6(a)には、インク供給部330の上面図を示しており、図6(b)には、インク供給部330のインクパック310に対向する側の正面図を示している。また、図7は、インク供給部330の外観を示す斜視図である。図6および図7に示すように、インク供給部330は、後述するインクパック310のパック口60の供給口612に挿入される供給針320を有する。供給針320は、4つのインクパック310に対応して4つ設けられている。なお供給針320は、供給チューブ340に連通する流路を有する。
【0040】
供給針320の周囲には、略円筒形状のガイド部302が配設されている。ガイド部302は、供給針320に対向した表面(円筒の中空部分に面する表面、以下「ガイド面304」と呼ぶ)が、供給針320の軸方向に平行な面となるように形成されている。図6(b)に示すように、供給針320の軸方向に垂直なガイド部302およびガイド面304の断面は、供給針320の位置を中心とし、約4分の1の部分が欠損した略円形形状である。ガイド部302の周囲には補強のためのリブ306が形成されている。
【0041】
図8は、インクパック310を載置したホルダ380を上部筐体30の内部に固定する様子を示す説明図である。ホルダ380には、インクパック310のパック口60に隣接する位置に、固定ネジ388に貫通して係合する貫通孔386が形成され、インクパック310のパック口60とは反対側に隣接する位置に、固定ネジ389に貫通して係合する貫通孔387が形成されている。上部筐体30の下部ハウジング360には、インクパック310を載置したホルダ380を固定する固定位置において、ホルダ380の貫通孔386を貫通した固定ネジ388と螺合するネジ穴368と、ホルダ380の貫通孔387を貫通した固定ネジ389と螺合するネジ穴369とが形成されている。
【0042】
インクパック310を載置したホルダ380を上部筐体30の内部に固定する際には、まず、インクパック310を載置したホルダ380のベース部382を、下部ハウジング360のホルダガイド362の上部から嵌め合わせる。その後、ホルダガイド362に沿ってホルダ380を供給針320へとスライドさせて、インクパック310のパック口60に供給針320を挿嵌する。なお、このときには、図4(c)に示すように、ホルダ380の接合部395と下部ハウジング360の接合部365とが嵌合する。その後、ホルダ380を固定ネジ388,389で下部ハウジング360に締結する。
【0043】
図9は、図5のA−A断面においてインクパック310をインク供給部330に接続する前の様子を示す説明図である。図10は、図5のA−A断面においてインクパック310をインク供給部330に接続した後の様子を示す説明図である。インク供給部330には、供給チューブ340(図5参照)に連通する中空流路322が形成された供給針320が配設されている。供給針320の先端には、テーパ状の尖端324が形成されている。供給針320の尖端324には、中空流路322に連通する供給溝326が形成されている。供給針320の供給溝326は、供給針320の尖端324から、供給針320の軸心に略沿った側壁321に亘って形成されている。図10に示すように、供給針320の供給溝326は、供給針320の軸心に略沿った縦面326aと、供給針320の軸心に交差する横面326bとによって区画される。供給針320の供給溝326は、本実施例では、供給針320の軸心を交点とする十字状(「+(プラス)」状)に形成されている。本実施例では、供給針320は、金型を用いてインク供給部330と共に一体成型された樹脂製部品である。
【0044】
インクパック310に配設されたパック口60には、インクパック310の内部に連通する供給口612が形成された供給口部610が配設されている。供給口612は、略円筒形状に形成されている。供給口612の入口には、供給口612に挿入された供給針320と密嵌する貫通孔642を有する筒状のパッキング640が配設されている。供給口612に配設されたパッキング640は、供給口部610に嵌合する略円柱形状のキャップ620によって供給口612に圧入されている。
【0045】
供給口612の内部には、パッキング640に密着する封止面634を有する弁体630が収容されている。供給口612に収容された弁体630は、弾性部材であるコイルバネ650によって供給口612の内部からパッキング640に向けて付勢され、パッキング640の貫通孔642を封止する。弁体630は、本発明における流路閉鎖部分に相当する。弁体630には、供給口612の中心軸に略沿って供給口612の内面に当接する複数のガイド638が配設され、これら複数のガイド638の各間には、供給口612の内面と離間する離間面636が形成されている。弁体630においてパッキング640に当接する側には、供給針320の尖端324と嵌合する嵌合面632が形成されている。
【0046】
図10に示すように、パッキング640の貫通孔642に供給針320が挿入されると、供給針320の尖端324が弁体630の嵌合面632に嵌合した状態で、弁体630は、供給口612におけるインクパック310側へと押し込まれる。その際、供給針320の供給溝326は、弁体630の嵌合面632を超えて尖端324から側壁321に亘って形成されているため、供給口612と連通する。これによって、インクパック310の内部は、弁体630の離間面636と、供給針320の供給溝326とを通じて、供給針320の中空流路322に連通する。
【0047】
ここで、ガイド部302のガイド面304(図6(b)参照)は、供給針320の軸方向に垂直な断面の直径が、キャップ620の最大直径と実質的に同一に設定されている。従って、図10に示すように、供給針320が供給口612に挿入される際の供給針320とインクパック310との相対移動中において、キャップ620の最大直径を有する部分の外周表面(以下「被ガイド面622」とも呼ぶ)とガイド面304とが実質的に接した状態となる。なお、被ガイド面622は、供給口612の軸方向に平行となっている。
【0048】
ガイド部302のガイド面304は、供給針320の軸方向に平行な面である。また、被ガイド面622は、供給口612の軸方向に平行な面である。そのため、上記相対移動中において被ガイド面622とガイド面304とが実質的に接した状態である場合には、インクパック310は、供給針320の軸方向と供給口612の軸方向とが平行である状態を保ちつつ、供給針320に近づくこととなる。従って、本実施例では、供給針320を供給口612に挿入する際に、供給針320と供給口612との相対的な角度のずれの発生を抑制することができる。
【0049】
また、本実施例では、図6(b)に示すように、供給針320の軸方向に垂直なガイド面304の断面が、約4分の1の部分が欠損した略円形形状に形成されている。そのため、ガイド部302のガイド面304は、供給針320を挟んで正対する少なくとも1組の点(例えば図6(b)のP1およびP2)を含むこととなる。ガイド面304が供給針320を挟んで正対する少なくとも1組の点を含む場合、当該1組の点の位置におけるガイド面304によって、当該1組の点を結ぶ直線方向に沿ったキャップ620の位置決めが可能となる。従って、本実施例では、供給針320を供給口612に挿入する際に、供給針320と供給口612との相対的な位置ずれの発生を抑制することができる。
【0050】
また、本実施例では、ガイド部302のガイド面304は、少なくとも、供給針320の軸方向に垂直な所定の平面上における供給針320の位置を内包する三角形の3つの頂点(例えば図6(b)のP3ないしP5)を含む。そのため、当該3つの頂点の位置におけるガイド面304によって、キャップ620の位置決めが可能となる。従って、本実施例では、供給針320を供給口612に挿入する際に、供給針320と供給口612との相対的な位置ずれの発生を抑制することができる。
【0051】
図11は、インクパック310がインク供給部330に接続された状態の斜視図である。図11に示すように、インクパック310がインク供給部330に接続された状態では、インクパック310のキャップ620の被ガイド面622を有する部分は、ガイド部302の中空部分に包含される。
【0052】
なお、本明細書において、ガイド面304と被ガイド面622とが「実質的に接した状態」とは、2つの面が実際に接した状態と、2つの面が僅かな距離だけ離れた状態と、の両方を意味する。ここで、「僅かな距離」は、プリンタ10に要求される供給針320と供給口612との相対的な角度ずれおよび位置ずれの許容量や製品の加工精度等に応じて適宜定められる。
【0053】
以上のように、本実施例のプリンタ10では、供給針320を供給口612に挿入する際に、供給針320と供給口612との相対的な角度および位置のずれの発生を抑制することができるため、インク漏れやインク流路への空気の侵入を抑制することができる。
【0054】
図12は、上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。また、図13は、上部筐体30を開けた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。図12および図13は、図2および図3に示した断面とは反対側から見た断面を示している。また、図14は、プリンタ10の印刷機構部50周りの構成を示す説明図である。
【0055】
図14に示すように、印刷機構部50は、印刷用紙900に対するインク滴の噴射が実施される印刷領域に配設された長方形状のプラテン530を備える。プラテン530の上には、印刷用紙900が紙送り機構(図示しない)によって給送される。印刷機構部50は、供給チューブ340に接続され噴射ヘッド810を搭載したキャリッジ80を備える。キャリッジ80は、ガイドロッド520に沿ってプラテン530の長手方向へ移動可能に支持され、キャリッジ駆動部であるキャリッジモータ510によりタイミングベルト512を介して駆動される。これによって、キャリッジ80は、プラテン530の上を長手方向に往復運動する。本体筐体20の内部において、プラテン530が配設された印刷領域から一端側に外れた非印刷領域には、キャリッジ80を待機させるホームポジションが設けられている。そのホームポジションには、キャリッジ80をメンテナンスするメンテナンス機構部70が配設されている。
【0056】
図12,13,14に示すように、供給チューブ340は、インク供給部330と印刷機構部50のキャリッジ80とを接続し、インクパック310内のインクをキャリッジ80へと供給する。供給チューブ340は、インク供給部330から回動軸350方向へと略水平(上部筐体30閉時)に伸びる部分(以下「第1水平部H1」と呼ぶ)と、第1水平部H1より下方の略水平面内に位置し回動軸350と略直交する方向に伸びる部分(以下「第2水平部H2」と呼ぶ)と、回動軸350に略平行な部分(以下「第3水平部H3」と呼ぶ)と、が順に連なった構成を有している。
【0057】
図15は、供給チューブ340の断面を示す説明図である。図15(a)には、第2水平部H2における供給チューブ340のインク流通方向に垂直な断面(図14のS1−S1断面)を示し、図15(b)には、第3水平部H3における供給チューブ340のインク流通方向に垂直な断面(図14のS2−S2断面)を示している。図15(a)および図15(b)に示すように、供給チューブ340には、4つのインクパック310に対応した4つの中空状のインク流路342が設けられている。なお、図15(a)に示すように、第2水平部H2においては、供給チューブ340のインク流通方向周りの向きは、4つのインク流路342が略水平に並ぶような向き(以下「横配置」とも呼ぶ)となっている。第1水平部H1における供給チューブ340の向きも同様である。一方、図15(b)に示すように、第3水平部H3においては、供給チューブ340のインク流通方向周りの向きは、4つのインク流路342が略垂直に並ぶような向き(以下「縦配置」とも呼ぶ)となっている。
【0058】
供給チューブ340の第1水平部H1と第2水平部H2との間(回動軸350付近)には、鉛直な半円弧に沿って湾曲した部分(以下「第1湾曲部R1」と呼ぶ)が設けられている。第1水平部H1および第2水平部H2は共に横配置であり、第1湾曲部R1はねじれを有していない。また、第2水平部H2と第3水平部H3との間には、水平な半円弧に沿って湾曲した部分(以下「第2湾曲部R2」と呼ぶ)が設けられている。第2水平部H2は横配置である一方、第3水平部H3は縦配置であるため、第2湾曲部R2は約90度のねじれを有している。また、第3水平部H3とキャリッジ80との間には、水平な半円弧に沿って湾曲した部分(以下「第3湾曲部R3」と呼ぶ)が設けられている。
【0059】
供給チューブ340は、図12および図13に示すように、上部筐体30を開ける動作に対し、回動軸350近辺に設けられた第1湾曲部R1の変形によって追随する。そのため、インク供給部330と印刷機構部50との間を比較的長い供給チューブ340で接続するプリンタ10においても、供給チューブ340の存在が上部筐体30の開閉に支障を及ぼすことが抑制される。
【0060】
供給チューブ340は、第2湾曲部R2を挟んだ2つの位置に配設された支持部420および430により支持されている。支持部420および430は、直接または間接的にプリンタ10の本体筐体20に固着されている。そのため、供給チューブ340は、支持部420および430を介して、プリンタ10本体に支持される。
【0061】
図16は、支持部420の構成を示す説明図である。図16(a)には、支持部420の上側平面を示し、図16(b)には、支持部420のインク流通方向に垂直な断面(図16(a)のS3−S3断面)を示している。図16(b)に示すように、支持部420は、水平方向に配置された長辺部材422と、長辺部材422の断面両端から上方に突出した短辺部材424と、短辺部材424の断面上端から内側に向かって水平方向に突出した浮き防止部426と、を有している。浮き防止部426は、図16(a)に示すように、1つの短辺部材424あたり2つ設けられており、インク流通方向に沿った位置は、2つの短辺部材424に設けられた浮き防止部426が同じ位置とならないように、互い違いに設定されている。長辺部材422と短辺部材424と浮き防止部426とは、供給チューブ340を収納する略長方形断面形状の空間を形成しており、供給チューブ340は、当該空間に納められる。このとき、浮き防止部426は、供給チューブ340の浮き・外れを防止する。
【0062】
支持部420は、さらに、短辺部材424の上記空間側に隣接した位置決め部材428を有する。図16の例では、位置決め部材428は3組設けられており、各組の位置決め部材428は供給チューブ340を挟んで互いに向かいあうような位置に配置されている。そのため、位置決め部材428は、2つの短辺部材424間の内法寸法を小さくする。位置決め部材428により、供給チューブ340は長辺方向に押さえられ、供給チューブ340のインク流通方向に沿った移動は抑制される。従って、供給チューブ340がプリンタ10の他の部分に干渉することが抑制される。
【0063】
なお、図15に示すように、供給チューブ340のインク流路342の断面は、円形ではなく、インク流路342が並ぶ方向(図15(a)の左右方向)に長い楕円形となっている。これは、例えば、第1湾曲部R1や第2湾曲部R2(図14参照)において供給チューブ340を湾曲させやすくするために、供給チューブ340の断面を楕円が結合した形状として、供給チューブ340の高さを小さく抑えるためである。ここで、図16(b)に示すように、支持部420の位置決め部材428が設けられた位置においては、供給チューブ340が両側の位置決め部材428から押されるため、インク流路342の断面が円形に近づき、インク流路342の断面積が増加する。従って、支持部420の位置決め部材428により、供給チューブ340内の流路抵抗を減少させることができる。
【0064】
なお、支持部430(図14参照)の構成は、図16に示した支持部420の構成と同様であるが、支持部420によって供給チューブ340の移動は抑制可能であるため、支持部430は位置決め部材428を有さなくてもよい。また、支持部430の配設される向きは、供給チューブ340の向きに合わせ、支持部420を略90度回転させた向きとなる。
【0065】
なお、支持部420および430は、ひねりを有するために位置ずれが発生しやすい第2湾曲部R2を挟んだ位置に配設されているため、供給チューブ340を安定的に支持可能となっている。
【0066】
図17は、プリンタ10を製造する製造方法を示すフローチャートである。プリンタ10にインクパック310を搭載する際には、まず、インクが充填されたインクパック310をホルダ380の傾斜板381に載置する(ステップS110)。その後、インクパック310を載置したホルダ380を、下部ハウジング360のホルダガイド362に挿嵌した後、ホルダ380を固定ネジ388,389で下部ハウジング360に固定して、複数のホルダ380を下部ハウジング360に並設する(ステップS120)。本実施例では、複数のホルダ380を下部ハウジング360に並設する工程において(ステップS120)、インクパック310のパック口60を供給針320に接続して、インクパック310の内部を、流体吐出部である印刷機構部50の噴射ヘッド810に連通させる。
【0067】
なお、ステップS120におけるインクパック310のパック口60の供給針320への接続が実行されるまでは、供給針320へのごみの付着を防止する等の目的で、供給針320にカバーCVが被せられている。図18は、インク供給部330の供給針320にカバーCVが被せられた状態を示す説明図である。図18に示すように、カバーCVは、ガイド部302に支持されており、供給針320には接触していない。このように、本実施例では、カバーCVが供給針320に接触することなくガイド部302にカバーCVを支持させることができるため、供給針320へのごみの付着をより良好に防止することができる。
【0068】
カバーCVが除去された後に、ステップS120におけるインクパック310のパック口60の供給針320への接続が実行される。その後、複数のホルダ380を並設した下部ハウジング360に上部ハウジング370を封着することによって、上部筐体30の内部に複数のインクパック310を収容する(ステップS130)。
【0069】
B.第2実施例:
図19は、第2実施例におけるインク供給部330とパック口60との断面を示す説明図である。図9に示した第1実施例との違いは、ガイド部302aの形状である。すなわち、第2実施例では、ガイド部302aが、ガイド部302aのインクパック310側の先端が供給針320の先端(尖端324)よりもインクパック310側に位置するような形状に形成されている。すなわち、第2実施例では、ガイド部302aのガイド面304aが、供給針320の先端よりもインクパック310側に位置する部分を有している。
【0070】
第2実施例において、パック口60をインク供給部330に接続する際には、供給針320がパック口60に接触する前に、パック口60のキャップ620の被ガイド面622の位置がガイド部302aによって決められる。従って、第2実施例では、供給針320を供給口612に挿入する際に、供給針320と供給口612との相対的な角度および位置のずれの発生をより良好に抑制することができる。また、供給針320がパック口60の誤った位置に接触して損傷や変形が発生することを防止することができる。
【0071】
C.第3実施例:
図20は、第3実施例におけるインク供給部330bの構成を示す説明図である。図6に示した第1実施例との違いは、ガイド部302が係合部308を有することである。係合部308は、ガイド部302のガイド面304から突出した凸型形状の部分であり、パック口60のキャップ620に形成された凹型形状の係合部628と係合するように形成されている。
【0072】
ここで、図20に示すように、係合部308の形状・配置は、4つのガイド部302毎に異なるように設定されている。すなわち、図20に示した例では、4つのガイド部302において、係合部308は2つの凸型形状部分により構成されているが、ガイド部302毎に、2つの凸型形状部分の位置関係が異なっている。そして、インクパック310のキャップ620に形成された係合部628の形状・配置は、当該インクパック310に対応したガイド部302の係合部308に係合するように設定されている。そのため、インクパック310を当該インクパック310の接続先ではない供給針320に接続しようとした場合には、ガイド部302の係合部308とキャップ620の係合部628とが係合せず、接続が物理的に不可能となる。インクパック310を当該インクパック310の本来の接続先である供給針320に接続しようとした場合にのみ、ガイド部302の係合部308とキャップ620の係合部628とが係合し、接続が達成される。従って、第3実施例では、インクパック310を本来の接続先の供給針320ではない供給針320へ誤って接続する誤接続の発生を抑制することができる。
【0073】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0074】
D1.変形例1:
上記各実施例におけるガイド部302の形状や位置は、あくまで一例であり、ガイド部302の形状や配置は種々変更可能である。例えば、上記各実施例では、図6(b)に示すように、供給針320の軸方向に垂直なガイド面304の断面は、約4分の1の部分が欠損した略円形形状であるとしているが、当該断面が欠損部分の無い略円形形状であるとしてもよいし、より多くの部分(例えば約2分の1の部分や約4分の3の部分)が欠損した略円形形状であるとしてもよい。また、当該断面が複数の欠損部分を有する略円形形状であるとしてもよい。また、供給針320の軸方向に垂直なガイド面304の断面形状は、略円形または略円形の一部に限らず、楕円形状や多角形形状(例えば四角形)またはその一部であってもよい。
【0075】
また、供給針320のガイド面304は、必ずしも供給針320に対向して設けられている必要はなく、パック口60の被ガイド面の位置に対応して種々の位置に設けられることが可能である。例えば、ガイド面304が、略円筒形状のガイド部302の外側面に設けられるとしてもよい。また、上記各実施例では、被ガイド面622がキャップ620に設けられているが、被ガイド面622はインクパック310の任意の箇所に形成可能である。
【0076】
また、上記各実施例では、インク供給部330に供給針320が設けられ、インクパック310に供給口612が設けられているが、供給針320と供給口612との関係を逆にしてもよい。すなわち、供給針320がインクパック310に設けられ、供給口612がインク供給部330に設けられるとしてもよい。
【0077】
D2.変形例2:
上記各実施例では、カバーCV(図18)がガイド部302の外周部分により指示されているが、カバーCVはガイド部302の任意の部分により指示されることが可能である。例えば、カバーCVがガイド面304によって支持されるとしてもよい。
【0078】
D3.変形例3:
上記第3実施例においてガイド部302に設けられた係合部308の形状や位置はあくまで一例であり、係合部308の形状や位置は、インクパック310側の係合部628の形状や位置に応じて任意に設定可能である。例えば、ガイド部302の係合部308は凹型形状で、インクパック310側の係合部628が凸型形状であってもよい。
【0079】
また、上記各実施例では、複数のインクパック310が互いに異なる色のインクを収容しているとしているが、複数のインクパック310が同じ色のインクを収容しているとしてもよい。上記第3実施例において、複数のインクパック310が同じ色のインクを収容している場合であっても、ガイド部302に設けられた係合部308とインクパック310側の係合部628とを用いて、あるインクパック310を設置すべき位置を決めることができる。このようにすれば、例えば、複数のインクパック310が同じ色のインクを収容している場合であっても、各インクパック310の収容容量が異なる場合に、インクパック310を設置すべき位置とは異なる位置へ設置することを防止することができる。
【0080】
D4.変形例4:
上記各実施例において、上部筐体30を本体筐体20に軸着するのではなく、上部筐体30を本体筐体20にスライド可能に取り付けても良い。これによって、上部筐体30にインクパック310をより安定した状態で収容することができる。
【0081】
また、上記各実施例において、下部ハウジング360にホルダ380を配設する向きを、図21に示すように、回動軸350の軸方向に略沿ってホルダ380を配設しても良い。図21の形態によれば、上部筐体30の閉状態から開状態を通じて、上部筐体30に保持されたインクパック310の各々の高さが略同一となるため、インクパック310の各々に収容されたインクの圧力水頭を略同一に揃えることができる。これによって、噴射ヘッド810から噴射されるインクの噴射品質を向上させることができる。
【0082】
また、図22に示すように、傾斜板381が傾斜する方向を回動軸350に向けてホルダ380を配設しても良い。図22の形態によれば、図2および図3に示すように傾斜板381が傾斜する方向を回動軸350とは反対側に向けてホルダ380を配設するよりも、上部筐体30の開状態にした場合においてインクパック310をホルダ380の傾斜板381により安定した状態で載置することができる。
【0083】
D5.変形例5:
本発明の流体供給装置が対象とする流体としては、上述したインク等の液体に限定するものではなく、金属ペースト,粉体,液晶等、各種の流体を対象とする趣旨である。流体供給装置の代表例としては、上述したような画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置があるが、本発明は、インクジェット式記録装置に限らず、プリンタ等の画像記録装置や、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材供給装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー,面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材供給装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体供給装置、精密ピペットとしての試料供給装置等にも適用することができる。
【0084】
D6.変形例6:
図23は、変形例における上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。図23に示した変形例では、インクパック310の設置態様が図2に示した実施例と異なる。すなわち、図2に示した実施例では、インクパック310が上部筐体30に設けられたホルダ380に固定されて設置される態様を採用しているが、図23に示した変形例では、ホルダ380は設けられず、インクパック310が単体として上部筐体30内に設置される態様を採用している。このように、上部筐体30内へのインクパック310の設置には必ずしもホルダ380を用いる必要はなく、インクパック310を上部筐体30内に直接載置することも可能である。
【0085】
また、図24は、変形例における上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。図24に示した変形例では、インクパックの形状や設置態様が図2に示した実施例と異なる。すなわち、図24に示した変形例では、箱形形状のインクパック310が採用されており、また、インクパック310は図23に示した変形例と同様に上部筐体30内に直接載置されている。このように、インクパックの形状は、可撓性シートにより形成された袋形状に限られず、箱形形状といった他の形状を採用可能である。
【0086】
また、図25は、変形例におけるプリンタ10の概略構成を示す説明図である。図25に示した変形例では、インクパック310の設置態様が図1に示した実施例と異なる。すなわち、図25に示した変形例では、インクパック310は上部筐体30の内部に収納されず、プリンタ10の外部に配置される。図25に示した変形例においても、インクパック310のパック口60は、上部筐体30に設けられた穴32を介して、インク供給部330に接続される。このように、インクパック310は、必ずしも上部筐体30の内部に収納される必要はなく、プリンタ10の外部に配置されるとしてもよい。
【0087】
また、図26は、変形例におけるプリンタ10の概略構成を示す説明図である。図26に示した変形例では、インクの供給態様が図1に示した実施例と異なる。すなわち、図26に示した変形例では、インク供給部330にインクパック310のパック口60(図9参照)が接続され、パック口60とインクを収容したインクタンク990との間にチューブ980が設置されている。インクタンク990内のインクは、チューブ980、パック口60、インク供給部330を介して印刷機構部50へと供給される。図26に示した変形例は、例えばインクパック310内のインクを使い切った後に、インクパック310のパック口60のみを残してインクパック310を除去し、チューブ980およびインクタンク990を設置することにより実現される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施例としてのプリンタ10の概略構成を示す説明図である。
【図2】上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図3】上部筐体30を開けた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図4】ホルダ380と下部ハウジング360との接合構成を示す説明図である。
【図5】上部筐体30の内部構成を示す上面図である。
【図6】インク供給部330の構成を示す説明図である。
【図7】インク供給部330の外観を示す斜視図である。
【図8】インクパック310を載置したホルダ380を上部筐体30の内部に固定する様子を示す説明図である。
【図9】図5のA−A断面においてインクパック310をインク供給部330に接続する前の様子を示す説明図である。
【図10】図5のA−A断面においてインクパック310をインク供給部330に接続した後の様子を示す説明図である。
【図11】インクパック310がインク供給部330に接続された状態の斜視図である。
【図12】上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図13】上部筐体30を開けた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図14】プリンタ10の印刷機構部50周りの構成を示す説明図である。
【図15】供給チューブ340の断面を示す説明図である。
【図16】支持部420の構成を示す説明図である。
【図17】プリンタ10を製造する製造方法を示すフローチャートである。
【図18】インク供給部330の供給針320にカバーCVが被せられた状態を示す説明図である。
【図19】第2実施例におけるインク供給部330とパック口60との断面を示す説明図である。
【図20】第3実施例におけるインク供給部330bの構成を示す説明図である。
【図21】変形例における上部筐体30の内部を示す説明図である。
【図22】変形例における上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図23】変形例における上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図24】変形例における上部筐体30を閉じた状態のプリンタ10の概略構成を示す断面図である。
【図25】変形例におけるプリンタ10の概略構成を示す説明図である。
【図26】変形例におけるプリンタ10の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
10...プリンタ
12...給紙トレイ
14...排紙トレイ
20...本体筐体
30...上部筐体
32...穴
40...制御部
50...印刷機構部
60...パック口
70...メンテナンス機構部
80...キャリッジ
302...ガイド部
302a...ガイド部
304...ガイド面
306...リブ
308...係合部
310...インクパック
320...供給針
321...側壁
322...中空流路
324...尖端
326...供給溝
326a...縦面
326b...横面
330...インク供給部
332...ガードプレート
333...開口部
340...供給チューブ
342...インク流路
350...回動軸
360...下部ハウジング
362...ホルダガイド
364...ホルダ補助リブ
365...接合部
368...ネジ穴
369...ネジ穴
370...上部ハウジング
373...係合部
374...端部補助リブ
376...中間補助リブ
380...ホルダ
381...傾斜板
382...ベース部
383...上端部
384...裏面補助リブ
386...貫通孔
387...貫通孔
388...固定ネジ
389...固定ネジ
395...接合部
410...継手
420...支持部
422...長辺部材
424...短辺部材
426...浮き防止部
428...位置決め部材
430...支持部
510...キャリッジモータ
512...タイミングベルト
520...ガイドロッド
530...プラテン
610...供給口部
612...供給口
620...キャップ
622...被ガイド面
628...係合部
630...弁体
632...嵌合面
634...封止面
636...離間面
638...ガイド
640...パッキング
642...貫通孔
650...コイルバネ
810...噴射ヘッド
900...印刷用紙
980...チューブ
990...インクタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流路を形成する装置であって、
第1の流路部材に配置され、第2の流路部材に配置された流路口に挿入されることにより前記流路口における流路閉鎖部分を開放する針部と、
前記第1の流路部材に配置され、前記針部の軸方向に平行なガイド面を有するガイド部と、を備え、
前記ガイド部は、前記針部が前記流路口に挿入される際の前記第1の流路部材と前記第2の流路部材との相対移動中において、前記ガイド面が前記流路口の軸方向に平行な前記第2の流路部材の表面と実質的に接した状態となるように構成されている、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記ガイド面が前記針部を挟んで正対する少なくとも1組の点を含むように構成されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記ガイド面が、少なくとも、前記針部の軸方向に垂直な所定の平面上における前記針部の位置を内包する三角形の3つの頂点を含むように構成されている、装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の装置であって、
前記第2の流路部材は、前記流路口の軸方向に平行な前記表面を側面として有する円柱形状部分を有し、
前記ガイド部は、前記ガイド面が、前記円柱形状部分を包含する円柱の側面の少なくとも一部となるように構成されている、装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記針部の軸方向に沿って前記針部の先端よりも前記第2の流路部材側に位置する前記ガイド面を有する、装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の装置であって、
複数の流体用の前記第2の流路部材に対応した複数の前記針部および前記ガイド部を備え、
前記複数の第2の流路部材は、互いに異なる形状の上流側係合部を有し、
前記複数のガイド部のそれぞれは、前記ガイド部に対応した前記第2の流路部材が有する前記上流側係合部にのみ係合するように形成された下流側係合部を有する、装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の装置であって、
前記ガイド部は、前記針部を覆うカバーを、前記カバーを前記針部に接触させることなく支持可能に構成されている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−23233(P2009−23233A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189070(P2007−189070)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】